日本語でわかる最新の海外医学論文|page:587

心臓手術で「エキストラ」にできること(解説:香坂俊氏)-905

床屋に行ったりすると、最後に整髪料を付けてくれたり、あるいはジェル等を使って髪形を整えてくれたりすることがある。たまに肩や首をマッサージしてくれることもある。筆者は顔のパックを試していきませんか、と言われたこともある(断った)。ケースバイケースだが、こうした【エキストラなサービス】は概して嬉しいものである。

ピロリ除菌による胃がんリスク低下、高齢者では?

 Helicobacter pylori(H. pylori)の除菌は胃がんリスクを低下させるが、高齢者におけるデータは少ない。今回、香港大学のWai K. Leung氏らは、H. pylori除菌治療を受けた患者の大規模コホートおよびマッチさせた一般集団における胃がんリスクを年齢層別に比較した。その結果、とくに高齢者で、除菌治療後10年以上経過している群で、除菌治療と胃がんリスク低下が有意に関連していた。Gastroenterology誌2018年7月号に掲載。

2型糖尿病の死亡リスクは高くない?/NEJM

 5つのリスク因子が、ガイドラインで定められた目標値の範囲内にある2型糖尿病患者は、死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスクが一般人口とほとんど変わらず過剰ではないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のAidin Rawshani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年8月16日号に掲載された。2型糖尿病患者は、死亡や心血管アウトカムのリスクが一般人口に比べ2~4倍高いとされる。この2型糖尿病に関連する過剰なリスクが、現行のエビデンスに基づく治療や複数のリスク因子の修正によって、どの程度軽減し、あるいは消失する可能性があるのかは不明であった。

高所得国の平均余命、米国が最下位の理由は?/BMJ

 OECD加盟の高所得国18ヵ国の中で、米国の平均余命は最も低く、他国との差は年々開いているという。米国では2014~16年には連続して平均余命の低下が報告され、また英国では2014~15年に低下が報告された。米国・南カリフォルニア大学のJessica Y. Ho氏らは、他の高所得国でも2014~16年に平均余命の低下が起きていないかを調べ、低下の原因を特定し、原因は各国に共通したものなのか否か、低下を引き起こした原因別の規模を調べた。BMJ誌2018年8月15日号掲載の報告。

バレット食道に対するPPIとアスピリンの効果:無作為比較試験(解説:上村直実氏)-904

わが国では食道がんのほとんどが扁平上皮がんであり、腺がんは1~2%のみであるが、最近、欧米を中心として、胃酸分泌の亢進に伴う胃・食道逆流症の増加に伴ってバレット食道(BE)が増加し、それに併行して食道腺がんが増加している。

医師のアルバイト代、時給が高い診療科は

 ケアネットでは、2018年7月に「勤務医1,000人に聞く!医師のアルバイト収入について」のアンケートを行い、第1回では年間アルバイト収入について、第2回ではアルバイトの時給について報告している。第3回では、最終回として、アルバイトの時給についてさらに深掘りした結果を発表する。  医師のアルバイトの時給を地方別に見てみると、最もアルバイトの時給が高い傾向にあったのは、関東地方だった。

腰痛や肩こりなどの「痛み」による経済損失約1兆9千億円

 働き方改革のもと、仕事へのかかわり方や働き方が変化しつつある。その中でも見過ごされやすい問題として、健康問題を抱えて就業ができない、効率を上げることができないという就労問題がある。今回、健康に起因する就労問題の中でも「痛み」に焦点をあて、ファイザー株式会社とエーザイ株式会社が共催で、2018年8月8日にプレスセミナーを開催した。セミナーでは、「健康経営時代に欠かせない『痛み』の早期診断と治療」をテーマに、「痛み」がもたらす社会的損失と神経障害性疼痛のスクリーニングツールについて講演が行われた。

BRCA変異乳がんに対するtalazoparibの第III相試験/NEJM

 ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬talazoparibは、標準化学療法と比較して、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がん患者の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。患者報告アウトカムでも、talazoparibの優越性が示唆された。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer K. Litton氏らが、第III相の無作為化非盲検試験(EMBRACA試験)の結果を報告した。talazoparibは第I相および第II相臨床試験において、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がんに対する抗腫瘍活性を示していた。NEJM誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。

米国1999~2016年の早期死亡率上昇、主因は薬物中毒/BMJ

 米国において若年~中年(25~46歳)の早期死亡率は、人種/民族集団を問わず全体的に増加していることが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のSteven H. Woolf氏らによる、人口動態統計のシステマティックレビューの結果、示された。要因は多岐にわたり、とくに近年は後退現象のために長年にわたる死亡率の低下が相殺され、もともと死亡率が高い非ヒスパニック(NH)黒人、NH米国先住民/アラスカ先住民といった人種集団においては、さらなる上昇を生んでいた。著者は、「多数の要因として全身性要因が示されている。政策立案者は迅速に行動を起こし、米国における健康低下の原因に取り組まなくてはならない」と述べている。BMJ誌2018年8月15日号掲載の報告。

