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経口フルオロキノロン処方後10日間、網膜剥離リスク増大

 経口フルオロキノロン系抗菌薬の服用と網膜剥離のリスクが注目され、その関連が議論されている。フランスNational Agency for Medicines and Health Products Safety(ANSM)のFanny Raguideau氏らは、医療データベースを用いた疫学研究により、経口フルオロキノロン服用開始後10日以内に網膜剥離を発症するリスクが有意に高いことを明らかにした。著者は、「経口フルオロキノロンの服用と網膜剥離発症リスクとの関連について、さらに検討しなければならない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年3月10日号の掲載報告。 研究グループは、経口フルオロキノロンの服用と網膜剥離(裂孔原性および滲出性)発症との関連を評価する目的で、フランスの医療データベースを用い、2010年7月1日~13年12月31日にかけて、網膜剥離の成人患者を対象に症例クロスオーバー研究を行った。網膜剥離発症の6ヵ月以内に網膜剥離や網膜裂孔、眼内炎、硝子体内注射、脈絡膜網膜硝子体内生検およびヒト免疫不全ウイルス感染症の既往歴または入院歴のある患者は除外された。 主要評価項目は、リスク期間中(網膜剥離の手術直前1~10日)の経口フルオロキノロンの服用で、対照期間(61~180日前)と比較した。また、中間リスク期間(最近[11~30日前]および過去[31~60日前])における服用との関連や、経口フルオロキノロンや網膜剥離の種類別についても検討した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした網膜剥離患者2万7,540例(男性57%、年齢[平均±SD]61.5 ±13.6歳)中、663例が経口フルオロキノロンを服用していた。リスク期間中の服用が80例、対照期間(61~180日前)中が583例であった。・経口フルオロキノロン処方後10日間に、網膜剥離発症リスクの有意な増大が認められた(調整オッズ比:1.46、95%信頼区間[CI]:1.15~1.87)。・裂孔原性(調整オッズ比:1.41、95%CI:1.04~1.92)および滲出性(同:2.57、95%CI:1.46~4.53)いずれの網膜剥離も、有意なリスクの増大が認められた。・経口フルオロキノロンの最近服用(調整オッズ比:0.94、95%CI:0.78~1.14)および過去服用(同:1.06、0.91~1.24)は、網膜剥離発症のリスクと関連していなかった。

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原発性胆汁性胆管炎〔PBC : Primary Biliary Cholangitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、病因・病態に自己免疫学的機序が想定される慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である。中高年女性に好発し、皮膚掻痒感で初発することが多い。しかし、多くの症例では無症候性の時期にたまたま発見され、長く無症候性のまま経過する。黄疸はいったん出現すると、消退することなく漸増することが多い。一部の症例では門脈圧亢進症状が高頻度に出現する(表1)。画像を拡大する従来、病名は「原発性胆汁性肝硬変」となっていたが、現在は早期に診断することができるようになり、またウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid;UDCA)の効果もみられることから、現在診断されている多くの患者は肝硬変には至っていない。実際は肝硬変ではないにもかかわらず「肝硬変」が病名に入っていることで、患者の精神的負担が大きい、との患者団体の要請に応じ、2016年より世界的に、英文字略語のPBCはそのまま残し、「Primary Biliary Cholangitis(PBC)」と改名された。日本語では、「原発性胆汁性胆管炎」と改名されることになった。■ 疫学男女比は約1:7、診断時平均年齢は50~60歳で、幼小児期での発症はみられない1)。発生数は1980年の調査開始以来増加傾向にあったが、1990年代以降は横ばいで推移している。新たに診断される症例のうち約70~80%は無症候性PBCである。無症候性PBCを含めた総患者数は全国で約5万~6万人と推計される1)。■ 病因本症は種々の免疫異常とともに、自己抗体の1つである抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibody:AMA)が特異的(90%)かつ高率(90%)に陽性化し、また、慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群などの自己免疫性疾患や膠原病を合併しやすい。さらに、組織学的には障害胆管周囲にT細胞優位の高度の単核球浸潤がみられることなどから、病態形成には自己免疫学機序が強く関与していると考えられる。多くの疾患同様、本疾患も多因子疾患であり、遺伝学的要因を基盤に環境要因が作用することよって発症し、病態形成がなされることが想定されている。家族集積性のあることや一卵性双生児における一致率がきわめて高いことなどから、発症には遺伝的素因の関与が示唆される。HLA-DR8 (DRB1*08)が人種を超えて疾患感受性遺伝子として働いている可能性が想定され、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、HLA-DR以外の新たな疾患関連遺伝子多型の情報が集積されつつある2)。環境因子としては、大腸菌などの細菌からの感染が想定されている。また、工業地帯や汚染廃棄物処理施設の近郊で発症が多いとの疫学研究などより、大気汚染や化学物質、化粧品などによる抗原の修飾がPBC発症のきっかけとなっている可能性が想定されている。■ 症状本疾患にみられる症状は、(1)胆汁うっ滞に基づく症状(2)肝障害・肝硬変および随伴する病態に伴う症状(3)合併した他の自己免疫疾患に伴う症状に分けて考えることができる。病初期は無症状であるが(無症候性PBC)、黄疸を呈する以前から胆汁うっ滞に基づく搔痒感が出現する。身体所見としては、症候性PBCでは黄疸のほか、掻痒のために生じた掻き傷、高脂血症に伴う眼瞼黄色腫が観察され、肝臓は腫大していることが多い。本疾患は他の自己免疫性疾患・膠原病を合併しやすく、なかでもシェーグレン症候群、慢性甲状腺炎、関節リウマチの頻度が高い。門脈圧亢進症状を早期から呈しやすく、高齢者や進行例では肝細胞がんの併発も考慮する必要がある。■ 分類1)臨床病期分類皮膚搔痒感、黄疸、食道静脈瘤、腹水、肝性脳症など肝障害に基づく症候を伴う症候性PBC(sPBC)とこれらの症候を欠く無症候性PBC(aPBC)に分類される。症候性PBCはさらに、皮膚掻痒感のみ認め血清総ビリルビン値が2.0mg/dL未満のs1PBCと、血清総ビリルビン値が2.0mg/dL以上の黄疸を認めるs2PBCに細分される1)。2)組織学的病期分類わが国の診療ガイドラインでは、サンプリングエラーを最小限にするように工夫された中沼らによる新しい分類の使用が推奨されている。1期(no progression)、2期(mild progression)、3期(moderate progression)、4期(advanced progression)の4期に分類される。3)特殊型特殊なタイプとして、以下の病態がある。(1)PBC-AIHオーバーラップ症候群(PBC-AIH overlap syndrome)PBCの特殊な病態として、肝炎の病態を併せ持ちALTが高値を呈する本病態がある。副腎皮質ステロイドの投与によりALTの改善が期待できるため、PBCの亜型ではあるが、PBCの典型例とは区別して診断する必要がある。(2)AMA陰性PBC、自己免疫性胆管炎(AIC)AMAは陰性であるが、PBCに特徴的な臨床像と肝組織像を呈し、PBC症例の約10%を占める。これらのうち抗核抗体陽性を呈する病態に対しautoimmune cholangiopathyあるいはautoimmune cholangitis(AIC)などの名称が提唱された。副腎皮質ステロイドの投与が奏効する症例もあり、UDCAの効果がみられない症例に対して試みられる。■ 予後PBCの進展形式は、緩徐進行型、門脈圧亢進症先行型、黄疸肝不全型の大きく3型に分類される(図)。多くは長期間の無症候期を経て徐々に進行するが(緩徐進行型)、黄疸を呈することなく食道静脈瘤が比較的早期に出現する症例(門脈圧亢進症型)と早期に黄疸を呈し、肝不全に至る症例(黄疸肝不全型)がみられる。肝不全型は比較的若年の症例にみられる傾向がある。黄疸期(s2PBC)になると進行性で予後不良である。5年生存率は、血清総ビリルビン値が5.0mg/dLで55%、8.0mg/dLを超えると35%となる。画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、厚労省研究班の診断基準(表1)に則って行うが、(1)血液所見で慢性の胆汁うっ滞所見(ALP、γ-GTPの上昇)(2)AMA陽性所見(間接蛍光抗体法またはELISA法)(3)肝組織学像で特徴的所見(CNSDC、肉芽腫、胆管消失)の3項目が重要である1)。〔肝組織像が得られる場合〕(1)組織学的にCNSDCを認め、検査所見がPBCとして矛盾しないもの。(2)AMAが陽性で、組織学的にはCNSDCの所見を認めないが、PBCに矛盾しない(compatible)組織像を示すもの。〔肝組織像が得られない場合〕AMAが陽性で、しかも臨床像および経過からPBCと考えられるもの。■ 臨床検査成績慢性の胆道系酵素(ALP、γ-GTP)の上昇、血清IgMの高値、AMAの出現が特徴的である。■ 抗ミトコンドリア抗体(AMA)と抗核抗体AMAの対応抗原として、ピルビン酸脱水素酵素E2コンポーネント(PDC-E2)をはじめとするミトコンドリア内膜に存在するオキソ酸脱水素酵素複合体を構成する蛋白が明らかになっている。PDC-E2反応性CD4陽性T細胞がPBC患者の肝臓、所属リンパ節および末梢血で有意に増加していることが示され、本疾患の成立・維持に重要な役割を果たしていることが想定される。PBCではAMAのほか、抗セントロメア抗体、抗核膜孔抗体(抗gp210抗体)、抗multiple nuclear dot抗体(抗sp100抗体)など数種の抗核抗体も陽性化する。核膜孔の構成成分に対する抗gp210抗体は特異度ほぼ100%と疾患特異性が高く、PBC患者の約20~30%で陽性化する。本抗体は予後不良なPBC症例で陽性になる率が高く、PBCの臨床経過の予測因子として有用であることが示されている1)。■ 肝組織像自己免疫機序を反映する肝内胆管病変(CNSDC)がPBC肝の基本病理所見であり、肉芽腫の形成も特徴的である。肝内小型胆管が選択的に進行性に破壊される。その結果、慢性に持続する肝内胆汁うっ滞が出現し、肝細胞障害、線維化、線維性隔壁が2次的に形成され肝硬変に進行する。■ 鑑別診断・除外診断画像診断(超音波、CT)で閉塞性黄疸を完全に否定したうえで、慢性の胆汁うっ滞性肝疾患および自己抗体を含む免疫異常を伴った疾患という観点から鑑別診断が挙げられる(表2)。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根治的治療法は確立されていないが、ウルソデオキシコール酸はPBC進展抑制効果を有し、現在第1選択薬である。予後の改善も期待でき、実際UDCAが投与される以前の時期と比較するとPBCの予後はかなり改善している。進行したPBCではUDCAで進展を止めることは難しく、肝硬変・肝不全に進行すれば肝移植が唯一の治療手段となる。血清総ビリルビン値が5.0mg/dL以上になると肝移植を考慮し、肝移植専門医へ紹介することが望まれる。■ 薬物療法1)ウルソデオキシコール酸(UDCA)(商品名:ウルソなど)胆道系酵素の低下作用のみでなく、組織の改善、肝移植・死亡までの期間の延長効果が確認されている1)。通常1日600mgが投与されるが、効果が不十分の場合は900mgに増量される。2)ベザフィブラート(同:ベザトールSR、ベザリップなど)UDCAの効果が乏しい症例でベザフィブラート(400mg/日)が有効な症例もみられる1)。UDCAとは作用機序が異なることから併用投与が望ましいとされる。3)副腎皮質ステロイド通常のPBCに対する投与は病態の改善には至らず、とくに閉経後の中年女性においては骨粗鬆症を増強する副作用が表面に出てくるので、むしろ禁忌とされている。PBC-AIHオーバーラップ症候群で肝炎所見が明瞭である場合は、本剤の投与が推奨される1)。■ 肝移植胆汁うっ滞性肝硬変へと進展した場合は、もはや内科的治療で病気の進展を抑えることができなくなるため、肝移植が唯一の救命法となる1)。肝移植適応時期の決定は、Mayo(updated)モデルや日本肝移植適応研究会のモデルが用いられている。移植後は免疫抑制薬を投与し、術後合併症、拒絶反応、再発、感染に留意し経過を追う。4 今後の展望本疾患を含め、自己免疫疾患の病因および発症原因の早期解明は期待しがたい。したがって、根本治療の開発にはまだ長い期間がかかるものと思われる。しかし、UDCAについては確実に長期効果もみられており、また、ベザフィブラートについては長期効果のレベルの高いデータは得られていないものの、作用機序に関する基礎データを含め、臨床データも集積しつつあり、UDCAとの併用効果が確立するものと思われる。一方、細胞レベルでの解析や、疾患感受性および進行に関与する遺伝子の解析データも出つつあり、病因の解明とともに、個別化医療が可能となる日もそう遠いものではないと思われる。5 主たる診療科内科、肝臓内科、消化器内科、肝臓移植外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)診療ガイドライン厚生労働科掌研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班:原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診療ガイドライン2012(医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省難病情報センターホームページ 原発性胆汁性胆管炎(PBC)ガイドブック(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)公的助成情報難病情報センター 各相談窓口紹介(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会東京肝臓友の会(患者向けの情報)大阪肝臓友の会(患者向けの情報)1)厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班.原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診療ガイドライン(2012年). 肝臓. 2012; 53: 633-686.2)厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班. 原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診療ガイド. 文光堂. 2010.3)厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班. 患者さん・ご家族のための原発性胆汁性胆管炎(PBC)ガイドブック. 研究班2013事務局. 2013.4)The Intractable Hepatobiliary Disease Study Group supported by the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan Guidelines for the management of primary biliary cirrhosis. Hepatol Res. 2014; 44: 71-90.公開履歴初回2014年01月09日更新2016年03月29日

