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新しいDESはXienceを超えられるか?(解説:上田恭敬氏)-787

 完全吸収型のポリマーで被覆されたシロリムス溶出性DES(MiStent; Micell Technologies, Durham, NC, USA)と非吸収性ポリマーで被覆されたエベロリムス溶出性DES(Xience; Abbott Vascular, Santa Clara, CA, USA)を直接比較した、non-inferiorityを示すためのall-comer無作為化比較試験であるDESSOLVE III試験の結果が報告された。 MiStentの特徴は、ポリマーが3ヵ月で完全消失するのに対して、結晶化された薬剤は9ヵ月間血管壁に残留して作用し続けることである。1,398症例が登録され、その59%が急性冠症候群症例であった。 エンドポイントは、12ヵ月時点でのDOCE(device-oriented composite endpoint)であり、心臓死、対象病変の心筋梗塞、標的病変血行再建術の複合エンドポイントで、MiStentで5.8%、Xienceで6.5%とnon-inferiorityが示された。複合エンドポイントに含まれる各イベント及びステント塞栓症についても、群間差を認めなかった。 6ヵ月後にOCTを施行した53症例のサブグループにおいて、新生内膜容積がXienceよりもMiStentで小さいことが示された。 以上より、12ヵ月時点での臨床成績において、Xienceに対するMiStentの非劣性が示された。また、OCTのサブグループ解析の結果から、より長期においてはMiStentの優位性が示されるかもと記載している。 Xience以後も多くの新しいDESが開発されてきたが、いずれもXienceに対して優位性を示すことはできず、今回のMiStentも同様の結果であった。しかし、ポリマーを早く消失させながらも、長期間に渡って薬剤を作用させる今回の新しい技術の実用性を示したことは、今後の発展のために進歩と言えるかもしれない。しかし、OCTによって示された結果である、Xience以上に新生内膜の増成を抑制することにどのような意味があるかは明らかでなく、留置1年以後の再狭窄の機序としてNeoatherosclerosisの重要性が指摘される中、MiStentの長期成績に優位性を期待するとすればポリマーが残存しないことの効果であり、ポリマーが残存しない他のDESとの違いは無いように思われる。何らかのブレークスルーが必要なのかもしれないが、科学技術の進歩に限界は無いと思うので、Xienceに対して明らかな優位性を示す新しいDESの登場を期待したい。

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サン・アントニオ2017レポート-2

レポーター紹介HER2陽性早期乳がんにおけるtrastuzumab短期投与の意義 –SOLD試験SOLD試験はHER2陽性乳がんに対して、trastuzumab9週間と1年を比較する試験である。DTX+trastuzumab3回→FEC3回をベースとして、その後のtrastuzumab14回の有無で治療効果を比較した。当初は優越性試験としてデザインされ、516のイベントに到達するために3,000例が必要とされた(5年DFS84%対80%、4%の差)。しかし5年DFSの仮定が低すぎると判断され、途中で研究計画が変更となり、非劣性試験として非劣性マージン1.3、2,168例の症例数が設定された。結果としてDFSではHR1.39であり、非劣性は証明されなかった(90.5%対88.0%)。OSはHR1.36(95.9%対94.7%)、DDFSはHR1.24(94.2%対93.2%)であった。サブ解析ではDTX投与量が100mg/m2で9週間の方が良好な傾向があった(80mg/m2では1年がよい)が、それ以外はいずれも1年の方が一定して良好な傾向であった。ただこの解析からDTX100では9週間でよいといってはいけない。単にサブ解析の結果にすぎない。全体としては一定の傾向(1年のほうで良好)であると考えるべきである。心毒性はやはり9週間の群で少なかった(うっ血性心不全1.9%対3.3%)。これらのことより依然としてtrastuzumabの治療期間は1年が標準であるということになる。この結果は、ASCO2017で紹介したShort-HER試験とまったく同様の状況になっているので、今回議論は省略するが、単に統計学的に同等であるという仮説をメットしなかったということである。ASCO2017の報告で述べたように、そもそも予後良好群では、trastuzumab1年は9週間と比較して予後を改善しないだろう。術後trastuzumabの使用期間に関するメタ分析の結果も別に報告されていた。解析されたRCTはShort-Her、PERSEPHONE(心毒性のみ)、HORG、PHAREの4研究である。長期間使用の方がOS、DFSともにベターとなっているが、心イベントも多くなっている。また、ER陽性あるいはリンパ節転移陽性では有意差はない。やはり予後良好群では、HERの長期使用が予後を明らかに改善することはなく、心イベントを増加させることが示されている。センチネルリンパ節の微小転移は腋窩郭清を省略できる−IBCSG 23-01IBCSG 23-01はセンチネルリンパ節生検で微小転移(2mm以下)があったものに対して郭清と非郭清を比較した試験であり、今回10年のデータが報告された。90%がBp(97%でRTあり)、10%がBt(5%でRTであり)であった。DFSも乳がん関連のイベントもまったく差がなく、腋窩再発もごくわずかであった。もちろんOSにも差はない。微小転移に対してはBt、Bpともに郭清は予後改善をもたらさず、腋窩微小転移に対する非郭清は現行どおりである。HER2陽性乳がんにおけるDCH、TCH、FECDHの効果は同等カナダの病院からのリアルワールド(レトロスペクティブ)データである。N0に対してはDCH(DTX/CPA/HER)4サイクルまたはTCH(DTX/CBDCA/HER)6サイクル、N+に対してはTCHまたはFECDH6サイクルが行われている。DCH(104例)とTCH(60例):中央観察期間58.1ヵ月、TCH(314例)とFECDH(145例):63.1ヵ月で、ともにDFS/OSに差はなく、いずれも非常に予後良好であった。HER2陽性乳がんにDCH4サイクルはN0に、TCH6サイクルはN+にリーズナブルなオプションである。palbociclibを受けた乳がん患者に対する投与遅延と減量のPFSに及ぼす影響MD Andersonからの報告である。PALOMA-3の安全性分析で、好中球減少による減量や遅延はPFSに影響しないという結果が出ている(Verma S, et al. The Oncologist. 2016;21:1165-1175.)。MDAにおいて、毒性によるpalbociclibの遅延/減量とPFSへの影響をレトロスペクティブに解析した。334例のうち109例で減量、153例で治療の遅延があった。発熱性好中球減少症は2.3%と極めて低かった。減量や遅延を行った患者は、そうでない患者群よりいずれも有意にPFSが長かった。このことから、palbociclibの毒性による減量/遅延は予後を悪化させないということがわかり、臨床的に重要なデータである。転移性ER陽性閉経後乳がんでさまざまな治療を受けた後のpalbociclibの有効性CDK4/6阻害剤の有効性は再発のファーストラインで示されているが、さまざまな治療を受けた後の意義については知られていない。ベルギーから報告された本研究は、少なくとも4ライン以上の治療を受け、その後少なくとも1回以上のpalbociclibを使用した患者82名をレトロスペクティブに解析したものである。palbociclibの中央使用期間は5.6ヵ月で、中央PFSは3.17ヵ月であった。Clinical benefit rateは41.5%、9ヵ月以上のSDは20.7%で、43.9%では治療の遅延や減量が行われていた。このように多くの治療を受けた後でもpalbociclibは十分な治療効果と安全性をもって使う価値がありそうであり、私たちのこれからの診療に大いに役立つ情報である。病期1、低リスク、ホルモン感受性乳がんにおける照射の有効性本研究は7つのRCT(NSABP B-21、B-20、B-1、CAL.GB9343、TAILORx、GBSG V)からのプール解析である。適格基準は40~74歳、ERまたはPR陽性、HER2陰性、病期1、乳房温存術施行、化学療法なし、オンコタイプDXリスク≦18であり、RTありと無しで、生存率を比較した。全体としてRT省略は局所再発のイベントを増加させた。ODX<11または低悪性度ではRTを省略しても再発率は変わらず、RTを省略も十分考慮してよさそうである。BRCA1/2変異保有者におけるTAM使用と対側乳がんのリスク複数国にわたる大規模なレジストリーからのデータである。3,743例(BRCA1:2,343例、BRCA2:1,400例)の変異保有者のうち、908例の対側乳がんが発見された。多変量解析には両側卵巣切除の有無が含まれた。対側乳がん、対側リスク低減手術、死亡、最終経過観察日で打ち切りとなった。結果として、初回乳がんがER陽性の場合、とくにBRCA2においてTAMの使用が対側乳がんの発症を減少させた。一方ER陰性では、TAMは乳がんの発症を予防していなかった。このことから、初回乳がんのHRの状態によってTAM使用を考えるのがリーズナブルで、HR陰性に対して対側乳がんの予防のためにTAMを用いることはあまり有効性をもたらさないであろう。BRCA1、BRCA2、ATM、CHEK2、PALB2変異保有者における乳がんの分子学的解析BRCA1/2における乳がんの体細胞変異については理解が進んでいる。しかし同じく遺伝性乳がんの原因遺伝子であるATM、CHEK2、PALB2についてはよく知られていない。そこで、BRCA1:9名、BRCA2:8名、ATM:5名、CHEK2:7名、PALB2:6名、TP53:2名、散発性乳がん:8名について、体細胞のコピー数、遺伝子変異解析を行った。DNA相同組換え修復能不全に関連する遺伝子のコピー数は、BRCA1、ATM、CHEK2、PALB2間できわめて類似していた。変異解析とコピー数のプロファイリングは、全てのBRCA1がTNBCで、すべてのCHEK2がER+であったにも関わらず最も類似していた。BRCA1変異では他の変異と比べ、遺伝子発現の違いが著明であった。TNBCにおける最も共通の変異はTP53であった。10%以上の遺伝子変異は、TP53、SDS、SNX31、IGFH、SLC3A2、METTL5、C180rf56、BRCA1、MAP3K1、ESCP2、FRAS1、ERBB2、PALB2、LCE10、BCL2L14であった。遺伝性乳がんにおける体細胞変異解析は散発性乳がんとは異なる治療を考えるうえでの重要な知見となり、今後さらに理解が進むことを期待する。

