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早期乳がんの全乳房5分割照射、10年後の結果(FAST)/JCO

 早期乳がんに対する術後寡分割放射線療法において、従来の50Gy/25回/5週レジメンの晩期有害事象の軽減の観点から、総線量を減らした週1回5分割レジメンを検討した多施設無作為化第III相FAST試験。今回、放射線治療後5年の乳房の外観変化と10年の正常組織への影響(NTE)と腫瘍アウトカムについて、英国・University Hospitals of North Midlands NHS TrustのAdrian Murray Brunt氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月14日号に掲載。 本試験では、50歳以上の低リスク浸潤性乳がん(pT1-2 pN0)の女性を、乳房温存手術後の全乳房照射のレジメンを、50Gy/25回/5週、30Gy/5回/5週(週1回6.0Gy)、28.5Gy/5回/5週(週1回5.7Gy)の3群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、2年後と5年後の写真での乳房外観の変化、副次評価項目は医師によるNTE評価と局所腫瘍制御であった。縦断的分析によるオッズ比(OR)でレジメンを比較した。 主な結果は以下のとおり。・2004~07年に英国の放射線治療センター18施設から915例が組み入れられた。・適格患者862例中615例(71%)で5年後の写真を入手できた。・写真での外観変化について、50Gyに対するORは、30Gyで1.64(95%CI:1.08~2.49、p=0.019)、28.5Gyで1.10(95%CI:0.70~1.71、p=0.686)であった。・写真の評価項目におけるα/β推定値は2.7Gy(95%CI:1.5〜3.9 Gy)で、28Gy(95%CI:26〜30Gy)/5回は50Gy/25回と同一効果をもたらすと推定された。 ・医師評価による中程度または著しい乳房NTE(萎縮、硬結、毛細血管拡張、浮腫)について、50Gyに対するORは、30Gyで2.12(95%CI:1.55~2.89、p<0.001)、28.5Gyで1.22(95%CI:0.87~1.72、p=0.248)であった。・追跡期間中央値9.9年までに、同側乳がんが11例に発生し(50Gy:3例、30Gy:4例、28.5Gy:4例)、96例が死亡した(50Gy:30例、30Gy:33例、28.5Gy:33例)。 今回の報告において、10年時のNTE率は従来の50Gy/25回と比べて、28.5Gy/5回で有意な差はなかったが30Gy/5回では高かった。著者らは、「今回の結果により、治療後3年時に発表した、全乳房放射線療法の週1回5分割照射がNTEに関して従来のレジメンと放射線生物学的に同等であることを示した結果が確認された」と述べている。

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75歳以上のCVD1次予防にスタチン導入は有効か/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のない75歳以上の米国退役軍人(多くが白人男性の集団)では、新規スタチンの導入により、全死因死亡と心血管死のリスクが低下し、ASCVD発生のリスクも改善することが、米国・退役軍人局ボストン保健システムのAriela R. Orkaby氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年7月7日号に掲載された。ASCVDの発生率と有病率は加齢とともに上昇し、死亡、QOL低下、医療費増加の主な原因となっている。世界的なASCVD負担の大部分を高齢者が占めるにもかかわらず、予防や治療のガイドラインのエビデンスとなる臨床試験への高齢者の参加はほとんどない。また、米国では、スタチンはASCVDの1次予防の支柱となっているが、ガイドラインでは75歳以上の患者におけるスタチンの役割は、主にデータが少ないことを理由に、曖昧なままだという。75歳以上で、スタチンの役割を評価する後ろ向きコホート研究 研究グループは、75歳以上の退役軍人を対象に、死亡およびASCVDの1次予防におけるスタチンの役割を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(筆頭著者は米国国立老化研究所などの助成を受けた)。 解析には、2002~12年の期間に、ASCVDを有していなかった年齢75歳以上の患者の受診に関する退役軍人保健局(VHA)のデータを用いた。フォローアップは2016年12月31日まで継続された。 これらのデータを、メディケアやメディケイドの保険請求および薬剤データと関連付けた。対象はスタチンの新規使用患者に限定され、使用歴のある患者はすべて除外された。 Cox比例ハザードモデルを用いてスタチンの使用とアウトカムの関連を評価した。解析では、ベースラインの背景因子のバランスを取るために、傾向スコアによる重み付けを用いた。 主要アウトカムは、全死因および心血管疾患による死亡とした。副次アウトカムは、ASCVDイベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈バイパス術[CABG]/経皮的冠動脈インターベンション[PCI]による血行再建)の複合であった。心筋梗塞・虚血性脳卒中には差がない 32万6,981例(平均年齢81.1[SD 4.1]歳、97%が男性、91%が白人)が解析に含まれ、このうち試験期間中に5万7,178例(17.5%)が新たにスタチン治療を開始した。平均フォローアップ期間6.8(SD 3.9)年の時点で、全体で20万6,902例が死亡し、このうち5万3,296例が心血管疾患で死亡した。 全死因死亡の発生は、スタチン使用群が1,000人年当たり78.7件と、非使用群の98.2件に比べ有意に低かった(重み付け発生率差[IRD]/1,000人年:-19.5、95%信頼区間[CI]:-20.4~-18.5、ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.74~0.76、p<0.001)。 また、心血管疾患による死亡も、スタチン使用群が1,000人年当たり22.6件、非使用群は25.7件であり、使用群で有意に低下した(重み付けIRD/1,000人年:-3.1、95%CI:-3.6~-2.6、HR:0.80、95%CI:0.78~0.81、p<0.001)。 複合ASCVDアウトカムのイベント発生は12万3,379例で、スタチン使用群は1,000人年当たり66.3件、非使用群では70.4件と、使用群で有意に少なかった(重み付けIRD/1,000人年:-4.1、95%CI:-5.1~-3.0、HR:0.92、95%CI:0.91~0.94、p<0.001)。 複合ASCVDアウトカムのうち、心筋梗塞(2万4,951例、スタチン使用群13.2% vs.非使用群12.6%、p=0.94)および虚血性脳卒中(3万5,630例、18.4% vs.18.2%、p=0.20)の発生には両群間に差はみられなかったが、CABG/PCIによる血行再建(7万4,362例、35.2% vs.39.2%、p<0.001)の発生は、スタチン使用群で有意に少なかった。 著者は、「高齢患者のASCVDの1次予防におけるスタチン治療の役割を、より信頼性の高いものにするには、無作為化臨床試験を含め、さらなる研究を要する」としている。

