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骨折治療用インプラント除去後感染に術前抗菌薬は有用か/JAMA

 膝下の骨折の治療に用いた整形外科用インプラント除去後の手術部位感染の予防において、手術前に抗菌薬投与を行っても感染リスクは低減しないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのManouk Backes氏らが実施したWound Infections Following Implant Removal(WIFI)試験で示された。整形外科用インプラント除去術の手技は“clean(皮膚の菌汚染や局所感染がない)”とされ、手術部位感染率は2~3.3%と予測されるため、米国疾病管理予防センター(CDC)の最新のガイドラインでは抗菌薬の予防投与の適応はない。その一方で、予測を超える高い感染率が複数の研究で報告されている。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。予防投与の効果を無作為化試験で評価 WIFI試験は、感染率が最も高い領域とされる膝下の骨折治療に用いられた整形外科用インプラント除去後の、抗菌薬予防投与の効果を評価する多施設共同二重盲検無作為化試験である(Netherlands Organization for Health Research and Development[ZonMw]の助成による)。 対象は、年齢18~75歳で、膝下(足、くるぶし、下腿)の骨折治療後に整形外科用インプラントの除去術を受けた患者であった。除外基準は、活動性の手術部位感染症や瘻孔、インプラント除去時の抗菌薬治療、術中の骨接合材の再設置、セファロスポリンのアレルギー、腎疾患、免疫抑制薬の使用、妊娠であった。 被験者は、術前にセファゾリン1,000mg+生理食塩液(0.9%)または生理食塩液(0.9%)をそれぞれ静脈内ボーラス投与する群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、米国CDCの判定基準に基づく術後30日以内の手術部位感染であり、副次アウトカムは身体機能、健康関連QOL、患者満足度とした。 2014年11月~2016年9月にオランダの19施設に500例が登録され、477例が割り付けの対象となった。6ヵ月間のフォローアップが行われ(最終フォローアップ日:2017年3月28日)、470例(セファゾリン群:228例、生食群:242例)が解析の対象となった。30日以内の手術部位感染:13.2% vs.14.9% 割り付け対象例(477例)の平均年齢は44歳(SD 15)、女性が274例(57%)であった。インプラント設置からの経過期間中央値は11ヵ月(IQR:7~16)だった。 30日以内の手術部位感染は66例(14.0%)で発症した(表層感染:58例、深層感染:8例)。このうちセファゾリン群が30例(13.2%)、生食群は36例(14.9%)と、両群間に有意な差を認めなかった(絶対リスク差:-1.7、95%信頼区間[CI]:-8.0~4.6、p=0.60)。 表層感染はセファゾリン群が29例(12.7%)、生食群は29例(12.0%)で、深層感染はそれぞれ1例(0.4%)、7例(2.9%)であり、いずれも両群間に有意差はみられなかった。 健康関連QOL(EuroQol 5-Dimension 3-Level[EQ-5D-3L])、身体機能(Lower Extremity Functional Scale[LEFS])、患者満足度(視覚アナログスケール[VAS])についても、両群間に有意な差はなかった。 著者は、「本試験の手術部位感染率は、既報の一連の後ろ向き試験に比べて高かった。前向き試験では退院後の手術部位感染の適切な把握は困難で、一般に過少報告となるため感染率は高くなることが多いとはいえ、14.0%は予想を超えて高く、観血的整復固定術後の感染率を上回る値である」としている。

