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痩せるだけでうつは軽減する

 肥満者のうつ病有病率は、正常体重者の2倍であると報告されている。肥満とうつ病には、潜在的に双方向の関連がある。いくつかの研究において、うつ病が体重増加や肥満を引き起こすことが示唆されており、他の研究においては、肥満者がその後うつ病を発症する可能性が高いことが示唆されている。オーストラリア・シドニー大学のN. R. Fuller氏らは、12ヵ月間の研究において、うつ症状と体重変化との関連性を調査した。Clinical obesity誌オンライン版2017年8月11日号の報告。 対象者70例に対し、3ヵ月間のライフスタイル(食事、運動)の体重減量介入を行い、12ヵ月間のフォローアップを行った。対象者はベック抑うつ質問票(BDI-II)を完了し、研究の期間中、体重測定を行った。ベースライン時における対象者は、BMI 31.1±3.9kg/m2、体重89.4±16.1kg、年齢45.4±11.1歳、女性63%であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから3ヵ月までの平均体重変化は-5.2±4.3%、ベースラインから12ヵ月までの平均体重変化は-4.2±6.1%であった。・12ヵ月間の調査において、BDI-IIスコアは有意に低下し、BDI-IIスコアの1単位減少は、体重の-0.4%減少と関連していた。 著者らは「現在の研究では、非臨床的うつ病肥満患者における体重減少は気分改善と関連しており、これらの改善は3~12ヵ月間のフォローアップ期間中も持続することが示唆された」としている。■関連記事うつ病になりやすいのは、太っている人、痩せている人?たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病患者の多い診療科はどこ?

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センチネルリンパ節転移乳がんへのALND、支持されず/JAMA

 T1/T2の原発浸潤性乳がんで、腋窩リンパ節腫脹なし、1~2個のセンチネルリンパ節転移を認める女性において、センチネルリンパ節郭清のみを受けた群は、腋窩リンパ節郭清群に対して、10年全生存率が非劣性であった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのArmando E. Giuliano氏らが、第III相無作為化試験「American College of Surgeons Oncology Group Z0011(ACOSOG Z0011)」の長期フォローアップの結果を報告した。ACOSOG Z0011の最初の結果は、2005年に追跡期間中央値6.3年時点で報告されているが、被験者の大部分がエストロゲン受容体陽性で長期的な再発が懸念されることから、フォローアップの延長が行われた。JAMA誌2017年9月12日号掲載の報告。センチネルリンパ節郭清のみ vs.腋窩リンパ節郭清を長期にわたり追跡 ACOSOG Z0011は、115施設(大学または地域の医療センター)で1999年5月~2004年12月に患者を登録し、センチネルリンパ節転移を有する患者において、乳房温存およびセンチネルリンパ節郭清(SLND)のみを受けた群が、腋窩リンパ節郭清(ALND)を受けた群に対して非劣性であるかを検討した。 研究グループは、10年全生存率の非劣性を調べるため、2015年9月29日時点のフォローアップデータを解析した。適格患者は、clinical T1またはT2浸潤性乳がんで、腋窩リンパ節腫脹なし、1~2個のセンチネルリンパ節転移を認める女性であった。全患者とも乳腺腫瘤摘出と術後の接線全乳房照射およびアジュバント療法が予定されていた。 主要アウトカムは全生存率(OS)で、ハザード比(HR)の非劣性のマージンは1.3であった。10年OSは86.3% vs.83.6%、10年無病生存率、10年領域再発率も有意差なし 891例(年齢中央値55歳)が無作為化を受け(SLNDのみ群446例、ALND群445例)、試験を完遂したのは856例(96%)であった。 追跡期間中央値9.3年(四分位範囲:6.93~10.34)において、10年OSは、SLNDのみ群86.3%、ALND群83.6%であった(HR:0.85[片側95%信頼区間[CI]:0~1.16]、非劣性のp=0.02)。また10年無病生存率は、SLNDのみ群80.2%、ALND群78.2%であった(HR:0.85[95%CI:0.62~1.17]、p=0.32)。 5~10年の間に、領域再発がSLNDのみ群で報告されたが1例であった(ALND群なし)。10年領域再発率について、2群間で有意な差はなかった。 著者は、「10年アウトカムをベースとする集団において、腋窩リンパ節郭清をルーチン行うことは支持されない所見が示された」とまとめている。

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セリチニブ、ALK陽性肺がん1次治療に国内適応拡大

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場一成)は2017年9月22日、セリチニブ(商品名:ジカディア)について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表。 今回の承認は、多施設共同無作為化オープンラベル国際第III相臨床試験(A2301試験)の結果に基づいている。化学療法歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者376例(うち日本人患者12例)を対象としたこの試験では、主要評価項目である独立中央画像評価機関の判定に基づく無増悪生存期間(中央値)は、セリチニブ群で16.6カ月(95%CI:12.6~27.2)であったのに対し、化学療法群では8.1カ月(95%CI:5.8~11.1)であり、化学療法と比べてセリチニブ群において有意な延長が認められた(HR=0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。 さらに、測定可能な脳転移を有する患者における頭蓋内病変の奏効率は、セリチニブ群で72.7%(95%CI:49.8~89.3)であったのに対し、化学療法群では27.3%(95%CI:10.7~50.2)であり、脳転移に対する効果も認められた。 A2301試験における主な副作用は、下痢、悪心、ALT(GPT)上昇、嘔吐、AST(GOT)上昇、γ-GTP上昇などで、安全性のプロファイルにおいて、新たなリスクは特定されなかった。 なお、セリチニブのコンパニオン診断薬として、ロシュ・ダイアグノスティックス社の体外診断用医薬品ベンタナ OptiView ALK(D5F3)が、2017年8月に承認されている。■参考ノバルティスファーマ株式会社ニュースリリースA2301試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

