内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:453

急激な空腹時血糖の増加、心血管リスク高い~吹田研究

 心血管疾患(CVD)発生率との関連において、空腹時血糖(FPG)の変動を検討した研究はこれまでほとんどなかった。今回、国立循環器病研究センター/藤田医科大学の尾形 宗士郎氏らは、吹田研究でCVD発生とFPGの変動によるサブグループを評価した。本研究の結果から、著者らは「FPGが急激に増加した人は、CVD予防のために危険因子の管理が重要かもしれない」としている。Journal of the American Heart Association誌2019年2月5日号に掲載。

アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験

 アルコール依存症と診断された高飲酒リスクレベル(DRL:drinking risk level)の成人患者(男性:DRL60g/日超、女性:DRL40g/日超)における減酒に対するナルメフェンの有効性および安全性を評価するため、フランス・ボルドー大学のPhilippe Castera氏らが、12週間のオープンラベルプライマリケア研究を実施した。European Addiction Research誌2019年1月号の報告。  患者は、スクリーニング来院後、毎日の飲酒量を2週間記録した。その後、患者の自己申告飲酒レベルをもとに分類を行った。2週間のうち、高DRLのままであった患者はコホートA、高DRLを下回る減酒が認められた患者はコホートBに含まれた。コホートAでは、シンプルな心理社会的介入を行い、飲酒リスクを感じた日にナルメフェン18mgを服用した。コホートBでは、シンプルな心理社会的介入を行い、通常診療に従って治療を実施した。

降圧目標120mmHg未満でも認知症リスクは低下せず/JAMA

 50歳以上の高血圧患者に対し、収縮期血圧の目標値を120mmHg未満として降圧治療を行っても、140mmHgを目標とする通常の降圧治療と比べて、認知症リスクの有意な低下は認められなかったことが示された。一方で、軽度認知障害のリスクは有意な低下が認められたという。米国・ウェイクフォレスト大学のJeff D. Williamson氏ら「SPRINT試験・SPRINT MIND」研究グループが、9,000例超を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、JAMA誌2019年1月28日号で発表した。ただし結果について、「試験が早期に中止となり、認知症例も予想より少なく、エンドポイントの検出力は不足している可能性がある」と指摘している。現状では、軽度認知障害や認知症のリスクを低減する実証された治療法は存在しておらず、今回研究グループは、血圧コントロールの強化が認知症リスクに与える影響を検討した。

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。

若年者の運動時高血圧、高血圧発症を予測か【Dr.河田pick up】

 若年者での運動負荷試験を施行中、極度な高血圧が観察されることは珍しくない。また、アスリートは運動能力が高いため、ピーク時に血圧が上昇することが多い。この運動中の高血圧がどのような意味をもつのかはわかっておらず、どのようなフォローが必要なのかも疑問である。イタリア・ローマのStefano Caselli氏らヨーロッパのグループが、この問題についてEuropean Heart Journal誌オンライン版1月1日号に報告している。

アスピリンの1次予防は、メリットより出血リスクのほうが大きい(解説:桑島巖氏)-1002

被検者数1,000例以上のシステマティックレビューとメタ解析の結果、1次予防薬としてのアスピリンの出血リスクは心血管イベントの発症予防のメリットを上回るというのが本論文の主旨である。アスピリンは脳卒中や虚血性心疾患を有している症例に対する2次予防効果が確認されているが、1次予防効果に対する有効性に関してはいまだ定かではなかった。そもそもは、1989年にPhysicians Heart studyという米国の医師を被検者としてアスピリン325mg隔日服用群とプラセボ群にランダマイズして両群の心筋梗塞発症率を比較したRCTで、アスピリン群のほうが44%もAMIが少なかったという成績がNEJM誌に発表されたことから、一躍アスピリンの心血管イベント抑制効果が注目され始めた。

川柳で広める抗菌薬の適正使用

 世界規模で抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が増え、問題となっていることに鑑み、WHO(世界保健機関)は、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。WHO加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請された。わが国でも厚生労働省が中心となり、アクション・プランを策定し、不要な抗菌薬の使用削減に向け、さまざまな活動が行われている。  その一環として2018年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、AMRに関して理解を深め、考えてもらう機会として、「第2回薬剤耐性(AMR)あるある川柳」の公募を行った。全国から計1,816句の川柳の応募があり、今回厳正な審査を経て、金賞、銀賞、佳作の入選作品が決まり、公表された。

バレンタインとてんかんの意外な関係

 バレンタインデーの由来となった聖バレンタインは、てんかんのある人々を庇護した聖人としてたたえられている。それ故、「世界てんかんの日」はバレンタインデー直前の月曜日、2月の第2月曜日と定められている。また、毎年3月26日をパープルデーと定めるなど、てんかんは世界的な社会啓発が進められている。2019年1月28日、大塚製薬株式会社が主催するプレスセミナー「てんかん患者を取り巻く環境を考える」が開催され、加藤 天美氏(近畿大学 脳神経外科主任教授)と川合 謙介氏(自治医科大学 脳神経外科教授)が登壇した。

インフル患者数が2019年第4週に過去最多

 2019年2月1日、厚生労働省は2019年第4週(1月21~27日)において、全国約5,000ヵ所の定点医療機関当たりのインフルエンザ患者報告数が57.09人となったことを発表した。前週の53.91人を上回り、昨年のピーク(2018年第5週)である54.33人を超え、1999年の集計開始以降、過去最多となった。  都道府県別の集計では、埼玉県(84.09)、新潟県(77.70)、千葉県(73.00)の順で最多となっている。合計31都道府県で前週より増加したが、16府県では減少がみられた。前週に続き、全都道府県で警報レベル(1週間の定点あたり報告数が30人以上または前週に警報が出ていて10人以上)を超えている。

非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

 平成元年(1989年)に発見されたC型肝炎ウイルス(HCV)。近年、経口の直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)が次々と発売され、C型慢性肝炎や初期の肝硬変(代償性肝硬変)の患者では高い治療効果を得られるようになったが、非代償性肝硬変を伴うHCV感染症に対する薬剤はなかった。そのような中、平成最後の今年、1月8日にエプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、以下エプクルーサ)が、「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に承認された。また、DAA治療失敗例に対する適応症(前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善)も取得した。ここでは、1月25日に都内で開催されたギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで、竹原 徹郎氏(大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学 教授)が講演した内容をお届けする。