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重症喘息の現状とアンメットメディカルニーズ

 アストラゼネカ株式会社は、日本で専門医を受診している成人喘息患者を対象とした調査研究であるACQUIRE-2試験のサブグループ解析を発表し、その結果からコントロール不良の重症喘息患者におけるQOL低下とアンメットメディカルニーズの存在が示唆された。重症喘息の病態 喘息は、治療を行うことである程度まで良好にコントロールできるようになったものの、吸入ステロイド薬を含む強力な治療を行ってもその効果が十分に現れず、症状をコントロールできない場合がある。症状のコントロールに高用量吸入ステロイド薬および長時間作用性β2刺激薬(LABA)、加えてロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、テオフィリン徐放製剤、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、経口ステロイド薬(OCS)、抗IgE抗体の投与を要する喘息、またはこれらの治療でもコントロールができないような喘息を「重症喘息」または「難治性喘息」という。 ACQUIRE-2試験では、高用量の吸入ステロイド薬と長期管理薬の併用治療を受けている、または経口ステロイド薬を長期管理薬として使用していて、次のいずれかに当てはまる場合に「コントロール不良の重症喘息」と定義した。 ・ACQスコア1)が1.5超 ・全身ステロイド投与が連続3日以上必要な喘息の増悪を研究への登録の前年に2回以上経験 ・1秒量(FEV1)が80%未満 また、喘息にはさまざまな病態が関与しており、好酸球性、好中球性、アレルギー性などのフェノタイプが特定されてきた。このうち、喘息の重症化には好酸球が大きく関わると考えられており、海外では重症喘息患者の半数以上が好酸球性喘息であるとの報告もある2)。コントロール不良な重症喘息患者の現状 ACQUIRE-2試験では、解析の対象となった喘息患者のうち12.3%がコントロール不良の重症喘息患者であると特定された。さらに、そのうち75.3%が夜間症状を経験し、27.2%が睡眠障害を経験していることが明らかとなった。コントロール不良な喘息は日常生活に与える影響が大きく、患者QOLが著しく低下する。発作が命にかかわることもあり、コントロール不良の重症喘息患者の死亡リスクは重症喘息患者の8倍とも言われている3-4)。生物学的製剤の可能性 そのような中、生物学的製剤への期待が高まっている。生物学的製剤は、IgG抗体やサイトカインなどの炎症物質に直接的に作用するため、喘息の重症化予防の観点からも効果が期待されている。現在、喘息に使用可能な生物学的製剤はオマリズマブ(抗IgE抗体)、メポリズマブ(抗IL-5抗体)の2剤であるが、それに加えて抗IL-5抗体であるbenralizumabの開発が進んでいる。 benralizumabは、第III相試験であるSIROCCO試験およびCALIMA試験において、コントロール不良の好酸球性重症喘息に対する効果を示した。標準治療にbenralizumab 30mgを追加することで、症状の増悪頻度の有意な低減(benralizumab投与群とプラセボ群とを比較して年間喘息増悪率が最大51%低下)が認められたほか5)、CALIMA試験の日本人患者83例を対象としたサブグループ解析では、benralizumabの56週投与は、プラセボ群と比較して喘息増悪の年間発生率を最大83%低下させた6)。 benralizumabの使用により、経口ステロイド薬減量の可能性が4倍以上高いことも示されており7)、生物学的製剤は重症喘息患者のQOL改善にも効果が期待できる。重症喘息患者のアンメットメディカルニーズを満たす薬剤として、生物学的製剤が希望をもたらす存在となりつつある。■参考1)Juniper EF, et al. The European Respiratory Journal. 1999;14:902-907.2)Schleich F, et al. Respir Med. 2014;108:1723-1732.3)Price D, et al. NPJ Prim Care Respir Med. 2014;12:14009.4)Fernandes AG, et al. J Bras Pneumol. 2014;40:364-372.5)Bleeker ER, et al. Lancet. 2016;388:2115-2127.6)FitzGerald JM, et al. Lancet. 2016;388:2128-2141.7)Nair P, et al. N Engl J Med. 2017;376:2448-2458.