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腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学

 第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。 対象患者は、2012年4月~13年3月に、京都大学病院で日常的に定常状態のレベチラセタム血中濃度が測定された患者。レベチラセタムの薬物動態における患者特性の影響は、非線形混合効果モデリング(NONMEM)プログラムを用い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・225例から得られた、合計583件の定常状態の血中濃度を解析に使用した。・患者の年齢中央値は、38歳(1~89歳)であり、推定糸球体濾過率(eGFR)は、98mL(15~189mL)/分/1.73 mであった。・レベチラセタムの血中濃度-時間データは、1次吸収のone-compartmentモデルにより十分に説明された。・経口クリアランスは個々の体重やeGFRと非比例的に関連していた。・投与量の増加は、経口クリアランスを有意に増加させた。・モデル適合における改善は、任意の抗てんかん薬の共変量を含むことで観察されなかった。・体重70kg、正常腎機能の成人におけるpopulation mean法のクリアランスは、4.8L/h(500mg bid)、5.9 L/h(1,500mg bid)であった。 結果を踏まえ、著者らは「体重やeGFRと非比例的に関連する経口クリアランスは、腎機能の変化した小児から高齢者において、ルーチンに治療薬物モニタリングデータを予測することができる。腎機能に基づく投与量の調整は、同質の範囲でトラフとピークの濃度をコントロールすることが可能である」とまとめている。■関連記事日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用かてんかん重積状態に対するアプローチは医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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ニフェジピンによるDES留置後の血管保護効果を確認

 2016年3月19日、宮城県仙台市にて開催された第80回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」にて、長時間作用型ニフェジピンの薬剤溶出ステント(DES)留置後の冠動脈に対する保護効果を検討した無作為化前向き試験“NOVEL study”の結果が、東北大学 循環器内科学の圓谷 隆治氏より発表された。 同氏の研究グループはこれまでに、第1世代のDESによる冠動脈過収縮反応を、長時間作用型ニフェジピンの慢性投与が抑制することが動物実験で示されたことを報告している。本試験では、現在主に臨床で使用されている第2世代のDESであるエベロリムス溶出ステントを用いて、ヒトにおける同様の効果について検討された。 対象は、左冠動脈へのDES留置を予定している146例の安定狭心症患者であった。被験者を、スタチン、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、アスピリン、クロピドグレルによる一般的な薬物治療を実施する対照群と、それらに長時間作用型ニフェジピンを追加投与する群に無作為に割り付けた。ニフェジピン群57例および対照群53例に対し、ステント留置から8~10ヵ月後、冠動脈造影のフォローアップ検査を実施し、アセチルコリン負荷試験による冠動脈の収縮反応の確認が行われた。 その結果、冠動脈過収縮反応は、非治療血管に比べ、ステントの遠位部において顕著であった(p<0.001)。また、対照群と比較して、ニフェジピン投与群においてその反応は有意に抑制された(p<0.01)。さらには、血液検査により、炎症反応に関してもニフェジピン群のみにおいて改善が認められた(p<0.05)。 圓谷氏は、本試験の対象患者は、基礎疾患などのベースライン時の特徴から、比較的高リスクであったことを説明した。そのような患者においては、血管に対するストレスが減少したとされる第2世代のDESを用いた場合でも、血管の異常反応である過収縮が認められ、それに対して長時間作用型のニフェジピンの抗炎症作用が有益な効果に関連していることを述べた。 同発表のコメンテーターである岐阜大学 循環病態学・呼吸病態学・第二内科の西垣 和彦氏は、ニフェジピンの抗炎症作用が「クラスエフェクトとしてほかのカルシウム拮抗薬にもあるのか」、また、「ステントを留置した患者の長期予後へどのような影響を及ぼすのか」、という2点が、今後のさらなる研究で明らかになることに期待を寄せた。

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無症候性高度頸動脈狭窄症に対するEPD併用CASのCEAに対する非劣性を証明(解説:中川原 譲二 氏)-505

 これまでの臨床試験で、遠位塞栓を予防するデバイス(embolic protection device:EPD)を用いた頸動脈ステント留置術(CAS)は、手術による合併症の標準または高リスク患者において、頸動脈内膜剥離術(CEA)の代替として効果的な治療であることが示唆されていた。 米・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らは、手術による合併症が高リスクに該当しない患者のみを対象に、EPDを用いたCASとCEAを比較する多施設共同無作為化比較試験「Asymptomatic Carotid Trial(ACT)I」を実施し、EPD併用CASのCEAに対する非劣性を証明した。1,453例でEPD併用CASとCEAを比較 この研究では、高度(70%以上)内頸動脈狭窄を有する79歳以下の患者で、無症候性(登録前180日以内の脳卒中・一過性脳虚血発作・一過性黒内障などの既往なし)で、手術による合併症が高リスクに該当しない患者を対象として、EPDを用いたCAS群とCEA群を比較した。EPD併用CAS群とCEA群を3対1の割合で無作為に割り付けた。試験は、当初1,658例の患者登録を予定していたが、登録が進まず1,453例で止まった。追跡調査期間は5年間であった。主要複合エンドポイントは、術後30日以内の死亡・脳卒中・心筋梗塞、または1年以内の同側脳卒中とし、3%を非劣性マージンとして評価した。EPD併用CASの非劣性を証明、5年後の転帰も有意差認められず 解析対象の内訳は、CAS群1,089例、CEA群364例で、平均年齢は両群とも68歳、ほとんどが65歳以上であった。主要複合エンドポイントのイベント発生率はCAS群3.8%、CEA群3.4%で、CASのCEAに対する非劣性が認められた(非劣性に関してp=0.01)。30日以内の死亡または脳卒中の発生率は、CAS群2.9%、CEA群1.7%であった(p=0.33)。術後30日から5年までに、同側脳卒中の無発生率はCAS群97.8%、CEA群97.3%(p=0.51)、全生存率はCAS群87.1%、CEA群89.4%(p=0.21)であった。5年間の累積無脳卒中生存率はCAS群93.1%、CEA群94.7%であった(p=0.44)。 本研究では、手術による合併症が高リスクではない無症候性高度頸動脈狭窄症患者において、EPDを用いたCASのCEAに対する非劣性が示された。また、5年の追跡調査でも、非手術関連脳卒中、全脳卒中および全生存率について、両群間で有意差は認められなかった。これらの結果は、EPDを用いたCASが、手術による合併症が標準または高リスクの患者だけでなく、高リスクではない無症候性高度頸動脈狭窄症に対しても、CEAの代替として効果的な治療であることを証明したといえる。

