近未来のうつ病治療に、会話システム「Help4Mood」

英国・アバディーン大学のChristopher Burton氏らは、インターネットのアバターを介して会話をするシステム「Help4Mood」の、うつ病患者に対する有用性を明らかにするため、パイロット無作為化比較試験(RCT)を行った。その結果、標準治療単独に比べ、Help4Moodの併用はうつ症状の改善に寄与する可能性があることを報告した。Journal of telemedicine and telecare誌オンライン版2015年10月9日号の掲載報告。
Help4Moodは、うつ病の治療を受けている患者のセルフモニタリングを援助するために開発された、双方向会話システムである。自己報告やバイオメトリックモニタリングをサポートし、認知行動療法の要素も含んでいる。
研究グループは、システムの活用と受容性を評価し、臨床試験登録の簡便性および継続率の探索、さらに将来的な治療手段としての活用を見据えてRCT実施の可能性について調べた。Help4MoodのパイロットRCTは、ルーマニア、スペイン、英国・スコットランドの3施設で実施した。うつ病(大うつ病性障害)と診断され、現在は軽度/中等度のうつ症状を有する患者を、標準治療に加えて同システムを4週間使用する群と、標準治療単独群に無作為化し評価した。
主な結果は以下のとおり。
・27例が無作為化され、21例(Help4Mood群:12/13例、標準治療単独群:9/14例)で追跡データが得られた。
・Help4Mood群の半数が、システムを定期的に利用していた(10回以上)。毎日の利用者はいなかった。
・受容性は利用者間でさまざまであり、システムの感情的な反応を評価する者もいれば、ワンパターンだと評する者もいた。
・intention to treat 解析により、ベックうつ評価尺度II(BDI-2)スコア変化に、わずかな差がみられた(Help4Mood群-5.7点、標準治療単独群-4.2点)。
・治療に関する事後解析では、Help4Moodの定期利用者で、BDI-2スコアの中央値が-8ポイント変化していることが示された。
・以上より、意図したほどの定期的利用者はいなかったものの、うつ病治療を受けている人の一部においてHelp4Moodの受容性があることが示された。
・システムを定期的に使用している人のうつ症状の変化は、意味のあるレベルにまで達していた。
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