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冠動脈バイパス移植術(CABG)の際、術後創合併症を減らすため、静脈グラフトの内視鏡下採取が広く行われているが、その影響については明らかにされていない。米国デューク大学医療センター臨床研究所のRenato D. Lopes氏らは、切開採取との比較で、静脈グラフト不全の発生率や長期転帰の評価を行った。NEJM誌2009年7月16日号より。3,000例の静脈グラフト不全、死亡・心筋梗塞・再度の血行再建の発生率を検討本試験は、CABGの臨床試験(PREVENT IV)に参加した被験者3,000例を対象に行われた2次解析試験。被験者の転帰を、静脈グラフトが内視鏡下で採取された群(1,753例)と、直視下で切開採取された群(1,247例)とで比較した。グラフト採取の方法は、執刀医が決定した。静脈グラフト不全発生の定義は、術後12~18ヵ月の血管造影で、グラフト径の75%以上に狭窄が認められた場合とした。臨床転帰は、死亡、心筋梗塞、再度の血行再建術とした。一般化推定方程式を用いて、静脈グラフト不全に関する基線の共変量で補正され、同一患者のグラフト間の関連性が検討された。長期臨床的は、Cox比例ハザードモデルを用いて評価された。3年時点でも、内視鏡下採取群の不全および転帰発生率が高い基線特性は、両群で同等だった。術後の血管造影データは、内視鏡下採取群995例、切開採取群822例の計1,817例、グラフト径データは4,290個(内視鏡下採取群2,321個、切開採取群1,969個)が得られた。静脈グラフト不全発生率は、内視鏡下採取群46.7%、切開採取群38.0%で、内視鏡下採取群のほうが高かった(P