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ビタミンCやカロテノイドが2型DM発症を抑制?/BMJ

 果物と野菜の摂取量の指標である血漿中のビタミンC濃度、カロテノイド濃度およびこれらを組み合わせた複合バイオマーカースコアが高いほど、2型糖尿病の発症リスクが低いことが明らかになった。英国・University of Cambridge School of Clinical MedicineのJu-Sheng Zheng氏らが、欧州8ヵ国で実施した大規模前向きケースコホート研究「EPIC-InterAct」の結果を報告した。これまで果物や野菜の摂取量と2型糖尿病のリスクとの関連に関する調査は、自己申告の食事質問票に依存しており、結果に一貫性がなく、摂取量の客観的指標によるエビデンスが不足していた。BMJ誌2020年7月8日号掲載の報告。血漿中のビタミンCおよびカロテノイド濃度と2型糖尿病発症との関連を評価 研究グループは、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)研究に参加した34万234例のうち、1991~2007年に2型糖尿病の発症が確認された9,754例と対照群1万3,662例について解析した。 主要評価項目は2型糖尿病の発症で、血漿中のビタミンC濃度、総カロテノイド濃度(α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチンの合計)、個々のカロテノイドの濃度、およびビタミンCと個々のカロテノイドから成る複合バイオマーカースコアと2型糖尿病との関連を評価した。摂取量を適度に増やすだけで、2型糖尿病の発症予防に役立つ可能性 多変量調整モデルにおいて、血漿中ビタミンC濃度が高いほど2型糖尿病の発症リスク低下と関連することが認められた(1SD当たりのハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.76~0.89)。総カロテノイドでも同様の逆相関が示された(0.75、0.68~0.82)。 複合バイオマーカースコアも、均等に5グループに分けたうちのスコアが最も低いグループ1と比較し、グループ2、3、4および5(スコアが最も高いグループ)のHRはそれぞれ0.77、0.66、0.59および0.50であり、2型糖尿病発症との逆相関が認められた。 自己申告に基づく果物・野菜の摂取量中央値は、複合バイオマーカーのグループ1、3および5でそれぞれ274g/日、396g/日、508g/日であった。複合バイオマーカースコアの1SDは、果物・野菜の総摂取量で66g/日(95%CI:61~71)に相当し、1SD当たりのHRは0.75(95%CI:0.67~0.83)であった。すなわち、本解析に組み込まれた欧州8ヵ国の全住民の果物・野菜の総摂取量が1日66g増えれば、2型糖尿病発症の絶対リスクが1,000人年当たり0.95減少する可能性があることが示唆された。

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重度統合失調症に対する抗精神病薬とECT増強療法

 統合失調症の治療において、電気けいれん療法(ECT)を支持する肯定的なエビデンスが増加しているが、これが実臨床の状況をどの程度反映しているかはよくわかっていない。トルコ・Erenkoy Training and Research Hospital for Psychiatry and Neurological DiseasesのNazife Gamze Usta Saglam氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬とECT増強療法の有効性を、自然主義的観察環境で調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、急性増悪のために入院した統合失調症患者81例。抗精神病薬のみで治療された患者(AP群)とECT増強療法を併用した患者(ECT群)の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの変化を比較した。 主な結果は以下のとおり。・両群において、すべてのPANSSサブスケールの有意な減少が認められた。・治療反応率は、ECT群95%(39例)、AP群75%(30例)であった(χ2=6.496、df=1、p=0.011)。・急性増悪の統合失調症患者において、ECT群はAP群と比較し、治療反応(PANSSスコア25%以上減少)率が有意に上昇することが示唆された。 著者らは「急性期治療中の重度な統合失調症患者に対するECT増強療法の併用は、治療反応を高めることが示唆された。抗精神病薬治療後のPANSSスコア25%以上の減少率は、将来の症状再発時にECT増強療法によるベネフィットがもたらされる患者を特定するうえで役立つであろう」としている。

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アルツハイマー病や軽度認知障害に対する高気圧酸素療法

 低酸素症などの環境的要因がアルツハイマー病(AD)の発症に影響を及ぼす可能性が報告されている。体内組織の酸素供給や脳の低酸素状態を改善する高気圧酸素療法は、ADおよび健忘型軽度認知障害(aMCI)の代替療法となりうる可能性がある。中国・大連医科大学のJianwen Chen氏らは、ADおよびaMCIに対する高気圧酸素療法の潜在的な治療効果について調査を行った。Alzheimer's & Dementia(New York, N. Y.)誌2020年6月14日号の報告。 対象は、高気圧酸素療法を受けたAD群42例、aMCI群11例および高気圧酸素療法を受けなかった対照AD群30例。AD群およびaMCI群には、1日1回40分間の高気圧酸素療法を20日間実施し、治療1、3、6ヵ月後のフォローアップ時にミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、ADL尺度を含む神経精神医学的評価を行った。対照AD群の臨床プロファイルは、AD群と同様であった。AD/aMCI群の10例については、FDG-PET検査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・自己比較研究では、1コースの高気圧酸素療法において以下の改善が認められた。 ●1ヵ月後、AD群のMMSE、MoCAスコアの有意な改善 ●3ヵ月後、aMCI群のMMSEスコアの有意な改善 ●1、3ヵ月後、aMCI群のMoCAスコアの有意な改善 ●1、3ヵ月後、AD群のADLスコアの有意な改善・AD群は、対照AD群と比較し、1ヵ月後のMMSE、MoCAスコアの有意な改善が認められた。・高気圧酸素療法は、一部のAD群およびaMCI群の脳グルコース代謝の低下を改善した。 著者らは「以前の研究と今回の結果によると、高気圧酸素療法は、ADやaMCIの有望な代替療法となりうる可能性が示唆された」としている。

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うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の影響

 うつ病の特徴の1つとして、再発リスクの高さが挙げられる。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、さまざまな抗うつ薬の再発予防効果を比較した。Psychological Medicine誌オンライン版2020年6月5日号の報告。 2019年7月4日にPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embase、Web of Scienceより検索を行った。ベイジアンフレームワークを用いて、パラメトリック生存曲線のプール分析を行った。主要アウトカムは、ハザード比、無再発生存期間、平均無再発月数とした。 主な結果は以下のとおり。・40件のランダム化比較試験が抽出された。・抗うつ薬の無再発生存率は76%であり、対照群の56%よりも有意に良好であった。・再発の差の多くは、最初の6ヵ月間で認められた(86.5%)。・ハザード比は、時間経過とともに一定ではなかった。・6ヵ月後の抗うつ薬群と対照群との違いはわずかで、6ヵ月フォローアップ後の抗うつ薬のベネフィットは確立できなかった。・ほとんどの研究は、ランダム化中止試験を使用しているため、反応者のみに強化(enriched)されており、このことが最初の6ヵ月間の再発率の差に影響を及ぼしている可能性がある。 著者らは「うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の優位性は、最初の6ヵ月間でみられていた。その予防効果は、長期にわたり一定ではないことが、本研究で示唆されており、6ヵ月以降の新規エピソードが予防できるかは疑問が残る」としている。

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身体活動ガイドライン順守で、全死因・原因別死亡リスク減/BMJ

