クローン病に対するリサンキズマブとウステキヌマブの直接比較(解説:上村直実氏)
完全治癒が見込めないクローン病(CD)に対する治療方針は、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く維持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の予防や治療が重要である。薬物治療に関しては、アミノサリチル酸塩(5-ASA)、免疫調整薬、ステロイドなどを用いた従来の治療法が無効な場合、ステロイド長期使用の副事象を考慮して、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブなど腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が使用されることが多くなっている。しかし、中等症以上の活動性を有するCD症例の中には、抗TNF療法の効果が得られない患者、時間の経過とともに効果が消失する患者、あるいは副作用により治療が中断される患者が少なくなく、新たな作用機序を有する薬剤の追加が求められた結果、活動性とくに中等症から重症のクローン病に対しては、インターロイキン(IL)阻害薬(ウステキヌマブ、リサンキズマブなど)や抗インテグリン抗体薬(ベドリズマブ)などの生物学的製剤が使用されることが多くなっている。