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WATCHMAN留置後の血栓症の特徴を調査

 左心耳は非弁膜症性心房細動患者における血栓塞栓症の主要な発生源と考えられ、経皮的に左心耳を閉鎖することが、長期の抗凝固療法に代わる治療として使用される頻度が増えている。米国においては、WATCHMANが米国食品医薬局(FDA)が承認した唯一の左心耳閉鎖デバイスである。しかし一方で、WATCHMAN留置後、残存するデバイス周囲からの閉鎖漏れや予期できないデバイス関連血栓が懸念されている。Cedar-Sinai 医療センターのShunsuke Kubo氏、Saibal Kar氏ら研究グループは、心房細動患者におけるWATCHMANに関連した血栓形成の特徴や、その影響を調べた。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月号に掲載。心房細動患者119例が対象、デバイス関連血栓症の発生率は3.4% 本研究では、2006~14年に連続してWATCHMANの植込みを受けた心房細動患者119例を対象とした。植込み後の経食道エコー(TEE)は、45日後、6ヵ月後、12ヵ月後に実施された。TEEで同定されたデバイス関連血栓の発生率、特徴と臨床経過が評価された。フォローアップのTEEにより、デバイス上に形成された血栓が4例(3.4%)に同定された。血栓が見つかった患者はいずれも慢性心房細動を有しており、血栓のない患者における慢性心房細動の有病率(40%)よりも高かった。また、血栓を有する患者においては、留置されたデバイスのサイズが大きかった(29.3±3.8mm vs. 25.7±3.2mm)。血栓を有するすべての症例で、研究のプロトコールで求められる抗凝固もしくは抗血小板療法が中断されていた。ワルファリンおよびアスピリンによる治療再開後、全症例で血栓の完全な消失がTEEにより確認された。全症例において、ワルファリンは6ヵ月で中止されたが、血栓の再発は認められなかった。フォローアップ期間の平均は1,456±546日で、血栓を有する患者における死亡、脳梗塞、全身の血栓症は認められなかった。短期間のワルファリン療法がデバイス関連血栓症に有効 本研究では、心房細動の頻度、デバイスのサイズ、抗凝固・抗血小板療法が、WATCHMAN留置後に生じるデバイス関連血栓に関与しうることがわかった。また、短期間のワルファリン療法はデバイス関連血栓症に有効であることが示され、その後の再発も認められなかった。■参考Incidence, Characteristics, and Clinical Course of Device-Related Thrombus After Watchman Left Atrial Appendage Occlusion Device Implantation in Atrial Fibrillation Patients(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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DOACエドキサバン、がんの血栓症で低分子ヘパリンに非劣性

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は2017年12月13日同社のニュースリリースで、抗凝固薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)による、がん合併静脈血栓塞栓症(VTE)患者を対象としたHokusai-VTE CANCER試験の結果において、エドキサバンが標準治療薬である低分子量ヘパリンのダルテパリン(国内未承認)に対して有効性および安全性に係わる主要評価項目において非劣性を達成したと発表。 本試験の結果は、米国ジョージア州アトランタで開催した第59回米国血液学会(ASH)年次総会のlate breaking sessionで発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載された。  Hokusai-VTE CANCER試験は、欧米を中心とする海外13ヵ国において、がんを合併したVTE患者1,050名を対象に、1日1回経口投与のエドキサバンまたは1日1回皮下注射のダルテパリンを12ヵ月間投与し、両剤の有効性(VTEの再発)および安全性(重大な出血)を比較したもの。  本試験の主要評価項目(VTEの再発および重大な出血の複合発現率)において、エドキサバン群は12.8%(522名中67名)、ダルテパリン群は13.5%(524名中71名)、リスク差(エドキサバン群の発現率-ダルテパリン群の発現率)は-0.7%となり、エドキサバンのダルテパリンに対する非劣性が検証された。リスク差(-0.7%)の内訳は、VTEの再発のリスク差は-3.4%、重大な出血のリスク差は2.9%であった。特に重篤度の高い重大な出血(重篤度カテゴリー3~4)の発現数はエドキサバン群で12名、ダルテパリン群で12名であった。 VTEは、がん患者において2番目に多い死亡原因となっている。現在、がんを合併したVTE患者の欧米における治療ガイドラインは、標準治療として低分子量ヘパリン(皮下注射)の6ヵ月以上の投与を推奨しているが、服薬アドヒアランス上の未充足ニーズがある。■関連記事リクシアナ効能追加、静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

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経口semaglutideがもたらした血糖降下薬のパラダイムシフト(解説:住谷哲氏)-780

 GLP-1は数十個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、インスリンをはじめとする他のペプチドホルモンと同様に経口投与では消化管で分解されてほとんど吸収されない。これまで経口インスリンの開発が進められてきたが残念ながら現時点では実用化に至っていない。本論文は経口GLP-1受容体作動薬である経口semaglutideが注射薬とほぼ同等の血糖降下作用および体重減少作用を有することを明らかにした点で、糖尿病治療におけるbreakthroughと考えてよい。 どのようにしてペプチドホルモンであるsemaglutideが吸収可能となったのだろうか?DDS(drug-delivery system)は薬剤開発の重要な1分野であるが、筆者の知らない間に急速な進歩をとげているようである。本論文のIntroductionに記載があるが、吸収促進剤であるsodium N-[8 (2-hydroxylbenzoyl) amino] caprylate (SNAC)とsemaglutideの混合物が胃に到達すると、SNACが胃粘膜局所のpHを上昇させることで胃液によるsemaglutideの加水分解を阻害し、かつsemaglutideの溶解度を上昇させる。その後、semaglutideは輸送蛋白を介さず、胃粘膜細胞間隙を通して吸収されるらしい1)。つまりsemaglutideは小腸ではなく胃粘膜から吸収されるようだ。この方法の優れた点は、注射ではなく経口投与であるのに加えて、薬剤が門脈を通して肝臓に達する点にある。インスリンもそうであるが、GLP-1は本来腸管から門脈を通して肝臓に達するのが生理的経路であり、経口semaglutideはそれを実現したといえるだろう。 26週の観察期間において経口semaglutideは注射薬と同等のHbA1c低下作用および体重減少作用を示した。SGLT2阻害薬が体重減少作用を有する経口血糖降下薬として処方数が増加している。しかしSGLT2阻害薬の体重減少作用は食事療法が守れないと期待どおりの効果が得られないことが明らかになりつつある。それに比べてGLP-1受容体作動薬であるsemaglutideには食欲抑制作用があるため、より確実な体重減少作用が実臨床において期待される。 注射または経口と投与経路は異なるが同じsemaglutideであり、SUSTAIN-6 2)で示されたsemaglutideの心血管イベント抑制作用はおそらく経口semaglutideでも再現されるだろう。しかし、これは今後米国において認可のために実施されると思われるCVOTの結果を待つ必要がある。いずれにせよ注射薬から経口薬へのパラダイムシフトが経口semaglutideによってもたらされたのは間違いない。

