日本語でわかる最新の海外医学論文|page:318

4回目接種後、高齢者の入院予防効果はどれだけ上がるか/BMJ

 中等症~重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの有効性は、3回目接種後に経時的に低下したが、4回目接種が推奨されたほとんどのサブグループで追加ブースター接種により改善することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のJill M. Ferdinands氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究で示された。COVID-19のBNT162b2(ファイザー製)/mRNA-1273(モデルナ製)ワクチンは、有効性が経時的に低下し追加接種で上昇することが臨床研究で示唆されているが、この傾向が年齢、免疫不全状態、ワクチンの種類や接種回数でどのように変化するかは不明であった。

1型DMの血糖管理、間歇スキャン式持続血糖測定vs.SMBG/NEJM

 糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できる間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)の使用は、フィンガースティック(指先穿刺)血糖測定による血糖モニタリングと比較して、HbA1c値の有意な低下に結び付くことを、英国・Manchester Academic Health Science CentreのLalantha Leelarathna氏らが同国で実施した多施設共同無作為化非盲検比較試験「FLASH-UK試験」の結果、報告した。持続血糖モニタリングシステム(間歇スキャン式またはリアルタイム)の開発により、フィンガースティック検査なしでの血糖モニタリングが可能となったが、HbA1c値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できるisCGMの有益性は不明であった。NEJM誌オンライン版2022年10月5日号掲載の報告。  研究グループは、16歳以上、罹患期間1年以上で、持続皮下インスリン注入療法またはインスリン頻回注射を行ってもHbA1c値が7.5~11.0%の1型糖尿病患者156例を、isCGM群(78例)とフィンガースティック検査による自己血糖モニタリング(対照)群(78例)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。isCGMは、FreeStyle Libre 2(Abbott Diabetes Care製)を用いた。

塩野義のコロナ治療薬、発症予防検証の第III相試験を12月に開始

 塩野義製薬は、10月11日に行われたR&D Day 2022にて、同社が開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)経口治療薬ensitrelvir(S-217622)について、症状の発生抑制効果を検証するため、SARS-CoV-2感染症患者(初発患者)の同居家族を対象とした第III相臨床試験(SCORPIO-PEP試験)を、日本と米国などで2022年12月より開始する予定であることを発表した。また、6~12歳未満の軽症・中等症を対象とした日本での第III相試験や、入院患者を対象とした米国、欧州などでの第III相試験を、ともに2022年11月から実施することなども明らかにした。

がん治療による放射線関連心疾患、弁膜症を来しやすい患者の特徴/日本腫瘍循環器学会

 9月17、18日に開催された第5回日本腫瘍循環器学会にて、塩山 渉氏(滋賀医科大学循環器内科)が「放射線治療による冠動脈疾患、弁膜症」と題し、放射線治療後に生じる特異的な弁膜症とその治療での推奨事項について講演した(本シンポジウムは日本放射線腫瘍学会との共催企画)。  がんの放射線治療による放射線関連心疾患(RIHD:radiation-induced heart disease)の頻度は医学の進歩により減少傾向にあるが、それでもなお、食道がんや肺がん、縦隔腫瘍でのRIHD発症には注意を要する。2013年にNEJM誌に掲載された論文1)によると、照射から20年以上経過してもなお、主要心血管イベントリスクが8.2%(95%信頼区間:0.4~26.6)も残っていたという衝撃的な報告がなされた。それ以来、RIHDは注目されるようになり、その1つに弁膜症が存在する。

片頭痛患者のスマホ使用が痛みの強さや治療に及ぼす影響~多施設横断比較研究

 スマートフォンユーザーは、世界中で飛躍的に増加している。スマートフォン使用中または使用後にみられる症状として、頭痛、睡眠障害、物忘れ、めまい、その他の疾患などが挙げられる。また、片頭痛は身体的衰弱を伴う疾患であり、身体障害の原因として世界で2番目に多い疾患といわれている。パキスタン・Jinnah Medical and Dental CollegeのMehwish Butt氏らは、スマートフォンの使い過ぎが片頭痛患者の障害レベル、痛みの強さ、睡眠の質、全体的なQOLにどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、本研究を実施した。その結果、スマートフォンの使い過ぎは、片頭痛患者の痛みを増強させ、薬物治療効果を減弱させる可能性が確認された。このことから著者らは、片頭痛患者は症状悪化を避けるために、スマートフォンの使用を制御することが推奨されるとしている。Brain and Behavior誌オンライン版2022年9月20日号の報告。

