機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―新薬・エビデンス続々、心理的ケアの認知高まる
4人に1人―、これがわが国の機能性消化管疾患の現状と見られている。機能性消化管疾患は、過敏性腸症候群(IBS)のほか、IBS関連疾患群(機能性便秘、機能性下痢、機能性腹部膨満)を含む。中でも、IBSは消化器内科受診者の約3割を占めるという数字もあり、社会的関心は確実に高まっている。今年6月に発刊された『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020』(改訂第2版)は、2014年の初版以来の改訂版。新薬に加え、既存製剤についてもエビデンスの蓄積により治療可能性が広がっているほか、疾患研究の進展により、病態に関与する生物学的要因や心理社会的因子などを総合的にとらえる概念としての「脳腸相関」の重要性がさらに明確になったことを裏付ける項目もある。ガイドライン作成委員長を務めた福土 審氏(東北大学行動医学分野・心療内科)に、改訂のポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。