日本語でわかる最新の海外医学論文|page:244

早期中絶後のRh検査、免疫グロブリン投与の必要性/JAMA

 妊娠第1期の人工妊娠中絶はRh感作のリスクではなく、妊娠12週より前の人工妊娠中絶後のケアとして、Rh検査および免疫グロブリンの投与は不要であることが、米国・ペンシルベニア州立大学のSarah Horvath氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年9月26日号で報告された。  本研究は、妊娠12週0日以前に人工妊娠中絶(薬剤、手術)を受けた女性506例の中絶前後の血液サンプルを用いて、胎児性赤血球(fRBC)が検出されるかを検証する米国の多施設共同前向きコホート研究である(米国・Society of Family Planning Research Fundの助成を受けた)。

早期静脈栄養なしのICU患者、厳格な血糖コントロールは有用か?/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、非制限的で寛容な血糖コントロールと比較して厳格な血糖コントロールは、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさないことが、ベルギー・ルーベン・カトリック大学病院のJan Gunst氏らが実施した「TGC-Fast試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号に掲載された。  TGC-Fast試験は、ベルギーの2つの大学病院と1つの地区病院の11のICUで実施された医師主導型の無作為化対照比較試験であり、2018年9月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(Research Foundation-Flandersなどの助成を受けた)。

肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。

北欧の臨床データベースは堅牢?(解説:後藤信哉氏)

本研究は、デンマークにおける15~49歳の約200万例の女性の約2,100万人年のデータである。観察期間内に、8,710例に退院時の診断として深部静脈血栓または肺塞栓症が起こっていた。症例を集めてバイアスを排除して、しっかり観察しようとの態度は学ぶべきである。観察データから仮説の検証は基本的にできない。本研究では、いわゆる避妊ピルとNSAIDsが深部静脈血栓または肺塞栓症に及ぼすインパクトの有無を調べようとしている。多数の交絡因子が寄与するので統計学的モデリングが必要になる。NSAIDsの使用が深部静脈血栓または肺塞栓症を増やすと報告しているが、モデリングの結果なので、あくまでも将来検証すべき仮説を提示したと理解する必要がある。とくに避妊ピルを用いている症例でのNSAIDsの使用が、深部静脈血栓または肺塞栓症の発症と関連しているかもしれない。観察研究は科学研究の第一歩であるが、今後さらなる研究が必須である。

レビー小体病のバイオマーカーとして期待される「脂肪酸結合タンパク質」

 高齢人口の世界的な増加は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などの認知症や運動機能障害といった、加齢に伴う疾患の増加につながる。これらの障害に関連するリスク因子の正確な予測は、早期診断や予防に非常に重要であり、バイオマーカーは疾患の診断やモニタリングにおいて重要な役割を担う。α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患では、特定のバイオマーカーが疾患の有無や進行を示す可能性がある。

アトピー性皮膚炎の成人・小児は炎症性腸疾患のリスク高

 アトピー性皮膚炎(AD)の小児および成人は、炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高く、そのリスクは年齢、AD重症度、IBDの種類によって異なることが、米国・ペンシルベニア大学医学大学院のZelma C. Chiesa Fuxench氏らによる住民ベースのコホート研究で明らかにされた。これまで、ADとIBDの関連に関するデータは一貫性がなく、ADまたはAD重症度と潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)リスクとの関連を個別に検討した研究はほとんどなかった。著者は、「今回示された所見は、ADとIBDの関連について新たな知見を提供するものである。臨床医は、とくにADと消化器症状が合併する可能性がある患者に対してADの全身治療を行う際に、これらのリスクに留意する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー、高用量rAAV9遺伝子療法後の死亡/NEJM

 米国・イェール大学のAngela Lek氏らは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の27歳の男性患者において、dSaCas9(Cas9ヌクレアーゼ活性を不活化した“死んだ[dead]”黄色ブドウ球菌Cas9)-VP64融合を含有する組み換えアデノ随伴ウイルス血清型9(rAAV9)による治療を行った。投与後、患者は軽度の心機能障害と心嚢液貯留を発症し、遺伝子導入治療後6日目に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と心停止を来し、その2日後に死亡した。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号で「短報」として報告された。

抗コリン負荷の増大が、心血管イベントのリスクと関連/BMJ

 急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者においては、抗コリン薬による抗コリン作用の総負荷(抗コリン負荷)が、最近増加した集団で急性心血管イベントのリスクが高く、負荷の増加の程度が大きいほどリスクがより高いことが、台湾・国立成功大学のWei-Ching Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年9月27日号に掲載された。  本研究は、台湾の全国的な健康保険研究データベースを用いた症例-症例-時間-対照研究(case-case-time-control[CCTC]study)であり、2011~18年に急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者31万7,446例を対象とした(台湾・国家科学技術委員会などの助成を受けた)。  CCTCは、適応症による交絡および潜在的なprotopathic bias(因果の逆転)の克服を目指した研究デザインであり、2つの自己対照分析(症例クロスオーバー分析と、将来の症例からなる対照クロスオーバー分析)で構成される。急性心血管イベントには、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、伝導障害、心血管死を含めた。