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ACC(米国心臓病学会)2016 注目のLate Breaking Clinical Trial

2016年4月2~4日、米国シカゴでACC2016(米国心臓病学会)が開催されます。今年のACCは、5つのLate Breaking Clinical Trialセッションと2つのFeatured Clinical Researchセッションで最新の研究が発表される予定です。ケアネットでは、聴講スケジュールの参考としていただくために、Late Breaking Trialでの注目演題のアンケートを実施いたしました。その結果をセッションごとに、北里大学医学部循環器内科学 教授 阿古潤哉氏のコメントとともにご紹介いたします。また、レストランをはじめ開催地シカゴのおすすめスポットについても、会員の方々から情報をお寄せいただきました。ぜひ、ご活用ください。開催地シカゴのおすすめスポットはこちらOpening Showcase and the Joint ACC/JACC Late-Breaking Clinical Trials<Session 401:4/2(土)8:00am~10:00am、Main Tent (North Hall B1)>Partner 2: Transcatheter Aortic Valve Replacement Compared with Surgery in Intermediate Risk Patients with Aortic Stenosis: Final Results from the Randomized Placement of Aortic Transcatheter Valves 2 StudyHOPE 3: Blood Pressure Lowering in People at Moderate RiskHOPE 3: Effects of Combined Lipid and BP-Lowering on Cardiovascular Disease in a Moderate Risk Global Primary Prevention PopulationQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日はTAVRに注目が集まっている様子。最初は手術リスクが高い人にのみ行われてきたTAVRが、中等度リスクの患者でどのような結果になるか、無作為化試験に注目が集まる。結果次第では現在の適応を大きく変えていく可能性も。Joint American College of Cardiology/Journal of the American Medical Association Late-Breaking Clinical Trials<Session 404:4/3(日) 8:00am~9:15am、Main Tent (North Hall B1)>ACCELERATE: Impact of the Cholesteryl Ester Transfer Protein Inhibitor Evacetrapib on Cardiovascular Events: Results of the ACCELERATE trialGAUSS-3: Comparison of PCSK9 Inhibitor Evolocumab Versus Ezetimibe in Statin-intolerant Patients: The Goal Achievement After Utilizing an Anti-PCSK9 Antibody in Statin Intolerant Subjects 3 (GAUSS-3) TrialFH Mutations: Low-density Lipoprotein Cholesterol, Familial Hypercholesterolemia Mutation Status and Risk for Coronary Artery DiseaseStepathlon: Reproducible Impact of a Global Mobile Health (mHealth) Mass-Participation Physical Activity Intervention on Step Count, Sitting Behavior and Weight: the Stepathlon Cardiovascular Health StudyLow Risk Chest Pain: Involving Patients with Low Risk Chest Pain in Discharge Decisions: A Multicenter TrialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日はGAUSS試験に注目が集まっている。わが国でも承認されたPCSK9阻害薬が、スタチンを投与することができない患者に対してどの程度、有効性・安全性を示すか注目される。ACCELERATEはCETP阻害薬の試験。今までHDL-Cを上げる治療はなかなか有効性が示されていないが、evacetrapibでどのような結果となるか?Joint American College of Cardiology/TCT Late-Breaking Clinical Trials<Session 405:4/3(日)10:45am~noon、Main Tent (North Hall B1)>DANish (DEFERred stent): The Third DANish Study of Optimal Acute Treatment of Patients with ST-segment Elevation Myocardial Infarction: DEFERred stent implantation in connection with primary PCIDANish (iPOST conditioning): The Third DANish Study of Optimal Acute Treatment of Patients with ST-segment Elevation Myocardial Infarction: iPOSTconditioning during primary PCIEarly-BAMI: Effect Of Early Administration Of Intravenous Beta Blockers In Patients With ST-elevation Myocardial Infarction Before Primary Percutaneous Coronary Intervention. The Early-BAMI trial.Sapien 3: Sapien 3 Transcatheter Aortic Valve Replacement versus Surgery in Intermediate-Risk Patients with Severe Aortic Stenosis: A Propensity-Matched Comparison of One-Year OutcomesTAVR Volume/Outcome: Relationship Between Procedure Volume and Outcome for Transcatheter Aortic Valve Replacement in U.S. Clinical Practice: Insights from the STS/ACC TVT RegistryQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日はSTEMIに対する試験が注目されている様子である。TAVRの演題は数字上低めとなっている。しかし、この日もSapienはintermediate riskの患者のデータであり、TAVR治療の今後の広がりを考える上では注目されよう。Featured Clinical Research Session I<Session 406:4/3(日)12:30pm~1:45pm、ACC.16 Main Tent (Room S103cd)>MR: Papillary Muscle Approximation versus Undersizing Restrictive Annuloplasty Alone for Severe Ischemic Mitral Regurgitation: a Randomized Clinical TrialIsch MR: Two-year Outcomes of Surgical Treatment of Moderate Ischemic Mitral Regurgitation: A Randomized Clinical Trial from The Cardiothoracic Surgical Trials NetworkSurgery Ischemic HF: Ten-Year Outcome of Coronary Artery Bypass Graft Surgery Versus Medical Therapy in Patients with Ischemic Cardiomyopathy: Results of the Surgical Treatment for Ischemic Heart Failure Extension StudyCoreValve: 3-Year Results From the CoreValve US Pivotal High Risk Randomized Trial Comparing Self-Expanding Transcatheter and Surgical Aortic ValvesValve Deterioration: Incidence and Outcomes of Valve Hemodynamic Deterioration in Transcatheter Aortic Valve Replacement in U.S. Clinical Practice: A Report from the Society of Thoracic Surgery / American College of Cardiology Transcatheter Valve Therapy RegistryQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日はischemic MRに対する試験と、虚血性心筋症に対するバイパス術と内科的治療を比較した臨床試験が注目を集めている。いずれも、clinical decision makingの助けとなる臨床試験が不足している領域であり、今後のガイドラインにも影響を与えそうな試験内容である。Joint American College of Cardiology/New England Journal of Medicine Late-Breaking Clinical Trials<Session 410:4/4(月)8:00am~9:15am、Main Tent (North Hall B1)>Resuscitation Outcomes: Antiarrhythmic Drugs for Shock-Refractory Out-of-Hospital Cardiac Arrest: The Resuscitation Outcomes Consortium Amiodarone, Lidocaine or Placebo StudyFIRE AND ICE: Largest Randomized Trial Demonstrates an Effective Ablation of Atrial Fibrillation: the FIRE AND ICE TrialRate v Rhythm: A Randomized Trial of Rate Control Versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac SurgeryLATITUDE-TIMI 60: The Losmapimod To Inhibit P38 MAP Kinase As A Therapeutic Target And Modify Outcomes After An Acute Coronary Syndrome (LATITUDE-TIMI 60) Trial: Primary Results Of Part ACARIN: CMX-2043 for Prevention of Contrast Induced Acute Kidney Injury: The Primary Results of the CARIN TrialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日はresuscitation、ablation、rate control or rhythm controlに注目が集まっているが、個人的にはLATITUDE試験の結果も興味深いのではないかと考える。Late-Breaking Clinical Trials<Session 412:4/4(月)10:45am~noon、Main Tent (North Hall B1)>ATMOSPHERE: Direct Renin-inhibition With Aliskiren Alone And In Combination With Enalapril, Compared With Enalapril, In Heart Failure (the ATMOSPHERE Trial)TRUE-AHF: Effect of Ularitide on Short- and Long-Term Clinical Course of Patients with Acutely Decompensated Heart Failure: Primary Results of the TRUE-AHF TrialIxCell-DCM: The Final Results of the IxCell-DCM Trial: Transendocardial Injection of Ixmyelocel-T in Patients with Ischemic Dilated CardiomyopathyINOVATE-HF: The Effect of Vagal Nerve Stimulation in Heart Failure: Primary Results of the INcrease Of VAgal TonE in chronic Heart Failure (INOVATE-HF) TrialIMPEDANCE-HF: Non-invasive Lung IMPEDANCE-Guided Preemptive Treatment in Chronic Heart Failure Patients: a Randomized Controlled Trial (IMPEDANCE-HF trial)Low Risk Chest Pain: Involving Patients with Low Risk Chest Pain in Discharge Decisions: A Multicenter TrialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこの日は心不全関連の演題が多く出されている。アリスキレンの演題の注目度が高いようだが、vagal stimulationなどの新たな試みも出てくるということで、心不全に関する新たな知見が期待される。Featured Clinical Research Session II<Session 416:4/4(月)2:00pm~3:30pm、Main Tent (Grand Ballroom S100bc)>PROMISE (Sex Differences): Sex Differences in Functional Stress Test vs CT Angiography Results and Prognosis in Symptomatic Patients with Suspected Coronary Artery Disease: Insights from the PROMISE TrialSTOP-CHAGAS: Short and Long Term Effects of Benznidazole, Posaconazole, Monotherapy and their Combination in Eliminating Parasites in Asymptomatic T. cruzi Carriers: The Study of Oral Posaconazole in the Treatment of Asymptomatic Chagas Disease (STOP-CHAGAS Trial)STAMPEDE: Bariatric Surgery vs. Intensive Medical Therapy for Long-term Glycemic Control and Complications of Diabetes: Final 5-Year STAMPEDE Trial ResultsVindicate: Vitamin D Supplementation Improves Cardiac Function In Patients With Chronic Heart Failure - Preliminary Results Of The Vitamin D Treating Chronic Heart Failure (vindicate) StudyRxEACH Trial: The Effect of Community Pharmacist Prescribing and Care on Cardiovascular Risk Reduction: The RxEACH Multicenter Randomized Controlled TrialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=99)画像を拡大する阿古 潤哉氏のコメントこのセッションにはさまざまなものが混じって入れられている。わが国にも関連があるのはsex differenceの演題かもしれないが、世界的にみるとCHAGAS病、肥満に対するbariatric surgeryなども重要な位置を占める。