 米国では、「米国人の身体活動ガイドライン2018年版(2018 Physical Activity Guidelines for Americans)」で推奨されている水準で、余暇に有酸素運動や筋力強化運動を行っている成人は、これを順守していない集団に比べ、全死因および原因別の死亡リスクが大幅に低いことが、中国・山東大学のMin Zhao氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年7月1日号に掲載された。本研究の開始前に、身体活動ガイドラインの推奨を達成することと、全死因死亡や心血管疾患、がんとの関連を評価した研究は4件のみで、その結果は一致していなかった。また、身体活動ガイドラインと他の原因別の死亡(アルツハイマー病や糖尿病などによる死亡)との関連を検討した研究は、それまでなかったという。推奨順守で4群に分け、全死因と原因別の死亡を評価 研究グループは、米国の成人を代表するサンプルを用いて、米国人の身体活動ガイドラインの2018年版で推奨されている身体活動と、全死因死亡および原因別死亡の関連を評価する目的で、地域住民ベースのコホート研究を行った(責任著者は山東大学から研究支援を受けた)。 国民健康聞き取り調査(National Health Interview Survey)の1997~2014年のデータと、国民死亡記録(National Death Index)の2015年12月31日までのデータを関連付けた。成人(年齢18歳以上)47万9,856人が解析に含まれた。 調査参加者の自己申告に基づき、1週間の余暇時間のうち有酸素運動および筋力強化運動に費やした時間を集計し、身体活動ガイドラインに従って、4つの群(運動不足、有酸素運動のみ、筋力強化運動のみ、有酸素運動+筋力強化運動)に分類した。 主要アウトカムは、国民死亡記録から得た全死因死亡と原因別死亡とした。原因別死亡には、8つの疾患(心血管疾患、がん、慢性下気道疾患、事故/負傷、アルツハイマー病、糖尿病、インフルエンザ/肺炎、腎炎/ネフローゼ症候群/ネフローゼ)が含まれた。有酸素+筋力強化運動で、死亡リスク40%減 47万9,856人中7万6,384人(15.9%)が有酸素運動+筋力強化運動群、11万3,851人(23.7%)が有酸素運動群、2万1,428人(4.5%)が筋力強化運動群、26万8,193人(55.9%)は運動不足群に分類された。 ガイドライン2018年版の推奨を完全に満たした成人の割合は、男女とも年齢が上がるに従って低下した。ベースラインの背景因子のすべてで、4つの群に有意な差が認められた。ガイドラインの推奨を満たさなかった運動不足群に比べ、これを満たした3群の参加者は、年齢が若く、男性や白人、未婚者、非喫煙者、少量~中等量の飲酒者が多く、学歴が高く、正常体重者が多く、慢性疾患を有する者が少なかった。 追跡期間中央値8.75年の期間中に、5万9,819人が死亡した。このうち、1万3,509人が心血管疾患、1万4,375人ががん、3,188人が慢性下気道疾患、2,477人が事故/負傷、1,470人がアルツハイマー病、1,803人が糖尿病、1,135人がインフルエンザ/肺炎、1,129人が腎炎/ネフローゼ症候群/ネフローゼで死亡した。 全死因死亡のリスクは、ガイドラインの推奨を満たさなかった運動不足群と比較して、筋力強化運動群が11%(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.85~0.94)、有酸素運動群が29%(0.71、0.69~0.72)低く、有酸素運動+筋力強化運動群(0.60、0.57~0.62)では、さらに大きな生存に関する利益が認められ、リスクは40%減少していた。 また、同様の関連が、心血管疾患死(筋力強化運動群のHR:0.82[95%CI:0.74~0.92]、有酸素運動群:0.65[0.62~0.69]、有酸素運動+筋力強化運動群:0.50[0.46~0.56])、がん死(0.85[0.77~0.95]、0.76[0.73~0.80]、0.60[0.56~0.65])、慢性下気道疾患死(0.76[0.62~0.93]、0.42[0.37~0.47]、0.29[0.23~0.37])で観察された。 著者は、「これらのデータは、ガイドラインで推奨されている身体活動の水準が、重要な生存上の利益と関連していることを示唆する」としている。

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男性のBRCA変異、1と2でがん発症に違い/JAMA Oncol

 生殖細胞系列BRCA1/2の病原性変異体(pathogenic variant:PV)を持つ男性のがん早期発見とリスク低減のために、イタリア・Sapienza University of RomeのValentina Silvestri氏らは、BRCA1とBRCA2のそれぞれのPVキャリアにおけるがんスペクトルと頻度を調査した。その結果、がん発症者(とくに乳がん、前立腺がん、膵がん)および複数の原発腫瘍発症者は、BRCA1 PVキャリアよりBRCA2 PVキャリアである可能性が高かった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に掲載。がんを発症した人はBRCA1よりBRCA2 のPVキャリアである可能性が高い 本研究は後ろ向きコホート研究で、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2(CIMBA)を通じて共同研究している世界33ヵ国53グループにより、1966~2017年にがん遺伝学クリニックで集めた18歳以上の6,902人(BRCA1 PVキャリア3,651人、BRCA2 PVキャリア3,251人)が対象。臨床データと病理学的特徴を収集した。オッズ比(OR)はすべて、年齢、出身国、初回面接の暦年で調整した。 BRCA1とBRCA2のPVキャリアにおけるがん発症の違いを調査した主な結果は以下のとおり。・対象の男性6,902人(年齢中央値:51.6歳、範囲:18~100歳)のうち、1,376人(19.9%)に1,634件のがんが診断され、1,376人中922人(67%)がBRCA2 PVキャリアであった。・何らかのがんを発症した人は、BRCA1 PVキャリアよりBRCA2 PVキャリアの可能性が高く(OR:3.23、95%信頼区間[CI]:2.81~3.70、p<0.001)、原発腫瘍が2つ発症(OR:7.97、95%CI:5.47~11.60、p<0.001)および3つ発症(OR:19.60、95%CI:4.64~82.89、p<0.001)でも同様であった。・乳がん(OR:5.47、95%CI:4.06~7.37、p<0.001)および前立腺がん(OR:1.39、95%CI:1.09~1.78、p=0.008)の頻度は、BRCA2 PVキャリアである可能性と関連していた。・乳がん、前立腺がん以外では、膵がんがBRCA2 PVキャリアである可能性が高く(OR:3.00、95%CI:1.55~5.81、p=0.001)、大腸がんはBRCA2 PVキャリアである可能性が低かった(OR:0.47、95%CI:0.29~0.78、p=0.003)。