心房細動の脳卒中予防におけるDOACsの臨床開発試験は恣意的だった?(解説:後藤信哉氏)

心房細動になると左房内の血流がうっ滞して血栓ができ、能塞栓を増やすイメージがある。心房細動の脳卒中が重要とされた根拠はFramingham試験における長期間の観察例の脳卒中発症における心房細動のインパクトであった。血液がうっ滞して、左房内に血栓ができて、脳塞栓が起こることは演繹的には証明されていない。左房内血栓形成を阻害して脳塞栓を抗凝固薬が予防するのはイメージに過ぎない。本研究で用いられたエドキサバンを含む経口Xa阻害薬の有効性・安全性を検証する試験では対照群がPT-INR 2-3を標的としたワルファリンであった。

重度の精神疾患に対する入院リハビリテーションの有用性

 精神疾患や気分障害は、重度の機能障害、早期死亡リスク、社会的および経済的負担と関連している。イタリア・"G. D'Annunzio" UniversityのStefania Chiappini氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者と気分障害患者を対象に、イタリアの精神科入院施設で実施された心理社会的、心理的、リハビリテーション的な介入の有効性を評価した。その結果、重度の精神疾患患者に対する入院リハビリテーション介入は、効果的かつ有用である可能性が示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年8月30日号の報告。

コロナ罹患後症状の患者、ワクチン接種で症状軽減か?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種は、COVID-19の重篤化を予防する。しかし、COVID-19罹患後症状を有する患者に対するCOVID-19ワクチン接種が罹患後症状や免疫応答、ウイルスの残存に及ぼす影響は不明である。そこで、カナダ・Montreal Clinical Research InstituteのMaryam Nayyerabadi氏らの研究グループは、COVID-19罹患後症状を有する患者を対象にCOVID-19ワクチンの効果を検討し、COVID-19ワクチンは炎症性サイトカイン/ケモカインを減少させ、COVID-19罹患後症状を軽減したことを明らかにした。本研究結果は、International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2023年9月15日号に掲載された。

2cm以下の乳がん、センチネルリンパ節生検を省略可能か/JAMA Oncology

 センチネルリンパ節生検(SLNB)は早期乳がんの腋窩リンパ節転移を調べる標準的な方法だが、リンパ節検査のための腋窩手術は治療が目的ではないため、その必要性が問われる場合もある。今回、超音波検査でリンパ節転移の疑いのない腫瘍径2cm以下の乳がん患者における無作為化試験(SOUND試験)で、腋窩手術を受けなかった群の5年遠隔無病生存(DDFS)率がSLNBを受けた群に対して非劣性を示したことを、イタリア・Istituto di Ricovero e Cura a Carattere ScientificoのOreste Davide Gentilini氏らが報告した。JAMA Oncology誌オンライン版2023年9月21日号に掲載。

大手術後の炎症を阻害すると...(解説:後藤信哉氏)

コルヒチンは歴史の長い抗炎症薬である。LoDoCo(Low Dose Colchicine)試験にて冠動脈疾患の二次予防効果が証明されて、循環器内科領域に注目されることになった。多くの循環器疾患に炎症が関与する。各種のがん治療などの非心臓疾患の手術時の心房細動の発症予防効果の有無が本研究にて検証された。非心臓性手術後の心房細動と心筋梗塞の発症例では炎症マーカーの高値が報告されている。そこで、本研究では強力な抗炎症薬であるコルヒチンに、非心臓の大手術時の心房細動および心筋障害発症予防効果の有無がランダム化比較試験により検証された。

高血圧に対するアルドステロン合成酵素阻害薬Lorundrostatの効果(解説:石川讓治氏)

アルドステロンが高血圧性臓器障害に影響を与えていると考えられており、いくつかのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が、現在、臨床で使用可能である。lorundrostatはアルドステロン合成阻害をする降圧薬として開発されている。本研究において、2剤以上の降圧薬を用いても目標血圧レベルに達していない高血圧患者に対して、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatを投与し、その投与量、投与回数による降圧度および安全性を比較している。研究1では血漿レニン活性が低い患者、研究2では高い患者を選択して投与し、いずれの投与方法においてもlorundrostatはプラセボと比較して有意に血圧を低下させ、高カリウム血症は6例に認められたのみであった。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は治療抵抗性高血圧に使用されることが多く、治療抵抗性高血圧は、サイアザイド系利尿薬を含む3剤以上の降圧薬でも目標血圧に達しない高血圧と定義されている。本研究の対象には、3剤以上の降圧薬の内服者も含まれているが、サイアザイド系利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の内服者の割合に各群間でばらつきが認められた。今後は、lorundrostatにおける(1)治療抵抗性高血圧に対する効果、(2)ACEIやARBに対する相加効果、(3)サイアザイド系利尿薬との降圧効果の比較、(4)ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との比較など、今後、われわれが実臨床で使用していくためのデータの積み重ねが必要であると思われた。