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ACC2016 開催地シカゴのおすすめスポット

ケアネットでは、学会に参加しながらアメリカ第二の都市シカゴを十分にお楽しみいただくため、会員の方々から現地の名所、おすすめのレストラン情報などを募集しましたので、ここでご紹介します。注目のLate Breaking Clinical Trialはこちらレストランシカゴといえばシカゴピザ。生地がパンのように厚いディープ・ディッシュ・ピザが有名だそうです。Lou Malnati's PizzeriaConnie's Pizzaシカゴピザを食べに行くときは、中川 義久氏(天理よろづ相談所病院)からの以下のアドバイスをご参考にどうぞ。“本場のシカゴピザ、それもディープ・ディッシュ・ピザを食してしまうと、その後に日本でピザを食べても、すべて悲しい偽物に思えてしまうことでしょう。カロリーや健康、ましてや冠狭窄の進展などを気に掛ける方にはお勧めしません。不健康な食事の持つ麻薬的な魅力が凝縮されたのがディープ・ディッシュ・ピザです。大きいのを頼むと完食は不可能です。小さいのでも完食は困難です。ぜひともトライしてください。シーザーサラダも頼みましょう。馬の餌かと思うほど大量のサラダが供されます。このサラダに関しては現地人でも完食せず残すことが通常のようですのでご安心ください。(2014年当時の感想)”ピザの次は肉でしょうか。高級ステーキハウスとして有名なモートンズはシカゴが本店。数店舗あるようですが、ダウンタウンのThe Originalが発祥とのこと。Morton’s Steakhouse(The Original)BBQスペアリブのお店。シカゴ名物だそうです。Carson’sお米が食べたい先生へ、チャイナタウンはいかがでしょうか。Lao Sze ChuanLao Hunan日曜日はオープンエアーマーケットが開催されます。ここでも、いろいろなグルメが味わえるそうです。Maxwell Street MarketシカゴにはMichelinレストランが25軒ありました。Michelin Awards Stars To 25 Chicago Restaurants (Business Insider)アメリカ版 食べログYelp(イェルプ)で学会場McCormick Place近辺の人気の店を調べました。このサイト評価、当たると評判とのこと。The 10 Best Places near Near Southside, Chicago, IL (Yelp)名所ミシガン湖や美術館・博物館などの情報をお寄せいただきました。シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高いビルだそうです。ウィリス・タワー(Willis Tower)アメリカの三大美術館の1つに数えられるそうです。シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)世界で最も有名な恐竜ティラノサウルス(スー)が展示されているとのこと。フィールド博物館(The Field Museum)スポーツスポーツについての投稿も数多くいただきました。シカゴにはいろいろなプロスポーツチームがあります。時間がとれる先生はぜひ観戦を。アメリカンフットボール(NFL)シカゴBEARSバスケットボール(NBA)シカゴBULLS野球(MLB)シカゴの2チームは4月4日が開幕戦です。残念ながらアウェイのようですが。シカゴCUBSシカゴWHITE SOXサッカー(MLS)シカゴFIREACC2016のサイトにも観光やダイニングの情報が載っています。ACC.16 (Choose Chicago)

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海外学会開催地オススメ情報「シカゴ」

ケアネットでは、学会に参加しながらアメリカ第二の都市シカゴを十分にお楽しみいただくため、会員の方々から現地の名所、おすすめのレストラン情報などを募集しましたので、ここでご紹介します。※掲載されている情報は2016年3月時点のものです。レストランシカゴといえばシカゴピザ。生地がパンのように厚いディープ・ディッシュ・ピザが有名だそうです。Lou Malnati's PizzeriaConnie's Pizzaピザの次は肉でしょうか。高級ステーキハウスとして有名なモートンズはシカゴが本店。数店舗あるようですが、ダウンタウンのThe Originalが発祥とのこと。Morton’s Steakhouse(The Original)BBQスペアリブのお店。シカゴ名物だそうです。Carson’sお米が食べたい先生へ、チャイナタウンはいかがでしょうか。Lao Sze ChuanLao Hunan日曜日はオープンエアーマーケットが開催されます。ここでも、いろいろなグルメが味わえるそうです。Maxwell Street MarketシカゴにはMichelinレストランが25軒ありました。Michelin Awards Stars To 25 Chicago Restaurants (Business Insider)アメリカ版 食べログYelp(イェルプ)で学会場McCormick Place近辺の人気の店を調べました。このサイト評価、当たると評判とのこと。The 10 Best Places near Near Southside, Chicago, IL (Yelp)名所ミシガン湖や美術館・博物館などの情報をお寄せいただきました。シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高いビルだそうです。ウィリス・タワー(Willis Tower)アメリカの三大美術館の1つに数えられるそうです。シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)世界で最も有名な恐竜ティラノサウルス(スー)が展示されているとのこと。フィールド博物館(The Field Museum)スポーツスポーツについての投稿も数多くいただきました。シカゴにはいろいろなプロスポーツチームがあります。時間がとれる先生はぜひ観戦を。アメリカンフットボール(NFL)シカゴBEARSバスケットボール(NBA)シカゴBULLS野球(MLB)シカゴCUBSシカゴWHITE SOXサッカー(MLS)シカゴFIRE

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治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

 うつ病患者は、適切な第1選択の抗うつ薬治療を受けていなかった場合、誤って治療抵抗性うつ病として分類されることがある。治療レジメンへの第2選択薬の追加は、患者と医療システムの両方における負担を増加させる。米国・D'Youville CollegeのAmany K Hassan氏らは、うつ病患者が第2選択治療を開始する前に、適切な抗うつ薬治療を受けていたかを検討し、単極性 vs.双極性患者における第2選択治療の種類とうつ病重症度との関連も調査した。International journal of clinical pharmacy誌オンライン版2016年3月2日号の報告。治療抵抗性として分類され第2選択治療を受けたうつ病患者を分析 2006~11年のオクラホマ州医療申請データを使用した。対象は、2種類以上の処方を受けた後、第2選択治療を受けた成人うつ病患者。対象患者は第2選択治療の種類により、非定型抗精神病薬群、他の増強薬(リチウム、buspirone、トリヨードサイロニン)治療群、抗うつ薬追加群の3群に分類された。適格とした試験は、米国精神医学会のガイドラインの定義に準じたものとした。治療の種類に関連する要因は、うつ病のタイプ(単極性 vs.双極性)で層別化した多項ロジスティック回帰分析を用い検討した。主要評価項目変数は、適切な抗うつ薬治療(投与期間、アドヒアランス、投与量の妥当性、個々の抗うつ薬治療の数など)が受けられたかを調べるために使用した。 主な結果は以下のとおり。・合計3,910例の患者による分析を行った。・ほとんどの患者で、推奨用量の抗うつ薬が処方されていた。・28%の患者は、抗うつ薬治療期間が4週未満であった。また、第2選択治療を行う前に、2種類以上の抗うつ薬治療レジメンが試みられた患者は60%のみであった。・対象者の約50%は、全群を通じてアドヒアランス不良であった。・重症度と適切な抗うつ薬治療の受療は、第2選択治療の種類を予測するものではなかった。 著者らは「多くの患者は、第2選択薬治療を開始する前に、十分な抗うつ薬治療を受けていなかった。また、第2選択治療の種類は、うつ病の重症度との関連が認められなかった」とし、「第2選択薬治療を追加する前に、第1選択薬の推奨投与量や投与期間を確認する必要がある」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

