日本語でわかる最新の海外医学論文|page:879

このテーマまだ興味がわきますか?アブレーション vs. 抗不整脈薬(コメンテーター:山下 武志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(181)より-

 発作性心房細動に対する第一選択治療法として、アブレーションと抗不整脈薬を比較したいという願いが、今まだあるだろうか。本試験が開始された2006年にはあったのかもしれないが・・・。

催眠療法の禁煙効果をニコチン置換療法と比較~無作為化試験

 禁煙治療における薬物療法の有効性は十分立証されている。最近、再喫煙率および副作用の点から、薬物療法に代わる治療選択肢として催眠療法が注目を集めている。米マサチューセッツ総合病院のFaysal M Hasan氏らは、心臓や肺の疾患で入院した患者において、催眠療法の禁煙効果を従来のニコチン置換療法と比較する単施設無作為化試験を実施した。その結果、喫煙関連疾患による入院患者の禁煙において、催眠療法がニコチン置換療法より有効性が高いことが示唆された。Complementary therapies in medicine誌2014年2月号に掲載。

統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか

 米国・テキサス大学南西医療センターのSara J. M. Arnold氏らによる検討の結果、海馬容積の減少は、統合失調症および統合失調感情障害を推定するバイオマーカーになりうることが示唆された。統合失調症および統合失調感情障害患者では、健常者と比較して海馬容積が小さいこと、双極Ⅰ型障害では、健常者と海馬容積に差がないことが判明したという。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年2月20日号の掲載報告。

静脈うっ滞性潰瘍、圧迫療法+シンバスタチンは有意

 静脈うっ滞性潰瘍の治療について、標準治療の創傷ケアや圧迫療法に加えてシンバスタチン(商品名:リポバスほか)40mgの連日投与を行うことで、治癒率、治癒までの時間およびQOLを有意に改善することが、フィリピン・Jose R. Reyes Memorial Medical CenterのM.T.P. Evangelista氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年2月7日号の掲載報告。

膠芽腫へのベバシズマブ上乗せ、無増悪生存は改善したが/NEJM

 新たに診断された膠芽腫患者の治療において、標準治療のテモゾロミド(商品名:テモダール)+放射線療法に、ベバシズマブ(同:アバスチン)を追加しても、生存期間は延長しないことが、フランス・エクス=マルセイユ大学のOlivier L. Chinot氏らによる第3相無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。テモゾロミドに放射線療法を追加する現在の標準治療は2005年に導入されたが、予後のさらなる改善は報告されていなかった。研究グループは、第1/2相試験において、再発例および新規診断例に対するベバシズマブの上乗せ効果が期待できる結果が得られたことから、今回、新規診断例に対するプラセボとの比較による第3相試験を行った。NEJM誌2014年2月20日号掲載の報告。

出産後の血栓イベント、高リスクはいつまで?/NEJM

 出産後の血栓イベントリスクは、少なくとも12週間は有意に高く続くことが明らかにされた。ただし、6週以降の絶対リスクの増加は小さいことも判明した。産後の女性は、血栓イベントリスクが増大することが知られている。米国・コーネル大学のHooman Kamel氏らは、その期間について、従来定義されている6週間以降どの程度継続するかを明らかにするため、後ろ向きクロスオーバーコホート研究を行った。NEJM誌オンライン版2014年2月13日号掲載の報告より。

男性は適度な飲酒で糖尿病リスク減少?1日30gのアルコールで血中フェチュインAが低下

 インスリンシグナル伝達を阻害する肝臓由来の糖蛋白であるフェチュインAが、糖尿病リスクのバイオマーカーとして浮上している。適度なアルコール摂取がフェチュインA低下に関連しているが、臨床試験によるデータは不足していた。そこで、オランダのMichel M Joosten氏らは、適度なアルコール摂取がフェチュインA濃度を低下させるかどうかをオープンラベル無作為化クロスオーバー試験で検討した。その結果、男性では適度なアルコール摂取によりフェチュインAが低下した。ただし、この関連は女性では認められなかった。Diabetology & metabolic syndrome誌オンライン版2014年2月18日号に掲載。

せん妄治療はICU患者の死亡率に影響するのか

 米国・ノースイースタン大学のNada S. Al-Qadheeb氏らは、ICU入院中の患者にみられるせん妄の持続期間を短縮させる介入が45日以内の短期死亡の減少に寄与するのか否かを明らかにするため、2001~2012年に実施された無作為化試験のレビューを行った。その結果、介入によりせん妄の持続期間は短縮するものの、せん妄期間短縮と短期死亡率減少は関連しないことを報告した。Critical Care Medicine誌オンライン版2014年2月19日号の掲載報告。

