再挿管リスク、ネーザルハイフロー vs.従来酸素療法/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/28

 

 抜管後の酸素療法について、再挿管リスクが低い患者ではネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも、72時間以内の再挿管リスクが有意に低下したことが、スペイン、ビルヘン・デ・ラ・サルード病院のGonzalo Hernandez氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、示された。これまでに、再挿管リスクの高低を問わない機械的人工換気療法を受ける重篤疾患患者の試験で、抜管後のネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも酸素化を改善することは示されていた。しかし、再挿管リスクに関するデータはなかった。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。

再挿管低リスクの527例を対象に無作為化試験
 研究グループは、再挿管リスクが低い機械的人工換気療法を受ける患者の再挿管の回避について、ネーザルハイフロー療法のほうが従来酸素療法よりも優れるか否かを調べる検討を行った。

 試験は2012年9月~14年10月に、スペイン国内7つのICUで行われた。対象は、成人重篤患者で、計画的抜管に関する基準を完全に満たし再挿管リスクが低いと判定された527例であった。低リスク判定の定義は、「65歳未満」「抜管日のAPACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)IIスコアが12未満」「BMI 30未満」「気道分泌物調節能あり」「離脱が容易に施行」「併存疾患0もしくは1」「心不全なし」「中等症~重症のCOPDなし」「気道開存性の問題なし」「機械的人工換気の施行期間が非長期(7日以内)」であった。

 患者は、抜管後24時間、ネーザルハイフロー療法もしくは従来酸素療法を受ける群に無作為に割り付けられた。

 主要アウトカムは、抜管後72時間以内の再挿管で、Cochran-Mantel-Haenszel χ2検定法を用いて比較した。副次アウトカムは、抜管後の呼吸不全、呼吸器感染症、敗血症、多臓器不全、ICU入室および入院期間、死亡、有害事象、再挿管までの時間などであった。

再挿管の発生、ハイフロー群4.9%、従来群12.2%
 被験者527例は、平均年齢51(範囲:18~64)歳、男性62%であった。264例がネーザルハイフロー療法を受け(ハイフロー群)、263例が従来酸素療法を受けた(従来群)。

 結果、抜管後72時間以内の再挿管の発生頻度は、ハイフロー群で有意に低かった。ハイフロー群13例(4.9%) vs.従来群32例(12.2%)で、絶対差は7.2%(95%信頼区間[CI]:2.5~12.2%、p=0.004)であった。

 抜管後呼吸不全の発生は、ハイフロー群で低かった。ハイフロー群22/264例(8.3%) vs.従来群38/263例(14.4%)で、絶対差は6.1%(95%CI:0.7~11.6%、p=0.03)であった。

 再挿管までの時間は、両群で有意差はなかった。ハイフロー群19時間(四分位範囲:12~28) vs.従来群15時間(9~31)で、絶対差は-4(95%CI:-54~46、p=0.66)であった。

 有害事象の報告はなかった。