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ベンゾジアゼピン使用に伴う認知症リスクに関するメタ解析

 ベンゾジアゼピンは高齢や壮年期の患者において一般的に使用されているが、その使用は、認知症リスクの増加と関連している可能性がある。観察研究でベンゾジアゼピンの使用が認知症リスクを増加させることが示唆されているが、これらの研究では、因果の逆転(protopathic bias)に関する重大な懸念があり、決定的な所見が見いだされていない。オーストラリア・シドニー大学のRoss Penninkilampi氏らは、protopathic biasを制御した後、高齢患者におけるベンゾジアゼピンの使用に関連する認知症リスクについて調査を行った。CNS drugs誌オンライン版2018年6月20日号の報告。 2018年6月5日までの、ベンゾジアゼピン使用の適切な評価および信頼できる認知症診断方法で確認された50例以上の観察研究を、電子データベース(MEDLINE、PubMed、EMBASE、CINAHL、LILACS、CENTRAL)を用いて検索を行った(言語制限なし)。現在または過去の短時間/長時間作用型ベンゾジアゼピン薬の使用と認知症との関連を分析した。protopathic biasの影響を評価するため、ログタイム導入によるサブグループ解析を行った。研究の質を評価するため、Newcastle-Ottawa Scaleを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14件の論文で報告された15件の研究より、15万9,090例が抽出された。・常時、ベンゾジアゼピンを使用することで、認知症リスクは有意に増加していた(オッズ比[OR]:1.39、95%CI:1.21~1.59)。・protopathic biasを制御する可能性が最も高い5年以上の最長ログタイムによる研究では、認知症リスクはわずかに弱まったが、以前として有意な差が認められた(OR:1.30、95%CI:1.14~1.48)。・長時間作用型ベンゾジアゼピン薬(OR:1.21、95%CI:0.99~1.49)は、短時間作用型(OR:1.13、95%CI:1.02~1.26)と比較し、リスク値がわずかに高かったが、そのリスクは統計学的に有意ではなかった(p=0.059)。 著者らは「ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性は、protopathic biasによる人為的なものではないことが示唆された。不適切なベンゾジアゼピン使用を減少させることは、認知症リスクを低減させる可能性がある」としている。■関連記事ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析アルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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乾癬に対するイキセキズマブ vs.ウステキヌマブ

 インターロイキン(IL)-17Aを標的とする生物学的製剤は、臨床で安全なプロファイルを有し、尋常性乾癬のプラークを迅速に除去できる。フランス・ポール・サバティエ大学のCarle Paul氏らは、抗IL-17A抗体イキセキズマブの尋常性乾癬に対する有効性および安全性をIL-12/23阻害薬ウステキヌマブと直接比較したIXORA-S試験において、52週時の有効性はイキセキズマブがウステキヌマブより優れており、安全性は類似していることを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。 IXORA-S試験の対象である尋常性乾癬患者を、イキセキズマブ群(136例)およびウステキヌマブ群(166例)に無作為に割り付け、承認された用法・用量で52週間それぞれ投与した。 主要評価項目は、52週時のPsoriasis Area and Severity Index(PASI)の達成率(PASI 90)と、static Physician Global Assessment(sPGA)の0または0/1の達成率であった(脱落例はノンレスポンダーとして数えた)。安全性は、治療下で発現した有害事象(TEAE)などで評価した。 主な結果は以下のとおり。・52週時において、イキセキズマブ群はウステキヌマブ群と比較し、PASI 90(104例、76.5% vs.98例、59.0%)、sPGA 0(72例、52.9% vs.60例、36.1%)およびsPGA 0/1(110例、82.1% vs.108例、65.1%)が、いずれも有意に高かった(p<0.01)。・TEAEおよび重篤な有害事象(AE)の発現率、ならびに試験中止率は、両群間で差はなかった。・注射部位反応は、イキセキズマブ群がウステキヌマブ群より高頻度であった(22例、16.3% vs.2例、1.2%、p<0.001)。

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HPV検査の子宮頸部前がん病変の検出能/JAMA

 北米では、子宮頸がんのスクリーニングにおける細胞診検査と比較した、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査の相対的な有効性に関する情報は十分でないという。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のGina Suzanne Ogilvie氏らは、HPV検査陰性の女性は細胞診検査陰性の女性に比べ、48ヵ月時点で診断されたGrade3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)およびGrade2以上のCIN(CIN2+)の割合が低かったことを、JAMA誌2018年7月3日号で報告した。4年後に2群とも2つの検査法で再検査 本研究(HPV FOCAL試験)は、初回HPV検査および液状化検体細胞診(LBC)検査における、組織学的に確定された前がん病変の累積検出率を評価する無作為化臨床試験である(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成による)。 対象は、年齢25~65歳、過去5年間にCIN2+の既往歴がなく、浸潤性子宮頸がんの既往歴や子宮摘出術歴がなく、過去12ヵ月間にパパニコロー検査を受けておらず、登録時に免疫抑制療法を受けていない女性であった。 被験者は、介入群または対照群にランダムに割り付けられた。介入群はHPV検査を受け、陰性の場合は48ヵ月後に再検査を受けた。対照群はLBC検査を受け、陰性の場合は24ヵ月後にLBCの再検査を受け、24ヵ月後も陰性の場合は48ヵ月後に再検査を受けた。両群とも、48ヵ月時にHPV検査とLBC検査の双方を受けた。検査陽性の場合などは、適宜、コルポスコピー検査を行った。 主要アウトカムは割り付け時から48ヵ月後のCIN3+の累積発生率とし、副次アウトカムはCIN2+の累積発生率であった。 2008年1月~2012年5月の期間に、224人の医師によって参加者が登録され、2016年12月までフォローアップが行われた。年齢にかかわらず、より正確に検出 1万9,009例(平均年齢:45歳)が登録され、介入群に9,552例、対照群には9,457例が割り付けられた。1万6,374例(介入群:8,296例[86.9%]、対照群:8,078例[85.4%])が試験を完遂した。 48ヵ月時の1,000人当たりのCIN3+の割合は、介入群は2.3例であり、対照群の5.5例に比べ有意に低かった(リスク比[RR]:0.42、95%信頼区間[CI]:0.25~0.69、p<0.001)。また、年齢25~29歳の女性(RR:0.40、p=0.05)および30歳以上の女性(RR:0.43、p=0.003)においても、介入群でCIN3+の割合が低かった。 同様に、48ヵ月時の1,000人当たりのCIN2+の割合も、介入群が5.0例と、対照群の10.6例に比し有意に低かった(RR:0.47、95%CI:0.34~0.67、p<0.001)。年齢25~29歳の女性(RR:0.52、p=0.04)および30歳以上の女性(RR:0.46、p<0.001)においても、介入群でCIN2+の割合が低かった。 ベースライン時に検査陰性の集団の解析では、介入群のHPV検査陰性の女性は、対照群のLBC検査陰性の女性に比べ、48ヵ月時のCIN3+(1.4 vs.5.4/1,000人、RR:0.25、95%CI:0.13~0.48、p<0.001)およびCIN2+(3.6 vs.10.0/1,000人、RR:0.36、95%CI:0.24~0.54、p<0.001)の割合が有意に低かった。年齢25~29歳の女性(CIN3+=RR:0.32、p=0.03、CIN2+=RR:0.48、p=0.04)および30歳以上の女性(CIN3+=RR:0.24、p<0.001、CIN2+=RR:0.34、p<0.001)でも、同様の結果であった。 著者は、「これらの結果は、初回HPV検査は細胞診検査に比べ、前がん病変をより早期に、かつより正確に検出することを示す」と指摘し、「長期的な臨床アウトカムとともに、費用対効果を知るために、さらなる検討を要する」としている。〔8月21日 記事の一部を修正いたしました〕

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急性心筋梗塞後の心原性ショックに対するエピネフリン vs.ノルエピネフリン【Dr.河田pick up】