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不眠症への指圧効果

 不眠症に対する低コストの代替治療法としての可能性を有する「自分自身による指圧」。中国・香港理工大学のWing-Fai Yeung氏らは、不眠症緩和を目的とした「自分自身による指圧」の短期的効果を評価するため、パイロット無作為化比較試験を行った。Journal of sleep research誌オンライン版2017年9月8日号の報告。 対象は、不眠症患者31例(平均年齢53.2歳、女性77.4%)。対象者は、「自分自身による指圧」(指圧群)または睡眠衛生教育(比較群)のいずれかのレッスンを受講するようランダム化された。指圧群の15例は、4週間毎日、自分自身で指圧をするよう指示された。比較群の16例は、睡眠衛生教育に従うよう指示された。主要アウトカムは、不眠重症度指数(ISI)とした。また、睡眠日誌、HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)、SF-6D(Short-form Six-Dimension)についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・8週目において、指圧群は比較群よりも、ISIスコアが有意に低かった(エフェクトサイズ:0.56、p=0.03)。・しかし、この有意差は、Bonferroni法で調整後、統計学的に有意なレベルに達しなかった。・副次的アウトカムに関しては、睡眠日誌に基づいた睡眠潜時および中途覚醒において中程度の群間エフェクトサイズの差が認められたが、統計学的に有意ではなかった。・指圧群のアドヒアランスは良好であり、92.3%の患者は、レッスン終了後も8週目まで指圧を実践していた。 著者らは「短期トレーニングによる[自分自身による指圧]は、不眠症を改善するために実現可能なアプローチの可能性がある。この効果は、より検出力のある試験で確認する必要がある」としている。■関連記事不眠症になりやすい食事の傾向音楽療法が不眠症に有用睡眠不足だと認知症になりやすいのか

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epacadostat・ペムブロリズマブ併用で進行性メラノーマのPFSが12ヵ月に(ECHO-202試験)/ESMO2017

 2017年9月9日Incyte CorporationとMerck & Co., Inc.,は、スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)における、選択的IDO1阻害薬epacadostatと、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の進行性悪性黒色腫に対する併用療法を検討する第I/II相臨床試験ECHO-202(KEYNOTE-037)の最新データを発表した。 未治療および治療歴のあるすべての進行性悪性黒色腫患者のうち、epacadostatおよびペムブロリズマブによる併用療法を受けた患者の奏効率は56%(63例中35例)、CRは9例(14%)、PRは26例(41%)であった。SDは10例(16%)で、病勢コントロール率は71%(63例中45例)であった。無増悪生存期間(PFS)中央値は12.4ヵ月、6ヵ月PFS率は65%、12ヵ月PFS率は52%、18ヵ月PFS率は49%であった。奏効が認められた35例のうち、30例が解析時に奏効を持続しており、奏効期間中央値は45週(1〜121週)であった。■参考MERCK(米国本社)プレスリリースECHO-202/KEYNOTE-037試験(Clinical Trials.gov)

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認知症になりにくい性格は

 「誠実さ」が認知症に対して保護的に働くことが、複数の研究で示唆されている。米国・フロリダ州立大学のA. R. Sutin氏らは、「誠実さ」の特定の因子が認知機能障害に対し最も保護的であるか、これらの関連が患者背景的因子や遺伝的リスクにより緩和されるかについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年9月6日号の報告。 Health and Retirement Studyより、「誠実さ」の因子測定を完了しており、ベースライン時の評価で正常な範囲の認知機能を有している、最大6年間のフォローアップ期間中に1回以上の認知機能測定を実施した1万1,181例を、分析のために抽出した。認知症発症リスクおよび認知症でない認知機能障害(CIND:cognitive impairment not dementia)発症リスクの分析には、Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中における、認知症発症は278例、CIND発症は2,186例であった。・認知症リスクと最も強く、最も一貫した関連が認められたのは「責任感」であり、認知症リスクの約35%減少が認められた。「自制心」、「勤勉さ」も保護的な因子であった。・この関連は、臨床的、行動的、遺伝的リスク因子でコントロールした際、一般的に類似していた。・「責任感」、「自制心」、「勤勉さ」は、CINDリスク減少の独立した予測因子でもあった。 著者らは「責任感のある人、自分の行動をコントロールできる人、ハードワークな人では、CINDや認知症を発症する可能性が低く、臨床的、行動的、遺伝的リスク因子で調整後も、これらの関連に変化はないことが示唆された」としている。■関連記事認知症になりやすい職業はスマホ依存症になりやすい性格タイプ統合失調症患者の性格で予後を予測

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オラパリブがBRCA遺伝子変異陽性乳がんの希少疾病用医薬品に指定