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うつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験

 魚油を補充した地中海スタイルの食事が、うつ病成人患者のメンタルヘルスを改善できるかについて、南オーストラリア大学のNatalie Parletta氏らが、検討を行った。Nutritional neuroscience誌オンライン版2017年12月7日号の報告。 自己報告のうつ病成人患者を、2週間に1回の食料提供・3ヵ月間の地中海スタイル食の調理ワークショップ参加・6ヵ月間の魚油補充を実施した群(地中海食介入群)と対照群にランダムに割り付けた。メンタルヘルス、QOL、食物アンケート、赤血球脂肪酸分析のための血液サンプルの評価を、ベースラインおよび3ヵ月、6ヵ月の時点に実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象は18~65歳の152例(地中海食介入群:75例、対照群77例)。・対象患者のうち、3ヵ月の評価では95例(地中海食介入群:54例、対照群41例)、6ヵ月での評価は85例(地中海食介入群:47例、対照群38例)が試験を完了した。・3ヵ月の時点で、地中海食介入群は以下の結果であった。●地中海食スコアが高い(t=3.95、p<0.01)●野菜の消費が多い(t=3.95、p<0.01)●フルーツの消費が多い(t=2.10、p=0.04)●ナッツの消費が多い(t=2.29、p=0.02)●マメ科植物の消費が多い(t=2.41、p=0.02)●全粒粉の消費が多い(t=2.63、p=0.01)●野菜が多様である(t=3.27、p<0.01)●スナック菓子の消費が少ない(t=-2.10、p=0.04)●赤身・鶏肉の消費が少ない(t=-2.13、p=0.04)●うつ病スコアの減少(t=-2.24、p=0.03)●メンタルヘルスQOLスコアの改善(t=2.10、p=0.04)・改善された食事とメンタルヘルスは、6ヵ月間持続した。・うつ病の減少は、地中海食スコア(r=-0.298、p=0.01)、ナッツの消費(r=-0.264、p=0.01)、野菜の多様性(r=-0.303、p=0.01)との相関が認められた。・他のメンタルヘルスの改善においても、同様な相関が認められ、野菜の多様性とマメ科植物消費の増加において最も顕著であった。・ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、メンタルヘルス改善との間には、いくつかの相関が認められた。 著者らは「本試験は、健康的な食事へ変更することは達成可能であること、および魚油の補充はうつ病患者のメンタルヘルスを改善できることを示す、最初のランダム化比較試験の1つである」としている。■関連記事うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

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ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。ペットの有無で11のバイオマーカーを比較 研究グループは高齢者を対象に、動物を飼うことと老化のバイオマーカーの関連を前向きに評価するコホート研究を行った(米国国立老化研究所と、英国経済社会研究会議が組織した政府機関の助成による)。 英国で進行中の全国的なコホート研究であるEnglish Longitudinal Study of Ageing(ELSA試験)へ2010~11年に登録された8,785例(平均年齢67歳[SD 9]、女性55%)を、約2年間フォローアップした(平均年齢69歳[SD 8])。 ペット(イヌ、ネコ、その他)の有無別に、老化との関連が確立されている11項目のバイオマーカー(身体機能、免疫学的機能、心理学的機能)との関連を評価した。すべてのバイオマーカーが、ペットの飼育と強い関連なし ベースライン時に対象者の約3分の1がペットを飼っており(イヌ1,619例[18%]、ネコ1,077例[12%]、その他274例[3%])、5,815例は飼っていなかった。ペットを飼っている高齢者は飼っていない高齢者に比べ、年齢が4~5歳若く、あまり運動しない者の割合がわずかに低く、喫煙者は多い傾向がみられた。イヌの飼い主は、孤独感が強く、健康状態が劣る傾向があった。 多変量で補正した解析では、ペットを飼っていることと、歩行速度、肺機能(1秒量)、椅子からの立ち上がり時間、握力、レッグレイズ(足上げ)、身体バランス、3つの全身性炎症のマーカー(C反応性蛋白、白血球数、フィブリノゲン)、記憶、うつ症状には関連がなかった。 イヌの飼い主はペットを飼っていない高齢者に比べ、歩行速度がわずかに遅く、椅子から立ち上がる時間が長かったが、肺機能はわずかに高かった。ネコの飼い主はその他のペットの飼い主に比べ、レッグレイズ検査に失敗する傾向がみられた。 著者は、「大小を問わず、動物と交遊することは、標準的な身体的、心理学的な老化のバイオマーカーとは基本的に関連しないことが示された」と結論している。

