内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:424

成人の「軽症」気管支喘息における増悪予防治療について(解説:小林英夫氏)-1060

成人気管支喘息の治療は重症度による差異はあるものの、大まかには、吸入ステロイド薬を維持療法の基本薬とし、発作時には短時間作用型β2刺激薬(SABA)を用いている。本論文は成人軽症喘息の増悪予防療法について3群を比較検討し、ブデソニド+ホルモテロール合剤の頓用が吸入ステロイド維持療法に劣らないとしたものである。これまで維持療法が導入されていない軽症症例を、発作時のみSABA吸入頓用群、吸入ステロイド維持療法+発作時SABA頓用、発作時にブデソニド+ホルモテロール合剤の頓用、の3群化している。初めの2群は一般的な治療であり、3つ目の群を評価することが本試験の目的となっている。

かかりつけ医のための適正処方の手引き(糖尿病)が完成/日本医師会

 2019年6月4日、日本医師会の江澤 和彦氏(常任理事)が、『超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(3)糖尿病』の完成を記者会見で発表した。 厚生労働省から発表された平成28年国民健康・栄養調査結果の概要によれば「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000万人と推定され、その中で、65歳以上の高齢者が占める割合は約60%以上となっている。今後も高齢化に伴い65歳以上の糖尿病患者の増加が予想される。  高齢者糖尿病では、一般的に老化の特徴としての身体機能、認知機能などの個人差が大きくなる。また、75歳以上の高齢糖尿病患者ではとくに認知機能障害、ADL低下などの老年症候群や重症低血糖、脳卒中の合併症などを起こしやすいと言われている。  本手引きでは、75歳以上の高齢者と老年症候群を合併した65歳から74歳の前期高齢者を「高齢者糖尿病」と想定し、日本老年医学会の協力により作成された。

臨床研究法、J-CLEARメンバーも対応に苦戦

 臨床研究法が施行されて早1年。2019年3月までは移行期間ということもあり、倫理委員会への登録などで忙殺された方が多かったようだ。本年4月からの新たな申請はこれまでに比べ、少ないというが、日本の臨床研究は法律に則り、滞りなく進んでいるのだろうか。NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は2019年4月20日、都内においてJ-CLEAR講演会を開催。6名の先生が特定臨床研究の現状や糖尿病領域の臨床試験の変遷などについて発表した。

高齢者診療の新たな概念“multi-morbidity”とは

 近年、注目されるようになった“multi-morbidity(マルチモビディティ)”という概念をご存じだろうか。multi-morbidityの明確な定義はまだ存在しないが、「同時に2種類以上の健康状態が併存し、診療の中心となる疾患が設定し難い状態」を示し、数年前から問題視されてきている。  このmulti-morbidityについて、2019年5月23日から3日間、仙台にて開催された第62回 日本糖尿病学会年次学術集会のシンポジウム12「糖尿病合併症 co-morbidityかmulti-morbidityか」で行われた竹屋 泰氏(大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学講師)の発表が参考になるので、以下に紹介する。

ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

 抗インフルエンザウイルス剤のバロキサビル マルボキシル製剤(商品名:ゾフルーザ)の添付文書について、2019年6月4日、厚生労働省より使用上の注意の改訂指示が発出された。国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断された。改訂の概要は以下の通り。  直近3年度の国内症例の集積状況として、ショック、アナフィラキシー関連症例を42例報告。医薬品と事象との因果関係が否定できない症例16例を含んでいる。また、転帰死亡症例は1例報告されているが、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例であった。

軽症喘息の増悪予防、SABA vs.ブデソニド+ホルモテロール頓用/NEJM

 軽症喘息の成人患者では、ブデソニド+ホルモテロールの頓用はalbuterol(日本ではサルブタモールと呼ばれる)頓用に比べ喘息増悪の予防に優れることが、ニュージーランド・Medical Research Institute of New ZealandのRichard Beasley氏らが行った「Novel START試験」で示された。研究の詳細はNEJM誌2019年5月23日号に掲載された。これまでの二重盲検プラセボ対照比較試験で、ブデソニド+ホルモテロール頓用は、短時間作用性β2刺激薬(SABA)の頓用に比べ、重度の喘息増悪のリスクが低く、ブデソニド維持療法+SABA頓用とほぼ同じと報告されていた。

高齢女性、1日4,400歩でも死亡率低下、強度は関連せず

 健康のためには1日1万歩を目標に歩くことが必要と一般的に考えられているが、この歩数は科学的根拠が少ない。また、1日当たりの歩数にかかわらず、歩行強度が強いほうが健康ベネフィットがあるのかどうかも不明である。今回、ハーバード大学医学大学院のI-Min Lee氏らの前向きコホート研究の結果、高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された。また、1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2019年5月29日号に掲載。

1日1杯でも効果、コーヒーが死亡率を改善~高山スタディ

 これまでの疫学研究では、コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡は逆相関する、と言われている。今回、岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の山川 路代氏らが、岐阜県高山市で実施された高山スタディにおいて、コーヒー1日1杯以上の摂取が全死因死亡および心血管疾患、感染症、消化器疾患による死亡と逆相関することを明らかにした。Public Health Nutrition誌オンライン版2019年5月20日号掲載の報告。著者らは、集団ベース前向きコホート研究である高山スタディにおいて、1992年のベースライン時点で、がん、冠動脈疾患、脳卒中の既往がない35歳以上の住民2万9,079人を対象とし、2008年まで追跡した。

日本人高齢者における身体活動と認知症発症との関連

 岡山大学のYangyang Liu氏らは、高齢者における定期的な身体活動と認知症発症リスクとの関連について評価を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年5月2日号の報告。  本検討は、岡山市で実施したレトロスペクティブコホート研究である。日本人高齢者5万1,477人を2008~14年にかけてフォローアップを行った。定期的な身体活動は、健康診断質問票を用いて評価を行った。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。身体活動のカテゴリ別の認知症発症率は、Cox比例ハザードモデル、95%信頼区間(CI)を用いて算出した。