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、現在開発中のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤オラパリブが、「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がん」を予定される効能・効果として、2017年9月29日、厚生労働大臣より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けたと発表した。本邦では、オラパリブは2017年3月に「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がん」の希少疾病用医薬品に指定されている。 オラパリブは、ファースト・イン・クラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常を来したがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。生殖細胞系BRCA(BRCA1またはBRCA2)遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がんを対象にオラパリブと化学療法(カペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれか)を比較した、国際共同第Ⅲ相試験OlympiADにおいて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長している(7.0ヵ月 vs. 4.2ヵ月、HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。 BRCA遺伝子変異陽性乳がんの推定患者数は、本邦において約6,000~10,000人ときわめて稀であるものの、散発性の乳がんとは異なる病態的特性を持ち、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome:遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)という疾患概念の一部として認識されている。悪性度が高く予後が不良である可能性が示唆されており、とくに進行・再発性のBRCA遺伝子変異陽性乳がんにおいては、現在の標準治療では効果が限定的で副作用も大きな負担となることから、効果と忍容性の高い薬剤が必要とされているが、BRCA遺伝子変異陽性乳がんに対する分子生物学上の特性を考慮した治療薬剤は、本邦ではまだ承認されていない。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリース■関連記事BRCA1/2遺伝子変異を有するトリプルネガティブ乳がんにおいてPARP阻害薬オラパリブはPFSを延長する − OlympiAD試験(解説:矢形 寛 氏)-705ASCO2017レポート 乳がん-1

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高血圧治療法の新たな展開?(解説:冨山博史 氏/椎名一紀 氏)-738

1. 背景 腎除神経の有意な降圧効果が確認され、高血圧発症・進展における交感神経の重要性が再注目されている。生体における循環動態は一定でなく体位や環境要因などで変動するが、恒常性を維持するために圧受容体反射が重要な役割を有する。圧受容体反射は、血圧上昇に伴う頸動脈伸展刺激が求心刺激となり、延髄循環調節中枢を介して徐脈・降圧に作用するオープンループシステムである。基礎実験にて、デバイスによる頸動脈伸展刺激は降圧効果を示すことが報告されている。2. 目的 上記の背景に基づき、内頸動脈へのステントデバイス留置が降圧作用を示すかを検証した。ただし、本研究では、降圧作用の検証はSecondary endpointであり、Primary endpointはステントデバイス留置に伴う合併症発生である。3. 方法 3-1 対象の選択条件の概要:難治性高血圧(利尿薬を含む3剤で血圧コントロールが不十分)30例(対照群なし)。問診にて服薬アドヒアランス80%以上の症例を選択。ステント植え込みに際してCTまたはMRAで内頸動脈径が5.00~11.75mmであり、かつ同部位に粥状硬化(plaque/ulceration)を認めない。腎機能障害、不整脈、心不全を合併しない。 3-2 手技:左右いずれかの内頸動脈にステントを留置(ステントサイズは5.00~7.00、6.25~9.00、8.00~11.75mmの3サイズから選択)。ステントデバイス留置は、トレーニングを受けた術者が実施。 3-3 診療経過:基本、研究期間中、降圧薬は変更しない。 3-4 評価項目:重症合併症、治療後7日、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月の外来血圧・24時間平均血圧。4. 結果 4-1 合併症:低血圧(2例:7%)、高血圧増悪(2例:7%)、一過性脳虚血発作(2例:7%)など。 4-2 降圧効果:24時間平均血圧(収縮期血圧/拡張期血圧)が3ヵ月後で15/8mmHg、6ヵ月後で21/12mmHg低下した。5. コメント 前回、SPYRAL HTN-OFF MED研究のコメントで述べさせていただいたが、こうしたデバイスによる降圧療法の有用性評価には、降圧薬服薬アドヒアランス、治療手技の確実性、血圧の評価方法などを吟味する必要がある。 5-1 降圧薬服薬アドヒアランス:本研究は問診にて服薬アドヒアランスを確認している。しかし、研究期間中、降圧薬は変更せずに継続しており、服薬アドヒアランスの変化の影響は除外できない。今後、SPYRAL HTN-OFF MED研究のように、降圧薬を中止してステントデバイスの降圧効果を検証する研究が必要である。現在、CALM-START研究として進行中である。 5-2 治療手技の確実性:本治療では内頸動脈径に合わせて3種類のサイズから適切なサイズのステントを選択し留置している。理論的には頸動脈内径が拡大することが刺激となり降圧効果を示すと考えられるが、術後の頸動脈内径の変化はCTや超音波検査では評価されていない。このように手技の確実性は検証されていない。 5-3 血圧の評価方法:血圧の評価は24時間平均血圧で評価している。しかし、対照群が存在しないため経時的血圧変化の影響を除外できていない。6. 本結果の臨床的意義 上述のごとく、降圧薬服薬アドヒアランス、治療手技の確実性、血圧評価方法のいずれにも限界を有する研究である。しかし、治療後6ヵ月の24時間平均血圧の低下度は収縮期血圧21mmHg/拡張期血圧12mmHgである。この結果は、軽症・中等症高血圧を対象としたSPYRAL HTN-OFF MED研究での結果(24時間平均血圧が対照群に比べて収縮期血圧5mmHg/拡張期血圧4.4mmHg低下した)に比べると大きな降圧作用を示している。ゆえに、上記の問題点を解決する新たな研究の成果(現在進行中)を待つ必要がある。 一方、合併症に関しては重大な合併症はないが、2/30例(7%)に一過性脳虚血発作を認めたことは、今後も発生する合併症の種類・頻度に注意を要する治療法であろう。

