脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:70

せん妄経験と退院後の認知症発症との関連

 高齢者の急性疾患におけるせん妄発症は、退院後の認知症発症と関連があるかについて、ブラジル・サンパウロ大学のFlavia Barreto Garcez氏らが調査を行った。Age and Ageing誌オンライン版2019年9月30日号の報告。  2010~16年に3次医療の大学病院老年病棟に連続的に入院した60歳以上の急性疾患高齢者を対象に調査を行った。包括基準は、入院時のベースライン認知機能に低下が認められず、退院後12ヵ月間の臨床的フォローアップを実施した患者とした。すべての患者について標準化された包括的な高齢者評価結果を含む入院データは、ローカルデータベースより収集した。事前の認知機能低下は、病歴、CDR、IQCODE-16に基づき特定した。せん妄の評価には、簡易版CAMを用い、退院後12ヵ月後の認知症発症は、医療記録のレビューに基づいて特定した。せん妄と退院後の認知症発症との関連は、競合リスク比例ハザードモデルを用いて評価した。

左冠動脈主幹部病変の5年転帰、PCI vs.CABG/NEJM

 解剖学的複雑度が低度~中等度の左冠動脈主幹部病変患者において、5年時点の全死因死亡・脳卒中・心筋梗塞の複合エンドポイントは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)で有意差は確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のGregg W. Stone氏らが、左冠動脈主幹部病変の患者を対象に、エベロリムス溶出ステントによるPCIのCABGに対する追跡期間3年での非劣性を検証した国際多施設共同非盲検無作為化試験「EXCEL試験」の、最終5年アウトカムを報告した。左冠動脈主幹部病変患者において、現代の薬剤溶出ステントを用いたPCI後の、CABGと比較した長期アウトカムは明らかにされてはいなかった。NEJM誌オンライン版2019年9月28日号掲載の報告。

NAFLD/NASH患者、リスク因子補正後のAMIや脳卒中リスクとの関連は?/BMJ

 欧州の大規模な4つのデータベースを用いた検討で、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断された成人は、年齢、性別、診療情報を適合したNAFLDを有さない成人と比較して、既知の心血管リスク因子補正後、急性心筋梗塞(AMI)や脳卒中の発生リスクに、わずかな増大は認められるが有意差はないことが明らかにされた。英国・GlaxoSmithKlineのMyriam Alexander氏らが計1,770万例を対象とした適合コホート試験の結果で、著者は「NAFLD診断成人の心血管リスク評価は重要だが、一般集団のそれと同様とすべきであろう」と述べている。NAFLDは、メタボリックシンドロームやその他のAMIや脳卒中のリスク因子との関連が認められている。AMIおよび脳卒中リスク増大との関連、および心血管疾患の代用マーカー(surrogate marker)との関連が示されているが、既知のリスク因子補正後の関連性について完全には確立されていなかった。BMJ誌2019年10月8日号掲載の報告。

小脳脳内出血、血腫除去vs.保存的治療/JAMA

 小脳の脳内出血(ICH)を呈した患者において、外科的治療としての血腫除去は保存的治療と比べて、機能的アウトカムを改善しないことが、ドイツ・エアランゲン・ニュルンベルク大学のJoji B. Kuramatsu氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。主要アウトカムとした3ヵ月時点の機能的アウトカムについて、有意差は示されなかった。結果を受けて著者は、「血腫容量で機能的アウトカムとの関連に違いがないかを明らかにする必要はある」と述べている。JAMA誌2019年10月8日号掲載の報告。

1ヵ月のDAPTとその後のP2Y12阻害薬によるSAPTが標準治療となるか?(解説:上田恭敬氏)-1122

合併症なく成功したPCI症例3,045症例を対象として、アスピリンとクロピドグレルによるDAPTを12ヵ月行う群(12ヵ月DAPT群:1,522症例)とDAPTを1ヵ月施行後にクロピドグレルによるSAPTに変更する群(1ヵ月DAPT群:1,523症例)に無作為に割り付けて、1年間の心臓死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、出血イベントの複合エンドポイントを主要エンドポイントとする、多施設オープンラベル無作為化比較試験であるSTOPDAPT-2試験の結果が報告された。