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治療抵抗性焦点性てんかんに対する第3世代抗てんかん薬補助療法の間接比較

 第3世代の新規抗てんかん薬として、eslicarbazepine、ラコサミド、ペランパネル、brivaracetamが、最近販売されている。中国・四川大学のZhu Li-Na氏らは、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性、忍容性を間接的に比較するためメタ解析を行った。Epilepsy research誌オンライン版2017年11月26日号の報告。 抗てんかん薬用量範囲にわたる治療効果を調査したすべての利用可能なプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を、Pubmed、Embase、Cochrane Online Library、Clinicaltrial.govのデータベースより検索を行った。続いて、Indirect Treatment Comparison ソフトウェアを用いて、新規抗てんかん薬間の有効性、忍容性の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・19件のRCTより7,245例の患者が抽出された。・用量にかかわらず第3世代抗てんかん薬間で、50%治療反応率および発作の無い割合のリスク差に有意な差は認められなかった。・治療中に発現した有害事象リスクは、すべての用量において、brivaracetamと比較し、eslicarbazepineおよびペランパネルで有意に高かった。・有害事象による治療中止率は、brivaracetamと比較し、ラコサミドおよびペランパネルの高用量治療を行った患者において有意に高かった。eslicarbazepineまたはラコサミドによる治療は、すべての用量を組み合わせたbrivaracetamよりも高い中止率と関連が認められた。 著者らは「本分析では、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性に有意な差は認められなかった。brivaracetamは、最も優れた忍容性を有する可能性がある。他の第3世代抗てんかん薬は、とくに高用量で投与した際、許容しがたい有害事象を高リスクで伴う。これらの間接的な比較結果は、さらなる検証が必要であり、今後よく設計された試験において検証するべきである」としている。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化難治性てんかん重積状態への有用な対処法てんかん重積状態に対するアプローチは

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心不全のマネジメントにおける抗うつ薬の死亡率や心血管機能への影響

 うつ病は、心不全の患者の罹患率、死亡率、再入院率の増加と関連している。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのThurkka Rajeswaran氏らは、抗うつ薬の使用がうつ病を伴う心不全患者のアウトカムを改善できるかを検討するため、システマティックレビューを行った。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2017年11月26日号の報告。 Embase、Ovid MEDLINE、PsycInfoのデータベースより、心不全や抗うつ薬などのキーワードを用いて検索を行った。このデータベース検索結果より、包括基準を満たす文献を抽出し、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・データベース検索で該当した180件の論文のうち、包括基準を満たしたのは3件のみであった。・手作業で参考文献を検索し、2件の論文が追加された。・これらの論文のうち3件は、ランダム化比較試験であった。残りの2件は、コホート研究であった。・すべての研究において、抗うつ薬使用は、心不全患者に十分忍容性があることが示唆された。・対照群との間に、抑うつ症状の有意な差は認められなかった。・心不全患者の心血管アウトカムは、対照群と比較し、抗うつ薬の使用によって改善されなかった。 著者らは「心不全患者に対する抗うつ薬使用は、これまでの研究で報告されているような死亡率増加との関連が認められなかった。しかし、抗うつ薬使用が、うつ病または心血管アウトカムの改善に有意な影響を及ぼす点についてのエビデンスは不十分である」としている。■関連記事抗うつ薬ランキング、脳卒中後うつ病へ最良の選択肢はうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤はたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第50回

