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特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。平均29歳、165例(うち男性4例)を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 研究グループは、アセタゾラミドの視力改善への有益性を調べるため、2010年3月~2012年11月の間に、北米にある大学病院および民間病院38ヵ所で軽度視力を有するIHH患者165例を登録し、減塩減量食+アセタゾラミド(最大4g/日)群、または減塩減量食+プラセボ群に無作為に割り付け、6ヵ月間にわたり治療と評価を行った。評価は月1回外来受診時に行った。被験者は、IIHの改訂Dandy基準を満たし、周辺視野の平均偏差(PMD)値が-7~-2dBで、平均年齢は29歳、4例以外は女性であった。 事前に予定した主要アウトカムは、ベースライン時から6ヵ月時点までの患眼(視力喪失が大きい側)のPMDの変化(ハンフリー視野計で測定)だった。PMDは-32~2dBを範囲としてマイナスの値が大きいほど視力喪失が大きいとした。副次アウトカムには、6ヵ月時点の乳頭浮腫重症度、QOL(視覚機能質問票25[VFQ-25]、36項目簡易健康調査で測定)、頭痛、体重の変化などが含まれた。減塩食単独群よりもアセタゾラミド併用群で視野、視覚関連QOLなど有意に改善 結果、6ヵ月時点のPMDの改善は両群ともにみられたが、アセタゾラミド併用群が減塩減量食単独群よりも有意に大きかった。ベースライン時から6ヵ月時点までのPMDの変化は、アセタゾラミド群(86例)は1.43dB(平均値で-3.53dBから-2.10dBに改善)、プラセボ群(79例)は0.71dB(同-3.53dBから-2.82dBに)で、両群の差は0.71dB(95%信頼区間[CI]:0~1.43dB、p=0.050)だった。 また、乳頭浮腫重症度(治療効果:-0.70、95%CI:-0.99~-0.41、p<0.001)、国立眼研究所VFQ-25による視力関連QOL(同:6.35、2.22~10.47、p=0.003)、視神経に関する10項目QOL(同:8.23、3.89~12.56、p<0.001)についても、アセタゾラミド併用群で有意な改善がみられた。なおアセタゾラミド併用群のほうが、体重の減少が有意だった(同:-4.05kg、-6.27~-1.83kg、p<0.001)。 これらの結果を踏まえて著者は、「減塩減量食療法単独と比較して、アセタゾラミドの併用使用は、わずかだが視野の改善に結びついた」と結論。ただし、今回の試験では、解析においてアセタゾラミド併用群に中断者がより多く含まれており、改善結果が減弱されていた可能性があることや、PMDの推定治療効果の設定に難点があったなどとして、「試験結果として示された改善についての臨床的意義は決定的なものではなく、さらなる検討が必要である」と補足している。

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トラスツズマブ抵抗性進行乳がんへのエベロリムスの追加(BOLERO-3)

 トラスツズマブ抵抗性の乳がんにおいては、細胞内PI3K/Akt/mTOR経路のシグナル活性化の関与が示唆されている。本研究は、パリ第11大学腫瘍内科のFabrice Andre氏らにより、mTOR阻害薬エベロリムス(商品名:アフィニトール)の追加投与によるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)感受性回復を評価することを目的に行われた。Lancet Oncology誌オンライン版 2014年4月14日号の報告。 本試験は、プラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験として、タキサン治療歴のあるHER2陽性、トラスツズマブ抵抗性、進行乳がん患者を対象に行われた。 対象患者は、weeklyトラスツズマブ(2mg/kg)+ビノレルビン(商品名:ナベルビン)(25mg/m2)にdailyエベロリムス(5mg/日)を追加した群(以下エベロリムス群)、またはプラセボを追加した群(以下プラセボ群)に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)でintention to treatで評価された。 無増悪生存期間については最終的な分析報告を基にした(全生存率追跡調査は進行中)。 主な結果は以下のとおり。・2009年10月26日から2012年5月23日に569例が登録され、エベロリムス群(n=284)とプラセボ群(n=285)に無作為に割り付けられた。・PFS中央値はエベロリムス群、プラセボ群でそれぞれ7.00ヵ月(95%CI:6.74~8.18)、5.78ヵ月(95%CI:5.49~6.90)であり、ハザード比は0.78(95%CI:0.65~0.95、p=0.0067)であった。・主なグレード3/4の有害事象として、好中球減少症[エベロリムス群204例(73%)対 プラセボ群175例(62%)]、白血球減少症[106例(38%)対 82例(29%)]、発熱性好中球減少症[44例(16%)対 10例(4%)]、疲労感[34例(12%)対 11例(4%)]などであった。・重篤な有害事象の報告は、エベロリムス群117例(42%)、プラセボ群55例(20%)であった。 エベロリムスの追加投与は、タキサン治療歴のあるHER2陽性、トラスツズマブ抵抗性、進行乳がん患者のPFSを有意に延長した。しかしながら、臨床的な利益は、本集団の有害事象プロファイルに照らして考慮すべきであろう。

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女性の顔の肝斑、なぜ起きる?

 ブラジル・FMB-UnespのHandel A.C.氏らは、ケースコントロール研究により、女性の顔の肝斑発生のリスク因子を調べた。その結果、色素沈着耐久力、先祖、慢性的な日光曝露、性ホルモン薬、向精神薬、不安気質が、それぞれ独立して関連していることを明らかにした。肝斑は成人女性によくみられる慢性局所的な後天性の黒皮症で、人生の質に重大な影響をもたらす。認知されているトリガー要因はあるが、その病理は明らかになっていなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年4月19日号の掲載報告。 検討は、年齢で対応させた顔に肝斑がある成人女性とない成人女性を対比させて検討した。個人的特性データ、曝露変数で分類し、ホルモン刺激やIDATE-T質問票(state-trait anxiety inventory)と関連付けを行い、条件付き多重ロジスティック回帰法にて分析した。 主な結果は以下のとおり。・207例の患者と207例の対照を評価した。平均年齢は38.7歳であった。・症例群と対照群は、フォトタイプに関して差があることが判明した。すなわち祖先が米国インディアン(OR:2.59)、海岸に居住あるいは地方に居住(同:1.06)、職業的な日光に曝露される時間(同:1.59)、余暇で日光に曝露される時間(同:1.04)、抗うつ薬/抗不安薬を服用(同:4.96)、月経不順(同:3.83)、妊娠歴(同:3.59)、経口避妊薬服用年数(同:1.23)、不安症スコア(同:1.08)。・肝斑の家族歴は、患者群では61%があると報告した一方、対照群では13%であった(OR:10.4)。

