日本語でわかる最新の海外医学論文|page:42

ホルモン療法とニラパリブの併用が進行前立腺がんに有効

 がんの標的治療薬であるニラパリブ(商品名ゼジューラ)をホルモン療法に追加することで、前立腺がんの増殖リスクが低下し、症状の進行を遅らせることができる可能性が、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)がん研究所腫瘍内科部門長のGerhardt Attard氏らが実施した臨床試験で示された。詳細は、「Nature Medicine」に10月7日掲載された。  Attard氏は、「現行の標準治療は、進行前立腺がん患者の大多数にとって極めて有効性が高い。しかし、少数ではあるが臨床的には重要な割合の患者では限定的な効果しか得られていない」と指摘し、「ニラパリブを併用することでがんの再発を遅らせ、余命の延長も期待できる」とUCLのニュースリリースの中で述べている。

抗うつ薬30種類の生理学的影響を比較~ネットワークメタ解析/Lancet

 英国・キングス・カレッジ・ロンドンのToby Pillinger氏らは系統的レビューとネットワークメタ解析を行い、抗うつ薬はとくに心代謝パラメータにおいて薬剤間で生理学的作用が著しく異なるという強力なエビデンスがあることを明らかにした。抗うつ薬は生理学的変化を誘発するが、各種抗うつ薬治療におけるその詳細は知られていなかった。結果を踏まえて著者は、「治療ガイドラインは、生理学的リスクの違いを反映するよう更新すべき」と提唱している。Lancet誌オンライン版2025年10月21日号掲載の報告。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のOS最終解析(FLAURA2)/NEJM

 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)オシメルチニブの単剤療法と比較して白金製剤とペメトレキセドによる化学療法+オシメルチニブの併用療法は、全生存期間(OS)を有意に延長させ、Grade3以上の可逆的な有害事象のリスク増加と関連していた。米国・ダナファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らFLAURA2 Investigatorsが、「FLAURA2試験」の主な副次エンドポイントの解析において、OSの事前に計画された最終解析の結果を報告した。同試験の主解析では、化学療法併用群において主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)が有意に優れることが示されていた(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79、p<0.001)。NEJM誌オンライン版2025年10月17日号掲載の報告。

左室駆出率の保たれた心不全に対するセマグルチドとチルゼパチドの比較―大規模エミュレーション研究から(解説:加藤貴雄氏)

 本研究は、保険請求データベースを利用して、ランダム化比較試験(セマグルチドのSTEP-HFpEF DM試験とチルゼパチドのSUMMIT試験)の大規模エミュレーションを行った研究で、セマグルチドとチルゼパチドの直接の比較をした点が重要である。エミュレーションとは、「模倣」との意味で、観察データを用いてtarget trialを模倣する手法である。今回のランダム化比較試験2本の組み入れ・除外基準から条件を模倣したものであり、2型糖尿病がありBMI 27以上が模倣的な組み入れ基準である。心血管アウトカムに影響を及ぼさないとされているシタグリプチンを対照として、総死亡と心不全の悪化による入院の複合イベントにおけるセマグルチドとチルゼパチドの優位性を調べた後に、セマグルチドとチルゼパチドの比較も行っている。

肝指向性DGAT2アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害薬ION224のMASHに対する治療効果:第II相試験の結果(解説:相澤良夫氏)

この第II相試験では、肝臓の脂肪新生を亢進し、脂肪毒性の発現と代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の進展に関わる重要な代謝酵素で中性脂肪合成の律速酵素であるdiacylglycerol O-acyltransferase 2(DGAT2)を選択的に阻害する肝指向性アンチセンスオリゴヌクレオチド製剤ION224が、脂質異常症を惹起することなくMASHに対し有効かつ安全性、忍容性の高い核酸医薬製剤であることが示された。また、このMASH改善効果は体重減少とは関連せず、体重減少効果によりMASH治療効果が期待されるGLP-1などの薬物との併用効果も期待された。近年、次世代の医薬品として注目されている核酸医薬の開発が進み、すでにアンチセンス製剤以外にもsiRNA、アダプタマー、CpGオリゴなどが実用化されている。これらの核酸医薬は抗体医薬品に比べて比較的安価で製造できること、短期間で効率よく製薬化できること、疾患に関連する特定の遺伝子のみを選択的に制御できることなどの利点がある反面、体内で分解されにくい化学修飾や標的臓器へのドラッグデリバリーの工夫が必要なこと、長期にわたる治療での安全性に懸念があるなどの問題点も知られている。

アルコール依存症の再発率はどの程度?

