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閉経前女性のホルモン避妊薬使用、大腸がんと関連なし/BMJ

 現代のホルモン避妊薬の現在または最近の使用は、大腸がん発症リスクに影響を及ぼさなかったことを、デンマーク・Danish Cancer InstituteのIsabella H. Lange氏らが、同国レジストリーを用いたコホート研究の結果で報告した。ホルモン避妊薬は、卵巣がんや子宮内膜がんのリスクを低減させる一方、乳がんのリスクを高めることが知られている。しかしながら大腸がんとの関連については依然として限定的で一貫性がなく、とくに現代のホルモン避妊薬(新規プロゲスチン、プロゲスチン単剤、非経口製剤を含む)が大腸がんのリスクに与える影響は明らかにされていなかった。著者は今回の結果について、「現代の避妊薬が若年女性の大腸がん発症リスクの上昇にも低下にも関連しないことを示しており、ホルモン避妊薬の使用と大腸がんとの関連性を裏付ける証拠は得られなかった」とまとめている。BMJ誌2026年7月15日号掲載の報告。デンマークの女性約196万人を追跡調査 研究グループは、デンマークの処方箋登録(Danish National Prescription Registry)、がん登録(Danish Cancer Registry)、患者登録(Danish National Patient Registry)および統計局の雇用および教育状況に関するデータを用い、1995年1月1日時点で15~49歳および2021年12月31日までに15歳に達した女性で、デンマークに5年以上居住しており、子宮摘出術、卵巣摘出術、または不妊手術の既往歴がない195万6,948人を特定した。ホルモン避妊薬の使用期間または種類と大腸がんの初回診断との関連について、ポアソン回帰モデルを用い、補正後発症率比および95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 ホルモン避妊薬の使用期間は、現在または最近の使用(継続使用、または過去6ヵ月以内に使用を中止)、過去使用(使用中止から6ヵ月超経過)、未使用(追跡調査日にその時点まで一度もホルモン避妊薬を処方されていない)に分類した。 追跡期間は、大腸がんの初回診断、死亡、国外への移住、50歳に達した時点または2021年12月31日の追跡期間終了のいずれか早い時点までであった。がんの診断または子宮摘出術、卵巣摘出術、不妊手術を受けた場合は打ち切り、妊娠中および妊娠終了後6ヵ月間は一時的に打ち切りとした。大腸がん発症率比に差は認められず 追跡期間中央値12.5年(四分位範囲:5.9~20.5)、2,450万人年において、1,878例が新たに大腸がんと診断され、発症率は年齢とともに増加した。 現在および最近の使用者の未使用者に対する大腸がん発症率比は0.94(95%CI:0.83~1.06)であり、現在または最近の使用者の中で使用期間が5年未満の場合は0.97(95%CI:0.85~1.11)、10年超でも0.86(95%CI:0.62~1.18)であった。過去使用者の発症率比は未使用者と同様であったが、中止後10年以上経過した場合は発症率比がわずかに低下した(0.81、95%CI:0.66~0.99)。 配合経口避妊薬の種類によって発症率比に一貫した差異は認められなかった。最も多く使用されているプロゲスチン単剤の経口製剤(desogestrel)の発症率比は1.09(95%CI:0.74~1.61)、非経口製剤(レボノルゲストレル放出子宮内システム)の発症率比は0.96(95%CI:0.81~1.15)であった。

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診療科別2026年上半期注目論文5選(消化器内科編~消化管領域)

Darvadstrocel in Patients With Crohn’s Disease With Complex Perianal Fistulas: The ADMIRE CD II Phase 3 Randomized TrialColombel JF, et al. Gastroenterology. 2026;170:1562-1570.<ADMIRE CD II試験>:複雑痔瘻を有するクローン病患者に対するdarvadstrocel、24週時の痔瘻寛解率を低下させずランダム化盲検、プラセボ対照試験。本試験では、欧州の複雑痔瘻を有するクローン病患者において、24週痔瘻寛解率がdarvadstrocel群(同種脂肪組織由来間葉系幹細胞の局所投与)48.8%(138/283例)、プラセボ群46.3%(132/285例人)であり、有意な改善は認められませんでした(群間差:2.4%、95%信頼区間[CI]:-5.8~10.6、p=0.571)。クローン病複雑痔瘻に対する幹細胞治療の位置付けを再考させる重要な知見です。Zanidatamab with and without Tislelizumab in HER2-Positive Gastroesophageal CancerShitara K, et al. N Engl J Med. 2026;394:2002-2014.<HERIZON-GEA-01試験>:未治療のHER2陽性進行胃・食道胃接合部・食道腺がんへのzanidatamab併用、PFS延長ランダム化非盲検、実薬対照試験。本試験は、全世界のHER2陽性切除不能局所進行・再発・転移を有する胃・食道胃接合部・食道腺がん患者を対象に実施され、初回治療において、無増悪生存期間(PFS)中央値がzanidatamab併用群(zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群[カペシタビン+オキサリプラチンまたはフルオロウラシル+シスプラチン]、zanidatamab+化学療法群)でともに12.4ヵ月、zanidatamab非併用群(トラスツズマブ+化学療法)8.1ヵ月でした(zanidatamab非併用群に対するハザード比[95%CI]:0.63[0.51~0.78]、0.65[0.52~0.81])。既存HER2抗体薬とは独立したHER2抗体薬の有効性を示した点で、臨床的意義が大きい結果です。Effect of a Computer-Aided Device for Detecting Gastric Neoplasms: A Multicenter, Randomized Controlled TrialDong Z, et al. Gastroenterology. 2026;170:1518-1532.<上部消化管内視鏡におけるAI支援システム>:胃腫瘍検出率の有意な改善は認められず多施設ランダム化比較試験。本試験では、中国の上部消化管内視鏡を受ける患者において、胃腫瘍検出率がAI支援内視鏡群1.42%(600/1万4,767例)、AI支援システム非使用群1.25%(185/1万4,747例)であり、有意差は認められませんでした(リスク比:1.13、95%CI:0.92~1.38、p=0.25)。上部消化管内視鏡AIの胃腫瘍検出支援としての位置付けを再考させる知見です。Vonoprazan-Tetracycline Dual Regimen as Rescue Therapy for Helicobacter pylori Infection: Randomized Controlled TrialGao W, et al. Gastroenterology. 2026;170:1473-1483.<pylori除菌不成功患者へのボノプラザン+テトラサイクリン>:ビスマス4剤治療群と比較して除菌率は非劣性非盲検ランダム化非劣性試験。中国のHelicobacter pylori除菌不成功患者において、除菌率が、ボノプラザン+テトラサイクリン治療群(14日間)90.6%(154/170例)、ビスマス4剤治療群(ランソプラゾール、ビスマス、テトラサイクリン、メトロニダゾール、14日間)89.3%(151/169例)でした(群間差1.2%、95%CI:-5.7~8.2、非劣性p=0.0003)。2次以降の除菌治療において、欧米の主要な除菌治療法であるビスマス4剤治療群に対する、ボノプラザンをベースとした除菌治療の非劣性が示された重要な試験です。Long-term effects of colonoscopy screening on colorectal cancer incidence and mortality: a multicountry, population-based randomised controlled trialKaminski MF, et al. Lancet. 2026;407:1787-1795.<NordICC試験>:55~64歳の一般住民に対する1回の大腸内視鏡、大腸がん死亡率の有意な減少効果を認めず多国間人口ベースランダム化比較試験。13年追跡時点で大腸がん死亡率が大腸内視鏡検査スクリーニング群0.41%(106/2万8,217人)、非スクリーニング群0.47%(236/5万6,366人)であり、死亡率の有意な減少は認められませんでした(群間差:-0.06、95%CI:-0.16~0.04)。一般集団検診における大腸内視鏡検査の有用性を再考させる重要な知見です。

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PCI実施の急性冠症候群患者、LDL-C40未満でMACEリスク最小化/CVIT

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した急性冠症候群(ACS)患者において、PCI後早期におけるLDL-C 40mg/dL未満の達成は、長期的な主要心血管イベント(MACE)リスクの最小化に直結し、慢性冠症候群(CCS)患者と比較してもはるかに大きな臨床的恩恵をもたらすことが明らかになった。本結果は片岡 有氏(国立循環器病研究センター 循環器内科)が2026年7月16~18日に開催された第34回日本心血管インターベンション治療学会のLate Breaking Clinical Trials 1にて発表し、JACC Asia誌オンライン版2026年7月17日号に同時掲載された。一律の管理目標から「臨床病態に応じた個別化」へ 現行の欧州心臓病学会(ESC)などの『脂質異常症管理のためのガイドライン』では、心血管イベントの二次予防、とくにACSを含む超高リスク患者に対してLDL-C 55mg/dL未満、さらに一部の極高リスク患者には40mg/dL未満の達成を推奨している。しかし日本の実臨床では、ACSと安定期病態であるCCSに一律のLDL-C管理基準値が適用されており、両病態での脂質低下療法の恩恵の差異や、40mg/dL未満達成への真の臨床的意義について、直接比較した多施設データは十分に示されていない。また、J-PCIレジストリデータ(2024年)によると、日本国内で年間約9万5,000例のACS患者がPCI治療を受けている。 そこで同氏らは、国内3施設(国立循環器病研究センター、柏厚生総合病院、近森病院)でPCIを受け、3年間フォローアップされた冠動脈疾患(CAD)患者2,560例(CCS:878例、ACS:1,682例)を対象に大規模多施設レトロスペクティブ解析を実施し、LDL-C値層別化によりACS、CCSでの心血管系の転帰の違い、LDL-C 40mg/dL未満への低下効果について検証した。本研究におけるLDL-C達成は、PCI後2ヵ月(8週間)時点で測定された値とし、主要評価項目はMACE(心臓死、非致死性心筋梗塞[MI]、非責任病変における冠血行再建術)*とした。*再狭窄やステント血栓症に伴う標的病変再血行再建術(TLR)は評価項目から除外 主な結果は以下のとおり。・PCI後2ヵ月時点でのLDL-C達成中央値は、CCS群で61.0mg/dL、ACS群で60.5mg/dLであった。・LDL-C 55mg/dL未満の達成率は、CCS群で32.5%、ACS群で29.4%と両群間に有意差はなかった。・CCSのLDL-C 70mg/dL以上の患者群を基準として多変量調整ハザード比(aHR)を算出・比較したところ、ACSでLDL-C 70mg/dL以上にとどまった群では、aHR2.31(95%信頼区間[CI]:1.61~3.31、p<0.001)と、心血管イベントリスクが大幅に上昇していた。・LDL-C 55mg/dL未満を達成したACS患者では、aHR0.29(95%CI:0.17~0.51、p<0.001)とMACEリスクが極めて低いレベルに抑えられた。これに対し、CCS患者のaHRは0.67(p=0.088)であった。・カプランマイヤー曲線による推定でも、ACS患者での55mg/dL未満達成群と非達成群の乖離は、CCS患者と比較して顕著であった。・LDL-C 40mg/dL未満を達成した超厳格管理群(CCS:10.9%、ACS:9.2%)の追加解析を実施したところ、ACS患者のaHRは0.20(95%CI:0.06~0.72、p=0.039)で、40~54mg/dL群(aHR:0.88、p=0.009)と比較してもリスクが大幅に減少していた。・連続的なLDL-C値とMACEリスクの関連を評価するスプライン曲線解析において、CCS患者では全体的な関連性が認められたものの非線形性は有意ではなかった(Non-linearity p=0.211、Overall association p=0.040)。・ACS患者では非常に強い非線形性を示し(Non-linearity p<0.001、Overall association p<0.001)、LDL-Cの低下がMACEリスク低下に極めて高感度に反映されることが示唆された。 本結果の限界として、観察研究の枠組みであること、日本人のみを対象としたデータ、脂質評価タイミングといった点が挙げられるが、PCI後のACS患者で、病態の安定化と新規イベント予防のためにPCI後2ヵ月(8週間)という極めて早期の段階でLDL-C値を70mg/dL未満→55mg/dL未満→40mg/dL未満と段階的かつ強力にコントロールすることの重要性が示された。 なお、上述のようにACS患者でPCI治療を受けている10万例弱に対して本解析結果を適用した場合、日本人ACS患者の約70%(年間約6万6,500例に相当)がPCI後にLDL-C 55mg/dL以上の高リスク水準に留まっていると推計される。これらを踏まえて、同氏は「ACSというハイリスク症例に対しては、躊躇することなく早期から強力なLDL-C管理(Strike Early)である“LDL-C 40mg/dL未満”という超厳格な目標達成を目指すことが重要である」と締めくくった。