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公表論文のp値、ほとんどが有意差あり/JAMA

 p値の記載のある抄録や論文は増加しており、そのほとんどが統計学的に有意差のある結果の報告であることが、パリ・イル・ド・フランス複雑系研究所(ISC-PIF)のDavid Chavalarias氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2016年3月15日号に掲載された。生物医学などの研究分野では、研究結果から得られる結論の伝達に、p値による統計的検定が用いられるが、p値の誤用や誤解、伝達不良への関心が高まっている。また、報告バイアス(reporting bias、「否定的な」結果とは対照的に、統計学的に有意差のある結果は優先的に公表され、強調されることによるバイアス)に関するさまざまな分野からのエビデンスが増えており、これは公表された科学文献の信頼性において重大な意味を持つ可能性があるという。過去25年間の文献で、p値と他の統計情報の報告状況を評価 研究グループは、過去25年間における生物医学文献のp値の報告状況を調査し、p値以外の方法による統計情報の提示について検討した。 自動テキスト・マイニング分析法を用いて、1990~2015年にMEDLINEに登録された1,282万1,790編の抄録およびPubMed Central(PMC)に登録された84万3,884編の抄録と論文全文で報告されたp値のデータを抽出した。 PubMedの分類で臨床コアジャーナル(core clinical journals)に指定された151の英語専門誌と、臨床試験や無作為化対照比較試験、メタ解析、総説に分類された特定の論文におけるp値の報告の評価も行った。 無作為に選出した1,000編のMEDLINEの抄録で、p値と他の統計情報を手作業で確認した。また、経験的データ(empirical data)を報告している抄録のうち100編の論文の全文の検討も行った。 テキスト・マイニングにより、MEDLINEの160万8,736編の論文抄録から457万2,043の、PMCの38万5,393編の論文全文から343万8,299のp値が同定された。p値だけでなく効果量なども記述すべき 抄録でのp値の報告は、1990年の7.3%から2014年には15.6%に増加した。2014年のp値の報告の割合は、151誌の臨床コアジャーナルの抄録(2万9,725編)が33.0%、メタ解析(5,620編)が35.7%、臨床試験(4,624編)が38.9%、無作為化対照比較試験(1万3,544編)が54.8%、総説(7万1,529編)は2.4%であった。 p値の分布は、抄録および全文の双方において、0.05および0.001以下に高度に集中しており、0.01への集中は相対的に低かった。また、最大のp値(統計学的有意差が最も大きいp値)は経時的にわずかに低くなり、最小のp値(有意差が最も小さいp値)もわずかに低下した。 MEDLINEの抄録とPMCの全文のp値のうち、96%が1つ以上のp<0.05を報告しており、PMCの全文ではこの割合が経時的にほぼ一定していた。 手作業で検討した1,000編の抄録のうち、796編が経験的データを報告した論文のものであった。このうち抄録にp値が記述されていたのは15.7%(125/796編、95%信頼区間:13.2~18.4)で、信頼区間の記述は2.3%(18/796編、1.3~3.6)、ベイズ因子は0%(0/796件、0~0.5)、効果量(effect size)は13.9%(111/796件、11.6~16.5)、p値が推定できる他の情報は12.4%(99/796件、10.2~14.9)、有意差に関する定性的記述は18.1%(181/1,000件、15.8~20.6)であり、効果量と信頼区間の双方を1つ以上報告している抄録は1.8%(14/796件、1.0~2.9)しかなかった。 99編の論文全文の手作業による検討では、55編がp値を報告しており、4編がすべての効果量の信頼区間を記載していた。ベイズ法を用いた論文はなく、1編が偽発見率(false-discovery rate:FDR)を使用し、3編がサンプルサイズ/検出力を算定しており、5編が主要アウトカムを規定していた。 著者は、「25年間で、p値を報告したMEDLINEの抄録は経時的に増加しており、p値を記載した抄録、論文のほとんどが統計学的に有意差のある結果を報告していたが、信頼区間、ベイズ因子、効果量の記載のある論文はほとんどなかった」とまとめ、「p値を単独で記述するよりも、効果量や不確実性(uncertainty)の測定基準も論文に含めるべきである」としている。

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再挿管リスク、ネーザルハイフロー vs.従来酸素療法/JAMA

 抜管後の酸素療法について、再挿管リスクが低い患者ではネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも、72時間以内の再挿管リスクが有意に低下したことが、スペイン、ビルヘン・デ・ラ・サルード病院のGonzalo Hernandez氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、示された。これまでに、再挿管リスクの高低を問わない機械的人工換気療法を受ける重篤疾患患者の試験で、抜管後のネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも酸素化を改善することは示されていた。しかし、再挿管リスクに関するデータはなかった。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。再挿管低リスクの527例を対象に無作為化試験 研究グループは、再挿管リスクが低い機械的人工換気療法を受ける患者の再挿管の回避について、ネーザルハイフロー療法のほうが従来酸素療法よりも優れるか否かを調べる検討を行った。 試験は2012年9月~14年10月に、スペイン国内7つのICUで行われた。対象は、成人重篤患者で、計画的抜管に関する基準を完全に満たし再挿管リスクが低いと判定された527例であった。低リスク判定の定義は、「65歳未満」「抜管日のAPACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)IIスコアが12未満」「BMI 30未満」「気道分泌物調節能あり」「離脱が容易に施行」「併存疾患0もしくは1」「心不全なし」「中等症~重症のCOPDなし」「気道開存性の問題なし」「機械的人工換気の施行期間が非長期(7日以内)」であった。 患者は、抜管後24時間、ネーザルハイフロー療法もしくは従来酸素療法を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、抜管後72時間以内の再挿管で、Cochran-Mantel-Haenszel χ2検定法を用いて比較した。副次アウトカムは、抜管後の呼吸不全、呼吸器感染症、敗血症、多臓器不全、ICU入室および入院期間、死亡、有害事象、再挿管までの時間などであった。再挿管の発生、ハイフロー群4.9%、従来群12.2% 被験者527例は、平均年齢51(範囲:18~64)歳、男性62%であった。264例がネーザルハイフロー療法を受け(ハイフロー群)、263例が従来酸素療法を受けた(従来群)。 結果、抜管後72時間以内の再挿管の発生頻度は、ハイフロー群で有意に低かった。ハイフロー群13例(4.9%) vs.従来群32例(12.2%)で、絶対差は7.2%(95%信頼区間[CI]:2.5~12.2%、p=0.004)であった。 抜管後呼吸不全の発生は、ハイフロー群で低かった。ハイフロー群22/264例(8.3%) vs.従来群38/263例(14.4%)で、絶対差は6.1%(95%CI:0.7~11.6%、p=0.03)であった。 再挿管までの時間は、両群で有意差はなかった。ハイフロー群19時間(四分位範囲:12~28) vs.従来群15時間(9~31)で、絶対差は-4(95%CI:-54~46、p=0.66)であった。 有害事象の報告はなかった。

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足動脈血管形成術、中等度CLI(重症下肢虚血)に有効性

 2016年3月19日、日本循環器学会学術集会「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」が行われ、宮崎市郡医師会病院 仲間 達也氏が、足首以下にも病変を持つ重症下肢虚血(以下CLI:critical limb ischemia)患者に対する血行再建の臨床的意義を評価した多施設共同試験RENDEZVOUSレジストリについて報告した。 重症下肢虚血患者の救肢において血行再建は不可欠である。従来のバイパス手術に匹敵する救肢率が報告されている血管内治療(EVT)への注目度が増している。しかしながら、EVTの創傷治癒率には依然として課題が残る。 そのようななか、足首以下までの血行再建(以下PAA:pedal artery angioplasty)により、創傷治癒率の向上と治癒までの期間の短縮を示した単施設研究が、昨年報告されている1)。今回の研究の目的は、PAAの追加がCLI患者の予後にどう影響するのかを多施設研究で評価することである。 試験は、日本全国の5施設によるデータベースから後ろ向き解析で行われた。試験対象は、2012年1月~14年6月に登録された257患者、257肢。患者はRutherford4を除くCLIで、ひざ下と足首以下に虚血性潰瘍または壊死を含む病変を有する。患者の半数が、車いす以下のADLであった。病変は、Rutherford分類5が78%、6が22%、感染肢が半数、小切断術またはデブリードマン施行も半数で行われており、重篤な状態であった。試験の主要評価項目は、EVT後12ヵ月の創傷治癒率と創傷治癒までの時間。副次的評価項目は救肢率、切断後生存期間、再血行再建回避率であった。また、創傷治癒率の独立危険因子を多変量で解析し、危険因子の数でリスク層別化を行い、どの患者に対してPAAを行うべきかを明らかにした。 結果、主要評価項目である創傷治癒率は、PAA施行群で59.3%、非施行群では38.1%、とPAA施行群で有意に高かった。創傷治癒までの時間もPAA施行群で有意に短かった。副次的評価項目については統計学的な差は認められていない。 創傷治癒遅延の危険因子は、車いす以下、テキサス分類2以上の深い潰瘍、透析施行。一方、PAAは治癒遅延陰性因子、すなわち治癒促進因子であった。 上記危険因子の数により3段階で評価されたリスク層別化をみると、中等度リスク群(危険因子1~2個)では、PAA施行群の創傷治癒率59.3%に対し、非施行群では33.9%と、有意にPAA施行群の創傷治癒率が高かった。低リスク群(危険因子なし)では、PAA施行群に高い傾向があったが、統計的有意差は認められなかった。高リスク群(危険因子3個)においても統計的有意差は認められなかった。 仲間氏は「この試験から、積極的にPAAを行うことで、中等度リスクの患者のアウトカムの改善を期待できることが明らかになった。一方、低リスク群では、PAA非施行でも比較的良好な成績が得られ、PAAの意義は明らかではない。また、高リスク群では、障害が大きいことから血管内治療で介入できる範囲を超えている可能性が示唆された」と述べている。参考文献1)Nakama T, et al. J Endovasc Ther. 2016;23:83-91.

