感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:191

単純性尿路感染症、nitrofurantoin vs.ホスホマイシン/JAMA

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、nitrofurantoin5日間投与はホスホマイシン単回投与と比較して、治療終了後28日時の臨床的および微生物学的改善が有意に大きいことが示された。スイス・ジュネーブ大学医学部のAngela Huttner氏らが、多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。nitrofurantoinとホスホマイシンは、米国およびヨーロッパの臨床微生物感染症学会による2010年のガイドライン改訂で、下部UTIの第一選択薬として推奨されるようになってから、その使用が増加してきたが、これまで両者を比較した無作為化試験はほとんどなかった。JAMA誌2018年4月22日号掲載の報告。

感染症による慢性炎症で前立腺がんリスク増加?

 前立腺炎が、慢性炎症によって前立腺がんリスクを増加させる可能性が疫学研究から示唆されている。今回、フランス国立保健医学研究機構(Inserm)のSolene Doat氏らがEPICAP研究のデータで検討したところ、慢性前立腺炎・急性腎盂腎炎の既往のある男性、NSAIDを使用していない男性で、前立腺がん発症のオッズ比がとくに高かった。この結果から、泌尿生殖器感染症により生じた慢性炎症が前立腺がん発症に関与するという仮説が補強された。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年4月26日号に掲載。

麻疹のワクチン免疫がうつ病で減弱?

 わが国では、うつ病あるいは双極性障害(BD)で治療を受けている患者が100万人を超えると言われているが、うつ病が幼児期のワクチン接種による免疫原性を損なう可能性については知られていない。今回、米国・Laureate Institute for Brain ResearchのBart N. Ford氏らの研究の結果、青年期または成人期に大うつ病性障害(MDD)を発症した場合、ワクチンによる麻疹免疫が損なわれ、麻疹の感染リスクと重症度を高める可能性が示唆された。Psychological Medicine誌オンライン版2018年3月19日号に掲載。

2020までに万全な髄膜炎菌感染症対策を

 2018年4月18日、サノフィ株式会社は、4月25日の「世界髄膜炎デー」に先立って、髄膜炎菌感染症診療に関するメディアセミナーを都内で開催した。本セミナーでは、「日本に潜む10代の髄膜炎菌感染症 アウトブレイクのリスク~海外・国内の感染事例と関連学会による対策変更~」をテーマに、髄膜炎菌感染症のオーストラリアでの疫学的状況と公衆衛生当局による対応、日本の置かれた現状と今後求められる備えなどが語られた。

マラリア感染、殺虫剤抵抗性媒介蚊脅威に2つの対策/Lancet

 マラリア対策は、広範囲にわたる殺虫剤抵抗性マラリア媒介蚊の存在によって、進展が脅威にさらされている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のNatacha Protopopoff氏らは、近年開発された2つのマラリア媒介蚊の対策製品である、共力剤ピペロニルブトキシド(PBO)含有長期残効性殺虫剤ネットと、殺虫剤ピリミホス-メチルの長時間屋内残留タイプの噴霧製品を評価する検討を行った。いずれも、標準的な長期残効性殺虫剤ネットと比べて、ピレスロイド系薬抵抗性媒介蚊によるマラリアが流行している地域で、マラリア伝播コントロールの改善が示されたという。Lancet誌オンライン版2018年4月11日号掲載の報告。

ジカウイルス、症候性男性精液の3割から検出/NEJM

 蚊媒介性のジカウイルス(ZIKV)は、症候性の男性約3割の精液中に、また約4%の尿中に存在していたことが明らかにされた。6ヵ月以上残存する男性もいたという。一方で、感染性ZIKVが検出されたのはごくわずかで、そのすべてが発症後30日以内に検体が採取された男性だった。米国疾病管理予防センター(CDC)のPaul S. Mead氏らが、185例の男性患者を対象に行った前向き試験の結果で、NEJM誌2018年4月12日号で発表した。ZIKVは蚊媒介性の新出現フラビウイルスで、有害な出生アウトカムとの関連が報告されている。

ニューキノロンの使用は、動脈瘤や動脈解離のリスクを高める(解説:佐田政隆氏)-839

スウェーデンでは、nationwideの国民の医療に関するビッグデータが登録されており、薬の副作用など各種のコホート研究を行うことができる。本研究では、2006年7月から2013年12月に、ニューキノロンを服用した36万88人と、傾向スコアでマッチングしたアモキシシリンを服用した36万88人で、服用60日以内の大動脈瘤、大動脈解離の発症を比較検討した。結果として、ニューキノロン群がアモキシシリン群に比較して、大動脈瘤、大動脈解離の発症が、ハザード比1.66と多かったという。

ジェネリック希少の医薬品、米国で価格高騰/BMJ

 米国において特許期限切れだがジェネリック承認薬がない処方薬のうち、半数超は米国外で少なくとも1社が承認を受けており、半数弱は4社以上が承認製造していた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRavi Gupta氏らが、1939~2017年に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受け、その後特許期限が切れた薬剤などを対象に行った観察試験で明らかにしたもので、BMJ誌2018年3月19日号で発表した。米国では、特許期限の切れた処方薬の一部が、競合会社が少ないために急激に価格が高騰し、入手が困難になるといった問題が生じている。今回の結果を受けて著者は、「それらの処方薬について、米国外からの輸入販売規制などを緩和化することで、適正な市場競争が促され、価格低下や患者への安定的な供給につながるだろう」とまとめている。