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HIV感染症患者は新型コロナウイルスに罹りにくいのか?【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。1年半ぶりに復活! 今回も少数精鋭の読者に向けてと何事もなかったかのように普通に冒頭を書き出してみましたが(正確に言うと前回の文章をコピペした)、実に1年半ぶりの再開です。この1年半、いろいろなことがありました…。「ピエール瀧の逮捕」、「沢尻エリカの逮捕」、そして「新型コロナウイルスの流行」…。ピエール瀧と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を並べて書いたのは私が世界初ではないでしょうか。そんなわけで、「新興再興感染症」という誰も興味のなさそうなテーマの連載でしたが、よく考えたら「今しか注目されるときはないんちゃうか」というタイミングであり(むしろ若干タイミングを逃した感あり)、「医療界の冨樫」がついに重い腰を上げたわけです。というわけで、冨樫義博先生(漫画家)を見習って10回くらいの予定で(打ち切られなければ)、新型コロナウイルスに関する話題を皆様にご提供したいと考えております。ときどき「Yahooの記事とほぼ同じやないか!」と思われる回が登場するかもしれませんが(予言)、それはご愛嬌ということでよろしくお願いします。でもね、Yahooの記事って「いつも読んでます!」とかめっちゃ言われるんですが、この連載でそんなこと言われたことほとんどないんですよ、悲しいことに。たぶん5人くらいしか読んでないんじゃないでしょうか。まあどっちにしても原稿料はもらえるし、別に5人でも構いません。少人数制で頑張っていきましょう。HIV治療薬とCOVID-19の治療薬?の関係それでは5人の読者の皆様、お待たせいたしました、新型コロナシリーズ第1回は「HIVとコロナ」です。HIV感染症と言えば世界3大感染症の1つであり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することでCD4陽性リンパ球が減少し、細胞性免疫不全が起こる疾患です。日本でも約3万人の感染者がおり、今もなお年間1,000人以上が新規患者として診断されています。CD4数が低下すると「日和見感染症」と呼ばれるニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス網膜炎などの感染症に罹患しやすくなり、また、一般の感染症に罹患した際も重症化しやすいとされます。しかし、一般的にHIV感染症の患者さんも“ART(Antiretriviral Therapy)”と呼ばれる抗HIV薬を組み合わせた治療を行えば、CD4数は正常の範囲を保つことができることが多く、その場合は日和見感染症に罹るリスクはほとんどなくなります。では、HIV感染症の患者がCOVID-19に感染した場合、重症化するのでしょうか。「COVID-19の悪化にはサイトカインストームが関与しており、免疫反応が弱いHIV感染症患者では重症化しないのではないか」という仮説を唱えている人もいるようですが、この辺はまだ結論が出ていません。まだプレプリントですが、HIV感染症患者はHIV-negativeの人と比べて死亡リスクが高いという南アフリカの大規模コホート研究があります。その前に、そもそもHIV感染症の患者はCOVID-19に感染するのでしょうか? 答えはもちろんイエスであり、国内最初のHIV感染症患者のCOVID-19症例は我々が診断しています(てへん)1)。しかし、「HIV感染症の患者でART中の方はCOVID-19に罹患しにくいのではないか」という説がまことしやかに囁かれていました。正確には私自身が囁いていました。なぜならば、一部の抗HIV薬はin vitroでは新型コロナウイルスに活性があるためです。一時期、国内でもCOVID-19症例の治療にカレトラが使用されていましたが、これはリトナビルというプロテアーゼ阻害薬がSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスにin vitroで活性があるためでした2)。しかし、リトナビル/ロピナビルの合剤であるカレトラはRCTで有効性を示せず3)、現在カレトラはCOVID-19の治療では積極的に使用されなくなっています。しかし、今度は核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTIs)が新型コロナウイルスに動物実験系では有効性を示したという報告も出てきており4)、「何だやっぱりARTはCOVID-19に効くんじゃないか」という揺り戻しが起こっていました。最新の臨床研究からみてみたさて、そんな中、ついに「実際にARTを受けているHIV感染症患者はCOVID-19に罹っているのか」という命題に応える臨床研究が出ました5)。概要としては、スペインでARTを受けている77,590人のコホート研究で、このうち236人がCOVID-19と診断され、151人が入院し、15人がICUに入院し、20人が死亡した。COVID-19の診断および入院のリスクは、男性および70歳以上の高齢者で高かった。1万人あたりのCOVID-19の入院リスクはテノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン(TAF/FTC)投与群で20.3(95%CI、15.2~26.7)、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩//エムトリシタビン(TDF/FTC)投与群で10.5(CI、5.6~17.9)、アバカビル/ラミブジン(ABC/3TC)投与群で23.4(CI、17.2~31.1)、その他のレジメン投与群で20.0(CI、14.2~27.3)であった。1万人あたりのCOVID-19罹患(診断)リスクは、それぞれTAF/FTC投与群で39.1(CI、31.8~47.6)、TDF/FTC投与群で16.9(CI、10.5~25.9)、ABC/3TC投与群で28.3(CI、21.5~36.7)、その他のレジメン投与群で29.7(CI、22.6~38.4)であった。TDF/FTCを受けた患者でICUに入院した患者や死亡した患者はいなかった。比較対象として、同期間のスペインの20~79歳の一般集団では、COVID-19の診断リスクは1万人あたり41.7人(医療従事者を除くと1万人あたり33.0人)であり、死亡リスクは1万人あたり2.1人であった。というものであり、このコホート研究からはやはり「ART中、特にTDF/FTCを飲んでいるHIV感染症患者ではリスクが多少低くなるかもしんまい!」ということが言えそうです。現在、TDF/FTCを内服していた患者は腎臓や骨への副作用が少ないTAF/FTCへの切り替えが行われていることが多いと思いますが、思いがけずTDF/FTCの方が優れた結果になっていますが、これはTDFの方がTAFよりも血漿中および細胞外濃度が高いためではないかと考えられます(もともとTAFはTDFよりも効率的にリンパ球などの標的細胞に取り込まれるというのがTAFのメリットだったわけですが)。ARTを受けていない患者では、非HIV感染者と比較してどうかはこの研究からはわかりません。結論はまだ出ていないこうなってくると、HIV感染症じゃない人もCOVID-19予防効果を期待してTDF/FTCを内服したいという人が出てきそうですが、これはあくまでコホート研究ですので、一時期のトランプ大統領のように結果的に「ヒドロキシクロロキン、やっぱ効果ありませんでした」みたいな結果にならないとも限りませんし、スペインの単施設の研究ではテノホビルを内服していた方がCOVID-19に罹患しやすかったという真逆の結果の報告も出ています6)ので、とりあえず今行われているRCTの結果を待ちましょう。ちょっと1年半ぶりで気合が入りすぎてしまったかもしれません。次回からはもう少し適当に書きたいと思います。それでは(たぶん)また2週間後にお会いしましょう!1)Nakamoto T, et al. J Med Virol. 2020;10.1002/jmv.26102. doi: 10.1002/jmv.26102.2)de WildeAH, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2014;58:4875-4884.3)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020;382:1787-1799. 4)Park SJ, et al. mBio. 2020;11:e01114-20.5)Del Amo J, et al. Ann Intern Med. 2020. doi: 10.7326/M20-3689.6)Vizcarra P, et al. Lancet HIV. 2020;S2352-3018(20)30164-30168.

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成人の不眠症、アルコール摂取とADHD症状との関係

 薬物使用障害や不眠症は、成人の注意欠如多動症(ADHD)患者でよくみられる。ノルウェー・ベルゲン大学のAstri J. Lundervold氏らは、不眠症やアルコール摂取とADHD症状との関係を調査した。Frontiers in Psychology誌2020年5月27日号の報告。 成人ADHD患者235例(男性の割合:41.3%)と対照群184例(男性の割合:38%)を対象に、不眠症、アルコール摂取、ADHD症状をアンケートで収集した。不眠症はBergen Insomnia Scale(BIS)、アルコール摂取は飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)、ADHD症状は成人ADHD自己記入式症状チェックリストを用いて評価した。対象の大部分(95%)より、小児期のADHD症状はWender Utah Rating Scaleを用いて追加情報として収集し、内在化障害の生涯発生に関する情報は、背景情報の一部に含めた。 主な結果は以下のとおり。・ADHD患者は対照群と比較し、不眠症の頻度が高く、アルコール摂取量が多く、内在化障害の頻度が高かった。・不眠症を有する患者は、不眠症を有さない患者と比較し、現在および小児期のADHD症状がより重度であった。・ADHD症状のスコアは、不眠症や内在化障害の影響を受けていたが、アルコール摂取からは対照群に限定的であった。 著者らは「不眠症、アルコール摂取、内在化障害は、機能的影響が大きいことが知られている。本研究では、ADHD症状との関係に焦点を当てたことにより、機能的影響との強い関連は、ADHDの臨床診断を受けた成人に限定されないことがわかった。このことから、ADHD症状と併発する問題の測定基準を含む、さらなる研究が求められる」としている。