ERCP後膵炎の予防対策―インドメタシン単独 vs 硝酸薬併用

 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)前のインドメタシン直腸投与と硝酸薬舌下投与は、インドメタシン単独投与よりもERCP後膵炎の発症率を有意に低下させる可能性が高いことがイラン・テヘラン医療科学大学のRasoul Sotoudehmanesh氏らによる研究で明らかになった。The American journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月11日号の報告。

統合失調症の殺人再犯率は公表データよりも低い

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAndrei Golenkov氏らは、統合失調症を有する殺人者の殺人再犯率を推定することを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、公表されている報告が示唆するよりも統合失調症殺人者の殺人再犯性は低いことが示唆されたという。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎のかゆみの評価に期待される「ひっかき音検出システム」

 三重大学大学院工学研究科物理工学科准教授・野呂雄一氏、同医学系研究科皮膚科学教授・水谷仁氏らは、アトピー性皮膚炎など、かゆみ(そう痒)の定量的な分析法について、腕時計型の機器を用いて夜間に数分間記録するだけで評価が可能な、「ひっかき音検出システム」を開発した。

チオトロピウム、軽症から重症までの喘息に対する有効性示す~2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI2014)~

 2014年3月1日、米国サンディエゴで開催された2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI)で、チオトロピウムの新たな第3相試験結果第3相試験GraziaTinA-asthmaの結果が発表され、低用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムレスピマットが肺機能を改善し、忍容性も良好であったことが示された。

早期の緩和療法、進行がん患者の終末期の満足度を改善/Lancet

 進行がん患者に対する早期の緩和療法による介入は、がん治療のみの場合に比べ全般的にQOLや患者満足度を改善する傾向がみられることが、カナダ・トロント大学のCamilla Zimmermann氏らの検討で示された。進行がん患者はQOLが低下し、終末期に向かって増悪する傾向がみられる。従来のがん緩和医療の観点からは、がん治療と緩和治療の共同介入は最終末期に限定されていたが、最近は早期の総合的な介入によりQOLや患者満足度の改善がもたらされる可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2014年2月19日号掲載の報告。

膠芽腫の1次治療、ベバシズマブの上乗せ効果示せず/NEJM

 新たに診断された膠芽腫患者の治療において、標準治療にベバシズマブ(商品名:アバスチン)を追加しても、全生存期間(OS)の延長は得られないことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMark R Gilbert氏らの検討で示された。現在、北米における膠芽腫の新規診断例に対する標準治療は、テモゾロミド(同:テモダール)+放射線療法の同時併用療法後にテモゾロミドによる維持療法を行うアプローチである。ベバシズマブは血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)に対するヒト化モノクローナル抗体で、再発膠芽腫の治療薬として承認されているが、新規診断例の標準治療への上乗せ効果は明らかにされていなかった。NEJM誌2014年2月20日号掲載の報告。

The long and winding road(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(180)より-

 すでにご承知とは思うが、アルツハイマー型認知症とは認知症の原因疾患の中で最も多くを占める代表的認知症疾患である。脳内にアミロイドβ蛋白が蓄積し、そののちにリン酸化タウ蛋白が蓄積することが病態生理の中心とされている。これはアミロイドカスケード仮説などと呼ばれる。私達がすでに使っているドネペジルなどの認知症治療薬は、この病態仮説とはあまり関係がない「対症療法薬」にすぎない。

ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連~39報のメタ解析

 これまで、ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連していることがいくつかの研究で示唆されているが、逆の研究結果も報告されており、関係は十分に確立されていない。今回、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の西村 邦宏氏らの研究チームは、ベジタリアンの食事パターンと血圧との関連を検討した介入研究と観察研究を系統的に検索し、メタ解析を実施した。その結果、肉類の摂取を制限し、野菜、大豆を中心とした豆類、豆腐、精製していない全粒穀物などの植物性の食品を中心とするベジタリアン型の食事摂取と血圧降下とが関連していることが明らかになった。このことより、高血圧に対する非薬物療法のひとつとして、ベジタリアンの食事パターンが有効である可能性が示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2014年2月24日号に掲載。

若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき

 男子大学生を対象としたケースコントロール研究の結果、うつ病の学生は果物、マメ科植物、ナッツ・種子類、ビタミンC、βカロテン、ルテインなど抗酸化物質を含む食事の摂取が、健常人と比較して少ないことが明らかになったという。イラン・Jundishapur University of Medical SciencesのMohammad Prohan氏らが、うつ病患者にみられる酸化ストレスや炎症の亢進が食事に起因しているか否かを明らかにすることを目的に検討を行い報告した。Redox Report誌オンライン版2014年2月14日号の掲載報告。