下肢PADへのテルミサルタン、6分間歩行距離の改善なし/JAMA

 下肢末梢動脈疾患(PAD)の患者において、テルミサルタンはプラセボと比較してフォローアップ6ヵ月時点の6分間歩行距離を改善しなかった。トレッドミル上の最大歩行距離やSF-36身体機能スコアなども改善はみられなかった。米国・ノースウェスタン大学のMary M. McDermott氏らが、114例の患者を対象に行った2×2要因デザインによるプラセボ対象無作為化二重盲検試験の結果で、著者は、「今回示された結果は、PAD患者の6分間歩行距離改善についてテルミサルタンを支持しないものであった」と述べている。PAD患者は下肢の血流が減少し下肢骨格機能が障害されて、歩行能力が低下する。ARBのテルミサルタンは、これら一連の症状を改善する特性を有していた。JAMA誌2022年10月4日号掲載の報告。

日本の消化器外科の手術アウトカム、男女医師で差は?/BMJ

 日本の消化器外科医による手術アウトカムの補正後リスク差について、執刀医の男女差は認められない。日本バプテスト病院外科副部長・京都大学大学院医学研究科の大越香江氏らが、日本の手術症例データベースNational Clinical Database(NCD)等を基に後ろ向きコホート試験を行い、幽門側胃切除術、胃全摘術、直腸低位前方切除術の短期アウトカムを調べた結果を報告した。女性消化器外科医は男性消化器外科医と比べて、医籍登録後の年数が短く、リスクがより高い患者を引き受け、腹腔鏡手術の回数は少ないという不利な条件ながらも、手術死亡率やClavien-Dindo分類≧3合併症率について有意差はなかったという。結果を踏まえて著者は「日本では、女性医師が手術トレーニングを受けるために、より多くの機会が保証されている」と述べ、「女性外科医のためのより適切で効果的な手術トレーニングを整備すれば、手術アウトカムはさらに改善する可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年9月28日号掲載の報告。

MET増幅のあるオシメルチニブ耐性肺がんに対するテポチニブ+オシメルチニブ(INSIGHT 2)/ESMO2022

 オシメルチニブの1次治療耐性でMET増幅を呈する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、オシメルチニブとMET-TKIであるテポチニブとの併用による有効性が示された。   MET増幅はオシメルチニブ耐性NSCLCの15〜30%を占める。化学療法しか選択肢がない。大きな臨床的ニーズがある。テポチニブはMET増幅によるオシメルチニブ耐性NSCLCにおいてTKIとの併用で効果を示すという報告がある。

統合失調症患者におけるMetS発症の3年リスクと予測因子~FACE-SZコホート研究

 メタボリックシンドローム(MetS)は欧米諸国において主要な健康問題であり、なかでも統合失調症患者は、ライフスタイル、精神疾患、治療因子の観点から、とくに脆弱な集団であると考えられる。しかし、予防の指針となるプロスペクティブデータは不十分である。フランス・Universite Paris-Est CreteilのO. Godin氏らは、統合失調症におけるMetSの発症率およびその予測因子を特定するため検討を行い、統合失調症患者におけるMetSの予防および研究をより優先する必要があると報告している。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2022年9月17日号の報告。  フランス全国レベルの専門センター10施設より対象を募集し、3年間のフォローアップ調査を行った。MetSの定義は、国際糖尿病連合の基準に従った。消耗バイアスの補正には、逆確率重み付け法を用いた。

新型コロナワクチン未接種者の特徴とは?

 世界中で新型コロナワクチンの接種やブースター接種が進められる中、まだ1度もワクチンを接種していないワクチン未接種者が存在する。これらの人々には共通の特性があるのだろうか。スコットランドにおいて未接種者の特性を調べたPublic Health Scotland所属のSafraj Shahul Hameed氏らによる研究結果がLancet誌2022年9月24日号 CORRESPONDENCEに掲載された。  2022年8月10日までに、スコットランドに住む約440万人の成人のうち、349万7,208人がCOVID-19ワクチンの3回接種を完了している。Hameed氏らは、2019年1月1日以降にスコットランドの国民保健サービス(NHS)と少なくとも1回のやりとりがあった、ワクチン接種記録がない人を未接種者と定義した。  ワクチン接種対象者として記録された471万2,810例のうち、84万2,029例(17.9%)に接種の記録がなかった。このうち8万6,489例(10.3%)に免疫性の禁忌、接種の同意が得られない、体調不良、患者による接種拒否など、未接種の理由が記録されていた。記録された理由の約5分の1が免疫性の禁忌だった。