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第328回 「ゾンビ」好中球を排除する薬で若返り

ゾンビのようになってしまった好中球の除去を促す薬で老化現象を食い止められるかもしれません1)。毒をまき散らしたり有害な不穏分子を生み出したりする、いわばゾンビのような死にぞこないの老化細胞を排除する生体の能力は、歳を経るにつれて衰えていきます。そういう老化細胞の除去を仕事とする組織定住マクロファージ(TRM)は卵黄嚢起源の赤血球系-骨髄系前駆細胞(EMP)を出どころとし、その名のとおり一つ所で生涯にわたって自己再生します。TRMは主要な臓器(脳、肝臓、肺、心臓、腎臓)のマクロファージの大半(60~90%)を占め、息が長いゆえに老化の影響をとくに受けやすく、代謝、酸化、炎症による傷を数年から何十年ものあいだ溜め込みます。どの臓器にも豊富で遍在するTRMの老化に応じた変化は臓器の機能不全や全身の老化を起こす主だった要因かもしれません。死にかけ(apoptotic)、老化、損傷した細胞を丸呑みして排除することがTRMの主な働きで、エフェロサイトーシス(efferocytosis)と呼ばれるその貪食作用は慢性炎症を防ぐのに不可欠です。TRMはもっぱら好中球を標的とします。好中球は最も豊富に作られる免疫細胞で、マウスでは毎日100億個以上、ヒトに至っては毎日1千億個以上が作られます。好中球は長寿のマクロファージと違って短命で、体内を巡るほんの数時間に老化し、絶えず処分される必要があります。老化した好中球は本来なら肝臓、脾臓、骨髄でTRMの手に掛かってやすやすと取り除かれますが、排除されないままの老化好中球は組織を傷つけ、炎症を広げ、老化を促すNET(好中球細胞外トラップ)やプロテアーゼをまき散らします。当然ながらTRMもまた老化で支障を来します。その原因の1つは生理活性を担う脂質の一種のプロスタグランジンE2(PGE2)受容体にあるようです。老化したマクロファージやマイクログリア(脳のマクロファージ)でPGE2はその受容体の1つのEP2を介して解糖系やミトコンドリア呼吸を抑制し、貪食を妨げ、炎症を長引かせることが2021年にNature誌に掲載された研究成果で示されています5)。新たなマウスの検討で、そのEP2伝達こそ臓器の老化の主要な調節因子であり、TRMのEP2伝達を減らすことで老化好中球を除去するTRMの働きが回復して筋肉減少、脂肪増加、心臓障害、全身炎症などの老化病変を防ぎうることが示されました1)。また、先立つ研究でも示されている認知低下を食い止めるEP2伝達抑制の効果もみられました。そのような効果はどうやらEP2の阻害薬でも得られそうです。Pfizerの研究者が見つけた6) EP2阻害薬PF-044189487)を老化マウスに投与したところ、脾臓や骨髄での老化好中球の蓄積が減りました。また、好中球を除去するエフェロサイトーシスの働きがPF-04418948で若い頃のように回復しました。マウスに限らずヒトの臓器でもEP2は老化好中球の除去を妨げているようです。ヒトの肝臓の記録を調べたところ、高齢者のTRMはより減っていてEP2をより発現しており、好中球は老化特徴に偏っていました。ヒトのTRMがマウスと同様に老化好中球を除去するのが困難になることがあるかどうか、そしてEP2阻害薬でその困難を解消できるかどうかを今後の試験で調べる必要がある、と著者は言っています1)。 参考 1) Restored clearance of senescent neutrophils by tissue-resident macrophages limits organ aging / Science 2) Tidying up aging organs / Science 3) Restoring ability to remove zombie cells may keep us sharp as we age / NewScientist 4) Breakdown of immune cells’ interaction is key driver in aging, study finds / Eurekalert 5) Minhas PS, et al. Nature. 2021;590:122-128. 6) Birrell MA, et al. Br J Pharmacol. 2011;164:1845-1846. 7) af Forselles KJ, et al. Br J Pharmacol. 2011;164:1847-1856.