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無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与

 加糖飲料やコーヒー、紅茶は最も消費されているノンアルコール飲料であり、健康に対し重大な影響を及ぼす。米国Westat社のXuguang Guo氏らは、さまざまな飲料の消費量とうつ病との関連を検討した。PloS one誌オンライン版2014年4月17日号の報告。 対象はNIH-AARP Diet and Health Study(食事・健康調査)に参加した26万3,923人。1995~1996年に摂取したさまざまな種類の飲料を評価し、2000年以降に自己申告によるうつ病診断を実施した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、多変量ロジスティック回帰分析から導いた。 主な結果は以下のとおり。・1日当たり4缶または4杯以上摂取している場合とまったく摂取しない場合とを比較したORは、ソフトドリンク1.30(95%CI:1.17~1.44)、フルーツドリンク1.38(1.15~1.65)、コーヒー0.91(0.84~0.98)であった(すべてのp for trend<0.0001)。・アイスティーとホットティーでは関連はなかった。・主にダイエット飲料を飲む人 vs 通常の飲料を飲む人による層別解析でのORは、ソフトドリンクで1.31(1.16~1.47) vs 1.22(1.03~1.45)、フルーツドリンクで1.51(1.18~1.92) vs 1.08(0.79~1.46)、加糖アイスティーで1.25(1.10~1.41) vs 0.94(0.83~1.08)であった。・飲料の非摂取者と比較し、無糖のコーヒーや紅茶を飲んでいた人では、うつ病のリスク低下と関連していた。一方、砂糖や蜂蜜ではない人工甘味料を添加していた人では、リスク上昇と関連していた。・加糖飲料(とくにダイエット飲料)の頻繁な消費が高齢者のうつ病リスクを高める一方で、コーヒーはリスクを軽減させる可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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このstudyはnegative studyであり、また説明不足である(コメンテーター:野間 重孝 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(198)より-

本稿は論文評であってreviewではないが、多くの専門外の先生方にとってheart failure and preserved ejection fraction (HFpEF)という概念自体が大変にわかりにくいのではないかと考えるので、まずHFpEFとはどのような病態概念なのかを簡単に説明することから始めたい。 まず慢性心不全を定義してみると、心ポンプ機能の低下により全身の組織代謝の恒常性を保つために必要な血液量(心拍出量)を送り出すことができない、もしくは種々の代償機転が動員されており、容易にうっ血性心不全状態に陥ったり、重症不整脈の発生がみられたりする予後不良な状態。として、大筋において異論のある方はおられないと思う。 多くの専門外の先生方にとってわかりにくいのは、駆出率(EF)が保たれているということは心ポンプ機能がある程度以上保たれているということであり、それならばなぜ非代償性心不全状態に陥ることがあるのか、という点だろう。もう一度定義を読み直していただきたいのだが、保たれていなければならないのは“心拍出量(CO)”であって、駆出率ではない。 左室拡張末期容量をLVEDVとすると、三者の間には、   (1回の)CO = LVEDV × EFという関係がある。 つまりEFが保たれていても、COを大量に必要とする状態やLVEDVを必要なだけ確保できない状態が出現すれば、EFは保たれていても心不全症状は出現しうるのである。 たとえば強い左室肥大や肥大型心筋症では左室の拡張期の拡がりが悪いためLVEDVを確保しようとすると高い流入圧が必要となる、これがback pressureとなって肺うっ血が出現し、心不全状態に陥る。慢性的にこのような不安定な状態が続く病態をHFpEFと呼ぶとご理解願いたい。 実際疫学的には心不全で入院する患者さんの半数近くがEFの低下が軽度~中等度であることが知られている。我々は各瞬間の心室内や血管内容量の測定が難しかった(実は現在でも難しい)ためにEFを心機能の代替え指標として使用しているうちに、いつの間にかEF絶対主義に陥ってしまっていたのである。 以上から考えるとHFpEF≒拡張障害という理解が当然のように感じられるだろう。しかし、ここからが謎なのである。つまり正確な割合はわかっていないがHFpEFといわれる病態の患者さんの3割程度は拡張障害を有していないのではないかといわれているからである。HFpEFはその本態がまだ正確には把握されているとはいえない病態であって、かつEFの低下した心不全(HF and reduced EF、HFrEF)との連続性があるのかないのかも実はわかっていない。 とはいっても心臓の拡張能がHFpEFの病態に深く関係しているであろうことは疫学的にも明らかである。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は心筋の肥大、間質の線維化、炎症、血管内膜損傷などに深く関わっており、この経路をどこかの段階で有効に遮断することが、心室の拡張能改善につながる可能性があることは容易に想像できるのではないかと思われるが、現在までトランドラプリル、イルベサルタンを用いた臨床研究が行われたものの、いずれにおいても有効であるとのデータは得られなかった。今回のTOPCAT試験はスピロノラクトンを用いてその最終作用物質であるアルドステロンを阻害することにより、HFpEFの病態の改善が得られるか否かを検討したもので、複合エンドポイントとして心血管死、蘇生された心停止、心不全による入院の三者が選択された。この試験の結果については本サイトに武藤 まき氏による大変よくまとまった抄訳が掲載されているので、参照していただきたい。駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?(4月23日掲載) わたくしが本日の議論でぜひ述べておきたい点が2点ある。 第1点は、本試験はnegative studyであるということである。医師の判断の介在しやすい心不全による入院をエンドポイントとしてよいのかという議論があったことも存じている。実際この項目について米国の結果とヨーロッパの結果にかなりズレがあった点も指摘されている。 しかし重要なことは、複合エンドポイントはいったん決められたら1つのエンドポイントと同様にみなされて扱われなくてはならず、バラバラに検討するのはサブ解析の段階ですべき事柄だということである。 死亡と心停止については差が出なかったが、入院ではややスピロノラクトン群が有利であった、といった議論は誤りである。この点を無視して、HFpEFの病態を疑う患者をみたら、スピロノラクトンを投与することが入院防止の観点から有効であるといった議論をする向きを目にするが、サブ解析の結果として参考にするならばそれもよいが、メイン解析の結果をして論ずるなら誤りである。 第2点は、本試験の施行目的が明確でないことである。著者らは論文中で彼ら自身がHFpEFについてどのように理解し、このたびなぜスピロノラクトンを対象とした大規模臨床試験を計画したのかについて明確な記述をまったくしていない。本日のわたくしの概説の部分は相当穴だらけだったことを専門の先生なら指摘されるだろう。diastolic failureといってもactive phaseのfailureなのかpassive stiffnessが上がっているのか、いや概念的な論争はともかくとして臨床上そんなに信用できる拡張期指標はそもそも存在するのか等々。スピロノラクトンはどのphaseの何を改善すると著者らは考えているのか。著者らはこれだけの大規模試験を立ち上げるのならば、説明義務を負っているとわたくしは考える。 近年統計的に完成度が高いことばかりがひたすら求められ、概念的な骨太さが置き去りにされているような試験が多いように感じるのは、わたくしだけではないと愚考するが、いかがだろうか。