 心筋梗塞後の心原性ショックに対して、昇圧薬はある特異的な効果をもたらす可能性があり、それが予後に影響をあたえうる。ノルエピネフリンとエピネフリンは最もよく使われる薬剤ではあるが、無作為化試験でその効果が調べられたことはなく、十分なデータが得られていない。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らは、心筋梗塞後の心原性ショックにおいて、エピネフリンとノルエピネフリンの効果を比較することを目的に、多施設共同の前向き二重盲検無作為化試験を実施した。Journal of American College of Cardiology誌7月10日号に掲載。18歳以上で、PCIが成功した急性心筋梗塞患者が対象 本試験では、18歳以上で、下記の項目をすべて満たした患者が対象となった。・PCIによる冠動脈の再灌流が成功している・収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<65mmHg・心係数<2.2L/min/m2・肺動脈圧>15mmHgもしくは心エコーによる肺動脈圧上昇・心エコーによるEF<40%・少なくとも1つの組織の低灌流の証拠がある・肺動脈カテーテルが留置されている また、その他の原因でショックを起こしている患者や、体外循環を用いている患者は除外されている。  主要有効評価項目は心係数の改善で、主要安全評価項目は抵抗性の心原性ショックの発生とされた。抵抗性の心原性ショックは持続した低血圧、末梢臓器不全や乳酸値の上昇および高用量の強心薬や昇圧薬の使用と定義された。エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高く、試験は早期中止 57例の患者がエピネフリン群とノルエピネフリン群の2群に無作為に割り付けられた。主要有効評価項目である心係数の改善は72時間後において2群間で同等であった(p=0.43)。主要安全評価項目に関しては、エピネフリン群で抵抗性ショックの頻度が有意に高かったため(エピネフリン群:10/27[37%] vs.ノルエピネフリン群:2/30[7%];p=0.008)、試験は早期中止となった。心拍数はエピネフリン群で2時間後~24時間後において有意に高くなったが、ノルエピネフリン群では変化がなかった(p<0.0001)。いくつかの代謝に関する変化は、ノルエピネフリン群と比較して、エピネフリン群において好ましくない結果がみられ、たとえば心臓のダブルプロダクト(=収縮期血圧×心拍数)(p=0.0002)と2時間後~24時間後における乳酸値(p

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天然痘の治療薬登場か/NEJM

 1980年、天然痘の撲滅が宣言されたが、天然痘ウイルス(VARV)は依然として存在する。米国・SIGA Technologies社のDouglas W. Grosenbach氏らは、天然痘の治療薬として経口tecovirimatの検討を行い、2つの動物モデルにおける有効性と、ヒトでの安全性を確認したことを、NEJM誌2018年7月5日号で報告した。天然痘に対する有効な治療はないため、tecovirimatの開発が進められている。天然痘が自然に発症する状況での臨床試験は実施できないことから、有効性と安全性を評価する他の開発法が必要とされていた。非ヒト霊長類、ウサギ、ヒトで有用性を評価 研究グループは、非ヒト霊長類(サル痘)およびウサギ(ウサギ痘)モデルにおけるtecovirimatの有効性を検討し、ヒトにおける同薬の臨床試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 本研究は、専門家諮問委員会が天然痘の治療用に解釈した、米国食品医薬品局(FDA)の動物における有効性の評価規則に従い行われた。また、成人ボランティア449例において、プラセボを対照とした薬物動態と安全性の試験を実施した。天然痘に有効な抗ウイルス薬となる可能性 サル痘モデルで90%以上の生存を達成するのに要するtecovirimatの最低用量は、10mg/kg体重の14日間投与であった。ウサギ痘モデルで同程度の効果を得るのに要する用量は、40mg/kgの14日間投与であった。 体重1kg当たりの有効用量の値はウサギのほうが高かったが、曝露量は低かった。定常状態の最高濃度(Cmax)、最低濃度(Cmin)、平均濃度(Cavg)の平均値は、ウサギではそれぞれ374ng/mL、25ng/mL、138ng/mL、非ヒト霊長類では1,444ng/mL、169ng/mL、598ng/mLであった。また、24時間の濃度-時間曲線下面積(AUC0-24hr)は、ウサギが3,318ng×時間/mL、非ヒト霊長類は14,352ng×時間/mLだった。 これらの知見から、ヒトで必要な薬物曝露量を推定するには、非ヒト霊長類のほうが、より保守的なモデルであることが示唆された。 ヒトでの試験(年齢中央値:39.0歳[範囲:18~80]、男性:41%)には、600mgの1日2回、14日間投与が選択され、非ヒト霊長類を上回る曝露量がもたらされた(定常状態のCmax:2,209ng/mL、Cmin:690ng/mL、Cavg:1,270ng/mL、AUC0-24hr:30,632ng×時間/mL)。 試験期間中に、tecovirimat群の134例(37.3%)に318件の重篤でない有害事象が発現し、このうち71例(19.8%)、176件が試験薬関連であった。試験薬とは関連しない肺塞栓症で1例が死亡した。問題となる有害事象のパターンは認められなかった。 著者は、「これら動物およびヒトに関する試験結果は、全体として、天然痘の抗ウイルス薬としてのtecovirimatの有用性を支持するものである」としている。

