内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:543

治療抵抗性高血圧、スピロノラクトン追加が有効/Lancet

 スピロノラクトン(商品名:アルダクトンAほか)は、通常の降圧治療を受けている治療抵抗性高血圧患者への追加薬剤として高い効果を発揮することが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのBryan Williams氏らが実施したPATHWAY-2試験で確認された。国際的なガイドラインでは、3つの推奨降圧薬(ACE阻害薬/ARB、カルシウム拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)の最大耐用量による治療でも、目標血圧でコントロールができない場合を治療抵抗性高血圧と定義している。スピロノラクトンは治療抵抗性高血圧に有効であることが、メタ解析で示唆されているが、既存のエビデンスの質は低いとされ、他の降圧薬と比較した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2015年9月20日号掲載の報告。

片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関

 片頭痛は心血管疾患、とくに脂質異常症のリスク増加と関連していることが報告されているが、これまで片頭痛の重症度と血清脂質との関係を調べた研究はなかった。イタリア・G.D'Annunzio UniversityのClaudio Tana氏らは、小規模な後ろ向き研究において、総コレステロールおよびLDL-コレステロール値が、片頭痛の頻度および強度と有意な正の関連があることを明らかにした。また、片頭痛予防薬による治療後に、これら血清脂質値が有意に減少していることを初めて明らかにした。著者は「本研究は予備的研究であり、今後は前向き比較試験によって確認されなければならない」とまとめている。Pain Practice誌2015年9月号(オンライン版2014年7月10日号)の掲載報告。

中高年高血圧症例では足関節上腕血圧比測定を考慮する必要はあるか?(解説:冨山 博史 氏)-429

本研究は、英国において1990年から2013年までプライマリケアで電子媒体に登録された、30~90歳の成人422万例の医療記録データを、前向き研究(平均観察期間7年)として解析した。前向き研究開始時に、末梢動脈疾患(PAD)非合併例は420万4,190例であり、PAD合併例は1万8,296例であった。前者では、経過中に4万4,239例(1.1%)でPADを発症し、収縮期血圧20mmHg上昇に伴い、PAD発症リスクは63%高まることが示された。

携帯メッセージでの生活習慣支援、LDL-C値改善に有効/JAMA

 冠動脈疾患患者に対し、携帯電話を活用した生活習慣に焦点を合わせたテキストメッセージサービス介入で、大半のLDL-C値が改善し、その他の心血管疾患リスク因子も大きく改善したことが報告された。オーストラリア・シドニー大学のClara K. Chow氏らが通常ケア介入と比較した無作為化試験Tobacco, Exercise and Diet Messages(TEXT ME)の結果、報告した。ただし、示された結果について著者は、「改善効果の期間や、臨床的アウトカムに結び付くのかどうかはなお不明である」と述べ、さらなる検討の必要性を指摘している。JAMA誌2015年9月22/29日号掲載の報告より。

甘くみていませんか、RSウイルス感染症

 10月1日、都内においてアッヴィ合同会社は、RSウイルス感染症に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、小保内 俊雅氏(多摩北部医療センター 小児科部長)が「秋から冬に流行る呼吸器感染症 侮れないRSウイルス~突然死を含む重症例の観点から~」と題し、最新のRSウイルス感染症の動向や臨床知見と小児の突然死を絡め、解説が行われた。

脳出血再発抑制に降圧は有効。それでもRCTは必要(解説:石上 友章 氏)-425

マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らは、脳出血のサバイバー(90日以上生存者)を対象にして、その再発抑制に関する降圧治療の影響を調べて報告した。その結果、『降圧治療』および『血圧管理の質』が、脳葉型(lobular type)脳出血、非脳葉型(non-lobular type)脳出血のいずれのタイプの脳出血においても、再発抑制に有効であることが明らかになった。『血圧管理の質』については、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による脳出血の2次予防の推奨血圧(非糖尿病者:SBP<140mmHg、DBP<90mmHg、糖尿病者:SBP<130mmHg、DBP<80mmHg)を基準にして、二項変数として「適切」、「不十分」とした。

青年期の運動能力・筋力が高い人は血管疾患リスクが低い/BMJ

 青年期に運動能力や筋力が高い人は、いずれも低い人と比べて、血管疾患や不整脈に関する長期リスクが低いことが示された。ただし運動能力と不整脈リスクについての関連はU字型の相関がみられ、運動能力が高く血管疾患リスクが低くてもその健康ベネフィットが、不整脈リスクを上回ることはなかったという。スウェーデン・ウプサラ大学のKasper Andersen氏らが、同国1,100万人の青年について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年9月16日号掲載の報告。

EMPA-REG OUTCOME試験:SGLT2阻害薬はこれまでの糖尿病治療薬と何が違うのか?(解説:小川 大輔 氏)-423

2015年9月14日から、ストックホルムで開催された欧州糖尿病学会(EASD)に参加した。今大会でEMPA-REG OUTCOME試験の結果が発表されるとあって、世界中から集まった糖尿病の臨床医や研究者の注目を集めていた。私も当日、発表会場に足を運んだが、超満員でスクリーンの文字がよく見えない位置に座るしかなかった。しかし、EMPA-REG OUTCOME試験の結果は同日論文に掲載されたため、内容を確認することができた。

EMPA-REG OUTCOME試験:リンゴのもたらした福音(解説:住谷 哲 氏)-422

リンゴを手に取ったために、アダムとイブは楽園から追放された。ニュートンは、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見した。どうやら、リンゴは人類にとって大きな変化をもたらす契機であるらしい。今回報告されたEMPA-REG OUTCOME試験の結果も、現行の2型糖尿病薬物療法に変革をもたらすだろう。