日本語でわかる最新の海外医学論文|page:604

緑茶は口腔関連QOLに好影響~亀岡スタディ

 緑茶とコーヒーはどちらも健康によい効果をもたらすことが知られているが、口腔健康に関連する生活の質(OHRQoL)との関連は不明である。今回、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の南里 妃名子氏らは、高齢者コホートでの調査で、緑茶摂取量がOHRQoLと関連することを報告した。とくに男性では、1日3杯以上の摂取でOHRQoL不良リスクが減ることが示唆された。一方、コーヒー摂取量との関連は示されなかった。European Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2018年5月23日号に掲載。

慢性期統合失調症患者の持効性抗精神病薬による機能改善予測因子

 長時間作用型持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬は、経口剤と比較して、服薬アドヒアランスを改善し、入院率を低下させることができる。パリペリドンパルミチン酸(PP)やアリピプラゾール水和物(AOM)のLAI治療は、統合失調症患者の全身機能の改善と関連している。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のPaolo Girardi氏らは、PP、AOMで治療された慢性期統合失調症および統合失調感情障害患者における良好な全身機能の予測因子について評価を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2018年5月15日号の報告。

胃がん術後化療、S-1+ドセタキセルがプラクティス変える?(JACCRO GC-07)/ASCO2018

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられるが、Stage IIIにおけるアウトカムは十分とはいえない。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、名古屋大学医学部附属病院の小寺 泰弘氏が、Stage III の上記患者に対するS-1/ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較したJACCRO GC-07(START-2)試験の結果を発表した。

プロカルシトニン値は抗菌薬使用の指標となるか/NEJM

 下気道感染症が疑われる患者への、プロカルシトニン値を指標とする抗菌薬の開始/中止の決定は、抗菌薬曝露量を削減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のDavid T. Huang氏らが行った「ProACT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月20日号に掲載された。プロカルシトニンは、ウイルスに比べ細菌感染によって上昇するペプチドで、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善に伴って経時的に低下する。欧州の試験では、プロカルシトニンに基づくガイダンスは、明確な有害性を呈することなく抗菌薬の使用を抑制することが報告されている。米国食品医薬品局(FDA)は、これらの試験を含むメタ解析の結果に基づき、2017年2月、下気道感染症疑い例における抗菌薬使用の指標としてプロカルシトニン測定を承認したが、日常診療への適用の可能性は不明だという。

これはいける!と思ったのに:ESUSの意外な失敗(解説:後藤信哉氏)-864

薬剤として経口抗Xa薬が開発された当時、標的疾患としては「脳梗塞2次予防がよい」と各社にアドバイスした。冠動脈疾患、心房細動より、脳梗塞中の再発リスクが高く、新規の抗血栓薬が必要と思ったからである。脳梗塞の病態は複雑である。微小血管病と想定されるラクナ梗塞、抗血小板薬が有効なアテローム血栓性閉塞では、抗凝固薬は役立たないのではないかとの意見もあった。心房細動の脳卒中予防試験も、予防対象は「脳卒中・全身塞栓症」で心原性塞栓ではなかった。

糖尿病発症や最適な食事療法を個別提示

 遺伝子解析を用いた個別化医療が進んでいるが、遺伝子を用いず糖尿病発症を予測し、個別に食事療法(低炭水化物食、エネルギー制限食、低脂肪食)を提案できたら、どんなに有益だろう。2018年5月24日より3日間、都内で開催された第61回日本糖尿病学会年次学術集会(学会長:宇都宮 一典)において、個別の糖尿病発症や食事療法の最適化に関する発表が行われた。

カルボキシセラピーによる脂肪除去、効果はあるが持続せず

 非侵襲性の脂肪除去は、施術後のdowntime(回復期間)が短くリスクも低いため好まれている。安全性と有効性の両方を兼ね備えた新しい非侵襲性脂肪除去術の試みは重要であるが、米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らによるランダム化比較試験の結果、カルボキシセラピー(皮下脂肪への炭酸ガス注入)は忍容性が良好で皮下脂肪を一過性に減少させるものの、持続性はないことが明らかにされた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年4月23日号掲載の報告。