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分化型甲状腺がんに新たな治療オプション/Lancet

 進行性放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんに対するソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療は、無増悪生存期間を有意に改善することが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンターのMarcia S Brose氏らによる第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DECISION」の結果で、有害事象はソラフェニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。放射性ヨウ素131治療抵抗性の局所進行または転移性の分化型甲状腺がんを有する患者には、現時点では効果的な治療オプションがなく予後は不良とされる。著者は、「今回の結果は、ソラフェニブが同患者への新たな治療選択肢であることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。18ヵ国77施設で経口ソラフェニブの有効性と安全性について検討 試験は、経口ソラフェニブ投与(400mgを1日2回)の有効性と安全性を評価することを目的とし、18ヵ国77施設から被験者を登録して行われた。被験者の適格基準は、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)評価で直近14ヵ月以内の増悪が認められた18歳以上の成人患者であること、CTまたはMRIにより1つ以上の病変が認められること(RECIST基準による)、全身状態はECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)基準で0~2、骨髄機能・肝機能・腎機能は保持、血清甲状腺刺激ホルモン値0.5mIU/L超などであった。 主要エンドポイントは無増悪生存で、中央の独立レビュワーにより8週ごとに評価が行われた。なおプラセボ群の患者は、増悪したときはオープンラベルでソラフェニブに切り替えることが可能であった。 また、腫瘍組織検体についてBRAFおよびRAS遺伝子の突然変異がないかが調べられ、ベースライン時と各受診時には血清チログロブリン値の測定が行われた。無増悪生存期間の中央値、ソラフェニブ群10.8ヵ月とプラセボと比べ有意に延長 2009年11月5日~2011年8月29日に、419例が1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要エンドポイントのintention-to-treat解析には、割り付けに不備があった2例を除く、ソラフェニブ群207例、プラセボ群210例の計417例が組み込まれた。 結果、無増悪生存期間の中央値は、ソラフェニブ群は10.8ヵ月でプラセボ群5.8ヵ月と比べて有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.45~0.76、p<0.0001)。 無増悪生存期間の改善は、事前規定のすべての臨床的および遺伝子バイオマーカーのサブグループ、また突然変異の有無にかかわらず認められた。全生存率は、両群間で有意差はみられなかったが(HR:0.80、p=0.14)、解析時点(2012年8月31日)で全生存期間の中央値は達成されていなかった。またプラセボ群でソラフェニブに切り替えが行われた被験者は150例(71.4%)だった。試験後もソラフェニブ群では20.3%が引き続き抗がん剤治療を受けていた(プラセボ群は8.6%)。奏効率はソラフェニブ群が12.2%、プラセボ群が0.5%であった(p<0.0001)。 安全性の解析には、プラセボ群で投与に不備があった1例を除く、416例が組み込まれた。 有害事象は、ソラフェニブ群98.6%(204/207例)、プラセボ群87.6%(183/209例)で発生が報告されたが、大部分は、グレード1または2の事象であった。ソラフェニブ群で最も発現頻度が高かった治療に関連する有害事象は、手足皮膚反応(76.3%)で、次いで下痢(68.6%)、脱毛(67.1%)そして皮疹/落屑(50.2%)だった。

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初発の心血管疾患を予測する指標としてHbA1cの有用性は高くない…(コメンテーター:吉岡 成人 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(197)より-

糖尿病は心血管疾患(cardiovascular disease: CVD)の発症・進展に関連したリスク因子であり、糖代謝に関わる臨床指標がCVDの発症と密接に関連しているという結果を示す疫学データは多い。2010年のACC(American College of Cardiology foundation)/AHA(American Heart Association)のガイドラインでは、糖尿病患者ではなくとも、狭心症の症状がない成人におけるCVDのリスクアセスメントにHbA1cの測定は有用ではなかろうかと結論付けられていた。しかし、糖尿病患者におけるHbA1cの測定には臨床的な意味があるが、非糖尿病者ではその有用性がないのではないかという意見もあり、2013年に改訂されたガイドラインでは、HbA1cの測定は推奨されていない。 このような背景のもとに、73件の前向き試験から、糖尿病やCVDの既往がない29万4,998人を抽出して、従来リスク因子(年齢、性別、喫煙状況、収縮期血圧値、総コレステロール値、HDLコレステロール値など)とHbA1cなどの血糖値に関連した代謝指標に関する情報を加えた場合のCVDリスク予測モデルを新たに作成し、アウトカムのリスク層別化(C統計値)、10年リスク予測(低:5%未満、中:5~7.5%未満、高:7.5%以上)の再分類(ネット再分類改善)について検討したEmerging Risk Factors Collaborationのデータが本論文である。  今回の検討では、血糖値に関連した代謝指標として、HbA1c値(<4.5、4.5~<5、5~<5.5、5.5~<6、6~<6.5、≧6.5%)のみならず、空腹時血糖値、随時血糖値、経口ブドウ糖負荷後の血糖値のデータの有用性も検討されている。 検討の対象となった者の登録時における平均年齢は58歳、男女比はほぼ1:1で、86%がヨーロッパまたは北米民族、HbA1c 5.37±0.54%であり、追跡期間は中央値で9.9年、経過中の致死的・非致死的CVDの発生は、2万840例(冠動脈心疾患1万3,237例、脳卒中7,603例)であった。 従来の心血管リスク因子を補正した後の分析において、HbA1c値とCVDリスクとの関連性はJ-カーブを示し、HbA1c値が4.5~5.5%の群におけるハザード比を1とするとそれ以下の群ではハザード比が1.2、HbA1cが6.5%を超える群では1.5となっていた。CVDリスクと血糖値の指標がJ-カーブを示す傾向は、空腹時血糖値、随時血糖値、負荷後血糖値でも同様であった。HbA1c値とCVDのリスクに関しての関連性は、総コレステロール、トリグリセリド、またはeGFR値で補正した場合に相関がわずかに高まったものの、HDLコレステロール、CRPでの補正後には関連性が減弱した。 CVDリスク予測モデルのC統計値(リスクスコアの低い症例のほうが生存期間は長いことを、実際のデータでどのくらいの確率で正しいかを示す値、0.5~1で示される。将来の予測をする時間軸を加味した値)は、従来の心血管リスク因子のみでは0.7434(95%信頼区間[CI]:0.7350~0.7517)。HbA1cに関する情報を追加した場合のC統計値の変化は0.0018(95%CI:0.0003~0.0033)で、10年リスク予測分類のネット再分類改善値は0.42(-0.63~1.48)と報告されている。 75g糖負荷試験における2時間値とCVDの関連が示唆される疫学成績がある一方で、糖尿病患者の食後血糖値に介入して、CVDの発症リスクを軽減できたとする臨床成績はない。一般に、糖尿病ではなくとも食後高血糖や糖負荷後の高血糖を示す場合には、CVDの発症リスクが高まるのではないかと考えられている。しかし、今回の検討からは、非糖尿病患者において、高血糖のマーカーとしてのHbA1cを従来のCVDリスク因子に追加して検討を行っても、CVDの新規発症に関する予測精度が高まるわけではないことが再確認されたといえる。