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VATS後の肺合併症の長期的影響

 肺がんは、中国におけるがん死亡の主要な原因であるが、同国における肺葉切除術後の肺合併症(pulmonary complicaions、以下PC)の発生率は15~37%にのぼる。さらに、PCが肺がん患者の長期生存に及ぼす影響の研究は少ない。中国Peking University Hospitalでは、術後NSCLC患者のPC発症、重症肺合併症(major pulmonary complicaions、以下MPC)の長期的影響などの特定を試みた。Journal of Thoracic Disease誌2017年12月号の掲載。 Peking University People’s Hospitalで2007年1月~2015年12月に胸腔鏡補助下手術(video-assisted thoracic surgery、VATS)を受けたNSCLC患者コホートのPCを後ろ向きに分析した。・対象患者:術前StageI~IIのNSCLC 828例(年齢18歳以上、ECOG PS0~1、術前補助化学療法施行患者・放射線療法患者などは除外)・評価項目: Kaplan-Meier法を用いたPCの長期予後への影響の解析。多変量ロジスティック回帰分析を用いたMPCの危険因子の解析。 主な結果は以下のとおり。・828例中139例(16.8%)でPCを発症、そのうち66例(8%)がMPC(air leakの遷延、胸腔穿刺を要する胸水貯留、重症肺炎など)であった。・PC発症患者は非発症者に比べ、ドレナージ期間および入院期間が長く(ドレナージ期間:9日対5日、p<0.001、入院期間:12日対6日、p<0.001)、周術期死亡率高かった(4.3%対0.4%、p=0.001)。・MPC発症患者の無病生存期間(DFS)は非発症者に比べて短く、3年DFS率は68.2%対 78.7%、5年DFS率は44.7%対 70.3%であった(p=0.001)。・MPC発症患者の全生存期間(OS)は非発症者に比べて短く、3年OS率は81.8%対88.6%、5年OS率は66.6%対80.9%であった(p=0.023)。・MPCは肺がん患者の独立した予後因子であった。・MPCの独立危険因子は年齢(HR:1.05、p=0.007)、男性(HR:3.33、p=0.001)、およびASA(アメリカ麻酔学会)グレード(ASA2[HR:4.29、p=0.001]、ASA3[HR:6.84、p=0.002])であった。■参考Shaodong Wang, et a;. J Thorac Dis. 2017 Dec.

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卵の食べ過ぎ、がん死亡率と関連~日本人女性

 NIPPON DATA80のデータ(14年間追跡)では、日本人女性において、卵の摂取量が年齢調整後の血清総コレステロール(aTCH)および全死亡と関連し、男性では関連しなかったことが報告されている。今回、これらの関連について、別の日本人女性のコホート(NIPPON DATA90)で再評価した結果、卵の摂取量とがん死亡・全死亡との関連が示された。この結果から、卵の摂取量を減らすことが、少なくとも日本人女性にとっていくつかの明確な健康ベネフィットとなる可能性が示唆された。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年12月29日号に掲載。※NIPPON DATA:国が実施した全国調査である循環器疾患基礎調査対象者の長期追跡研究(コホート研究)で、1980年循環器疾患基礎調査の追跡研究がNIPPON DATA80、1990年循環器疾患基礎調査の追跡研究がNIPPON DATA90卵週1~2個群のがん死亡は卵1日1個群よりも有意に低かった NIPPON DATA90研究グループでは、卵の摂取量とaTCH、原因別および全死亡との関連を、NIPPON DATA90データを用いて分析した。栄養調査は1990年のベースライン時に食物摂取頻度調査および秤量法食事記録を用いて実施された。脳卒中・心筋梗塞の既往のない30歳以上の女性4,686人(平均年齢52.8歳)を15年間追跡した。 卵の摂取量と死亡原因の関連を分析した主な結果は以下のとおり。・参加者を卵の摂取量で5群(週1個未満、週1~2個、2日に1個、1日1個、1日2個以上)に分け、それぞれ203人、1,462人、1,594人、1,387人、40人であった。・卵の摂取量はaTCHに関連していなかった(p=0.886)。・追跡期間中、心血管疾患死亡183例、がん死亡210例、全死亡599例が報告された。・背景因子を調整したCox分析で、卵の摂取量は全死亡とがん死亡に直接関連していた(1日1個群に対する1日2個以上群のハザード比:全死亡では2.05[95%CI:1.20~3.52]、がん死亡では3.20[95%CI:1.51~6.76])。・週1~2個群のがん死亡は1日1個群よりも有意に低かった(ハザード比:0.68、95%CI:0.47~0.97)。・卵の摂取量は心血管疾患死亡と関連していなかった。

