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どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか

 統合失調症および関連精神障害、双極性障害や大うつ病性障害を有する患者のメタボリックシンドローム(MetS)およびその構成症状(肥満、高血圧、HDLコレステロール低値など)のリスクについて、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のDavy Vancampfort氏らはシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、重症の精神疾患を診断されたサブグループでは、MetSのリスクが同程度に上昇がみられることを明らかにした。著者らは、「これらの人には、ルーチンのスクリーニングと多職種専門家による内科的・行動マネジメントが必要である。また、治療選択の際には、個々人の抗精神病薬リスクを考慮しなければならない」と述べている。World Psychiatry誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、MetSおよびその構成症状が心血管疾患を高度に予測するとして本検討を行った。主要目的は、統合失調症および関連精神障害、双極性障害、大うつ病性障害を有する人のMetSとその構成症状の有病率を調べ、人口統計学的変数および精神科薬物療法を考慮したうえで、異なる精神障害間で比較することであった。副次目的は、選択した精神障害を有する患者のMetS有病率を適合した一般集団(対照)と比較することであった。レビューは2人の著者が、2015年1月1日時点でMEDLINE、PsycARTICLESなどで論文を検索し、包含基準を満たした論文のデータをプールし分析した。 主な結果は以下のとおり。・429件の論文が検索され、198件が包含基準を満たした。最終サンプル比較対象の重症の精神疾患(SMI)患者は5万2,678例であった。平均年齢41.3歳、平均罹病期間は12.4年。喫煙頻度が報告されていたのは1万2,560例で、喫煙率は50.4%であった。平均BMIは27.3であった。・これらSMIのMetS有病率は、32.6%(95%信頼区間[CI]:30.8~34.4%)であった。・異なる精神障害間の有病率を比較した相対リスクのメタ解析では、統合失調症 vs.双極性障害(39.2% vs.35.5%、10試験、相対リスク[RR]:0.92、p=0.24)、また双極性障害 vs.大うつ病性障害(29.2% vs.34.0%、4試験、RR:0.87、p=0.64)における有意差は示されなかった。統合失調症 vs.大うつ病性障害の比較試験は2件のみで、メタ解析ができなかった。・最終の人口統計学的回帰モデルにおいて、高年齢、BMI高値が、有意なモデレーターであることが示された(z=-3.6、p=0.0003、r2=0.19)。・抗精神病薬治療を受けていた人は、未治療群と比較して、MetSリスクが有意に高かった(p<0.001)。・MetSリスクは、クロザピン、次いでオランザピン服用群で他の抗精神病薬服用群よりも有意に高かった。一方、アリピプラゾール服用群のリスクは、他の抗精神病薬(amisulprideを除く)よりも有意に低かった。・適合一般集団対照との比較において、SMI患者は、MetSリスクが有意に高かった(RR:1.58、95%CI:1.35~1.86、p<0.001)。また、MetS構成症状リスクは、高血圧(p=0.07)以外は有意に高かった。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学  担当者へのご意見箱はこちら

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重症再生不良性貧血患者へ、もう一度alloHSCTを行うべきか

 1998~2009年にEuropean Society for Blood and Marrow Transplantationに報告された、再同種造血幹細胞移植(alloHSCT)を実施した患者162例の結果を、イタリア・Azienda Ospedaliera Universitaria Integrata VeronaのSimone Cesaro氏らが分析した。その結果、重症再生不良性貧血患者の移植失敗例に対する再alloHSCTの実施は、実行可能なレスキューオプションであり、60%で良好な結果が得られると報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・同胞ドナー110例、非血縁ドナー52例であった。・幹細胞ソースは、骨髄が31%、末梢血が69%であった。・最初のalloHSCTと同じドナーが81%で使用され、幹細胞ソースの変更は56%で認められて(主に、骨髄から末梢血に変更)。・好中球の生着は中央値15日で85%、血小板の生着は中央値17日で72%であった。・GradeII~IVの急性移植片対宿主病(GVHD)は21%、慢性GVHDは37%で発生した。・移植失敗患者は42例(26%)であった。・中央値3.5年のフォローアップ後、5年全生存率(OS)は60.7%であった。・多変量解析では、有意に良好な結果と関連する唯一の因子として、Karnofsky/Lansky score80以上があり、高いOSと関連していた。 重症再生不良性貧血患者の移植失敗例に対し、再alloHSCTは実行可能なレスキューオプションであり、60%で良好な結果が得られる。(ケアネット 鷹野 敦夫)血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news原著論文はこちらCesaro S, et al. Br J Haematol. 2015;171:606-614.

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肺動脈ワイヤレス・モニタリングの長期有効性を確認/Lancet

 埋込式圧センサーで肺動脈圧をモニタリングする「CardioMEMS」システムについて、NYHA心機能分類III患者を対象とした無作為化試験CHAMPIONの延長フォローアップ試験の結果が発表された。通常ケアのみと比べて心不全による入院発生は有意に低く、長期的ベネフィットが確認されたという。米国・オハイオ州立大学のWilliam T Abraham氏ら試験グループが報告した。同試験については6ヵ月時点で、通常ケアと比較して心不全入院発生の有意な低下が確認されていた。研究グループはシステムの長期有効性を調べるため、モニタリング群を18ヵ月時点で評価する延長試験を、また対照群について圧情報アクセスをオープンとしてその臨床的効果を調べるため13ヵ月間の追加試験を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月6日号掲載の報告より。通常ケアのみ群を対照に無作為化試験 CHAMPION試験は、前向き並行群間比較の単盲検多施設共同にて、NYHA心機能分類IIIの症候性心不全で入院歴のある患者を登録して行われた。患者は、センターでのコンピューター割り付けで、モニタリング群と対照群に無作為に割り付けられた。モニタリング群は、日々のアップロード肺動脈圧を用いた薬物療法が行われ、対照群は同利用のない薬物療法が行われたが、ガイドラインに基づく標準的な治療、デバイス、疾病管理戦略のすべてが行われた。 モニタリング群の患者は患者の登録が終了するまで割り付けを知らされず、最低6ヵ月間の追跡を受けた(無作為化アクセス期間)。平均追跡期間は18ヵ月間であった。 同期間終了とともに、研究者は全患者について肺動脈圧モニタリングを行いながら治療を行う13ヵ月間のフォローアップを行った(オープンアクセス期間)。 主要アウトカムは、無作為化アクセス期間およびオープンアクセス期間における、モニタリング群と対照群の入院発生率で、intention to treat解析にて評価した。無線システム使用群の心不全入院率は33%低下 2007年9月6日~09年10月7日に、550例の患者をモニタリング群(270例)または対照群(280例)に無作為に割り付けた。 無作為化アクセス期間は2010年8月に完了し、347例の患者(モニタリング群177例、対照群170例)が、オープンアクセス期間に移行、2012年4月30日まで追跡を受けた。 結果、無作為化アクセス期間において、心不全入院率は、対照群と比較してモニタリング群で33%低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.55~0.80、p<0.0001)。 治療ガイドのための肺動脈圧情報が入手可能となったオープンアクセス期間(13ヵ月間)において、対照群の心不全入院率は、無作為化アクセス期間よりも48%減少した(HR:0.52、95%CI:0.40~0.69、p<0.0001)。 有害事象などの報告は、デバイスまたはシステム関連の合併症が8例(1%)、処置関連の有害事象の7例(1%)であった。

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多発性骨髄腫に対するVTD療法 vs. VTDC療法、長期アウトカム比較