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de novo B型肝炎の心配は?HBV感染既往RA患者への生物学的製剤投与

 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染既往があり、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を投与している慢性関節リウマチ(RA)患者のHBV再活性化率を検討したところ、5.3%に再活性化を認めたものの、重症肝炎に至った症例はなかったことが、自治医科大学の中村 潤氏らによる研究で明らかになった。このことから、生物学的DMARDsは、HBV感染既往のあるRA患者にとって、安全に使用可能な薬剤であると考えられる。International journal of rheumatic diseases誌オンライン版2014年4月4日号の報告。 HBV感染既往者へ免疫抑制剤や抗がん剤などを投与すると、HBVと宿主の免疫学的均衡が破綻し、HBV再活性化を起こすことがある。HBV再活性化により発症したB型肝炎は重症化しやすく、致死的な転帰に至る(de novo B型肝炎)。 本研究では、自治医科大学附属病院 アレルギー・リウマチ科において、2010年7月から2012年12月まで生物学的DMARDsで治療を行ったHBV感染既往のあるRA患者をレトロスペクティブに検討し、HBV再活性化率を調査した。B型肝炎コア抗原とB型肝炎表面抗原、またはそのどちらかの抗体を持つ患者を「HBV感染既往あり」とし、それらの患者のカルテからHBV-DNA値を含む臨床データを取得して分析した。 主な結果は以下のとおり。・試験期間中、生物学的DMARDsによる治療を行ったRA患者は251例であった。・HBVワクチン接種を行った6例、HBV表面抗原陽性の1例は試験から除外した。・残りの244例中、57例の患者(23.4%)にHBVの感染既往を認めた。・この57例を、2ヵ月~27ヵ月(中央値18ヵ月)追跡し、HBV-DNAの検査を2~27回(中央値7回)行った。・HBV-DNAは、3例(5.3%)の患者(トシリズマブ投与の2例、エタネルセプト投与の1例)で検出されたが、3例ともHBV-DNA値は定量限界を下回っていた(< 2.1 log copies/mL)。・3例とも生物学的DMARDsの投与を継続し、肝機能正常を維持したところ、HBV-DNA値は数ヵ月以内に再び陰性となった。

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脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか

 脳血管性認知症(VaD)患者ではBPSD(認知症の行動・心理症状)の発現により頻繁に非定型抗精神病薬が使用されているが、VaDにおける有効性や安全性に関するエビデンスは不十分である。英国・ロンドン大学のJ Sultana氏らは、VaD患者における非定型抗精神病薬と死亡リスクとの関係を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2014年3月14日号の報告。 対象は、南ロンドンおよびモーズリーNHS財団トラストの電子カルテより抽出した1,531例のVaD患者のうち、2007~2010年にクエチアピン、リスペリドン、オランザピンを使用した337例。主要評価項目は死亡とした。なお、本研究はこれらの薬剤を使用していない患者と比較し、検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・非定型抗精神病薬が使用された患者において、死亡リスクの増加は認められなかった(ハザード比[HR] 1.05、95%信頼区間[95%CI]:0.87~1.26)。・リスペリドン使用患者では死亡リスクは増加しなかった(HR 0.85、95%CI:0.59~1.24)。・クエチアピン使用患者では、未治療患者と比較し死亡リスクの有意な上昇は認められなかった(HR 1.14、95%CI:0.93~1.39、p=0.20)。・オランザピンは患者数が少なく、信頼性の高い結果を得ることができなかった。・本研究では、VaD患者に対する非定型抗精神病薬の使用は、死亡リスクの有意な増加を示さなかった。今後、VaD患者の攻撃性や興奮に対する抗精神病薬による治療のさらなる研究が進み、抗精神病薬による治療の役割を明確にすることが重要である。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

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日本人の皮膚がんリスク、関連遺伝子が判明

 山形大学医学部皮膚科の吉澤 順子氏、同教授の鈴木 民夫氏らは、日本人における皮膚がんリスクと関連するメラニン形成遺伝子異型を調べた。皮膚がん患者198例、対照500例および107例の皮膚がん独立サンプルを分析した結果、複数の眼皮膚白皮症2型(OCA2)遺伝子異型が明確なリスク因子として示唆されたという。ヒトの皮膚の色と皮膚がんのリスクは関連していることが知られている。これまで、色素沈着関連遺伝子異型とコーカサス人種における皮膚がんリスクとの関連については報告があったが、東アジア人種においては同様の報告はされていなかった。Journal of Dermatology誌4月号(オンライン版2014年3月12日号)の掲載報告。 研究グループは、日本人における色素沈着関連遺伝子と皮膚がんリスクとの関連について調べた。 皮膚がん患者198例において、4つの色素沈着関連遺伝子の異型12個とメラニン指数変動の関連を調べ、それらの所見について対照500例と多重ロジスティック回帰分析法を用いて比較した。 さらに、皮膚がん患者107例の独立サンプルについても分析した。 主な結果は以下のとおり。・OCA2における非同義異型のH615Rが、山形グループにおいて悪性黒色腫のリスクと有意に関連していることが認められた(オッズ比[OR]:0.38、95%信頼区間[CI]:0.17~0.86、p=0.020)。・その他にOCA2における非同義異型のA481Tが、大阪グループにおいて、有棘細胞がんと日光角化症のリスクと関連していた(OR:3.16、95%CI:1.41~7.04、p=0.005)。・悪性黒色腫症例において、OCA2 H615Rのマイナー対立遺伝子が、日光に曝露された皮膚病変部位の発生を誘発している可能性が示唆された(OR:26.32、95%CI:1.96~333、p=0.014)。

