消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

ひどい乗り物酔いを音楽が緩和

 車酔いや船酔いのときには気分が良くなる音楽を聴くと良いことが、新たな研究で示唆された。ヨット・ロックや明るいポップミュージックのような音楽が、乗り物酔いによる吐き気の緩和に役立つ可能性のあることが明らかになったという。西南大学(中国)のQizong Yue氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Human Neuroscience」に9月3日掲載された。  この研究では、穏やかで楽しい音楽を聴いた人は乗り物酔いからより早く回復する傾向にあることが明らかになった一方で、悲しい音楽は何の役にも立たないどころか、むしろ逆効果になる可能性も示唆されたという。Yue氏は、「われわれの結論に基づけば、移動中に乗り物酔いの症状を経験している人は、明るい音楽や穏やかな音楽を聴くことでその症状を和らげることができる」とFrontiers Media社のニュースリリースの中で述べている。

低用量アスピリンでPI3K変異大腸がんの再発半減/NEJM

 PIK3CA exon 9または20のホットスポット変異を有する根治的切除後の大腸がん患者において、低用量アスピリンはプラセボと比較し大腸がん再発率を有意に低下させることが認められ、PI3K経路の遺伝子に他の体細胞変異を有する患者においても、同様の有用性が示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnna Martling氏らが、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの33施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Adjuvant Low-Dose Aspirin in Colorectal Cancer trial(ALASCCA試験)」の結果を報告した。アスピリンは、遺伝性大腸がんの高リスク患者において、大腸腺腫および大腸がんの発生率を低下させることが知られている。観察研究では、とくにPIK3CA体細胞変異を有する患者において、アスピリンが診断後の無病生存期間(DFS)を改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験のデータはなかった。NEJM誌2025年9月18日号掲載の報告。

日本人アルコール関連肝疾患に対するナルメフェンの影響

 完全な禁酒は、アルコール関連肝疾患(ALD)マネジメントにおいて重要である。しかし、多くの患者が禁酒の達成または維持に難渋しており、ハームリダクション戦略、とくにアルコール摂取量を減らすための薬理学的介入への関心が高まっている。オピオイド受容体モジュレーターであるナルメフェンは、アルコール依存症患者の飲酒量減少に対する有効性を示している薬剤であるが、ALDにおける肝パラメーターへの影響については、実臨床において、これまで十分に検討されていなかった。奈良県立医科大学の花谷 純一氏らは、ALD患者に対するナルメフェンの有効性および安全性、飲酒量、肝機能、肝予備能の変化に焦点を当て、評価を行った。Hepatology Research誌オンライン版2025年8月16日号の報告。

進行がん患者の望む治療と実際の治療との間のずれが明らかに

 進行がん患者の中には、残された日々をできるだけ快適に過ごしたいと望む人は少なくない。しかし、医師はその願いに十分に耳を傾けていないことが、新たな研究で示唆された。そのような望みを持つ進行がん患者の多くが、痛みを和らげることよりも延命を重視した治療を受けていることが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の腫瘍内科医であるManan Shah氏らによるこの研究の詳細は、「Cancer」に8月25日掲載された。Shah氏は、「患者が望む治療と患者が実際に受けていると思っている治療との間にずれがあるのは大きな問題だ」とUCLAのニュースリリースの中で述べている。

ビタミンAはがんリスクを上げる?下げる?

 ビタミンA摂取とがんリスクの関連について、メタ解析では食事性ビタミンA摂取量が多いほど乳がんや卵巣がんの罹患率が低いと報告された一方、臨床試験ではビタミンAが肺がんや前立腺がんの死亡リスクを高めることが報告され、一貫していない。今回、病院ベースの症例対照研究の結果、食事性ビタミンA摂取量とがんリスクにU字型の関係がみられたことを、国際医療福祉大学の池田 俊也氏らが報告した。Nutrients誌2025年8月25日号に掲載。

患者報告アウトカムはがん患者の独立した予後予測因子~メタ解析

 がん患者4万4,030例を対象とした69件のランダム化比較試験を統合したシステマティックレビューとメタ解析により、ベースライン時の全般的健康状態・QOLスコア、身体機能、役割機能(role functioning)が良好な患者ほど予後が良好であった一方、悪心・嘔吐、疼痛、疲労などの症状が強い患者ほど予後が不良であったことが、カナダ・トロント大学のRyan S. Huang氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2025年9月11日号掲載の報告。  これまで、症状や生活の質などの患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)と全生存(OS)との関連は報告されているが、特定のPROドメインが予後予測因子となり得るかどうかは不明であった。そこで研究グループは、がん患者におけるベースライン時のPROとOSとの関連性を評価し、さまざまなPROドメインの予後予測的意義を定量化するために、システマティックレビューとメタ解析を実施した。

ピロリ除菌は全年齢層で有効、国際的なコンセンサス発表/Gut

 台湾・台北で行われた「Taipei Global Consensus II」において、Helicobacter pylori(H. pylori)感染の検査・除菌による胃がん予防戦略に関する国際的な合意文書が公表された。日本を含む12ヵ国・地域(台湾、中国、香港、韓国、日本、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ドイツ、フランス、オーストラリア、米国)の32人の専門家がGRADEシステムを用いてエビデンスを評価し、28のステートメントで80%以上の合意が得られた。この内容はGut誌オンライン版2025年9月5日号に掲載された。

ブロッコリー・キャベツなどが大腸がん予防に/メタ解析

 これまでに報告された疫学研究によれば、食事は大腸がんリスクに寄与する主要な環境要因の1つとされている。とくにキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜はポリフェノール、食物繊維、ビタミンCなどを豊富に含み、これらががん予防に寄与する可能性が示されていた。中国・The Second Clinical Medical School of Inner Mongolia University for the NationalitiesのBo Lai氏らは、アブラナ科の食物摂取量と大腸がん発症の関連についてメタ解析した。BMC Gastroenterology誌2025年8月11日号掲載の報告。

医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性

 日本国内で承認されているバイオシミラーは19成分となり、医療費適正化の観点から活用が期待されるが、患者調査における認知度は依然として低く、医療者においても品質に対する理解が十分に定着していない。2025年8月29日、日本バイオシミラー協議会主催のメディアセミナーが開催され、原 文堅氏(愛知県がんセンター乳腺科部)、桜井 なおみ氏(一般社団法人CSRプロジェクト)が、専門医・患者それぞれの立場からみたバイオシミラーの役割について講演した。  化学合成医薬品の後発品であるジェネリック医薬品で有効成分の「同一性」の証明が求められるのに対し、分子構造が複雑なバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーでは同一性を示すことが困難なために、「同等性/同質性」を示すことが求められる。

中等症以上の潰瘍性大腸炎へ新たな経口治療薬が登場/ファイザー

 ファイザーは、2025年9月12日に中等症~重症の潰瘍性大腸炎に対するスフィンゴシン1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬エトラシモド(商品名:ベルスピティ)を発売した。  潰瘍性大腸炎は、大腸におけるびまん性および連続性の粘膜炎症性病変を特徴とし、寛解と再燃を繰り返す慢性炎症性腸疾患で、主な症状として粘血便、下痢、腹部不快感、腹痛などがあり、倦怠感や貧血なども現れる。