 多発性骨髄腫の導入療法として、VTD療法(ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン)とVTDC療法(VTD+シクロホスファミド)の長期アウトカムの違いを評価するため、オーストリア・Wilhelminenがん研究所のHeinz Ludwig氏らは、無作為化第II相試験のフォローアップ結果を報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。 多発性骨髄腫の新規診断患者98例をVTD(ボルテゾミブ静注[1.3mg/m2、第1、4、8、11日目]+サリドマイド[100mg、第1~21日目]+デキサメタゾン[40mg、第1~4日目および9~12日目])群とVTDC(VTD+シクロホスファミド[400mg/m2、第1、8日目])群に1:1で割り付け、幹細胞動員・移植前に4サイクル(21日/サイクル)実施した。 主な結果は以下のとおり。・中央値64.8ヵ月のフォローアップ後、次の治療までの期間(中央値)は、VTD群で51.8ヵ月、VTDC群で47.9ヵ月であった。・その後の治療内容は、両群とも類似していた。・中途打ち切りを調整後、進行までの期間(中央値)は、VTD群(35.7ヵ月)とVTDC群(34.5ヵ月)との間で有意な差は認められなかった(HR 1.26、95%CI:0.76~2.09、p=0.370)。・5年生存率は、VTD群で69.1%、VTDC群で65.3%であった。・微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の有無により分析すると、骨髄で完全奏効(CR)が確認された患者の全生存期間は、MRD陽性と比較しMRD陰性で長かった(HR 3.66、p=0.0318)。・VTD療法に続く移植は、多発性骨髄腫の長期コントロールを可能とする。1次解析の結果と一致し、VTD療法にシクロホスファミドを追加することによるメリットは示されなかった。(ケアネット 鷹野 敦夫)血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news原著論文はこちらLudwig H, et al. Br J Haematol. 2015;171:344-354.

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新規抗てんかん薬P3、てんかん部分発作の補助治療に有用

 米国・Mid-Atlantic Epilepsy and Sleep Center のPavel Klein氏らは、選択的高親和性シナプス小胞タンパク質2Aリガンドであるbrivaracetam(BRV、国内未承認)の、てんかん部分(焦点)発作(POS)の補助治療としての有効性と安全性を明らかにする、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。その結果、発作頻度の減少および反応率のいずれにおいても、BRV100mg/日およびBRV200mg/日投与はプラセボに比べ有意に優れ、忍容性も良好であることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2015年10月16日号の掲載報告。 試験は、16歳以上80歳未満のPOS成人男性におけるBRVの有効性と安全性/忍容性を明らかにすることを目的とした。1~2種類の抗てんかん薬によってもコントロール不良なPOS患者を対象とし、初回診察前90日以内にレベチラセタムの投与を受けた患者は除外した。8週間のベースライン期を経た後、被験者をプラセボ群、BRV100mg/日群、BRV200mg/日群に1対1対1に無作為に割り付け、漸増することなく12週間治療を行った。主要有効性アウトカムは2つで、28日目の調整POS頻度のプラセボに対する減少率と、ベースラインから治療期までのPOS頻度減少率に基づいて算出した反応率(50%以上)とした。 主な結果は以下のとおり。・768例が無作為化され、有効性の解析対象症例は760例であった(プラセボ群259例、BRV100mg/日群252例、BRV200mg/日群249例)。・28日目の補正後発作頻度のプラセボ群に対する減少率(95%信頼区間[CI])は、BRV100mg/日群22.8%(13.3~31.2%、p<0.001)、BRV200mg/日群23.2%(13.8~31.6%、p<0.001)であった。・50%以上の反応率は、プラセボ群21.6%、BPV100mg/日群38.9%(プラセボに対するオッズ比:2.39、95%CI:1.6~3.6、p<0.001)、BRV200mg/群37.8%(同:2.19、1.5~3.3、p<0.001)であった。・治療下で発現した有害事象は、プラセボ群では261例中155例(59.4%)、BRV投与群(安全性解析対象症例)では503例中340例(67.6%)であった。・治療下で発現した有害事象による治療中止率は、プラセボ群3.8%、BPV100mg/日群8.3%、BRV200mg/日群6.8%であった。・最も高頻度に認められたTEAE(プラセボ vs.BRV)は、眠気(7.7% vs.18.1%)、めまい(5.0% vs.12.3%)、疲労(3.8% vs.9.5%)であった。関連医療ニュース 高齢てんかん患者への外科的切除術は行うべきか てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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糖尿病治療中こそ禁煙が大事!

糖尿病とタバコの関係 喫煙により、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)が知られています。 現在は糖尿病でない方も、糖尿病になる可能性も上がります。 血管に負担がかかるため、腎機能障害が進みやすく透析になってしまう確率も上がります。2 糖尿病患者が喫煙をすると、喫煙をしない場合に対して死亡率が1.55倍に上昇するという結果が報告されました。1-糖尿病患者の死亡リスク1.55非喫煙者喫煙者Pan A, et al. Circulation. 2015 Aug 26. [Epub ahead of print]糖尿病治療中の方こそ、禁煙が大事です!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。1978~2011年の住民ベース医療レジストリデータを分析 研究グループは、百日咳が長期てんかんリスクと関連しているかどうかを調べるため、デンマーク全病院をカバーする住民ベースの医療レジストリの中から、1978~2011年に生まれ百日咳を有した(入院または病院外来部門で百日咳と診断)全患者コホートを特定し、2011年末まで追跡した。また、Civil Registration Systemを用いて、百日咳患者1例につき10例の、性別と出生年を適合させた一般集団からの対照を特定した。 主要評価項目は、てんかん累積発生率およびハザード比(百日咳コホート vs.一般集団コホート)で、出生年、性別、母親のてんかん歴、先天奇形の有無、在胎月齢で補正を行い評価。個人認証データシステムと突合して死亡、転居、病院受診についてフォローアップを完遂した。罹患児の10歳時点のてんかん累積発生率1.7%、一般集団は0.9% 対象期間中の百日咳患者は、4,700例(48%が男児)であった。53%が6ヵ月未満での罹患で、出生年別にみると1993~97年が23%と最も多く、直近の2008~11年が4%と最も少なかった。 患者群のうち90例が、フォローアップ中にてんかんを発症した(罹患率1.56/1,000人年、対照群[511例]罹患率は0.88/1,000人年)。 10歳時点のてんかん累積発生率は、百日咳患者群が1.7%(95%信頼区間[CI]:1.4~2.1%)、対照群は0.9%(同:0.8~1.0%)であった。補正後ハザード比は1.7(同:1.3~2.1)であった。

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FDA、第3世代TKI(AZD9291)を承認

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者[CEO]:パスカル・ソリオ、以下、アストラゼネカ)は、2015年11月13日、AZD9291(商品名:TAGRISSO)80mg錠が、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行した転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表。AZD9291はFDAにより、迅速審査、画期的治療薬、優先審査および迅速承認のステータスを付与されていた。 AZD9291のFDA承認は、EGF-TKIの使用中または使用後に病勢進行した411例のEGFR T790M変異陽性NSCLCにおいて、有効性を示した2つのAURA第II相試験(AURA第II相延長試験、AURA2試験)のデータに基づいている。  AZD9291の頻度の高い有害事象は、下痢(全グレード:42%、グレード3/4:1%)、発疹(全グレード:41%、グレード3/4:0.5%)、皮膚乾燥(全グレード:31%、グレード3/4:0%)、爪毒性(全グレード:25%、グレード3/4:0%)であった。警告・使用上の注意には間質性肺疾患、QT間隔延長、心筋症、および胎児毒性が含まれる。 AZD9291のコンパニオン診断薬として、cobas EGFR Mutation Test v2も承認された。アストラゼネカ株式会社プレスリリースはこちら。FDAのプレスアナウンスメントはこちら。