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スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。 本研究は、プラバスタチンの脳卒中再発予防効果を検討する多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験であるJ-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke、主任研究者:松本 昌泰氏)研究のサブスタディ(J-STARS Echo)である。登録された864例のうち、ベースライン時に超音波検査がなかった71例を除外し、プラバスタチン(10mg/日)を投与する群(プラバスタチン群)に388例、スタチンを投与しない群(コントロール群)に405例を無作為に割り付けた。主要アウトカムは5年間の観察期間における総頸動脈IMTの変化で、反復測定のための混合効果モデル(mixed-effects models for repeated measures)を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの特性は、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(中央値、0[四分位範囲:0~2]vs.1[同:0~2]、p=0.019)を除いて、2群間に有意な差異はなかった。・ベースラインIMT(平均±SD)は、プラバスタチン群では0.887±0.155mmであり、コントロール群では0.887±0.152mmであった(p=0.99)。・プラバスタチン群での5年時のIMTの年次変化は、コントロール群と比較し有意に減少した(0.021±0.116 vs.0.040±0.118mm、p=0.010)。4年目までは有意な差はみられなかった。

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てんかんとADHD合併の小児および青年における薬物療法の課題

 てんかんの小児および青年における罹病率は、3.2~5.5/1,000である。また、てんかん患者の約1/3は、ADHD症状を合併している。てんかんとADHDとの関連は、よくわかっていないが、不注意、多動、行動障害などのADHD症状は、しばしば抗てんかん薬の有害作用であると考えられる。イタリア・University of L'AquilaのAlberto Verrotti氏らは、行動に対する抗てんかん薬の影響に関するデータを検索した。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の誘発が最も報告されている薬剤は、フェノバルビタールであった。次いで、トピラマート、バルプロ酸であった。・フェニトインは、中程度の影響が認められるようだが、レベチラセタムは、対照的なデータが存在した。・ラコサミドは、行動に対し有益な影響をもたらし、カルバマゼピンおよびラモトリギンは、注意および行動に対し良好な影響を発揮する。・ガバペンチンおよびビガバトリンは、認知機能に対し有害作用を有する。・オクスカルバゼピン、ルフィナミド、eslicarbazepineは、ADHD症状の悪化や誘発が認められないようであるが、ペランパネルは、敵対的/攻撃的行動を高率でもたらす(これは高用量で増加する可能性がある)。・エトスクシミド、ゾニサミド、tiagabine、プレガバリン、スチリペントール、retigabineの行動への影響に関するデータは、まだ限られている。・ADHD症状は、てんかん患者のQOLに著しい影響を及ぼすため、この神経精神医学的な障害に対する臨床的管理は優先事項として取り扱うべきである。・データはまだ少数で、限られているものの、メチルフェニデートは、ADHD症状とてんかんを合併している小児や青年において、多くの場合、発作リスクを有意に増加させることなく有効である。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

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反復性片頭痛へのerenumabの予防効果、第III相試験結果/NEJM

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体erenumabについて、70mgまたは140mgの月1回皮下投与は、反復性片頭痛患者においてプラセボと比較し、片頭痛の頻度、片頭痛の日常生活への影響および急性期片頭痛治療薬の使用を有意に減少させることが認められた。英国・キングス・カレッジ病院のPeter J. Goadsby氏らが、第III相の多施設無作為化二重盲検プラセボ比較試験「STRIVE試験」の結果を報告した。第II相試験では、erenumab 70mg月1回投与の有効性が示されていた。NEJM誌2017年11月30日号掲載の報告。約1,000例で、erenumab 70mgまたは140mgの有効性と安全性をプラセボと比較 研究グループは、2015年7月~2016年9月5日の期間に、18~65歳の反復性片頭痛患者955例をerenumab 70mg、140mgまたはプラセボの3群に無作為に割り付け(それぞれ317例、319例、319例)、いずれも月1回皮下投与を6ヵ月間行った。 主要エンドポイントは、片頭痛を認めた日数(月平均)のベースラインから投与4~6ヵ月の変化。副次エンドポイントは、片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合、急性期片頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの変化、身体機能スコア(Migraine Physical Function Impact Diary[MPFID:0~100点、スコアが高いほど片頭痛が身体機能に与える影響が大きい])における機能障害・日常生活領域のスコアの変化などであった。70mgおよび140mgともに片頭痛の頻度が有意に減少 片頭痛月平均日数は、ベースライン時は全集団において8.3日であったが、投与4~6ヵ月時は、erenumab 70mg群で3.2日減少、同140mg群で3.7日減少したのに対し、プラセボ群では1.8日の減少であった(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)。 片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合は、70mg群43.3%、140mg群50.0%に対し、プラセボ群は26.6%(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)、また、急性期片頭痛治療薬の使用日数の変化量はそれぞれ1.1日減少、1.6日減少に対し0.2日減少であった(同p<0.001)。 機能障害スコアは、70mg群4.2点、140mg群4.8点の改善であったのに対して、プラセボ群は2.4点の改善であった。同様に日常生活スコアもそれぞれ5.5点、5.9点、および3.3点の改善であった(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)。 有害事象の発現率は、erenumab群とプラセボ群で同程度であった。 著者は、2クラス以上の片頭痛予防薬で効果がみられなかった患者は除外されていることを研究の限界として挙げており、「erenumabの長期的な安全性と効果の持続性に関しては、さらなる研究が必要である」と述べている。