第50回:免疫チェックポイント阻害薬はアジュバントに使えるか?キーワード非小細胞肺がんdurvalumabメラノーマニボルマブイピリムマブ動画書き起こしはこちら こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井 敬祐です。僕が担当している肺がんとメラノーマの領域で最近話題になったのはスペインのマドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会ESMOですね。肺がんでは2つ、メラノーマでも同じように大きな話題がありました。PACIFIC trial。StageIIIの肺がん…縦郭リンパ節が陽性になると自動的にStageIIIになるのですが…は、現在5年生存率が15~25%。良くても25%程度で、根治は望めるけれど頻度が非常に低いという病期なのですが、そこでchemo-radiationが終わったあとに、効果があった患者さん、あるいはSDの患者さんに対し、アストラゼネカの抗PD-L1抗体durvalumabを2週間おきに12ヵ月使った群とプラセボ群を使った結果が発表されました。そこではPFSが16ヵ月以上と6ヵ月程度とほぼ3倍に延びたという結果でした。StageIIIの肺がんというのは、いろいろな抗がん剤を使ったり、chemo-radiationが終わった後にドセタキセルなどをconsolidationとして使ったり、エルロチニブを使ったり、あるいは放射線の照射の量や仕方を変えるなど工夫されたものの、ぱっとした結果が出ていなかったなか、ここ20年で初めてStageIIIの肺がん治療が大きく変わる可能性があるという結果が発表されました。なかには「コントロールアームのPFSが5.6ヵ月と非常に悪い」と、言う人もいますが、これはランダマイズドの、しかもプラセボコントロールの試験なので、やはり陽性なのでしょうね。早いことに、NCCNのガイドラインには既にdurvalumabのことが載っています。FDAにはまだ認可されていないのですが、僕も2人ほどchemo-radiationが終わった患者さんがいて、その患者さんに、こういう治療があるので、保険会社がオーケーしてくれるかどうか申請してみましょうかと、申請を始めたばかりです。ちょっと下世話な話になるのですが、MYSTIC試験…StageIVの肺がんで同じアストラゼネカの抗CTLA-4抗体tremelimumabとdurvalumabを組み合わせてどうなるかというPhaseIII試験…が残念ながらネガテイブな結果だったんですね。アメリカの医者の中に、ブログでその時に株価が一気に下がったと言うことを書いている人がいました。株価が下がってから、ESMOでポジティブな結果の2つの臨床試験が発表されて、株価がどうなったか書いているんです。本当にいろいろなことを、いろいろな観点から発信する人がいるんだな、と思いながら面白く読んでいました。彼によると、「アストラゼネカの株価自体はMYSTICで下がる前のレベルには戻っていないが、回復しています」ということです。臨床試験が株価に反映される。Conflict of Interest、COIとはもう離れられない世界であることは確実ですね。それ以外には、僕が担当しているメラノーマの領域でイピリムマブとニボルマブをStageIIIB、StageIIIC、resected StageIVのアジュバントの患者さんに使った試験の結果が発表されました。それもNew England of Journalに載りましたが、ニボルマブを使ったほうがイピリムマブを使うよりもRelapse Free Survivalが有意に改善しました。StageIIIのchemo-radiation後の肺がん患者さんと同じように、アジュバントで使うというのは、この患者さんのがんが残っているか残ってないかわからない状況で、がん抗原の発現がはっきりしない時にimmune checkpointを使うということで、意味があるのが非常に議論の対象になっていました。面白いことに今回、2つのstudyのどちらもアジュバントで再発生存期間を伸ばしたということが報告されたのは、臨床的にあるいはscienceとしても面白いことだと思います。実際そういう治療後の患者さんで、circulating tumor cellあるいはがん抗原がどのように、どういう場所で発現しているか、というのは非常に興味のあるところです。Antonia SJ, et al.Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med.2017;377:1919-1929.durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017J Weber, et al. Adjuvant Nivolumab versus Ipilimumab in Resected Stage III or IV MelanomaN Engl J Med.2017; 377:1824-1835.

