内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:133

CKD女性の多くが未診断で管理も徹底されていない

 女性は男性に比較して、慢性腎臓病(CKD)の疑いがあるのに精査されていなかったり、糖尿病などを有するハイリスク病態であっても疾患管理が十分行われていない患者が多いことを示すデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のOskar Swartling氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Society of Nephrology(JASN)」に7月29日掲載された。  CKDの有病率や腎機能低下の進行速度、長期予後には性差が存在することが報告されている。Swartling氏らは、そのような性差の一部は、CKDの診断や疾患管理などのヘルスケア状況が男性と女性で異なることによって説明できる可能性があると考え、以下の検討を行った。

歩数計を身に着けているだけで運動量が増える

 歩数計を身に着けている人は、たとえ特定の目標や動機がなくても、また自分で歩数を確認できない状況であっても、身に着けていない人に比べて1日の歩数が増えることが、新たな研究で明らかにされた。米ブリガムヤング大学教授のWilliam Tayler氏らが実施したこの研究の詳細は、「American Journal of Health Behavior」9月4日号に掲載された。  今回の研究では、90人のiPhoneユーザーにアプリケーション(アプリ)をダウンロードしてもらった。iPhoneにはデフォルトで歩数を測定する機能が備わっていて、このアプリは、試験開始前のものも含めた歩数情報を追跡するためのものであったが、参加者にそのことは伝えられなかった。Tayler氏は、「ばれないように、必要なデータをこっそり収集させてもらった」と振り返る。  参加者は、30人ずつ3つの群にランダムに割り付けられた。3群のうちの2群には、画面表示のない歩数計(Mi Band)を2週間、常に身に付けることを求めた。歩数計を身に着ける目的は歩数測定ではなく、歩数測定に対する意識を誘導することだった。2群のうちの1群(歩数意識群)にはそれ以上の説明をせず、もう1群(歩数意識+記録群)にはMi Bandと同期できるアプリをインストールし、そのアプリで毎晩、1日の歩数を確認して記録するよう求めた。残る1群は対照群で、最初に人口統計学的なデータを集めた後は、2週間後に研究室に来るよう指示を出しただけだった。

ワクチン接種後も大気汚染でCOVID-19が重症化

 ワクチン接種済みか否かにかかわらず、大気汚染が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクを高める可能性を示すデータが報告された。米カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院のAnny Xiang氏らの研究によるもので、詳細は「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に9月20日掲載された。論文の上席著者であるXiang氏は、「ワクチンによる重症化リスクの抑制は明らかだ。しかしそれでも大気汚染にさらされた人がCOVID-19に罹患した場合の入院リスクは、大気汚染の影響が少ない人よりも高い」と述べている。  Xiang氏らは、カイザーパーマネンテの匿名化された医療データベースと、公開されている大気環境モニタリングデータをリンクさせ、大気汚染とCOVID-19による入院との関連を検討した。デルタ株が主流だった2021年7~8月にCOVID-19と診断された12歳以上の患者は5万10人で、平均年齢は40.9±16.9歳であり、34.0%がワクチン接種を完了し、4.2%は部分的に終了(2回接種が必要なタイプで1回のみ終了)していた。大気汚染への曝露レベルは、COVID-19診断前の1年間および1カ月間のPM2.5、二酸化窒素の平均濃度で評価し、1年間の平均値は「長期曝露」、1カ月間の平均値は「短期曝露」と定義した。

コロナ罹患後症状、120万人のプール解析/JAMA

 2020年および2021年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した症候性患者において、Long COVID(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の罹患後症状、いわゆる後遺症)の主要な症状クラスター(身体的痛みや気分変動を伴う持続性疲労、認知に関する問題、持続する呼吸器症状)のいずれかを有する割合は全体で6.2%と推定され、女性および入院を要したSARS-CoV-2初感染者で高いことが、米国・ワシントン大学のSarah Wulf Hanson氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Disease)Long COVID Collaboratorsの解析で明らかとなった。2021年10月、世界保健機関(WHO)は、SARS-CoV-2感染から3ヵ月経過後も認められる、少なくとも2ヵ月以上持続し他の診断では説明がつかない症状として、「post COVID-19 condition」の定義を発表。しばしば「Long COVID」と呼ばれるこれらの症状について、これまでの研究では個々の症状や症状数に関する報告が最も多く、症状の持続期間や重症度、重複症状に関する報告は少なかった。JAMA誌オンライン版2022年10月10日号掲載の報告。