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COVID-19でみられる後遺症は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、回復後もなお、しつこく残るだるさや息苦しさを訴えるケースが多くみられるが、その実態は不明である。イタリア・ローマの大学病院Agostino Gemelli University PoliclinicのAngelo Carfi氏ら研究グループは、COVID-19回復後に退院した患者の持続的な症状について追跡調査を行った。その結果、COVID-19発症から約2ヵ月の時点においても87.4%の患者が何らかの症状があることがわかった。COVID-19を巡っては、これまでもっぱら急性期に焦点を当てて研究や分析が進められてきたが、著者らは、退院後も継続的なモニタリングを行い、長期に渡る影響についてさらなる検証を進める必要があるとしている。JAMA誌2020年7月9日号リサーチレターでの報告。 本研究では、2020年4月21日~5月29日までの間に、COVID-19から回復し、退院した患者179例が対象となった。このうち、研究への参加を拒否した14例およびPCR検査陽性の22例を除く143例の患者について追跡調査を実施した。COVID-19の急性期における症状の有無を遡及的に再評価し、各症状が調査時も持続しているか尋ねた。また、患者自身にCOVID-19の前および調査時のQOLを0(最低)~100(最高)のスコアで評価してもらった。  主な結果は以下のとおり。・患者143例の平均年齢は56.5(SD 14.6)歳(範囲:19~84歳)、男性90例(63%)で女性53例(37%)だった。・COVID-19症状発現から平均60.3(SD 13.6)日後に患者を評価したところ、評価時点で無症状だったのは18例(12.6%)で、患者の32%は1~2つの症状があり、55%は3つ以上の症状が見られた。・患者の44.1%でQOLの低下が見られ、とくに倦怠感(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)を訴える人の割合が高かった。このほか、咳、臭覚の異常、ドライマウス/ドライアイ、鼻炎、目の充血、味覚の異常、頭痛、喀痰、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、下痢といった症状を訴える患者もいた。・本研究では、COVID-19から回復した患者の87.4%が何らかの症状を有していた。 著者らは、143例という比較的少数の患者による単一施設の研究であること、ほかの理由で退院した患者の対照群がないことなど研究の限界として挙げ、これらの所見が必ずしもCOVID-19によるものとは限らない可能性があるとしている。

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リナグリプチンの心血管・腎の安全性/日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、アジアの早期成人2型糖尿病患者を対象としたCAROLINA試験のサブグループ解析の結果を発表した。 発表によれば、本解析においてグリメピリドと比較し、リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)は心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのあるアジアの早期成人2型糖尿病患者において心血管リスクを増加させないことが明らかになった1)。 また、心血管や腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象としたCARMELINA試験とともに、アジアの幅広い2型糖尿病患者におけるリナグリプチンの心血管および腎の安全性のプロファイルが示された2)。CAROLINA試験でリナグリプチンの安全性を評価 世界に糖尿病患者は約4億6,300万人おり、うち半数以上の2億5,100万人が東南アジアと西太平洋地域の患者と推定されている。糖尿病治療の目標は、合併症を予防し、健康人と変わらないQOLの維持、寿命の維持とされている中で合併症の進展防止は大きな課題となっている。 今回発表されたCAROLINA試験は、成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンとグリメピリドを比較する心血管アウトカム試験で、43ヵ国600以上の施設から6,033人が参加し、中央値6年以上にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検実薬対照試験。心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチン(5mgの1日1回投与)の心血管安全性への影響について、SU薬のグリメピリドを対照として評価することを目的として計画されている。 この試験のサブグループ解析では、全参加者の15.5%にあたるアジアの成人2型糖尿病患者933人が解析対象とされた。その結果、リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、低血糖の発現率が低値だった。すべての重症度分類の低血糖の発現率は、グリメピリド投与群の42.1%に対し、リナグリプチン投与群では13.1%。リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、体重の増加は認められず、グリメピリド投与群との体重差の平均値は-1.82kgだった。 また、リナグリプチンは長期安全性に関する包括的な臨床データとして、本試験とCARMELINA試験の2つの心血管アウトカム試験のエビデンスを有している。 CARMELINA試験は、心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンの心血管および腎アウトカムへの影響を評価する試験で、27ヵ国600以上の施設から成人2型糖尿病患者6,979人が参加し、中央値2.2年にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。この試験でも心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高いアジアの成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンがプラセボに対して心血管および腎イベントのリスクを増加させないことが示された。そして、これらの結果は、CARMELINA試験の全体集団の結果と一貫していた。リナグリプチンの特徴 成人2型糖尿病患者での血糖降下作用をもつ、1日1回投与のDPP-4阻害薬。年齢、罹病期間、人種、BMI、肝機能および腎機能に関係なく、同一用量で成人2型糖尿病患者に処方ができる。本剤は、すべてのDPP-4阻害薬の中で最も低い腎排泄率を示している。なお、本剤は、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーのアライアンスによって開発・販売されている。

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緑茶は乳がんの予防になる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第166回

緑茶は乳がんの予防になる?ぱくたそより使用最近緑茶にハマッてまして、個人的にもいろいろ調べているんです。緑茶って万物の長かっていうくらいたくさんの臨床試験が実施されています。PubMedで「Green Tea」で検索してみてください。恐ろしい数の文献がヒットしますから。もちろん、論文の質自体は玉石混交なのですが、乳がんに対するメタアナリシスを報告したのがこちら。Yu S, et al.Green tea consumption and risk of breast cancer: A systematic review and updated meta-analysis of case-control studies. Medicine (Baltimore). 2019 Jul;98(27):e16147. doi: 10.1097/MD.0000000000016147. なんでもかんでも論文を登録するとワケがわからなくなるので、オッズ比やリスク比を報告している中国語か英語の症例対照研究で、緑茶と乳がんリスクの低減効果を調べたものを対象としました。14研究がメタアナリシスの選択基準を満たし、計1万4,058人の乳がん患者と1万5,043人の対照被験者が登録されました。結果、緑茶を飲む習慣のある個人は、将来の乳がんリスクと負の関連があることが判明しました(オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.72~0.96)。ただ、異質性がかなり高いことが、本メタアナリシスのリミテーションです(P<0 .00001、I2=84%)。Newcastle-Ottawa Scale(NOS)、研究実施地域、登録患者数などで層別化したサブグループ解析でも、同様の結果が得られました。なお、日本の乳癌診療ガイドライン1)においては、「これまでの研究結果にばらつきがあり、近年の信頼性の高い論文はその関連を否定するものが多く、日本人の研究に限ってもそれは同様である。以上より、緑茶の摂取が乳癌発症リスクを減少させるかどうかは、結論付けられないと判断した。」と記載されており、今回のメタアナリシスが、今後のガイドラインに影響を与えるのかどうかは不明です。いずれにしても、保護的な効果は臨床で実感するほどのものではないと確信しています。1)日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン.