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サン・アントニオ2017レポート-1

レポーター紹介2017年SABCSは、12月5〜9日の5日間で開催された。新しい会場になってから2年目であり、以前の会場の一部は既に取り壊されていた。テキサスは初日から雨で寒い日が続いた。中日の夜には雪も降ったが、逆に翌日には晴天となった。天候の変化が著しく、それだけでも体調をくずす方がいそうである。今回は臨床的な話題としてはいろいろあったが、直ちに臨床を変えるような話題はほとんどなかったように思う。しかし愛知県がんセンターの岩田広治先生がPIとなって進行中の臨床試験NEOSの第1報があり、重要な知見を提供してくれた。術前内分泌療法に反応したHR+閉経後乳がんにおける術後化学療法の意義 −NEOS日本からの大規模な臨床試験(NEOS)の結果が岩田広治先生より報告された(第一報)。HR+閉経後乳がんに対して術前にANAを6ヵ月行い、PD(43例)には術後化学療法を、CR(16例)/PR(421例)/SD(400例)には術後化学療法施行群と非施行群を無作為化割付した。今回は両群を合わせた術前治療効果別の5年DFSが示され、CRで100%、PRで95%、SDで92%と予後良好であったのに対して、PDでは化学療法施行にも関わらず89%と低かった。PR/SDでは化学療法施行の有無別のDFSを知りたいところだが、その結果が出るのはまだ先になりそうである。しかし化学療法を施行しなくても、CR/PR/SDではかなり予後のよいことが予想される。さらに別報もあり、NEOSにおいて、針生検標本におけるオンコタイプDX(ODX)のリスクスコア(RS)と術前ANAの効果との関係が明らかとなった(n=294)。RS<18(低リスク)ではCR/PR54%、SD45%、PD1%であったのに対して、RS18~30(中間リスク)では42%、55%、4%であり、RS>31(高リスク)になると22%、61%、17%となりCR/PR率が著明に低下した。逆に高リスクとなるのはCR/PRの2%、SDの22%、PDの46%であり、AIの術前効果がODX検査適応選択や化学療法そのものの適応選択に大きな指標になることが示された。閉経後乳がんにおける術前内分泌療法は術後の化学療法を考えるうえで今後より重要なオプションとなろう。EBCTCGメタアナリシス−dose-dense化学療法の意義最初の話題は、EBCTCGのメタアナリシスで、術後補助化学療法において投与間隔の短縮が再発と乳がん死亡率を減少させる、というものである。Dose intensityの試験としては、2週対3週が12試験、逐次(3週)対同時(3週)が6試験、逐次(2週)対同時(3週)が6試験、が選択されていた。2週対3週では、2週の方がより再発と乳がん死亡率を減らしていた。逐次(3週)対同時(3週)、逐次(2週)対同時(3週)ともに逐次の方が再発と乳がん死亡率を減らしていた。これらはERの有無に関わらなかった。これらのことから、dose denseがよいと結論している。まだ論文化されていないため、どの臨床試験が選択されたのか不明である。この結果をもとに2週のdose denseを標準と考えるのは早計である。SABCS2014のレポートでまとめたが、FEC(600/60/600) 6サイクルを2週毎と3週毎で比較しても生存率にまったく差がない(Venturini M,et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97: 1724-1733.)ことが示されており、Paclitaxelも今では標準でない3週投与が、2週投与に対して比較されている。そもそも毎週投与が現在の標準であり、よりdose denseでG-CSFも使う必要がないことから、標準はあくまでAC(3週)-PTX(毎週)であろう。2週投与のdose-denseのメリットは投与期間の短縮のみであり、高額なG-CSFの使用が必須であったり、遅発性のニューモシスチス肺炎も含めた有害事象も増えることから、2週投与のdose-denseはあくまでオプションの1つに過ぎない。HER2-lowにおいてtrastuzumabは予後を改善しない−NSABP B-47NSABP B-47は、AC→wPTX 対 TCx6 +/-trastuzumabの比較試験であるが、HER2-lowにおけるtrastuzumabの意義について検討された。結果はtrastuzumabの有無で生存率にまったく差がなかったのであるが、面白かったのは本題でない背景で紹介された部分であった。NSABP B-31試験では、各施設でHER2陽性だが中央判定で陰性とされたサブセットにおいて、trastuzumab使用群の方がDFSが良好であったことである。N9831試験でも同様の傾向であった。HER2判定に関しては各施設の評価も大切にした方がよいということであり、HER2の状況がIHCで3+またはFISH陽性のいずれかなら、積極的にHER2標的剤は使用すべきということを示している。IHCとFISHの両者を測定していると時々いずれか陽性ということがあり、どちらか一方だけの検索では、HER標的剤の恩恵にあずかる方が一定数見逃されてしまうリスクがあろう。CDK4/6阻害剤ribociclibはPFSを改善する−MONALEESA-7MONALEESA-7はHR+HER2-閉経前乳がんにおけるribociclibの有用性を検証した第III相試験である。治療効果は本邦でようやく承認されたpalbociclibとほぼ同等であろうと思われる。TAMまたはAI+LHRHaにribociclibをon/offしたものであり、PFSでは有意にribociclib群で良好であった。TAM、AIとも効果は同等であった。血液毒性は好中球減少、貧血、血小板減少ともにribociclib群で多かった。非血液毒性はQT延長が6.9%(vs.1.2%)と多く、G3の倦怠感と下痢もribociclib群でわずかに多かった以外はほぼ同等であった。QOLは(EORTC QLQ-30)ribociclib群の方が有意に良好であった。3つのAI剤がそうであったように、今後複数のCDK4/6阻害剤の使い分けが問題になりそうである。化学療法中のLHRHaは卵巣機能保護に有効である−メタ解析化学療法における卵巣機能障害の問題は、近年妊孕性の面からとくに注目されている話題の1つである。化学療法中のLHRHaの卵巣保護効果について、今回は5つの臨床試験のプール解析(メタ解析)が報告された。主要評価項目は卵巣機能不全、副評価項目は無月経である。卵巣機能不全はLHRHa使用群と未使用群で14.1%対30.9%であり、明らかにLHRHa使用群で良好であった。2年での無月経率もそれぞれ18.2%対30.0%と同様であった。さらに妊娠率も10.3%対5.5%であったことより、LHRHaによる妊孕性温存の効果は明らかであると考えられる。LHRHa使用の有無での予後もみているが、ER+/-に関わらず、DFS、OSともにまったく差がなかった。したがって、化学療法を受ける予定で妊孕性温存を希望する方に対しては、LHRHaによる卵巣保護を十分に考慮するという立場は変わらない。TAM+OFSとEXE+OFSで予後は同等である−TEXT+SOFT結合試験TEXT+SOFT結合試験のデータがアップデートされた。閉経前HR+乳がんにおいて、TAM+OFSとEXE+OFSを比較したものである。初回はASCO2014で報告されたが、結果はその時と大きく変わっていない。8年のDFSはEXE+OFSで有意に良好であった(86.8% vs.82.8%、p=0.0006)。しかしOSではまったく差がなく、EXEの方が有害事象のために治療を中止する患者が多かった。このことからEXE+OFSはかなりのハイリスクに限られるべきであろう。絶対死亡数が少ないため、さらに経過観察される予定である。TAM+OFSはTAMと比較しわずかに予後を改善する−SOFT試験SOFT試験におけるTAM+OFSとTAMを比較したデータもアップデートされた。初回中間解析の結果はSABCS2014で報告した。やはり8年のDFSはTAM+OFSで有意に良好であった。8年のOSもHR0.67(0.48~0.92)とわずかにTAM+OFSが上回っていた。化学療法の有無でみてみると無し群ではまったく差がないが、有り群ではHR0.59(0.42~0.84)でTAM+OFSが良好であった。絶対差は4.3%と小さく、TAM+OFSの適応はやはり以前と変わらない。すなわち40歳未満あるいは40代前半で化学療法を行うようなハイリスクに対して、OFSの上乗せを提案するというスタンスでよいであろう。40代後半では、化学療法によりほぼ閉経状態となり、TAM単独でも問題ないだろう。鍼はAI関連関節症状に有効であるAI剤による関節痛は厄介な副作用であり、多くの閉経後乳がん患者が生活上の影響を受けている。鍼はAIによる関節痛を軽減する方法としての1つとして期待されており、本試験は真の鍼、偽の鍼(効果をおよぼさない部位)、何もしないグループの3群を比較したRCTである。6週間後の最も強い痛みの改善度は明らかに真の鍼群で高かった。6週間から24週での効果は一定していて、やはり真の鍼>偽の鍼>無しであった。他のQOL評価でも真の鍼で良好であった。有害事象としては真の鍼であざの割合が多かった(47%、いずれもGrade1)。非薬剤性のオプションとしてAI関連関節症状に鍼を積極的に活用する価値がありそうであるが、十分なトレーニングを受けた医療者が鍼を行う必要はあろう。

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高齢者へのZ薬と転倒・骨折リスクに関するメタ解析

 Z薬として知られるゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、zaleplonは、不眠症治療に用いられるベンゾジアゼピン(BZD)の代替薬として一般的に使用されている。Z薬は、しばしばBZDよりも安全であると認識されている。イスラエル・ヘブライ大学のNir Treves氏らは、Z薬と骨折、転倒、傷害との関連性を評価するため、システマティックレビューとメタ解析を行った。Age and ageing誌オンライン版2017年10月25日号の報告。 MEDLINE、EMBASE、ClinicalTrials.govを用いて、システマティックレビューを行った。該当する95%信頼区間(CI)を有する固定効果モデルおよびランダム効果モデルで、Z薬使用患者と未使用患者を比較した、プールされたエフェクトサイズを算出した。 主な結果は以下のとおり。・Z薬と骨折、転倒、傷害との関連性について報告された研究を14件抽出した。・Z薬は、統計学的に有意な骨折リスク増加と関連していたが、著しい異質性のエビデンスを有していた(OR:1.63、95%CI:1.42~1.87、I2=90%、83万877例)。・同様に、転倒に関するオッズにおいて2倍の増加を示唆する傾向であったが、統計学的に有意な差は認められず、著しい異質性のエビデンスを有していた(OR:2.40、95%CI:0.92~6.27、I2=95%、1万9,505例)。・ゾルピデム投与後の傷害リスクを評価する分析では、異質性のエビデンスは認められず、統計学的に有意な傷害リスクが認められた(OR:2.05、95%CI:1.95~2.15、I2=0、16万502例)。・高品質の研究、不眠症に罹患した対照群を有する研究、特定のZ薬による研究に限定した分析を含む感度分析においても、同様の結果であった。 著者らは「Z薬は、骨折リスク増加と関連性が認められ、転倒や傷害リスクも増加させる可能性が示唆された。しかし、抽出された研究は観察研究であり、交絡しやすいと考えられる。臨床医は、高齢者に対しZ薬を投与する際には、これらの潜在的なリスクを考慮する必要がある」としている。■関連記事不眠症患者におけるスポレキサントの覚醒状態軽減効果に関する分析不眠症になりやすい食事の傾向新規不眠症治療薬は安全に使用できるか

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“電子タバコで禁煙”にネガティブな結果?