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高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMA

 微小粒子状物質(PM2.5)や暖候期オゾンへの曝露について、現行の米国環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards:NAAQS)よりも低濃度かつ短期間であっても、死亡リスクの上昇と有意に関連していることが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のQian Di氏らが、メディケア受給者を対象としたケース・クロスオーバー研究の結果を報告した。米国環境保護局は5年ごとにNAAQSを再検証しているが、非監視地域や感受性が高い集団における、現在のNAAQS基準を下回るレベルの大気汚染での死亡リスクに関するエビデンスは不足していた。結果を踏まえて著者は、「現行のNAAQS基準を見直す必要があるだろう」と提言している。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。メディケア受給高齢者を対象にケース・クロスオーバー研究を実施 研究グループは、2000年1月1日~2012年12月31日に郵便番号数で計3万9,182の地区に居住する全メディケア受給者を対象に、ケース・クロスオーバーデザインおよび条件付きロジスティック回帰分析により、2汚染物質モデルにおいて、PM2.5とオゾンの短期曝露量(死亡日および死亡前日の1日平均曝露量)と死亡率との関連を評価した。PM2.5とオゾンの1日平均曝露量は、すでに公表され検証済みの大気汚染予測モデルを用いて推定した1km2あたりの曝露量から、居住地の郵便番号に基づいて算出した。暖候期オゾンは、毎年4~9月の期間とした。 主要評価項目は、2000~2012年における全メディケア受給者の全死因死亡率であった。PM2.5が10μg/m3、オゾンが10ppb増えるごとに死亡率が上昇 研究期間中の症例日(死亡)は約2,200万日(2,243万3,862例)、対照日は約7,600万日(7,614万3,209例)であった。 全症例日および対照日のうち、PM2.5が25μg/m3未満であったのは93.6%で、この期間中に死亡の95.2%(2,135万3,817/2,243万3,862例)が発生した。また、オゾン濃度が60ppb(ppbは10億分の1)未満であったのは91.1%で、この期間中に死亡の93.4%(2,095万5,387/2,243万3,862例)が発生した。ベースライン日の1日死亡率(/100万人)は、年間では137.33、暖候期では129.44であった。1日死亡率は、短期のPM2.5曝露量(オゾンで補正)が10μg/m3増加するごとに1.05%(95%信頼区間[CI]:0.95~1.15)、暖候期オゾン曝露量(PM2.5で補正)が10ppb増加するごとに0.51%(95%CI:0.41~0.61)、いずれも有意に増加した。1日死亡率(/100万人)の絶対リスク差は、それぞれ1.42(95%CI:1.29~1.56)および0.66(95%CI:0.53~0.78)であった。曝露-反応関係における閾値のエビデンスは認められなかった。 なお、著者は、メディケア受給者の大半が65歳以上で、死因については検討しておらず、実際に死亡した場所は不明であり、利用したデータは5年近く前のものであるなどの点で、今回の研究には限界があると述べている。