妊娠糖尿病、リスク因子の適切な修正で2型DM発症回避か/BMJ

 研究グループは、妊娠糖尿病の既往がある女性において、5つの修正可能なリスク因子と2型糖尿病リスクとの個別および複合的な関連の評価を目的に、前向きコホート研究を実施した(米国・ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所の助成を受けた)。  対象は、米国のNurses’ Health Study II(NHS II)の参加者のうち、妊娠糖尿病の既往歴があり、体重と生活様式関連因子の反復的な評価が行われ、1991~2009年の期間にフォローアップを受けた女性であった。  2型糖尿病の修正可能な5つのリスク因子について評価が行われた。(1)過体重・肥満でない(BMI<25.0)、(2)質の高い食事(修正代替健康食指数の上位5分の2)、(3)定期的な運動(150分/週以上の中強度の運動または75分/週以上の高強度の運動)、(4)適度なアルコール摂取(5.0~14.9g/日)、(5)非喫煙。  2型糖尿病の遺伝的感受性は、2型糖尿病と関連する59の一塩基多型に基づく遺伝的リスクスコアで評価された。

心房細動の検出率、AIアルゴリズムガイド導入で改善/Lancet

 未知の心房細動の検出において、着用型の連続自由行動下心拍モニタを用いた人工知能(AI)アルゴリズムガイド下標的スクリーニング法は、検出率を向上させ、スクリーニングの有効性を改善する可能性があることが、米国・メイヨークリニックのPeter A. Noseworthy氏らが実施した「BEAGLE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年9月27日号で報告された。  BEAGLE試験は、これまで認識されていなかった心房細動を特定するための、AIアルゴリズムガイド下標的スクリーニング法の有効性の評価を目的とする実践的な非無作為化介入試験であり、2020年11月~2021年11月の期間に参加者の登録が行われた(Mayo Clinic Robert D and Patricia E Kern Center for the Science of Health Care Deliveryの助成を受けた)。

高齢者におけるポリピル(スタチン、ACE阻害薬、アスピリン)の使用が通常処方よりも心筋梗塞後の患者の予後を改善する(解説:石川讓治氏)

高齢者においては、年齢と共にポリファーマシーが増加し、薬物有害事象や転倒のリスクが増加するだけではなく、認知機能や生活の質の低下、独居などが誘因となり、服薬アドヒアランスが低下することも問題になっている。服薬アドヒアランスの低下した患者においては、処方の単純化、合剤による服薬数の減少などが有効であるとされており、家族や訪問介護者などを介し服薬アドヒアランスを改善させることが可能になるとされている。

高齢乳がんサバイバー、CRP高値が認知機能障害に関連/JCO

 高齢の乳がんサバイバーと非がん対照者のC反応性蛋白(CRP)値とその後の認知機能を調査した大規模前向き全国コホート研究の結果、サバイバーは対照群と比べて長期にわたりCRPが高く、CRPが高かったサバイバーは認知機能障害を発症する可能性が高かった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJudith E. Carroll氏らが、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年9月30日号で報告した。

KRAS G12C大腸がん、adagrasib±セツキシマブ(KRYSTAL-1)/ESMO2022

 既治療のKRAS G12C変異を有する進行大腸がんに対して、KRAS阻害薬adagrasib単剤または同剤とセツキシマブとの併用による有用性が認められた。多コホート第Ib/II相試験KRYSTAL-1試験のアップデート解析(2022年6月16日時点)の結果として、米国・Massachusetts General Cancer CenterのSamuel Klempner氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。 ・対象:KRAS G12C変異を有する既治療の進行大腸がん患者 ・単剤群(第II相試験):adagrasib (600mg、1日2回)単剤投与(44例) ・併用群(第Ib相試験):adagrasib (600mg、1日2回)とセツキシマブの併用(32例) ・評価項目: [主要評価項目]第Ib相試験:安全性など、第II相試験:奏効率(ORR) [副次評価項目]第Ib相試験:ORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、第II相試験:安全性、DoR、PFS、OS  主な結果は以下のとおり。