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航空券予約時、Dr にチェックをすべきか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(199)

百九十九の段 航空券予約時、Dr にチェックをすべきか?2017年9月7日の「機長からの手紙」では、国際線の航空機の中でのドクター・コールに名乗り出た経験を述べました。後日、この経験についての同僚との会話で、名前の敬称欄のチェックに話が及びました。同僚「航空券を予約するときに名前の入力でな、Mr か Ms か Dr か、選んでチェックする欄があるやろ」中島「確かにありますね」同僚「あそこの Dr の欄にチェックした場合はな、ドクター・コールに応じます、という意味なんや」中島「ええーっ! 今まで何も考えずに Dr にチェックしていました」同僚「僕なんか、あまり呼ばれたくない時には Mr の所にチェックしとるんや」中島「そうですか、知らんかった!」同僚「そやから文学博士や工学博士がうっかり Dr の欄にチェックしたら、緊急事態の時にえらい事になるで」中島「ひえーっ!」とはいえ、これは本当の事なのでしょうか? たまたま何かの会合で日本の航空会社の方と一緒になったので、尋ねてみました。そうするとキチンと調べた上で回答してくれたので、皆さんにも紹介しておきたいと思います。まずは結論から。Dr の欄は単なる敬称で、ドクター・コールとは何の関係もない良かったですね。Dr 欄にチェックしたからといって呼ばれるわけではないそうです。そもそも世界の航空会社の中には予約時に Dr 欄のないところがたくさんある一方、Mr、Ms、Dr のほかに Prof とか Prof Dr とか、ありったけの選択肢を並べているところもあるそうです。ということで、以下は私が尋ねた航空会社の方による要約 1.Academic Title は、医学に限定するものではありませんので、医学博士に限らずほかの分野でも Dr で登録することが可能です。2.機内での緊急医療が必要な際は、予約時の Title から個別にお声かけするものではありません。あくまでも客室全体にお声かけし、医師であるお客様ご自身からの申し出を待つことになります。ただし、Doctor on Board のようなドクター登録制度がある場合には、登録済で搭乗されている医師に直接お声かけすることになります。 それと、この会社では米国アリゾナ州にある MedAire社と契約して、無線通信による地上からの医学的アドバイスを受けることができるシステムを持っているそうです。「契約の範囲は自社機材運航便のみ」とか「アドバイス要請は当社乗務員の判断による」など、ちょっとした制約はあるものの、このような裏ワザがあるということも知っておくと心強いですね。実際、医学生時代にドクター・コールに応じ、地上からのアドバイスを受けながら患者さんを診察した、とある英国人医師が私に語ってくれました。「勇気ありますねえ!」と言ったら、"Why not?" と返されました。このような情報が読者の皆様のお役に立つことがあれば幸いです。最後に1句呼ばれたら つべこべ言わず 名乗り出ろ!もう1句、本音ベースで呼ばれても まだまだ僕は 修業の身!

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“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。世界における新型タバコの状況 横浜で行われた世界肺癌学会(WCLC)では、米国・Human Rights and Tobacco Control NetworkのCarolyn M Dresler氏が「Current Status of Smoking Cessation」と題し、新型タバコを取り巻く世界の状況を紹介した。 電子タバコは、ニコチンを含むENDS(Electronic Nicotine Delivery Systems)とニコチンを含まないENNDS(Electronic Non-Nicotine Delivery Systems)に分かれる。電子タバコの規制については、国際的にもいまだに統一されていない。オーストラリア、シンガポール、カナダでは禁止されている一方、英国では従来型タバコからの切り替えを目的として使用を推奨している。日本では、ニコチンを含まないものに限り認められている。 HNBはその名の通り、タバコ葉を燃焼温度以下に加熱し(あるいは加熱発生させたエアロゾルをニコチン粉末に通過させて)、ニコチンを含むエアロゾルを肺内に送達するもの。フィリップ モリス インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、JT(日本たばこ)インターナショナル(JTI)など世界の大手タバコ企業が競って、製品の開発と普及に力を注ぐ。PMIのアイコス、BATのiFuse(本邦ではグロー)、JTIのプルーム・テックがあり、いずれの製品も非常に好調な販売状況である。本邦においてもその好調ぶりは同様で、アイコスは2015年11月のオンライン上での発売開始から、2017年5月現在、市場シェアの8.8%を占めるまでに拡大しているという。PMIのCEO:Andre Calantzopoulos氏はNikkei Asian Reviewで「販売数から推定すると、論理的には5年間で転換点に達する。そこが、現状の燃焼系タバコの段階的廃止を政府と話し合う時期になるだろう」と述べている。 新型タバコの健康への影響はどうか。これについては、「議論の余地が残るところであり、さまざまなシステマティックレビューが発表されている」とDresler氏は述べた。同氏が紹介した米国国立がん研究所(NCI)による電子タバコ使用者の尿中の分析では、PHA、NNK、アクロレインといった有害物質は従来のタバコに比べ著明に減少している。しかし、ニコチンについては従来型タバコと差異がなかった。HNBについては、製造企業であるPMIによるアイコス使用5日および90日の有害物質の曝露結果が紹介された。その研究では、カーボンモノオキサイド、アクロレイン、ベンゼンなどの有害物質は禁煙者と同等の減少を示すという結果を公表している。 また、ニコチンを含む新型タバコが、喫煙者の喫煙行動に影響を与えるのか。この問題も議論の余地が残るところであるが、Dresler氏が紹介した2014~15年の全米タバコ調査(Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)における、電子タバコ使用者と禁煙者の比較分析では、電子タバコ使用者と非使用者の3ヵ月時点での禁煙成功率は、電子タバコ使用者では8.2%、非使用者では4.8%と、電子タバコ使用者のほうが高い結果を示した。新型タバコの普及を憂慮する意見も多数 このような新型タバコの役割に期待する考えと共に、憂慮する意見も数多くある。日本呼吸器学会は新型タバコの国民の健康に対する影響や社会的影響について、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解」を公式ホームページに掲載した。その内容は以下のとおり。 従来のタバコの代替品として新型タバコを推奨する考え方があるが、新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性については現時点では明らかでなく、科学的証拠が得られるまでには、かなりの時間を要し、「現時点では推測にすぎない」。新型タバコは、煙が出ない、あるいは煙が見えにくいとされているが、特殊なレーザー光を照射すると大量の“見えにくいエアロゾル”を呼出している。この呼出煙中には燃焼タバコと同レベルのニコチンや数倍の有害物質が含まれているとの報告があり、「新型タバコの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性がある」としている。また、新型タバコの受動喫煙については、健康リスクの科学的証拠を得るには時間がかかるが、「使用者の呼出したエアロゾルが周囲に拡散するため受動喫煙による健康被害が生じる可能性がある」。「従来の燃焼式タバコと同様に、公共の場所、公共交通機関での使用は認められない」との見解を示した。 日本対がん協会の望月友美子氏も、新型タバコの広がりに懸念を示す。同じく世界肺癌学会(WCLC)のプレスセミナーにて以下のように述べた。 日本では近年、HNB製品が急速に広がりを示している。日本には多くの禁煙クリニックがあるが、アクセスが限定されており費用も高い。新型タバコ使用者は、禁煙クリニックに行く代わりに、コンビニエンスストアで簡単に手に入るHNB製品を購入することができる。これが禁煙活動の拡大を妨げてしまう可能性が懸念されるという。望月氏はまた、新型タバコの公共喫煙規制に対する問題点にも触れた。本邦で検討している受動喫煙防止法の議論の中に、新型タバコは含まれていない。東京都で定めた18歳未満の子どもの受動喫煙防止を求める「子どもを受動喫煙から守る条例」では、HNBも規制対象にしているが、全国で一定の基準はなく、地域により対応はさまざまである。この点についても、「後戻りができなくなる前に、新型タバコの取り扱いに対する厳格な規定を作る必要がある」と望月氏は述べた。■参考米国国立がん研究所(NCI)による電子たばこの研究フィリップ モリス インターナショナル社の研究全米たばこ調査による分析結果PMI CEO Andre Calantzopoulos氏インタビュー(Nikkei Asian Preview)非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解日本呼吸器学会の見解中に引用されているWHOの報告書東京都子どもを受動喫煙から守る条例