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小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大

 東京女子医科大学の小国 弘量氏らは、小児期早期の症候性てんかんにおける転倒発作(epileptic drop attack:EDA)について、ミオクロニー失立発作(myoclonic-astatic epilepsy:MAE)との違いを明らかにする検討を行った。その結果、EDAは屈曲側でてんかん性スパスムス(ES)が起きる頻度が最も多く、MAEでみられるような典型的なけいれんの発生はまれであることを明らかにした。今回の所見を踏まえて著者は「臨床では、脳波所見でみられる棘徐波複合の周期的、限局的あるいは多巣性の発現が、ESによるEDAであることを示唆する可能性がある」とまとめている。Brain and Development誌オンライン版2014年4月11日号の掲載報告。 研究グループは、小児期の症候性てんかんにおけるEDAとMAEの違いを明らかにするため、ビデオポリグラフ試験の記録について、両者それぞれの人口統計学的データとともに比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、月齢7ヵ月~6歳までの間に症候性てんかんを有した21例と、EDAと記録され特発性MAEを有した20例であった。・ビデオポリグラフ試験でEDAが記録されたのは、症候性てんかん児においては総計188件(中央値8件)、特発性MAE児では182件(中央値7件)であった。・EDAが記録された症候性てんかん児における、EDAの発生はESによるものであった。そのうち15例の患者では、二相性の緩徐な弧を描く鋭徐波複合、あるいはフラットな背景脳波活動がみられ、4例において、atoticな発作に特徴的な棘徐波複合が、残り2例においてミオクロニー失立発作がみられた。・ESでのEDA発生は、15例のうち8例で周期的なものであった。また脳波検査において、限局性、多巣性、不規則多発性な棘徐波複合が判明した。・16例のMAE患者では、典型的な発作がみられたが、残り4例では、ミオクロニー屈曲発作がみられた。後者はいずれも、高振幅棘波あるいは多発棘波複合が単独でみられた。関連医療ニュース てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか 扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター 小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用

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小児痙攣性てんかん、ロラゼパムの効果はジアゼパムと同等/JAMA

 小児の痙攣性てんかん発作重積状態に対して、ロラゼパム(商品名:ワイパックスほか)がジアゼパム(同:セルシンほか)よりも有効性や安全性が上回ることはなく、両者の治療効果は同等であることが判明した。米国・国立小児病院のJames M. Chamberlain氏らが、11病院を介して273例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。これまでに発表されたいくつかの試験結果では、ロラゼパムがジアゼパムより効果・安全性ともに高いことが示唆されていた。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。被験者を2群に分け、ジアゼパムとロラゼパムを静注 研究グループは、2008年3月~2012年3月にかけて、生後3ヵ月~18歳未満の痙攣性てんかん発作重積状態で、米国内11ヵ所の小児用救急外来を訪れた患者、合わせて273例について試験を行った。 被験者を2群に分け、一方にはジアゼパム0.2mg/kg(140例)を、もう一方にはロラゼパム0.1mg/kg(133例)を静注した。必要に応じて、5分後に半分の用量を追加投与した。12分後にもてんかん発作が継続していた場合には、ホスフェニトイン(商品名:ホストイン)を静注した。 主要有効性アウトカムは、10分以内にてんかん発作重積状態が停止し、30分間無再発であったこととした。副次アウトカムには、てんかん発作の再発率、意識レベルの低下した鎮静状態(Riker Sedation- Agitation Scale[Riker]スコア3未満)の発現率、てんかん発作重積状態停止までの時間、ベースライン時精神状態への回復などを含んだ。 主要安全性アウトカムは、補助呼吸を必要としたかで評価した。 アウトカムの評価は、試験薬投与4時間後に行った。治療有効性は同等、鎮静状態の発現率のみロラゼパム群が高率 結果、主要アウトカムの発生率は、ジアゼパム群で72.1%(140例中101例)、ロラゼパム群で72.9%(133例中97例)と、有効性についての絶対差は0.8%(95%信頼区間[CI]:-11.4~9.8%)だった。補助呼吸を必要とした人は、両群ともに26例で、発生率でみるとジアゼパム群が16.0%、ロラゼパム群が17.6%と、絶対リスク差は1.6%(95%CI:-9.9~6.8%)だった。 副次アウトカムのうち両群で有意差がみられたのは、鎮静状態の発現率で、ロラゼパム群が66.9%に対しジアゼパム群は50%と、絶対リスク差は16.9%(同:6.1~27.7%)だった。

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治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善

 多くの統合失調症女性は、現時点での最適な治療を受けているにもかかわらず症状が持続する。これについて先行研究では、エストロゲン療法の追加が効果的である可能性が示唆されていた。オーストラリア・モナシュ大学のJ Kulkarni氏らは、治療抵抗性の統合失調症女性に対するエストロゲン療法追加の有用性を検討する初の大規模臨床試験を行った。その結果、エストラジオール経皮投与は、プラセボと比較し陽性・陰性症状スコア(PANSS)をはじめとする症状スコアを有意に低下させ、とくに陽性症状に対して高い効果を示すことを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2014年4月15日号の掲載報告。  本試験は、治療抵抗性の統合失調症女性を対象とした初めての大規模無作為化比較試験であり、8週間にわたる3群の二重盲検無作為化対照試験で、2006~2011年に実施された。対象は、18~45歳(平均35歳)で、統合失調症または統合失調症様の障害を有しPANSS スコア60超、抗精神病薬を4週間以上服用しているが症状を認める女性183例であった。平均罹病期間は10年以上であった。エストラジオール200 μgおよび100 μgの経皮投与、またはプラセボパッチを投与した。主要アウトカムはPANSSスコアとし、試験を完了した180例についてベースライン時、7、14、28および56日目に評価した。認識力はベースライン時と56日目に神経心理検査RBANS(Repeatable Battery of Neuropsychological Status)を用いて評価した。データは潜在曲線モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・エストラジオール100μg群、200 μg群とも、PANSS陽性スコア、全般スコアおよび総合症状スコアが、プラセボに比べて有意に低下した(p<0.01)。・その効果は、エストラジオール100μg群に比べ200 μg群のほうが大きかった。・エストラジオール200μg群では、PANSSのサブスケール陽性症状において最大の効果が認められた(エフェクトサイズ:0.44、p<0.01)。・以上のように本研究により、治療抵抗性の統合失調症女性、とくに陽性症状を呈する例において、エストラジオールは有効であり、臨床的意義のある追加治療であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに 妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全