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英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。英国一般診療所526施設のデータを分析 研究グループは、英国一般診療所における複数タイプの潜在的有害処方の有病率を調べ、また診療所間にばらつきがあるかどうかについて調べた。2013年4月1日時点でClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録された526施設において、診断と処方の組み合わせで特定した潜在的処方リスクやモニタリングエラーの可能性がある全成人患者を包含した。 主要アウトカムは、抗凝固薬、抗血小板薬、NSAIDs、β遮断薬、glitazone(チアゾリジン系糖尿病薬:TZD)、メトホルミン、ジゴキシン、抗精神病薬、経口避妊薬(CHC)、エストロゲンの潜在的に有害な処方率。また、ACE阻害薬およびループ利尿薬、アミオダロン、メトトレキサート、リチウム、ワルファリンの反復処方患者の、血液検査モニタリングの頻度が推奨値よりも低いこととした。不適切処方、モニタリング欠如は指標によりばらつき、診療所間のばらつきも高い 全体で94万9,552例のうち4万9,927例(5.26%、95%信頼区間[CI]:5.21~5.30%)の患者が、少なくとも1つの処方安全指標に抵触した。また、18万2,721例のうち2万1,501例(11.8%、11.6~11.9%)が、少なくとも1つのモニタリング指標に抵触した。 同処方率は、潜在的処方リスクタイプの違いでばらつきがみられ、ほぼゼロ(静脈または動脈血栓症歴ありでCHC処方:0.28%、心不全歴ありでTZD処方:0.37%)のものから、10.21%(消化器系潰瘍または消化管出血歴ありで消化管保護薬処方なし、アスピリンやクロピドグレル処方あり)にわたっていた。 不十分なモニタリングは、10.4%(75歳以上、ACE阻害薬やループ利尿薬処方、尿素および電解質モニタリングなし)から41.9%(アミオダロン反復処方、甲状腺機能検査なし)にわたっていた。 また、高齢者、多剤反復処方患者で、処方安全指標の抵触リスクが有意に高かった一方、若年で反復処方が少ない患者で、モニタリング指標の抵触リスクが有意に高かった。 さらに、いくつかの指標について診療所間での高いばらつきもみられた。 なお研究グループは、処方安全性指標について、「患者への有害リスクを増大する回避すべき処方パターンを明らかにするもので、臨床的に正当なものだが例外も常に存在するものである」と述べている。さらに、検討結果について「いくつかの診療について、CPRDで捕捉できていない情報がある可能性もあった(ワルファリンを投与されている患者のINRなど)」と補足している。

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想像以上に難しいRAの「バイオフリー」

 現在、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)は多くの関節リウマチ(RA)患者で使用されているが、寛解時にbDMARDsの使用を中止しても疾患コントロールができる患者はどれくらいの割合で存在するのだろうか。ハーバード大学の吉田 和樹氏らは、日常診療における寛解時にbDMARDsを中止した場合の影響について調査を行ったところ、bDMARDsフリーによるclinical disease activity index(CDAI)寛解は高確率で失敗に終わることがわかった。この結果は、一度寛解に至った後も疾患コントロールを行うことが難しいことを示している。ただし、寛解を維持した患者の中には非生物学的製剤治療の変更を行った者もいた。bDMARDsの費用が高額であることを考慮すれば、bDMARDsの中止後に疾患コントロールを行う治療戦略は重要な選択肢である可能性がある。Rheumatology誌オンライン版2015年9月8日号の掲載報告。 調査では、わが国におけるRA患者の多施設登録データベース「Ninja」のデータを用いた。bDMARDsを使用しており、かつbDMARDs中止前のCDAI 2.8以下の寛解が1回以上ある患者を対象とした。bDMARDsフリーによる疾患コントロールの失敗は「bDMARDsの再使用」「non-bDMARDs・経口ステロイドの増量」「CDAI寛解の喪失」により定義された。 主な結果は以下のとおり。・bDMARDsで寛解を達成した1,037例のうち、46例でbDMARDsを中止した。・46例のうち41例(89.1%)が女性であり、罹病期間の中央値は6年で、31例(70.5%)でレントゲン上にびらんが観察された。・46例のうち27例(58.7%)がメトトレキサートを用いており、19例(41.3%)が経口ステロイドを用いていた。・bDMARDsフリーの寛解喪失率は1年で67.4%、2年で78.3%と推定された。・多くみられたbDMARDsフリーによる疾患コントロール失敗の理由は、CDAI寛解喪失とbDMARDs再使用であった。・寛解中のCDAIの値が低いほど、疾患コントロール失敗も少なかった。

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産後女性の精神症状軽減へ、ハーブティーの可能性

 出産後の女性において、睡眠の質を確保することは重要な問題である。カモミールは、催眠鎮静作用を有するといわれていることから、広く民間療法として使用されている。台湾・輔英科技大学のShao-Min Chang氏らは、カモミールが出産後女性の睡眠の質や疲労、うつ病に及ぼす影響を評価した。Journal of advanced nursing誌オンライン版2015年10月20日号の報告。 プレテスト・ポストテストデザインの無作為化対照試験を実施した。対象は、睡眠の質が悪い出産後の台湾女性80人(2012年11月~2013年8月、PSQS[Postpartum Sleep Quality Scale]スコア16以上)。対象者を、介入群40人、対照群40人にランダムスタートで系統的に割り付けた。介入群は、2週間カモミールティーを飲むように指示された。対照群は、定期的な産後ケアのみを受けた。PSQS(産後睡眠の質スケール)、エジンバラ産後うつ病スケール、Postpartum Fatigue Scale(産後疲労スケール)を用い評価した。2標本t検定は、2群間のアウトカム変数の平均差を使用した。 主な結果は以下のとおり。・対照群と比較し、介入群は身体症状関連の睡眠の非効率(t=-2.482、p=0.015)とうつ症状(t=-2.372、p=0.020)において有意に低い得点を示した。・しかし、3つの評価尺度すべてにおいて、試験後4週時点で両群とも同様であり、カモミールティーの効果は短期的なものに限定されていることが示唆された。 結果を踏まえ、著者らは「カモミールティーは、産後女性のうつ病や睡眠の質の問題を軽減する補助的なアプローチとして勧めることができる」とまとめている。関連医療ニュース 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は 栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