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治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

 最近の研究によると、幻覚系(psychedelic)ドラッグ補助的心理療法によるメンタルヘルスアウトカムの改善が報告されている。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのR. L. Carhart-Harris氏らは、治療抵抗性うつ病に対するシロシビン(マジックマッシュルーム含有成分)の非盲検試験における、6ヵ月間の有効性および安全性について報告を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2017年11月8日号の報告。 対象は、重度の治療抵抗性単極性うつ病患者20例(うち女性6例)。支持的環境で、シロシビン経口投与を2回(10mgと25mg)、7日の間隔を空けて行った。主要アウトカムは抑うつ症状の改善とし、QIDS-SR16自己評価スコアを用いて、治療後1週間から6ヵ月にかけて評価した。 主な結果は以下のとおり。・全般的に、治療の忍容性が認められた。・ベースラインと比較して、治療開始後5週目において、抑うつ症状の顕著な改善が認められた(Cohen's d=1週目2.2および5週目2.3、各々p<0.001)。5週目において、9例に治療反応が認められ、4例は寛解基準を満たしていた。・3ヵ月後(Cohen's d=1.5、p<0.001)および6ヵ月後(Cohen's d=1.4、p<0.001)の結果は、良好なままであった。・シロシビン投与開始後5週間以内に、従来の抗うつ薬治療を求めた患者はいなかった。・急性の幻覚経験の質によって、5週目の抑うつ症状改善は予測された。 著者らは「非盲検試験のため、治療効果については限られた結論しか得られなかったが、治療抵抗性うつ病患者に対するシロシビン投与は、忍容性は良好であり、治療開始後急速に効果を発現し、その効果は6ヵ月間有意なままであった。治療抵抗性うつ病に対するシロシビン投与は、有望な治療法であり、二重盲検ランダム化比較試験によるさらなる研究が期待される」としている。■関連記事アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

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抗血栓治療でPPAPは成立するか?(解説:香坂俊氏)-777

 動脈系血栓予防(冠動脈疾患など)に最適とされている薬剤はアスピリンである。静脈系血栓予防(深部静脈血栓や心房細動など)には長らくワルファリンが用いられてきた。では、冠動脈疾患に心房細動が合併したりして、その2つを一度に行わなければならないときはどうするか? 数年前までは何も考えずこの2剤を併用してきた。2016年の流行語にPPAP(PEN-PINAPPLE-APPLE-PEN:ペンパイナッポーアッポーペン)というものがあったが、まさに・動脈系血栓予防にはASPIRIN・静脈系血栓予防にはWARFARIN・それをくっつけASPIRIN-WARFARIN-APPLE-PENといった塩梅である(苦しいですが、年の瀬なので許してください)。 しかし冠動脈疾患の治療にステントが使われるようになると、インターベンション治療(PCI)を行った患者にはアスピリンに2剤目の抗血小板薬(クロピドグレルやプラスグレル)をかぶせなければならなくなった。いわゆるDAPT(Dual AntiPlatelet Therapy:抗血小板2剤併用療法)である。すると、例えばステント治療を行った心房細動患者にはDAPTに加えさらにワルファリンを投与することになり「ちょっと多いかもな」ということになる。これが杞憂でないことはWOESTという医師主導の臨床試験で立証され、3剤で行くよりもアスピリンを抜いた2剤(クロピドグレル+ワルファリン)のほうが出血イベントが半分程度になることがわかった(DOI)。 その後、ワルファリンの代替薬としてNOAC(Non-Vitamin K Oral Anticoagulant:非ビタミンK経口抗凝固薬)が使われる時代になり、メーカーがこうした臨床試験に協力してくれるようになった。そうした流れの中で初代NOACであるダビガトランを用いて行われたのがRE-DUAL PCI試験である(これより前にリバーロキサバンでPIONNEER AF-PCI試験が行われており[DOI、さらにアピキサバンでもAUGUSTUS試験が現在行われている)。 結果の詳細は別記事(CareNet該当記事参照)に譲るが、・ダビガトラン 150mg BID+P2Y12阻害薬単剤(2剤)・ダビガトラン 110mg BID+P2Y12阻害薬単剤(2剤)・ワルファリン+DAPT(3剤併用) の3群で比較され、WOESTとほぼ同様の結果が得られている。 掲載誌のEditorialにはこれまでの3つの試験(WOEST、PIONNEER、RE-DUAL)のメタ解析が掲載されているが、出血イベントに関する安全性はもちろんのこと(OR:0.49、95%CI:0.34~0.72)、2剤のほうが虚血イベント抑制に関しても有利でありそうだ(OR:0.80、95%CI:0.58~1.09)という結果が示されている。これは、出血に伴い血栓傾向が強まることを考え合わせると(以下の3つのメカニズムによる)首肯できる結果である。(1)抗血小板薬や抗凝固薬の中止を余儀なくされる(2)出血そのものが炎症反応を惹起する(3)輸血や止血手技でも同様に炎症反応が惹起される 昨今、効果に差を見出すのではなく(Efficacy Trial)、安全性やQOLの確保に重点をおいた減算型の臨床試験が多く行われているが、RE-DUALもその好例といえる(3剤から2剤に引いても安全ですよということを明示)。今後おそらくこの領域では、安易な足し算の発想(PPAP式?)で3剤併用が行われることは【圧倒的】に少なくなることが予想される。

