内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:544

EMPA-REG OUTCOME試験:試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人 氏)-421

心血管イベントを主要アウトカムとするEMPA-REG OUTCOMEの試験結果が、2015年9月17日の欧州糖尿病学会(EASD2015、スウェーデン・ストックホルム)で発表され、New England Journal of Medicine誌のオンライン版に同時掲載された。日本国内で使用できる6種類のSGLT2阻害薬の中で、最も遅れて市場に登場したエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)の驚くべきデータであり、大きな話題を呼んでいる。

トランス脂肪酸の禁止で冠動脈疾患死2.6%回避/BMJ

 英国・ランカスター大学のKirk Allen氏らは、英国で食品へのトランス脂肪酸の使用を削減または禁止する方針を打ち出した場合の、健康や社会経済に与える影響や費用対効果について調べる疫学的モデル研究を行った。その結果、禁止とした場合、今後5年間の冠動脈疾患死を2.6%回避もしくは延期する可能性があることなどを報告した。BMJ誌オンライン版2015年9月15日号掲載の報告。

エンパグリフロジン、心血管死リスクを有意に低下/NEJM

 心血管ハイリスク2型糖尿病患者に対して、標準治療へのエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)の追加投与は、主要複合心血管系アウトカムおよび全死因死亡を低下したことが、カナダ・トロント大学のBernard Zinman氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。エンパグリフロジンは、新規クラスのナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害薬。これまで、心血管ハイリスク2型糖尿病患者への上乗せ治療効果については検討されていなかった。NEJM誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告。

冬の高齢者の血圧上昇、暖房の指導が有効

 冬季の心血管疾患による死亡率増加の原因の1つに、寒冷曝露によって引き起こされる血圧上昇がある。寒冷曝露を減らすよう、医師が家庭での暖房使用を指導することは実現可能な選択肢であるが、有効性は不明である。奈良県立医科大学の佐伯 圭吾氏らは、その有効性を調査するため、冬季にオープンラベル単純無作為化比較試験を実施した。その結果、暖房使用の指導により室内温度が有意に上昇し、高齢者の自由行動下血圧が有意に低下した。このことから、家庭の暖房に関する指導が冬季の心血管系疾患発症予防に短期的に有効であることが示唆された。Journal of hypertension誌オンライン版2015年9月12日号に掲載。

米国直近の糖尿病有病率は12.4%、1988年から増加傾向続く/JAMA

 米国の2011~12年の糖尿病有病率は12.4%であり、1988~94年の9.8%、2001~02年の10.8%から増加傾向が続いていることが明らかになった。同様の傾向は、男女別にみても、また年齢別や人種別にみた場合も認められたという。米国疾病予防管理センター(CDC)のAndy Menke氏らが、米国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータを基に調べ報告した。JAMA誌2015年9月8日号掲載の報告。

PRIMIT試験:インターネットによる手洗いの奨励がもたらす効果(解説:小金丸 博 氏)-418

インフルエンザなどの気道感染症の感染経路は、飛沫感染と接触感染が主であると考えられている。接触による感染の伝播防止には手洗いが有効であり、新型インフルエンザA(H1N1)のパンデミック期には、世界保健機関(WHO)は手洗いを推奨した。手洗いの教育がもたらす感染予防効果について、小児を対象とした質の高い研究があるものの、非貧困地域における成人を対象とした質の高い研究は、今まで存在しなかった。

浴槽内アルコール関連死の疫学

 浴槽内での死亡は、50歳以上の習慣的に飲酒をする人、とくにアルコール関連の胃腸疾患を持つ人で多いことが、東京都監察医務院の鈴木 秀人氏らによる研究で明らかになった。浴槽内での死亡を減少させるためには、これらの人々をターゲットに予防戦略を立てるべきであると考えられる。日本アルコール・薬物医学会雑誌2015年4月号の報告。

好評!肺音(呼吸音)研究会、肺聴診セミナー今年も開催

 2015年10月17日、第40回肺音(呼吸音)研究会および第5回肺聴診セミナーが東京のJA共済ビルで開催される。フィジカル・アセスメントの重要性が再認識されている今、若手医師をはじめとした医療従事者に人気のこのイベントについて、同研究会当番幹事およびセミナー講習会長を努める福島県立医科大学 呼吸器内科 教授 棟方充氏に聞いた。

プライマリケアでの肺塞栓症診断予測、Wells基準が有用/BMJ

 プライマリケアで容易に適用できる肺塞栓症の診断予測モデルは5つあり、的中率はいずれも類似しているが、偽陰性率が低いという点でWells基準のモデルパフォーマンスが最良であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJanneke M T Hendriksen氏らが、システマティックレビューとプライマリケア設定での妥当性確認調査を行い明らかにした。プライマリケアでは、Wellsスコア4以下でDダイマー検査陰性であれば約10人に4人の割合で、安全に肺塞栓症を除外できる。ほかにも肺塞栓症の診断予測モデルは開発されているが、2次医療で検証されたもので、プライマリケアでの臨床能は不明であった。BMJ誌オンライン版2015年9月8日号掲載の報告より。

女性はSU薬による低血糖リスクが高い

 女性は男性よりもスルホニル尿素(SU)薬による低血糖リスクが高いことが、熊本大学の梶原 彩文氏らの研究により明らかになった。これは、SU薬による低血糖の潜在的なリスク因子として女性に焦点を当てて検討した初めての報告である。著者らは、本知見について「女性の低血糖リスクだけでなく、心血管疾患および認知症リスク、死亡率増加リスクなどを低下させるためにも、患者一人ひとりに合った治療を行うことが重要であるとの考えを支持するもの」としている。Clinical drug investigation誌オンライン版2015年9月号の掲載報告。