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循環器内科専門医の私が内科レジデントからの再スタートを決意できた理由【臨床留学通信 from NY】第9回

第9回:循環器内科専門医の私が内科レジデントからの再スタートを決意できた理由こちらニューヨークは、今回のCOVID-19で未曾有の感染者と死亡者を出し、私もここ数ヵ月はコロナ対応に日夜追われていました(ぜひ本連載の番外編をご覧ください)。収束にはまだしばらく時間を要する状況ですが、いずれコロナが落ち着いたら、再び米国への臨床留学を志す方もいらっしゃるであろうことを考え、引き続き本連載で私自身の留学までの道のりをご紹介したいと思います。レジデントからのスタートも受け入れられるようになった理由とは?私は2006年に医学部を卒業し、09年に一念発起して臨床留学したいと思い至り、臨床の合間を縫って地道に勉強を続けた結果、卒後5年経った11年3月にECFMG certificateを取得しました。しかし、直後に赴任した病院で、私の専門であるカテーテル治療が学べることもあり、そのまま臨床と論文執筆に注力して数年が過ぎていきました。この間、専門医や学位を取得し、充実した日々を送っていましたが、17年夏になり、再び留学に向けて動き出すことを決意しました。なぜか? それは、カテーテル治療医としてある程度の修練を積んだという手応えがあり、逆説的ですが、初心に戻って米国のECFMG certificateを生かすならレジデントからの留学でも構わないという覚悟ができたからです。しかし、ここで大きな問題がありました。すでにその時点で卒後12年目だったのですが、卒後年数が経過しているIMG(International Medical Graduate:外国での医学部卒業生)のマッチングは相当不利、というより、ほぼ確率的に無理という現状でした。その事実を全く知らなかったため、決意したものの早々に厳しい現実を突き付けられました。そこで、6年ぶりに東京海上日動メディカルサービス主催のN program でアドバイザーを務める西元 慶治先生を訪ね、改めて留学したい旨を相談しました。N programは、米国の教育病院の臨床医学レジデンシー・プログラムに日系の若手医師を派遣する民間のプログラムで、30年近い実績があります。N programは、独自の1次面接および2次面接があり、まずはこの年の9月に実施される1次面接に向けて準備に入りました。同時に、ERAS(electronic residency application service)というサイトにPersonal Statement、推薦状、CV(履歴書)などのアップロードも必要な準備です。また、出身医学部にMSPE (medical student performance evaluation)という書類を作成してもらわなければなりません。経験を積んだ年数はプラスになる?それとも足かせ?N programの1次面接の準備で重要なのは、TOEFLとPersonal Statementです。TOEFLは、アメリカの大学で授業を受けるために必要な英語力が要求され、単語や内容もかなり特殊で私は苦手でした(試験対策には、旺文社の『英単語3800』を使用しました)。プログラムが求めるレベルは100点/120点満点でしたが、最終的に92点止まりでした。しかしながらTOEFL試験はよくできた試験で、客観的に英語力を測るにはうってつけであり、英語力向上の良い目標になります。Personal Statementについては、自分が何をしてきていて、何がしたいのかを見つめ直し、伝えるためのもので、実際に面接でも聞かれることがあります。私の場合、大きく3つの項目を挙げ、自分のしたいことを、(1)臨床研究(2)医学教育(3)先進的なStructural heart diseaseのinterventionとしました。書類やネット上の申請は煩雑で、自分だけではわからないことも多く、大学の後輩でひと足先に現地で働いていた山田 悠史先生にも多くの面で助けてもらいました。書類を揃えた後、面接を受けたい病院を100件以上申し込むのですが、私の場合、卒後年数がかなり経過している上、USMLEの点数や強力なコネクション(月単位での長い実習期間など)ないことから、1件もインタビューに呼ばれないという絶望的な状況に追い込まれました。やはり、レジデンシーをしたい場合は卒後5年前後まで、およびUSMLEの高得点が必要なんだと改めて痛感しました。そうなると、あとはN programだけが頼りでした。6年越しに受けたN programの1次面接では、英語力にさほどの進歩がなかったのですが、Personal Statement等は6年の回り道で得た臨床・研究の経験が功を奏したのか、何とか突破することができ、2次面接となりました。2次面接はプログラムディレクターとの面接です。当然、英語での面接なので、言いたいことを文章にして用意し、ある程度暗記して臨みました。面接の焦点となったのは「医師の経験年数が10年を超えてからレジデントをやるメリットは?」ということでしたが、そこに関しては「研究と教育です」と押し切りました。最終的に、多少の臨床研究の実績が考慮されたのか、何とか2018年3月にマッチとなり、採用してもらうことができました。留学しようと決意し、USMLEの勉強を始めてから9年近く経過しており、決まった瞬間は本当に感無量でした。Column画像を拡大するこちらニューヨークは、コロナがだんだんと落ち着き、平常運転になりつつあります。外来も急遽、Tele Medicine/Video Visitが始まりつつも、Face to Faceの外来も再開しています。2021年のFellowshipのapplyもほぼ通常の日程で始まり、Residentのapplyの時と同じように、3年越しでまた書類を揃えていく作業を進めています。3年前はまさに“惨敗”でしたが、今回はいかに…?

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アルコール摂取と自殺リスク~メタ解析

 アルコール摂取はいくつかのアウトカムと関連するが、その1つに自殺リスクの増加がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏らは、アルコール摂取と自殺との関連を明らかにするため、コホート研究のメタ解析を実施した。Journal of Addictive Diseases誌2020年4~6月号の報告。 コホート研究30件をメタ解析に含めた。分析は、変量効果モデルに基づき実施し、その後、さまざまな変数を基にサブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析の結果、アルコール摂取と自殺との関連が認められた。・アルコール摂取と自殺のリスク比(RR)は、1.65であった。・プールされたRRは、男性で1.56(95%CI:1.20~2.03)、女性で1.40(95%CI:1.11~1.77)であった。 著者らは「アルコール摂取は、自殺のリスク因子であることが示唆された。アルコール摂取の予防や抑制は、メンタルヘルスの促進に有効であると考えられる」としている。

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ドセタキセルベースの乳がん術後化療、BMIでベネフィットに差/JCO

 タキサンなどの脂溶性薬剤は、脂肪組織に対して高い親和性を持ち、分布容積が増す。大規模アジュバント試験BIG 2-98の再分析が実施され、ベースライン時のBMIにより、乳がん患者におけるドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが異なる可能性が示唆された。ベルギー・Laboratory for Translational Breast Cancer ResearchのChristine Desmedt氏らが、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に報告した。 BIG 2-98は、リンパ節転移陽性乳がん患者の術後化学療法として、ドセタキセルベースと非ドセタキセルベースの治療法を比較したインターグループ無作為化第III相試験。今回、研究者らは同試験の全患者(2,887例)のデータを後ろ向きに再分析し、ベースライン時のBMI値に従って、ドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが非ドセタキセルベースの術後化学療法と異なるかどうかを評価した。 BMI(kg/m2)は以下のように分類されている。・やせ型:18.5~<25.0・過体重:25.0 ~<30.0・肥満:30.0 以上 主要評価項目は無病生存期間(DFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)。二次交互作用として、治療法、BMI、およびエストロゲン受容体(ER)の発現状態について評価された。 主な結果は以下のとおり。・非ドセタキセル群では、BMIに応じたDFSまたはOSの違いはみられなかったが、ドセタキセル群では、BMI分類が上がるにつれ、DFSおよびOSの低下が観察された。・DFSおよびOSの調整ハザード比は、過体重 vs.やせ型で1.12(95%信頼区間[CI]:0.98~1.50、p=0.21)および1.27(95%CI:1.01~1.60、p=0.04)。肥満 vs.やせ型 で1.32(95%CI:1.08~1.62、p=0.007)および1.63(95%CI:1.27~2.09、p<0.001)であった。・ER陰性とER陽性を別々に検討した場合、およびドセタキセルの相対用量強度(RDI)≧85%の患者のみを検討した場合にも、同様の結果が得られた。・治療効果に対するBMIおよびER状態の共修正の役割は、DFS(調整後のp=0.06)およびOS(調整後のp=0.04)で明らかであった。 研究者らは、ベースライン時のBMIによるドセタキセルに対する反応の違いが強調される結果とまとめている。乳がんにおけるタキサン使用のリスクベネフィット比の、身体組成に基づく再評価が求められるとし、今回の結果は追加試験による確認が必要としている。