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1型糖尿病の臓器障害に、RA系阻害薬は有効か?(解説:石上友章氏)-776

 糖尿病は、特異的な微小血管障害をもたらすことで、腎不全、網膜症、神経障害の原因になる。糖尿病治療のゴールは、こうした合併症を抑制し、健康長寿を全うすることにある。RA系阻害薬に、降圧を超えた臓器保護効果があるとされた結果、本邦のガイドラインでは、糖尿病合併高血圧の第1選択にRA系阻害薬が推奨されている。しかし、臨床研究の結果は、必ずしもRA系阻害薬の降圧を超えた腎保護効果を支持しているわけではない。ONTARGET試験・TRANSCEND試験1,2)を皮切りに、最近ではBMJ誌に掲載された報告3)(腎保護効果は、見せかけだった~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~)も、観察研究ではあるが、否定的な結果に終わっている。 1型糖尿病の腎保護については、ミネソタ大学のMauerらのRASS試験4)が、決定的な結果を報告している。本研究では、ARB(ロサルタン)、ACEI(エナラプリル)とplaceboの3群に分けた対象で、腎保護作用を検討している。本研究の特筆すべき点は、腎保護効果について、腎生検標本を用いて、厳密に評価していることにある。その結果は、メサンギウム分画容積をはじめとした、すべての病理学的評価指標に、3群間で差が認められなかった。 この結果を受けて、NKF(米国腎臓財団)によるKDOQI Clinical Practice Guideline For Diabetes And CKD/2012 Updateには、6章の6.1として、“We recommend not using an ACE-I or an ARB for the primary prevention of DKD in normotensive normoalbuminuric patients with diabetes.(1A)”とされた5)。この一文には、RA系阻害薬の糖尿病性腎障害抑制作用は、病理学的な変化をもたらすほどの効果はなく、微量アルブミン尿のような不正確な指標で評価された、見かけ上の効果でしかないとの意味が込められている。 英国・ケンブリッジ大学のM Loredana Marcovecchioらが行い、NEJM誌2017年11月2日号に掲載されたAdDIT試験は、スタチンとACE阻害薬を試験薬とし、2×2要因デザインで行われたRCTである。結果は、両試験薬ともに、primary endpointを達成することはできなかった。副次評価項目である、微量アルブミン尿の累積発症率には有意差が認められたが、EBMの原則に従って、著者らはこの結果を採用しなかった。しかしながら、“Many secondary outcomes in the published protocol were exploratory but considered to be clinically relevant in this population of adolescents.”とは、「夢の続きを見ていたい」という著者らの率直な心情の吐露なのかもしれない。

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双極性障害における混合状態の急性期および長期治療に関するWFSBPガイドライン

 最近のガイドラインでは、双極性混合状態の認知や治療は、臨床的に関連性が高いものの、十分に評価されていない。WFSBP(生物学的精神医学会世界連合)ガイドラインでは、成人の双極性混合状態の急性期および長期治療に関するすべての科学的エビデンスのシステマティックレビューが行われた。本検討に関して、英国・ニューカッスル大学のHeinz Grunze氏らが報告を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2017年11月3日号の報告。 ガイドラインに使用した資料は、さまざまなデータベースを用いてシステマティックに文献検索を行い、抽出した。エビデンスは6つのレベル(A~F)に分類され、実行可能性を保証するため異なる推奨グレードが割り当てられた。著者らは、双極性混合状態患者における躁症状およびうつ症状の急性期治療に関するデータ、躁症状またはうつ症状エピソード後の混合エピソード再発予防に関するデータ、混合エピソード後の躁症状またはうつ症状の再発に関するデータを調査した。主な結果は以下のとおり。・双極性混合状態における躁症状は、いくつかの非定型抗精神病薬による治療に反応しており、オランザピンによる治療において最も良いエビデンスが認められた。・うつ症状では、通常治療にziprasidoneを追加することが有用であると考えられる。しかし、躁症状の治療よりも限定されたエビデンスしか存在しなかった。・オランザピン、クエチアピンに加え、バルプロ酸、リチウムも再発予防のために考慮すべきである。本研究の限界として、混合状態の概念は時とともに変化しており、最近のDSM-5では包括的に扱われている。結果として、双極性混合状態患者における研究は、若干異なる双極性亜集団を対象としている。さらに、近年では急性期および維持治療の試験デザインが進歩している。 著者らは「現在推奨されている双極性混合状態への治療は、限られたエビデンスに基づいており、混合機能コンセプトを用いたDSM-5に準じた研究が求められる」としている。■関連記事双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析日本人双極性障害患者のリチウム治療反応予測因子:獨協医大双極性障害、リチウムは最良の選択か

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欧州医薬品局もオシメルチニブのEGFR変異肺がん1次治療の適応申請を受理