脂肪摂取と認知症リスクに関するメタ解析

 疫学研究によると、食事による脂肪摂取は、アルツハイマー病(AD)や認知症リスクと関連しているが、この関連性は明確になっていない。中国・浙江大学のYue Ruan氏らは、脂肪摂取とADや認知症リスクとの関連をシステマティックに調査するため、メタ解析を行った。Current Alzheimer research誌オンライン版2018年4月27日号の報告。

乳児期に被災した福島の子供は体重増加の傾向

 生後10ヵ月までに福島県で東日本大震災の被害を受けた子供は、過体重の傾向があることが福島県立医科大学の小野 敦史氏らの研究により明らかになった。この結果について小野氏は、福島第一原子力発電所に近く放射線量がより高い浜通りや中通りにおいて外出が制限されたことが関係しているという見解を示している。BMJ Paediatrics Open誌2018年2月7日号に掲載。

心臓手術中の左心耳閉鎖、脳卒中リスクを減らせるか/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、左心耳閉鎖(left atrial appendage occlusion:LAAO)の併施群は非併施群と比較して、その後の脳卒中および全死因死亡リスクが有意に低いことが、米国・メイヨー・クリニックのXiaoxi Yao氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。LAAOは、心臓手術中に行われる可能性があるが、長期的な脳卒中リスクとの関連に関するデータはほとんど存在せず、一方で術後の心房細動(AF)との関連を示唆するエビデンスが示されていた。今回の結果を受けて著者は、「無作為化試験を含む検討を行い、外科的LAAOの役割を明確にする必要がある」と述べている。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告より。

FAME2試験の5年追跡結果が発表、安定冠動脈疾患へのPCI施術の妥当性(中川義久 氏)-865

FAME2試験の5年追跡の結果がパリで開催されたPCR2018で発表され、NEJM誌に同時掲載された。FAME2試験は、PCI施行予定の安定冠動脈疾患において、FFR値0.8以下で定義される機能的虚血を有する場合に、PCI+至適薬物治療を行った場合と、至適薬物治療のみの場合をランダマイズし比較した研究である。

20歳までに多いがんは「白血病」

 2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。  これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。

足趾力が糖尿病の診断マーカーとなる可能性

 糖尿病患者の足趾力は、糖尿病に罹患していない人よりも有意に弱いことがトヨタ自動車健康支援センターウェルポの諏訪 雅貴氏らの研究によって明らかになった。著者らは、「糖尿病の診断マーカーとしては、握力よりも足趾力が適しているだろう」としている。Endocrine Journal誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。

外来でのポイントオブケア、慢性心不全の診断精度は?/BMJ

 英国・オックスフォード大学のKathryn S. Taylor氏らは、外来でのポイントオブケアによるナトリウム利尿ペプチド(NP)検査の慢性心不全の診断精度について、系統的レビューとメタ解析による評価を行った。その結果、プライマリケアにおいて感度0.99、特異度0.60であることが示されたが、「現状ではプライマリケア試験および検査値データが不十分で、方法論的な限界もある。大規模なプライマリケア試験を行い、ポイントオブケアNP検査の役割を評価するとともに、疑い例を含む慢性心不全患者のケアを改善するための適切な閾値を明らかにする必要がある」という。BMJ誌2018年5月21日号掲載の報告。

FAME2試験、5年追跡調査の結果は?/NEJM

 安定冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)ガイドによるPCI戦略は薬物療法単独と比較し、5年間の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術)の発生を有意に低下させた。ベルギー・アールスト心血管センターのPanagiotis Xaplanteris氏らが、無作為化非盲検試験FAME 2試験の5年追跡結果を報告した。血行動態的に著しい狭窄のない患者は、薬物療法のみでも長期転帰は良好であったという。NEJM誌オンライン版2018年5月22日号掲載の報告。