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Dr.増井の心電図ハンティング

第1回 心電図のグレーゾーン第2回 心電図を3次元化する裏技第3回 ミラーイメージ使えていますか?第4回 STEMIとSTEmimic第5回 脚ブロックの虚血判断 解説編第6回 左脚ブロックの虚血判断 実践編第7回 右脚ブロックの虚血判断第8回 陰性T波の鑑別とアクション 心電図の判読に迷って「もっと早く呼べよ! 」「これは緊急じゃないよ! 」と上級医や循環器医から言われたことのある人は多いのではないでしょうか。当シリーズでは、非循環器医が即座に判断できないビミョーな症例を取り上げ、その心電図判読のコツを解説します。2次元の心電図を紙コップで3次元化させるなど、視覚的に楽しく学べる工夫も満載。この番組を見ると、すぐに心電図を読みたくなること間違いなし!そして、自信をもって、心電図を判読し、次のアクションがとれるスキルが身に付きます。さあ、心電図ハンティングに出かけましょう。この番組は中外医学社から刊行されている「心電図ハンター 胸痛/虚血編」を映像化したものです。書籍を読んで当番組を見ていただいたり、当番組を見て書籍を読んでいただければ、理解が深まります。ぜひ書籍「心電図ハンター 胸痛/虚血編」を片手に番組をご覧ください。書籍はこちら ↓ ↓【心電図ハンター 胸痛/虚血編】第1回 心電図のグレーゾーン胸痛患者の心電図を手にしたとき、30秒以内に次のアクションを決めましょう!白黒はっきりしている心電図、すなわちST上昇のある、なしがすぐさまわかる心電図であれば、すぐ決めることができます。しかし、臨床では、ST上昇ありかなしかを判読できず困る心電図があふれています。その「迷う」心電図で、どうやって異常をハンティングするのか。今回は、Case0からCase2までの3症例を判読していきます。STEMIなのか、そうでないのか?そして次へつなげるアクションは?第2回 心電図を3次元化する裏技「連続した誘導でSTの上昇」が見られたらSTEMI!と誰もが反射的に判読できます。そう、心電図でも解剖学的でも連続していれば、そんなに悩むことはありません。もともと立体である心臓を平面の心電図に落とし込んでいることが、電図を判読しにくくしている原因の1つです。それではどうすればいいのでしょうか?そうです。心電図を立体的にもどしてやることです。そのために必要なものは「紙コップ」と「ペン」だけ。この2つを用意してこの番組ご覧ください!平面的な心電図がだんだん立体的にイメージングされて、心電図を読むのが楽しくなってきますよ。第3回 ミラーイメージ使えていますか?対側誘導でのST低下、すなわちミラーイメージをどこまでハンティングできていますか。ミラーイメージは心筋梗塞を示唆する重要な所見。今回は下壁梗塞、後壁梗塞のミラーイメージを確認していきましょう。後壁梗塞のミラーイメージを見つけたら、後壁誘導のV7~V9誘導を確認!そのやり方についても解説します。第4回 STEMIとSTEmimic一見ST上昇に見えて実はSTEMIではない“擬態”ST上昇心電図。これを擬態(mimic)STEMIを略して、STEmimicと命名。このSTEmimicをハンティングできるようになれば、オーバートリアージも減り、コールされる循環器医も、コールする非専門医も、みんなハッピーになります。今回は、STEmimicの中で早期再分極やStrain Patternについて解説します。でも、STEmimicに見えて、実はSTEMIということもあるので、しっかりと確認してください。第5回 脚ブロックの虚血判断 解説編今回は脚ブロックにについて解説します。心電図のST変化、実は脚ブロックの影響かもしれません。脚ブロックの心電図では、右脚か左脚かによって、評価の方法が異なります。右脚と左脚の違いは、細かい病態生理は抜きにして、パターン認識で判断できるようになりましょう。そして、右脚か左脚かがわかれば、虚血判断です。とくに難しい、左脚ブロックの判断に方法について、フローチャートにて解説します。これで、左脚ブロックの心電図での判断に迷うことは少なくなるはず!脚ブロックの虚血判断は臨床の場では必須項目なので、正しくマスターしましょう!第6回 左脚ブロックの虚血判断 実践編今回は左脚ブロック心電図特集です!実際の臨床で、左脚ブロックだということがわかったところで、その先どう判読すればいいのか、なかなか学ぶ機会がありません。そこで千本ノックのごとく、左脚ブロック心電図を次々と出していきます。それを受けてどんどん読んでいきましょう!そうすれば、左脚ブロックの心電図が来ても、慌てることなく読影できるようになりますよ。第7回 右脚ブロックの虚血判断今回は右脚ブロック心電図特集!前回の左脚ブロック千本ノック!と同様に、右脚ブロックの心電図をどんどん読んでいきましょう!右脚ブロックの心電図を読むコツをしっかりとお教えします。脚ブロックに惑わされることなく、通常通りSTEMIをハンティングしていくことが重要です。そして右脚ブロックならではのポイントをしっかりと確認しましょう。第8回 陰性T波の鑑別とアクション陰性T波で考えられる鑑別診断は大きく3つ!それらをどのように鑑別し、次につなげるアクションは?見分けるポイントとコツをしっかりとお教えします。そして、最後に、虚血判断できない場合の対応について、今一度考えてみましょう。まずは、本当に判断できないのか?まずは、このシリーズで学んだことをしっかりと確認してみましょう!そこれまでできなかった判断ができるようになっているはずです。さらには日米欧のガイドラインも参考にし、現場でできるアクションをしっかりと身に付けてください。

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COVID-19重症例、フサン+アビガンで臨床症状が改善/東大病院