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ASCO2018レポート 乳がん-2

レポーター紹介高齢者におけるトラスツズマブ単独治療の意義:RESPECT試験高齢のHER2陽性乳がん患者に対して術後補助療法として、トラスツズマブ単独または化学療法と併用した群とで比較した本邦からの無作為化第III相試験である。これは名古屋大学の澤木 正孝先生がPIとなって進めていた試験である。一般的に無作為化比較試験の対象から除外されている70歳以上(80歳以下)の方を対象としている点が特筆すべきポイントである。PSにもよるが高齢者ではやや化学療法を行いにくい、しかしHER2陽性乳がんは予後不良なためできるだけ治療は行いたいという臨床上のジレンマがある。もしトラスツズマブ単独でも化学療法併用と同等の効果があれば、わざわざ毒性の高い治療を選択しなくてもいいのではないかという思いは皆持っているかも知れない。また高齢化社会がますます進んでいく中で、70歳以上の割合は明らかに増加していくため、このような試験の立案はとても重要にみえる。本試験は優越性試験でも非劣性試験でもなく、主要評価項目の優劣の判定域を臨床医のアンケート結果に基づいて設定したという点もユニークである。統計学的有意性=臨床的有用性ではないことはどのような試験であっても理解しておかなければならないが、本試験ではまさに臨床上の実を取ったという訳である。計275例の患者が割り付けされ、StageIが43.6%、StageIIAが41.7%、リンパ節転移陰性が78.5%と比較的早期がんが多くを占めていた。HR陽性は45.9%とやや少なかった。3年のDFSはH+CT94.8%に対してH単独89.2%で有意差はなかった(HR:1.42、0.68~2.95、p=0.35)。いずれの群もイベント数が少なく予後良好であった。H単独でも十分な治療効果があったのか、もともと予後が良かったのかは明らかではないが、HER2陽性乳がんの性質を考えると、H単独でも高齢者において比較的良い予後改善効果があったというべきだろうか。QOLに関しては術後1年ではHのほうが良いが3年では差がなくなっていた。最近注目されているDe-escalationという考え方からすると非常に良い結果だったとは言える。PSの良い70代は、本来さらに生存が期待できるので、3年より長期の経過も知りたいところである。QOLは化学療法レジメンによっても多少異なる可能性があり、近年では3cm以下のn0では、個人的にはPTX+HER12サイクルのみのレジメンも積極的に用いていて、しびれがなければ高齢者でも比較的使いやすい印象がある。論文化されるのを待ちたいが、少なくとも早期HER2陽性乳がんの一部ではHRの状況にかかわらず、H単独のオプションを提示してもよいだろう。アントラサイクリンとタキサンの順序は重要か?局所進行HER2陰性乳がんに対してAとTの順序の違いを比較する第II相試験で、NeoSAMBA試験と呼ばれる。ブラジルからの報告である。FAC(500/50/500)3サイクルおよびドセタキセル(100)3サイクルを、A先行とT先行で比較するため118例の患者が無作為に割り付けられた。HR陽性が70%以上であった。結果は、中断、輸血、G使用は同等であったが、減量はT先行で少なかった。Grade3以上の有害事象は、T先行で急性過敏反応が多く、A先行で高血圧、感染、筋関節痛が多かった。pCRはT先行で高く、DFS(HR:0.34、1.8~0.64、p<0.001)、OS(HR:0.33、0.16~0.69、p=0.002)ともにT先行で良好であった。本試験は単施設の第II相試験であり、局所進行がんに限定されている。しかし、薬剤の送達やpCR率は、過去の試験でも一貫してT先行で良好であり、やはりT先行を術前術後の化学療法の標準と考えたほうが良さそうである。ただし、経験上注意点が1つある。増殖率のきわめて高いTNBCでは、ときにタキサンでまったく効果がなく、治療中に明らかな増大を示すものがある。そのため、T開始から1~2サイクルでそのような傾向がみられたら、ちゅうちょせずにAに変更することが勧められる。DC(ドセタキセル75/シクロホスファミド600)の有用性ドイツから、HER2陰性乳がんにおける2つの第III試験であるWSG Plan B試験(ECx4-Dx4 vs.DCx6)とSUCCESS C試験(FECx3-Dx3 vs.DCx6)の統合解析の結果が報告された。Aを含む群2,944例、DC群2,979例と大規模である。中央観察期間62ヵ月でDFSにまったく差はなかった。サブタイプ別にみても、Luminal A-like、Luminal B-like、Triple negativeともにまったく差は認められなかった。ただし、pN2/pN3ではAを含む群でDFSは良好であった(HR:0.69、0.48~0.98、p=0.04)。SABCS2016の報告で、DBCG07-READ試験(ECx3-Dx3 vs. DCx6)の結果を紹介したが、一貫したデータである。したがって、pN2/pN3以外では、もはやAは不要かもしれない。また、以前から述べていることだが、乳がん術後補助療法において、4サイクル以上行って優越性を示しているレジメンは今のところみられず、DCは4サイクルで十分なのではないかと考えている。6サイクルのTCは毒性の面からやはり相当大変だと思われる。パクリタキセル類似の微小管重合促進作用を持つutideloneの有用性アントラサイクリンとタキサン不応性の転移性乳がんに対してカペシタビン(CAP)のみとutidelone(UTD1)を追加した群を比較した中国における第III相試験で、OSの結果が報告された。utideloneはepothiloneのアナログで、微小管を安定させ、血管新生を阻害する薬剤である。UTD1+CAPがCAP単独に比べてPFS、ORRがを改善していることはすでに報告されている。対象としては化学療法レジメンが4つまでと規定している。UTD1+CAPではCAPは1,000mg/m2(CAPのみの群では1,250)であり、UTD1は30mg2を最初の5日間ivを行い3週を1サイクルとしていて、患者は2:1に割り付けられている(CAP+UTD1 270例、CAP 135例)。PFSはUTD1+CAPで著明に改善しており(HR:0.47、0.37~0.59、p<0.0001)、OSもUTD1+CAPで良好であった(HR:0.72、0.57~0.93、p<0.0093)。安全性に関してはグレード3以上の末梢神経障害の割合がUTD1+CAPで25。1%と高い(CAP0.8%)。すでにFDAで認可されているixabepiloneでは、治療終了後6週間で末梢神経障害は改善しているようだが、UTD1においてはどうだろうか。また、安全性プロファイルも限られた情報しか提示されていなかったため、もう少し詳細をみてみたい。しかし、これだけ少数例の検討にもかかわらず明確にOSに差が出ていたため紹介することとした。今後同薬剤がどのように使われていくのか見守りたい。未発症BRCA保有者における乳房MRIの重要性未発症のBRCA変異保有者に対して、乳房MRIによるサーベイランスがリスク低減手術に代わるオプションとなりうるかを検討した試験(トロントMRIスクリーニング試験)である。1997年7月~2009年6月までに乳がんや卵巣がん未発症のBRCA変異保有者380例が登録され、年1回のマンモグラフィとMRIが行われた。研究中40例(41腫瘍)に乳がんが発見された(BRCA1/2各20例、年齢中央値48[32~68]歳)。18例は以前に卵管・卵巣摘出術が行われていた。がん診断までの期間中央値は14(8~19)年であり、脱落例はなかった。発見契機はMRI 38例、マンモグラフィ6例、中間期1例でありTステージは大半が1cm以内の発見であった(2cm以上は1例のみ)。n+は4例に認められた。化学療法は13例に行われた。遠隔再発による死亡は2例、他がんによる死亡が4例(自殺1例、卵巣がん1例、腹膜がん2例)で、遠隔転移を来した2例の腫瘍の特徴はBRCA1/3cm/グレード2/ER+PR-HER2-/n1、およびBRCA2/0.7cm/グレード2/ER+PR-HER2-/n0であった。カプラン・マイヤー法による10年間の乳がん特異的生存率は94.6%と良好であり、乳房MRIスクリーニングはリスク低減手術に代わる重要なオプションであることが証明されたと結んでいる。この研究は、未発症のBRCA1/2保有者に今後の対策について話し合う際に非常に貴重な資料となる。Li-Fraumeni症候群における全身MRIによるがん早期発見の評価:LIFSCREEN試験フランスからの報告である。乳がんの約1%に認められることが知られているLi-Fraumeni症候群(TP53胚細胞変異)では、小児期からさまざまな悪性腫瘍を発症しやすく、有効なスクリーニングの手段が必要である。がん発症リスク上昇の懸念から被曝は極力避けたいため、以前から全身MRIの有用性が報告されているが、本研究は国を挙げての無作為化比較試験であり、実に素晴らしいと言わざるを得ない。アームAは身体所見、脳MRI、腹部-骨盤超音波検査、乳房MRI+乳房超音波、血算であり、アームBはアームAの検査に全身MRI(拡散強調画像)を加えたものである。計105例が無作為に割り付けられ、18歳以上が80%以上、女性が70%以上を占め、家族歴のない患者が約半数であった。少なくとも3年以上の経過観察が行われた。全身MRIでは肺がん3例、脈絡叢がん1例(肺転移)、副腎皮質がん1例(超音波でも同定)、乳がん3例(乳房MRIでも同定)、脊髄グリオーマ1例が発見され、一方、骨髄腫1例、顎の骨肉腫1例、乳がん1例が発見されなかった。3年という短期間では両群でOSに差はなかった。全身MRIではとくに肺がんの発見率が良いようである。フランスでは、本試験の結果を基に、全身MRIをスクリーニング手段としてガイドラインに追加している。しかし多くの放射線科医が全身MRIの読影に慣れていないという大きな問題が存在する。また、全身MRIのプロトコールはさまざまであり、放射線科医は見逃しを少しでも減らし疾患の鑑別をしたいがために、どうしても長い撮像時間のプロトコールを組みたがるが、腫瘍があることが前提の精密検査ではなくスクリーニングであることを十分認識し、受診者負担、撮影装置の占有時間を少しでも減らすため撮像時間を可能な限り短縮したいものである。本報告では具体的な撮像法がわからなかったため、論文化された時点で撮像法の詳細を確認したい。

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好評につき再配信決定!長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』アンコール(CareNeTV会員限定)

「長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』」概要【再配信】日 時 :9月2日(日) 14:00~17:10 (休憩なし)概 要 :長門流 総合内科専門医試験『出るズバッ!LIVE』アンコール講 師 :長門 直氏(中国中央病院 内科部長)会 場 :インターネット配信受講料 :無料(CareNeTV会員限定)※8月19日のLIVEを録画したものとなります。生配信ではございません。※本コンテンツはダウンロード対象外です。※オンデマンド配信でないため、配信中の巻き戻し、早送り、一時停止などはできませんのでご注意ください。視聴ページへは CareNeTVトップページ からアクセスできます。対象はCareNeTV会員のみです。CareNeTVにご入会いただくと当日のライブを視聴することができます。※視聴ページはライブ開始直前に公開いたします。8月19日(日)に配信した「長門流 総合内科専門医試験 『出るズバッ!LIVE』」。その日限りのLIVE配信とお伝えしておりましたが、大変好評のため、9月2日(日)にアンコール配信を行うこととなりました。ご覧いただけなかった皆さま、今回が本当に最後のチャンスです。ぜひ、お見逃しなく!!視聴環境について有線LANでのご視聴をお勧めします。無線LANでのご視聴に対するお問い合わせはご対応いたしかねます。スマートフォン、タブレットでのご視聴の場合は、下記の専用アプリが必要です。iOS       Android視聴環境についてはこちら 視聴環境のチェックページはこちら<スマートフォンやタブレットでの視聴に関する注意事項>スマートフォン、タブレットでのご視聴の場合は専用のアプリが必要です。アプリを通じた視聴方法については、以下を必ずご確認ください。配信 株式会社ブイキューブ開催当日のお問い合わせ窓口 TEL:03-5677-1744(受付時間 9:00~18:00)視聴ページへは CareNeTVトップページ からアクセスできます。対象はCareNeTV会員のみです。CareNeTVにご入会いただくと当日のライブを視聴することができます。※視聴ページはライブ開始直前に公開いたします。