 最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。 ところで、厳格降圧群の平均収縮期血圧(SBP) は121.5mmHg未満と、半数は120mmHg未満を達成していない。IDNT試験の層別解析では、腎イベントはSBPが120mmHg未満を達成しても一層の効果はなく、全死亡はSBP 120mmHg以下でむしろ増え、Jカーブとなっている。SBPの達成血圧値による、より詳細な分析が必要と考える。桑島氏も指摘のとおり、SPRINT試験では心不全に対する効果が、結果に大きく影響していると思われる。使用薬剤は、RA系抑制薬使用が厳格治療群76.7%に対して標準治療群で55.2%、サイアザイド系利尿薬が54.9%対33.3%、β遮断薬が41.1%対30.8%、アルドステロン拮抗薬が8.7%対4.0%と、降圧作用だけではなく心不全治療としてもかなり濃厚なものとなっている。そして、高齢者の血圧管理についても厳格降圧群で優れる結果となっている。 しかし、75歳以上の後期高齢者での両群の達成血圧値が提示されておらず、この群においても実際にSBP 120mmHg未満を達成した例がどれだけいたかは不明である。また、施設入所の高齢者は含まれておらず、ADLの保たれている高齢者のみが対象である。重篤な合併症は低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害が厳格降圧群で有意に多く、限られた例数の75歳以上の後期高齢者群でも、低Na血症と急性腎障害が有意に多かった。著者らはこの結果から“メリットとデメリットをはかりにかけて目標値を考慮”との表現をしているが、はたして75歳以上の後期高齢者の高血圧に対し、降圧薬を増量してSBP 120mmHg未満を目指すことを、実地臨床で踏み切れるだろうか。 わが国では、高齢者高血圧の治療介入試験でJATOS試験やVALISH試験の成績があり、今回のSPRINT試験とは違う結果である。欧米との病態の違い、背景因子の違いなどがあり、必ずしもSPRINT試験の結果をそのまま演繹する必要はないと考える。日本人を対象とした同様の研究を考慮する必要があると考える。関連コメントSPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖 氏)SPRINT試験:絶対リスクにより降圧目標を変えるべきか?(解説:有馬 久富 氏)

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循環器内科 米国臨床留学記 第3回

第3回:米国の循環器フェローの生活 今回は米国における循環器フェローシップのトレーニングや生活を具体的にみてみたいと思います。2015年、CORECATS(Core Cardiovascular Training Statement)と呼ばれる循環器トレーニングの指針が改訂され、JACC(Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer)で発表されました1)。186ページにもわたる大ボリュームです。この内容も踏まえながら、今回は米国のトレーニングをもう少し詳しくみてみたいと思います。待遇:苦しいフェロー生活! フェローシップにおいてお金の話は避けて通れません。まずはここから始めましょう。 一般に、米国の循環器フェローの給料は6万ドル、税金を引くと月給にして4,000ドル前後です。NYや西海岸などでは、家賃だけで給料の6割から7割近くを占めますし、幼稚園などはすごく高く、私の住むアーバイン(カリフォルニア州)では1人当たり1,000ドルを超えます。ですから、この給料でやっていくのは家族連れには不可能です。ですから、日本人の臨床留学の仲間が集まると、たいていどれだけ貧乏かという話に落ち着きますし、家族の理解なしでは米国での臨床留学は成り立ちません。 米国人のレジデントは、医学部卒業時で10万ドル(1,200万円)を超える借金、なんと36%が20万ドルを超えた借金を抱えています。(Leslie Kane and Carol Peckham. Residents Salary and Debt Report 2014. Medscape, FAMILY MEDICINE.) 結果、多くのフェローがmoonlighting(当直バイト)をして、収入を補っています。時間当たり100ドルぐらいが相場ですが、moonlightingの時間も労働時間にカウントされ、週80時間を超えて労働すると、プログラムの規則違反となり、解雇されることもあります。 日本では3年目から市中病院で勤めると年収も1,000万円近くになることが多いと思いますので、収入に困るということはないと思いますが、大学や国立病院に勤務すると、バイトをしないと家族を支えるのは難しいかもしれません。私も6年目で国立循環器病センターに移った際に、給料が半分に下がり、それを補うべく大阪のさまざまな病院で当直バイトに明け暮れていました。1年目は忙しいCCUローテーションなどが中心、比較的楽な3年目 1年目はCCUなどのローテーションが多く、学年が上がるにつれて楽なローテーションが増え、また、その後に進むサブスペシャルティーを重点的にローテートしたりもできます。CCUでは10人前後の患者を2、3人のレジデントと一緒に担当します。朝7時半ぐらいから、レジデントと新しい患者の申し送り事項を確認し、前日からいる患者と合わせて治療方針を確認します。9時から指導医との回診が始まります。私の所属するカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)では、指導医は週単位で変わり、インターベンショニスト(冠動脈疾患専門医)やEP(Electrophysiologist:不整脈専門医)の指導医も回診を担当しなければなりません。UCIではCCUをICUの当直がカバーするので、フェローは病院に残る必要はありませんが、18時以降でもST上昇心筋梗塞、心タンポナーデなどの患者が来れば、オンコールのフェローは病院に戻らなければなりません(プログラムによってはCCU当直を担当する循環器フェローが病院に泊まるようです)。CCUローテーションは週末を除いて月曜日から木曜日までは当直が続きます。週末は、4~5週間に1回、当直を担当します。結果的に、当直を挟むと最長で11日間連続当直となりますので、体力的に結構きついです。週末の当直は通常業務に加えて、金曜日の夜以降にやってきた患者のストレステストも担当しなければなりませんので、かなり忙しくなります。ローテーションの内容:雑用は少ない?? 米国では基本的に月単位のローテーションです。米国では小さなプログラムでも最低3人つまり3学年で9人以上、多くの場合15人ほどのフェローがいますので、月ごとのローテーションが可能です。基本的には心カテ、EP、心不全、心エコー、CCU、コンサルト、リサーチの繰り返しとなります。前回のコラムで雑用は少ないと書きましたが、最近はそうでもないなと感じています。雑用の一つとして、ストレステストがあげられます。 心筋シンチや負荷エコーなどができる米国の病院に胸痛を主訴に来ると、ストレステストなしで帰宅できる可能性はきわめて低いです。ER(救急外来)の医師は、冠動脈疾患の可能性が低いと診断した胸痛患者も責任の回避のためにストレステストへ患者を回します。ストレステストに現れた患者と話をして、どうみても筋肉か骨の痛みだろうと思っても、やらざるを得ないということが良くあります。お金と時間の無駄だなと分かっていても、ストレステストをオーダーされる側は黙ってやるのみです。まあ、実際、肥満や糖尿病患者が多いので筋肉の痛みで来たとしても、冠動脈疾患を持っている患者は多そうですが。こういう考えで医療を行うことをdefensive medicineと呼びますが、米国はこれがひどいです。99.9%冠動脈疾患じゃないとわかっていても、見逃した0.1%つまり1,000回に1回でも見逃すと訴えられる可能性が高いわけです。毎日、何十人も見知らぬ患者をみている救急医からすると、1,000回に1回訴えられるリスクを取るよりも、ワンクリックでストレステストをオーダーしたほうが間違いがないし、簡単なわけです。病院も儲かります。 UCIでは、負荷心エコーもしくは心筋シンチを受けることとなります。日中はナースプラクティショナーが行ってくれることが多いのですが、彼らは何件残っていても、容赦なく夕方4時などで帰宅します。残ったストレス負荷は、フェローが残って行うため、夜8時までストレス負荷をやるはめになることもあります。目標症例数に応じたトレーニングレベル 米国では冠動脈造影、エコーなどに必要症例数や必要なトレーニング期間が設けられており、それに応じてレベル1~3の到達度が決まります。(表1 論文1より翻訳、改訂)1)レベル1が循環器のコンサルタントとして必要とされる基礎の循環器トレーニングです。 表2、3に冠動脈造影、心エコーにおける到達度の例を示します。フェローシップの間、ログブックに症例数を書き込み、フェロー修了時に冠動脈造影や心エコーの到達度を各自が把握します。たとえば、心エコーのレベル3は12ヵ月のトレーニング、300症例のエコーの施行、750症例のエコーの画像診断が必要になります。就職の際に、エコーについてはレベル2が必要、エコーの専門医資格が必要となることもあり、レベルを上げるモチベーションにもなります。 運動負荷心エコーや経食道心エコー(TEE)についても細かく症例数が決められています。たとえば、TEEは年間500症例以上を行う施設でトレーニングを行うのが最良とされており、3年間で50症例、できれば100症例を施行することと記載があります。日本でこれだけの数を行える施設では大学や一部の循環器センターを除くと少ないと思います。実際、1ヵ月のエコーローテーションで日本の3年間の循環器トレーニングのTEEの症例数を上回りました。静脈薬物使用患者が多く、感染性心内膜炎疑いが多いことも一因と考えられます。 また、症例数に応じてフェローの数が決められているため、自分が3年間で経験できる症例数が保障されます。何らかの理由で経験症例数が減ると、フェローからの苦情がACGME(トレーニングを統括する団体)に入り、最悪の場合、プログラムの停止や廃止につながります。進路:Subspecialty or General Cardiologist (一般循環専門医) 米国ではサブスペシャルティーのトレーニングが明確化しているため、general cardiologist、インターベンショニスト、EPなどの境界が明確です。2008年のデータ2)ですが循環器医の60%がgeneral cardiologistでした。最近の若い循環器医はどうでしょうか。毎年850人近い循環器専門医が誕生します。そのうち、インターベンションに300人(35%)、EPに130人(15%)、心不全に100人(12%)*前後が進んでいますので、4割ぐらいがgeneral cardiologistになっているということになります。日本では、大学などで一般循環器のトレーニングを受けた後、冠動脈、不整脈、心不全(心エコー)、基礎研究などのサブスペシャルティーを選択することがほとんどで、general cardiologistという概念は浸透していないような気がします。また、日本の市中病院で心臓カテーテルをしないという若い循環器医は少ないように思います。米国のgeneral cardiologistは心エコーや核医学診断などが中心で、一般的には冠動脈造影は行いません。給料はインターベンショニストなどに比べると若干落ちますが、危険な手技がない分、訴訟のリスクも低く、好んでgeneral cardiologistになる人も多いです。どのサブスペシャルティーが多いかは、給料の変化や需要と供給のバランスで毎年変わっていきます。このあたりもアメリカらしいところです。 次回は、米国のフェローシップ中に勤務する、大学病院、軍人病院(VA)、プライベートホスピタルの違いを述べたいと思います。 参考文献 1) Sinha SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:1907-1914. 2) Rodgers GP, et al. J Am Coll Cardiol. 2009;54:1195-1208.

