消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:29

大腸がん検診、検査方法の選択肢提示で受診率が向上

 患者に大腸がんの検査方法の選択肢を与えることで、検診を受ける患者数が2倍以上に増えたとする研究結果が報告された。米ペンシルベニア大学医学部のShivan Mehta氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月30日掲載された。  研究グループの説明によると、大腸がん検診は現在、リスクレベルが平均的な人には45歳からの受診が推奨されているが、大腸がんの既往歴や家族歴がある人は、より早い時期から検診を受けなければならない可能性もあるという。

口腔内細菌の検査で胃がんが検出可能に?

 がんによる死亡者数としては世界で4番目に多い胃がんが、いつの日か、診察室での口腔洗浄液を用いた簡単な検査で発見されるようになるかもしれない。米ラトガーズ・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学のShruthi Reddy Perati氏らによる研究で、胃がん患者やその予備軍の口腔から採取した細菌サンプルは、健康な患者から採取した細菌サンプルとは明らかに異なることが明らかになった。この研究結果は、米国消化器病週間(DDW 2024、5月18〜21日、米ワシントン)で発表された。  Perati氏は、「口腔マイクロバイオームと胃のマイクロバイオームはつながっており、口腔内にどのような細菌がいるかを知ることで、胃の環境についても知ることができる。このことは、診療で用いられている検査や診療ガイドラインの変更につながるほど大きな意味を持つ」と述べている。

KRAS G12C変異大腸がんへのソトラシブ+パニツムマブ、OS最終解析(CodeBreaK 300)/ASCO2024

 前治療歴のあるKRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者に対するソトラシブ+パニツムマブの有用性を検証するCodeBreaK 300試験。昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)では、本レジメンが医師選択化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことが報告されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が、全生存期間(OS)データを含む本試験の最終解析結果を発表した。

日本における市中感染と院内感染の罹患率と死亡率~全国7千万例超のデータ

 細菌および真菌感染症の罹患率や死亡率の現状と年次傾向について、市中感染と院内感染の観点から報告した研究はほとんどない。今回、千葉大学の高橋 希氏らが日本の全国保険請求データベースに登録された7千万例超の入院患者のデータを調べたところ、院内死亡率は院内感染のほうが市中感染よりも有意に高かったが、両群とも死亡率は低下傾向であることが示された。BMC Infectious Diseases誌2024年5月23日号に掲載。

がんの臨床試験への参加でOSが延長するか?/JAMA

 カナダ・マギル大学のRenata Iskander氏らは、がんの臨床試験に参加した患者と参加しなかった患者の全生存期間(OS)を比較した研究についてシステマティック・レビューとメタ解析を行い、全体として試験参加群におけるOSの改善が示唆されたが、バイアスや交絡因子を考慮した研究に限定するとOSに対するベネフィットは認められなかったことを示した。がん患者が臨床試験に参加することが、ルーチン治療を受けた場合と比較してOSの延長と関連するかどうかは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2024年5月20日号掲載の報告。

国内の患者・市民参画(PPI)に光、「患医ねっと」がMade with Patients Award受賞

 欧州で患者中心の医療・医薬品開発に力を注いでいる組織PFMD、EUPATI、EPFが5月23日(日本時間)に開催したイベント『Patient Engagement Open Forum 2024』において、患医ねっと「くすりと生活プロジェクト」(代表:鈴木 信行氏)が、Made with Patients Awardsのファイナリストとしてノミネートされ、審査員特別賞を受賞した。  患医ねっとは2011年に鈴木氏が設立し、より良い患者協働の医療環境を目指し、患者と医療者がともにイベントや研修会の開催を通じて、お互いを深く知る場を作ることを目的として活動を行う団体である。鈴木氏は生まれつき二分脊椎症を抱え、がんサバイバーでもある。「病気の先にあるその人らしい生活、皆で支えられる社会を求め、『患者と医療者をつなぎ、日本のより良い医療環境を実現させる』理念」を掲げ、医療にかかわる人々をつなげる機会や場を創出している。今回ノミネートされた“Made with Patients Award”は、医療における患者参画の優れた模範となる個人や取り組みを表彰するもので、今年は世界中の110もの候補が審査され、日本人として唯一、鈴木 信行氏が団体の代表として審査員特別賞であるJury‘s Special Champion Awardを獲得した。

転移大腸がん1次治療のニボルマブ+イピリムマブ、PFS2も良好(CheckMate 8HW)/ASCO2024

 肺がん、胃がんなど幅広い固形がんで有用性が報告されているニボルマブ+イピリムマブのレジメン。本レジメンの転移大腸がん1次治療における有用性を検証するCheckMate 8HW試験では、2024年1月に行われたASCO-GIにおいて、ニボ+イピが化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。5月31日~6月4日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・南カリフォルニア大学のHeinz-Josef Lenz氏が本試験のPFSの追加解析結果を報告した。

食道腺がん、周術期化学療法が術前化学放射線療法を上回る(ESOPEC)/ASCO2024

 切除可能な局所進行食道腺がんに対する世界的な標準治療は、術前化学放射線療法(CROSS療法)+手術とされてきた。一方、切除可能な胃がんに対しては、周術期化学療法(FLOT療法)+手術といった新たな治療戦略の開発が進められている。これらの両治療戦略を直接比較した第III相ESOPEC試験の結果、FLOT療法がより優れた治療成績を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)のPlenary Sessionにおいて、ドイツ・ビーレフェルト大学のJens Hoeppner氏が本試験の詳細を報告した。

同世代・同診療科の医師の年収は?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(金)に会員医師1,004人(男性:875人、女性:129人)を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、80%の医師が昨年度の年収額は1,000万円以上と回答した。しかし、男女別にみると、男性では1,000万円以上が83%であったのに対し、女性は60%と男女差がみられた。  全体で最も多い年収帯は1,400~1,600万円であった(全体の14%)。年代別では、35歳以下は1,000~1,200万円(20%)、36~45歳は1,400~1,600万円(23%)が最も多かった。それ以降の世代では2,000~2,500万円が最も多く、46~55歳では16%、56~65歳および66歳以上はそれぞれ15%であった。

統合医療システムにおけるプロトンポンプ阻害薬の過剰使用を減らすための大規模な多要素介入の影響:差分の差分法研究 (解説:上村直実氏)

わが国では、ピロリ菌感染率の低下や食べ物の欧米化などにより胃がんが減少している。一方、胃酸分泌が亢進する傾向とともに食道・胃逆流症(GERD)の増加とともにGERDに対する薬物治療として頻用されているプロトンポンプ阻害薬(PPI)が長期使用されるケースが増加しているのが現状である。最近、PPI長期投与による副作用に関する欧米からの研究報告が散見されている。すなわち、市中肺炎や骨折のリスク増加、胃酸分泌抑制に伴って生ずる腸内細菌叢の変化に起因するClostridium difficile(CD)腸炎など腸内感染症の増加、腎機能の低下などが報告されている。日本人を対象とした精度の高い臨床研究によるエビデンスはないが、PPIの過剰投与に関する副作用や不必要なPPIの処方による医療費の増大にも注意するべき時代となっている。