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双極性障害における精神医学的入院リスクのための単剤療法の比較

 米国・ニューメキシコ大学のAnastasiya Nestsiarovich氏らは、双極性障害患者の精神医学的入院リスクについて、29種類の薬剤を比較した。Bipolar disorders誌オンライン版2018年6月19日号の報告。 Truven Health Analytics MarketScanデータベースを用いて、リチウム、第1世代または第2世代の抗精神病薬、気分安定抗てんかん薬、抗うつ薬の29種類の処方箋情報を有する、双極性障害または統合失調感情障害患者19万894例を抽出した。競合リスク回帰分析を用いて、精神医学的入院リスクの比較を行った(患者の年齢、性別、併存疾患、前処置薬により調整)。他の競合リスクは、単独療法の終了および非精神医学的入院とした。 主な結果は以下のとおり。・リチウムよりも精神医学的入院リスクが有意に低かった薬剤は、以下の3剤であった。●バルプロ酸(相対リスク[RR]:0.80、p=0.00032)●アリピプラゾール(RR:0.80、p=0.00035)●bupropion(RR:0.80、p=0.00028)・精神医学的入院リスクが有意に高かった薬剤は、以下の8剤であった。●ハロペリドール(RR:1.57、p=0.00094)●クロザピン(RR:1.52、p=0.017)●fluoxetine(RR:1.17、p=0.0037)●セルトラリン(RR:1.17、p=0.0032)●citalopram(RR:1.14、p=0.013)●デュロキセチン(RR:1.24、p=0.00051)●ベンラファキシン(RR:1.33、p=0.000001)●ziprasidone(RR:1.25、p=0.0062) 著者らは「これまでに報告された、双極性障害の薬物療法に関する最大のレトロスペクティブ観察研究では、治療開始2ヵ月以内に患者の大部分が単独療法を終了することが示唆されている。精神医学的入院リスクは、各薬剤間で約2倍の変化が認められた。本データでは、短期間の双極性障害の管理において、リチウムと気分安定薬の使用を支持している。また、ドパミン作動薬であるアリピプラゾールおよびbupropionは、各クラスの他剤よりも良好なアウトカムを示した。抗うつ薬のアウトカムに関しては、ベースライン時の気分の極性により異なる可能性があり、さらなる調査が必要である」としている。■関連記事双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか

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【JSMO2018みどころ】免疫療法とがんゲノム医療を中心に

 2018年7月19日(木)から3日間にわたって、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。本稿では、「がんゲノム医療」「がん免疫療法」の注目演題をセミナーでの演者のコメントとともに紹介する。 ■がんゲノム医療 西尾 和人氏(近畿大学医学部ゲノム生物学教室 教授)が登壇。「ゲノム医療の実装に向けた体制整備が急ピッチで進む中で、既存の枠組みを超えた取り組みが必要となる」と話し、本学術集会のメインテーマ“Beyond Borders -Nation, Organ, Profession-”をキーワードに注目演題を紹介した。[がんゲノム医療の注目演題]ASCO/JSMO合同シンポジウム「Precision medicine: current status and future perspectives」 日時:7月19日(木)14:30~16:00 場所:Room 9(神戸ポートピアホテル本館 B1F 偕楽)「ASCO PresidentによるAJS-1 では、“22%の奇跡は増えるか”がキーワード。続いてのAJS-2では、JCO Precision Oncologyのチーフエディターが次世代のリスク評価と治療へのアプローチについて講演予定」合同シンポジウム1「がんゲノム医療」(日本癌学会/日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会) 日時:7月19日(木)9:00~11:00 場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)「次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析システムの規制(JS1-1)や、NCCパネル検査の実装(JS1-3)、NGS検査ガイダンスの整備と海外ガイダンスとの比較(JS1-5)など、本邦における実装に向けた各取り組みが紹介される」合同シンポジウム3 「Precision medicine時代におけるがん薬物療法と放射線療法:現状と今後の戦略」(日本放射線腫瘍学会/日本臨床腫瘍学会) 日時:7月19日(木)12:30~14:30 場所:Room 6(神戸国際展示場 2 号館 3F 3A会議室)「放射線治療におけるがんゲノム解析を用いたプレシジョンメディシン(JS3-5)は、ゲノム医療が治療モダリティを超えるかという点からも注目される」シンポジウム 11「リキッドバイオプシー」 日時:7月20日(金)8:30~10:30 場所:Room 2(神戸国際展示場 2 号館 1F コンベンションホール南)「低侵襲で繰り返しの検査が可能となれば、治療しながら同時進行で後治療を決めていくことが標準的になるかもしれない。Exosome(SY11-1)やCAPP seq(SY11-4)など、新しい技術の臨床応用に向けた研究が紹介される」「病理学(特別講演2)、大腸がん(IS4)、婦人科腫瘍(IS6)、肺がん(IS10)と各領域のセッションでもゲノム医療が取り上げられる」特別講演 2 日時:7月19日(木)12:30~14:10 場所:Room 11(神戸国際会議場 3F 国際会議室) SL2-1 病理診断における人工知能の可能性 SL2-2 医療におけるAIの可能性International Symposium 4「大腸癌のmolecular subtype と新規コンパニオン診断薬の可能性」 日時:7月20日(金)8:30~10:00 場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)International Symposium 6「Future Perspectives of PARP inhibitor」 日時:7月20日(金)8:30~10:30 場所:Room 9(神戸ポートピアホテル本館 B1F 偕楽)International Symposium 10「Future perspectives of treatment for NSCLC」 日時:7月21日(土)11:00~12:30 場所:Room 8(神戸ポートピアホテル本館 B1F 偕楽)「“職種を超えた取り組み”という観点ではSY 4、ALL JAPANでの体制整備についてはSY 10で、遺伝性腫瘍の専門家とオンコロジストがどのように協業していくかについては、SY 29で議論される予定」シンポジウム 4「がんプロフェッショナル養成プランにおけるゲノム医療教育の推進」 日時:7月19日(木)14:30~16:00 場所:Room 3(神戸国際展示場 1 号館 2F Hall A)シンポジウム 10「日本におけるがんゲノム医療の展開」 日時:7月20日(金)14:50~16:50 場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)シンポジウム 29「遺伝性がんへの取り組み」 日時:7月21日(土)10:30~12:30 場所:Room 9(神戸ポートピアホテル本館 B1F 偕楽)■がん免疫療法 田中 謙太郎氏(九州大学病院胸部疾患研究施設 助教)が登壇し、「2018年5月現在、抗PD-1抗体は6つのがん腫(悪性黒色腫、非小細胞肺がん、胃がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頚部がん)で、抗PD-L1抗体は2つのがん腫(非小細胞肺がん、メルケル細胞がん)で、抗CTLA-4抗体と抗CTLA-4抗体/抗PD-1抗体併用は悪性黒色腫で適応となっており、免疫チェックポイント阻害薬は、多がん腫におけるキードラックとしての地位を確立しつつある。新規併用療法の開発や治療戦略についての臓器別の講演のほか、副作用管理に関するシンポジウムに注目いただきたい」と話した。[がん免疫療法の注目演題]合同シンポジウム3 「Precision medicine時代におけるがん薬物療法と放射線療法:現状と今後の戦略」(日本放射線腫瘍学会/日本臨床腫瘍学会) 日時:7月19日(木)12:30~14:30 場所:Room 6(神戸国際展示場 2 号館 3F 3A会議室) JS3-1 局所進行非小細胞肺癌に対する免疫チェックポイント阻害剤への期待 JS3-2 抗PD-1/PD-L1抗体治療と放射線治療の併用療法の確立を目指した生物学的研究「根治にむけた併用の可能性が、臨床試験結果と基礎的研究から論じられる予定」シンポジウム 23「免疫チェックポイント阻害剤の副作用とその対策」 日時:7月21日(土)14:40~16:40 場所:Room 2(神戸国際展示場 2 号館 1F コンベンションホール南)「免疫関連有害事象の管理について、最新の知見が紹介される」「腎がん(SY7-1)、悪性黒色腫(SY7-4)、頭頚部がん(ISY5-2)、悪性リンパ腫(SY15-1)、肺がん(ISY7-4)の各臓器ごとに、最適化された治療戦略についての講演が予定されている」シンポジウム7「メラノーマおよび腎癌に対する免疫療法および標的療法:治療戦略上の類似点と相違点」 日時:7月19日(木)14:30~16:00 場所:Room 6(神戸国際展示場 2 号館 3F 3A 会議室) SY7-1 腎がんに対する免疫治療:メラノーマとの相違点 SY7-4 進行期悪性黒色腫の全身療法:現状と今後の展開International Symposium 5「頭頸部がんに対する免疫療法」 日時:7月20日(金)8:30~10:30 場所:Room 5(神戸国際展示場 2 号館 2F 2A 会議室) ISY5-2 Current Status of Immune Check Point Inhibitor for Recurrent or Metastatic Head and Neck Cancerシンポジウム 15「造血器腫瘍に対する治療概念の進化」 日時:7月20日(金)8:30~10:30 場所:Room 6(神戸国際展示場 2 号館 3F 3A 会議室) SY15-1 悪性リンパ腫の治療:進歩と展望International Symposium 7「肺がん治療における免疫チェックポイント阻害剤の最新 UPDATE」 日時:7月21日(土)8:30~10:30 場所:Room 2(神戸国際展示場 2 号館 1F コンベンションホール南) ISY7-4 Driver Oncogene陽性肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の可能性【第16回日本臨床腫瘍学会学術集会】 会期:2018年7月19日(木)~21日(土) 会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場・神戸ポートピアホテル 会長:中西 洋一(九州大学胸部疾患研究施設 教授) テーマ:Beyond Borders -Nation, Organ, Profession-第16回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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実臨床で安全性が高いDOACは?/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らは、プライマリケアにおいて、直接経口抗凝固薬(DOAC)と出血・虚血性脳卒中・静脈血栓塞栓症・全死因死亡リスクの関連を、ワルファリンと比較検証する前向きコホート研究を行い、概してアピキサバンが最も安全で大出血・頭蓋内出血・消化管出血のリスクが減少したのに対して、リバーロキサバンと低用量アピキサバンは全死因死亡リスクの上昇と関連していたことを明らかにした。これまで、無作為化比較試験でワルファリンに対するDOACの非劣性が示されていたが、実臨床での観察試験はほとんどが心房細動患者を対象としていた。BMJ誌2018年7月4日号掲載の報告。DOAC 3剤とワルファリンの出血リスクを英国プライマリケアベースで比較 研究グループは、QResearchおよびClinical Practice Research Datalink(CPRD)の2つのデータベースから、それぞれ2011年1月〜2016年10月および3月に、英国のプライマリケアにおいてワルファリン(13万2,231例)、ダビガトラン(7,744例)、リバーロキサバン(3万7,863例)、アピキサバン(1万8,223例)を新規に処方された患者(新規処方前12ヶ月以内に抗凝固薬を処方されたことのある患者は除外)を特定し、心房細動患者と非心房細動患者に分け分析した。 主要評価項目は、入院や死亡に至った大出血。副次評価項目は虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症および全死亡であった。DOACではアピキサバンが最も安全 心房細動患者(10万3,270例)では、ワルファリンと比較してアピキサバンが大出血(補正後ハザード比[aHR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.54~0.79)および頭蓋内出血(0.40、0.25~0.64)のリスク減少と関連していることが、また、ダビガトランは頭蓋内出血(0.45、0.26~0.77)のリスク減少と関連していることが認められた。一方、全死因死亡リスクの上昇が、リバーロキサバン内服患者(1.19、95%CI:1.09~1.29)、および低用量アピキサバン内服患者(1.27、95%CI:1.12~1.45)で確認された。 非心房細動患者(9万2,791例)では、ワルファリンと比較してアピキサバンが大出血(aHR:0.60、95%CI:0.46~0.79)、全消化管出血(0.55、0.37~0.83)、上部消化管出血(0.55、0.36~0.83)のリスク減少と関連していた。また、リバーロキサバンは、頭蓋内出血のリスク減少と関連がみられた(0.54、0.35~0.82)。一方、全死因死亡リスクの上昇が、リバーロキサバン内服患者(1.51、1.38~1.66)および低用量アピキサバン内服患者(1.34、1.13~1.58)において確認された。 なお著者は、英国のプライマリケアに限定されたものであり、アドヒアランスや処方の適応症に関する情報が不足していることなどを研究の限界として挙げている。