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にきび経口抗菌薬治療、6ヵ月超継続は約18%に減少

 にきび治療における経口抗菌薬治療について、使用期間とコストの変化を保険請求データベースで後ろ向きに分析した結果、使用期間は以前より短縮していることが報告された。米国・ペン ステートミルトンS. ハーシーメディカルセンターのYoung H. Lee氏らによる分析で、6ヵ月超の使用は17.53%であったという。また、6ヵ月超から6ヵ月に短縮したことで、1人当たり580.99ドルのコストが削減されたことも示唆された。にきび治療における経口抗菌薬の治療期間に関する研究は限定的であるが、最近のにきび治療ガイドラインでは、3~6ヵ月とすべきことが示されている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年4月8日号の掲載報告。 分析は、保険請求データベースのMarketScanを用いて、抗菌薬治療期間とコストを抽出して行われた。 主な結果は以下のとおり。・平均治療期間は129日であった。・治療経過のほとんど(93%)が、9ヵ月未満であった。・3万1,634例の経過のうち、1万8,280例(57.8%)では外用レチノイド(商品名:ディフェリン)の併用投与が行われていなかった。・外用レチノイド併用投与例における平均治療期間は133日(95%信頼区間:131.5~134.7日)、非併用例の平均治療期間は127日(同:125.4~127.9日)であった。・抗菌薬治療期間6ヵ月超の平均過剰直接コストは、580.99ドル/人であった。・本分析は、保険請求データベースからの分析のため、診断および医療者の特定、またにきびの重症度が不明であった点で限定的であった。 以上を踏まえて著者は、「以前のデータと比べて抗菌薬使用期間は短縮していた。抗菌薬の使用期間の短縮に注目が集まるなか、5,547例(17.53%)が6ヵ月超であった。6ヵ月超が6ヵ月に短縮されることで、1人当たり580.99ドルのコスト削減となる可能性があった」と示唆している。

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EGFR野生型の非小細胞肺がんに対するEGFR-TKIと化学療法を比較した初のメタアナリシス(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(195)より-

このメタアナリシスは、INTEREST試験、IPASS試験などの有名な試験を含む11の研究において、EGFR野生型の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と通常の化学療法を比較解析したものである。 結論から言えば、現在の臨床に大きな影響は与えないものと考えてよさそうだ。EGFR遺伝子変異陰性例に対して、おおむね通常の化学療法のほうがEGFR-TKIよりも効果的というプラクティスに変わりはない。このメタアナリシスでは、想定よりもEGFR-TKIの効果が高いように見えるが、EGFR-TKIを使用した研究はクロスオーバーが可能なデザインになっており、これが生存期間の解析に大きな影響を与えていることを加味しなければならない。 現在の進行NSCLCに対する治療は、EGFR遺伝子変異が陽性であればファーストライン治療としてEGFR-TKIあるいは白金製剤を用いた併用療法が推奨される。しかし、EGFR遺伝子変異陰性例であっても、セカンドライン以降でエルロチニブのエビデンスが高いことが知られている。ただ、EGFR遺伝子変異陰性例に対するゲフィチニブについては、エルロチニブほど効果が高くないと考えられている。これはINTEREST試験やIPASS試験の結果によるものと思われる(議論の余地がまだまだある論点ではあるが)。2011年にイレッサの添付文書が改訂され、適応はEGFR遺伝子変異陽性例のみとなった。  一方で、前述したとおりエルロチニブはEGFR遺伝子変異陰性例にも効果があると考えられている。有名な試験としてSATURN試験がある。白金製剤を含む併用療法を4サイクル行い、スイッチメンテナンスとしてエルロチニブまたはプラセボを投与した試験である。これによれば、エルロチニブはEGFR遺伝子変異陰性でも無増悪生存期間(PFS)、OSを延長した。また、本メタアナリシスに含まれる研究としては、近年発表されたTAILOR試験がやはりエルロチニブによってPFSを延長している。  厳密にどのキナーゼを阻害するかがEGFR-TKIごとに異なっているため、そもそも第1世代EGFR-TKIとしてまとめてメタアナリシスすることにどこまで意義があるのか、いささか疑問は残るが、本メタアナリシスはEGFR野生型に対するEGFR-TKIと通常の化学療法を比較した初めてのメタアナリシスであるため、今後のEGFR-TKIの研究に参考になることは間違いないだろう。

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50歳以上の潰瘍性大腸炎、発症の陰に「禁煙」

 日本における潰瘍性大腸炎(UC)の発症年齢は、欧米諸国と同様、青年期と中年期の二峰性分布を示すこと、また、禁煙は中年期(50歳以上)のUC発症を増加させる可能性があることが、福岡大学筑紫病院の高橋 晴彦氏らの研究により明らかになった。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版 2014年4月14日号の報告。 喫煙は、消化器系に悪影響を与えるという報告が多いが、UCに関しては、欧米において「喫煙がUCの発症抑制や病態改善につながる」、「禁煙がUCのリスク因子の1つである」といった報告がされている。また、欧米人ではUCの発症ピークが青年期と中年期の二峰性分布を示すというが、日本人を対象とした報告は少ない。 本研究では、日本の大学病院においてUC患者にアンケートを行い、発症年齢の分布および発症との関連が疑われる要因について調査した。 主な結果は以下のとおり。・465例のUC患者のうち、343例がアンケートに回答した。・発症年齢の分布は、大きなピークが10~20歳代、小さなピークが40~44歳、50~60歳代にみられた。・2001年以降にUCと診断された患者の発症年齢は、2000年以前に診断された患者のそれに比べて、高齢だった。・多変量解析の結果、50歳以上でUCを発症した患者は、2000年以前よりも、2001年以降のほうが多かった(オッズ比 4.98、95%CI: 2.21~11.25、p<0.01)。また、一度も喫煙したことのない患者と比べて、禁煙した患者のほうが多かった(オッズ比 2.93、95%CI: 1.40~6.14、p<0.01)。

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認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学