実臨床における片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有用性~メタ解析

 片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。

モデルナのインフル・コロナ混合ワクチン、第I/II相で良好な結果

 米国・Moderna社は10月4日付のプレスリリースにて、同社で開発中のインフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する混合ワクチン「mRNA-1083」が、第I/II相臨床試験において良好な中間結果が得られたことを発表した。同ワクチンは、インフルエンザおよびCOVID-19に対して強い免疫原性を示し、反応原性および安全性プロファイルは、すでに認可されている単独ワクチンと比較して許容範囲内であった。本結果を受けて、mRNA-1083は第III相試験に進むことを決定した。  第I/II相臨床試験「NCT05827926試験」は観察者盲検無作為化試験で、混合ワクチンmRNA-1083と、50~64歳への標準用量のインフルエンザワクチン(Fluarix)、および65~79歳への強化インフルエンザワクチン(Fluzone HD)とを比較し、安全性と免疫原性を評価した。また両年齢層において、mRNA-1083と、2価の追加接種用COVID-19ワクチン(Spikevax)とも比較して評価した。

イラン産の新型コロナワクチン、有用性は?/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化全ウイルス粒子ワクチンBIV1-CovIran(イラン・Shifa-Pharmed Industrial Group製)の2回接種は、有効率が症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して50.2%、重症化に対して70.5%、重篤化に対して83.1%であり、忍容性も良好で安全性への懸念はないことを、イラン・テヘラン医科大学のMinoo Mohraz氏らが多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果で報告した。BIV1-CovIranは、第I相および第II相試験において、安全で免疫原性のあるワクチン候補であることが示されていたが、症候性感染や重症化/重篤化あるいはCOVID-19による死亡に対する有効性は、これまで評価されていなかった。BMJ誌2023年9月21日号掲載の報告。

医療従事者、職種ごとの自殺リスク/JAMA

 米国の非医療従事者と比較した医療従事者の自殺のリスクについて、正看護師、医療技術者、ヘルスケア支援従事者の同リスクが高いことを、米国・コロンビア大学のMark Olfson氏らがコホート研究の結果で報告した。歴史的に医師の自殺リスクは高かったが、この数十年で減少した可能性が指摘されていた。一方で、他の医療従事者の自殺リスクに関する情報は、依然として不足していた。今回の結果を踏まえて著者は、「米国の医療従事者のメンタルヘルスを守るため、新たな計画への取り組みが必要である」とまとめている。JAMA誌2023年9月26日号掲載の報告。

地域ぐるみでの食事を作る家族への減塩指導が食塩摂取量を減少させ血圧を低下させる(解説:石川讓治氏)

食塩の摂取過剰が高血圧の発症リスクであることが報告されており、日本高血圧治療ガイドライン2019においても食塩の摂取量を1日6g未満に減らすことが推奨されている。しかし、我が国の平均的な食塩摂取量はその2倍近くあり、減塩は思った以上に難しいことが多い。本研究は、中国の地域一般住民をベースにした介入研究で、家庭で調理を行う家族に対して、減塩に関する教育、高食塩食の健康に対する影響、食事中の食塩量、代用塩の使用、調理における減塩のコツなどのレクチャーを行った。また、食塩摂取量を7日間の食事かアプリを使って計算しモニターを行い、減塩用のスプーンまで配られている。さらには、様々なメディア(ポスター、ビデオ放送、スピーカーでの放送、冊子、マニュアルなど)を用いて、減塩の重要性を地域ぐるみで訴えている。本研究の介入には、コミュニティーにおいて減塩を推進する雰囲気を作り出すことの重要性が示されている。その結果、1年間にわたる介入によって、コントロール群と比較して、24時間蓄尿で測定された食塩摂取量が有意に減少し、血圧の低下も認められたことが報告された。

アントラサイクリン系薬剤による心機能障害をアトルバスタチンは抑制したがプラセボとの差はわずかであった(解説:原田和昌氏)

近年、Onco-cardiologyが注目されており、がん化学療法に伴う心毒性を抑制できる薬剤の探索が行われている。動物実験や小規模なランダム化比較試験では、アントラサイクリン系薬剤による左室駆出率(LVEF)低下に対する、アトルバスタチンの抑制作用が報告されていたが、乳がんを中心としたPREVENT試験では効果を示せなかった(ドキソルビシン換算の中央値、240mg/m2)。リンパ腫患者においてアトルバスタチン(40mg/日)の投与はプラセボと比較して、アントラサイクリン系薬剤に関連する心機能障害を有意に抑制し、心不全の発生には有意な差がないことが、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験であるSTOP-CA試験で示された(同、300mg/m2)。主要評価項目はLVEFが化学療法前後で絶対値において10%以上低下し、12ヵ月後に55%未満となった患者の割合で、プラセボ群22%対アトルバスタチン群9%であった(p=0.002)。しかし、群全体としてのEF低下幅はスタチン群4.1%で、プラセボ群5.4%との差は1.3%のみであった(p=0.029)。