 AstraZenecaは2017年11月28日、本邦に続き、欧州医薬品局が、未治療のEGFR変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の市販承認申請を受理したと発表した。 この市販承認申請は、上記患者において、オシメルチニブが現在の1次治療EGFR-TKIであるエルロチニブまたはゲフィチニブと比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を改善した第III相FLAURA試験のデータに基づくもの。■参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースFLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカオシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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医師が選んだ"2017年の10大ニュース"! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

1位北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射 北朝鮮が相次いでミサイルを発射し、中には日本上空を通過するものもあり、危機感が強まりました。また、2月にはマレーシアで金正男氏が殺害され、9月には核実験を実施するなど、年間を通して北朝鮮情勢から目が離せない1年となりました。日本を通過するミサイルが発射されたのは、2016年2月以来5回目。「Jアラート」という言葉が頻繁に聞かれるようになり、今後も警戒が必要な状況が続きそうです。2位将棋の藤井4段、歴代単独トップの29連勝 6月26日、将棋の史上最年少プロ棋士、14歳(当時)の藤井聡太四段がデビュー戦以来負けなしの29連勝を飾りました。「公式戦29連勝」は30年ぶりの新記録で、対局中の食事などその一挙手一投足が話題に。7月2日の佐々木勇気五段との対戦で連勝はストップしたものの、11月には中学生棋士最速で通算50勝目を達成しています。3位衆院選、野党第1党は分裂、自公が3分の2超の議席獲得 任期満了より約1年早く、9月28日に衆議院が解散、10月22日に総選挙が行われました。選挙前に野党第1党の民進党が分裂し、一部の議員は小池百合子氏が代表を務めていた希望の党に合流するなど、急きょ野党が再編される形に。結果として自民・公明の連立与党だけで改憲発議に必要な3分の2超の議席を獲得しました。一方で投票率は低迷し、戦後2番目の低さとなっています。4位座間市のアパートで9人の切断遺体発見 神奈川県座間市のアパートで10月30日、行方不明となっていた東京都八王子市の女性を含む9人の切断遺体が見つかり、この部屋に住む男が死体遺棄容疑で逮捕されました。被害者の多くは若い女性で、うち4人は10代。SNS上に書き込まれた自殺願望を利用して被害者を誘い出していたとされ、外部の目が届きにくい、SNSを悪用した犯罪防止策の必要性が浮き彫りとなりました。5位森友学園・加計学園を巡る問題 学校法人森友学園への国有地売却、学校法人加計学園の国家戦略特区での獣医学部新設に関して、安倍晋三首相や財務省の関与を巡り、いまだ国会で多くの時間を費やしています。「忖度」という言葉が流行し、マスコミの報道姿勢についても議論となりました。6位神戸製鋼、日産、スバル…「ものづくり」大企業で相次ぎ不正が発覚7位乳がん闘病を続けていた小林麻央さん死去8位豊田議員の秘書への暴言・暴力はじめ、政治家の不適切発言相次ぐ9位九州北部で記録的豪雨、福岡・大分両県で37人が犠牲に10位トランプ米大統領が初来日★アンケート概要アンケート名:『2017年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日:2017年11月9日調査方法:インターネット対象:CareNet.com会員医師有効回答数:552件

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循環器内科 米国臨床留学記 第25回

第25回 研究留学から臨床留学への移行臨床留学に関して、こちらで研究留学をしている先生から相談を受けましたので、まとめてみたいと思います。多くの日本人の先生方は2~3年の期限付きで、研究留学で渡米されていますが、留学中にご本人もしくは家族の希望で、引き続き臨床医として米国に残りたいという考えに至る方もいらっしゃるようです。今回は、そんな先生方の参考になれば幸いです。1.難易度は診療科次第外国医学部卒業者(FMG)にとって、極めて狭き門となっている診療科がいくつかあります。整形外科、眼科、耳鼻科、脳神経外科などです。これらの科は、米国人でも医学部で優秀な成績を修め、USMLE(米国医師免許試験)も満点に近い人しか進むことができません。一方、内科や家庭医学などは比較的FMGにも扉が開かれています。胸部外科(呼吸器外科、心臓血管外科の双方を含む)は、4~5年前までは米国人に人気がありませんでした1)。ところが、過去4~5年でポジションが減ったにもかかわらず、応募者が増え、希望者が候補者の数を上回っています。胸部外科、とくに心臓血管外科は責任が重く、リスクも高い仕事ですが、待遇も良いため(Cejka Search2)によると64万ドル、日本円換算で7,000万円)、今後も高い人気が続きそうです。こういった要素は、日本人の心臓外科のフェローの採用に影響が出ることも考えられます。2.臨床医までの道のり米国で研修を始めるには、USMLEのSTEP1、STEP2 CK(clinical knowledge)、STEP2 CS(clinical skill)という3つの試験をパスし、FMGのための教育委員会が発行するECFMG certificateを取得する必要があります。留学ガイドなどでECFMG certificateが「医師免許」と表記されていることがありますが、ECFMG certificateは医師免許ではありません。あくまでもACGME(米国卒後医学教育認定評議会)がFMGのために設けた「研修に参加してもよい」という許可証であり、2~3年の臨床研修を終了しない限り、いかなる州でも医師免許は発行されません。近年、米国での研修は競争が激しくなっていますから、いずれの診療科で研修を開始するにしても高得点を取ることが必要になってきます。インドやパキスタンからの受験者は軒並み高得点ですから、点数が良いだけでポジションが得られるわけではなく、点数が悪いとその時点でポジションの取得がかなり厳しくなります。さらに卒後5年以上経過している場合、それだけで足切りになることが多く、日本で経験を積んだからといって米国でポジションを掴むのは容易ではありません。2015年のデータによると、ECFMG certificateを取得した日本人が63人いたようです3)。このうち、内科でポジションを得た人は14~15人と思われます。外科から始める人や、心臓血管外科などでフェローから始める人もいるので、20~30人の日本人医師が何らかの形でECFMG certificateを行使して、臨床を始めていると思われます。逆にいえば、残りの半数近くの方はECFMG certficateの取得のみに留まり、マッチングでポジションを得るに至っていないということになります(ECFMG certificateを取得後、マッチングに応募しなかった方もいると思われます)。実際、私の回りでも、研究留学中に頑張ってECFMG certificateを取得したものの、マッチングできずに帰国した人がいらっしゃいます。3.ビザの移行の難しさ多くの研究者がJ1 researchビザで留学しています。仮にマッチングでポジションを得ることができれば、J1 clinicalやH1Bビザへの変更は可能です。ただし、J1 clinical ビザは2 years ruleが適応されますので、トレーニング終了後、Waiver(米国人が好まないへき地での診療)を選択するか、日本に帰国しなければ、グリーンカードやH1B ビザなどへの変更ができません。4.フェローからの臨床トレーニングという道も診療科によっては、フェローからの臨床トレーニングが可能です。米国人に人気のない科(感染症、腎臓内科、胸部外科[心臓血管外科など])で、レジデンシーを経ずにフェローからトレーニングを始めるということが可能です(ダイレクトフェローシップ)。NRMPの2017年の実績4)によると、腎臓内科に占める米国人かつ米国医学部卒業者の割合はわずか13%で、ポジションが埋まったのは全体の60%です。プログラムディレクターが、フェローのポジションが埋まらなくて当直などの仕事が大変になるよりは、外国人で埋めようと考えるのは無理もありません。こうした科では、基礎や臨床研究中にフェロープログラムのボスに気に入られれば、道が開けます。ちなみに、私も循環器のサブスペシャリティである不整脈部門(Cardiac Electrophysiology)から始めましたが、運よくポジションが空いたのに加え、ボスに気に入られたというのが理由です。フェローから始めた場合の問題点は、専門医が取れないことです。基礎となる内科のレジデンシーを終えてない限り、いくら腎臓内科や循環器などのサブスペシャリティのトレーニングを終了しても専門医試験には応募できません。つまり、フェローを卒業しても就職ができない可能性があるということです。5.医局との関係日本の医局から留学する場合、現実的には医局の了解がなければ2~3年を超える滞在は難しいことが多いようです。そのためか、米国で臨床留学している人は日本の医局に所属していない人がほとんどです。6.家族との留学生活米国での留学生活は研究も大切ですが、日本での医師としての生活に比べると時間があるため、家族でいろいろな行事や旅行などに参加される方も多いです。そうしたことを含めた貴重な時間をUSMLEなどの勉強に費やすのは、並大抵なことではありません。USMLE対策のために本来の目的である研究がおろそかになることもあり得ます。臨床留学を考えている方は、できれば留学前にECFMG certificateを取得しておくことをお勧めします。1)2017 Main Residency Match2)Physician Salaries reported by the American Medical Group Association3)ECFMG4)Specialties MatchingService