 アルコール依存症は、早期死亡や障害の主要な要因である。インドでは、男性の約9%にアルコール依存症がみられるといわれている。アルコール依存症の短期アウトカムには、いくつかの臨床的要因が関与している可能性がある。インド・Jawaharlal Institute of Postgraduate Medical Education and ResearchのSushmitha T. Nachiyar氏らは、アルコール依存症患者の短期アウトカムについて調査を行った。Indian Journal of Psychological Medicine誌オンライン版2025年9月26日号の報告。  対象は、ICD-10 DCR基準に基づくアルコール依存症男性患者122例。アルコール依存症の重症度(SADQ)、断酒動機(SOCRATES)、全般認知能力(MoCA)、前頭葉認知能力(FAB)などの社会人口学的および臨床的パラメーターに基づき評価した。その後、過去30日間の飲酒について、タイムライン・フォローバック法を用いて1ヵ月および3ヵ月時点でフォローアップ調査を行った。

筋層浸潤性膀胱がんにおけるデュルバルマブの役割:NIAGARA試験からの展望

 膀胱がんは筋層に浸潤すると予後不良となる。筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の治療にはアンメットニーズが多く、新たな治療戦略が求められる。そのような中、デュルバルマブのMIBCにおける術前・術後補助療法が承認された。都内で開催されたアストラゼネカのプレスセミナーで、富山大学の北村 寛氏がMIBC治療の現状と当該療法の可能性について紹介した。  膀胱がんの5年生存割合は、筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)では70~80%であるのに対して、MIBCでは20~30%と低い。また、病期が進行するにつれ予後不良となり、II期のMIBCでは46.6%、III期では35.7%、IV期では16.6%である。

原因不明の慢性咳嗽の“原因”が明らかに?

 英国・マンチェスター大学のAlisa Gnaensky氏らが、原因不明の慢性咳嗽(unexplained chronic cough:UCC)と原因が明らかな慢性咳嗽(explained chronic cough:ECC)を区別するための臨床リスク因子として、後鼻漏の有無を特定した。Allergy and Asthma Proceedings誌2025年9月1日号掲載の報告。本研究者らは過去の研究において、喘息や慢性閉塞性肺疾患よりもUCCである可能性が高い患者像を報告していた。  本研究は、米国の7つの咳嗽センターで慢性咳嗽患者に配布された電子質問票を基に調査を行い、平均±標準誤差、連続変数の頻度(一元配置分析)、カテゴリ変数のクロス集計頻度(二元配置分析)を計算した。UCCとECCの単変量比較はt検定とノンパラメトリック一元配置分析を使用して行われた。

学校給食の無償化で子どもの高血圧リスク低下

 米国で進められてきた学校給食の無償化が、子どもたちの高血圧リスクの抑制につながっているとする研究結果が、「JAMA Network Open」に9月25日掲載された。米カリフォルニア大学アーバイン校のJessica Jones-Smith氏らの研究によるものであり、無償化を始めた学校では高血圧の子どもの割合が、5年間で約11%減少したと見込まれるという。研究者らは、給食無償化による栄養状態の改善に加えて、体重に及ぼした影響が、この改善を促進した可能性が高いとしている。  論文の上席著者であるJones-Smith氏は、「給食無償化は、高血圧リスクと密接な関連のある小児肥満の減少と関連している。より健康的な食事が直接的に血圧へ好ましい影響を与えることに加えて、BMIが高い子どもが減ることに伴う間接的影響という二つの経路で、高血圧リスクが抑制されたと言える」と解説している。なお、研究者らが背景説明の中で述べているところによると、小児期の高血圧は成人期まで継続することが多く、将来的に心臓病や腎臓病のリスクを高める可能性が高いとのことだ。

アルツハイマー病治療薬が自閉症にも有効か

 アルツハイマー病治療薬として2003年に米食品医薬品局(FDA)に承認されたメマンチンが、自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児や若者の社会的機能を高めるのに役立つ可能性のあることが、新たな小規模臨床試験で明らかになった。社会性の障害に改善が見られた割合は、メマンチンを投与した群では56%であったのに対し、プラセボを投与した群では21%だったという。米マサチューセッツ総合病院のGagan Joshi氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。Joshi氏は、「メマンチンに反応を示した試験参加者は、ASDの軽度の特徴は引き続き見られたものの、社会的コンピテンスが向上しASD症状の重症度も軽減した」とMass General Brighamのニュースリリースで述べている。