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ASCO2026 レポート 肺がん

レポーター紹介ASCO2026は、プレナリーセッションに肺がんの演題が2演題選ばれるなど、肺がん領域におけるインパクトが大きい大会となった。とくに、ivonescimabとチスレリズマブを比較したHARMONi-6試験の全生存期間(OS)解析がプレナリーセッションに選出され、これは中国発の治験薬がASCOの60年以上の歴史でプレナリーセッションに選ばれた初めての事例だと思われる。同じくプレナリーセッションでは、RET融合陽性早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後補助療法としてのセルペルカチニブの有効性を示したLIBRETTO-432試験の結果も発表され、EGFR、ALKに続きRETでも術後補助療法における分子標的治療のエビデンスが確立した。周術期領域では、ALK融合陽性のStageIII NSCLCに対する周術期ロルラチニブの試験であるLORIN試験が、化学療法や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に匹敵する、あるいはそれを上回る高い病理学的奏効を報告し話題となった。転移・進行期領域では、EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCの1次治療におけるsunvozertinib単剤の優越性を示したWU-KONG28試験、PD-L1陽性NSCLCの1次治療としてTROP2標的抗体薬物複合体(ADC)とペムブロリズマブの併用療法の有効性を示したOptiTROP-Lung05試験など、新規の分子標的薬と抗体医薬品を軸とした新たな治療選択肢の広がりが続いた。ALK陽性NSCLCでは、CROWN試験の7年フォローアップにより、ロルラチニブの長期的ベネフィットが改めて示された。さらに、オシメルチニブなど第3世代EGFR-TKI耐性後の中心的な耐性機序であるC797X変異を克服しうる第4世代EGFR-TKIの開発が世界各地で進み、DZD6008、BH-30643、BDTX-1535 (silevertinib)、VRN110755など複数の候補薬の初期臨床データが報告された年でもあった。[目次]WU-KONG28試験OptiTROP-Lung05試験LORIN試験LIBRETTO-432試験HARMONi-6試験CROWN試験第4世代EGFR-TKI(DZD6008、BH-30643、BDTX-1535、VRN110755)さいごにWU-KONG28試験EGFR exon20挿入変異陽性の進行NSCLCに対する1次治療として、次世代EGFR-TKIであるsunvozertinib単剤とプラチナ併用化学療法を比較する国際多施設共同ランダム化第III相試験がWU-KONG28試験である。本試験は、未治療の進行NSCLC患者324例を、sunvozertinib単剤の1日1回投与群、またはカルボプラチン+ペメトレキセド併用後にペメトレキセド維持療法を行う化学療法群に無作為に割り付けた国際共同試験であり、化学療法群では病勢進行後にsunvozertinibへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は独立中央画像判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)であった。PFS中央値はsunvozertinib群で10.3ヵ月、化学療法群で7.5ヵ月であり、ハザード比(HR)は0.65(95%CI:0.50~0.85、p<0.001)と統計学的に有意な結果であった。奏効割合(ORR)はsunvozertinib群で58.9%、化学療法群で31.1%、奏効期間(DoR)の中央値はそれぞれ11.2ヵ月、7.1ヵ月であった。安全性プロファイルは既報と一致し、新規の安全性シグナルは認められなかった。本試験の結果はNew England Journal of Medicine誌に同時掲載された。EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCの1次治療は、既に抗体医薬品であるアミバンタマブと化学療法の併用療法(PAPILLON試験)が導入されつつある領域であり、sunvozertinibは経口薬としての利便性を武器に一定の地位を確立する可能性がある。さらに、中枢神経系(CNS)における効果、至適用量、非アジア人集団における有効性、near-loop型とfar-loop型の挿入変異による効果の違い、そしてアミバンタマブを中心とした治療戦略との最適なシークエンスなど、今後検討すべき課題も多く残されている。目次に戻るOptiTROP-Lung05試験PD-L1陽性進行NSCLCの1次治療として、TROP2を標的とした抗体薬物複合体であるsacituzumab tirumotecan(sac-TMT)とペムブロリズマブの併用療法の意義を検証した国際多施設共同非盲検ランダム化第III相試験がOptiTROP-Lung05試験である。本試験は、EGFR・ALK遺伝子異常を有さず、PD-L1 TPS 1%以上の未治療の局所進行・転移性NSCLC患者413例を対象とし、sac-TMT(4mg/kgを2週ごと)とペムブロリズマブ(400mgを6週ごと)の併用群、またはペムブロリズマブ単独群に1:1の割合で無作為に割り付けた。主要評価項目は独立中央判定によるPFSであった。PFS中央値は併用群で未到達、ペムブロリズマブ単独群で5.7ヵ月であり、HRは0.35(95%CI:0.26~0.47、p<0.0001)と大きな差が認められた。12ヵ月時点のPFS率は62.4%と29.0%であった。ORRは併用群70.2%、単独群42.0%であり、50%以上の深い奏効を示した割合も49.0%と25.9%であった。OSは未成熟であったが、12ヵ月OS率は併用群80.4%、単独群68.9%と良好な傾向を示した。Grade3以上の治療関連有害事象は併用群55.3%、単独群31.4%であり、好中球減少、貧血、口内炎などが主な事象であった。本試験は、ADCとICIの併用療法がPD-L1陽性進行NSCLCの1次治療においてPFSの統計学的に有意な改善を示した初めての第III相試験であり、結果はLancet誌に同時掲載された。一方で、対照群がペムブロリズマブ単独である点は解釈上の限界であり、とくにPD-L1 TPS 1~49%の集団では化学療法併用が国際的な標準治療とされているため、単独群との比較で得られた効果の大きさをそのまま評価してよいかは慎重な検討を要する。CNSにおける効果や成熟したOSデータ、グローバルでの検証が今後の焦点となる。目次に戻るLORIN試験ALK融合遺伝子陽性のStageIII NSCLCに対する周術期治療として、ロルラチニブの術前投与とその後の手術、術後継続投与の有効性・安全性を検討した中国発の多施設共同単群第II相試験がLORIN試験である。本試験では、切除可能または境界切除可能なStageIIIのALK融合陽性NSCLC患者を対象に、術前ロルラチニブ投与後に手術を行い、可能な症例では術後もロルラチニブを継続する治療戦略が検討された。主要評価項目である病理学的完全奏効割合(pCR)は46.9%、副次評価項目のMajor Pathologic Response(MPR)は81.3%であり、神経療法やICIを含む従来の周術期治療と比較しても高い病理学的奏効が報告された。当初手術不能と判断されていた24例のうち18例(75.0%)は集学的な再評価を経てconversion surgeryに至り、残る症例もTKIの継続投与や放射線治療などが選択された。追跡期間中央値13ヵ月の時点で、1年無イベント生存(EFS)率は97.1%(95%CI:91.5~100)であり、OSイベントは認められなかった。局所再発は3例のみで、いずれも初診時N3の症例であり、術後補助療法としてのロルラチニブは投与されていなかった。EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対するNeoADAURA試験やこれまでのオシメルチニブによる術前治療の病理学的完全奏効割合がおおむね10%未満にとどまっていたことと比較すると、ロルラチニブによる病理学的奏効の高さは際立っている。ただし本試験は単群かつ中国単独の小規模な検討であり、EFS・OSのデータも未成熟である。目次に戻るLIBRETTO-432試験RET融合遺伝子陽性の早期NSCLCに対する術後補助療法として、選択的RET阻害薬であるセルペルカチニブの有効性・安全性を検討したプラセボ対照二重盲検ランダム化第III相試験がLIBRETTO-432試験であり、本年のプレナリーセッションで発表された。本試験は、根治的な手術または放射線治療を受けたStageIB~IIIAのRET融合陽性NSCLC患者を対象に、22か国から151例を登録し、セルペルカチニブ群(75例)またはプラセボ群(76例)に1:1の割合で無作為に割り付けた。主要な解析対象集団であるStageII~IIIAの患者において、EFSのHRは0.172(95%CI:0.058~0.509、p=0.0003)であり、2年EFS率はセルペルカチニブ群91.5%、プラセボ群61.1%であった。全体集団(151例)においても、EFSのHRは0.165(95%CI:0.056~0.485、p=0.0002)、2年EFS率は92%と61%であり、両群ともEFS中央値は未到達であった。死亡は3例のみで、いずれもプラセボ群における原疾患による死亡であり、割り付けられた治療期間中の死亡はなかった。有害事象はALT・AST上昇を中心に、進行期での既報プロファイルと一致していた。本試験は、早期RET融合陽性NSCLCに対するRET阻害薬の術後補助療法としての有効性を検証した初めての第III相試験であり、結果はNew England Journal of Medicine誌に同時掲載された。EGFR遺伝子変異陽性肺がんにおけるオシメルチニブ、ALK融合遺伝子陽性肺がんにおけるアレクチニブに続き、RET融合陽性肺がんにおいても術後補助療法としての分子標的治療のエビデンスが確立したことになる。RET融合陽性NSCLCは全体の1~2%程度とまれな分子サブグループであるが、3,446例をスクリーニングして151例を組み入れたという実施体制は、稀少なバイオマーカーに基づく術後補助療法試験の実施可能性を示した点でも意義深い。また、EGFR、ALKに続いて、シングルプレックスの遺伝子検査が存在しないRET融合遺伝子についても術後療法のエビデンスが創出されたことにより、周術期のバイオマーカー検査へのアクセスのさらなる拡大が期待される。目次に戻るHARMONi-6試験未治療進行扁平上皮NSCLCの一次治療として、PD-1/VEGF二重特異性抗体であるivonescimabと化学療法の併用療法と、抗PD-1抗体であるチスレリズマブと化学療法の併用療法を比較した中国発の国際共同ランダム化第III相試験がHARMONi-6試験であり、本年のプレナリーセッションで発表された。本試験は、未治療のStageIII~IVの扁平上皮NSCLC患者532例を、ivonescimab+化学療法群、またはチスレリズマブ+化学療法群に1:1(各266例)の割合で無作為に割り付けた。既報のPFS解析では、PFS中央値は11.1ヵ月と6.9ヵ月、ハザード比0.60(p<0.0001)と統計学的に有意な結果が示されていたが、本年は副次評価項目であるOSの事前規定の中間解析結果が報告された。データカットオフ日(2026年2月27日)時点で、追跡期間中央値21.36ヵ月において、OS中央値はivonescimab群27.89ヵ月、チスレリズマブ群23.69ヵ月であり、HRは0.66(95%CI:0.50~0.87、片側p=0.0017)と、事前に規定された有意性の境界(片側p<0.0049)を上回る統計学的に有意な結果であった。24ヵ月OS率は64.7%と48.6%であった。PD-L1 TPS1%未満の集団においてもOS中央値は未到達と18.6ヵ月であり、ハザード比0.64と一貫したベネフィットが認められた。本試験は、中国発の治験薬としてASCOの61年の歴史で初めてプレナリーセッションに選出された演題であり、結果はLancet誌に同時掲載された。一方で、対照群であるチスレリズマブ+化学療法群のOSが、既存の欧米標準治療であるペムブロリズマブ+化学療法(KEYNOTE-407試験)の成績を上回っている点は、対照群自体の成績が良好であるがゆえに、相対的な効果が過大評価されている可能性を示唆するとの指摘もあり、今後グローバルな集団における検証(HARMONi-3試験等)が焦点となる。目次に戻るCROWN試験未治療進行ALK融合遺伝子陽性NSCLCに対する1次治療として、ロルラチニブとクリゾチニブを比較した国際共同ランダム化第III相試験であるCROWN試験は、すでに実臨床に導入された標準治療の1つであるが、本年のASCOでは登録された296例(ロルラチニブ群149例、クリゾチニブ群147例)を対象とした7年フォローアップの結果が報告された。追跡期間中央値はロルラチニブ群83.0ヵ月、クリゾチニブ群77.2ヵ月であり、投与者評価によるPFS中央値はロルラチニブ群で未到達、クリゾチニブ群で9.1ヵ月、HRは0.19(95%CI:0.13~0.26)であった。7年時点でのPFS率はロルラチニブ群55%(95%CI:46~63)、クリゾチニブ群3%(95%CI:1~8)であり、24ヵ月の時点でPFSイベントを認めなかった患者が7年時点まで無増悪でいられる確率は79%であった。頭蓋内病勢進行までの期間中央値はロルラチニブ群で未到達、クリゾチニブ群で16.4ヵ月であり、HRは0.06(95%CI:0.03~0.12)、ロルラチニブ群では投与開始後30ヵ月以降に新規の頭蓋内進行イベントは認められなかった。安全性プロファイルは5年時点の解析から大きな変化はなく、データカットオフ時点でロルラチニブ群の44%が投与を継続していた(クリゾチニブ群は3%)。CROWN試験は、固形がん全体を通じても単剤の分子標的治療としては過去最長級のPFSを更新し続けており、ALK融合遺伝子陽性肺がんの1次治療におけるロルラチニブの位置付けを改めて強固なものとした。一方で、高脂血症、体重増加、浮腫、末梢神経障害、認知機能への影響など、長期間にわたる投与に伴う有害事象については、早期からの積極的なマネジメントと必要に応じた減量が実臨床上の重要な課題であり続けている。目次に戻る第4世代EGFR-TKI(DZD6008、BH-30643、BDTX-1535、VRN110755)オシメルチニブに代表される第3世代EGFR-TKI耐性後の中心的な耐性機序の1つであるEGFR C797X変異は、既存の薬剤では標的化することができず、これを克服しうる第4世代EGFR-TKIの開発が世界各地で進められている。本年のASCOでは、中国・米国・韓国発の複数の候補薬について初期臨床データが報告された。DZD6008は、EGFR exon19del/L858Rに加え、T790MやC797Xを含む二重・三重変異にも活性を有し、血液脳関門透過性に優れた第4世代EGFR-TKIである。第3世代EGFR-TKI後に増悪したEGFR C797X陽性NSCLC患者24例(評価可能例)を対象とした、TIAN-SHAN1・TIAN-SHAN2試験(第I/II相)では、20/40/60mgの用量でDZD6008が1日1回投与され、全体でのORRは41.7%、腫瘍縮小を認めた割合は75%であった。推奨第II相用量における解析では、40mg群(13例)でORR 23.1%、60mg群(10例)でORR 60.0%であった。DoR・PFSはいずれも未到達で、9ヵ月PFS率はそれぞれ54.5%、64.8%であった。頭蓋内活性も確認され、Grade3以上の治療関連有害事象はリンパ球数減少(8.3%)などにとどまり、用量制限毒性は認めなかった。BH-30643は、Macrocyclic構造を持つ非共有結合型・変異選択的な「OMNI-EGFR」阻害剤であり、T790MやC797Sの有無にかかわらず活性を維持することが前臨床で示されている。この薬剤を創薬したのは、ロルラチニブやレポトレクチニブなどのMacrocyclic阻害薬の創薬でも有名なJean Cui博士である。第I相のSOLARA試験では、EGFR・HER2変異陽性NSCLC患者72例(前治療ライン数中央値3、脳転移65%)が登録され、画像評価可能な17例中10例(59%)に部分奏効を認め、奏効割合はT790M陽性例(50%)と陰性例(66%)で同程度であった。とくにC797S陽性28例のうち画像評価可能な17例中10例(59%)が奏効し、ctDNA上でもC797S陽性例9例中7例でvariant allele frequencyの99%を超える減少が確認された。安全性についてはビリルビン上昇(36%)がGrade3の治療関連有害事象の主体であるが臨床的にはマネジメント可能で、間質性肺疾患は認められなかった。BDTX-1535(silevertinib)は、古典的変異に加え非典型的(non-classical/PACC)変異やC797S変異を標的とする、脳移行性の高い第4世代の共有結合型EGFR-TKIである。今回ポスターで発表されたのは、第3世代EGFR-TKI(主にオシメルチニブ)による治療歴を有し、非典型的変異またはC797S変異を有するNSCLC患者を対象とした第II相試験であり、前治療は2ライン以内、EGFR-TKIの投与歴は1剤に限定された集団が組み入れられた。200mg1日1回投与において、非典型的変異コホート(30例)のORRは16.7%(PACC変異に限定した解析[23例]ではORR 21.7%)、C797S変異コホート(33例)のORRは36.4%であり、治療期間中央値は4.8~5.0ヵ月であった。脳転移合併率はそれぞれ49%、31%であった。安全性はEGFR-TKI様のプロファイルであり、重篤な治療関連有害事象は11%、治療関連有害事象による投与中止は8%、Grade3の主な事象は発疹(13%)、下痢(8%)であった。同時期に別セッションで発表された未治療例におけるORR 60%というデータと比較すると、既治療・耐性獲得後の集団におけるベネフィットはより限定的であることが示唆される。VRN110755は、韓国のバイオベンチャーであるVoronoi社が開発する変異選択的かつ脳移行性の高い第4世代EGFR-TKIである。既治療のEGFR変異陽性NSCLC患者を対象とした第I/II相試験(REACH-EGFR)において、160mg以上の用量群で画像評価可能な21例中4例に部分奏効、16例に病勢安定が認められ、病勢コントロール率は95.2%であった。忍容性は良好であり、Grade3以上の治療関連有害事象や用量制限毒性は認められず、既存のEGFR-TKIと比較して下痢の頻度が低く、間質性肺疾患やQTc延長も認めなかった点が特徴として報告されている。C797S変異陽性例を含む前治療の進んだ集団においても一定の抗腫瘍活性が確認されており、今後の用量最適化および拡大コホートでの検証が注目される。以上のように、各薬剤ともまだ単群・少数例による初期段階のデータではあるが、C797X耐性を克服しうる経口の第4世代EGFR-TKIとして、抗体医薬品を中心としたアプローチ(アミバンタマブなど)とは異なる選択肢としての開発が進んでいる。今後は奏効の持続性(DoR・PFS)、頭蓋内活性、そして肝機能検査値異常や皮膚障害を中心とした忍容性の観点から、各剤の位置付けと差別化が焦点となっていくものと考えられる。目次に戻るさいごに2026年のASCOはHARMONi-6、LIBRETTO-432に代表される大型の第III相試験の結果に加え、周術期領域でのLORIN試験、進行期1次治療でのWU-KONG28試験・OptiTROP-Lung05試験、そして長期フォローアップデータとしてのCROWN試験7年成績など、肺がん治療のあらゆる場面において着実な進展がみられた。さらに、第4世代EGFR-TKIをめぐる複数の候補薬の初期データが報告されたことは、オシメルチニブ耐性後という長らく有効な標的治療の乏しかった領域に、新たな選択肢が生まれつつあることを示している。周術期ICIや抗体薬物複合体の開発とあわせ、肺がんの治療開発が実に幅広い領域で同時並行的に展開している状況は今後も続くと考えられる。目次に戻る

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英語学習の目的を明確にする【タイパ時代のAI英語革命】第16回

