脊椎固定手術時のBMP製品使用の実態(使用率、合併症、入院費)

提供元:ケアネット

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公開日:2009/08/11

 



脊椎固定手術時のBMP製品(骨形成タンパク質:bone-morphogenetic proteins)の使用に関する調査結果が、ブリガム&ウィメンズ病院神経外科部門のKevin S. Cahill氏らによって発表された。JAMA誌2009年7月1日号より。これまで同データに関する全米調査などは行われていなかったという。

2002~2006年の脊椎固定手術を受けた患者328,468例について調査




Cahill氏らが調査したのは、BMP使用パターン、および使用率と入院費について、全米のコミュニティ病院の約20%からサンプリングされている全国入院患者標本データベース(Nationwide Inpatient Sample database)から、2002~2006年の脊椎固定手術を受けた患者328,468例を対象とし後向きに調査が行われた。

主要評価項目は、手術を受けた患者におけるBMP使用率と合併症、入院期間、そしてBMPと入院費との関連。

2006年の使用率25%、入院費増大をもたらしている




BMPは全米的に使用が増大していて、2002年は脊椎固定手術のうち0.69%の使用割合だったが、2006年には24.89%となっていた。

使用率は、性、人種、加入保険によって違いが見られた。女性、メディケア加入者では使用率が高く、白人以外の人における使用率は低かった。女性では、使用56.26% vs. 非使用53.35%(オッズ比:1.12)、メディケア加入患者では、使用29.62% vs. 非使用27.16%(同:1.43)、白人以外の人では、使用8.69% vs. 非使用10.23%(同:0.80)だった。

術後直後の合併症による入院に関しては、手術部位(腰部、胸部、後頸部)による違いは見られなかった。

ただし単変量解析および多変量補正後、前頸部でのBMP使用は、高い合併症の発生と関連が認められた(使用7.09% vs. 非使用4.68%、オッズ比:1.43)。主な合併症は、損傷関連(使用1.22% vs. 非使用0.65%、オッズ比:1.67)、嚥下障害または嗄声(使用4.35% vs. 非使用2.45%、オッズ比:1.63)。

また、BMP使用は、部位を問わず脊椎固定手術全体で、入院費増大と関連していた。増大率は11~41%で、最も増大率が高かったのは、前頸部の手術においてだった。

Cahill氏は、「今回の調査で、2006年時点の脊椎固定手術におけるBMP使用は25%に上ること、また前頸部での合併症頻度が高いこと、全部位に関して入院費の増大をもたらしていることが明らかになった」とまとめている。

(朝田哲明:医療ライター)