 電子タバコ(e-cigarettes)は禁煙を促進するという研究結果がある一方、喫煙開始のきっかけになるリスクを懸念する意見もある。その評価を確認すべく米国では、若年の非喫煙者の電子タバコ使用と、それに続くタバコの喫煙開始との関連性評価を目的としたコホート研究が行われた。The American journal of medicine誌オンライン版2017年12月10日号に掲載。 試験概要・前向きコホート試験。ベースライン時(2013年3月)と追跡時(2014年10月)を比較。・対象:米国人の97%を代表する18~30歳の若年成人の非喫煙者のサンプリングフレームを使用・主要評価項目:電子タバコ使用者(ベースライン時)と非使用者の18ヵ月後の従来タバコ喫煙の開始頻度 主な結果・ベースラインの非喫煙者1,506人のうち915人(60.8%)で追跡を完了。・ベースライン時に電子タバコを使用した非喫煙者は2.5%(3,204万393人中8万10人)であった。・従来タバコの喫煙開始頻度は、電子タバコ使用者の47.7%に対し、非利用者では10.2%(p=0.001)であった。・ベースライン時の電子タバコ使用は、18ヵ月時の喫煙開始の独立した関連因子であった(調整オッズ比: 6.8、95%CI:1.7~28.3)。 本邦では、ニコチン含有の製品は認可されていないため状況は異なるが、筆者らは、この結果は、非喫煙者において電子タバコの使用を減少させる政策および教育的介入を支持するものだとしている。■参考全米たばこ調査による分析結果非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解■関連記事“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?新型タバコでニコチン依存解消せず

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シェイクスピア答えてくれ!「IIb or not IIb, that is a question!」(中川義久 氏)-784

 シェイクスピアの名文句と言えば「To be or not to be, that is a question !」です。この解釈をめぐっては議論があるようですが、一般的には「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ!」と訳されています。循環器領域でシェイクスピアの言葉通りの危機に直面しているのが、心原性ショックを伴う多枝病変AMI患者です。この最重症カテゴリーの患者706名に対して、責任病変のみにPCIを施行する責任病変単独PCI群(段階的に非責任病変の血行再建術も許容)と、責任病変と同時に非責任病変に対してもPCIを施行する多枝PCI群にランダマイズしたCULPLIT-SHOCK試験の結果が、米国のデンバーで開催されたTCT2017で報告され、同時にNEJM誌に掲載されました。 30日以内の死亡・腎不全(腎代替療法)と定義された主要エンドポイントは、責任病変単独PCI群344例中158例(45.9%)に対して多枝PCI群341例中189例(55.4%)に認められました(相対リスク:0.83、95%信頼区間[CI]:0.71~0.96、p=0.01)。要約すれば、責任病変単独PCI群で死亡・腎不全リスクが有意に17%減少していました。つまりは、「AMI急性期のPCIは責任病変だけにしろ!」という教えが正しいとされたわけです。 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者において、梗塞の責任血管のみへのPCI施行に比べて、引き続いて責任血管以外の狭窄への予防的PCIを施行することによって、心血管イベントを有意に低下させるとPRAMI研究は報告しています。本論文に対して小生は、『「AMI急性期のPCIは責任病変だけにしろ!」と私は教えられました』とのタイトルでコメントさせていただきました。コメントの趣旨はPRAMI研究の結論が循環器内科医に受け継がれてきた常識とは異なる方向性を持っていることを表現したものです。 PRAMI試験に加えてDANAMI3-PRIMULTI試験、そしてCvLPRIT試験と多枝同時介入の有効性を示唆した試験結果が報告されました。米国では、これらの一連の報告を受けて2015年の ACC/AHA/SCAI のSTEMI治療のガイドラインでは、多枝同時介入について推奨の度合いをClass IIIからClass IIbにアップデートしています。Class IIIは「Harm: 有害」であり、Class IIbは「may be considered: 考慮可」です。今回のCULPLIT-SHOCK試験の結論は、この変更を揺り戻す内容といえます。このCULPLIT-SHOCK試験は常識的な治療方針を強調しているものでガイドラインの方向性としては、よりふさわしいのではないかと筆者は考えます。次回のACC/AHA/SCAI のSTEMI治療のガイドラインでは、どのような扱いになるのか興味深いところです。おそらくガイドライン執筆担当者はこのようにつぶやくことでしょう。 「IIb or not IIb, that is a question!」

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眼科医は若手のほうが患者の苦情を受けやすい

 患者の苦情(unsolicited patient complaint)が、医師の年齢によってどのように分布しているかを理解することは、患者が抱く不安の特性を知る手がかりとなる。患者の不満に関するこれまでの研究の多くは、苦情や危険な治療および訴訟と関与する可能性がある、医師の年齢や診療環境、専門性などの特性との関連について言及していなかった。米国・ヴァンダービルト大学のCherie A. Fathy氏らは、それらを評価する後ろ向きコホート研究を行い、若い眼科医のほうが高年齢の眼科医よりも患者の苦情を受けやすい傾向があることを明らかにした。著者は、研究デザインに、結論の解釈に影響を及ぼす限界があるとしたうえで、「検討の結果は患者の安全性、臨床教育および臨床実践において、実際に役立つと思われる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月30日号掲載の報告。 研究グループは、2010年以前に医学部を卒業し、ヴァンダービルト大学医療センターのPatient Advocacy Reporting Systemに加入する組織所属の眼科または神経眼科の担当医1,342例を対象に、2002~15年の間で、初めて受けた患者からの苦情について調べた。苦情の内容は、訓練を受けたスタッフが6つの主要カテゴリーの34種類に分類し分析した。 主要評価項目は、雇用開始から初めて苦情を受けるまでの期間。対象医を5つの年齢層に分け、年齢と初回苦情までの期間との関連を、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・対象眼科医1,342例の年齢中央値は47歳、71歳以上は9%を占めた。74%が男性、90%が医学博士の学位を有し、73%は大学病院で診療活動を行っていた。・追跡期間平均9.8年において、苦情を受ける率は71歳以上の眼科医が0.71/1,000日と最も低かった(年齢層が下がるごとに、1.41、1.84、2.02、1.88)。・追跡期間2,000日(または5.5年以内)までに、最も若い年齢層群が苦情を受ける推定リスクは0.523であった。・一方、追跡期間4,000日(>10年)でも、71歳以上群が苦情を受ける推定リスクはわずか0.364であった。・最も若い年齢層と、次に若い年齢層の2群は、初回苦情までの期間が統計学的に有意に短かった。・71歳以上群との比較において、苦情のリスクは41~50歳で1.73倍(95%信頼区間[CI]:1.21~2.46、p=0.002)、31~40歳で2.36倍(95%CI:1.64~3.40、p<0.001)であった。

