武田薬品が京大iPS研と連携 山中氏が総指揮

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/21

 

 武田薬品工業(本社:大阪市中央区)は4月17日、京都大学iPS研究所(以下、CiRA)とiPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究に関する契約を締結したと発表した。同日開催された記者会見には京都大学iPS細胞研究所の山中 伸弥所長、武田薬品のクリストフ・ウェバー社長兼CEOら主要関係者が出席した。

 提携はT-CiRA(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)と名付けられ、iPS細胞技術を用いた創薬研究や細胞治療に関する複数プロジェクトが実施される。

 iPS細胞の発見者でCiRA所長である山中 伸弥氏が本プロジェクトを指揮、武田薬品は同社湘南研究所内の研究施設を提供する。研究人員は武田薬品およびCiRAから計100名以上が従事する見込み。武田薬品は10年間で200億円の提携費用を提供する。

 今回の連携についてウェバー氏は、「今回の連携は従来にない初めての試みであり、さまざまな課題があるが、まったく新しい創薬の可能性に向けて努力していく」と述べた。

 米国ではベンチャー企業が再生医療など大学発の技術の事業化に大きな役割を果たしているものの、本邦ではベンチャーの参入は容易ではなく大きなギャップが存在していた。山中氏は、「今回の提携は、その障害を飛び越えた大規模なアカデミアと大企業の直接連携である。また、今後はiPS細胞によるヒトでの疾患モデル開発および薬剤の効果・安全性の評価が可能となり、動物実験からヒトでの試験という従来の医薬品開発の手順も変化していく可能性がある」と述べた。

(ケアネット 細田 雅之)