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日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ発売。適応はメルケル細胞がん

 メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:アレキサンダー・デ・モラルト)とファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:梅田一郎)は2017年11月27日、両社が共同開発を行っている抗PD-L1抗体アベルマブ(商品名:バベンチオ)を発売した。 効能・効果は、「根治切除不能なメルケル細胞癌」。メルケル細胞がん(MCC)は悪性度の高い皮膚がんの一種で、日本での患者数は100人に満たないと推定されるが、治療選択肢が限られているうえに、非常に進行が早く、予後不良である。 アベルマブはMCCに対し日本で承認された唯一の治療薬であり、日本初のヒト型抗PD-L1抗体薬でもある。2016年12月に、MCCに対して希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省から受けている。同指定およびこの度の承認取得は、日本も参加した転移性MCC患者を対象とした多施設共同第Ⅱ相試験JAVELIN Merkel 200の結果に基づいている。 同薬剤は、米国食品医薬品局が2017年3月に、転移性MCCに対する初の治療薬として、5月には進行性尿路上皮がんに対する治療薬として承認している。また、9月には、スイス医薬品局が化学療法後に進行した転移性MCCに対する治療薬として、欧州委員会が成人の転移性MCCに対する治療薬として承認している。■参考ファイザー株式会社プレスリリースJAVELIN Merkel 20試験(Clinical Trials.gov)■関連記事日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ、他の抗体との違いも抗PD-L1抗体アベルマブ、メルケル細胞がんに国内承認

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睡眠不足がADHDの有無にかかわらず小児に及ぼす負の影響

 睡眠に関する問題は、注意欠如多動症(ADHD)においてよく報告されているが、典型的な発達(TD)においてもよく見られる特徴である。英国・ロンドン大学(UCL)のFrances Le Cornu Knight氏らは、睡眠とADHD様行動や認知不注意との関連について、ADHD児とTD児においてどのように出現するかを検討した。Behavioral sleep medicine誌オンライン版2017年10月26日号の報告。 対象は、ADHDと診断された5~11歳の子供18例および年齢の一致したTD児20例。睡眠プロファイルは、子供の睡眠習慣に関するアンケートおよびアクチグラフ測定を用いて評価した。行動機能は、Conners' Parent Report Scaleを用い、注意力は、コンピューター化されたConners' Continuous Performance Taskを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・実際の睡眠時間に差がないにもかかわらず、ADHD群では睡眠の質が悪かった・TD児の睡眠の質の低下は、注意力と関連がないにもかかわらず、ADHD様行動の増加が予測された。・行動との関連がないにもかかわらず、ADHD児の注意力低下を予測する睡眠の質の低下に関して一貫した傾向が認められた。 著者らは「不十分な睡眠の質は、さまざまな形で発達のサブグループに影響を及ぼす。ADHD児では、睡眠不足が注意欠如を悪化させ、TD児では、ADHD様行動を誘発した。本知見は、小児期の過剰なADHD診断および睡眠に基づく介入の必要性を考えるうえで、重要な意味を持つ。まずは、すべての子供において、より良い睡眠習慣を促進することが重要である」としている。■関連記事ADHD発症しやすい家庭の傾向小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析ADHD児への運動効果は