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米国における認知症者のホスピスケアに関するコホート研究

 ホスピスケアを利用する認知症者の割合が増加している。しかし、認知症者をケアしているホスピスのタイプやホスピスの使用パターン、また認知症の有無にかかわらず、ホスピスを退所するタイミングについては、よくわかっていない。米国・マウントサイナイ医科大学のAline De Vleminck氏らは、認知症者をケアしているホスピスの特徴、認知症の有無によるホスピスの退所パターン比較、ホスピスの退所に関連する認知症者およびホスピスレベルの特徴を評価するため、検討を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2017年11月16日号の報告。 National Hospice Surveyのホスピス全国ランダム化サンプル(577件)に新規登録されたメディケア受給者(14万9,814人)の縦断コホート研究(2008~11年)のデータを用い、死亡まで追跡調査を行った(レスポンス率:84%)。 主な結果は以下のとおり。・認知症の一次診断を受けた人は7,328例(4.9%)であった。・認知症者をケアしているホスピスは、有償、大規模、5年以上のケアサービス提供、養護老人ホーム入所者の大部分(30%超)にサービス提供している可能性が高かった。・認知症者は、非認知症者と比較し、急性期病棟入院または救急受診によるホスピスの退所が少なく、長期入所後(165日以上)にホスピスを退所する可能性が高かった。・認知症の有無にかかわらず、短期入所後(165日未満)の退所に有意な差は認められなかった。・多変量解析では、小規模なホスピスや養護老人ホームの一部の入所者にサービスを提供しているホスピスの入所者では、165日後に退所する可能性が高かった。 著者らは「認知症者は、非認知症者と比較し、長期入所後にホスピスから退所する可能性が高かった。ホスピスケアを希望する認知症者が増加するにつれ、終末期に認知症者に対する質の高い緩和ケアを提供するための潜在的な障壁に対処することが重要である」としている。■関連記事認知症発症と関連する5つの精神症状どのくらい前から認知症発症は予測可能か認知症にならず長生きするために

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プロバイオティクス・カプセル、アトピー性皮膚炎を改善

 新たな剤形で複数成分を含むプロバイオティクス・カプセル製剤は、小児・若年者におけるアトピー性皮膚炎(AD)の経過を改善する可能性が、スペイン・Hospital Universitario VinalopoのVicente Navarro-Lopez氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果、示された。アトピー性皮膚炎疾患重症度評価(SCORAD)スコアが低下し、局所ステロイドの使用も減少したという。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年11月8日号掲載の報告。 研究グループは2016年3月~6月に、新たな混合プロバイオティクス製剤の経口摂取について、有効性と安全性、ならびに局所ステロイドの使用に及ぼす影響を評価する目的で、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。 対象は、4~17歳の中等度AD患者50例(女児26例[50%]、平均[±SD]年齢:9.2±3.7歳)。試験前3ヵ月以内に全身性免疫抑制剤の使用歴のある患者、2週以内に抗菌薬使用歴のある患者、腸疾患合併の診断や細菌感染症の症状のある患者は除外された。 性別、年齢、発症年齢により層別化し、ブロックランダム化法によりプロバイオティクス群または対照群(プラセボ)に割り付け、凍結乾燥させたビフィズス菌(Bifidobacterium lactis)CECT 8145、ビフィズス菌(B.longum)CECT 7347、乳酸菌(Lactobacillus casei)CECT 9104を計109 CFU含むカプセル製剤(キャリアとしてマルトデキストリン使用)、またはプラセボ(マルトデキストリン)を毎日、12週間経口投与した。 主要評価項目は、SCORADスコアと局所ステロイドの使用日数とした。 主な結果は以下のとおり。・12週後、プロバイオティクス群は対照群と比較して、SCORADスコアの平均減少幅が19.2ポイント大きかった(群間差:-19.2、95%信頼区間[CI]:-15.0~-23.4)。・ベースラインから12週時点までのSCORADスコアの変化は、プロバイオティクス群-83%(95%信頼区間[CI]:-95~-70)、対照群-24%(95%CI:-36~-11)であった(p<0.001)。・対照群(220/2,032患者・日、10.8%)と比較して、プロバイオティクス群(161/2,084患者・日、7.7%)では局所ステロイドの使用が有意に減少したことが認められた(オッズ比:0.63、95%CI:0.51~0.78)。

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「わかりにくさ」が招く誤解と混乱(解説:今中和人氏)-783

 古今東西の常識として、わかりにくい情報提示では物事を正しく伝えることは難しいが、このわかりにくい論文は以下の4つを検討している。(1)2009~2015年のnon-randomizedな大動脈弁置換(約1/4で冠動脈バイパス[CABG]を併施)症例を、午前手術した群と午後手術した群に分け、短期・中期成績を検討(2)2016年の単独大動脈弁置換 88例を午前群と午後群の各44例にrandomizeし、短期成績を検討(3)上記(2)の88例中30例程度で術中に心房組織を採取し、虚血・再灌流後の収縮力の実験的検討と、多数の遺伝子の発現程度の検討(4)マウスのLangendorffモデルにおける、虚血・再灌流と遺伝子Rev-Erbαの検討 preliminary な検討のはずの(1)が大々的に、また(1)~(3)は渾然と記載されており、(1)の結果なのか(2)・(3)の結果なのか、相当わかりにくい。 本論文を一層わかりにくくしているのは、(1)、(2)とも短期のイベントの大多数が周術期心筋梗塞(PMI)なのだが、ガイドラインにあっても大多数の読者に馴染みがないtype 5 AMIという、本来はCABG後のPMIを若干modifyして定義している。この定義は曲者で、バイオマーカーとして用いた高感度トロポニンTは、CABGでは術前から上昇している症例があるので、閾値が「変動係数の10倍以上の上昇」と数値が明示されず、並列要件である「退院時の心エコー図での壁運動異常」の内容も定義されていないので、PMIと言われても実情が把握し難いことがひとつ。もうひとつは(2)でトロポニンを72時間後まで6回測定し、数値としてはそのarea under the curve(AUC)しか提示されておらず、普通はそんなデータの取り方はしないので、PMIを自分の経験と対照して把握できない。いずれの手法も先例があったり、ガイドラインに記されていたり、論文内でPMIの定義を使い分けるのもヘンだ、などと理由付けはしうるが、ともかく結果的に実にわかりにくい。 そもそもタイトルが、手術症例でRev-Erbαなる遺伝子を操作したかのような錯覚を招く、わかりにくいものである。 ちなみに最重要な(2)の結果は、死亡は両群ゼロで在院日数も同じ12日で臨床的には同等だが、72時間のトロポニンのAUCは午後群が有意に低く、PMIは午後群が有意に少なく(16% vs. 4%)、退院時駆出率45%未満症例も午後群が有意に少なかった(11% vs. 4%)--なお、術前はこの比較はなく、術前後の変化でもない。 ただ、トロポニンのAUC値は午後群が午前群の80%で、統計学的に有意でも臨床的意義は大いに疑問である。極端な高値でなければ(例えばCKMBの50と40)臨床的には枝葉末節だが、著者の主張どおりこの差は概日リズムの影響なのかもしれない。 ところが、この「わかりにくさ」と有名誌のゆえか、困った展開になっているのである。 手術患者は誰しも予後に大いに関心があるので、この論文はLancetの本国イギリスはもとより日本でも一般向けのメディアにも多数とり上げられ、論旨を忠実に反映した記事もあるが、多くはパッとしないrandomized study の(2)を黙殺し、(3)と実は直接の関係がないnon-randomizedの(1)とを密に関係付け、著者らがPMIとする症例の実態が把握し難いことも無視して、概日リズムのおかげで午後の手術はイベントが半分に減ると報じている。ひどいのになると「午後は生存率が2倍になる」とか「手術するなら午後にしてくれと担当医に頼みなさい」などと、意図的な曲解や扇動のようなことが書かれているのだ。こんな記事を読んだ患者さんや御家族に説明するなんて、想像するだけでうんざりするのは私だけではあるまい。 なお、この論文には他にも気になる点はいくつかあるが、何よりもまず、多くの心臓外科医に尋ねてみると、案の定、結論が大多数の現場の臨床医の感覚に合致せず、多数の追試は必須である。個人的には、患者の概日リズムより医療者の概日リズムの方がはるかに影響が大きいように思う(本論文では所要時間だけを根拠に否定している)が、いかがであろうか?