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統合失調症患者の認知機能、年齢による違いを検証

 統合失調症患者における認知障害の潜在的動態は、その専門分野の文献で議論されている。最近の報告では、初回精神病エピソード後に認知機能障害のレベルが、わずかに変化することが示唆されている。ポーランド・ワルシャワ医科大学のAnna Mosiolek氏らは、患者と対照群における認知機能や臨床像の年齢群間差を検討した。BMC psychiatry誌2016年2月24日号の報告。 18~55歳の統合失調症入院患者128例(女性:64例、男性64例)と対照群64例(女性:32例、男性32例)を調査した。患者の年齢層は、18~25歳、26~35歳、36~45歳、46~55歳に分けた。両群共に、ウィスコンシンカード分類課題(WCST)、レイ聴覚性言語学習検査、レイ複雑図形検査、トレイルメイキングテスト、ストループ課題、言語流暢性検査、ウェクスラー数唱課題を用い調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、対照群と比較し、測定されたすべての認知機能において有意に低いスコアが示された(Mann-Whitney U検定:p<0.05)。・ほとんどの不足は、すべての年齢層においてみられたが、実行機能(WCST)における統計学的に重大な障害については、高齢群においてのみみられた。 著者らは「統合失調症患者の認知機能は、対照群と比較し、すべての年齢層において不良であった。実行機能に関する障害は、46~55歳群で顕著にみられたが、若年齢群ではみられなかった。また、36~45歳群では、若年齢群と比較し、実行機能の有意な低下が認められた」とし「認知機能レベルは、加齢により緩やかに悪化し、入院治療を伴わない罹病期間と関連する」とまとめている。関連医療ニュース 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは グルタミン酸作用、統合失調症の認知機能への影響は認められず 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン

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敗血症患者のICUでの2次感染、死亡への影響は?/JAMA

 ICUでの2次感染は、重症度が高い敗血症入室患者でより多く発生していたが、全死亡に対する寄与はごくわずかであることが、オランダ・アムステルダム大学のLonneke A. van Vught氏らが、Molecular Diagnosis and Risk Strati- fication of Sepsis(MARS)プロジェクトの一部として行った前向き観察研究の結果、示された。なお、敗血症患者のゲノム応答を調べたところ、免疫抑制は2次感染発症時に起きたことを示すものであったという。これまで、敗血症は免疫抑制を引き起こし、2次感染と死亡との関連感度を高めるのではないかと考えられていた。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。ICUへの敗血症入室約1,700件、非感染症入室約1,900件を解析 研究グループは、2011年1月~13年7月、オランダ2施設のICUに連続48時間以上入室した患者を対象に、前向き観察研究を行った。患者は、入室時の診断によって敗血症入室と非感染症入室に層別化され、解析対象は敗血症入室1,719件(1,504例、年齢中央値62歳、四分位範囲[IQR]:51~71歳、男性924例[61.4%])、非感染症入室1,921件(1,825例、年齢中央値62歳、IQR 49~71歳、男性1,128例[61.8%])であった。 主要評価項目は、ICU入室48時間以降に発症したICUでの2次感染(ICU内感染)で、time-to-eventモデルを用いて寄与死亡割合(リスク因子やICU内感染を排除することで予防されうる死亡の割合)を算出した。 また、一部の敗血症入室例(461件)について、血中遺伝子発現の分析(白血球の全ゲノムトランスクリプトーム)を、ベースラインとICU内感染発症時、および急性心筋梗塞などの非感染性イベント発症時に行った。ICUでの2次感染、重症敗血症患者で多いが全死亡への寄与はわずか ICU内感染を発症したのは、敗血症入室群13.5%(232件)、非感染症入室群15.1%(291件)であった。 敗血症入室群について、ICU内感染発症患者の疾患重症度スコアは、非発症患者と比べてICU入室期間を通して高かった(APACHE IV スコア中央値:90 [IQR:72~107] vs.79 [62~98]、p<0.001)。しかし、両者のベースラインでの遺伝子発現に違いはみられなかった。 60日目までの敗血症入室患者におけるICU内感染の人口寄与死亡割合は10.9%(95%CI:0.9~20.6%)であった。また、敗血症入室全患者の死亡とICU内非感染患者の死亡との差は2.0%と推定された(95%CI:0.2~3.8%)。 一方、非感染症(非敗血症)入室群について、60日目までのICU内感染の人口寄与死亡割合は21.1%であった(95%CI:0.6~41.7%)。 敗血症入室群について行った遺伝子発現の分析の結果、ベースラインと比較しICU内感染発症時において、糖新生や解糖に関連する遺伝子発現の低下が認められた。

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プライマリケアでのNSAID・抗血小板薬の高リスク処方を減らすには/NEJM

 プライマリケア診療所に対し、専門家によるリスクの高い処方に関する教育や、処方の見直しが必要な患者について医師に通知する情報システム、さらにそうした処方の見直しに対する金銭的インセンティブを与えるという複合的介入で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗血小板薬に関する高リスク処方が4割ほど減り、関連する入院の発生も減少したという。スコットランド・ダンディー大学のTobias Dreischulte氏らが、34ヵ所のプライマリケア診療所を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌2016年3月17日号掲載の報告より。NSAIDsと抗血小板薬に関する9つの高リスク処方発生率を比較 研究グループは、スコットランドのテイサイド州で、34ヵ所のプライマリケア診療所(医師が所有する)を対象に、ステップウェッジ・デザインの無作為化試験を行った。試験対象の診療所に対しては、48週間にわたり、(1)薬剤師など専門家による教育(開始時に1時間受講)、その後8週ごとにレターなどが送付、(2)電子カルテから処方の見直しが必要な患者データを特定するなどの情報システムによる支援、(3)高リスク処方について見直しを行った際に支払う金銭的インセンティブ(初回固定額として600ドル、見直した患者ごとに25ドル;フルタイム医師当たり平均収入の約0.6%に相当する平均約910ドルの支払いを見込んだ)をそれぞれ提供した。 主要評価項目は、NSAIDsと抗血小板薬に関する次の9つの高リスク処方の複合だった。(1)消化管潰瘍患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAIDまたはアスピリン処方、(2)75歳以上患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(3)65歳以上患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(4)65歳以上・アスピリン服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでクロピドグレル処方、(5)経口抗凝固薬服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(6)経口抗凝固薬服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでアスピリンまたはクロピドグレル処方、(7)RAS阻害薬と利尿薬服用患者にNSAID処方、(8)慢性腎臓病患者にNSAID処方、(9)心不全歴あり患者にNSAID処方。 副次評価項目は、処方関連の入院などだった。解析は、intention-to-treatを原則とし、混合効果モデルを用いてクラスターデータを評価した。消化管潰瘍・出血による入院も3割強減少 試験を完了した33診療所を包含し、介入前の対象患者3万3,334例と、介入後の対象患者3万3,060人について分析を行った。 その結果、事前に規定した高リスク処方(あらゆるリスクを有した患者)の発生率は、介入直前の3.7%(2万9,537例中1,102例)から、介入終了時の2.2%(3万187例中674例)へと4割程度減少した(補正後オッズ比:0.63、95%信頼区間[CI]:0.57~0.68、p<0.001)。 また、消化管潰瘍や消化管出血による入院も、介入前の55.7件/1万患者年から介入期間中の37.0件/1万患者年へと、有意に減少した(率比:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.002)。心不全による入院も、707.7件/1万患者年から513.5件/1万患者年へと、有意に減少した(率比:0.73、95%CI:0.56~0.95、p=0.02)。 一方、急性腎障害による入院は、101.9件/1万患者年から86.0件/1万患者年へと、有意な減少は認められなかった(率比:0.84、95%CI:0.68~1.09、p=0.19)。

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抗PD-L1抗体atezolizumab、既治療NSCLCのOS延長/Lancet

 既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、新規免疫チェックポイント阻害薬atezolizumabは、ドセタキセル(商品名:タキソテールほか)に比べ予後が良好であることが、米国・カイザーパーマネンテ医療センターのLouis Fehrenbacher氏らが行ったPOPLAR試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年3月9日号に掲載された。ニボルマブやペムブロリズマブがT細胞上のPD-1を標的とするのに対し、atezolizumabは腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1(PD-1のリガンド)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体で、T細胞上のPD-1だけでなくB7.1(CD80)との結合を阻害する。それゆえ、T細胞活性化阻害作用の抑制効果が抗PD-1抗体よりも高い可能性があり、またPD-L2とPD-1の相互作用には影響しないことから、免疫系の恒常性への影響を回避できると考えられている。ドセタキセルと比較する無作為化第II相試験 POPLAR試験は、既治療のNSCLC患者においてatezolizumabとドセタキセルの有用性を比較し、PD-L1発現レベルを評価する非盲検無作為化第II相試験(F Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。 対象は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢が進行したNSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、測定可能病変(RECIST ver.1.1)を有する患者であった。 被験者は、腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1の状態、組織型、前治療レジメン数で層別化され、atezolizumab(1,200mg、静脈内投与)またはドセタキセル(75mg/m2、静脈内投与)を3週ごとに投与する群に無作為に割り付けられた。 免疫組織化学(IHC)検査に基づき、腫瘍細胞上のPD-L1(TC3:≧50%、TC2:5~50%、TC1:1~5%、TC0:<1%)および腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1(IC3:≧10%、IC2:5~10%、IC1:1~5%、IC0:<1%)をスコア化した。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、探索的解析としてバイオマーカーの評価を行った。 2013年8月5日~14年3月31日までに、13ヵ国61施設に287例が登録された。atezolizumab群に144例、ドセタキセル群には143例が割り付けられ、それぞれ142例、135例が1回以上の投与を受けた。OS中央値:約3ヵ月延長、PD-L1発現率が高いほど良好 年齢中央値は両群とも62歳、男性はatezolizumab群が65%、ドセタキセル群は53%であり、喫煙者/元喫煙者がそれぞれ81%、80%、前治療レジメン数は1が65%、67%、2が35%、33%だった。 OS中央値はatezolizumab群が12.6ヵ月であり、ドセタキセル群の9.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.53~0.99、p=0.04)。 また、OS中央値はPD-L1の発現率が高い患者ほど良好であった(TC3またはIC3=HR:0.49[0.22~1.07]、p=0.068/TC2/3またはIC2/3=HR:0.54[0.33~0.89]、p=0.014/TC1/2/3またはIC1/2/3=HR:0.59[0.40~0.85]、p=0.005/TC0およびIC0=HR:1.04[0.62~1.75]、p=0.871)。 既存免疫(エフェクターT細胞およびインターフェロン-γの関連遺伝子発現≧中央値で定義)を有する患者の探索的解析では、atezolizumab群のOS中央値が有意に改善された(HR:0.43、95%CI:0.24~0.77)。 atezolizumab群で頻度の高い全原因有害事象として、食欲減退、呼吸困難、悪心、下痢、発熱などが認められ、免疫関連有害事象としてAST上昇(4%)、ALT上昇(4%)、肺臓炎(3%)、腸炎(1%)、肝炎(1%)がみられた。 治療関連有害事象の発現率は、atezolizumab群が67%、ドセタキセル群は88%であった。有害事象による治療中止は、atezolizumab群が8%(11例)、ドセタキセル群は22%(30例)、Grade 3/4の治療関連有害事象はそれぞれ11%(16例)、39%(52例)であり、atezolizumab群で少なかった。治療関連死はatezolizumab群が<1%(1例:心不全)、ドセタキセル群は2%(3例:敗血症、急性呼吸窮迫症候群、原因不明)だった。 著者は、「atezolizumabはドセタキセルに比べ既治療のNSCLC患者の予後を改善した」とまとめ、「PD-L1の発現は、atezolizumabのベネフィットを予測するバイオマーカーとなる可能性が示唆される」と指摘している。