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経口インスリンによる1型糖尿病の予防は可能か/JAMA

 経口インスリン製剤は、1型糖尿病患者の近親者における1型糖尿病の発症を予防しないことが、米国・フロリダ大学のJeffrey P Krischer氏らType 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年11月21日号に掲載された。Diabetes Prevention Trial-Type 1(DPT-1)試験では、経口インスリン製剤はプラセボに比べ糖尿病の発症を抑制しなかったが、インスリン自己抗体に関する事後解析ではベネフィットが得られるサブグループの存在が示唆されている。DPT-1試験の後継となる本試験では、経口インスリン製剤の糖尿病発症の遅延効果のさらなる探索が進められてきた。自己抗体陽性近親者を対象にプラセボと比較 本試験は、1型糖尿病患者の自己抗体陽性近親者において、経口インスリン製剤による1型糖尿病発症の遅延効果を評価する国際的なプラセボ対照無作為化試験である(Type 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupなどの助成による)。 対象は、1型糖尿病患者の3~45歳の第1度近親者(きょうだい、父母、子供)または3~20歳の第2・3度近親者(めい、おい、おば、おじ、いとこ)で、糖尿病を有しておらず、インスリン自己抗体が陽性の集団であった。被験者は、遺伝子組み換えヒトインスリン結晶(7.5mg)を1日1回経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、第1群における糖尿病発症までの期間とした。第1群(389例)は、インスリン自己抗体(IAA)陽性で、膵島細胞自己抗体(ICA)陽性またはグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とインスリノーマ関連抗原-2(IA-2)の双方が陽性であり、静脈内ブドウ糖負荷試験で初回インスリン分泌が閾値を超える集団とした。 第2群は、第2-1群(55例、IAA陽性、ICA陽性またはGADとIA-2の双方が陽性で、初回インスリン分泌が閾値未満)、第2-2群(114例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値以上)、第2-3試験群(3例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値未満)の3群に分けられた。第1群の年間糖尿病発症率:8.8% vs.10.2% 2007年3月2日~2015年12月21日の期間に、9ヵ国87施設で患者登録が行われた。560例(登録時年齢中央値:8.2歳、IQR:5.7~12.1歳、男児:170例[60%]、非ヒスパニック系白人:90.7%、きょうだいが1型糖尿病:57.6%)が無作為割り付けの対象となった。このうち550例が試験を完遂し、第1群の389例(登録時年齢中央値:8.4歳、男児:245例[63%])の完遂例は382例(96%)だった。 フォローアップ期間中央値2.7年(IQR:1.5~4.6)時の第1群における糖尿病診断率は、経口インスリン投与群が28.5%(58/203例)、プラセボ群は33%(62/186例)であった。年間糖尿病発症率はそれぞれ8.8%、10.2%と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0~1.2、p=0.21)。 第2-1群(55例)の糖尿病診断率は経口インスリン投与群が48.1%、プラセボ群は70.3%であり、年間糖尿病発症率はそれぞれ18.1%、34.1%(HR:0.45、95%CI:0~0.82、p=0.006)と有意な差がみられ、発症までの期間中央値は55.3ヵ月、24.3ヵ月であり、経口インスリン投与群で31.0ヵ月の発症遅延が認められた。 第2-2群と第2-3群を合わせた集団(116例)のHRは1.03(95%CI:0~2.11、p=0.53)、登録全患者(560例)のHRは0.83(95%CI:0~1.07、p=0.11)であり、いずれも有意な差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は感染症で、254例(経口インスリン投与群:134例、プラセボ群:120例)に認められた。試験関連有害事象は両群間に差はなかった。 著者は、「これらの知見は、糖尿病の予防における経口インスリンの使用を支持しない」としている。

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うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査より

 うつ病とアルコール消費に関して、比較的大規模な研究で調査されており、双方の因果関係を示唆するエビデンスが報告されている。しかし、この逆の因果関係(reverse causation)から生じる内生性は、報告されていない。オーストラリア・RMIT大学のS. Awaworyi Churchill氏らは、アルコールとうつ病との関連をレビューし、この関連の内生性について調査した。Drug and alcohol dependence誌2017年11月1日号の報告。 英国の健康調査(HSE:Health Survey for England)より得られた5,828例のデータを用いて、アルコールとうつ病との関連をレビューし、この関連の内生性について調査した。自己評価により収集されたうつ病関連情報とLewbel 2段階最小二乗法(2SLS:two-staged least square)による内生性のコントロールの情報を用いた。 主な結果は以下のとおり。・アルコール摂取によりうつ病が促進されていた。・この関連は、アルコール摂取量、アルコールの強さ、アルコール依存症、依存のリスクを含む飲酒行動のいくつかの尺度において一貫して認められた。 著者らは「英国では、飲酒は文化の一部として一般的に受け入れられているが、これは無視することのできない身体的および精神的な健康の両面においてコストの問題を有する。公的政策は、主に過度のアルコール摂取による身体的側面に焦点を当てているが、QOLやウェルビーイングへのアルコール摂取低下による精神的な健康コストに対しても、よい影響を及ぼす可能性がある」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能境界性パーソナリティ障害、性行為とアルコールの関係お酒はうつ病リスク増加にも関連

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オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は2017年11月27日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)に関し、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、本邦における製造販売承認事項一部変更承認を申請したと発表。 本申請は、第III相FLAURA試験の結果に基づき行われた。FLAURA試験は、治療歴のない局所進行あるいは転移性EGFR変異非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として実施され、オシメルチニブ投与群は、現在の標準1次治療であるEGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、無増悪生存期間中央値の延長を示した(18.9ヵ月対10.2ヵ月、HR:0.46、p<0.001)。 これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められた。全生存期間(OS)中央値は、イベント発現割合25%の初期データにおいて、臨床的に意義のある改善を示した。オシメルチニブ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値を示し、優れた客観的奏効率を示した。また、良好な忍容性を示し、その安全性プロファイルは過去に得られているデータと一貫していた。 欧米と比べ、日本を含むアジアではEGFR変異が多く、NSCLC全体の約30~40%にみられる。本邦におけるStageIVのEGFR変異NSCLCの5年生存率は、14%未満にとどまるが、将来的に本適応が承認されれば、より多くの患者がより長い奏効期間を1次治療から期待できようになる。 本邦におけるオシメルチニブの現在の適応は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースFLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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