経口選択的心筋ミオシン阻害薬aficamtenは症候性の閉塞性肥大型心筋症患者においてβ遮断薬よりも臨床的に有効である(解説:原田和昌氏)

 Cohen、Braunwaldらの約60年前のエキスパートオピニオンと限定的なエビデンスにより、β遮断薬は症候性閉塞性肥大型心筋症(HCM)の第1選択の治療として使い続けられてきた。一方、経口選択的心筋ミオシン阻害薬であるaficamtenの上乗せは標準治療と比較して左室流出路圧較差を軽減し、運動耐容能を改善してHCMの症状を軽減することが第III相二重盲検比較試験であるSEQUOIA-HCM試験により示された。今回、スペイン・CIBERCVのGarcia-Pavia氏らMAPLE-HCM研究者たちは、HCMの治療においてβ遮断薬単剤投与とaficamtenの単剤投与との臨床的有益性を比較する目的で、国際共同第III相二重盲検ダブルダミー無作為化試験であるMAPLE-HCM試験を実施した。

60歳以上における全原因心肺系・心血管系疾患入院予防に対する2価RSVワクチンの効果(解説:寺田教彦氏)

本論文は、デンマークにおける全国規模の無作為化比較試験(DAN-RSV試験)の事前規定サブ解析で、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン接種による「全原因心肺系入院のみならず、呼吸器疾患の下流に位置する全原因心血管系入院の予防効果」を評価したものである。同試験の主要エンドポイントはRSV関連呼吸器疾患による入院で、結果は別の論文で報告されている「60歳以上への2価RSVワクチン、RSV関連呼吸器疾患による入院を抑制/NEJM」。本論文の評価項目として、副次エンドポイントは全原因心肺系入院、探索的エンドポイントとして心血管疾患の各項目である、心不全、心筋梗塞、脳卒中、心房細動による入院が設定された。

認知症/MCI患者に対する抗コリン薬の使用率は?

 認知機能が低下している高齢者は、抗コリン作用を有する薬剤の累積使用による副作用の影響を受けやすいとされている。しかし、このような患者における入院リスクに関する研究は依然として限られており、入院の具体的な原因に焦点が当てられていない場合が多い。マレーシア・University MalayaのRenuka Rahoo氏らは、軽度認知障害(MCI)または認知症の高齢者における抗コリン薬の負担とその役割、さらに入院リスクおよび入院理由との関連を調査した。Clinical Interventions in Aging誌2025年9月25日号の報告。

機内における急病人の発生頻度は?~84の航空会社での大規模調査

 2025年には約50億人が民間航空機を利用すると予測されている。航空機内での急病(機内医療イベント)は、医療資源が限られ、専門的な治療へのアクセスが遅れるという制約の中で対応が必要となる。米国・デューク大学のAlexandre T. Rotta氏、MedAireのPaulo M. Alves氏らの研究グループは、84の航空会社が参加した大規模な国際データを分析し、機内医療イベントの発生頻度や、航空機の目的地変更につながる要因などを明らかにした。JAMA Network Open誌2025年9月29日号に掲載。

花粉の飛散量が増えると自殺者が増える?

 季節性アレルギーは多くの人にとって厄介なものだが、それが命に関わる可能性があると考える人はほとんどいないだろう。しかし新たな研究で、花粉の飛散量の増加に伴い自殺者数が増加し、特に精神疾患患者への影響は大きいことが明らかにされた。米ミシガン大学社会調査研究所のJoelle Abramowitz氏らによるこの研究結果は、「Journal of Health Economics」12月号に掲載予定。Abramowitz氏らは、季節性アレルギーを原因とする身体的苦痛は睡眠を妨げ、精神的苦痛を増大させ、それが自殺増加の一因となっている可能性が高いと推測している。

