感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

世界の死亡パターン、過去30年の傾向と特徴/Lancet

 米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Causes of Death Collaboratorsは、過去30年の世界における死亡のパターンを、改善された推定法を用いて調査し、COVID-19パンデミックのような重大イベントの影響、さらには低所得地域での非感染性疾患(NCD)の増加といった世界で疫学的転換が進んでいることを反映した、より広範な分野にわたる傾向を明らかにした。死因の定量化は、人々の健康を改善する効果的な戦略開発に向けた基礎的な段階である。GBDは、世界の死因を時代を超えて包括的かつ体系的に解析した結果を提供するものであり、GBD 2023では年齢と死因の関連の理解を深めることを目的として、70歳未満で死亡する確率(70q0)と死因別および性別の平均死亡年齢の定量化が行われた。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

2024~25コロナワクチンの重症化予防効果/NEJM

 2024~25年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種は、重度臨床アウトカムのリスク低下と関連していたことが、米国・Veterans Affairs(VA)St. Louis Health Care SystemのMiao Cai氏らによる退役軍人を対象としたコホート研究の結果で示された。SARS-CoV-2感染症の臨床的重症度が低下し、COVID-19ワクチンの一般接種率は毎年減少傾向にあり、臨床的に重要なアウトカムに対するワクチンの有効性に関する新たなエビデンスが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2025年10月8日号掲載の報告。

DANFLU-2試験:高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの入院予防効果(解説:小金丸博氏)

DANFLU-2試験は、高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの入院予防効果を検証した大規模臨床試験である。デンマークの全国行政健康登録を用いた実践的・非盲検・無作為化比較試験で、2022~23年から3シーズンにかけて実施された。試験には65歳以上の高齢者33万2,438人(平均年齢73.7±5.8歳)が登録され、高用量ワクチン(1株当たり抗原60μg)接種群と標準用量ワクチン(1株当たり抗原15μg)接種群に割り付けられた。その結果、高用量群では主要評価項目であるインフルエンザまたは肺炎による入院を経験した人がより少なく、相対リスクは5.9%減少したが、統計的に有意ではなかった(p=0.14)。

2型糖尿病患者は敗血症リスクが2倍

 2型糖尿病患者は、生命を脅かすこともある敗血症のリスクが2倍に上るとする研究結果が、欧州糖尿病学会年次総会(EASD2025、9月15~19日、オーストリア・ウィーン)で発表された。西オーストラリア大学のWendy Davis氏らの研究によるもので、特に60歳未満の患者はよりリスクが高いという。  研究者らが研究背景として示したデータによると、敗血症に罹患した患者の10%以上は死に至るという。また、2型糖尿病患者は、敗血症による死亡または重篤な状態へ進行するリスクが、糖尿病でない人に比べて2~6倍高いことがこれまでにも報告されている。ただし、最新のデータは限られていた。

米国で「悪夢の細菌」による感染症が急増

 米国で、抗菌薬の効かない細菌による感染症が驚くべきペースで増加していることが、米疾病対策センター(CDC)の最新データで明らかになった。CDCによると、最後の砦とされるカルバペネム系薬剤を含むほぼ全ての抗菌薬に耐性を示すことから、「悪夢の細菌」の異名を持つNDM(ニューデリー・メタロβラクタマーゼ)遺伝子を持つNDM産生カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(NDM-CRE)が2019年から2023年の間に劇的に増加したという。CDCの疫学者であるMaroya Walters氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に9月23日掲載された。

国が進める医療DX、診療や臨床研究の何を変える?~日本語医療特化型AI開発へ

 内閣府主導の国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、分散したリアルワールドデータの統合とデータに基づく医療システムの制御を目指し、日本語医療LLM(大規模言語モデル)や臨床情報プラットフォームの構築、患者・医療機関支援ソリューションの開発などを行っており、一部はすでに社会実装が始まっている。2025年9月3日、メディア勉強会が開催され、同プログラム全体のディレクターを務める永井 良三氏(自治医科大学)のほか、疾患リスク予測サービスの開発および受診支援・電子カルテ機能補助システムの開発を目指すグループの代表を務める鈴木 亨氏(東京大学医科学研究所)・佐藤 寿彦氏(株式会社プレシジョン)が講演した。

新型コロナは依然として高齢者に深刻な脅威、「結核・呼吸器感染症予防週間」でワクチン接種の重要性を強調/モデルナ

 モデルナ・ジャパン主催の「呼吸器感染症予防週間 特別啓発セミナー」が9月24日にオンラインで開催された。本セミナーでは、9月24~30日の「結核・呼吸器感染症予防週間」の一環として、迎 寛氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野[第二内科]教授)と参議院議員であり医師の秋野 公造氏が登壇し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、とくに高齢者にとって依然として深刻な脅威であると警鐘を鳴らした。新型コロナの5類移⾏から3年が経ち、社会の警戒感や関心が薄れているなか、継続的なワクチン接種と社会全体の意識向上の重要性を訴えた。

60歳以上への2価RSVワクチン、全心肺疾患による入院も抑制/JAMA

 60歳以上の高齢者における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、全心肺疾患による入院を有意に減少させた。デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、DAN-RSV試験の事前に規定された2次解析の結果を報告した。RSV感染は、とくに心血管疾患(CVD)の既往を有する患者で心血管リスクの上昇と関連している。最近、RSVpreFワクチンがRSV関連下気道疾患の予防として承認されたが、心血管アウトカムに対する有効性を評価した無作為化試験はなかった。著者は、「今回の結果は、全CVDによる入院に対する効果は有意ではなかったものの、RSVワクチン接種が心肺疾患に対しても有用である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。

早期梅毒に対するペニシリンの1回投与、3回投与と同等の効果を示す

 早期梅毒に対するペニシリンの1回投与は、現在、臨床現場で広く行われている3回投与と同等の治療効果を有することが、新たな臨床試験で示された。ベンザチンペニシリンG(BPG)の3回投与は、早期梅毒の治療に追加的な効果をもたらさないことが示されたという。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の資金提供を受けて米アラバマ大学バーミンガム校のEdward Hook III氏らが実施したこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に9月3日掲載された。