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重度血小板数低下の妊婦は妊娠合併症に注意/NEJM

 米国・オクラホマ大学健康科学センターのJessica A. Reese氏らが、妊婦約7,400例の血小板数を解析した結果、調査したすべての妊婦において、妊娠経過中に平均血小板数は減少し、この減少は妊娠初期(妊娠0~13週)に始まっていたが、妊娠関連合併症を有する妊婦でさえ重度の血小板減少はまれであることが明らかになったという。著者は、「血小板数が10万/mm3未満の妊婦では、妊娠または妊娠合併症以外の原因を調べなければならない」と提言している。合併症のない妊婦で血小板数が15万/mm3未満の場合、他の原因が確認されなければ妊娠性血小板減少症とされ、妊娠中毒症などの妊娠関連合併症を有する妊婦では、血小板数がさらに低下する可能性があるが、妊娠中の血小板減少症の発現頻度や重症度については明らかになっていなかった。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。妊婦約7,400例について妊娠中の血小板数の推移を調査 研究グループは、2011~14年にオクラホマ大学医療センターで出産した女性を対象に、妊娠経過中の血小板数を評価した。また、これら妊婦の血小板数を、1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した非妊娠女性と比較した。 研究期間中の出産は計1万5,723件で、このうち7,351例の妊婦が解析対象となった。4,568例は合併症がなく、2,586例は妊娠関連合併症を有し、197例は血小板減少症に関連する疾患の既往歴があった。妊娠初期から血小板数は減少、ただし10万/mm3未満はまれ 合併症のない妊婦において、妊娠初期(平均妊娠8.7週)の平均血小板数は25.1万/mm3であり、非妊娠女性(8,885例、平均血小板数27.3万/mm3)より低かった(p<0.001)。出産時には、合併症のない妊婦の9.9%が15万/mm3未満で、合併症のない妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm3未満になった妊婦は、わずか45例(1.0%)であった。 血小板数が8万/mm3未満の合併症のない妊婦12例のうち、カルテの再調査で血小板減少の他の原因がないと確認されたのは5例(0.1%、血小板数:範囲6.2万~7.8万/mm3、中央値6.5万/mm3)のみであった。 出産時の血小板数が15万/mm3未満だったのは、妊娠関連合併症のある妊婦が、合併症のない妊婦よりも多かった(11.9% vs.9.9%、p=0.01)。妊娠関連合併症のある妊婦において、妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm3未満となったのは59例(2.3%)で、31例(1.2%)が8万/mm3未満であった。