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ALK陽性肺がん2次治療におけるアレクチニブと化学療法との第III相比較試験(ALUR)/ESMO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)治療の現在の標準はクリゾチニブである。しかし、多くの患者は、1年以内にPDを経験し、それはとくに中枢神経系(CNS)でよくみられる。第III相ALUR試験は、プラチナベース化学療法およびクリゾチニブ既治療のALK陽性NSCLCにおいて、アレクチニブと標準化学療法の有効性および安全性を比較試験であり、その初期結果がスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)で、イタリアUniversity of TurinのS. Novello氏より発表された。 ALUR試験では、18歳以上の既治療のALK陽性NSCLC患者が、アレクチニブ群または化学療法群に2:1に割り付けられ、PD、死亡または退院するまで治療された。化学療法群では、PD後のアレクチニブへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は、治験担当医評価の無増悪生存(PFS)であった。副次評価項目は、IRC評価のPFS、全奏効率(ORR)、CNSのORR(CNS ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)および安全性であった。 結果、107例が登録され、アレクチニブ群72例、化学療法群35例に無作為に割り付けられた。試験薬の治療を受けた患者は104例(アレクチニブ群70例、化学療法群34例)であった。データカットオフ時(2017年1月17日)の追跡期間中央値は、アレクチニブ群6.5ヵ月、化学療法群5.8ヵ月であった。治療期間中央値はアレクチニブ群20.1週、化学療法群6.0週であった。 治験担当医評価のPFSは、アレクチニブ群9.6ヵ月(95%CI:6.9~12.2)、化学療法群1.4ヵ月(95%CI 1.3~1.6)であった(HR:0.15、95%CI:0.08~0.29、p<0.001)。IRC評価のORRはアレクチニブ群で36.1%、化学療法群では11.4%であった。CNS ORRは、アレクチニブ群54.2%、化学療法群では0%であった。DCRはアレクチニブ群80.6%、化学療法群28.6%。DORはアレクチニブ群9.3ヵ月、化学療法群2.7ヵ月であった。 全Gradeの有害事象(AE)はアレクチニブ群の77.1%、化学療法群の85.3%に発現し、Grade3以上のAEはアレクチニブ群27.1%、化学療法群41.2%にみられた。AEによる治療中断や減量はアレクチニブ群では10%、化学療法群では20.6%であった。 アレクチニブは、既治療のALK陽性NSCLCにおいて化学療法と比べ、全身およびCNSの有効性を有意に改善し、また良好な安全性を示す結果となった。■参考ALUR試験(Cliical Trials.gov)

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アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、若年統合失調症外来患者の維持療法におけるドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールの有効性、安全性、忍容性の評価を行った。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌2017年9月号の報告。 多施設二重盲検プラセボ対照無作為化治療中止試験。13~17歳の統合失調症(DSM-IV-TR)と診断された患者を対象に、他の経口抗精神病薬(4~6週)から経口アリピプラゾール10~30mg/日(7~21週)で安定させ、経口アリピプラゾール継続群またはプラセボ切り替え群に2:1に無作為に割り付け、52週目までフォローアップを行った。主要エンドポイントは、無作為化後の精神症状の悪化、再燃までの期間とした。安全性、忍容性も併せて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者201例のうち、無作為化に至った146例は、アリピプラゾール群98例、プラセボ群48例に無作為化された。・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、精神症状の悪化、再燃までの期間を有意に延長した(HR:0.46、95%CI:0.24~0.88、p=0.016)。・アリピプラゾール群では、プラセボ群と比較し、治療中の重篤な有害事象(3.1% vs. 12.5%、p=0.059)、重度の有害事象(2.0% vs. 10.4%、p=0.039)の発生率が低かった。・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、治療中の有害事象による中止率が低かった(20.4% vs. 39.6%、p=0.014、NNH=5.1)。・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、錐体外路症状、体重増加、傾眠の発生率が同等以下であり、血清プロラクチン上昇に関連する有害事象は報告されなかった。・タナーステージングにおいては、アリピプラゾール群の27.6%、プラセボ群の16.7%はバースラインから1、2段階進行した。 著者らは「アリピプラゾールは、若年統合失調症患者の維持治療に対し、安全かつ有効であることが認められた」としている。■関連記事統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

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虫垂炎の非外科的治療後、腸がん罹患率が4倍に

 虫垂炎に虫垂切除ではなく抗菌薬で治療された患者では、診断の難しさと長年の炎症によって腸がん罹患率が増加する恐れがある。今回、スウェーデン・ウプサラ大学のMalin Enblad氏らの研究で、虫垂炎の非外科的治療を受けた患者では短期および長期における腸がん罹患率が増加したことが報告された。著者らは、「虫垂炎患者の最適な管理に関する議論ではこの結果を考慮すべき」としている。European Journal of Surgical Oncology誌オンライン版2017年9月7日号に掲載。 著者らは、スウェーデン全国入院患者登録1987~2013から、虫垂炎と診断されたが虫垂切除の外科的手順コードのない患者を検索した。次にこのコホートをスウェーデンがん登録とマッチさせ、虫垂がん・大腸がん・小腸がんの標準化罹患比(SIR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・虫垂炎の非外科的治療を受けた1万3,595例のうち352例(2.6%)が、虫垂がんまたは大腸がんまたは小腸がんと診断された(SIR:4.1、95%CI:3.7~4.6)。・虫垂がん(SIR:35、95%CI:26~46)および右側大腸がん(SIR:7.5、95%CI:6.6~8.6)で罹患率の増加が最大であった。・虫垂炎後12ヵ月未満の患者を除外した場合、SIRは依然として増加を示し、虫垂炎後5年間の右側大腸がんのSIRは3.5(95%CI:2.1~5.4)であった。・膿瘍を合併した虫垂炎後のSIRは4.6(95%CI:4.0~5.2)、合併していない虫垂炎後のSIRは3.5(95%CI:2.9~4.1)であった。