6つの食習慣と肝細胞がんリスクの関連:メンデルランダム化研究

 飲酒経験などの食習慣と肝細胞がん(HCC)リスクとの間に、潜在的な因果関係があることが報告された。Hepatology Communications誌2022年8月号掲載の報告。  食生活はHCCと関連があると報告されているが、因果関係があるかどうかは依然として不明である。中国・香港中文大学のYunyang Deng氏らは、東アジア人の集団においてメンデルランダム化を用いた、食生活とHCCリスクの潜在的な因果関係の探索を目的とした研究を実施した。

かかりつけ医も知っておきたい、コロナ罹患後症状診療の手引き第2版/厚労省

 厚生労働省は、2022年6月に公開した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1.1版)」を改訂し、第2版を10月14日に発表し、全国の自治体や関係機関などに周知を行った。  主な改訂箇所としては、 ・第1章の「3.罹患後症状の特徴」について国内外の最新知見を追加 ・第3~11章の「2.科学的知見」について国内外の最新知見を追加 ・代表的な症状やキーワードの索引、参考文献全般の見直し などが行われた。  同手引きの編集委員会では、「はじめに」で「現在、罹患後症状に悩む患者さんの診療や相談にあたる、かかりつけ医などやその他医療従事者、行政機関の方々に、本書を活用いただき、罹患後症状に悩む患者さんの症状の改善に役立ててほしい」と抱負を述べている。

クマの冬眠に糖尿病治療のヒント

 クマは冬に入る前、大量に食べて体重を増やし、そのあと数カ月間は横になったまま動かないというパターンを毎年繰り返しているが、糖尿病にならない。その理由の一端が、米ワシントン州立大学のBlair Perry氏らによって解明され、「iScience」に9月21日、論文が掲載された。Perry氏によると、ポイントは8種類のタンパク質にあり、それらの働きをより深く追究すれば、いずれヒトの糖尿病の新たな治療法につながることも考えられるとのことだ。  現在、世界中で増加している2型糖尿病は、血糖を細胞に取り込む際に必要なホルモンである「インスリン」を、適切に使用できなくなって発症する。その結果、血液中の血糖が増加して高血糖になる。このような2型糖尿病の発症前に、多くの場合、細胞のインスリンに対する感受性が低下した「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態を経る。体重の増加と運動不足はともに、インスリン抵抗性と2型糖尿病のリスクを高めてしまう要因だ。

アロプリノール、痛風歴ない虚血性心疾患患者も改善させる?/Lancet

 痛風の既往がない60歳以上の虚血性心疾患患者において、アロプリノールは標準治療と比較し、非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管死の複合アウトカムに差はないことが、英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らが実施した「ALL-HEAT試験」の結果、示された。アロプリノールは痛風の治療に用いられる高尿酸血症治療薬であるが、これまでの研究でいくつかの心血管パラメーターに関して好ましい効果があることが示唆されていた。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。  ALL-HEAT試験は、イングランドおよびスコットランドの地域の医療センター18施設で実施された多施設共同前向き無作為化非盲検試験である。2014年2月7日~2017年10月2日の期間に、プライマリケア診療所424施設において、60歳以上で痛風の既往がない虚血性心疾患患者5,937例を登録し、アロプリノール群と標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

経口コロナ薬2剤、オミクロン下での有効性/Lancet

 香港では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株亜系統BA.2.2が流行している時期に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのモルヌピラビルまたはニルマトレルビル+リトナビルの早期投与が、死亡および入院中の疾患進行のリスクを低下したことが、さらにニルマトレルビル+リトナビルは入院リスクも低下したことが、中国・香港大学のCarlos K. H. Wong氏らによる後ろ向き症例対照研究で明らかとなった。SARS-CoV-2オミクロン株に対する経口抗ウイルス薬のリアルワールドでの有効性については、ほとんど示されていなかった。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。

ウェイトリフティングで寿命が伸びる?

 ウェイトリフティングと有酸素運動を組み合わせることで、早期死亡、特に心疾患による死亡のリスクを大幅に下げられる可能性が、新たな研究で示唆された。全死亡リスクは、ウェイトリフティングだけを行う場合でも、また有酸素運動だけを行う場合でも減少していたが、最も大きく減少したのは両者を組み合わせた場合だったという。米国国立がん研究所がん疫学および遺伝学部門のJessica Gorzelitz氏らが実施したこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に9月27日掲載された。  この研究は、1993年に米国の10カ所のがんセンターで55〜74歳の前立腺、肺、大腸、卵巣がん患者を対象に開始された臨床試験の参加者から抽出した9万9,713人のデータを解析したもの。これらの患者は、2006年の追跡調査時に質問票に回答しており、2016年12月まで追跡されていた。追跡調査時の対象者の平均年齢は71.3歳で、女性が52.6%を占めていた。質問票には、ウェイトリフティングや、中強度と高強度の有酸素運動を行う頻度に関する項目も含まれていた。