感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:154

ICUでの重症COVID-19、ヒドロコルチゾンは有効か/JAMA

 集中治療室(ICU)での重症COVID-19患者の治療において、ヒドロコルチゾンの使用は、これを使用しない場合に比べ、呼吸器系および循環器系の臓器補助を要さない日数を増加させる可能性が高いものの、統計学的な優越性の基準は満たさなかったとの研究結果が、米国・ピッツバーグ大学のDerek C. Angus氏らの検討「REMAP-CAP試験」によって示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。コルチコステロイドは、実臨床でCOVID-19患者にさまざまな方法で投与されており、観察研究では有益性と有害性の双方が報告されている。この不確実性を軽減するために、いくつかの研究グループが無作為化臨床試験を開始しているという。

COVID-19重症化への分かれ道、カギを握るのは「血管」

 COVID-19を巡っては、さまざまなエビデンスが日々蓄積されつつある。国内外における論文発表も膨大な数に上るが、時の検証を待つ猶予はなく、「現段階では」と前置きしつつ、その時点における最善策をトライアンドエラーで推し進めていくしかない。日本高血圧学会が8月29日に開催したwebシンポジウム「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」では、高血圧治療に取り組むパネリストらが最新知見を踏まえた“new normal”の治療の在り方について活発な議論を交わした。

ARDSを伴うCOVID-19、デキサメタゾンが有効な可能性/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)を伴う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の治療において、標準治療にデキサメタゾンを併用すると、標準治療単独と比較して、治療開始から28日までの人工呼吸器非装着日数(患者が生存し、かつ機械的換気が不要であった日数)が増加することが、ブラジル・Hospital Sirio-LibanesのBruno M. Tomazini氏らCOALITION COVID-19 Brazil III Investigatorsが実施した「CoDEX試験」で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。COVID-19に起因するARDSは、実質的に死亡率や医療資源の使用を増大させることが知られている。デキサメタゾンは、ARDSを伴うCOVID-19患者の肺障害を軽減する可能性が示唆されている。

ロシアの新型コロナワクチン、第I/II相試験で抗体陽転率100%/Lancet

 ロシアのGamaleya National Research Centre for Epidemiology and Microbiologyで開発されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの第I/II相試験の結果が、Lancet誌オンライン版2020年9月4日号に掲載された。本ワクチンは、組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)ベクターおよび組換えアデノウイルス血清型5(rAd5)ベクターに、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子をそれぞれ組み込んだ2つの成分(rAd26-SおよびrAd5-S)から成り、凍結および凍結乾燥の2つの製剤が開発されている。著者のDenis Y. Logunov氏らは、本試験の結果から、2製剤とも安全性が高く、強い液性および細胞性免疫反応が誘導されたと結論している。

新型コロナ感染後の抗体、4ヵ月は持続/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染から回復した人は、感染が診断されてから4ヵ月後までは血清中の抗ウイルス抗体が低下しないことが、アイスランド・deCODE GeneticsのDaniel F. Gudbjartsson氏らが行ったアイスランドの住民約3万人を対象とした調査の結果、明らかとなった。また、アイスランドでは、SARS-CoV-2感染による推定死亡リスクは0.3%で、SARS-CoV-2感染患者の44%は定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)による診断を受けていなかったことも示された。NEJM誌オンライン版2020年9月1日号掲載の報告。  研究グループは、SARS-CoV-2感染に対する液性免疫応答の特性および持続性を明らかにする目的で、アイスランドにおける3万576例の血清中のSARS-CoV-2特異的抗体を、次の6種類の方法で検査した。

COVID-19の急性呼吸不全、ヒドロコルチゾンは有効か?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性呼吸不全を呈した重症患者に対し、低用量ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、21日時点の死亡を含む治療不成功率を有意に低減しなかった。フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らが、149例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果が発表された。ただし同試験は、別の試験でデキサメタゾンがCOVID-19による死亡率などを減少することを示す結果が出たことを受けて、早期に中止されており、著者は、「主要アウトカムについて、統計的および臨床的に意義のある差異を見いだすための検出力が不足していた可能性がある」と、結果の妥当性について疑義を呈している。JAMA誌オンライン版2020年9月2日号掲載の報告。

アンジェスの新型コロナワクチン、阪大病院での第I/II相試験開始

 9月8日、アンジェスは、新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンについて、大阪大学医学部附属病院で第I/II相試験を開始したと発表した。同社によると、開発は計画通り進んでおり、接種完了後、経過観察を経て、大阪市立大学医学部附属病院および大阪大学医学部附属病院での第I/II相試験成績を総合的に判断する速報結果を2020年第4四半期に公表する予定という。  大阪市立大学医学部附属病院における第I/II相試験(低用量群15 例および高用量群15 例、筋肉内に2週間間隔で2回接種)は、6月末に開始され、8月半ばに接種が完了している。今回の大阪大学医学部附属病院における第I/II相試験では、用量2mgで、10例による2週間間隔での2回接種、10例による4週間間隔での2回接種、10例による2週間間隔での3回接種の計30例を目標としている。試験期間は、1回目の接種から52週間のフォローアップ期間を含み、2021年9月30日までの予定。

COVID-19に対するスタチンの影響~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過に対するスタチンの影響については、相反する報告・見解が示されている。炎症反応の進行や肺損傷に対し保護的な役割を果たすというものと、逆に重症化やサイトカインストームに寄与しうるというものである。マレーシア・International Medical UniversityのChia Siang Kow氏らは、COVID-19の臨床転帰に対するスタチンの影響に関する4報の後ろ向き研究結果を用いてメタ解析を行った。American Journal of Cardiology誌オンライン版2020年8月12日号のCORRESPONDENCEへの報告より。  2020年7月27日までに、スタチン使用者と非使用者との間でCOVID-19の重症度および/または死亡のリスクを評価した研究について、PubMed、Google Scholar、およびmedRxivデータベースを検索・抽出した。観察研究の質は、Newcastle-Ottawa Scale13を用いて評価された。  

今冬の発熱患者への対応はどうするか/厚生労働省

 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、9月4日に全国の保健所設置市衛生主管部などにあて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における季節インフルエンザ流行対策に関し「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」の通知を発出した。  COVID-19とインフルエンザは、症状について臨床的に鑑別することが困難であることが指摘され、とくに発熱患者への対策では地域の医療体制の構築が待たれていた。  今回、厚生労働省では「医療提供体制整備」に関し、発熱患者などの相談または診療・検査可能な医療機関として指定される医療機関については都道府県から厚生労働省へ報告を行うとし、「検査体制の整備」に関し、次のインフルエンザ流行を見据えた検査需要、検査体制、検査(分析)能力などを都道府県毎に計画をするとしている。さらに、発熱患者などの診療または検査可能な医療機関として指定される医療機関に対する個人防護具(PPE)の配布支援を実施する必要があることから、都道府県ごとの必要物資数などにつき、都道府県から厚生労働省へ報告を明記している。詳細は、今後連絡する予定。

COVID-19診療の手引きの第3版を公開/厚生労働省

 9月4日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」を公開した。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、随時最新の内容に更新されている。 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版の改訂では、日本小児科学会の協力を得て臨床像の更新を図ったほか、薬物療法では、最近有効性が確立したレムデシビルとデキサメタゾンの使用など中等症患者のマネジメントを修正した。