BA.5の中和抗体高いのは?未感染の3回接種者vs.感染後の2回接種者/感染研

 国立感染症研究所の9月27日の発表によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチン接種や感染による抗体保有者について、各種変異株に対する中和試験を行った結果、未感染のワクチン3回接種者は、感染後にワクチンを2回接種し、接種から半年程度経過したハイブリッド免疫を持つ者よりも、優れた中和能を有することなどが明らかになったという。  本調査では、2021年12月~2022年2月に実施された「第三回および第四回新型コロナウイルス感染症に対する抗体保有率調査」に参加した1万6,296例から、ワクチン未接種の感染者(38例、0.2%)、感染後にワクチンを2回接種した者(146例、0.9%)、感染歴のない2回ワクチン接種者(1万2,019例、73.8%)、感染歴のない3回ワクチン接種者(1,255例、7.7%)が同定された。

手引き改訂で診断基準に変化、テストステロン補充療法/日本メンズヘルス医学会

 『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き2022』が15年ぶりに改訂されるにあたり、9月17、18日にオンライン開催された第22回日本メンズヘルス医学会において、シンポジウム「LOHセッション」が開催された。本稿では検査値の改訂ポイントについて、伊藤 直樹氏(NTT東日本札幌病院泌尿器科 部長/外科診療部長)の発表内容からお伝えする(共催:株式会社コスミックコーポレーション)。  LOH症候群とは、“加齢あるいはストレスに伴うテストステロン値の低下による症候群”である。加齢に起因すると考えられる症状として大きく3つの項目があり、1)性腺機能症状(早期勃起の低下、性欲[リビドー]の低下、勃起障害など)、2)精神症状(うつ傾向、記憶力、集中力の低下、倦怠感・疲労感など)、3)身体症状(筋力の低下、骨塩量の減少、体脂肪の増加など)が挙げられる。

乾癬患者へのアプレミラスト、血管炎症、心臓代謝との関連は?

 海外ではすでに広く使用されている経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬アプレミラストについて、血管炎症および心臓代謝機能との関連を評価した米国・ペンシルベニア大学医学大学院のJoel M. Gelfand氏らによる第IV相非盲検非無作為化試験の結果が示された。  乾癬は代謝疾患および心血管疾患と関連する炎症性の疾患であり、アプレミラストによる治療では体重減少を引き起こす可能性が知られている。今回の検討で、大動脈血管炎症との関連性は中立的であること、心血管代謝バイオマーカーのサブセットと可変ではあるが概して有益な関連性があること、内臓脂肪・皮下脂肪の減少と関連することが示され、結果を踏まえて著者は、「アプレミラストは心血管代謝疾患および乾癬を有する患者に対して、全体としてベネフィットをもたらす可能性があることが示唆された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年9月21日号掲載の報告。

小児および青年期における抗精神病薬誘発性のプロラクチン変化~メタ解析

 抗精神病薬誘発性のプロラクチン変化は、思春期患者の成長や発達に対し重大な有害反応(AR)を引き起こす可能性がある。デンマーク・Mental Health ServicesのSabrina Meyer Kroigaard氏らは、小児や青年において、抗精神病薬がプロラクチンレベルに及ぼす影響と関連する身体的ARを評価するため本検討を行った。その結果、小児および青年における抗精神病薬誘発性のプロラクチン変化は、リスペリドン、パリペリドン、オランザピンで有意に上昇し、アリピプラゾールで有意に減少することが示唆された。しかし、プロラクチンレベルの有意な変化があるにもかかわらず、ARの報告はほとんどないことも明らかとなった。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌2022年9月号の報告。  18歳以下の小児および青年を対象とした抗精神病薬のプラセボ対照ランダム化試験を、PubMed、CENTRALよりシステマティックに検索し、プロラクチンレベルおよび関連するARを評価するため、ランダム効果メタ解析を実施した。バイアスリスクは、risk of bias version 2(ROB2)を用いて評価した。

免疫抑制患者、ブースター接種50日以降に入院・死亡リスク増/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株とオミクロン変異株が優勢であった時期に、ワクチンの初回および追加接種を受けた集団では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院や死亡の発生率が低く、複数回接種により重症COVID-19関連疾患の予防効果がもたらされた可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJ. Daniel Kelly氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年9月26日号で報告された。