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ctDNA変異解析サービス、国内でも提供開始

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒)は、Digital PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法BEAMing技術(Bead Emulsion Amplification and Magnetics)を用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異を解析する「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」について、従来のドイツ、アメリカに加えて、新たに神戸医療産業都市(ポートアイランド)内「シスメックス IMPラボラトリー」における提供を開始すると発表した。 近年、がんなどの診断や治療法選択において、生体検査(バイオプシー)の代替として、血液・体液などを用いたリキッドバイオプシーによる低侵襲な検査のニーズが高まっている。リキッドバイオプシーの中でも、ctDNA変異解析は分子標的治療薬の効果予測や薬剤耐性のモニタリングなどに有用な指標とされており、臨床有用性の早期確立と臨床検査としての実用化に期待が寄せられている。 シスメックスは個別化医療に向けたリキッドバイオプシー技術の関連技術を有するアイノスティクス社(現 シスメックス アイノスティクス)を子会社化し、BEAMing技術を用いたctDNAの検出について、多数の研究機関、大学、医療機関との臨床研究や、製薬企業との分子標的治療薬開発の臨床試験などを経て多くの臨床エビデンスを蓄積。日本国内の研究機関や大学に対しては、同社のドイツ、アメリカ拠点にて「OncoBEAM受託アッセイサービス」を提供してきた。 シスメックスは今回、神戸医療産業都市(ポートアイランド)の伊藤忠メディカルプラザ内の「シスメックスIMPラボラトリー」において、シスメックス アイノスティクスとの連携のもと、研究機関、大学、医療機関、製薬企業などを対象に、BEAMing技術を用いたctDNA変異解析「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」の提供を2017年12月8日より開始した。これにより、国内の検体輸送にかかる負担軽減と、より迅速な結果報告が可能となる。 まずは、肺がん領域において、主要バイオマーカーとして注目されているEGFR遺伝子変異を対象項目としてサービスを開始し、今後、順次項目拡大を予定している。■参考シメックス株式会社ニュースリリース

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日本人2型糖尿病のCHD発症、肉摂取量に関連

 健康成人における心血管疾患の主な原因として食肉の過剰摂取が研究されているが、アジア人の糖尿病患者における研究はわずかである。今回、The Japan Diabetes Complications Study(JDCS)グループが日本人2型糖尿病患者で調査したところ、食肉の高摂取が冠動脈疾患(CHD)発症率上昇に関連することがわかった。European journal of nutrition誌オンライン版2017年12月8日号に掲載。 本研究は、全国コホート研究の一環として、HbA1c 6.5%以上の40~70歳の日本人2型糖尿病患者における食肉摂取量と心血管疾患発症の関連を調査した。ベースラインでの食事調査の回答者は1,353人で、食品群に基づく食事摂取頻度調査票で評価した。主要アウトカムは、CHDおよび脳卒中を含む心血管疾患イベントの8年間のリスクであった。食肉摂取量について、年齢、性別、BMI、HbA1c、喫煙、エネルギー摂取量、その他の交絡因子で調整されたハザード比(HR)を、Cox回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均食肉摂取量の四分位範囲は、9.9~97.7g/日であった。・交絡因子の調整後、第2、第3、第4四分位のCHDのHRは、第1四分位と比較して、それぞれ2.84(95%信頼区間:1.29~6.24、p=0.01)、3.02(同:1.36~6.70、p<0.01)、2.99(同:1.35~6.65、p=0.01)であった。・食肉摂取量に応じた2群において、20g/日以上の食肉を摂取する患者は、20g/日未満の患者よりもCHDリスクが2.94倍高かった(p<0.01)。・脳卒中と食肉摂取との関連は認められなかった。

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日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)

 進行がん患者では、除脂肪体重を主体とする体重減少と食欲不振といった形で表れる悪液質がよくみられる。悪液質を有する日本のがん患者において、新たな選択的グレリン受容体アゴニストであるanamorelin(ONO-7643)の有効性と安全性を検討したONO-7643-04試験の結果が、先端医療センター研究所 片上 信之氏らによりCancer誌に発表された。 ONO-7643-04試験は、日本人の悪液質合併非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、anamorelinとプラセボを比較した無作為化二重盲検試験。・対象患者:Stge III~IV NSCLC患者174例・試験薬:アナモレリン(100mg)12週間連日経口投与・対象薬:プラセボ12週間連日投与・評価項目:主要評価項目は除脂肪体重のベースラインから変化。副次評価項目は、食欲、体重、QOL、握力、6分間歩行の変化 主な結果・除脂肪体重のベースラインからの最小二乗平均変化は、anamorelin群1.38±0.18、プラセボ群-0.17±0.17kgであった(p

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医師は変人なのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第105回

医師は変人なのか? いらすとやより使用 皆さん、病棟のナースには「医師って変人」と思われています。いやいや、オレは大丈夫だって思っているそこのアナタ、絶対に変人だと思われています。ご愁傷さまです。私も変人と思われているのでしょう、フッ。しかーし! そんなわれわれ変人に朗報があるかもしれない! Bucknall V, et al.Mirror mirror on the ward, who's the most narcissistic of them all? Pathologic personality traits in health care.CMAJ. 2015;187:1359-1363.これは、英国の病院で実施された、医療職が変人かどうか調べた珍しい研究です。248人の医療従事者と159人の一般職を解析に組み入れました。彼らがdark triadをどのくらい満たしているかを調べたものです。dark triadとは、ナルシスト、マキャベリズム(目的のためならば手段を選ばない策略家)、精神病質のことを指します。変人と書いてしまうと多方面から批判を浴びそうですが、要はちょっとズレた性格かどうかを判定しているのです。その方法として、アンケートでNarcissistic Personality Inventory(NPI)、MACH-IV、Levenson Self-Report Psychopathy Scale(LSRP)を用いました。その結果、一般的な職業と比べて医療職のほうが、このdark triadの頻度は低いという結果になりました(p<0.001)。よかったよかった。しかし、医療職のサブグループを見てみると、どうやら外科医のナルシスト度合が高いことがわかりました。内科医やナースの平均値は低いのに、外科医だけズバ抜けてナルシストっぷりが高かったのです。あれ、おかしいな、少し細かく見てみましょうか。医師のナルシストランキングを紹介すると、第1位が心臓血管外科医、第2位が消化器内科医、第3位が整形外科医、第4位が救急医となっています。そして、最もナルシスト要素が少ないのは、老年科となっております。ううむ、医師の診療科別でも結構差が出てしまった。マキャベリズムについても第1位が消化器内科医、第2位が心臓血管外科医になっているので、この2職種はどうやら結構自分大好きオラオラ系の傾向が強いのかもしれませんね…。気を付けましょう。医師は変人が多いとよくいわれますが、なんだいなんだい、一般職と比べたらマシじゃないか! という、われわれ医療従事者にとってはうれしい報告なのかと思いきや、外科医はナルシストになりやすいという啓蒙的な文献といえるかもしれません。