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近未来のうつ病治療に、会話システム「Help4Mood」

 英国・アバディーン大学のChristopher Burton氏らは、インターネットのアバターを介して会話をするシステム「Help4Mood」の、うつ病患者に対する有用性を明らかにするため、パイロット無作為化比較試験(RCT)を行った。その結果、標準治療単独に比べ、Help4Moodの併用はうつ症状の改善に寄与する可能性があることを報告した。Journal of telemedicine and telecare誌オンライン版2015年10月9日号の掲載報告。 Help4Moodは、うつ病の治療を受けている患者のセルフモニタリングを援助するために開発された、双方向会話システムである。自己報告やバイオメトリックモニタリングをサポートし、認知行動療法の要素も含んでいる。 研究グループは、システムの活用と受容性を評価し、臨床試験登録の簡便性および継続率の探索、さらに将来的な治療手段としての活用を見据えてRCT実施の可能性について調べた。Help4MoodのパイロットRCTは、ルーマニア、スペイン、英国・スコットランドの3施設で実施した。うつ病(大うつ病性障害)と診断され、現在は軽度/中等度のうつ症状を有する患者を、標準治療に加えて同システムを4週間使用する群と、標準治療単独群に無作為化し評価した。 主な結果は以下のとおり。・27例が無作為化され、21例(Help4Mood群:12/13例、標準治療単独群:9/14例)で追跡データが得られた。・Help4Mood群の半数が、システムを定期的に利用していた(10回以上)。毎日の利用者はいなかった。・受容性は利用者間でさまざまであり、システムの感情的な反応を評価する者もいれば、ワンパターンだと評する者もいた。・intention to treat 解析により、ベックうつ評価尺度II(BDI-2)スコア変化に、わずかな差がみられた(Help4Mood群-5.7点、標準治療単独群-4.2点)。・治療に関する事後解析では、Help4Moodの定期利用者で、BDI-2スコアの中央値が-8ポイント変化していることが示された。・以上より、意図したほどの定期的利用者はいなかったものの、うつ病治療を受けている人の一部においてHelp4Moodの受容性があることが示された。・システムを定期的に使用している人のうつ症状の変化は、意味のあるレベルにまで達していた。関連医療ニュース これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度  担当者へのご意見箱はこちら