これまでの連載では、ChatGPTをはじめとする生成AIをどのように英語学習に活用できるかを解説してきました。ただし、英語学習で最も大切なのは「毎日計画を立て、その計画に沿ってコツコツと継続すること」です。働きながら学習を続けるのは大変ですが、この長期的な計画作りにもChatGPTを役立てることができます。本章では、ChatGPTをどのように英語学習の継続に活かせるのかを解説します。英語学習を成功させるためには、次の4つのステップが重要です。1)学習の意義・目的を明確にする2)長期的な目標を立てる3)目的に沿った手段を考える4)短期的な目標を日常に落とし込むなかでも最も大切なのは、1)の学習の「意義・目的」を明確にすることです。「英語を話せるようになりたい」という漠然とした気持ちだけでは、長期的な継続は難しくなります。自分はなぜ英語を学びたいのか、その根源を掘り下げることでモチベーションを維持することができます。学習動機のアイデアを出してもらうとはいえ、「なぜ自分が英語を学びたいのか」が、そもそもはっきりしないという人も多いでしょう。そこで役立つのが生成AIのアイデア出しの力です。ChatGPTを使えば、自分でも気付いていない学習動機を整理し、より具体的で持続可能な学習計画へつなげることができます。プロンプト例私は循環器内科の若手医師です。私が英語学習をする目的について考えたいです。私の立場として英語学習をする意義を5つ提案してください。回答例:1. 最新エビデンスへのアクセス循環器領域のガイドラインや臨床試験(例:AHA/ACC、ESCの発表)は、ほとんどが英語で公開されます。英語を理解できれば一次情報に直接触れることができ、診療にすぐ活かせます。2. 国際学会・研修への参加AHA、ACC、ESCといった国際学会では英語での発表・討論が中心です。英語力があることで自ら質問・発表でき、世界のエキスパートとネットワークを築く機会が広がります。3. 論文執筆・研究発表循環器内科は研究が盛んな分野であり、国際誌への投稿や多施設共同研究に関わる機会も多いです。英語で論文を書けることはキャリア形成に直結します。4. 臨床現場での国際対応循環器領域では救急(ACS、心不全、PEなど)で外国人患者を診る機会もあります。英語ができれば病歴聴取や説明をスムーズに行え、迅速な治療につながります。5. キャリアの選択肢拡大将来、海外留学や国際共同研究、外資系病院・国際医療機関での勤務を考える場合、英語力は必須です。国内にとどまる場合でも「英語を使える循環器専門医」という強みは教育・指導者としても評価されます。このようにアイデアを引き出すことで、「英語を話せるようになった自分がどんな未来を実現したいのか」をイメージしやすくなります。次のステップは、そのアイデアを基にさらに深掘りすることです。皆さんも「誰かと話しているうちに、自分の考えが整理されてきた」という経験をしたことがあるのではないでしょうか。対話を通じて自分の思いを言葉にすることで、内に秘めた動機を明確にできます。ChatGPTはその対話相手として最適です。まるで「コーチングのプロ」のように、質問を投げ掛けてもらうことで、英語学習の意義や目的をよりはっきりと見いだすことができます。以下がプロンプトの例です。プロンプト例#役割あなたは目標達成コーチングのプロです。#命令文対話を通して、私が英語学習をする目的を明確にしてください。#制約条件私は循環器内科の若手医師です。英語学習をキャリアの選択肢拡大に役立てたいと思っています。1回のメッセージにつき質問は1つにしてください。対話を通してまとまった内容は適宜要約してください。回答例:では始めましょう。まず最初にお聞きしますね。あなたが「キャリアの選択肢を広げる」ために英語を学ぶとして、どのような場面を具体的に思い描いていますか? たとえば海外留学、国際学会発表、英文論文執筆、国際的な医療機関での勤務など、どのような未来のイメージが一番近いでしょうか。このようなプロンプトを入力すると、ChatGPTがこちら側に質問をしてくるようになります。この後、10往復ほどやりとりをしたところ、以下のようにまとめてくれました。回答例:まとめ英語学習の大目標:海外留学を通じて成長し、日本の医療に貢献する重点場面:同僚医師とのディスカッション最大の課題:医療英語の専門用語と速い会話スピード最優先で克服したいこと:速い会話スピードへの対応具体的に強化したいスキル:スピーキング(自分の返答を素早く出す力)これで「英語学習の目的」がかなり具体化されましたね。このようなステップを経て、「英語を話せるようになりたい」という漠然とした目標が、詳細に言語化されました。この英語学習の目的に沿って、次のステップではさらに具体的な長期目標を考えていきます。

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リファンピシン耐性肺結核、4~5剤併用6ヵ月投与が有用/NEJM

 リファンピシン耐性肺結核の治療では、最近まで最大7種の薬剤を含むレジメンの9~18ヵ月間の投与が行われてきた。2022年、WHOは治療ガイドラインを改訂し、ベダキリンやpretomanidなどの新薬を含むレジメンの6ヵ月間の投与を、推奨される標準治療として追加したが、現在、pretomanidは14歳未満の小児や妊娠中または授乳中の女性には禁忌とされる。南アフリカ共和国・University of the WitwatersrandのFrancesca Conradie氏らは、「BEAT Tuberculosis試験」において、小児や妊娠中・授乳中の女性を含む患者集団の治療では、ベダキリン、リネゾリド、デラマニド、レボフロキサシンまたはクロファジミンを含む新戦略の6ヵ月間投与は同国の標準治療の9ヵ月間投与に対し、有効性に関して非劣性であり、安全性プロファイルは同程度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年6月25日号に掲載された。ベダキリン、リネゾリド、デラマニド+レボフロキサシン/+クロファジミン併用投与 BEAT Tuberculosis試験は、南アフリカ共和国の2つの都市部地域で実施した実践的な非盲検無作為化対照比較第III相非劣性試験(米国国際開発庁などの助成を受けた)。2019年8月~2022年10月に、年齢6歳以上、リファンピシン耐性の肺結核で、イソニアジドやフルオロキノロン系抗菌薬への耐性の有無は問わず、妊娠中または授乳中の女性を含む患者を登録した。 被験者403例(年齢中央値35.0歳[四分位範囲[IQR]:28.0~43.0]、女性170例[42.2%]、BMI中央値19.2[IQR:17.1~22.2])を、ベダキリン、リネゾリド、デラマニドと、レボフロキサシンまたはクロファジミン(あるいはこれら両方)の投与を6ヵ月間受ける群(試験戦略群203例)、またはリファンピシン耐性結核に対する南アフリカ共和国の標準治療を9ヵ月間受ける群(対照群200例)に無作為に割り付けた。 有効性の主要エンドポイントは、治療終了時および無作為化から76週の時点における良好なアウトカム(治癒または治療完了)であった。治癒は、適格な治療アドヒアランス(投薬順守率≧80%)を達成し、治療終了前の14日以上の間隔を空けた2回の喀痰検査で陰性であること、治療完了は、適格な治療アドヒアランスを達成し、治療失敗の証拠がないことと定義した。非劣性マージンは10%ポイントとした。良好なアウトカム、試験戦略群86.1%vs.対照群86.0% ベースラインで30例(7.4%)が8~17歳、女性参加者のうち9例(5.3%)が妊婦で、205例(50.9%)がHIV感染者、167例(41.4%)がBMI値<18.5であった。 良好なアウトカムは、試験戦略群で202例中174例(86.1%)、対照群で200例中172例(86.0%)に認められた。両群間の補正後リスク差は-0.2%ポイント(95%信頼区間:-6.9~6.5)であり、対照群に対する試験戦略群の非劣性が確認された(非劣性のp=0.001)。 治療失敗は、試験戦略群で7例(3.5%)、対照群で10例(5.0%)にみられた。治療失敗が確認された時点で、試験戦略群の3例と対照群の5例にベダキリン耐性を認めた。また、14例が再発し、このうち10例(5.0%)は試験戦略群、4例(2.0%)は対照群であった。Grade3以上の有害事象31.2%vs.37.0%、すでにWHOガイドラインに反映 治療期間中に、Grade3以上の有害事象(安全性の主要エンドポイント)が試験戦略群の63例(31.2%)、対照群の74例(37.0%)で発生した。治療期間または追跡期間中に、各群10例(5.0%)が死亡した。すべての安全性エンドポイントに関して、両群間に意義のある差を認めなかった。 治療期間中の重篤な有害事象は、試験戦略群で38例(18.8%)、対照群で44例(22.0%)に発現した。治療期間中および治療後に発生した最も頻度の高い重篤な有害事象は、担当医によってリネゾリドが原因とされた貧血で、それぞれ33例(16.3%)および29例(14.5%)にみられた。これらは、数日の投薬中断と赤血球輸血で管理された。 著者は、「本試験の結果は、すでにWHOの薬剤耐性結核の治療ガイドラインに反映され、2024年6月の改訂で、この4剤または5剤の併用療法が推奨レジメンの1つとされている」としている。また、「得られた知見は、現在pretomanidの使用が禁忌とされる優先対象集団(小児や妊娠中、授乳中の女性など)に対する有効な治療戦略のエビデンスを示しており、リファンピシン耐性結核のすべての患者に対して、新たな治療選択肢を提供するものである」と指摘している。

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EGFR-TKI後のNSCLC、ivonescimabがOSを改善/JAMA

 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、現在、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が標準治療であるが、獲得耐性は避けられず、EGFR-TKIの投与中に病勢が進行した患者は、耐性のメカニズムが不均一か不明であるため治療選択肢が限られている。中国・中山大学がんセンターのWenfeng Fang氏らHARMONi-A Study Investigatorsは「HARMONi-A試験」において、EGFR-TKI療法後のEGFR変異陽性NSCLC患者では、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)と血管内皮増殖因子(VEGF)の二重特異性抗体であるivonescimabと化学療法の併用は、化学療法単独と比較して、許容範囲内の安全性プロファイルを保持しつつ、全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらすことを示した。本研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年6月17日号で報告された。中国の無作為化プラセボ対照比較第III相試験 HARMONi-A試験は、中国の55施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較第III相試験(Akeso Biopharmaの助成を受けた)。 2022年1月25日~11月2日に、局所進行または転移のある非扁平上皮NSCLCでEGFR変異陽性と確認され、(1)第1または第2世代EGFR-TKI治療後にEGFR T790M変異陰性が確認された患者、または(2)第3世代EGFR-TKIを1次または2次治療として受けた患者を登録した。 被験者322例(年齢中央値59.4歳、女性51.6%)を、3週を1サイクルとし、1日目にivonescimab 20mg/kgを静脈内投与する群(161例)またはプラセボ群(161例)に無作為に割り付けた。全例に、ペメトレキセド+カルボプラチンによる化学療法を行った。これを4サイクル施行後、それぞれivonescimab+ペメトレキセドまたはプラセボ+ペメトレキセドによる維持療法を行った。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、すでに中間解析の結果(ハザード比[HR]:0.46、p<0.001、中央値の群間差:2.3ヵ月)が報告されている。今回は、中間解析時から25ヵ月の追跡期間を経た時点での主な副次評価項目であるOSのデータが公表された。OS中央値はivonescimab群16.8ヵ月、プラセボ群14.1ヵ月 ベースラインにおいて、ivonescimab群の35例(21.7%)とプラセボ群の37例(23.0%)が脳転移を有していた。それぞれ139例(86.3%)と137例(85.1%)に、第3世代EGFR-TKIによる治療歴があった。追跡期間中央値は32.5ヵ月だった。 OS中央値は、プラセボ群14.1ヵ月に対し、ivonescimab群は16.8ヵ月と2.7ヵ月有意に長かった(層別HR:0.74、95%信頼区間[CI]:0.58~0.95、p=0.02)。 24ヵ月時のOS率は、ivonescimab群35.3%、プラセボ群28.8%であり、30ヵ月OS率は、それぞれ29.1%および18.4%であった。 また、ベースラインの脳転移の有無を問わず、ivonescimab群で生存に関する明確な有益性を認めた(脳転移ありHR:0.61[95%CI:0.37~1.03]、脳転移なしHR:0.77[95%CI:0.58~1.03])。安全性プロファイルは中間解析とほぼ一致 ivonescimab+化学療法の安全性プロファイルは、中間解析の結果や、化学療法、PD-1阻害薬、VEGF阻害薬の既知の毒性作用とほぼ一致していた。治療期間中に発生したGrade3以上の有害事象(67.1%vs.54.7%)およびGrade3以上の治療関連有害事象(59.6%vs.44.7%)は、プラセボ群よりivonescimab群で頻度が高かった。 治療期間中に発生した有害事象による治療中止は、ivonescimab群で11.8%、プラセボ群で8.1%に認められた。また、免疫関連有害事象はivonescimab群で多かった(29.2%vs.8.1%)が、免疫関連有害事象による治療中止はまれであり、両群間で同率だった(各1.2%)。 著者は、「ivonescimabによるOS中央値の改善は2.7ヵ月とわずかではあるが、2つの群の生存曲線はとくに後期の時点で大きく乖離し、30ヵ月時のOS率には10.7%ポイントの差を認めた」「これらの所見は、PD-1とVEGFの二重阻害と化学療法の併用が有効な治療戦略であることを立証するとともに、本研究の対象となった患者群において、ivonescimabと化学療法の併用が新たな治療選択肢となりうることを示すものである」としている。