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CDK4/6阻害薬パルボシクリブ、進行・再発乳がんに国内承認

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は2017年9月27日、「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬パルボシクリブ(商品名:イブランス)の製造販売承認を取得したと発表。 日本も参加した2つの国際共同第Ⅲ相試験(PALOMA-2試験と PALOMA-3試験)、および海外/国内第Ⅱ相試験の結果、パルボシクリブは進行乳がんに対して内分泌療法との併用にて臨床的に意義のある有効性が認められ、これらの結果を取りまとめ、昨年10月に国内における製造販売承認申請を行った。 パルボシクリブは、世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)に承認された経口CDK4/6阻害剤であり、米国をはじめ世界70ヵ国以上で承認されている。 米国においてパルボシクリブは、2013年4月にFDAブレークスルー・セラピーの指定を受け、2015年2月に迅速承認され、2017年3月に正式承認された。現在の米国での適応症は、「HR+HER2-閉経後進行または転移乳がんに対する初回内分泌療法(アロマターゼ阻害薬との併用)」「内分泌療法により疾患が進行したHR+HER2-進行または転移乳がん(閉経の有無を問わない)に対する治療(フルベストラントとの併用)」。 欧州においては、欧州医薬品庁(EMA)により、2016年11月に承認された。適応症は、「HR+HER2-局所進行または転移乳がん(アロマターゼ阻害薬との併用または内分泌療法を受けた患者ではフルベストラントとの併用)」。 レトロゾール、フルベストラントいずれの併用についても、NCCNやASCOなど種々のガイドラインにおいて推奨されている。■参考ファイザー株式会社プレスリリースPALOMA-2試験(Clinical Trials.gov)PALOMA-3試験(Clinical Trials.gov)■関連記事パルボシクリブ、乳がんに国内承認申請:ファイザーパルボシクリブ、内分泌療法後に進行した乳がんのPFS延長/NEJMFDA、パルボシクリブのHR+ HER2−転移乳がんへの適応拡大を承認

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オシメルチニブ、東アジア人のCNS転移例における効果(AURA17)/ESMO2017

 オシメルチニブのT790M陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)のCNS転移例に対する有効性は、国際研究(AURA拡大およびAURA2試験のプール解析)で示されている。スペイン・マドリッドで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)においては、EGFR-TKIで進行した東アジア人患者のCNS転移例に対するオシメルチニブの第II相オープンラベル、シングルアーム試験AURA17の結果が報告された。 AURA17試験では、無症状の安定したCNS転移患者が登録され、オシメルチニブ80mg/日の投与を受けた。評価項目は、RECISTによるCNS客観的奏効率(CNS ORR)、およびCNS奏効期間(CNS DOR)、CNS無増悪生存期間(CNS PFS)で、CNS全解析セット(CNS full analysis set:cFAS)59例と、測定可能なCNS転移のみを有する患者のCNS評価可能セット(CNS evaluable for response set:cEFR)23例で評価された。 研究登録前の6ヵ月以内に脳放射線治療を受けていたのはcFASでは3例、cEFR(23例)は0であった。CNS ORRは、cFASで42%(95%CI:30~56)、cEFRでは70%(95%CI:47~87)であった。CNS DOR中央値は、cFASでは未到達(95%CI:9.2~NC)、cEFRでは11.1ヵ月(95%CI:8.2~NC)であった。CNSの病勢コントロール率は、cFASでは85%(95%CI:73~93)、cEFRでは91%(95%CI:72~99)であった。CNS PFS中央値はcFAS(95%CI:12.4~NC)、cEFR(95%CI:9.4~NC)のいずれも未到達であった。12ヵ月時において、cFASの70%、cEFRの61%の患者が生存中で、CNS無増悪であると推定された。 当試験の結果は、T790M陽性進行NSCLC患者のCNS転移に対するオシメルチニブの国際研究結果と一致しており、東アジア人のCNS転移患者においても臨床的に意味のある効果を示した。■参考AURA17試験(Clinical Trials.gov)AURA2試験(Clinical Trials.gov)AURA2拡大試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、CNS転移例にも有効性示す:AURA3試験/ASCO2017