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第3回 乳がん術後のタモキシフェンが10年継続となった根拠【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗エストロゲン薬であるタモキシフェンは、エストロゲンを取り込んで増殖するエストロゲン受容体陽性乳がんに有効性が高く、乳がん術後の再発予防の目的でよく処方されます。術後補助療法として、タモキシフェンを5年間投与し、場合によってはさらに5年継続して計10年間投与するという治療選択肢がNCCNやASCOの診療ガイドライン、日本乳癌学会による「乳癌診療ガイドライン」に2014年以降記載されるようになりました。薬局においても、「タモキシフェンは5年よりも10年継続したほうが乳がんの再発率が低いので、10年間服用すると医師に説明を受けた」とおっしゃる患者さんに会った経験が何度もあります。薬剤の服用を5年間延長するということは、服用の手間や経済的負担が少なからず増えますから、そのメリットとデメリットについて相談を受けた経験のある薬剤師さんもいるのではないでしょうか。そこで今回は、なぜタモキシフェンを10年継続するという選択肢が診療ガイドラインに提示されるようになったのか、その背景にある試験を2つ紹介します。1つ目が、2013年にLancet誌に掲載された通称ATLAS試験です。Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.これは、すでに5年間タモキシフェン20mg/日によるホルモン療法を完了した早期乳がんの女性患者1万2,894例を、追加でさらに5年間投与した10年継続群と5年時点で中止した群にランダムに割り付けて比較検討した試験です。結論としては、10年継続群は中止群と比べて、エストロゲン受容体陽性の早期乳がん患者の死亡率および再発率を有意に低下させました。組み入れ患者1万2,894例の内訳を少し詳しく見ると、6,846例(53%)はエストロゲン受容体陽性、1,248例(10%)はエストロゲン受容体陰性、4,800例(37%)は陰性か陽性か不明とされており、治療継続に難ありと見られた場合は除外されています。患者の91%が診断から10年のフォローアップを、77%が15年のフォローアップを完遂しています。エストロゲン受容体陽性の患者に関しての結果は下表のとおりです。期間別に見ると、乳がんによる死亡のリスク比は、5~9年では0.97(95%信頼区間:0.79~1.18)、10年目以降では0.71(95%信頼区間:0.58~0.88)、再発率は5~9年では0.90(95%信頼区間:0.79~1.02)、10年目以降では0.75(95%信頼区間:0.62~0.90)と、有害アウトカムの抑制効果は10年目以降のほうが大きい傾向が見られました。なお、エストロゲン受容体陰性と受容体不明の患者における乳がんアウトカムに有意な差は見いだされませんでした。エストロゲン受容体ステータスと関係なくすべての被験者における副作用リスクの解析では、10年継続で子宮内膜がん(リスク比:1.74、95%信頼区間:1.30~2.34)と肺塞栓症(リスク比:1.87、95%信頼区間:1.13~3.07)の発生率が増加したものの、虚血性心疾患(リスク比:0.76、95%信頼区間:0.60~0.95)および対側乳がん(リスク比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)は減少傾向にありました。「長く飲んだほうがいいと言っても、10年間服用しても、5年間服用したときより死亡や再発が2%程度減るだけか」と思われる方もいるかもしれませんが、10年続けることで約40~50人に1人が再発ないし死亡を免れるのですから少なからずインパクトがあります。一方で長く続けると、肺塞栓などの血栓症や子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜がんなどの発症率がやや増えることも示唆されているので注意も必要です。10年継続に有意な再発・死亡抑制効果2つ目の試験として、ATLASと並行して行われていたaTTom試験を紹介します。こちらも、基本的なデザインは似通っており、タモキシフェンによるホルモン療法を5年間受けた早期乳がん患者(6,953例)を、さらに5年間投与した10年継続群(3,468例)と5年時点で中止した群(3,485例)にランダムに割り付け、乳がんの再発率や全死亡を比較したものです。乳がんの再発は、中止群で3,468例中672例(19.3%)、10年継続群で3,485例中580例(16.7%)と2.6%の減少(p=0.003)で、これはタモキシフェン服用期間を5年から10年に延ばすと、およそ38例に1例で乳がん再発予防の恩恵を受けられるだろうという計算になります。一方で、子宮内膜がんによる死亡は中止群で20例(0.6%)、10年継続群で37例(1.1%)と服用期間が延長するとやや増える傾向にあります。10年継続したほうが良好なアウトカムであったという大まかな結果の方向性は、ATLASとそう大きくずれはなく、こうした論文が2本立て続けに出たためか、ASCOのガイドラインは2014年に改訂されています。タモキシフェンを長期服用する場合、ホットフラッシュなどの副作用はある程度認容する必要がありますし、上記で紹介してきた副作用の懸念もあることから、血栓塞栓症の初期症状である痺れ、息切れ、胸痛、めまいや、子宮系の副作用徴候である不正出血などがみられたら受診を促すということも考慮しておくことが大切です。また、何らかの理由でタモキシフェンが使えない場合の選択肢も聞かれたら答えられるとよいかもしれません。いずれにせよ、副作用リスクとベネフィットを十分理解しておきたいところです。1)Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial.Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816.2)aTTom: Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years in 6,953 women with early breast cancer.Gray RG, et al. J Clin Oncol. 2013;31:suppl 5.3)ASCO Guideline Update Recommends Tamoxifen for Up to 10 Years for Women With Non-Metastatic Hormone Receptor Positive Breast Cancer4)NCCNガイドライン5)日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として、タモキシフェンおよびLH-RH アゴニストは勧められるか(薬物療法・初期治療・ID10050)

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統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査

 最近の報告によると、統合失調症患者と一般人口の死亡率の格差は拡大していることが示唆されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のA. Tanskanen氏らは、1984~2014年のフィンランドにおける統合失調症患者と一般人口の死亡率、死亡年齢、死因について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 フィンランドにおけるすべての統合失調症患者は、病院退院記録から特定した。フィンランドの統計データに基づき、1984~2014年の16歳以上のフィンランド人との比較を行った。死亡年齢および標準化死亡比(SMR:standardized mortality ratio)は、フォローアップ年ごとに算出した。統合失調症患者の寿命は一般人口とほぼ同様に改善 統合失調症患者と一般人口の死亡率についての主な調査結果は以下のとおり。・1984年と2014年の平均死亡年齢は、統合失調症患者では57.6歳から70.1歳に上昇し、一般人口では70.9歳から77.5歳に上昇した。・フォローアップ期間中の全死因のSMRは、変動がなかった(1984年:2.6、2014年:2.7)。・主要な変化は、自殺のSMRで認められ、1984年の11.0から2014年の6.6に減少していた(-40%)。・心血管およびがんのSMRに増加傾向が認められた。 著者らは「統合失調症患者の寿命は、一般人口とほぼ同様に改善が認められており、自殺率に関しては大幅な低下が認められた。しかし、一般人口と比較し、いまだ死亡率の格差が残存している」としている。

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CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。主観的評価と代謝マーカー測定値の予測分類を比較 検討は、25病院(カナダ5、英国7、オーストラリア10、ニュージーランド3)で、心臓以外の大手術を予定しており、1つ以上の心臓合併症リスク(心不全、脳卒中、糖尿病の既往など)または冠動脈疾患があるとみなされた40歳以上の成人患者を対象に行われた。 被験者の運動耐容能は、術前評価クリニックで信頼できる麻酔科医によって、代謝当量(metabolic equivalents)の単位で評価・分類された(<4:不良、4~10:中等度、>10:良好)。また、質問票に基づくDASIスコア、CPETでの最大酸素摂取量、血液検査による血漿NT pro-BNP値の測定も行われた。手術後には、術後3日間または退院までの連日、心電図および血液検査によるトロポニン値とクレアチニン値の測定が行われた。 主要アウトカムは、術後30日間の死亡または心筋梗塞の発生で、CPETと手術の両方を受けた全患者について評価した。予後の精度はロジスティック回帰法、ROC曲線、およびネットリスク再分類を用いて評価した。DASIスコアの評価が有用 2013年3月1日~2016年3月25日に、CPETと手術を受けた1,401例が試験に包含された。年齢中央値は65歳(IQR:57~72)、女性は39%、91%がAmerican Society of Anesthesiologists Physical Status(ASA-PS)分類でClass 2または3であり、大半が主要な腹部、骨盤領域または整形外科の手術を受けた患者であった。 術後30日間に死亡または心筋梗塞を発症した患者は28/1,401例(2%)であった。 CPETで運動耐容能が不良(代謝当量<4)と識別された患者について、主観的評価による識別の感度は19.2%(95%信頼区間[CI]:14.2~25)、特異度は94.7%(93.2~95.9)であった。 1,401例のうち、DASIスコアの評価を完了していたのは1,396例(99.6%)であったが、同スコアのみが、主要アウトカムを有意に予測した(補正後オッズ比:0.96、95%CI:0.83~0.99、p=0.03)。 著者は、「臨床医にとって心臓に関するリスクアセスメントでは、DASIなどが客観的指標として代替できるだろう」と述べている。

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既治療の進行肝細胞がん、cabozantinibがOS、PFSを延長/NEJM