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幼少期の逆境体験が多いほど肥満リスク上昇、支える大人が保護因子の可能性

 幼少期の逆境体験が多いほど、小児期の肥満リスクが高いという関連が報告された。米ロサンゼルス小児病院のVictoria Goldman氏、米ジョージア大学のShana Adise氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に12月4日掲載され、2月17日にジョージア大学からリリースが発行された。 この研究では、幼少期に経験した虐待や両親の離婚、貧困、ネグレクト、いじめなどの逆境的小児期体験(adverse childhood experiences;ACEs)が多いほど、BMIが有意に高いという関連性が示された。ただし、子どもの周囲に支えとなる大人が存在していれば、この関連性が薄れる可能性があるという。論文の筆頭著者であるGoldman氏は、「支えとなる存在は必ずしも家族である必要はない。教師やコーチ、あるいはほかの誰であれ、少なくとも1人の支えとなる大人がそばにいるだけで、子どもの成長に非常に大きな影響を与える可能性がある」と、大学発のリリースの中で語っている。 Goldman氏らは、米国で行われている小児の成長・発達に関する研究(Adolescent Brain and Cognitive Development〔ABCD〕Study:ABCD研究)のデータを用いて、ACEとBMIの関連を横断的に解析した。解析対象者数は5,435人で、女子が48.5%、平均月齢143.1±7.6月(約12歳)であり、過体重または肥満(BMIが85パーセンタイル以上)が34.4%だった。4人に3人(74.6%)が少なくとも1つのACEを経験しており、体験したACEの種類の数を意味するACEスコアは、平均1.8±1.7だった。なお、先行研究では、ラテン系やヒスパニック系の子どもではACEの多いことが報告されているが、本研究でも同様の傾向が認められた。ラテン系やヒスパニック系の子ども(全体の21.0%)のACEスコアは2.1±1.7であり、その他の子ども(79.0%)のスコア(1.7±1.7)より有意に高かった(P<0.01)。 BMIに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、保護者の教育歴など)を調整後、体験したACEが2種類増えるごとにBMIが約0.5高くなるという関連が認められた。より詳しくは、ACEスコアが1標準偏差に当たる1.7ポイント高くなるごとに、BMIが0.43(95%信頼区間0.30~0.57)増加した(P<0.001)。ただし、ラテン系やヒスパニック系の子どもの中で、「日常生活において、思いやりのある大人がそばに1人はいる」と答えた子どもたちは、たとえACEスコアが高くても、BMIが比較的低い傾向が観察された。この傾向は、解析対象全体では認められなかった。 研究者らは一連の結果を、「子どもたちのACEをスクリーニングして、必要なケアとサポートを提供する必要性が示された」と総括している。また論文の上席著者であるAdise氏も、「幼少期に体験したことに関連する健康課題を抱えたまま、子どもが成長していくことを、われわれは望んでいない。臨床でのスクリーニングは、それを防ぐための貴重な機会である」と強調。さらに、「子どもの支えとなる大人がそばにいるか否かという違いが、逆境体験のある子どもの健康に大きな影響を及ぼし得る」と付け加えている。

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3分程度のゲームがうつ病の特徴をとらえる手がかりに?

 わずか3分程度のリンゴ狩りゲームが、うつ病の特徴をとらえる手がかりになる可能性があるとする研究が報告された。健康な人よりも早くにゲームの主要な活動であるリンゴの収穫をやめる人は、「アンヘドニア(無快感症)」を抱えている可能性が高かった。アンヘドニアとはうつ病患者の約70%に見られる症状の一つで、通常なら楽しいと感じることを楽しめなくなる症状である。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部神経科学教授でトランスレーショナル神経科学研究所所長のPaul Glimcher氏らによるこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に5月18日掲載された。 このゲームでは、プレイヤーは木から落ちてくるリンゴを収穫する。収穫を続けると、木から得られるリンゴの数は減っていく。そのため、プレイヤーは別の木に移動するかどうかを判断しなければならない。研究では、うつ病患者50人と健常者70人を対象に、プレイヤーがどの時点でその木からの収穫を切り上げ、別の木へ移るのかを調べた。研究グループは、人は出来事を「期待」と比較しながら評価するという前提に立ち、その判断の基準となる「参照点」がうつ病患者では高くなっている可能性があるという仮説に基づき、このゲームによる課題を設計した。 その結果、健常者は木から収穫できるリンゴの数が平均5個になるまで同じ木にとどまって収穫を続けていた。一方、うつ病患者は、うつ症状の重症度にもよるものの、その木から得られるリンゴの数が8~9個になった時点で別の木に移動する傾向が見られた。研究グループは、「これは、うつ病患者では健常者に比べて、収穫を切り上げる際の参照点が約50%高くなっている可能性を示している」と説明している。 Glimcher氏は、「このゲームによって、うつ病患者の脳内で何が起きているのかについて手がかりを得ることができる。将来的には、血圧測定により心疾患を見つけるのと同じくらいの信頼性でうつ病を特定できるようになることを期待している」と述べている。一方、論文の筆頭著者であるNYUのAadith Vittala氏は、「うつ病患者は、状況の変化に応じて期待値を適切に調整することが難しいようだ。それは、脳内でどのような仕組みの異常が起きているのかを示す手がかりになる」と説明している。 研究グループは、本研究結果は、患者ごとに異なるタイプのうつ病を見分けるのにも役立つ可能性があると見ている。共著者の1人であるNYUグロスマン医学部精神医学教授のDan Iosifescu氏は、「うつ病は現在、複数の異なる病態を含む包括的な概念として考えられるようになってきている」と指摘する。その上で、「参照点の測定によって、アンヘドニアに関連する特定のうつ病サブタイプを特定し、その脳内メカニズムを明らかにしながら、患者ごとに適した治療法を選択できる可能性がある。また、患者にスマートフォンゲームを毎週数分プレイしてもらうことで、対面診療を繰り返さなくても遠隔で状態を把握し、迅速に治療を調整できるようになるかもしれない」と話している。

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【GET!ザ・トレンド】Less is More?β-ラクタマーゼ阻害薬nacubactamが拓くAMR治療の展望

薬剤耐性菌(AMR)は公衆衛生における世界的な社会課題である。なかでもカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)はWHOの細菌優先病原体リストにおいて、クリティカル(最重要)に分類されている。そのCREに対し、Meiji Seikaファルマは新規β-ラクタマーゼ阻害薬nacubactam(OP0595)を承認申請中である。CRE感染症に対する同剤の特徴と効果、さらに新規抗菌薬開発の課題について、同社研究開発本部の加藤誠司氏らに話を聞いた。喫緊の課題カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)AMRついての世界的な調査報告書であるJim O'Neill氏による耐性菌レポートによれば、新規抗菌薬の研究開発等の対策を講じなければ2050年までに年間1,000万人がAMRにより死亡すると報告されている。これを受け、WHOが薬剤耐性に関するグローバル・アクションプランを策定し、それを基に日本を含む世界各国がそれぞれの国の課題に応じたアクションプランを策定し取り組んでいる。抗菌薬に耐性を示す代表的な機序としてβ-ラクタム系抗菌薬の分解酵素であるβ-ラクタマーゼがある。カルバペネマーゼはβ-ラクタマーゼの1種で、その名のとおりカルバペネム系抗菌薬を分解する酵素である。カルバペネム系抗菌薬は重症感染症治療に使用される。最後の砦であるカルバペネム系抗菌薬を無効化するカルバペネマーゼ産生菌による感染症は、患者の重篤化、入院長期化、さらに死亡率の増加を招く。そのためCRE感染は5類感染症として全例報告が義務付けられるなど、日本でも喫緊の課題とされている。nacubactamによるβラクタマーゼへの阻害活性と、エンハンサー効果nacubactamは、Meiji Seikaファルマが自社で創出した新規β-ラクタマーゼ阻害薬である。2025年12月にカルバペネム系薬に耐性のグラム陰性菌による感染症治療薬として国内承認申請された。同剤はβ-ラクタム薬(セフェピム[CFPM]またはアズトレオナム[AZT])との併用で、CREに対するβ-ラクタム薬の分解を阻害するだけでなく、併用するβ-ラクタム薬の抗菌活性を増強させるという従来のβ-ラクタマーゼ阻害薬にはない特性を持っている。具体的には、nacubactamはPBP2の阻害作用を有する。一方、CFPMやAZTといったβ-ラクタム系抗菌薬はPBP3を阻害する。つまり、CFPMおよびAZTとnacubactamの併用により、PBP2とPBP3双方を阻害して抗菌活性・殺菌作用を増強することが可能となる(エンハンサー効果)。β-ラクタマーゼ阻害薬を単味製剤として開発していることも大きな意味を持つ。単味製剤のメリットとして既存抗菌薬との組み合わせ次第で将来出現する細菌にも柔軟に対応できる可能性がある。また、既存の抗菌薬と組み合わせて耐性菌に対応できるため、従来の配合剤のようにそれぞれのβ-ラクタム薬との配合剤を新薬として医療機関で保管する必要がなくなり、薬剤数抑制の観点からもメリットが生まれると考えられる。β-ラクタマーゼはAmbler分類でクラスAからDに分かれている。国や地域によって優勢なクラスや型が異なり、それに応じて有効な薬剤も変わる。画像を拡大するなかでもクラスBに有効な薬剤は限られており、その対策には課題が残る。最新報告によれば、国内のCREは約1,000例で、大部分はクラスBのIMP型だ。また、近年はクラスBのNDM型も増加傾向にある。厚生労働省によるカルバペネム低感受性腸内細菌目細菌株の感性率を見ると、セフェピムおよびnacubactamとの併用(以下、CFPM/NAC)はクラスA、C、Dのβラクタマーゼに高い感性率を示す。また、アズトレオナムおよびnacubactamとの併用(以下、AZT/NAC)はA、C以外にもクラスB(IMP型、NDM型とも)にも高い感性率を示すことが明らかになっている。画像を拡大する2つの第III相国際共同試験nacubactamの臨床開発では、欧州・日本を含むアジアで2つのグローバル第III相臨床試験(Integral-1、Integral-2)が実施された。Integral-1試験は、カルバペネム感受性の複雑性尿路感染症または急性単純性腎盂腎炎患者を対象に、CFPM/NACおよびAZT/NACをカルバペネム系抗菌薬であるイミペネム/シラスタチン(IPM/CS)と比較した二重盲検比較試験である※。IPM/CSに対する主要評価項目(投与終了7日後の総合臨床効果)において、AZT/NACは非劣性を、CFPM/NACは非劣性かつ優越性を証明した。結果は米国の感染症の学会であるIDWeek2025で反響を呼びThe Lancet Infectious Diseases誌による学会のハイライトにも取りあげられ、試験の内容はThe Lancet2026年5月16日号に掲載された。※通常の成人で、セフェピム2g+nacubactam1g、アズトレオナム2g+nacubactam1gまたはIPM1g /CS1g (いずれも1日3回静注)を投与もう1つの第III相試験であるIntegral-2試験は、CRE感染症患者を対象とした試験である。欧州臨床微生物学感染症学会議(ESCMID Global2026)では口頭演題に採択され発表に至っている。ESCMID Global 2026では、nacubactamに関する10演題が発表され、いずれも活発な議論が展開されたという。同剤に対する世界的な注目度の高さが窺える。新たなスタイルで行われたnacubactamの開発新規抗菌薬の開発にはさまざまな困難が伴う。感染症は被験者数が限られているため、臨床開発において症例を集積するには多くの国・施設の協力が不可欠だ。その分、開発コストは莫大になる。一方で、適正使用により患者数が限定されるなか、安定供給のための製造コストも増加しており経済合理性の欠如から、大手製薬メーカーが抗菌薬開発から撤退する負のサイクルに陥っている。nacubactamの開発に当たってはAMEDによる医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の支援を得ている※。この研究課題では、第I相試験の薬物動態(PK/PD)からシミュレーションした用法用量を、第II相を介さずに第III相試験で検証している。結果は評価項目を達成し、第II相試験を省略して開発することが可能となった。困難な状況の中で「プロジェクトメンバー全員が、CREによる感染症に苦しむ患者さん全員を救うという思いでnacubactamの開発にあたっている」と加藤氏は述べる。※CiCLE研究開発課題「非臨床PK/PD理論を活用した新規β-ラクタマーゼ阻害剤(OP0595)の単味製剤の研究開発」プル型インセンティブの拡大が抗菌薬開発の鍵を握る新規抗菌薬の開発にあたっては、承認取得後の課題も深刻だ。上市後の適正使用を徹底すると使用症例数は絞られ、販売額は縮小する。加藤氏によれば、新薬の上市まで至った会社も事業が維持できず倒産する事例も少なくない。新規抗菌薬の開発を支える仕組みとして、研究開発費を支援するプッシュ型インセンティブと、承認・発売後の採算性を維持・向上させるプル型インセンティブ制度がある。国内ではプル型インセンティブとして抗菌薬確保支援事業が設けられているが、その予算枠では安定供給に資する製造コストを維持するのに課題もあり、今後の抗菌薬開発においてはプル型インセンティブの拡充がより重要になっていくと考えられる。Meiji Seikaファルマとしても、製薬協と連携しながらプル型インセンティブの拡大に向け、国への働きかけを続けている。nacubactamは新たなβ-ラクタマーゼ阻害薬として、β-ラクタム薬との併用で従来にはない強力な抗菌活性を発揮する。また、単味製剤の利点を生かし、新たな組み合わせを開発することで将来的に新たな耐性菌に備えることができる可能性を持つ。第一歩としてCREという最重要耐性菌に立ち向かうnacubactamに注目したい。 参考 1) O'Neill J, Review on Antimicrobial Resistance. Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations. Wellcome Trust and HM Government 2) 厚生労働省 薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(サマリ版) 3) 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国際感染症センターカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症に関する一般的事項 4) 国際健康危機管理研究機構(JIHS)カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症, 2024年現在 5) Takahashi S, et al. Lancet.2026;407:1929-1940.