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双極性障害で過食行動を合併しやすい患者の特徴

 双極性障害患者において、過食行動や過食性障害との合併が頻繁に認められることが、最近の研究(とくに米国の研究)より報告されている。双極性障害と過食症との基本的な臨床的関連性は調査されているが、食生活の心理的または気質的側面および質的側面については、あまり知られていない。フランス・Centre Hospitalier Sainte-AnneのHortense Boulanger氏らは、フランスにおける双極性障害患者のコホート研究より、過食行動の有病率および疾患の特徴、不安、衝動性、感情調節と食習慣との関連を調査した。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年8月30日号の報告。双極性障害患者のうち過食行動の基準を満たしていたのは18.6% 双極性I型障害および双極性II型障害患者145例を対象に、BES(Binge Eating Scale)を用いて、過食行動の有病率を評価した。単変量解析で確認された過食行動の有無による双極性障害患者の特徴は、変数減少法ロジスティック回帰(BSLR)モデルに含めた。 双極性障害患者の過食行動の有病率を調査した主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者のうち過食行動の基準を満たしていたのは18.6%であった。・多変量解析(BSLR)では、過食行動のない双極性障害患者と比較し、過食行動のある患者は、双極性障害の罹病期間が短い、不安および感情反応レベルの高いことが認められた。・双極性障害専門クリニックに照会された比較的小さなサンプルサイズであり横断評価であるため、状態と衝動性、感情的不安定性、脱抑制の気質レベルを区別することはできなかった。これらの面は、気分症状と重複する可能性があった。 著者らは「過食行動は、男女を問わず双極性障害患者において一般的に認められる。感情調節不全や不安は、双極性障害アウトカムの悪化や過食行動の可能性増大に対する共通した重要な脆弱要因となる可能性がある」としている。■関連記事双極性障害患者の摂食障害合併、傾向と予後は過食症の抑うつ症状への有効な介入は摂食障害への薬物療法、最新知見レビュー

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5-FUクリーム、肌の光老化への効果は?

 長期にわたる紫外線曝露による皮膚の老化(光老化)は、多くの患者にとって審美的な問題である。米国・ブラウン大学のKaveri Korgavkar氏らは、日光角化症の治療に用いられるフルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)の光老化に対する効果を、写真数値化スケール(photonumeric scale)を用いて検討したが、光老化の改善は認められなかった。著者は結果について、「光ダメージに対し本当に効果がないのか、もしくは効果を測る写真数値化スケールに限界があるのかもしれない」との見解を示し、「ほくろ、色素沈着および毛細血管拡張など、シワ以外の光老化の徴候を含む写真数値化スケールの開発を考えなければならない」と報告をまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月6日号掲載の報告。 研究グループは、2011年9月30日~2014年6月30日に行われた、2部位以上の皮膚角化細胞がんの既往歴を有する退役軍人を対象に、5-FUクリームの化学的予防効果を評価した二重盲検プラセボ対照試験「Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)試験」の、2次解析を行った。 VAKCC試験では932例が登録され、5-FUクリーム群とプラセボ群に無作為に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、2~4週間、合計28~56回塗布し、ベースラインおよび最長4年まで複数回にわたり写真が撮影された。 2次解析の対象は281例で、ベースライン、6ヵ月後、12ヵ月後および18ヵ月後に撮影した写真について、4種類の写真数値化スケールを用い、皮膚科医2人がそれぞれ光ダメージを評価した。解析は、2016年11月1日~2017年1月1日に行われた。 主な結果は以下のとおり。・281例の患者背景は、平均年齢71.5(SD 0.57)歳、大部分が男性(274例、97.5%)で、全例白人であった。・いずれの評価時点においても、ベースラインからの光ダメージの有意な変化は認められなかった。・各時点でのGriffiths scale/Allergan forehead lines scale/melomental fold scale/crow's feet scaleの結果はそれぞれ下記のとおり: 6ヵ月後:χ2=0.01、p=0.93/χ2=0.18、p=0.67/χ2=0.03、p=0.87/χ2=2.41、p=0.12 12ヵ月後:χ2=1.39、p=0.24/χ2=0.64、p=0.43/χ2=0.12、p=0.73/χ2=1.07、p=0.30)、 18ヵ月後:χ2=3.11、p=0.08/χ2=0.89、p=0.34/χ2=1.64、p=0.20/χ2=0.46、p=0.50)。