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球脊髄性筋萎縮症〔SBMA : Spinal and Bulbar Muscular Atrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義緩徐進行性の筋力低下・筋萎縮や球麻痺を示す成人発症の遺伝性運動ニューロン疾患である。単一遺伝子疾患であり、発症者には後述する原因遺伝子の異常を必ず認める。本疾患の病態にはテストステロンが深く関与しており、男性のみに発症する。国際名称はSpinal and Bulbar Muscular Atrophy(SBMA)であるが、報告者の名前からKennedy diseaseとも呼ばれる1)。わが国ではKennedy-Alter-Sung症候群と呼ばれることも多いが、本症は単一疾患であるため、症候群という表現は適切ではないとの意見もある。■ 疫学有病率は10万人あたり2人程度で、わが国の患者数は2,000~3,000人程度と推定されている。人種や地域による有病率の差は明らかではない。■ 病因X染色体上にあるアンドロゲン受容体(AR)遺伝子のCAG繰り返し配列の異常延長が原因である。正常では36以下の繰り返し数が、SBMA患者では38以上に延長している。このCAG繰り返し数が多いほど、早く発症する傾向が認められる。CAG繰り返しの異常延長の結果、構造異常を有する変異ARが生じる。この変異ARは男性ホルモン(テストステロン)依存性に下位運動ニューロンなどの核内に集積し、最終的には神経細胞死に至る。同様の遺伝子変異はハンチントン病や脊髄小脳変性症などの疾患でも認められ、CAGはグルタミンに翻訳されることから、これらの疾患はポリグルタミン病と総称される。SBMAでは他のポリグルタミン病とは異なり、世代を経るに従って発症が早くなる表現促進現象は軽度である。■ 症状1)神経症状初発症状として手指の振戦を自覚することが多く、しばしば筋力低下に先行する。四肢の筋力低下は30~60代で自覚され、下肢から始まることが多い。同じ時期に有痛性筋痙攣を認めることも多い。脳神経症状として代表的なものは、嚥下障害や構音障害などの球麻痺である。むせなどの嚥下障害の自覚がなくても、嚥下造影などで評価すると潜在的な嚥下障害を認めることが多い。喉頭痙攣による短時間の呼吸困難を自覚することもある。その他の脳神経症状として、顔面筋や舌の筋力低下・線維束性収縮を認める。線維束性収縮は安静時には軽度であるが、筋収縮時に著明となり、contraction fasciculationと呼ばれる。顔面や舌のほか、四肢近位部でも認められる。眼球運動障害は認めない。感覚系では下肢遠位部で振動覚の低下を認めることがある。腱反射は低下、消失し、Babinski徴候は一般に陰性である。小脳機能には異常を認めない。高次機能は保たれることが多いが、一部障害を認めるとした報告もある。2)随伴症状代表的な随伴症状として、女性化乳房を半数以上に認める。また、肝機能障害、耐糖能異常、高脂血症、高血圧症などをしばしば合併する。女性様皮膚変化、睾丸萎縮などを認めることもある。■ 分類とくに分類はされていない。同じ運動ニューロン疾患である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は、球麻痺型など発症部位で分類することもあるが、SBMAでは一般的に行われていない。■ 予後四肢の筋力低下は緩徐に進行し、筋力低下の発症からおよそ15~20年の経過で、歩行に杖を必要としたり、車いすでの移動になったりすることが多い2)。進行に伴い球麻痺も高度となり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染が死因の大半を占める。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)厚生労働省の神経変性疾患に関する調査研究班が作成した診断基準を表に示す。家族歴がない症例の場合、特徴的な症状から臨床的な診断は可能だが、特定疾患の申請には遺伝子検査が必要となる。血液検査では、血清CKが異常高値を示す。また、血清クレアチニンは異常低値となることが多い。随伴症状に伴い、血液検査でもALT(GOT)やAST(GPT)、グルコース、HbA1c、総コレステロールの上昇などがしばしば認められる。髄液検査は正常である。筋電図では高振幅電位、interferenceの減少など神経原性変化を認める。感覚神経伝導検査において、活動電位の低下や誘発不能がみられることが多い3)。SBMA患者の約10%においてBrugada型心電図異常を認める報告がある4)。特に、失神の既往歴や突然死の家族歴がある症例では、検出率を上げるため右側胸部誘導を一肋間上げて、心電図を測定することが推奨される。病理学的には、下位運動ニューロンである脊髄の前角細胞および脳幹の神経核の神経細胞が変性・脱落するとともに5)、残存する神経細胞には核内封入体を認める6)。CAG繰り返しの異常延長によって生じる変異ARが、この核内封入体の主要構成成分である。筋生検では、小角化線維や群集萎縮といった神経原性変化が主体であるが、中心核の存在など筋原性変化も認める。鑑別診断として、ALSや脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)の軽症型であるKugelberg-Welander病、多発性筋炎などがあげられる。とくに、進行性筋萎縮症(progressive muscular atrophy: PMA)と呼ばれる成人発症の下位運動ニューロン障害型の運動ニューロン疾患は、ALSよりも進行がやや遅いことがあり、SBMAとの鑑別が重要である。本症の臨床診断は、遺伝歴が明確で、本疾患に特徴的な身体所見を呈していれば比較的容易であるが、これらが不明瞭で鑑別診断が困難な症例では、遺伝子検査が有用である。現在、遺伝子検査は保険適用となっている。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)かつては男性ホルモンの補充療法や蛋白同化ステロイド投与、TRH療法などが試みられたこともあるが、これらの治療の有効性は確認されていない。現在のところ有効な治療法はなく、耐糖能異常や高脂血症などの合併症に対する対症療法が中心である。また、四肢の筋力低下に対する対症療法として、筋力維持のためのリハビリテーションを行うことも多い。球麻痺に対し、嚥下リハビリを行うこともある。これらのリハビリの具体的内容に関するエビデンスは確立されていない。重度の嚥下障害がある場合、胃瘻を造設するなどして経管栄養を導入する。呼吸障害が進行した症例では、NIPPVや気管切開を行ったうえでの人工呼吸管理が必要となるが、患者本人や家族に対するインフォームド・コンセントが重要となる。SBMAのモデルマウスを用いた研究によって、変異ARが下位運動ニューロンの核内に集積する病態が、男性ホルモン(テストステロン)依存性であることが解明された。テストステロンの分泌を抑制する目的でオスのSBMAモデルマウスに対して去勢術を施行したところ、核内に集積する変異ARの量は著しく減少し、運動障害などの神経症状が劇的に改善した。この治療効果は、黄体形成ホルモン刺激ホルモン(LHRH)アゴニストであるリュープロレリン酢酸塩(商品名:リュープリンほか)の投与による薬剤的去勢でも再現された7)。リュープロレリン酢酸塩は前立腺がんなどの治療薬として、すでに保険適用となっている薬剤であるため、SBMA患者で薬剤の有効性と安全性を検討するフェーズII試験が行われ、さらにフェーズIII試験に相当する医師主導治験(JASMITT)が実施された。その結果、リュープロレリン酢酸塩がSBMAの病態を反映するバイオマーカーとして重要な陰嚢皮膚における変異ARの核内集積を抑制するとともに、血清CKも低下させることが判明した8)。また、有意差は認めなかったものの嚥下機能の改善を示唆する結果が得られたため、追加の治験も実施され、今後の承認申請を目指している。リュープロレリン酢酸塩とは作用機序は異なるものの、男性ホルモン抑制作用をもつ5α還元酵素阻害薬であるデュタステリド(同:アボルブ)の臨床応用を目指した第II相試験が、アメリカで実施された。この試験でも嚥下機能などで改善傾向が示されるなど、前述したリュープロレリン酢酸塩の治験に近似した結果が得られたが、これも承認には至っていない9)。4 今後の展望最近では、SBMA患者からもiPS細胞が樹立され10)、治療薬のスクリーニングやSBMAの病態解明に寄与することが期待されている。また、マイクロRNAや片頭痛の治療に用いられるナラトリプタンもSBMAモデルマウスの表現型を改善することが報告されており、今後の臨床応用が期待されているが、具体的な臨床試験の計画には至っていない。5 主たる診療科神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究情報難病情報センター 球脊髄性筋萎縮症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報SBMAの会(患者とその家族向けのまとまった情報)1)Kennedy WR, et al. Neurology.1968;18:671-680.2)Atsuta N, et al. Brain.2006;129:1446-1455.3)Suzuki K, et al. Brain.2008;131:229-239.4)Araki A, et al. Neurology.2014;82:1813-1821.5)Sobue G, et al. Brain.1989;112:209-232.6)Adachi H, et al. Brain.2005;128:659-670.7)Katsuno M, et al. Nat Med.2003;9:768-773.8)Katsuno M, et al. Lancet Neurol.2010;9:875-884.9)Fernandez-Rhodes LE, et al. Lancet Neurol.2011;10:140-147.10)Nihei Y, et al. J Biol Chem.2013;288:8043-8052.公開履歴初回2013年04月25日更新2015年11月17日

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ロコモと骨粗鬆症と痛みの関係

 ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは運動機能が低下し、要介護につながる可能性がある高齢者の危険状態のことを指す。運動機能障害と骨粗鬆症や筋骨格系慢性疼痛などの疾患がどう関連するのかはいまだ十分に研究されていない。そこで、群馬大学の飯塚 陽一氏らは、それらの関連性について調査を行った。その結果、運動機能障害と骨粗鬆症・筋骨格系慢性疼痛の間には有意な関連性があることがわかった。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2015年9月7日号の掲載報告。 調査は、25-question geriatric locomotive function scale(GLFS-25)により運動機能障害と評価された287例の日本人被験者を対象に、定量的超音波(QUS)法により骨の状態を測定し、さらに、3ヵ月以上に渡って筋骨格系慢性疼痛に関するアンケート調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・運動機能障害がある43例では、運動機能障害がない244例と比較して、若年成人平均値(YAM値)が有意に低かった(p<0.001)。・運動機能障害がある群では、腰痛(p<0.01)肩痛(p<0.05)膝痛(p<0.001)が有意に高頻度でみられた。・YAM値はGLFS-25スコアと相関していた(β=-0.212、p=0.001)。・年齢・性別・BMIを調整した分析結果から、腰痛(オッズ比2.60、95%CI:1.29~5.24)、肩痛(2.16、95%CI:1.00~4.66)、膝痛(2.97、95%CI:1.41~6.28)は運動器障害と関連があることが示された。

