日本語でわかる最新の海外医学論文|page:777

新規抗てんかん薬P3、てんかん部分発作の補助治療に有用

 米国・Mid-Atlantic Epilepsy and Sleep Center のPavel Klein氏らは、選択的高親和性シナプス小胞タンパク質2Aリガンドであるbrivaracetam(BRV、国内未承認)の、てんかん部分(焦点)発作(POS)の補助治療としての有効性と安全性を明らかにする、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。その結果、発作頻度の減少および反応率のいずれにおいても、BRV100mg/日およびBRV200mg/日投与はプラセボに比べ有意に優れ、忍容性も良好であることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2015年10月16日号の掲載報告。

入院医療費が高額な医師ほど訴訟リスクは低い/BMJ

 同じ専門科の中で医療資源の使用(入院医療費)が高額の医師のほうが、低額の医師に比べ、翌年の医療過誤訴訟の発生リスクが低い傾向にあることが明らかにされた。産科婦人科については、帝王切開実施率が高い医師ほど、同訴訟リスクが低かった。米国・ハーバード大学医学校のAnupam B. Jena氏らが、約2万5,000人の医師について行った観察試験の結果、報告した。先行研究で、多くの医師が自衛的医療を行っていることが明らかになっていたが、医療資源の使用と医療過誤訴訟リスクとの関連については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告より。

新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。

アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか

 アルツハイマー病(AD)に対する新しい治療法の開発を促進するため、早期診断バイオマーカーに大きな関心が寄せられている。MRIによる神経変性の測定はバイオマーカーの良い候補と考えられているが、これまでのところ病理学的な初期段階で有効性は示されていない。フランス国立科学研究センター(CNRS)のPierrick Coupe氏らは、MRIを用いた新たな海馬評価スコアを開発し、認知機能が障害されていない患者における認知症発症の早期発見に役立つかどうかを検証した。その結果、ADへ進行する7年前の海馬評価スコアが、海馬容積やMMSEスコアよりも予測精度が高いことを明らかにした。著者らは、「今回の研究は先行研究と比較して追跡期間が長期であり、この新しい画像バイオマーカーは臨床的に重要な意義がある。精度が高いことから、ADへ進行するリスクが高い認知機能正常患者の特定に役立つだろう」とまとめている。Human Brain Mapping誌オンライン版2015年10月10日の掲載報告。

FDA、第3世代TKI(AZD9291)を承認

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者[CEO]:パスカル・ソリオ、以下、アストラゼネカ)は、2015年11月13日、AZD9291(商品名:TAGRISSO)80mg錠が、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行した転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表。AZD9291はFDAにより、迅速審査、画期的治療薬、優先審査および迅速承認のステータスを付与されていた。

マントル細胞リンパ腫の初期治療、レナリドミド+リツキシマブが有効/NEJM

 マントル細胞リンパ腫の初期治療について、レナリドミドとリツキシマブの生物学的製剤併用療法が有効であることが示された。2年無増悪生存率は85%、推定全生存率は97%だった。米国・コーネル大学医学部のJia Ruan氏らが、患者38例を対象に行った、第II相多施設共同単群導入・維持試験の結果明らかにした。マントル細胞リンパ腫の多くは治癒が困難で、初期治療は標準化されておらず、通常、殺細胞性化学療法などが行われている。一方、免疫調節薬レナリドミドと、抗CD20抗体リツキシマブは、再発マントル細胞リンパ腫患者における活性が認められており、研究グループはその併用療法の第1選択薬としての可能性について評価を行った。NEJM誌2015年11月5日号掲載の報告より。

英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。

インフルエンザ関連肺炎による入院に対する予防接種の効果は?(解説:小林 英夫 氏)-451

かつて本邦では予防接種不要論を唱える向きもあったが、CDCもWHOもインフルエンザ予防接種を推奨し、2015年には本邦でも4価インフルエンザワクチンが導入されている。すでに接種が有効か無効かを議論する時期ではなく、どのような接種対象者にどのような有用性が高いのかを検討していく段階になっている。たとえば本邦では、2009年まで妊婦への接種が推奨されていなかったことも記憶に新しい。未解決点が存在する理由として、インフルエンザ疫学研究における多くのバイアスの介在が挙げられる。対象集団設定、流行規模、抗原変異など、さまざまな因子を一定化することは困難であり、多数の研究を蓄積していくことでしか解決はなしえない。

産後女性の精神症状軽減へ、ハーブティーの可能性

 出産後の女性において、睡眠の質を確保することは重要な問題である。カモミールは、催眠鎮静作用を有するといわれていることから、広く民間療法として使用されている。台湾・輔英科技大学のShao-Min Chang氏らは、カモミールが出産後女性の睡眠の質や疲労、うつ病に及ぼす影響を評価した。Journal of advanced nursing誌オンライン版2015年10月20日号の報告。

乳頭状腎細胞がん、遺伝子解析で特徴付けが判明/NEJM

 腎細胞がんの15~20%を占め、1型と2型の存在が示されている乳頭状腎細胞がんは、これまでその遺伝子レベルの特性はほとんど解明されておらず、また病勢進行における有効な治療法はない。米国国立がん研究所のW. Marston Linehan氏ら、がんゲノムアトラス研究ネットワークは、161例の患者について分析を行い、1型と2型では臨床的および生物学的に異なること、さらに2型については3つのサブタイプがあることなどを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。

近未来のうつ病治療に、会話システム「Help4Mood」

 英国・アバディーン大学のChristopher Burton氏らは、インターネットのアバターを介して会話をするシステム「Help4Mood」の、うつ病患者に対する有用性を明らかにするため、パイロット無作為化比較試験(RCT)を行った。その結果、標準治療単独に比べ、Help4Moodの併用はうつ症状の改善に寄与する可能性があることを報告した。Journal of telemedicine and telecare誌オンライン版2015年10月9日号の掲載報告。

原発開放隅角緑内障へのファーストライン、効果が高いのは?

 原発開放隅角緑内障(POAG)は世界的に罹患率が高く、不可逆的な視力喪失の原因で最も多い。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のTianjing Li氏らは、POAGに対するファーストライン(第1選択薬)の効果についてシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。

遺伝子変異陽性NSCLCに分子標的薬+抗がん剤治療

 日本イーライリリー株式会社は2015年11月13日、都内でプレスセミナー「非小細胞肺がん治療の現状と今後の展望」を開催した。演者である和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授の山本信之氏は、その中で、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)における分子標的治療薬と抗がん剤の併用の可能性について、以下のように解説した。

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。