 2020年7月6日、東京大学医学部附属病院は医師主導の多施設共同研究である『集中治療室(ICU)での治療を必要とした重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するナファモスタットメシル酸塩(以下、ナファモスタット[商品名:フサン])とファビピラビル(商品名:アビガン)による治療』の成績について発表した。それによると、治療対象者11例(男性:10例、女性:1例、年齢中央値:68歳)のうち10例で臨床症状の軽快が見られた。また、回復症例は人工呼吸器使用が7例、うち3例がECMOを要したが、16日(中央値)で人工呼吸器が不要となった」ことが明らかになった。本研究成果はCritical Care誌2020年オンライン版7月3日号に掲載報告された。 東京大学医学部附属病院救命救急センター・ER准教授の土井 研人氏らが5月8日に実施を発表した本研究(国内8施設で実施)では、ナファモスタットとファビピラビルをICU管理が必要なCOVID-19の重症患者11例(2020年4月6日〜21日に入院)に投与し、臨床経過について観察を行った。11例のうち8例は人工呼吸器を、うち3例でECMOを使用した。ナファモスタットの点滴静注を0.2mg/kg/時で14日間投与(中央値)、ファビピラビルの内服を初日3,600mg/日、2日目から1,600mg/日で14日間(中央値)投与した。 研究者らは今回の結果に対し、「新型コロナウイルス抑制に対するナファモスタットとファビピラビルの異なる作用機序、ナファモスタットの抗凝固作用の有効性が示唆された。ファビピラビル単独での効果について、現時点では国内臨床研究の結果が報告されていない。そのため、ナファモスタット単独の効果、ナファモスタットとファビピラビル併用効果の両方が考えられ、今後の臨床研究の必要性を示唆する結果」としている。

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ダウン症者のアルツハイマー病は予測可能、異常は20代から/Lancet

 ダウン症者におけるアルツハイマー病は、20年以上にわたる前臨床段階を有し、バイオマーカーの変化で予測可能であることが明らかにされた。スペイン・Barcelona Down Medical CenterのJuan Fortea氏らが、ダウン症候群者388例を含む横断研究の結果を報告した。アルツハイマー病とその合併症は、ダウン症の成人における主な死因となっている。先行研究で、ダウン症者のアルツハイマー病について評価は行われたが、ダウン症者におけるバイオマーカーの変化の経過は確認されていなかった。Lancet誌2020年6月27日号掲載の報告。ダウン症者のアルツハイマー病について横断試験 研究グループは、スペイン・バルセロナのSant Pau病院と、英国・ケンブリッジ大学で、ダウン症者とその対照群を集めて横断研究を行った。バルセロナでは、住民ベースの医療保険プランを通じて、またケンブリッジでは、英国とスコットランドの知的障害者支援サービスを通じて、18歳以上のダウン症者を集めた。 被験者の適格条件は、軽度~中等度の障害を持ち、次のアルツハイマー病の指標や検査で陽性が1つ以上認められる場合とした。アポリポ蛋白E対立遺伝子の状況、アミロイドβペプチド1-42と1-40血清濃度とその比率(Aβ1-42/1-40)、総タウタンパク質、ニューロフィラメント軽鎖タンパク質(NFL)、脳脊髄液中(CSF)のスレオニン181でリン酸化されたタウ(p-tau)やNFL、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)によるPET、アミロイドトレーサーによるPET、磁気共鳴画像(MRI)。 対照群は、バイオマーカーに異常がなく、認知能力が正常な18~75歳とした。 1次LOESS平滑化曲線により、バイオマーカー変化の順番と年齢、分岐となる最低年齢などを求めて評価した。ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇 バルセロナでは2013年2月~2019年6月、ケンブリッジでは2009年6月~2014年12月にかけて、ダウン症者388例(無症状257例[66%]、アルツハイマー病前駆症状48例[12%]、認知症を伴うアルツハイマー病83例[21%])と、その対照群242例を集めた。 ダウン症者では、CSF Aβ1-42/1-40と血清NFLの変化が20代で認められ、アミロイドPETの変化は30代で認められた。18F-FDG PETやCSF p-tauの変化は30代後半に、その後40代になると海馬萎縮や認知能力に変化が起きていた。 前駆期アルツハイマー病の診断年齢中央値は50.2歳(IQR:47.5~54.1)、認知症を伴うアルツハイマー病は同53.7歳(49.5~57.2)だった。 ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇し、60代には90~100%に達していた。 結果を踏まえて著者は、「被験者集団は、散発性および常染色体優性アルツハイマー病と類似しており、ダウン症候群の有病率も高いことから、アルツハイマー病の予防治療のターゲットとして適していると考えられる」と述べている。

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多発性硬化症治療に新しい治療薬シポニモド登場/ノバルティスファーマ

多発性硬化症は進行すると歩行障害と認知機能障害を起こす 多発性硬化症(以下「MS」という)は、中枢神経(脳・脊髄・視神経)のミエリンが破壊され軸索がむき出しになる「脱髄」と呼ばれる病変が多発し、視力障害、運動障害、感覚障害、言語障害など多様な症状があらわれる疾患。わが国のMS患者は、約1万5千人と推定され、年々増加している。発症のピークは20歳代で、女性に多いのが特徴。発症後に再発期と寛解期を繰り返す再発寛解型MS(以下「RRMS」という)として経過し、半数は次第に再発の有無にかかわらず病状が進行するSPMSに移行する。進行期に移行すると日常生活に影響をおよぼす不可逆的な身体的障害が徐々にみられ、主に歩行障害で車いす生活を余儀なくされる場合もある。また、認知機能障害が進み、社会生活に影響をもたらすこともある。多発性硬化症の進行を遅らせるシポニモド シポニモド(以下「本剤」という)は、S1P1およびS1P5受容体に選択的に結合するS1P受容体調整薬。シポニモドはS1P1受容体に作用することにより、リンパ球がリンパ節から移出することを防ぎ、その結果、それらのリンパ球が多発性硬化症患者の中枢神経系(以下「CNS」という)に移行することを防ぐことで本剤の抗炎症作用が発揮される。また、シポニモドはCNS内に移行し、CNS内の特定の細胞(オリゴデンドロサイトおよびアストロサイト)上のS1P5受容体と結合することで、ミエリン再形成の促進作用と神経保護作用が非臨床試験で示唆されている。 国際共同第III相臨床試験(EXPAND試験)では、1,645例のSPMS患者を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施。主要評価項目は、Expanded Disability Status Scale(EDSS)に基づく3ヵ月持続する障害進行(3m-CDP)が認められるまでの期間で、プラセボ群と比較し、シポニモド群では3m-CDPの発現リスクが21.2%有意に減少し(p=0.0134)、シポニモドが患者の障害進行を遅らせる効果が示された。また、3m-CDPが認められた患者の割合は、プラセボ群が31.7%に対し、シポニモド群では26.3%だった。また、年間再発率の負の二項回帰モデルによる推定値は、シポニモド群において、プラセボ群と比較して年間再発率が55.5%低下した(p<0.0001)。安全性について、本試験での主な副作用は、頭痛5.3%、高血圧4.5%、徐脈4.5%などが報告された。メーゼント錠の概要一般名:シポニモド フマル酸商品名:「メーゼント錠0.25mg」「メーゼント錠2mg」効能・効果:二次性進行型多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制用法・用量:通常、成人にはシポニモドとして1日0.25mgから開始し、2日目に0.25mg、3日目に0.5mg、4日目に0.75mg、5日目に1.25mg、6日目に2mgを1日1回朝に経口投与し、7日目以降は維持用量である2mgを1日1回経口投与するが、患者の状態 により適宜減量する。製造販売承認日:2020年6月29日 同社では、「MSの進行期への移行というアンメットニーズを医療現場から拾い上げ、日本で初めてとなるSPMSの適応取得に挑戦した。この承認を通じ『医薬の未来を描く』という弊社のミッションを少しでも果たせることを願う」と意欲をにじませている。なお、薬価、発売日などは未定。

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