 認知症患者では、嚥下の問題がないにもかかわらず摂食障害が起こりうる。東北大学の目黒 謙一氏らは、アルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)患者における、食物と味覚に関する認知機能を検討した。その結果、AD、VaD患者とも健常人と比較して食物および味覚に関する認知機能が低下していること、味覚認知障害が脳の島皮質の障害と関連していることを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 健常対照(HC)15例、AD患者30例、VaD患者20例を対象とし、食物認知テストと味覚認知テストを行った。食物認知テストでは、日本で一般的な無臭の3つの食物のレプリカを被験者に見せ、それぞれの食物の名称を答えてもらった。その後、食品素材のレプリカを見せ、前述の食物の中にそれが含まれているかどうか質問した。味覚認知テストでは、12 種類の食物のレプリカを見せ、想定される味を質問した。 主な結果は以下のとおり。・食物/味覚認知テストの結果、AD群およびVaD群は、健常対照群と比較してスコアが有意に低かった。・AD群において、これらスコアはMini-Mental State Examination(MMSE)スコアと逆相関の関係にあった。・ADおよびVaD患者50例中12例に、食事の摂取量減少が認められた。その12例のうち8例は味覚認知テストのスコアが低く、この割合は正常な食事量摂取患者における比率よりも高かった。・濾紙ディスクによる味覚検査において、3群間で差はなかった。・島皮質と味覚認知が関連しているという仮説を検証するため、MMSEをマッチさせた2つのADサブグループ(10例 vs. 10例)でPET検査を行ったところ、味覚認知機能が低いサブグループでは、脳の右島皮質の糖代謝がより低下していた。・VaD 患者においても、島領域で同所見がみられる場合、味覚認知が障害されていた。・以上より、認知症患者の介護に際しては、食事摂取という観点から認知機能を考慮することが重要だと考えられた。関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

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慢性高血圧の妊婦、加重型妊娠高血圧腎症発生は約8倍/BMJ

 慢性高血圧の妊婦では有害転帰が高率にみられることが、英国・ロンドン大学のKate Bramham氏らによるメタ解析(55試験・妊娠約80万例)の結果、明らかにされた。米国での試験集団に絞って同国一般集団と比較した分析からは、加重型妊娠高血圧腎症リスクが約8倍高いことが示された。また、早産、低体重児、およびNICU入室リスクは約3倍、周産期死亡リスクは約4倍高いことなども示された。結果を踏まえて著者は、「慢性高血圧の妊婦については、出産前サーベイランス強化の必要性が示された」と述べるとともに、「今回の所見をカウンセリングで通知し、慢性高血圧を有する女性における至適な母性保健、薬物治療、妊娠前治療に寄与すべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年4月15日号掲載の報告より。55試験、妊娠79万5,221例をメタ解析 研究グループは、慢性高血圧を有する女性の妊娠に伴う合併症について正確に評価すること、また米国一般妊婦集団などとの比較により、妊娠前および出産前マネジメント戦略に情報を提供することを目的としたシステマティックレビューとメタ解析を行った。 Embase、Medline、Web of Scienceをソースに、各媒体の発刊から2013年6月までに刊行された論文を言語を問わずに検索し、関連論文の参考文献や追加報告の手動検索も行った。対象試験は、慢性高血圧の妊婦が参加している、後ろ向きおよび前向きコホートの住民ベース無作為化試験を適格とした。 報告されていた各妊娠アウトカムの発生をプールして分析し、また米国で行われた試験結果について、米国一般集団(2006年National Vital Statistics Report)の発生と比較した。 解析には、適格条件を満たした55試験、妊娠79万5,221例が組み込まれた。早産・低体重児・NICUリスクは約3倍、周産期死亡リスクは約4倍 結果、慢性高血圧の妊婦は、次のアウトカムが高かった。加重型妊娠高血圧腎症25.9%(95%信頼区間[CI]:21.0~31.5%)、帝王切開41.4%(同:35.5~47.7%)、37週未満の早産28.1%(同:22.6~34.4%)、出生時体重2,500g未満16.9%(同:13.1~21.5%)、NICU入室20.5%(同:15.7~26.4%)、周産期死亡4.0%(同:2.9~5.4%)であった。ただし、これらのアウトカムの発生報告には、いずれもかなりの不均一性があった(τ2=0.286~0.766)。そのため、メタ回帰分析による人口統計学的要因の特定はできなかった。 米国で行われた試験の被験者と同国一般集団との比較からは、慢性高血圧を有する妊婦のリスクが以下について高いことが示された。加重型妊娠高血圧腎症の相対リスクは7.7(95%CI:5.7~10.1)、帝王切開1.3(同:1.1~1.5)、37週未満の早産2.7(同:1.9~3.6)、出生時体重2,500g未満2.7(同:1.9~3.8)、NICU入室3.2(同:2.2~4.4)、周産期死亡4.2(同:2.7~6.5)であった。

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食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ

 食事は、不良な健康状態の、修正可能な単一の主要因である。食事に含まれる特定の脂肪酸には健康に有益あるいは有害な作用があり、食事に起因する疾患には複合的な関連性があることが知られているが、食事由来の主要な脂肪酸/油脂の消費に関する全国的なデータを公表している国はほとんどないという。米国ハーバード公衆衛生大学院のRenata Micha氏らは、今回、大規模な調査を行い、食事由来の脂肪酸/油脂の世界的な摂取状況には、国によってきわめて大きな多様性があることを明らかにした。BMJ誌2014年4月15日号掲載の報告。約163万人のデータを国別、年齢別に解析 本試験は、1990年と2010年における食事由来の脂肪酸/油脂の世界的な摂取状況を定量的に検討することを目的に、2010 Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors(GBD)研究の一環としてNutrition and Chronic Diseases Expert Group(NutriCoDE)によって実施された。 世界の食事関連調査の文献を同定し、健康に影響を及ぼす主要な食事由来脂肪酸(飽和、ω-6、魚介由来ω-3、植物由来ω-3、トランス)とコレステロールに関するデータを抽出し、国別、年齢別、性別の評価を行った。 成人を対象とした266の調査(221[83%]件が全国代表的調査)に参加した163万69人(世界187ヵ国中113ヵ国、世界人口の82%に相当)のデータを使用し、解析には多段階階層ベイズモデルを用いた。全般に推奨値の達成度は不十分だが、必須脂肪酸の摂取量は増加傾向に 2010年の世界における、飽和脂肪酸の1日総エネルギー摂取量に占める割合(%E)の平均値は9.4%Eであり、ガイドラインなどで推奨される適正摂取量(<10%E)を満たしていたが、187ヵ国間で2.3~27.5%Eと大きなばらつき(最大が最小の12.2倍)がみられ、<10%Eの推奨値を満たしたのは75ヵ国(世界全体の61.8%に相当)であった。 ω-6多価不飽和脂肪酸の摂取率の世界的な平均値は5.9%Eで、推奨値(≧12%E)の半分に過ぎず、国別で1.2~12.5%Eと広範囲(10.5倍)にわたり、≧12%Eを満たしたのは187ヵ国中1国(ブルガリア、0.1%)のみであった。また、≧5%Eを満たした国も94ヵ国(52.4%)に過ぎなかった。 トランス脂肪酸の平均摂取率は1.4%Eと、推奨値(<0.5%E)を超えており、国別範囲は0.2~6.5%E(28.1倍)で、<0.5%Eを満たしたのは12ヵ国(0.6%)のみであった。 一方、食事由来コレステロールの世界的な1日平均摂取量は228mg/日で、国別間で97~440mg/日と差があり(4.5倍)、推奨値(<300/mg/日)を満たしたのは155ヵ国(87.6%)であった。日本(347mg/日)は推奨値を上回っており、パラグアイと並び世界で7番目に摂取が過剰な国であった。 魚介由来ω-3多価不飽和脂肪酸の平均摂取量は163mg/日、国別の範囲は5~3,886mg/日(840倍)で、推奨値(≧250mg/日)を満たしたのは45ヵ国(18.9%)であった。日本は718mg/日で世界8位であり、冠動脈疾患リスクとの関連の解析では994.6mg/日で世界3位であった。 植物由来ω-3多価不飽和脂肪酸は1,371mg/日、2~5,542mg/日(2,731倍)で、52ヵ国(43.9%)が推奨値(≧0.5%Eまたは食事2,000kcal/日当たり1,100mg以上)を満たしていた。 全般に、トランス脂肪酸の摂取量は若年層で多く、食事由来コレステロールや魚介由来ω-3多価不飽和脂肪酸は高齢層で多い傾向がみられた。また、摂取量に性差は認められなかった。 1990年と2010年とでは、飽和脂肪酸や食事由来コレステロール、トランス脂肪酸の摂取量に大きな変化はなかったが、ω-6多価不飽和脂肪酸や魚介由来、植物由来のω-3多価不飽和脂肪酸の摂取量は20年間で増加していた。 著者は、「食事に含まれる脂肪酸/油脂の摂取状況は、国によってきわめて大きな差があることが明らかとなった」とまとめ、「これらの新たなデータは、国際保健の改善に向けた施策や優先度を検討する際に有用な情報となるだろう」と指摘している。

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電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は?

 うつ病は主たる精神疾患で世界中の何百万人もが罹患しており、WHOでは障害の主要な一因としている。重度のうつ病において電気けいれん療法(ECT)は確立された治療であるが、不快感とECTに誘発される強直間代けいれんという有害な副作用を最小限に抑えるため、静脈麻酔が使用される。しかし、麻酔薬の種類によるうつ症状軽減効果や有害作用への影響は明らかになっていない。中国・重慶大学附属病院のPeng Lihua氏らは、うつ病に対するECTにあたって使用される静注麻酔薬について、うつ症状軽減効果や有害作用への影響を比較検討するためレビューを行った。Cochrane Database Systematix Reviewsオンライン版2014年4月11日号の掲載報告。  研究グループは、ECT施行中の成人うつ病患者において、静注催眠・鎮静薬の相違が抗うつ効果、回復および発作期間に及ぼす影響を評価することを目的としたレビューを行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年の12号分)、MEDLINE via Ovid SP、およびEMBASE via Ovid SP(いずれも1966~2012年12月31日まで)を用いて検索した。関連記事は手作業で検索し、言語を制限することなく適用した。検索対象は、ECTに対して種類の異なる催眠・鎮静薬の有効性を評価している無作為化比較試験(RCTs)およびクロスオーバー試験とし、プラセボまたは吸入麻酔薬を使用している試験・研究および麻酔薬を使用していない試験は除外した。 2名のレビュワーが試験の質を独立して評価し、データを抽出した。可能な場合はデータを蓄積し、Cochrane Review Manager statistical package(RevMan)を用いて、リスク比(RR)と平均差(MD)をそれぞれ95%信頼区間(CI)と共にコンピュータで算出した。 主な結果は以下のとおり。・1994~2012年に報告された18件のRCT(599例)がレビューの対象となった。・大半がバイアスリスクの高い試験であった。・6種類の静脈麻酔薬を比較検討した結果を解析したほか、プロポフォールとメトヘキシタール(国内未承認)を比較した4件の試験、プロポフォールとチオペンタールを比較した3件の試験を併合して解析を行った。・プロポフォールとメトヘキシタールの比較において、うつスコアの軽減に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。ただし分析に含んだ4件の試験では、うつスコアの差を検出するデザインとされていなかった。・プロポフォール群はメトヘキシタール群と比較して、脳波(EEG)の発作持続時間ならびに運動発作の期間が短かった(エビデンスの質:低)。・プロポフォールとチオペンタールの比較において、EEG発作期間に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。・チオペンタール麻酔後の被験者は、プロポフォールに比べて回復までの時間(命令に従う)が長かった(エビデンスの質:低)。・その他の麻酔薬の比較に関しては、1件の試験または不十分なデータしかなかった。・検討対象とした試験において有害事象に関する報告は不十分であったが、麻酔薬に関連する死亡の報告はなかった。・今回、多くの試験でバイアスリスクが高く、エビデンスの質は概して低かったほか、臨床的に明らかなうつスコアの差を検出するようデザインされていなかった。著者は、「麻酔薬は有害事象プロファイル、すなわち発作の出現と発作期間に及ぼす影響に基づいて選択されるべきである」と指摘している。・十分に長期の発作を導き出すのが困難だとすれば、メトヘキシタールはプロポフォールに比べ優れている可能性があった(エビデンスの質:低)。・もし麻酔からの回復がゆっくりであれば、プロポフォールはチオペンタールに比べ命令に応じるまでの時間(回復までの時間)がより早い可能性があった(エビデンスの質:低)。・エトミデード(国内未承認)による副腎抑制は、いずれの試験でも臨床的な懸念事項として示されていなかった。・静脈催眠・鎮静薬の最適な用量はいまだ不明であった。有害事象を最小限に抑えつつ、うつスコアを最大限に改善する静注麻酔薬を明らかにするため、より大規模の十分にデザインされた無作為化試験が求められる。関連医療ニュース うつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法 ECTが適応となる統合失調症患者は? 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

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