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うつ病患者の多い診療科はどこか

 うつ病や抑うつ症状は、患者の健康関連QOLや医療満足度に大きな影響を及ぼす一般的な精神疾患であるが、どの程度まん延しているかは、公表された研究間で大きく異なる。中国・中山大学のJinghui Wang氏らは、異なる臨床専門分野における外来患者のうつ病または抑うつ症状の有病率について的確な推定値を導き出すため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。BMJ open誌2017年8月23日号の報告。 PubMed、PsycINFO、EMBASE、Cochrane Library databasesを検索し、外来患者のうつ病および抑うつ症状の有病率に関する情報を含む観察研究を抽出した。2016年1月までに公表されたすべての研究を対象とした。データは、独立した2名の研究者により抽出された。うつ病または抑うつ症状の有病率は、有効な自己報告アンケートまたは構造化面接を用いて測定した。評価は、ランダム効果モデルを用いてプールした。研究レベルの特徴の差は、メタ回帰分析により推定した。標準χ2検定およびI2統計を用いて異質性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・83件の横断研究より4万1,344例が抽出された。・うつ病または抑うつ症状の全体のプールされた有病率は、27.0%(1万943例、95%CI:24.0~29.0%)であり、研究間で有意な異質性が認められた(p<0.0001、T2=0.3742、I2=96.7%)。・とくに外来患者では、一般対照群と比較し、うつ病および抑うつ症状の有病率が有意に高かった(OR:3.16、95%CI:2.66~3.76、I2=72.0%、χ2=25.33)。・うつ病および抑うつ症状の有病率の推定値は、耳鼻咽喉科クリニックの外来患者で最も高く53.0%であった。次いで、皮膚科クリニック39.0%、神経内科クリニック35.0%であった。・サブグループ分析では、異なる専門分野におけるうつ病および抑うつ症状の有病率は、17.0~53.0%であった。・うつ病および抑うつ症状の有病率は、先進国の外来患者よりも開発途上国の外来患者で高かった。・さらに、外来患者のうつ病および抑うつ症状の有病率は、1996~2010年にかけてわずかな減少が認められた。・スクリーニング法に関しては、BDI(Beck Depression Inventory、4,702例中1,316例、36.0%、95%CI:29.0~44.0%、I2=94.8%)は、HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale、2,025例中1,003例、22.0%、95%CI:12.0~35.0%、I2=96.6%)よりもうつ病および抑うつ症状の有病率の推定値が高かった。 著者らは「研究間での異質性は、変数により完全に説明することはできなかったが、多くの外来患者は、うつ病または抑うつ症状を経験しており、臨床現場における早期発見と治療のための効果的な管理戦略を検討することが重要である」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのかうつ病の診断年齢を分析、とくに注意が必要なのは

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流行性耳下腺炎のMMRワクチン接種 3回 vs.2回/NEJM

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチン(MMRワクチン)について、米国疾病予防管理センター(CDC)のCristina V. Cardemil氏らが大学生を対象とした検討で、3回接種者では2回接種者よりも流行性耳下腺炎のリスクが低下したことを明らかにした。米国では、小児期にMMRワクチンの2回接種がプログラムされている。しかし、大学生での流行性耳下腺炎のアウトブレイクがたびたび報告されており、2015年夏~秋にはアイオワ大学で集団発生が起きた。本報告は、そのアウトブレイクの後半に保健当局者がMMRワクチン接種キャンペーンを呼びかけ、3回目の接種に応じた学生の有効性を2回目の接種時期からの年数で補正を行い検討した結果で、2回目の接種時期が、今回のアウトブレイクよりも13年以上前であった学生は、流行性耳下腺炎のリスクが高かったことも明らかにした。これまで、MMRワクチンの3回投与が流行性耳下腺炎のアウトブレイクを制御するかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。2回目接種からの年数で補正後、接種回数別にワクチンの有効性を評価 アイオワ大学では2015~16年の1学年の間に、学生2万496例のうち259例が流行性耳下腺炎と診断された。研究グループはFisher正確確率検定を用いて、MMRワクチンの接種状況と2回目接種からの年数に基づく未補正発生率を比較した。多変量時間依存性Cox回帰モデルを用いて、2回目の接種からの年数で補正後、接種回数別(3回 vs.2回、2回 vs.未接種)にワクチンの有効性を評価した。3回接種群で発生率が有意に低下 アウトブレイク前にMMRワクチン接種を2回以上受けていた学生は、98.1%であった。アウトブレイク中に3回目の接種を受けたのは4,783例であった。 発生率は、3回接種を受けた学生(1,000人当たり6.7例)が2回接種の学生(同14.5例)よりも有意に低かった(p<0.001)。また、2回目接種を、アウトブレイク前2年以内に受けていた学生と比べて、13~15年前に受けていた学生では、流行性耳下腺炎のリスクは9.1倍高かった。16~24年前に受けていた学生では14.3倍高かった。 3回目のワクチン接種後28日時点で、流行性耳下腺炎のリスクは2回接種の学生よりも78.1%低下していた(補正後ハザード比:0.22、95%信頼区間:0.12~0.39)。 2回接種 vs.未接種の比較検討において、2回目の接種から今回のアウトブレイクまでの年月が経っているほど、ワクチンの有効性が低下していることが示された。 著者は、「結果は、MMRワクチンの3回接種キャンペーンが流行性耳下腺炎アウトブレイクの制御を改善したことを、また、免疫の減衰がアウトブレイクの拡大に寄与したと思われることを示すものであった」とまとめている。