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末梢血管用ステントZilver PTX、2年目も良好な結果

 2016年3月19日、日本循環器学会学術集会「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」が行われ、福岡山王病院 循環器センター 横井 宏佳氏が、浅大腿動脈用ステントZilver PTXの市販後調査2年目のフォローアップ試験の結果を発表した。 Zilver PTXは、日本が世界に先駆けて発売した浅大腿動脈専用の薬剤溶出ステント(DES)であるが、すでに世界50ヵ国で2,400例以上に使用されている。Zilver PTXは、承認前にはZilver PTX RCT、Zilver PTX SAS試験、市販後にはZilver PTX Japan PMS、Zilver PTX US PAS、EUでの長病変に対するレジストリ研究が行われている。市販後試験の1つ、Zilver PTX Japan PMSの1年の試験結果は、本年のJournal of American College of Cardiology Cardiovascular Intervention誌2016年2月8日号1)で発表されたが、今学会では、その2年フォローアップデータおよび、承認前の2試験(Zilver PTX RCT、Zilver PTX SAS)と比較検討した結果が発表された。 Zilver PTX Japan PMS試験における登録患者の平均年齢は74歳であり、承認前の2試験に比べ高齢であった。また、承認前の2試験に比べ、糖尿病と腎障害を有する例が有意に多く、病変長は14.7mmと有意に長く、完全閉塞が47%、再狭窄への使用が19%と有意に高かった。また、Rutherford 4以上(CLI)も22%含まれており、リアルワールドでは、承認前試験以上に、患者背景が複雑かつ劣悪な患者であることが明らかになった。 この試験では907例、1,075病変をZilver PTXで治療した。2年間のフォローアップ適格患者は741例で、完全フォローアップはそのうち624例である。Thrombosis/Occlusionの発生率は、1年目3%、2年目は3.6%で、1年間で0.6%増加した。これは承認前の2試験や、従来の報告と同等の結果であった。TLR回避率は、1年目91%、2年目は85%で、これも承認前の2試験と同等の結果であった。Primary patency は1年目86.4%、2年は72.3%であり、RCT試験と比べるとやや低いものの、当試験の劣悪な患者背景を考えると、十分容認できるものといえる。 リアルワールドでは、承認前試験と比べ、より複雑な患者・病変背景の中で使われていた。2年目のZilver Japan PMSの結果は、臨床現場においてもこのステントが承認前の成績とほぼ同等の有効性と安全性が得られたことが明らかになった。

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自己免疫性膵炎〔AIP : autoimmune pancreatitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)は、わが国から世界に発信された新しい疾患概念である。わが国におけるAIPは、病理組織学的に膵臓に多数のIgG4陽性形質細胞とリンパ球の浸潤と線維化および閉塞性静脈炎を特徴とする(lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis:LPSP)。高齢の男性に好発し、初発症状は黄疸が多く、急性膵炎を呈する例は少ない。また、硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎などの種々の硬化性の膵外病変をしばしば合併するが、その組織像は膵臓と同様にIgG4が関与する炎症性硬化性変化であることより、AIPはIgG4が関連する全身性疾患(IgG4関連疾患)の膵病変であると考えられている。一方、欧米ではIgG4関連の膵炎以外にも、臨床症状や膵画像所見は類似するものの、血液免疫学的異常所見に乏しく、病理組織学的に好中球病変による膵管上皮破壊像(granulocytic epithelial lesion:GEL)を特徴とするidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)がAIPとして報告されている。この疾患では、IgG4の関与はほとんどなく、発症年齢が若く、性差もなく、しばしば急性膵炎や炎症性腸疾患を合併する。近年、IgG4関連の膵炎(LPSP)をAIP1型、好中球病変の膵炎(IDCP)をAIP2型と分類するようになった。本稿では、主に1型について概説する。■ 疫学わが国で2016年に行われた全国調査では、AIPの年間推計受療者数は1万3,436人、有病率10.1人/10万人、新規発症者3.1人/10万人であり、2011年の調査での年間推計受療者数5,745人より大きく増加している。わが国では、症例のほとんどが1型であり、2型はまれである。■ 病因AIPの病因は不明であるが、IgG4関連疾患である1型では、免疫遺伝学的背景に自然免疫系、Th2にシフトした獲得免疫系、制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性が報告されている。■ 症状AIPは、高齢の男性に好発する。閉塞性黄疸で発症することが多く、黄疸は動揺性の例がある。強度の腹痛や背部痛などの膵炎症状を呈する例は少ない。無症状で、糖尿病の発症や増悪にて発見されることもある。約半数で糖尿病の合併を認め、そのほとんどは2型糖尿病である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(表)を用いて診断する。表 自己免疫性膵炎臨床診断基準2018【診断基準】A.診断項目I.膵腫大:a.びまん性腫大(diffuse)b.限局性腫大(segmental/focal)II.主膵管の不整狭細像:a.ERPb.MRCPIII.血清学的所見高IgG4血症(≧135mg/dL)IV.病理所見a.以下の(1)~(4)の所見のうち、3つ以上を認める。b.以下の(1)~(4)の所見のうち、2つを認める。c.(5)を認める。(1)高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化(2)強拡1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤(3)花筵状線維化(storiform fibrosis)(4)閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)(5)EUS-FNAで腫瘍細胞を認めない.V.膵外病変:硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症、腎病変a.臨床的病変b.病理学的病変VI.ステロイド治療の効果B.診断I.確診(1)びまん型 Ia+<III/IVb/V(a/b)>(2)限局型 Ib+IIa+<III/IVb/V(a/b)>の2つ以上またはIb+IIa+<III/IVb/V(a/b)>+VIまたはIb+IIb+<III/V(a/b)>+IVb+VI(3)病理組織学的確診 IVaII.準確診限局型:Ib+IIa+<III/IVb/V(a/b)>またはIb+IIb+<III/V(a/b)>+IVcまたはIb+<III/IVb/V(a/b)>+VIIII.疑診(わが国では極めてまれな2型の可能性もある)びまん型:Ia+II(a/b)+VI限局型:Ib+II(a/b)+VI〔+;かつ、/;または〕(日本膵臓学会・厚生労働省IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針を目指す研究班. 膵臓. 2020;33:906-909.より引用、一部改変)本症の診断においては、膵がんや胆管がんなどの腫瘍性の病変を否定することがきわめて重要である。診断に際しては、可能な限りのEUS-FNAを含めた内視鏡的な病理組織学的アプローチ(膵液細胞診、膵管・胆管ブラッシング細胞診、胆汁細胞診など)を施行すべきである。診断基準では、膵腫大、主膵管の不整狭細像、高IgG4血症、病理所見、膵外病変とステロイド治療の効果の組み合わせにより診断する。びまん性の膵腫大を呈する典型例では、高IgG4血症、病理所見か膵外病変のどれか1つを満たせばAIPと診断できる。一方、限局性膵腫大例では、膵がんとの鑑別がしばしば困難であり、従来の診断基準では内視鏡的膵管造影(ERP)による主膵管の膵管狭細像が必要であった。しかし、昨今診断的ERPがあまり行われなくなってきたことなどを考慮して、MR胆管膵管撮影(MRCP)所見、EUS-FNAによるがんの否定所見とステロイド治療の効果を組み込むことにより、ERPなしで限局性膵腫大例の診断ができるようになった。■ 膵腫大“ソーセージ様”を呈する膵のびまん性(diffuse)腫大は、本症に特異性の高い所見である。しかし、限局性(segmental/focal)腫大では膵がんとの鑑別が問題となる。腹部超音波検査では、低エコーの膵腫大部に高エコースポットが散在することが多い(図1)。腹部ダイナミックCTでは、遅延性増強パターンと被膜様構造(capsule-like rim)が特徴的である(図2)。画像を拡大する画像を拡大する■ 主膵管の不整狭細像ERPによる主膵管の不整狭細像(図3、4)は本症に特異的である。狭細像とは閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲に及んで、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する。典型例では狭細像が全膵管長の3分の1以上を占めるが、限局性の病変でも、狭細部より上流側の主膵管には著しい拡張を認めないことが多い。短い膵管狭細像の場合には膵がんとの鑑別がとくに困難である。主膵管の狭細部からの分枝の派生や非連続性の複数の主膵管狭細像(skip lesions)は、膵がんとの鑑別に有用である。MRCPは、主膵管の狭細部からの分枝膵管の派生の評価は困難であることが多いが、主膵管がある程度の広い範囲にわたり検出できなかったり狭細像を呈する、これらの病変がスキップして認められる、また、狭細部上流の主膵管の拡張が軽度である所見は、診断の根拠になる。画像を拡大する画像を拡大する■ 血清学的所見AIPでは、血中IgG4値の上昇(135mg/dL以上)を高率に認め、その診断的価値は高い。しかし、IgG4高値は他疾患(アトピー性皮膚炎、天疱瘡、喘息など)や一部の膵臓がんや胆管がんでも認められるので、この所見のみからAIPと診断することはできない。今回の診断基準には含まれていないが、高γグロブリン血症、高IgG血症(1,800mg/dL以上)、自己抗体(抗核抗体、リウマチ因子)を認めることが多い。■ 膵臓の病理所見本疾患はLPSPと呼ばれる特徴的な病理像を示す。高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化を認める(図5)。形質細胞は、IgG4免疫染色で陽性を示す(図6)。線維化は、紡錘形細胞の増生からなり、花筵状(storiform fibrosis)と表現される特徴的な錯綜配列を示し、膵辺縁および周囲脂肪組織に出現しやすい。小葉間、膵周囲脂肪組織に存在する静脈では、リンパ球、形質細胞の浸潤と線維化よりなる病変が静脈内に進展して、閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)が生じる。EUS-FNAで確定診断可能な検体量を採取できることは少ないが、腫瘍細胞を認めないことよりがんを否定できる。画像を拡大する画像を拡大する■ 膵外病変(other organ involvement:OOI)AIPでは、種々のほかのIgG4関連疾患をしばしば合併する。その中で、膵外胆管の硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎(ミクリッツ病)、後腹膜線維症、腎病変が診断基準に取り上げられている。硬化性胆管炎は、AIPに合併する頻度が最も高い膵外病変である。下部胆管に狭窄を認めることが多く(図4)、膵がんまたは下部胆管がんとの鑑別が必要となる。肝内・肝門部胆管狭窄は、原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)や胆管がんとの鑑別を要する。AIPの診断に有用なOOIとしては、膵外胆管の硬化性胆管炎のみが取り上げられている。AIPに合併する涙腺炎・唾液腺炎は、シェーグレン症候群とは異なって、涙腺分泌機能低下に起因する乾燥性角結膜炎症状や口腔乾燥症状は軽度のことが多い。顎下腺が多く、涙腺・唾液腺の腫脹の多くは左右対称性である。後腹膜線維症は、後腹膜を中心とする線維性結合織のびまん性増殖と炎症により、腹部CT/MRI所見において腹部大動脈周囲の軟部影や腫瘤を呈する。尿管閉塞を来し、水腎症を来す例もある。腎病変としては、造影CTで腎実質の多発性造影不良域、単発性腎腫瘤、腎盂壁の肥厚病変などを認める。■ ステロイド治療の効果ステロイド治療の効果判定は、画像で評価可能な病変が対象であり、臨床症状や血液所見は対象としない。ステロイド開始2週間後に効果不十分の場合には再精査が必要である。できる限り病理組織を採取する努力をすべきであり、ステロイドによる安易な診断的治療は厳に慎むべきである。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)経口ステロイド治療が、AIPの標準治療法である。経口プレドニゾロン0.6mg/kg/日の初期投与量を2~4週間投与し、その後画像検査や血液検査所見を参考に約1~2週間の間隔で5mgずつ漸減し、3~6ヵ月ぐらいで維持量まで減らす。通常、治療開始2週間ほどで改善傾向が認められるので、治療への反応が悪い例では膵臓がんを疑い、再検査を行う必要がある。AIPは20~40%に再燃を起こすので、再燃予防にプレドニゾロン5mg/日程度の維持療法を1~3年行うことが多い(図7)。近年、欧米では、再燃例に対して免疫調整薬やリツキシマブの投与が行われ、良好な成績が報告されている。図7 AIPの標準的ステロイド療法画像を拡大する4 今後の展望AIPの診断においては、膵臓がんとの鑑別が重要であるが、鑑別困難な例がいまだ存在する。病因の解明と確実性のより高い血清学的マーカーの開発が望まれる。EUS-FNAは、悪性腫瘍の否定には有用であるが、採取検体の量が少なく病理組織学的にAIPと診断できない例があり、今後採取方法のさらなる改良が求められる。AIPでは、ステロイド治療後に再燃する例が多く、再燃予防を含めた標準治療法の確立が必要である。5 主たる診療科消化器内科、内分泌内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報自己免疫性膵炎診療ガイドライン 2020(日本膵臓学会ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)自己免疫性膵炎臨床診断基準[2018年](日本膵臓学会ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)1)日本膵臓学会・厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指す研究」班.自己免疫性膵炎診断基準 2018. 膵臓. 2018;33:902-913.2)日本膵臓学会・厚生労働省IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針を目指す研究班.自己免疫性膵炎診療ガイドライン2020. 膵臓. 2020;35:465-550.公開履歴初回2014年03月06日更新2016年03月22日更新2024年07月25日