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小児のIgE感作と疾患の関連 4分の1が疾患を有さず

 小児は皮膚炎、喘息および鼻炎に罹患することが多いが、それらの有病率は年齢とともに変化する。また、IgE抗体保有と疾患との関連もよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のNatalia Ballardini氏らは、感作と疾患との関連を明らかにする目的で、出生コホート研究にて16歳まで追跡された小児を調査した。その結果、特異的IgE抗体は小児期全体における皮膚炎およびアレルギー性疾患の複数罹患と関連していること、また4歳からの喘息および鼻炎と強く関連していたことを報告した。一方で、IgE感作を認める小児の23%が、小児期にいかなる疾患も呈しないことも判明したという。Allergy誌オンライン版2015年10月27日号の掲載報告。 対象は、スウェーデンの出生コホート研究BAMSEに登録された小児2,607例であった。 1~16歳の間6評価時点で、親の報告に基づき皮膚炎、喘息、鼻炎の罹患を確認した。また、4、8、16歳時の採血結果からIgE感作の有無を調査。一般的な食物または吸入アレルゲンに対するアレルゲン特異的IgE≧0.35kUA/Lの場合を感作ありと定義した。 一般化推定方程式を用い、感作による皮膚炎、喘息、鼻炎および複数罹患のオッズ比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・16歳までに少なくとも1回の感作が報告された小児は、51%であった。・感作を受けている小児の約4分の1(23%)が、いかなる疾患も有していなかった。・潜在的な交絡因子を補正後、感作と次の有意な関連が認められた。 (1)小児期全体に及ぶ皮膚炎 (2)1~16歳時の皮膚炎・喘息・鼻炎の複数罹患(オッズ比:5.11、95%信頼区間[CI]:3.99~6.55) (3)4~16歳における喘息および鼻炎

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抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体

 抗精神病薬誘発性の体重増加は、クロザピンやオランザピンなどの抗精神病薬治療で一般的にみられる副作用である。オレキシン遺伝子および受容体は、視床下部に局在し、エネルギー恒常性の維持と関連している。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのArun K Tiwari氏らは、オレキシン1および2受容体の一塩基変異多型(SNP)をターゲットとし、抗精神病薬誘発性体重増加との関連を解析した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2015年10月8日号の報告。 対象は、主にクロザピンまたはオランザピンで治療(最大14週間)を行った統合失調症患者または統合失調感情障害218例。レプリケーションは、最大190日間オランザピンまたはリスペリドンで治療したCATIEサンプルのサブセットを用い、実施した。SNPと抗精神病薬誘発性体重増加との関連は、ベースラインの体重と治療期間を共変量として、共分散分析(ANCOVA)を用い評価した 主な結果は以下のとおり。・いくつかのオレキシン2受容体のSNPは、クロザピンまたはオランザピンのいずれかで治療したヨーロッパ系の患者において、抗精神病薬誘発性の体重増加との関連が認められた(p<0.05)。・レプリケーション分析では、2つのSNP rs3134701(p=0.043)、rs12662510(p=0.012)は、抗精神病薬誘発性の体重増加と関連していた。・オレキシン1受容体のSNPは、抗精神病薬誘発性の体重増加との関連が認められなかった。関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 クロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院 オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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双極性障害のうつ症状改善へ、グルタミン酸受容体モジュレータの有用性は

 グルタミン酸系経路の障害が、双極性うつ病の病態生理に重要な役割を果たしている可能性を示すエビデンスが新たに出てきている。英国・オックスフォード大学のTayla L McCloud氏らは、双極性障害のうつへのグルタミン酸受容体モジュレータの使用に着目し、その有用性についてレビューを行った。ケタミン、メマンチン、cytidineについて、それぞれプラセボを対照としたランダム化比較試験(RCT)についてレビューしたところ、ケタミン単回静脈内投与が、24時間後の反応率においてプラセボと比べ有意に良好な反応率を示したことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年9月29日号の掲載報告。 レビューは、(1)双極性障害患者の急性うつ症状軽減における、ケタミンおよびその他のグルタミン酸受容体モジュレータの影響を評価する、(2)急性うつ症状を認める双極性障害患者におけるケタミンおよびその他のグルタミン酸受容体モジュレータの忍容性をレビューすることを目的とした。Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register (CCDANCTR、2015年1月9日時点)を介して、Cochrane Library(すべての年)、MEDLINE(1950年~現在)、EMBASE(1974年~現在)、PsycINFO(1967年~現在)のデータベースからRCTを検索した。また、関連文献およびシステマティックレビューの引用文献リストも照合。日付、言語、公表形式に関する制限は設けなかった。検索では、成人双極性障害を対象にケタミン、メマンチン、その他のグルタミン酸受容体モジュレータと、他の精神病薬あるいは生理食塩水のプラセボを比較したRCTを対象とした。2人以上のレビュワーがそれぞれレビュー対象試験を選択し、試験の質を評価したうえでデータを抽出した。本レビューの主要アウトカムは、反応率と有害事象、副次アウトカムは寛解率、うつの重症度スコアの変化、自殺傾向、認知能、QOL、脱落率とした。さらなる情報を得るため、著者に問い合わせを行った。 主な結果は以下のとおり。・5件の試験 (被験者329例)がレビューの対象となった。・すべての試験がプラセボを対照とした2アーム試験で、グルタミン酸受容体モジュレータ(ケタミン:2試験、メマンチン:2試験、cytidine:1試験)を気分安定薬に併用して用いていた。治療期間は単回静脈内投与(ケタミンを用いたすべての試験)、メマンチンおよびcytidineの反復投与(それぞれ8~12週、12週)であった。・3試験は米国で実施され、台湾が1件、実施場所を特定できないものが1件あった。被験者の大半 (70.5%) は台湾からの参加であった。・全例がDSM-IVあるいはDSM-IV-TRにより最初に双極性障害と診断され、現在はうつ期にあった。・うつの重症度は、1件の試験を除き、すべて中等度以上であった。・レビューの対象としたグルタミン酸受容体モジュレータの中で、ケタミンだけがプラセボと比べ主要アウトカムである反応率(注射後24時間)において良好な結果を示した(オッズ比[OR]:11.61、95%信頼区間[CI]:1.25~107.74、p=0.03、I2=0%、2試験、33例)。この結果は、低いエビデンスの質に基づくものであった。・統計学的有意差は3日目で消滅したが、平均推定値ではケタミンの優位性が示された(OR:8.24、95%CI:0.84~80.61、2試験、33例、エビデンスの質は非常に低い)。・1週目において、ケタミンとプラセボ間で反応率における差異は認められなかった (同:4.00、0.33~48.66、p=0.28、1試験、18例、エビデンスの質は非常に低い)。・メマンチンとプラセボの反応率において、治療1週後(同:1.08、0.06~19.05、p=0.96、1試験、29例)、2週後(同:4.88、0.78~30.29、p=0.09、1試験、29例)、4週後(同:5.33、1.02~27.76、p=0.05、1試験、29例)、3ヵ月後(同:1.66、0.69~4.03、p=0.26、I2=36%、2試験、261例)に有意差は認められなかった。これらの結果は、非常に低いエビデンスの質に基づくものであった。・3ヵ月時点での反応率においてcytidineとプラセボ間で有意差は認められなかった(同:1.13、0.30~4.24、p=0.86、1試験、35例、エビデンスの質は非常に低い)。・副次アウトカムである寛解に関しては、ケタミンとプラセボ間、メマンチンとプラセボ間のいずれにおいても有意差は認められなかった。・副次アウトカムであるうつ重症度スコアのベースラインからの変化に関して、24時間時点でケタミンはプラセボに比べ高い有効性を示した(MD:-11.81、95%CI:-20.01~-3.61、p=0.005、2試験、32例)が、その効果は治療1~2週後には確認されなかった。また、メマンチンとプラセボ間で、本アウトカムに関する差異はみられなかった。・プラセボとケタミン、メマンチン、cytidineの間に有害事象に関する有意差は認められなかった。・ケタミンとプラセボ、メマンチンとプラセボあるいはcytidineとプラセボの間で、脱落例数に差はなかった。ケタミンあるいはcytidineの有害事象による脱落例について活用可能なデータはないが、メマンチンとプラセボ間に差はなかった。・本レビューで得られた結論は、解析可能なデータが少なく、非常に限定的なものとなる。・双極性障害におけるグルタミン酸受容体モジュレータに関するエビデンスは、単極性うつ病に関するものより少ない。・全体としては、ケタミンの単回静脈内投与(気分安定薬への追加薬として)において、24時間後の反応率という点でプラセボより良好という限定的なエビデンスが得られた。双極性うつの寛解という点では、ケタミンによる優れた効果は示されなかった。・ケタミンは迅速で短期的な抗うつ作用を有する可能性があるが、単回静脈内投与の効果は限られたものであると思われた。・ケタミンには精神異常発現様作用があるため、試験の盲検化に支障をきたす可能性があった。実薬を比較薬とした試験をレビューに含めなかったため、このことが本レビューにおける特別な論点となった。またそのため、不適正な盲検化過程によりもたらされるバイアスを排除することができていない。・ケタミンの有害事象を結論付けるエビデンスは見出せなかった。・より強力な結論を得るためには、ケタミンについて、反復投与など、抗うつ反応を維持するさまざまな方法を検討する、より詳細なRCT(適切な盲検化を伴う)が必要である。・他の2つのグルタミン酸受容体モジュレータ(メマンチンとcytidine)に関しては、有意義な結論を導く十分なエビデンスはなかった。・本レビューはエビデンスの完全性という面だけでなく、使用可能なエビデンスの質が非常に低かったという点で、限定的なものとなった。関連医療ニュース グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 ケタミンは難治性うつ病に使えるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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肝炎は全例が“治る”時代、では今後の対策は?

 ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下、ギリアド)の主催により、“新薬「ソバルディ」「ハーボニー」登場で変わる肝炎治療 臨床現場のいま”をテーマに、C型慢性肝炎プレスセミナーが2015年10月27日、東京都中央区で開催された。肝炎ウイルス感染対策、これまでと今後 始めに、田中 純子氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 疫学・疾病制御学 医学部 衛生学講座 教授)より「疫学的視点からみたウイルス性肝疾患患者数の経年推移」と題した講演が行われた。 わが国における肝がんの死亡者数は、2000年頃から緩やかに減少しつつあるが、いまだに年間死亡者数は3万人を超えており、対策が望まれる疾患の1つである。 これまで、住民健診における肝炎ウイルス検査の追加(2002年)や、肝炎無料検査の実施(2007年)、肝炎対策基本法の施行(2010年)などにより、世界の中でも早期に肝炎ウイルス対策に取り組んできた。田中氏は、「検査強化を施策として行ってきた結果、肝炎ウイルスの潜在キャリア数は、推定240~305万人(2000年)から、推定77.7万人(2011年)に減少することができた」と述べた。しかし、感染を知ったものの、(継続的な)受診をしないキャリアが、いまだに推定53~118万人存在するため、受診勧奨や受療継続といった課題が残されているという1)。田中氏は、今後の肝炎・肝がん対策について、「すでに通院中の人には、適切な治療を受けられるようにすること、肝がんの自覚症状がなく、病院受診に至っていない人には、治療に結び付くよう工夫することが、肝炎・肝がん死亡減少のため重要となる」と指摘した。肝炎治療、油断は禁物 次に、榎本 信幸氏(山梨大学 医学部内科学講座第一教室 教授)より「C型慢性肝炎の最新治療」と題した講演が行われた。 これまでC型肝炎治療は、ペグインターフェロン・リバビリン療法が一般的であったが、副作用の問題や、患者の高齢化(すでに治療経験があり、インターフェロンが使えないケースや、効かないケースが増加)といった問題から、投与方法や副作用管理が簡便な治療が望まれていた。こうした背景の下、インターフェロンフリーの治療薬発売が続いているなかで、今年9月、新たに1日1回1錠、12週間の経口投与で治療を完了するジェノタイプ1型 C型慢性肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合錠、以下ハーボニー)が発売された。ハーボニーは、治療歴、代償性肝硬変の有無、年齢および投与前のNS5A耐性変異の有無にかかわらず、SVR12率は100%を達成している。 このように一見、C型肝炎は解決したように思えるが、榎本氏は、「C型肝炎ウイルスが消えても肝がんができることがあるため油断はできない」と警鐘を鳴らす。とくに「高齢」、「男性」、「γGTP上昇」、「AFP上昇」では肝がんリスクが高くなるため、ウイルス排除後のフォローが重要だという。榎本氏は、「“肝がん予防のABC”という考え方、すなわち、A:Age(65歳以上)、B:B型肝炎、C:C型肝炎、D:DM(糖尿病、血糖値が高い)、E:Ethanol(アルコールを毎日飲む)、F:Fibrosis(線維)、Fat(脂肪)、Fe(鉄)、G:Gender(男性)のすべてに注意を払うことが大切、BやCだけを治すようでは手遅れとなることもある」と注意を促した。費用対効果の判断は冷静に 最後に、五十嵐 中氏(東京大学大学院 薬学系研究科 特任准教授)より「ソバルディ・ハーボニーの医療経済的な価値」と題した講演が行われた。 新薬の医療経済評価を行うには、原則として「増分費用効果比(コスト増加分の質調整生存率に対する割合)」を考慮し、増大した分のコストが、健康で過ごせる期間に見合っているかを判断する。五十嵐氏は、「“ソバルディ”、“ハーボニー”は、価格だけみれば確かに高価だが、コスト増大分に見合った効果の改善があれば良いのではないか」と述べた。 肝炎から肝硬変、肝がんに進行してしまった場合、難しい治療や多額の治療費用が必要になることも珍しくはない。五十嵐氏は、「高額な薬代であっても、健康に過ごせる期間の延長や、将来的な治療費削減効果を考えれば、妥当ではないか」と説明し、講演を締めくくった。 ソバルディ、ハーボニーの登場により、肝炎治療の未来は明るくなった。だからこそ、今後、ウイルス排除後のフォローなど、肝炎・肝がん死亡減少のための対策が重要となってくるのではないか。(ケアネット 佐藤 駿介)参考1)田中純子ほか. a肝炎ウイルス感染状況に関する疫学基盤研究. In:急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究. 肝炎等克服政策研究事業.

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