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NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果(KEYNOTE-021)/ESMO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペメトレキセド+カルボプラチン化学療法(PC)群とペムブロリズマブ+化学療法(pembro+PC)群とを比較した第II相試験、KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国Fox Chase Cancer Center のHossein Borghaei氏によりスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congerss)で発表された。 KEYNOTE-021試験コホートGの初回解析では追跡期間中央値(10.6ヶ月)においては、 無増悪生存期間(PFS)のHRは0.53を示し、pembro+PC群で有意に改善した(p=0.010)。 全生存期間(OS)のHRは0.90で、pembro+PC群で優位であった。その後、ASCO2017において、14.5ヵ月の追跡調査データが発表された。その際のPFSのHRは0.49でpembro+PC群で有意に高く(p=0.0035)、客観的奏効率(ORR)についてもpembro+PC群で有意に優れていた(p=0.0016)。OSのHRは0.69で、pembro+CP群で長い傾向が持続していた。今回の発表は、追跡調査中央値18.7ヵ月(0.8~29.0)の結果である(データカットオフ2017年5月31日)。 結果、ORRはpembro+PC群で56.7%、PC群で31.7%(推定差24.8%、95%CI:7.2~40.9%、p=0.0029)であった。PFSはpembro+PC群19.0ヵ月(8.5~NR)、PC群8.9ヵ月(6.2~11.8)で、有意にpembro+PC群が優れていた(HR:0.54、95%CI:0.33~0.88、p=0.0067)。OSはpembro+PCでは未到達(22.8~NR)、PCでは20.9ヵ月(14.9~NR)、HRは0.59(95%CI:0.34~1.05、p=0.03)で、前回の解析に比べ差が開いた。また、PC群の53例の治療中止患者うち40例(75%)が、抗PD-1/抗PD-L1療法を後治療として受けたが、そのうち25例は試験内のペムブロリズマブへのクロスオーバーであった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、pembro+PC群の41%、PC群の29%で発現した。治療曝露期間は、pembro+PC群10.1ヵ月に対し、PC群では4.9ヵ月である。 初回解析で観察されたpembro+PC群のPC群に対するPFSおよびORRの有意な改善は、今回の追跡調査(中央値18.7ヵ月)でも維持されていた。OSのHRはpembro+PC群における優位を続けている。■参考KEYNOTE-021試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善/ESMO2016ペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

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ドネペジルの治療反応、投与前に予測可能か

 アルツハイマー型認知症(AD)に対するドネペジルの治療反応は、患者により異なり、治療前に潜在的な治療反応者を特定することが重要である。脳白質の変化(WMC)は、高齢患者で頻繁に認められ、治療反応に対するWMCの影響については議論の余地がある。台湾・高雄医科大学のMeng-Ni Wu氏らは、WMCの場所や重症度とドネペジルの治療反応との関連を調査するため検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年8月29日号の報告。 ドネペジルを投与されているAD患者418例のうち、196例を分析の適格とした。5つの脳領域それぞれにおいて、治療前にCTスキャンおよびAge-Related White Matter Changes Rating Scaleを用いて分析を行った。認知障害検討のため、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)を毎年実施した。ベースライン時からフォローアップ時のCASIスコアの差が0以下であった場合を、治療反応者と定義した。 主な結果は以下のとおり。・治療反応群と非治療反応群との間に、人口統計学的データでの有意な差は認められなかった。・治療反応群は、前頭側頭領域におけるWMCの関与が有意に少なく(p=0.0213)、大脳基底核領域におけるWMCへの関与がほとんど認められなかった(p=0.1103)。・年齢、性別、教育、アポリポ蛋白E多型、高血圧、糖尿病で調整した後、前頭側頭領域(OR:0.446、p=0.0139)および大脳基底核領域(OR:0.243、p=0.0380)におけるWMCは、治療反応の低下との有意な関連が認められた。 著者らは「前頭側頭領域および大脳基底核領域にWMCを有する患者では、ドネペジルに対する治療反応の有意な低下が認められた。WMCの場所が、重症度とは関係なく、AD患者におけるドネペジルの治療反応と関連している可能性があることが示唆された」としている。(鷹野敦夫)■関連記事認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

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GLP-1受容体作動薬は心イベントのみならず、腎イベントも抑制する(解説:吉岡成人 氏)-735

 2017年に公表された米国糖尿病学会のガイドラインでは、心血管疾患のハイリスク患者に対するGLP-1受容体作動薬の使用が推奨されている。その根拠となっている臨床試験がLEADER試験(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)であり、リラグルチドによって2型糖尿病患者の心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死的脳卒中)がわずかではあるが、統計学的に有意差をもって抑制される(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.87~0.97)ことが示されている。今回の報告は、LEADER試験の副次評価項目としての腎アウトカムについて分析したものである。 持続性顕性アルブミン尿の新規発症、血清クレアチニン値の持続的倍化、末期腎不全、腎疾患による死亡の4項目を腎アウトカムとして評価し、推定糸球体濾過量(eGFR)、アルブミン尿の推移についても検討を加えている。 9,340例の2型糖尿病を対象とした二重盲検プラセボ対照比較試験で、追跡期間の中央値は3.84年である。腎アウトカムの発生はプラセボ群7.2%(4,672例中337例、19.0/1,000人年)、リラグルチド群5.7%(4,668例中268例、15.0/1,000人年)であり、リラグルチド群で有意な減少を認めた(ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.67~0.92、p=0.003)。腎アウトカムの4項目の中で有意に減少しているのは持続性顕性アルブミン尿の新規発症であり(4.6% vs.3.4%、ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.60~0.91、p=0.004)、その他のアウトカムでは差がなかった。さらに層別解析ではeGFRが60mL/min/1.73m2以上の群、すでに微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿が認められる群でのハザード比の有意な低下が確認されている。 一方で、SGLT2阻害薬による大規模臨床試験であるEMPA-REGアウトカム試験やCANVAS試験で認められたeGFRの低下を防ぐことを示すことはできなかった。おそらく、SGLT2阻害薬の腎保護効果が腎血行動態やケトン体などによる複合的なものであるのに対し、リラグルチドの腎保護効果はアルブミン尿の排泄減少が主体であり、酸化ストレスや、糸球体における炎症の軽減によるものなのかもしれない。 日本において広く使用されているDPP-4阻害薬ではアルブミン尿の減少などの腎保護作用は臨床的に確認されておらず、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の差異を示す1つの臨床データとも受け止めることができる。

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