質の低い睡眠は脳の老化を早める

 質の低い睡眠は脳の老化を加速させ、その一部は全身の炎症を介して引き起こされている可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。睡眠の質を5段階で評価するスコアが低い人ほど脳の老化が早いことが示されたという。カロリンスカ研究所(スウェーデン)の神経生物学、ケア科学、社会学分野のAbigail Dove氏らによるこの研究結果は、「eBioMedicine」に9月30日掲載された。  Dove氏は、「健康的な睡眠スコアが1点低下するごとに、脳年齢と実年齢の差は約6カ月拡大した。睡眠不足の人の脳は、脳年齢が実年齢より平均で1歳進んでいるようだ」と同研究所のニュースリリースの中で述べている。

45〜49歳の成人において局所限局期大腸がんの罹患率が上昇

 45〜49歳の成人において、局所限局期の大腸がん(CRC)の罹患率が2019年から2022年にかけて上昇し、CRCスクリーニング検査の受診率も2019年から2023年にかけて上昇したことを示す2報の研究結果が、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に8月4日掲載された。  米国がん協会(ACS)のElizabeth J. Schafer氏らは、55歳未満の成人(合計21万9,373人)におけるCRC罹患率の傾向を検討した。解析の結果、20〜39歳のCRC罹患率は、2004年以降一貫して年率1.6%で上昇し、40〜44歳および50〜54歳では、2012年以降年率2.0%~2.6%で上昇していた。45〜49歳では、2004〜2019年は年率1.1%増であったが、2019〜2022年は年率12.0%増に加速していた。この急増は局所限局期での診断の増加が主因であり、その罹患率は2019年が10万人当たり9.4人、2021年には11.7人、2022年には17.5人へと増加した。

シフト勤務は腎結石のリスク増加と関連

 シフト勤務で働く人は、腎結石の発症リスクが高いようだ。新たな研究で、シフト勤務者では、非シフト勤務者と比較して腎結石の発症リスクが15~22%高く、この傾向は、特に50歳未満の人や肉体労働をほとんどあるいは全くしない人で顕著なことが示された。中国中山大学の疫学者であるYin Yang氏らによるこの研究の詳細は、「Mayo Clinic Proceedings」10月号に掲載された。  Yang氏らは、「この研究結果は、シフト勤務が腎結石発症のリスク因子として考慮されるべきであることを示唆するとともに、シフト勤務者の間で腎結石の発症予防を目的とした健康的なライフスタイルを推進する必要性を強調するものだ」と結論付けている。

歯みがきで命を守る?手術2週間前の口腔ケアが肺炎予防に効果

 高齢患者や基礎疾患を持つ患者においては、術後肺炎をはじめとする感染症対策が周術期管理上の大きな課題となる。今回、愛媛大学医学部附属病院の大規模後ろ向き解析で、術前2週間以上前からの体系的な口腔ケアが術後肺炎の発症抑制および入院期間短縮に有効であることが示された。研究は愛媛大学医学部附属病院総合診療サポートセンターの古田久美子氏、廣岡昌史氏らによるもので、詳細は9月3日付けで「PLOS One」に掲載された。  近年、周術期管理や麻酔技術の進歩により、高齢者や重篤な基礎疾患を持つ患者でも侵襲的手術が可能となった。その一方で、合併症管理や入院期間の短縮は依然として課題である。術後合併症の中でも肺炎は死亡率や医療費増大と関連し、特に重要視される。口腔ケアは臨床で広く行われ、病原菌抑制を通じて全身感染症の予防にも有効とされる。しかし、既存研究は対象集団が限られ、最適な開始時期は明確でない。このような背景を踏まえ、著者らは術前口腔ケアについて、感染源除去や細菌管理、歯の脱落防止のために少なくとも2週間の実施が必要であると仮説を立てた。そして、手術2週間以上前からの口腔ケアが術後肺炎予防に有効かを検証した。

MSSA菌血症、セファゾリンvs.クロキサシリン/Lancet

 メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)菌血症の治療において、セファゾリンはクロキサシリンと比較して有効性は非劣性で、忍容性は良好であることが示された。フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のCharles Burdet氏らが、大学病院を含むフランスの21施設で実施した無作為化非盲検非劣性試験「CloCeBa試験」の結果を報告した。セファゾリンは広く使用されているものの、MSSA菌血症の治療における有効性はこれまで臨床試験で検討されたことはなかった。結果を踏まえて著者は、「MSSA菌血症の治療において、セファゾリンはクロキサシリンの代替薬となりうる」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年10月17日号掲載の報告。