抗インフルエンザ薬、使用上の注意改訂指示

 2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、抗インフルエンザウイルス薬の「使用上の注意」改訂指示の通知が出された。これは、5月と7月に行われた薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の結果を踏まえ、改訂が必要と判断されたもの。通知には、「オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)を含む抗インフルエンザ薬7成分の添付文書を速やかに改訂し、医薬関係者への情報提供など必要な措置を講ずること」と記されている。

日本人2型糖尿病でのエンパグリフロジン+リナグリプチン合剤の上乗せ効果

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンと、DPP-4阻害薬リナグリプチンの配合剤による併用療法が、エンパグリフロジン単剤による治療で効果不十分な日本人2型糖尿病患者における治療選択肢として有用であることが示された。川崎医科大学の加来 浩平氏らによる、Diabetes, obesity & metabolism誌オンライン版2018年8月9日号に掲載の報告。

パニック症に対する薬物療法のシステマティックレビュー

 パニック症(PD)の治療には、いくつかの効果的な薬物治療がある。しかし、その治療結果は多くの患者で不十分であり、現在推奨されている治療法に対する治療反応の質の改善、抗不安薬の組み合わせを広げることの有用性が示唆されている。イタリア・Villa San Benedetto Menni HospitalのDaniela Caldirola氏らは、過去5年間でPDに対する薬物治療がどのように変化したかを調査するため、薬理学的研究(第III相臨床試験以降)の最新システマティックレビューを実施した。Expert Opinion on Pharmacotherapy誌オンライン版2018年7月31日号の報告。

Na摂取量1日5g超で、CVイベントと関連?/Lancet

 カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らが、21ヵ国を対象にした大規模疫学コホート試験「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)試験」を基に分析した結果、ナトリウム摂取量の増加は、摂取量が5g超/日の地域においてのみ、心血管疾患や脳卒中と関連があることが明らかにされた。一方、WHOでは、心血管疾患の予防手段として、2g未満/日のナトリウム摂取を推奨しているが、この目標値を達成している国はない。今回の結果を踏まえて著者は、「ナトリウム摂取減の戦略は、これら摂取量が5g超/日の地域においてのみ必要かもしれない」と述べている。Lancet誌2018年8月11日号掲載の報告。

1型糖尿病、若年発症で死亡・心血管リスク増大/Lancet

 1型糖尿病の発症時年齢は、生存および心血管系アウトカムの重要な決定因子であることが明らかにされた。0~10歳の人は26~30歳の人に比べ、死亡や心血管疾患などの過剰リスク差は最大で5倍に上り、同リスクは女性で高く、10歳未満時の発症は、男性が14.2生存年の損失に対し女性では17.7生存年の損失につながることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAraz Rawshani氏らが、スウェーデンの全国糖尿病患者登録者約2万7,200例と適合対照一般集団を対象に行ったコホート試験の結果で、Lancet誌2018年8月11日号で発表した。1型糖尿病患者の死亡および心血管疾患リスクの上昇は知られているが、現行ガイドラインでは、リスク層別化において診断時年齢は考慮されていなかった。

進行肝細胞がんに対する多標的チロシンキナーゼ阻害薬療法(解説:中村郁夫氏)-903

本論文は、既治療の進行肝細胞がん(HCC)症例に対する、cabozantinibの治療効果および安全性に関するランダム化・二重盲検・多施設で行われた第III相試験の結果の報告である。対象は、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)による治療を受けた進行肝細胞がん症例で、さらに、少なくとも1回のHCCに対する全身的治療を受けた後に進行を呈した症例(HCCに対する全身的治療は2回まで)とした。707例を無作為に2対1に割り付けて、実薬群はcabozantinib(60mg/日)の内服を行い、経過をフォローした。結果として、全生存期間(OS)は、cabozantinib投与群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月と有意な延長(p=0.005)を認めた。また、副次評価項目である、無増悪生存期間(PFS)は、cabozantinib投与群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月と有意な延長(p<0.001)を認めた。しかし、一方で、Grade3/4の有害事象の頻度がcabozantinib投与群では68%であり、プラセボ群の36%と比較して頻度が2倍近いことも報告された。頻度の高い有害事象は、手足症候群、高血圧、肝機能障害、疲労、下痢などであった。

FDA、小細胞肺がんにニボルマブ承認。20年ぶり新薬/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年8月17日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、プラチナベース化学療法と1つ以上の他の治療ライン後に進行した、転移を有する小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたと発表した。この承認は、ニボルマブの第I/II相CheckMate-032試験の結果に基づくもの。