 ソラフェニブ既治療の進行肝細胞がんの患者において、cabozantinibによる治療はプラセボと比べて、全生存期間および無増悪生存期間の延長が認められたことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのGhassan K. Abou-Alfa氏らによる第III相無作為化二重盲検試験の結果、示された。ただし有害事象の発現頻度は、cabozantinib群がプラセボ群の約2倍にみられた。cabozantinibは、進行肝細胞がんの標準初回治療であるソラフェニブに対する耐性発現に関与するチロシンキナーゼ(血管内皮増殖因子受容体1、2、3、MET、AXLなど)を阻害する。研究グループは、既治療の進行肝細胞がん患者を対象に、cabozantinibとプラセボを比較した。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。ソラフェニブ既治療の進行肝細胞がん患者についてプラセボ対照試験 試験は19ヵ国95施設で行われた。試験適格条件は、ソラフェニブによる治療歴を有し、肝細胞がんに対する1つ以上の全身療法後に進行が認められる患者で、進行肝細胞がんに対する全身療法は2つまでとした。条件を満たした患者をcabozantinib(60mg/日)または適合プラセボを投与する群に無作為に2対1の割合で割り付け追跡評価した。 主要評価項目は、全生存期間(OS)。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)および客観的奏効率とした。グレードの高い有害事象の発現頻度が約2倍 2013年9月~2017年9月に773例が無作為化を受け、事前に計画されていた第2回の中間解析時点(2017年6月1日)では707例(cabozantinib群:470例、プラセボ群:237例)が無作為化された治療を受けていた(intention-to-treat集団)。 同集団において、cabozantinib群のプラセボ群に対するOSの有意な延長が認められた。OS中央値は、cabozantinib群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月であった(死亡に関するハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.63~0.92、p=0.005)。 PFS中央値は、cabozantinib群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月であった(病勢進行もしくは死亡に関するHR:0.44、95%CI:0.36~0.52、p<0.001)。また、客観的奏効率はそれぞれ4%、1%未満であった(p=0.009)。 Grade3/4の有害事象の発現頻度は、cabozantinib群68%、プラセボ群36%であった。共通して最もよくみられたグレードの高い有害事象は、手掌・足底発赤知覚不全(カボザンチニブ群17% vs.プラセボ群0%)、高血圧(16% vs.2%)、AST値上昇(12% vs.7%)、疲労(10% vs.4%)、下痢(10% vs.2%)であった。

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忙しい医師向けおススメ情報収集法【医師のためのお金の話】第10回

忙しい医師向けおススメ情報収集法こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回まで、資産形成の総論、金融資産投資、不動産投資を詳述してきました。資産形成の概要を体感いただいたと思いますが、ここから先へ歩を進めるためにも、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、情報収集についてです。資産形成で最も多くの時間を費やすのは情報収集です。2018年5月25日にCareNet.comで公開された会員アンケート調査報告で、先生方の多くが「資産形成に関する情報収集をしていない」または「興味がない」ということがわかりました。正直言って、私はこの結果に衝撃を受けています。確かに日々の仕事が忙しいため、資産形成の情報収集をする余裕はないかもしれません。しかし、資産形成は、健康・家族・仕事に次いで大事なことです。その資産形成についての情報収集をほとんど行っていない! このことは、有意義な人生を過ごすうえで、非常に問題があると思います。それでは、情報収集するにあたって、何かコツはないのか? 参考までに、私がどのような方法で資産形成のための情報を収集しているのかをご紹介したいと思います。最初の段階は書籍から情報収集体系立った知識は、基本的に書籍から得ています。とくに何も知らない状態からある程度のレベルにまで自分を引き上げる際には、大量の書籍を読破することで知識を習得します。そして自分の頭の中で何となく形になってきたと思ったら、ネット上で情報のアップデートを行っています。たとえば、レンタルバーを立ち上げた際には、バーやカフェ関係の書籍を乱読したものです。具体的には、「バーのカウンターの高さは1,050mmがベスト(!)」などの知識は書籍を通じて習得しました。方法1:大量の読書で新規分野での知識を体系化テレビや新聞は最初から除外前述のように、基本的な知識を習得すると、あとは情報をアップデートすることで、その分野のレベルを維持します。その際、時間をできるだけかけないことがポイントです。基本的には情報を得る密度と鮮度を重要視しているため、テレビや新聞は最初から除外しています。時間が無駄なので、ネットサーフィンすることもありません。 また、キュレーションサービスは、情報に偏りができるので利用しないようにしています。方法2:インターネットで既習得分野の情報をアップデート日経や経済系ブログで情報のアップデート経済関係の知識のアップデートは、日本経済新聞(日経)、Bloombergなどのヘッドラインニュースから仕入れています。だいたいの目安は1日10分程度です。株価指数や為替相場などの確認は、ネット証券を利用して5分程度で済ませます。毎朝、Yahoo Finance USで前日のニューヨーク市場のサマリーを確認しています。結果確認だけなら日経やネット証券で十分ですが、市場の雰囲気を感じるためには、Yahoo Finance USのほうが望ましいでしょう。あと、経済系のお気に入りブログ数本を10分程度で閲覧しています。不動産に関しては、自分の投資対象エリアの相場観維持のために、週末に不動産の折り込みチラシを5分程度で流し読みしています。月に1度程度は、不動産情報サイトの健美家やSUUMOで自分のエリア内を検索します。SUUMOでは、主に「中古一戸建て」を検索しており、マンションや新築一戸建ては、はなから無視です。なお、チラシ、健美家、SUUMOなどに記載されている価格は、最も高い価格だと考えることが重要です。このようにして投資対象エリアの相場観を維持しています。方法3:日経、Bloomberg、Yahoo Finance US、健美家、SUUMO、経済系ブログをチェック狭義の教養を高める雑多な知識は、新規ビジネスのヒントを得ることができるので重視しています。私は週刊ダイヤモンドを定期購読しており、興味がない特集であっても、必ず毎週読破しています。楽天マガジンなどの雑誌読み放題サービスも有用ですが、読まなければならないという強制力が働きにくいことがネックだと思います。同様の目的で、ときどき書店を散策して、さまざまなジャンルの書籍に接することをお勧めします。

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分子標的薬治療の時代に、StageIV腎がんの腫瘍縮小腎摘出術は必要か/ASCO2018

 過去20年の間、腫瘍縮小腎摘出術(cytoreductive nephrectomy、以下 腎摘出術)は転移のある腎細胞がん(mRCC)の標準治療であった。最近、mRCCにおける多くの分子標的薬治療の有効性が示されているが、腎摘出術と直接比較した試験はない。一方、後ろ向き研究やメタ解析では、腎摘出術のベネフィットが示唆されている。 そこで、フランスParis Descartes UniversityのMéjean氏らは、分子標的薬治療の時代において、腫瘍縮小腎摘出術はいまだに必要性があるかを検証する、多施設共同非盲検ランダム化第III相非劣性試験(CARMENA試験)を行った。 対象は、生検により淡明細胞型RCCが確証され、PS0~1、腎摘出術が施行可能であり、脳転移がないか、治療によりコントロールされており、RCCへの全身治療が行われていない患者であった。被験者は、腎摘出術施行後3~6週以内にスニチニブ(50mg、1日1回、4週投与後2週休薬)の投与を開始する群、またはスニチニブ(50mg、1日1回、4週投与後2週休薬)を投与する群にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は全生存(OS)、副次評価項目は無増悪生存(PFS)、奏効率(ORR)、臨床的有用性率(CBR)、安全性であった。非劣性デザインとし、ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限値が≦1.20の場合に非劣性と判定することとした。 2009年9月〜2017年9月に450例(ITT集団)が登録され、腎摘出術群に226例、スニチニブ単独群に224例が割り付けられた。安全性解析は、それぞれ186例、213例で行われた。2回目の中間解析(データカットオフ日:2017年9月9日、イベント発生数:326件、追跡期間中央値:50.9ヵ月)のOSの結果に基づき、運営委員会は試験の中止を決定し、この中間解析を最終結果とした。 ベースラインの年齢中央値は、腎摘出術群が63歳、スニチニブ単独群は62歳であり、男性が両群とも75%を占めた。MSKCCスコアの中リスクは、腎摘出術群が56%、スニチニブ単独群は59%、高リスクはそれぞれ44%、41%であり、転移部位は、肺がそれぞれ79%、73%、骨が36%、37%、リンパ節が35%、39%だった。 1年OS率は、腎摘出術群が55.2%、スニチニブ単独群は64.4%、2年OS率はそれぞれ35.0%、42.6%、3年OS率は25.9%、29.1%であり、OS期間中央値は13.9ヵ月、18.4ヵ月と、いずれもスニチニブ単独群のほうが良好な傾向を認めた(HR:0.89、95%CI:0.71〜1.10)。95%CIの上限値は≦1.20を満たしたことから、スニチニブ単独群の腎摘出術群に対する非劣性が確定された。MSKCCスコアの中リスク例(19.0 vs.23.4ヵ月、HR:0.92、95%CI:0.6〜1.24)および高リスク例(10.2 vs.13.3ヵ月、0.86、0.62〜1.17)の解析でも、スニチニブ単独群は非劣性を示した。 PFS期間中央値は、腎摘出術群が7.2ヵ月、スニチニブ単独群は8.3ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.67〜1.00)であった。完全奏効(CR)が腎摘出術群の1例(0.6%)に認められ、部分奏効(PR)は腎摘出術群が50例(28%)、スニチニブ単独群は62例(30%)、安定(SD)はそれぞれ64例(36%)、97例(47%)であり、ORR(CR+PR)は腎摘出術群が27.4%、スニチニブ単独群は29.1%であった。また、病勢コントロール率(DCR、CR+PR+SD)はそれぞれ61.8%、74.6%であった。さらに、CBR(12週以上持続する病勢コントロール)は、腎摘出術群が36.6%と、スニチニブ単独群の47.9%に比べ有意に低かった(p=0.022)。 腎摘出術群では、114例(58%)が開胸手術を受けた。術後1ヵ月以内の死亡が4例(2%)、術後合併症は82例(39%)に認められた。スニチニブの投与期間中央値は、腎摘出術群が6.7ヵ月、スニチニブ単独群は8.5ヵ月であり、減量はそれぞれ31%、30%に行われた。Grade 3/4の有害事象は腎摘出術群の33%(無力症:9%、手足症候群:4%、貧血:3%、好中球減少:3%)、スニチニブ単独群の43%(10%、6%、5%、5%、腎/尿路障害:4%)に発現した。 スニチニブ単独群の38例(17.0%)で、原発巣の緊急治療(7例)として、または転移巣のCR/near CRに対して、2次的な腎摘出術が行われた。ランダム割り付けから手術までの期間中央値は11.1ヵ月で、31.1%がスニチニブ投与を再開した。 Méjean氏は、「腫瘍縮小腎摘出術は、少なくとも薬物療法が適用となる場合には、mRCCの標準治療とみなすべきではない」と結論した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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乾癬患者に推奨される食事への介入とは