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糖尿病患者の治療薬、残歯数と周術期死亡の関連/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の第69回年次学術集会(会長:下村 伊一郎氏[大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 教授])が、5月21~23日の日程で、大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪をメイン会場に開催された。 今回の学術集会は「IMAGINE いのち輝く 糖尿病の医療・医学を共に目指して」をテーマに、41のシンポジウム、143の口演、ポスターセッション、会長特別企画による講演、特別企画「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。 近年、口腔内の衛生状態が糖尿病や心不全をはじめとするさまざまな疾患と関連することが知られている。糖尿病患者では、治療薬と残歯数は手術後の死亡リスクに関係するのであろうか。この課題について尾崎 邦彰氏、高橋 裕氏ら(奈良県立医科大学糖尿病内分泌内科学講座)の研究グループは、同公衆衛生学教室との共同研究により、口演52「大規模臨床試験」において「糖尿病薬の周術期死亡リスクへの影響は残歯数によって異なる:レセプトビッグデータ解析」をテーマに発表を行った。 研究グループは、大規模レセプトデータを調査・解析し、その結果、一定の糖尿病治療薬と残歯数は手術後の死亡率と相関していることが判明した。糖尿病患者の口腔ケアは周術期の死亡リスクを減らす可能性 高橋氏らの研究グループは、糖尿病と残歯数はともに周術期リスクとなるが、同一コホートで検討した報告がないことから、周術期死亡に対して糖尿病治療薬と残歯数が与える影響を検討した。 研究は後方視的研究により1,700万人登録の商用DeSCデータベース(国民健康保険、後期高齢者医療広域連合および健康保険組合より提供されたレセプト情報・特定健診情報が含まれている)を使用した。対象者は18歳以上で全身麻酔下の手術が行われた人で、主要アウトカムは術後30日以内の死亡、副次的な解析として糖尿病治療薬と手術後死亡との関連、および残歯数について検討した。糖尿病の定義は、手術前6ヵ月以内に糖尿病治療薬が処方された人。 主な結果は以下のとおり。・手術を受けた対象者は124万1,425例、そのうち歯の本数の情報がある対象者は56万1,515例だった。このうち術後30日以内の死亡は3,414例だった。・対象者のプロフィールとして、糖尿病群では高齢、男性の割合が高く、死亡割合も高かった。・残歯数について、死亡者では糖尿病群と比べて約1.7本少なく、平均では残歯数20本の人が多かった。・残歯数23本以下では糖尿病患者が多く、残歯数26本以上では非糖尿病患者が多かった。・糖尿病を有することで死亡割合は約1.85倍に増加した。・糖尿病の有無によらず、残歯数が少ないほど死亡割合も増加していた。・手術後死亡の関連因子では、インスリン使用、加齢、残歯数の減少が死亡リスクの増加と関連していた。・層別化すると残歯数20本以上の群ではビグアナイド薬の使用が、20本未満の群ではチアゾリジン薬の使用が死亡リスクの低下と関連していた。 研究グループは、これらの結果から「糖尿病の罹患が周術期後の死亡の増加と関連し、残歯数も少なくなることとも関連することが判明した。また、残歯数が少ないことが周術期後の死亡の増加と関連することも判明した。糖尿病患者には、診断時から口腔(歯)への介入が推奨されている一方で、歯科受診は半分に満たないという報告もある。そして、糖尿病患者で残歯数20本未満の68歳の死亡リスクは、糖尿病ではない残歯数20本以上の80歳の死亡リスクと同等であることが示された。加齢、糖尿病の存在、残歯本数の減少はそれぞれが関連しながらも独立して死亡リスクと関連した。これらの結果から糖尿病患者には、歯の喪失に関連して、比較的若年であっても高齢者に相当するリスクを有するため、適切な歯科的介入の重要性が示される」と述べている。

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不眠症と心房細動の関連、全国178万人データで検証

 不眠症は多くの人が経験する身近な症状であり、生活の質の低下に加え、さまざまな健康リスクとの関連も指摘されている。今回、日本の全国規模データを用いた解析から、不眠症は心房細動の発症リスク上昇と有意に関連することが示され、特に若年層や女性でその傾向が強いことが明らかになった。睡眠の状態が心臓のリズム異常と関連する可能性を示した研究として注目される。研究は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学分野の増田拓郎氏、江尻健太郎氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は4月20日付の「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。 不眠症は臨床現場で頻繁にみられる疾患の一つで、死亡リスクの増加や幅広い慢性疾患との関連が指摘されている。一方、心房細動は高齢者に多くみられる代表的な不整脈で、脳梗塞や心不全などのリスクにもつながる重要な疾患だ。不眠症と心血管疾患との関連を検討した研究は多いものの、心房細動との関連を検討した研究は比較的少なく、一般集団における影響は十分に明らかになっていない。そこで著者らは、日本の全国規模のリアルワールドデータを用いて、不眠症とその後の心房細動発症との関連を検証した。 解析対象は、2014年4月~2023年8月にDeSCデータベースへ登録された、心房細動を含む心血管疾患の既往がない約178万人で、不眠症と診断されていた人とそうでない人に分けて、その後の新規心房細動の発症リスクを比較した。DeSCデータベースには、診療報酬請求情報に加え、健診データや処方情報などが含まれる。主要評価項目は心房細動の新規発症とし、不眠症の有無による発症リスクをCox比例ハザードモデルで比較した。解析では、年齢や性別に加え、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、飲酒、身体活動などの影響も調整した。 対象者178万764人のうち、21万6,919人(12.2%)に不眠症が認められた。追跡期間中央値3.7年の間に、2万5,779人(1.4%)が新たに心房細動を発症した。不眠症のある人では、ない人に比べて心房細動発症率が高く(10,000人年当たり57.8 vs 35.4)、各種因子を調整した解析でも、心房細動の発症リスクは有意に高かった。調整後ハザード比は1.14(95%信頼区間1.10~1.18)で、リスクは14%上昇していた。サブグループ解析でも全体と同様の傾向がみられたが、65歳未満および女性では、不眠症と心房細動発症との関連がより強い傾向が示された(P for interaction=0.01、0.03)。 著者らは、本研究により、不眠症を単なる睡眠の悩みにとどまらず、心房細動のリスク因子として捉える重要性が示されたと述べている。その上で、心房細動予防の観点から睡眠管理にも目を向ける必要があり、さらなる研究が求められるとしている。また、不眠症に伴う自律神経の乱れや炎症、ホルモンバランスの変化が、心房細動発症に関与する可能性も指摘している。 本研究の限界点として、日本人中心の保険・健診データを用いた観察研究であり、診断がICD-10コードに依存している点や残余交絡の可能性などが挙げられる。

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ivonescimab、進行扁平上皮NSCLCの1次治療でOSも延長(HARMONi-6)/Lancet