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第1世代抗精神病薬はどの薬剤も変わらないのか

 記述的、非体系的レビューによると、薬理学的に同等な仮説を有するさまざまな第1世代抗精神病薬(FGA)間に有効性の差がないことが明らかになっている。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、すべてのFGAの有効性が同等であるとの仮説を、メタ解析統計を用いたエビデンスベースの検討を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年2月26日号の報告。 統合失調症における経口ハロペリドールと他のFGAとを比較したすべてのRCTを特定するため、システィマティック文献サーベイ(Cochrane Schizophrenia Group trial register)を適用した。主要評価項目は、2群の治療反応とした。副次的評価項目は、尺度によって測定された症状重症度、中止率、特定の有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・1962~99年に公表された79件のRCTより、4,343例が抽出された。・ネモナプリドだけがハロペリドールと間に有意な群間差が認められ、検討されたその他19薬剤では認められなかった。・中止率に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「単一メタ解析比較のほとんどは、検出力不足であると見なすことができ、すべてのFGAは同等の効果であるとの仮説のエビデンスは決定的ではない。したがって、この論点に関する先行研究の記述的、非体系的レビューにおける仮説は、確認も否定もできなかった。また、本調査結果は、個々の比較におけるサンプル数の不足や方法論的な質の低さから限定的である」としている。関連医療ニュース いま一度、ハロペリドールを評価する 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは 第1世代 vs 第2世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

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アレルギー予防、生後3ヵ月からの食物摂取の効果は?/NEJM

 生後3ヵ月という早期からアレルギー性食物の摂取を始めても、食物アレルギー発症防止に関する有意な効果は認められなかったことが、英国・ロンドン大学のMichael R. Perkin氏らが行った1,303例を対象とした無作為化試験の結果、示された。世界保健機関(WHO)が生後6ヵ月までの完全母乳哺育を推奨している一方で、アレルギー性食物摂取の待機的開始を推奨していた欧米の2つのガイドラインはすでに撤回されている。これまでに観察研究や無作為化試験で、早期からアレルギー性食物を与えることの食物アレルギー発症の抑制効果が報告されていたが、開始年齢については明らかになっていなかった。研究グループは、生後3ヵ月での開始の効果について検証した。NEJM誌オンライン版2016年3月4日号掲載の報告より。生後3ヵ月で6種のアレルギー性食物摂取を開始、食物アレルギー発症率低下を評価 試験は、英国セント・トーマス病院単施設で2009年11月2日~12年7月30日に、イングランドとウェールズの一般集団から、生後3ヵ月間、母乳のみで育てられた乳児1,303例を集めて行われた。 被験者を、6種のアレルギー性食物(ピーナッツ、鶏卵、牛乳、ゴマ、白身魚、小麦)の早期摂取開始群(652例)、または現在英国で推奨されている生後約6ヵ月間は完全母乳哺育を行う(標準摂取開始)群(651例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、1~3歳で発症した6種のうち1種以上の食物アレルギーとした。標準摂取開始(6ヵ月)群と有意差みられず 結果、intention-to-treat解析(追跡データが得られ解析できた全被験者を包含)では、6種のうち1種以上の食物アレルギーを発症したのは、標準摂取開始群7.1%(42/595例)に対し、早期摂取開始群は5.6%(32/567例)であり、早期開始による有意な抑制効果はみられなかった(相対リスク[RR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.51~1.25、p=0.32)。 per-protocol解析は、割り付け介入の十分順守(両群とも母乳は月齢5ヵ月以上与え、標準摂取開始群は月齢5ヵ月以前にピーナッツ、鶏卵、ゴマ、白身魚の消費なし、早期摂取開始群は、月齢3~6ヵ月に5種以上を5週間以上摂取など)が確認された全被験者を包含して行った。その結果では、全食物アレルギー発症率は、標準摂取開始群(7.3%、38/524例)よりも早期摂取開始群(2.4%、5/208例)で有意な低下が認められた(RR:0.33、95%CI:0.13~0.83、p=0.01)。種別では、ピーナッツアレルギーが早期摂取開始群は0%、標準摂取開始群2.5%(p=0.003)、卵アレルギーは1.4% vs.5.5%(p=0.009)で有意差がみられた。牛乳、ゴマ、白身魚、小麦については有意な効果がみられなかった。 ピーナッツまたは卵の白身の2g/週摂取が、非摂取と比較して、有意なピーナッツアレルギー、卵アレルギーの発症の抑制と関連していた。 なお、6種すべての食物の早期摂取開始について、安全性に問題はなかったが、早期摂取の達成に困難性がみられた。 これらの結果を踏まえて著者は、「今回の試験でintention-to-treat解析の結果では、アレルギー性食物の早期摂取開始の有効性は示されなかった」と述べるとともに、「さらなる解析の結果、標準母乳哺育で複数のアレルギー性食物の早期摂取を開始するという食物アレルギー予防策は、アドヒアランスや用量によって可能であることが示唆された」とまとめている。

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