内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

難治性慢性咳嗽に対するゲーファピキサント、9試験をメタ解析/JAMA

 選択的P2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサント45mgの1日2回経口投与は、プラセボと比較し咳嗽頻度、咳嗽重症度および咳嗽特異的QOLを改善するもののその効果は小さい可能性が高く、一方で有害事象、とくに味覚に関連する有害事象のリスクが高いことが、カナダ・マクマスター大学のElena Kum氏らによるシステマティック・レビューおよびメタ解析の結果、明らかとなった。ゲーファピキサントは、難治性または原因不明の慢性咳嗽に対する初の治療薬として開発され、日本およびスイスでは承認されているが、米国、欧州、カナダなどでは規制当局の審査中である。JAMA誌2023年9月11日号掲載の報告。

動かないと認知症になる?―人類史の視点から(解説:岡村毅氏)

いわゆる「座位行動」の研究である。座位行動とは、座ることに代表されるエネルギー消費量が1.5メッツ以下の行動を指すもので、実際には座っているとは限らない。デスクに座ってコンピュータで作業をする、ソファでだらだらテレビを見る、床に寝転がって本を読む、などはすべて該当する。厚生労働省によると、健康によいとされる3メッツ以上の中高強度身体活動は、1日の起きている時間のうち、わずか3~8%程度だという。一方で座位行動は起きている時間のうちの6割近くを占めるという(引用)。

COVID-19罹患後に高血圧リスク上昇の懸念

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後の人は、高血圧の新規発症リスクが高いことを示唆するデータが報告された。そのリスクの程度は、インフルエンザ感染後に認められる高血圧発症リスクよりも高いという。米アルバート・アインシュタイン医科大学モンテフィオーレ医療センターのTim Duong氏らの研究によるもので、詳細は「Hypertension」に8月21日掲載された。  高血圧患者はCOVID-19罹患時の重症化リスクが高い傾向のあることが知られているが、その反対にCOVID-19罹患が高血圧発症リスクを押し上げるのか否かは、従来明らかでなかった。論文の上席著者であるDuong氏によると、「COVID-19罹患後に高血圧リスクが上昇することを示したのは、恐らく本研究が初めて」という。

平熱は人によってさまざま

 人間の「平熱」は37.0℃だと長らく考えられてきた。しかし、新たな研究で、体温には個人差があり、誰にでも当てはまるような平均体温というものは実際には存在しないことが明らかになった。人間の体温は、年齢、性別、身長や体重によって異なり、また1日の中でも時間帯によって変動することも示されたという。米スタンフォード大学医学部教授のJulie Parsonnet氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に9月5日掲載された。

脂肪が効率よく燃焼される運動強度は個人差が大きい

 減量や疾患予防などの目的で脂肪を効率的に燃焼させる運動をしようとするなら、個別化されたアプローチに基づいて運動強度を設定する必要があるかもしれない。運動強度と脂肪燃焼との関係は個人差が大きいために、心拍数などから推計した“脂肪燃焼ゾーン”は、あまりあてにならない可能性があるという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のHannah Kittrell氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases」に7月14日掲載された。  脂肪組織以外への脂肪蓄積(異所性脂肪)は2型糖尿病の発症に関係している。代謝を正常に戻すためには異所性脂肪を減らす必要があり、それには運動が有効であって、特に脂肪の酸化速度が最大化する(maximal rate of lipid oxidation;MLO)強度での運動が最適と考えられる。Kittrell氏も、「減量を試みる人の多くがMLOに興味を持つようだ」と述べ、「大半の市販のエクササイズマシンには、年齢と性別、心拍数からMLOを推計してそれを“脂肪燃焼ゾーン”として表示するオプション設定がある」と解説する。ただし同氏によると、そのような“脂肪燃焼ゾーン”は精度検証が行われておらず、「多くの人が、その人のMLOとは異なる強度でエクササイズを行っている可能性がある」とのことだ。

アルツハイマー病の進行を予測するグリア活性化PETイメージング

 グリア活性化は、アルツハイマー病の病因であるといわれている。しかし、長期的な認知機能低下との関係は明らかになっていない。国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、アルツハイマー病患者の経年的な認知機能低下に対するグリア活性化PETイメージングとアミロイド/タウ病理の予後効果を比較するため、本研究を行った。その結果、グリア活性化PETイメージングは、脳脊髄液(CSF)によるアミロイド/タウ測定よりもアルツハイマー病の臨床的な進行の強力な予測因子であることを報告した。

「爪白癬は外用薬で治す」は誤解?

 昨年6月にイムノクロマト法を用いた白癬菌抗原キット「デルマクイック爪白癬」が発売されたことを契機に、以前に比べ、内科医でも爪白癬の診断に対応できるようになったのをご存じだろうか。今回、常深 祐一郎氏(埼玉医科大学医学部皮膚科 教授)が『本邦初の白癬菌抗原検査キットによる爪水虫診断と正しい治療法~爪水虫診療は新たなステージへ~』と題し、今年4月に発表された爪白癬の治療実態調査の結果、新たな抗原キットなどについて説明した(佐藤製薬・マルホ共催メディアセミナー)。

酒を飲むと相手が魅力的に見える「ビール・ゴーグル効果」認められず

 酒の席で会った誰かと一夜限りの関係を持ってしまったことを、酒を飲むと相手が実際よりも魅力的に見える「ビール・ゴーグル効果」のせいにする人は多い。しかし実際には、アルコールにそのような効果はないようだ。飲酒によりもたらされるのは、すでに魅力を感じていた人にアプローチする勇気、いわゆる「liquid courage(酒の力を借りて出る勇気)」であることが、米スタンフォード予防研究センターのMolly Bowdring氏と米ピッツバーグ大学心理学分野のMichael Sayette氏の研究で示された。この研究結果は、「Journal of Studies on Alcohol and Drugs」に8月29日掲載された。

うつ病の既往歴がある人はネガティブ情報にとらわれがち

 寛解しても再発することが多い大うつ病性障害(以下、うつ病)の既往歴を持つ人では、うつ病の既往歴のない人に比べて、ネガティブな情報を処理する時間が長い一方で、ポジティブな情報を処理する時間が短い傾向があり、それがうつ病の再発リスクにつながっている可能性のあることが示唆された。米メリーランド大学ボルチモアカウンティ校心理学分野のLira Yoon氏らによるこの研究結果は、「Journal of Psychopathology and Clinical Science」に8月21日掲載された。  Yoon氏は、「われわれは、うつ病患者がネガティブな情報をどう処理するかだけでなく、ポジティブな情報をどう処理するかも検討すべきではないかということに気が付いた。ネガティブな感情や気分の落ち込みの持続との関わりにおいては、もしかするとポジティブな情報の方が重要なのかもしれない」と述べている。

高齢者は1日10時間以上の座位行動で認知症リスク増/JAMA

 60歳以上の高齢者において、加速度計で評価した座位行動時間が長いほど全認知症発症率が有意に高いことが、米国・南カリフォルニア大学のDavid A. Raichlen氏らが実施した大規模コホート研究の後ろ向き解析の結果で示された。座位行動は心代謝性疾患および死亡と関連しているが、認知症との関連は不明であった。著者は、「さらなる研究を行い、座位行動と認知症リスクに因果関係があるのかどうかを調べる必要がある」と述べている。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。