医師の認知症リスク~コホート研究

 より良い医療知識を多く有している医師は、認知症リスクが低いのではないだろうか。この疑問を明らかにするため、台湾・Chi-Mei Medical CenterのLi-Jung Ma氏らが検討を行った。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2019年8月19日号の報告。  医師2万9,388人、一般集団5万人、医師以外の医療従事者3万446人を含む、全国規模の人口ベース調査を実施した。2006~12年の病歴を追跡し、3群間および医師のサブグループ間で認知症有病率の比較を行った。

高リスク大動脈弁狭窄症、自己拡張型TAVR vs.バルーン拡張型/Lancet

 高齢の症候性重症大動脈弁狭窄症患者への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)では、早期の安全性および有効性に関して、自己拡張型TAVR(ACURATE neo)はバルーン拡張型TAVR(SAPIEN 3)に対する非劣性基準を満たさないことが、スイス・ベルン大学病院のJonas Lanz氏らが行ったSCOPE I試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月27日号に掲載された。症候性重症大動脈弁狭窄症の高齢患者にはTAVRが推奨されており、TAVRの特性の違いは臨床転帰に影響を及ぼすが、自己拡張型とバルーン拡張型のTAVRの比較はこれまで行われていなかったという。

日本における認知症の重症度と社会的介護コスト

 アルツハイマー病患者への直接的な社会的支援のコストは高まっており、高齢化に伴い、今後さらに増加し続けると予想される。藤田医科大学の武地 一氏らは、日本における長期介護保険でのアルツハイマー病に対する直接的な社会的支援のコストを推定するため、検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年9月2日号の報告。  本研究は、メモリークリニックを受診したアルツハイマー病患者または軽度認知障害患者169例に対し、長期にわたるフォローアップを行った横断的研究である。認知症の重症度、介護サービスの利用、コストについて分析を行った。

高リスクPCI施行患者の出血、チカグレロル単独vs.DAPT/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた出血・虚血イベントリスクの高い患者において、術後3ヵ月間チカグレロル+アスピリンの併用投与後、チカグレロル単剤投与への変更は併用投与継続の場合と比べて、死亡・心筋梗塞・脳卒中のリスクを上昇することなく臨床的に重大な出血リスクを有意に低下することが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のRoxana Mehran氏らが行ったプラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月26日号で発表された。これまでP2Y12阻害薬を早期に中断して抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の期間を最短とするアプローチについて、いくつかの試験が行われていたが、概して低リスクの患者が対象で虚血イベントに関する検出力が不足していた。研究グループは、アスピリン投与期間を短縮することで、とくに消化器毒性についてのアスピリンに関連した出血リスクを回避でき、P2Y12阻害薬の効力を長期に受けられる可能性があるとの仮説を立て検討を行った。

腎機能低下糖尿病患者にメトホルミンは使用可能か/JAMA

 腎機能が低下した2型糖尿病患者の薬物療法では、メトホルミンはSU薬に比べ、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクが低いことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのChristianne L. Roumie氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年9月24日号に掲載された。従来、安全性に関する懸念から、腎臓病を有する糖尿病患者ではメトホルミンの使用が制限されていたが、2016年4月、米国食品医薬品局(FDA)は軽症~中等症の腎臓病患者におけるメトホルミンの安全性のエビデンスに基づいてガイダンスを変更し、軽度腎機能障害(eGFR:45~60mL/分/1.73m2)および中等度腎機能障害の一部(30~45mL/分/1.73m2)では安全に使用可能としている。一方、腎機能が低下した糖尿病患者の臨床転帰に及ぼすメトホルミンの効果は明らかにされていないという。