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エリブリン・ペムブロリズマブ併用、トリプルネガティブ乳がんで良好な結果/サンアントニオ乳がんシンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社のエリブリン(商品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法による転移性トリプルネガティブ乳がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(ENHANCE1/ Study 218)のアップデート解析について、第40回サンアントニオ乳がんシンポジウムのスポットライトセッションで発表された旨を公表した。 ENHANCE1試験は、化学療法未治療あるいは前治療歴の2レジメン以下の転移性トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、エリブリンとペムブロリズマブ併用の有効性と安全性を評価する、多施設共同単群非盲検第Ib/II相試験。主要評価項目として第Ib相パートにおいては安全性と忍容性を、第II相パートにおいては奏効率(ORR)を評価する。 本発表では、2017年5月31日時点の試験登録107例中106例の患者に対するアップデート解析について報告した。21日1サイクルとした、エリブリンおよびペムブロリズマブの併用療法において、ORRは26.4%(CR3例およびPR25例)であった(95%CI:18.3~35.9)。化学療法による前治療歴の有無、PD-L1発現によるORRの違いは認められなかった。副次評価項目の無増悪生存期間は4.2ヵ月(95%CI:4.1~5.6)、全生存期間は17.7ヵ月(95%CI:13.7~評価不能)と、良好な結果が示唆された。また、CRおよびPR患者28例における奏効期間は8.3ヵ月であった。 本試験において高頻度で確認された有害事象(上位5項目)は、疲労、末梢神経障害、悪心、脱毛、便秘であった。■参考ENHANCE1/ Study 218(Clinical Trials.gov)

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2型糖尿病、集中的食事療法による減量で46%が寛解/Lancet

 減量により12ヵ月で、試験に参加した2型糖尿病患者の約半数が糖尿病治療薬から離脱し、非糖尿病状態すなわち寛解(remission)に達したことが、英国・グラスゴー大学のMichael EJ Lean氏らが行ったプライマリケアでの集中的な体重管理の効果を検証した非盲検クラスター無作為化試験「DiRECT試験」の1年目の結果で示された。2型糖尿病は生涯にわたり治療を要する慢性疾患とされる。これまでの研究で、罹患期間が短い2型糖尿病患者は10~15kgの減量により血糖値が正常化することが示されていたが、食事療法による糖尿病の持続的な寛解を評価したものはなかった。結果を踏まえて著者は、「2型糖尿病の寛解は、プラリマリケアのプラクティカルな目標である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年12月5日号掲載の報告。1日約850kcalの調整食を3~5ヵ月摂取する体重管理プログラムと標準ケアを比較 DiRECT(Diabetes Remission Clinical Trial)試験は、スコットランドとタインサイド地域(北東イングランド)のプライマリケア49施設で実施された。対象は、過去6年以内に2型糖尿病と診断され、BMIが27~45で、インスリン治療歴のない20~65歳の患者であった。 施設を、地域と施設規模で層別化し、体重管理プログラム実施群(介入群)とガイドラインに沿った最善のケアを行う群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。体重管理プログラムは、糖尿病治療薬および降圧薬の中止、食事全置換(825~853kcal/日の調整食を3~5ヵ月)、段階的な食物再導入(2~8週)、長期減量維持の構造化された支援により構成された。 主要アウトカムは2つで、ベースラインから12ヵ月までにおける15kg以上の減量と、糖尿病の寛解(すべての糖尿病治療薬を中止して2ヵ月以降のHbA1cが6.5%未満と定義)であった。 2014年7月25日~2016年8月5日に、49施設(介入群23施設、対照群26施設)にて306例(それぞれ157例および149例)が登録され、このうち同意撤回や脱落を除く各群149例をintention-to-treat集団とした。介入群の15kg以上減量達成率は24%、そのうち86%が寛解 12ヵ月時点で、15kg以上の減量を達成したのは、介入群で36例(24%)、対照群はなし(p<0.0001)、糖尿病の寛解達成は介入群68例(46%)、対照群6例(4%)であった(オッズ比:19.7、95%信頼区間[CI]:7.8~49.8、p<0.0001)。寛解達成は減量の程度によって異なり、体重が増加した76例では寛解達成者はおらず、0~5kg減量を維持している89例では6例(7%)、5~10kg減量した56例中19例(34%)、10~15kg減量した28例中16例(57%)、15kg以上減量を達成した36例中31例(86%)が寛解を達成した。 平均(±SD)体重は、介入群で10±8.0kg、対照群で1.0±3.7kg減少した(補正後差:-8.8kg、95%CI:-10.3~-7.3、p<0.0001)。EQ-5Dで測定したQOLスコアは、介入群で7.2±21.3点改善したのに対し、対照群では2.9±15.5点悪化した(補正後差:6.4点、95%CI:2.5~10.3、p=0.0012)。 重篤な有害事象は、介入群で157例中7例(4%)に9件、対照群で149例中2例(1%)に2件が報告された。介入群のうち2件(胆石疝痛と腹痛)は同一患者で生じており、介入に関連したものと考えられた。試験の中止に至る重篤な有害事象は認められなかった。 なお、著者は研究の限界として、人種や民族の特徴として白人が多い地域であったこと、プライマリケアに限定しており、体組成の詳細は評価されていないことなどを挙げている。

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atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのatezolizumab併用の有効性と安全性を評価した第Ⅲ相試験IMpower150の結果が、スイス・ジュネーブで開催されたESMO Immuno Oncology Congress 2017で、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorfのM. Reck氏より発表された。 IMpower150試験には、全体で1202例が登録され、A~Cの3群のうちいずれかに無作為に割り付けられた。A群:化学療法+atezolizumab、B群:化学療法+atezolizumab+ベバシズマブ、C群:化学療法+ベバシズマブ。主要評価項目は、EGFR または ALK遺伝子変異陰性の ITT(intention-to-treat)解析集団、ならびにエフェクターT細胞の関連遺伝子発現(Teff)患者を含む集団における無増悪生存期間(PFS)、ITT解析集団における全生存期間(OS)である。今回発表されたのはB群とC群の比較結果の一部で、データカットオフは2017年9月15日、追跡期間最少値は9.5ヵ月であった。 ITT解析集団にはB群356例、C群336例が登録され、Teff集団にはB群155例、C群129例が登録された。ITT解析集団およびTeff集団におけるPFS中央値は、8.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.0001)および11.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(HR:0.51、95%CI:0.38~0.68、p<0.0001)であった。PD-L1陰性患者におけるHRは0.77(95%CI:0.61~0.99)であり、PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab併用群でPFSの延長が認められた。なお、B群とC群の安全性プロファイルは同等で、重篤な治療関連有害事象の発現は25%vs. 19%であった。 スイス・Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV)のS.Peters氏は本結果に対し、「PD-L1またはエフェクターT細胞の関連遺伝子の発現状態によらず、免疫療法と化学療法の組み合わせが有効であったことは非常に重要。来年には、進行NSCLC患者への一次治療として、化学療法と免疫療法の併用、または2種類の免疫療法の組み合わせによる治療の有効性を評価したいくつかの他の試験結果が発表される予定で、どの戦略が最善であるかを判断していくことになるだろう」と述べている。■参考ESMO Immuno Oncology 2017プレスリリースIMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumab+ベバシズマブ+化学療法、進行肺がん1次治療のPFS改善(IMpower150)/ロシュatezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

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