 未治療の進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ivonescimab+化学療法はチスレリズマブ+化学療法と比較して全生存期間(OS)を有意に延長したことが、中国・上海交通大学のShun Lu氏らが同国の50施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「HARMONi-6試験」の事前規定の中間解析の結果で示された。HARMONi-6試験に関してはこれまでに、ivonescimab+化学療法がチスレリズマブ+化学療法と比較し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告されていた(ジャーナル四天王「進行扁平上皮NSCLCの1次治療、ivonescimab併用がICI併用と比較しPFS改善(HARMONi-6)/Lancet」)。Lancet誌オンライン版2026年5月31日号掲載の報告。ivonescimab vs.チスレリズマブで、OSの中間解析を実施 HARMONi-6試験の対象は、年齢18~75歳、病理学的に確認された切除不能なStageIIIB/IIICまたはStageIVの扁平上皮NSCLCで、全身療法の治療歴がなく、ECOG PSが0または1の患者である。 研究グループは適格患者を、ivonescimab+化学療法群(ivonescimab群)またはチスレリズマブ+化学療法群(チスレリズマブ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化の層別因子は、臨床病期(StageIIIB/IIIC期vs.IV期)およびPD-L1発現(TPS≧1%vs.<1%)であった。 ivonescimab群ではivonescimab 20mg/kg、チスレリズマブ群ではチスレリズマブ200mgに加えて、いずれもカルボプラチン(AUC 5mg/mL/分)およびパクリタキセル(175mg/m2)を3週ごとに4サイクル静脈内投与し、その後維持療法として同用量のivonescimabまたはチスレリズマブを3週ごとに投与した。治療期間は最長24ヵ月、または試験責任医師の判断による臨床効果の消失、許容できない毒性の発現のいずれか早い時点までとした。 主要評価項目は、独立画像判定委員会(IRRC)の評価によるRECIST ver.1.1に基づくPFSであり、重要な副次評価項目がOSであった。有効性の解析対象集団は無作為化されたすべての患者、安全性の解析対象集団は無作為化され試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者とした。 重要な副次評価項目であるOSについては、中間解析1回および最終解析を行うこととされ、中間解析はOSイベントが約225件観察された時点で計画されていたが、規制当局の期限に合わせ204件に達した時点で実施された。したがって、中間解析の有意水準は片側0.0049であった。OS中央値はivonescimab群27.9ヵ月、チスレリズマブ群23.7ヵ月 2023年8月17日~2025年1月21日に761例がスクリーニングされ、適格基準を満たした532例が無作為化された(各群266例)。患者背景は、年齢中央値64歳(四分位範囲[IQR]:59~69)、男性494例(93%)、女性38例(7%)であった。 データカットオフ日の2026年2月27日時点(追跡期間中央値21.4ヵ月、95%信頼区間[CI]:20.27~21.91)で、204例の死亡が確認された。ivonescimab群が84例(32%)、チスレリズマブ群が120例(45%)であった。 OS中央値は、ivonescimab群27.9ヵ月(95%CI:27.89~評価不能[NE])、チスレリズマブ群23.7ヵ月(95%CI:20.11~NE)であり、死亡のハザード比は0.66(95%CI:0.50~0.87、片側p=0.0017)で、事前に規定された有意水準を満たした。 ivonescimab群のOS延長効果は、事前に規定されたサブグループ解析でもほぼ一貫していた。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ivonescimab群で266例中184例(69%)、チスレリズマブ群で265例中156例(59%)に発現した。Grade3以上の治療関連出血は、それぞれ7例(3%)および2例(1%)に認められた。

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細菌性髄膜炎・HSV脳炎GL改訂、経験的治療の薬剤選択を見直し/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された1)。今回の改訂では、ワクチン定期接種化による起炎菌の変遷、薬剤耐性菌の動向、FilmArray髄膜炎・脳炎パネルに代表される遺伝子検査の普及などを反映し、初期治療から退院後のフォローアップに至る一連の流れが大幅に刷新されている。 5月20~23日に開催された第67回日本神経学会学術大会の生涯教育セミナーにおいて、本ガイドライン作成委員会委員長を務めた中嶋 秀人氏(日本大学医学部内科学系神経内科学分野 主任教授)が「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026の改訂のポイント」と題して講演を行った。講演レポートとして、前編では「細菌性髄膜炎」、後編では「単純ヘルペス脳炎」について、2回にわたって紹介する。ガイドライン改訂の主なポイント【細菌性髄膜炎】初期の経験的治療(エンピリックセラピー)のレジメン変更と迅速性 今回の改訂では、経験的治療の薬剤選択が見直された。髄液由来肺炎球菌では第3世代セフェム耐性率・メロペネム(MEPM)耐性率がともに上昇傾向にあり、2023年のJANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)データではMEPM耐性率が18.2%に上昇している。一方でバンコマイシン(VCM)は感性を維持している。そのため、第3世代セフェム(セフォタキシム[CTX]/セフトリアキソン[CTRX])またはMEPMのいずれを用いる場合もVCMを併用することが推奨され、年齢・免疫状態に応じた迅速な薬剤選択が求められる。年齢・免疫状態別のレジメン例・免疫正常(16〜49歳):肺炎球菌(60%以上)、髄膜炎菌 第3世代セフェム(CTXまたはCTRX)+VCM MEPM+VCM ・免疫正常(50歳以上):肺炎球菌が最多。リスクの高まるリステリア菌をカバーするためABPCを追加 アンピシリン(ABPC)+第3世代セフェム(CTXまたはCTRX)+VCM MEPM+VCM ・慢性消耗疾患・免疫不全:肺炎球菌・リステリア菌に加え、グラム陰性桿菌(GNR)やMRSAも考慮 ABPC+セフタジジム(CAZ)+VCM MEPM+VCM ・頭部外傷後・外科手術後:ブドウ球菌に加え、緑膿菌を含むGNRを考慮 MEPM+VCM CAZ+VCMTime is Brainの原則 細菌性髄膜炎は「Time is Brain」の病態であり、病院到着から1時間以内の抗菌薬投与開始を目標とする。頭部CTや腰椎穿刺によって投与が遅れる場合は、検査の完了を待たずに抗菌薬を先行投与する。なお、古典的三徴(発熱・項部硬直・意識障害)が揃う例は成人全体でも33%にすぎず、とくに高齢者では発熱が目立たないことや、意識障害が認知症・せん妄と誤認されやすいことから、厳重な警戒を要する。デキサメタゾン併用による炎症反応の抑制 炎症抑制による予後改善のため、すべての成人患者にデキサメタゾンの併用(最初の抗菌薬投与の前または同時開始、4日間)が推奨される。死亡率・神経学的後遺症・聴力障害の減少が期待できる。ただし、起炎菌が肺炎球菌・インフルエンザ菌以外なら中止し、とくにリステリアが起炎菌として判明した場合は死亡率悪化のエビデンスがあるため直ちに中止する。診断技術のアップデート:FilmArray髄膜炎・脳炎パネル 約1時間で主要病原体14種を同定できるマルチプレックスPCR遺伝子検査「FilmArray髄膜炎・脳炎パネル」が2022年10月に保険収載され、診断フローに位置づけられた。従来は培養検査やグラム染色の結果判明まで数日を要していたが、本検査による迅速な病原体同定は、経験的に開始したアシクロビル(ACV)の投与期間短縮など医療資源の適正使用に寄与する。起炎菌・感受性が判明した後は、速やかに狭域スペクトラムの抗菌薬へ変更する(De-escalation)。FilmArray検査のピットフォール 一方で、FilmArray検査には実臨床上の限界(ピットフォール)があり、結果は臨床症状・髄液所見と合わせて総合的に判断する必要がある。細菌性髄膜炎では、本検査で薬剤感受性(耐性菌の有無)が判別できないため、培養検査・グラム染色を省略せず必ず並行して実施しなければならない。また、結核菌はパネルに含まれず、院内感染や基礎疾患を有する例、脳外科術後の髄膜炎例には不向きである点にも注意を要する。抗補体薬を使用する患者への対応 重症筋無力症や視神経脊髄炎スペクトラム障害など神経疾患への抗補体薬(C5阻害薬:エクリズマブ、ラブリズマブ、ジルコプランなど)の適応拡大を反映し、抗補体薬使用患者への対応が新設された。抗補体薬使用患者では侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)のリスクが1,000〜2,000倍に上昇し、劇症型を呈しうる。本邦のIMD致命率は10〜12%と高く、発症から24〜48時間で致命的合併症を来しうるため、予防と早期対応がきわめて重要である。投与開始の2週間前までに4価髄膜炎菌ワクチン(販売名:メンクアッドフィ)を接種する(B群髄膜炎菌は本ワクチンの対象外で、B群ワクチンは国内未承認)。発熱時には髄膜炎症状がなくてもIMDを念頭に血液培養2セットを採取し、結果を待たずに第3世代セフェム(CTRXなど)を直ちに開始する。(後編「単純ヘルペス脳炎」に続く)

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未就学児の急性喘鳴へのアジスロマイシン、症状改善せず/NEJM

 救急外来を受診した中等度~重度の急性喘鳴を呈する未就学児において、アジスロマイシンはプラセボと比較して喘鳴関連症状を改善しなかった。米国・アリゾナ大学のKurt R. Denninghoff氏らPECARN AZ-SWED Trial Study Groupが、米国のPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)に加盟している小児救急外来8施設で実施した無作為化プラセボ対照試験「Azithromycin Therapy in Preschoolers with a Severe Wheezing Episode Diagnosed at the Emergency Department trial:AZ-SWED試験」の結果を報告した。喘鳴を伴う疾患は未就学児の入院の主な原因であり、また、抗菌薬による治療がしばしば行われている。観察研究では、喘鳴を繰り返す小児では喘鳴のない小児と比較し、鼻咽頭検体から3種類の病原性細菌(肺炎連鎖球菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌)が高頻度に分離されることが示されていた。NEJM誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。喘鳴で救急外来を受診した未就学児をアジスロマイシン群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、救急外来を受診した中等度~重度の呼気性喘鳴(小児呼吸器評価尺度[Pediatric Respiratory Assessment Measure:PRAM]スコア4以上[スコア範囲:0~12、高スコアほど喘鳴が重度])の月齢18~59ヵ月児を、アジスロマイシン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、1回12mg/kgを盲検下で1日1回5日間投与した。 主要アウトカムは、無作為化後5日間の幼児喘息発作日誌「Asthma Flare-up Diary for Young Children(ADYC)」スコアの合計スコアであった。ADYCは、17の質問(各質問のスコアは1~7で評価、高得点ほど喘鳴関連症状が重度であることを示す)から成り、1日のADYCスコアは、各質問の平均スコアとして算出。主要アウトカムとしたADYC合計スコアはその5日分の合計スコアで、想定されるスコア範囲は5~35であった。 副次アウトカムは、救急外来滞在時間、入院期間、および72時間以内の再受診(救急外来再受診または入院)とした。 投与前に病原性細菌が検出された患者については、無作為化後5~8日および14~21日の間に追跡調査を行い、細菌の有無と抗菌薬耐性を検査した。 有効性は、3種の病原性細菌検査で少なくとも1種について陽性であった患者(陽性コホート)と陰性であった患者(陰性コホート)で別々に評価した。喘鳴関連症状に関するADYCスコア、アジスロマイシン群9.59 vs.プラセボ群9.72 2021年9月~2024年12月に840例が登録され無作為化された。このうち、521例(62.0%)が病原性細菌陽性、312例(37.1%)が陰性、7例(0.8%)は不明であった。 事前に計画された中間解析の結果に基づき、データ安全性監視委員会は無益性のため本試験を中止した。 5日間のADYC合計スコアは、陽性コホートおよび陰性コホートのいずれにおいても、アジスロマイシン群とプラセボ群で有意差は認められなかった。ADYC合計スコアの中央値は陽性コホートでそれぞれ、9.59(四分位範囲[IQR]:7.29~12.60)vs.9.72(7.66~12.17)(p=0.70)、および陰性コホートで9.30(IQR:6.97~11.62)vs.9.10(7.19~11.45)(p=0.69)であった。 陽性コホートでは、細菌消失率はアジスロマイシン群で58.7%、プラセボ群で11.4%であった。 副次アウトカムも両コホートにおいて両群で類似しており、細菌耐性や有害事象の発現率も同様であった。

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StageIAのHER2+乳がん、術後カペシタビン+トラスツズマブで5年iDFS率97.8%(IRIS-A)/ASCO2026

