内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:122

バス運転手の危険運転に対する不眠症の影響

 近年、バス運転手の心身の健康問題に起因する交通事故が増加している。一般的な睡眠障害である不眠症は、交通事故リスクやメンタルヘルス問題、とくに運転行動に関連する不安や抑うつとの有意な正の相関を持つといわれている。しかし、バス運転手のみを対象に睡眠関連の問題とメンタルヘルスを調査した研究はほとんどなく、これらの問題が運転パフォーマンスにどのように影響するかはよくわかっていない。中国・同済大学のYujun Jiao氏らは、不眠症とメンタルヘルスがバス運転手の危険運転行動に及ぼす影響を調査し、不眠症、不安、抑うつ、危険運転行動の4つの変数の相互作用を評価した。Accident Analysis & Prevention誌2024年2月号の報告。

急性冠症候群へのニトログリセリン、高齢者には有害?

 ニトログリセリンは急性冠症候群(ACS)の第1選択薬として長い間使用されてきたが、ACSの転帰改善のための使用を支持する研究は限られている。また、高齢患者の増加や、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と最適な薬物療法(OMT)などのACS管理の進歩により、PCI後の転帰におけるニトログリセリンの有効性を再評価する必要性が高まっている。今回、宮崎大学の小牧 聡一氏らが単施設での後ろ向き研究で検討した結果、とくに75歳以上の高齢患者においてPCI実施前のニトログリセリン投与が血圧低下および有害な臨床転帰と関連することが示された。Open Heart誌2024年1月11日号に掲載。

ビタミンDは高齢者の風邪を減らせるか、RCTで検証

 毎日のビタミンD補給がビタミンD欠乏症において急性呼吸器感染症のリスクを低下させたという報告がある一方で、異なる集団・条件下で行われた試験では無効という結果が報告されている。米国・ハーバード大学医科大学院のCarlos A. Camargo氏らは、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の補給に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(VITAL)のデータを用いて高齢者の上気道感染症リスクに対するビタミンD補給の影響を評価した。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月19日号への報告。

不規則な入眠覚醒サイクルは認知症リスクを上昇させる?

 入眠と覚醒のサイクルがひどく不規則な人では、より規則的な人に比べて認知症の発症リスクが高い可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。モナシュ大学(オーストラリア)のMatthew Pase氏らによるこの研究結果は、「Neurology」1月23日号に発表された。  Pase氏は、「健康的な睡眠に関する推奨では、1日7~9時間の睡眠時間を確保することばかりに重点が置かれ、規則正しい睡眠スケジュールを維持することはあまり重視されていない」と指摘。「われわれの研究結果は、認知症リスクを回避するために規則正しい睡眠が重要な要素となることを示唆するものだ」と同大学のニュースリリースで述べている。

マスクにアロマシールを貼るとメンタルにも好影響

 香りのするシール(アロマシール)をマスクに貼ると、息切れなどの症状が軽くなり、メンタルヘルスにも良い影響が生じることが、無作為化二重盲検比較試験の結果として報告された。星薬科大学の湧井宣行氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に11月16日掲載された。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、マスクを着用する機会が増加した。マスク着用時に8割以上の人が息苦しさや暑苦しさなどのストレスを感じていると報告されている。COVID-19の感染抑止にマスクが有効であったことが示されたことから、パンデミック終息後にも他の呼吸器感染症のリスク低減のために、引き続きマスク着用が推奨される傾向が続くと考えられ、着用時のストレス対策の重要性が増している。

公平な再入院を達成している病院の特徴は?/JAMA

 公平性は医療の質の本質的な領域である。米国・コロンビア大学のKatherine A. Nash氏らは、米国のメディケア・メディケイドの運営主体Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)が開発した臨床アウトカムの公平性を評価する2つのDisparity Methodsを用いた研究を行い、公平な再入院を達成している病院は少数派であり、公平な再入院が行われていない病院とは明らかに異なる特徴が認められることを明らかにした。具体的には、公平な再入院が行われている病院では黒人患者の数が少なかったという。著者は、「従来型のアウトカム評価では、黒人患者の受け入れが少ない病院に報酬を与える可能性があり、病院レベルでの不公平さが構造的人種差別の役割を強化する可能性がある」とし、「公平な再入院を実現するには、リスクのある患者の病院間の分布に、ばらつきがあることを考慮しなければならない」と述べ、不公平を助長しない慎重な政策設計の必要性を提言している。JAMA誌2024年1月9日号掲載の報告。

口腔健康状態が誤嚥性肺炎の入院期間に影響/東京医科歯科大

 誤嚥性肺炎などでは、転帰に患者の口腔健康状態が関係することがよく知られている。それでは、その影響がさらにどのように作用するのであろうか。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野の山口 浩平氏らの研究グループは、誤嚥性肺炎高齢患者の入院時口腔健康状態が院内転帰に及ぼす影響を前向きコホート研究で実施し、結果を報告した。口腔健康状態の悪い患者の入院期間は長くなる可能性があるというものだった。European Geriatric Medicine誌オンライン版2024年1月12日号の報告。

LGBTQ患者の診療、困った経験は?/医師1,000人アンケート

 わが国にはLGBTQの人は3~10%程度いるとされている。「患者のほとんどが高齢者のためLGBTQは関係ない」と思われるかもしれないが、高齢者にもLGBTQの人は存在し、日常接している患者さんの中にも少なからずLGBTQ患者がいると考えられる。CareNet.comでは、会員医師1,029人を対象に、LGBTQ患者の診療経験に関するアンケートを実施した。その結果、多くの医師が今後の対応の必要性を認識しているものの、現状では診療体制が不十分であることが多く、今後の診療に影響が生じかねないケースもあったことが明らかになった(2023年12月25日実施)。

鎮咳薬不足、増えた手間や処方優先患者は?/医師1,000人アンケート

 後発医薬品メーカーの不祥事などで医薬品供給不安が続いているなか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行が鎮咳薬不足に追い打ちをかけている。昨年9月には厚生労働省が異例とも言える「鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」の通知を出し、処方医にも協力を仰いだことは記憶に新しい。あれから3ヵ月が経ち、医師の業務負担や処方動向に変化はあったのだろうか。今回、処方控えを余儀なくされていることで生じる業務負担や処方を優先する患者の選び方などを可視化すべく、『鎮咳薬の供給不足における処方状況』について、会員医師1,000人(20床未満:700人、20床以上:300人)にアンケート調査を行った。

新型コロナJN.1が世界の主流株に、高い伝播力と免疫回避能/東大医科研

 2023年12月時点で、オミクロン株BA.2.86の子孫株であるオミクロン株JN.1が世界各地で流行を拡大し、JN.1は世界保健機関(WHO)により「注目すべき変異株(VOI)」に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」の研究で、JN.1は、これまで主流の1つだったXBB系統のEG.5.1より高い伝播力(実効再生産数)を有し、自然感染やワクチン接種により誘導される中和抗体に対しても高い回避能を有していることが認められた1)。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年1月3日号に掲載された。