 乾癬は慢性炎症性皮膚疾患で、有病率やQOLに重大な影響を及ぼす。米国・南カリフォルニア大学のAdam R. Ford氏らは、乾癬患者における食事への介入が、重症化を抑制するのに役立つかどうかを明らかにすることは重要であるとして、システマティックレビューにて検討を行った。その結果、重症化を抑えるための食事の介入は、標準的な薬物療法を補うことができるとして、成人の乾癬/乾癬性関節炎患者に対する食事勧告をまとめた。このエビデンスに基づく食事勧告は、米国国立乾癬財団(NPF)の医療委員会(Medical Board)に採択され、著者は「成人の乾癬患者における食事介入の有用性について臨床医の一助となるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月20日号掲載の報告。乾癬に対するエビデンスに基づいた食事勧告を作成 NPFの医療委員会において、成人の乾癬/乾癬性関節炎に対するエビデンスに基づいた食事勧告を作成することを目的に、研究グループは乾癬に対する食事の影響を評価した既存のシステマティックレビューと2014年1月1日~2017年8月31日にMEDLINEデータベースに追加された原著から文献の抽出を行った。乾癬または乾癬性関節炎患者を対象とした観察研究および介入研究を適格とし、研究の質の評価には、それぞれ、Newcastle-Ottawa scaleおよびCochrane Risk of Bias Toolを使用した。 乾癬に対する食事の影響を評価したレビューの主な結果は以下のとおり。・55研究(乾癬患者4,534例を含む計7万7,557例)がシステマティックレビューに組み込まれた・文献に基づき、過体重および肥満の乾癬患者には、低カロリー食による減量を強く推奨する・血清マーカーにおいてグルテン感受性陽性の乾癬患者には、グルテンフリー食のみを弱く推奨する・質の低いデータによると、食物の選択、栄養および食事の習慣は、乾癬に影響を及ぼす可能性がある・過体重および肥満の乾癬性関節炎患者には、ビタミンDの補給および低カロリー食による減量を弱く推奨する・食事への介入は常に、乾癬および乾癬性関節炎の標準的な薬物治療と併せて用いるべきである

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赤ワインの認知症リスクへの影響、男女で逆!?

 赤ワインの摂取頻度が高いと、男性ではアルツハイマー型認知症(AD)リスクが低下するが、女性では逆にリスクが上昇することが、スイス・チューリッヒ大学のKarina Fischer氏らの研究で示唆された。Nutrients誌2018年6月号に掲載。 単一の“認知的健康”食品が認知機能低下を防げるかどうかのエビデンスは限られている。そこで著者らは、赤ワイン、白ワイン、コーヒー、緑茶、オリーブオイル、新鮮な魚、果物・野菜、赤身肉・ソーセージについて、単一食物摂取調査票で摂取頻度を評価し、AD発症および言語記憶の低下との関連を調査した。 対象は、German Study on Aging, Cognition and Dementia in Primary Care Patients(AgeCoDe)コホートの75歳以上の2,622人で、10年にわたって定期的にフォローした(418人がAD発症)。可能な効果修飾因子として性別およびアポリポ蛋白E4(APOE ε4)遺伝子型を考慮し、反復測定と生存分析の多変量補正ジョイントモデルを使用した。 その結果、赤ワインのみが摂取頻度が高いとAD発症率が低かった(HR:0.92、p=0.045)。興味深いことに、これは男性(HR:0.82、p<0.001)のみ当てはまり、女性では赤ワイン摂取頻度が高いとAD発症率が高く(HR:1.15、p=0.044)、白ワイン摂取頻度が高いと、時間とともに顕著に記憶が低下した(HR:-0.13、p=0.052)。 本研究では、赤ワインにおいて男性のみADリスクが低下したが、それ以外の単一食品において認知機能低下に保護的であるというエビデンスは見いだせなかった。なお、女性は飲酒により有害な影響を受けやすい可能性が示唆された。

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素因遺伝子パネルと膵がんリスクの関連(解説:上村直実氏)-886

 わが国の死因順位をみると悪性新生物による割合が増加し続けているが、最近、肝炎ウイルスやピロリ菌による感染を基盤に発症することが判明した肝臓がんや胃がんによる死亡者数が激減しており、さらに、増加し続けてきた肺がんと大腸がんによる死亡者数もついに低下してきた。このような状況の中、毎年のように死亡者数が増加しているのが膵がんである。 膵がんは、発見された際に手術可能な症例が約30%であり、5年生存率も10%以下で予後の悪いがんの代表とされており、早期に発見できる方法が世界中で模索されている。今回、血液で測定可能ながん素因遺伝子パネルを用いて膵がんリスクを検討した研究結果がJAMA誌に掲載された。 3,030例の膵がん症例と対照5万3,105症例を対象として、素因遺伝子の生殖細胞系列変異の頻度を比較した結果、対照と比較して膵がんと関連すると考えられる6つの素因遺伝子変異(Smad4、p53、ATM、BRCA1、BRCA2、MLH1)が同定され、この変異が全膵がん患者の5.5%にみられたことから膵がんの中には遺伝的な素因を有する患者が少なくないことが示唆される。また、がんの既往歴や乳がんの家族歴がこれらの遺伝子変異と関連性を認めていることも、臨床現場で留意すべき点である。 一方、アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除で注目された遺伝性乳がんの原因であるBRCA変異が陽性の場合はプラチナ製剤やPARP阻害薬が奏効する可能性が高く、今後、治療法の選択にも遺伝子変異のチェックをしたほうがよい時代となることが予感された。 近い将来、実際の臨床現場において血液検査で種々の素因遺伝子パネルを用いたリスク分類による膵がんの早期発見が可能となることが期待されるが、膵がんの発症は遺伝的要因と環境要因の相互作用に基づく症例が大部分である。したがって、膵がんに関しては動物実験や腫瘍組織の検討から局所における遺伝子異常の解析が進んでいること、腹部超音波や内視鏡検査の精度も向上していることから、今後、素因遺伝子パネルとともに新たな早期発見方法が期待される。

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