 StageIAのHER2陽性(HER2+)乳がんにおいて、カペシタビンとトラスツズマブによる術後療法により97.8%という優れた5年無浸潤疾患生存(iDFS)率が得られ、治療継続に影響を及ぼす有害事象は認められなかったことがIRIS-A試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのRuo-Xi Wang氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。 IRIS試験シリーズは、早期HER2+乳がんにおける静脈内化学療法を行わない術後療法のde-escalationを検討する単群第II相試験として設計された4つの試験で、IRIS-A試験はカペシタビン6サイクルとトラスツズマブ1年間の併用を検討。・対象:StageIA(T1N0)のHER2+乳がん(HR陰性の場合はT≦2cm、HR陽性の場合は1cm<T≦2cm)・介入:カペシタビン(1,000mg/m2を1日2回、2週間、3週ごと)+トラスツズマブ(8mg/kg→6mg/kg、3週ごと)を6サイクル実施後、トラスツズマブ(6mg/kg、3週ごと)を11サイクル・主要評価項目:iDFS 主な結果は以下のとおり。・2020年5月~2021年5月に187例が登録され、追跡期間中央値は66ヵ月(範囲:60~72)であった。T1micが56.1%、T1aが24.1%、T1bが4.3%、T1cが15.5%で、87.2%がHR陰性であった。・iDFSイベントは4例に発生し、うち2例は局所もしくは領域再発、2例は対側乳がんであった。遠隔再発例や死亡例はなく、3例がDCIS(非浸潤性乳管がん)、5例が乳がん以外の原発がん(甲状腺がん、肺がん)を発症した。・5年iDFS率は97.8%(95%信頼区間:94.3~99.1)、5年無再発生存率は98.9%(同:95.7~99.7)であった。・5例(2.7%)にGrade3の有害事象が認められたが、Grade4/5は発現しなかった。最も頻度の高かった有害事象は手足症候群(46.5%)で、1例がGrade3だった。心臓関連の有害事象の発現は0.5%で、中止や中断に至った有害事象はなかった。 Wang氏は、本試験の限界として単群試験でありサンプルサイズが比較的小さいこと、T1micおよびT1aの患者割合が比較的高く治療が必要かどうかについては議論の余地があることを挙げつつ、「本試験は、腫瘍が小さくリンパ節転移のないHER2+乳がんにトラスツズマブと経口化学療法を併用した最初の臨床試験である。カペシタビン+トラスツズマブは標準治療に匹敵する有効性と毒性の軽減を併せ持つ選択肢となる」とまとめた。

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広域抗菌薬が投与された肺炎患者の予後は?/感染症学会・化学療法学会

 市中肺炎(CAP)では、緑膿菌などを想定した広域抗菌薬が経験的に使用されることがある。実際に、本邦の研究において全CAP患者の27.4%に抗緑膿菌薬が投与されており、そのうち97.3%が潜在的に不必要な投与であったことが報告されている1)。また、β-ラクタム系薬が投与された耐性菌リスクの低いCAP患者において、β-ラクタム系薬の抗緑膿菌作用の有無別に臨床転帰を後ろ向きに検討した結果、抗緑膿菌作用のあるβ-ラクタム系薬を用いた群は、30日死亡率が有意に高かったことも報告されている2)。 そこで、市中発症肺炎(CAPおよび医療・介護関連肺炎[NHCAP])に対する広域抗菌薬投与の有益性を検討することを目的として、多施設共同後ろ向き観察研究が実施された。その結果、喀痰培養が提出された市中発症肺炎患者の30.9%に抗緑膿菌作用を有する広域抗菌薬が投与されており、広域抗菌薬を使用した群で入院死亡および入院肺炎死亡のオッズが有意に高かった。2026年5月22~24日に開催された第100回日本感染症学会総会・学術講演会/第74回日本化学療法学会総会 合同学会において、岩永 直樹氏(長崎大学病院 呼吸器内科)が本結果を報告した。 本研究は、2017~19年に長崎大学病院を含む関連7施設で実施された多施設共同後ろ向き観察研究である。解析対象は、CAPまたはNHCAPとして治療された市中発症肺炎患者1,907例中、喀痰培養検査が実施された1,542例とした。対象患者を広域抗菌薬群と狭域抗菌薬群に分類し、患者背景、死亡、入院期間、治療期間などを比較した。また、広域抗菌薬群におけるde-escalation実施の有無別にみたサブグループ解析も行った。なお、広域抗菌薬は「グラム陽性菌からグラム陰性菌(緑膿菌を含む)までカバーする抗菌薬」と定義した。 主な結果は以下のとおり。・喀痰培養が提出された1,542例のうち、広域抗菌薬が投与されたのは476例(30.9%)であった。・初期治療薬の割合は、広域抗菌薬群でタゾバクタム・ピペラシリン(68%)が最も多かった。次いでレボフロキサシン(16%)、カルバペネム系抗菌薬(10%)が使用されていた。狭域抗菌薬群では、スルバクタム・アンピシリン(63%)が最も多く、次いでセフトリアキソン(22%)が使用されていた。・広域抗菌薬が投与されやすい患者背景として、単変量解析では男性、NHCAP、PS不良、長期療養病床からの入院、ステロイドまたは免疫抑制薬の使用、90日以内の血管内治療歴、90日以内の入院歴、A-DROP高値が挙げられた。・同様に単変量解析において、併存疾患として間質性肺炎、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、血液がん、臓器移植歴などを有する患者で、広域抗菌薬が投与されやすい傾向がみられた。・多変量解析では、男性、長期療養病床からの入院、A-DROP 3点以上、間質性肺炎、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、血液がんが広域抗菌薬投与と有意に関連する因子として抽出された。・傾向スコアを用いた逆確率重み付け法による解析において、入院死亡のオッズが広域抗菌薬群で有意に高かった(調整オッズ比[aOR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.00~1.69、p=0.0473)。広域抗菌薬群は入院肺炎死亡のオッズも有意に高かった(同:1.65、1.11~2.03、p=0.0076)。・入院生存例のみを対象としたサブグループ解析では、入院期間および抗菌薬治療期間が広域抗菌薬群で有意に長かった(いずれもp<0.0001)。・広域抗菌薬群476例のうち、de-escalationが実施されたのは116例(24.4%)、実施されなかったのは360例(75.6%)であった。de-escalation実施の有無で患者背景を比較したところ、有意差のある項目はなかった。・de-escalationの有無で予後を比較すると、傾向スコアを用いた逆確率重み付け法による解析において、入院肺炎死亡のオッズがde-escalation実施群で有意に低かった(aOR:0.54、95%CI:0.33~0.89、p=0.0138)。 de-escalation実施群で入院肺炎死亡のオッズが有意に低下していたことについて、岩永氏は「de-escalationを実施した患者は、臨床経過が良いという主治医の判断のもとでde-escalationを実施していると考えられ、そのことが結果に反映されている可能性がある」と考察した。

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心血管疾患2次予防、LDL-C 55mg/dL未満の達成後も高Lp(a)は強力な残余リスクに/EAS2026

 欧州心臓病学会(ESC)などのガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防において、LDL-C 55mg/dL未満への厳格な管理を推奨している1)。しかし、依然として残る心血管リスク因子として、遺伝的要因の強いリポ蛋白(a)[Lp(a)]が注目されている。現在、具体的なLp(a)低下療法が確立されていない中、LDL-Cを徹底的に低下させることでLp(a)によるリスクをどこまで軽減できるか、とくに日本人患者における検証は不十分であった。 ギリシャ・アテネで開催された欧州動脈硬化学会(EAS2026)にて、国立循環器病研究センターの片岡 有氏らの研究グループがこの課題に関する多施設共同研究「Lp(a)-JAPAN study」の成果を発表した。なお、本研究はEuropean Heart Journal誌オンライン版2026年5月24日号に同時掲載された。 本研究は、2017年1月1日~2022年8月31日の期間に、国内3施設において経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行され、3年以上の臨床フォローアップが可能であった冠動脈疾患(CAD)患者1,581例を対象とした。PCIから2ヵ月後のLDL-CおよびLp(a)測定値を基準として、その後の予後との関連を評価した。主要評価項目はMACE(心臓死、非致死性心筋梗塞、非責任病変への臨床的に誘発された冠血行再建術)の発生率とした。追跡期間の中央値は5.1年であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象の1,581例の平均年齢は68.3歳、女性23.6%、Lp(a)値の中央値は12.8mg/dLであった。・LDL-C 55mg/dL以上の患者(1,069例)におけるMACE発生率は21.3%であった。そのリスクはLp(a)レベルの上昇に伴って有意に増加した(100人年当たり、Lp(a) 30mg/dL未満で3.9、30〜50mg/dL未満で7.9、50mg/dL以上で11.0、log-rank p<0.001)。・LDL-C 55mg/dL未満を達成した患者(512例)におけるMACE発生率は4.3%と有意に低かった(p<0.001)。しかし、Lp(a)レベルの高値は、MACEの高リスク患者を明確に特定した(100人年当たり、Lp(a) 30mg/dL未満で1.4、30〜50mg/dL未満で4.7、50mg/dL以上で7.5、p<0.001)。・5年標準化MACE発生率では、Lp(a) 30mg/dL未満の群の5.0%に対し、Lp(a) 30〜50mg/dL未満の群では17.0%(調整ハザード比[aHR]:3.80、95%信頼区間[CI]:1.78~8.11、p<0.001)、Lp(a) 50mg/dL以上の群では33.4%(aHR:6.90、95%CI:3.53~13.46、p<0.001)と高値を示した。・ROC曲線分析の結果、将来のMACE発生を予測するLp(a)の閾値(カットオフ値)は28.2mg/dL以上であることが判明した(p<0.001)。 研究グループは、ガイドラインが推奨する厳格なLDL-C低下療法がLp(a)に起因する心血管リスクを部分的に軽減するものの、完全に消失させることはできず、Lp(a)が独立した重大な残余リスク因子であることを実証したと結論付けた。  現在海外で進行中の新規Lp(a)低下薬(RNA薬など)の臨床試験では、登録基準となるLp(a)の閾値が一律で高く設定されている(60~80mg/dLに相当)。しかし、本研究で判明した日本人CAD患者におけるリスク閾値(28.2mg/dL)は欧米人より大幅に低い。そのため、欧米人より低いLp(a)レベルでも脆弱性を持つ集団を対象とした新たな臨床試験を行う必要があると論文内で指摘されている。

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HR+/HER2+早期乳がん、de-escalation術前療法でも良好な長期予後(WSG TP-II)/JCO

 HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、術前療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブにパクリタキセルまたは内分泌療法(ET)を併用した第II相WSG TP-II試験の結果、ET併用群でも良好な長期生存アウトカムが得られたことが、ドイツ・Evangelisches Krankenhaus Bethesda KlinikのOleg Gluz氏らにより示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。 本試験は、手術可能なHR+/HER2+乳がん患者を対象に、トラスツズマブ+ペルツズマブの術前療法(12週間)に加え、パクリタキセル(週1回)またはETの併用が、病理学的完全奏効(pCR)や全生存期間(OS)などに及ぼす影響を評価した第II相多施設共同無作為化非盲検試験。なお、術後療法として全例に抗HER2療法が行われるとともに、術前療法でpCRが得られなかった患者では術後化学療法を必須とした(pCR達成例では術後化学療法は任意)。 主要評価項目はpCR、副次評価項目はOS、非浸潤性乳管がんを含む無イベント生存期間(EFS)、無浸潤疾患生存期間(iDFS)、健康関連QOLなどとした。これまでの主要評価項目の解析では、パクリタキセル併用群のpCR率はET併用群よりも優れていることが明らかになっている(56.4% vs.23.7%)。今回は、最終の5年OS解析結果などが報告された。 主な結果は以下のとおり。・207例が2つの試験群に1対1で無作為に割り付けられた。・5年OS率は、ET併用群100%(95%信頼区間[CI]:100.0~100.0)、パクリタキセル併用群97.9%(95%CI:95.0~100.0)であった。・5年EFS率は、ET併用群92.1%(95%CI:86.6~97.9)、パクリタキセル併用群94.8%(95%CI:90.5~99.3)であった。・5年iDFS率は、ET併用群97.7%(95%CI:94.5~100.0)、パクリタキセル併用群79.8%(95%CI:55.6~100.0)であった。 研究グループは「WSG TP-II試験では、HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、忍容性が良好なde-escalationの術前療法を行い、そのpCR達成の有無に応じて術後化学療法を調整するアプローチの安全性および有効性が示唆された」とまとめた。

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