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カナキヌマブ投与によるCRP低下と心血管イベントの関連:CANTOS無作為化比較試験の2次解析(解説:今井 靖 氏)-796

 カナキヌマブは、インターロイキン-1β(IL1β)に対するモノクローナル抗体であるが、CANTOS試験(Canakinumab Anti-Inflammatory Thrombosis Outcomes Study)はこのカナキヌマブ(3用量[50mg、150mg、300mg])およびプラセボを割り付け3ヵ月に1回皮下注射を行う無作為化比較対照試験で、心筋梗塞の既往がある炎症性アテローム性動脈硬化症患者に、標準治療(脂質低下治療を含む)に加えて追加投与がなされた。その結果として、主要心血管イベント(MACE[Major Adverse Cardiovascular Event]:心血管死、非致死性心筋梗塞および非致死性脳卒中からなる複合エンドポイント)の発現リスクがプラセボ群に比べ有意に15%低下することが示され(150mg、300mg投与群で有効性が証明された)、昨年秋に大いに話題となった。またそのような心血管イベント抑制のみならず、事前に規定された盲検化での悪性腫瘍に関する安全性評価において、カナキヌマブ投与患者ではプラセボ群に比較し肺がんによる死亡率を77%、発症率を67%低下させたと報告されており、炎症低下抑制薬が動脈硬化性疾患、がん治療に導入される可能性・将来性を示した画期的な研究といえる。 今回はこのCANTOS試験の2次解析であるが、どのような患者群が治療に最も奏効するのか、また炎症マーカーである高感度CRPの低下が各々の患者の臨床効果と相関するのかを明らかにするために、事前に規定されていた研究を報告するものである。著者らは、カナキヌマブの主要心血管イベント、心血管死亡、全死亡率に対する効果について治療時における高感度CRPに基づいて評価した。また、到達した高感度CRP値に関連する背景因子を補正するために多変量解析モデルを用い、残存する交絡因子の大きさを確認するために多変量感受性解析を行った。追跡期間のメディアンは3.7年であった。患者の基礎背景に大きな相違は認められなかった。しかしながらカナキヌマブに割り付けられ、高感度CRPが2mg/L未満に到達した患者では主要心血管イベントが25%低下した(多変量解析における補正ハザード比=0.75、95%信頼区間:0.66~0.85、p<0.0001)。しかし、高感度CRPが2mg/L以上であった症例では明らかな有効性は示されなかった。同様に高感度CRPが2mg/L未満に到達した患者においては心血管死亡 (補正ハザード比=0.69、95%信頼区間:0.56~0.85、p=0.0004) 、全死亡 (補正ハザード比=0.69、0.58~0.81、p<0.0001)と低下し、両者とも31%のリスク比低下が得られているが、高感度CRPが2mg/L以上であるものでは効果が認められなかった。同様に、用量、交互作用等も考慮に入れた解析において、予定外の冠動脈血行再建を要する不安定狭心症による入院のような事前に規定されていた副次エンドポイント、高感度CRPのメディアン、高感度CRPの50%以上の低下(半減)、高感度CRPのメディアン%の低下においても臨床的有意差が確認された。 この研究から、カナキヌマブの単回投与による高感度CRPの低下度は、繰り返す治療から最大の効果が最も得られる患者を検出する、最もシンプルな方法といえる。また、カナキヌマブにより“炎症が低く抑えられれば抑えられるほどより良い”ということも示された点で意義深い。

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緑内障の長期点眼、マイボーム腺機能に注意を

 抗緑内障薬の負荷が高い緑内障患者は、涙液層が不安定で、重度のマイボーム腺脱落が認められることを、台湾・Kaohsiung Chang Gung Memorial Hospital/長庚大学のWan-Hua Cho氏らが報告した。著者は、「眼圧降下薬の長期点眼を行っている緑内障患者では、マイボーム腺疾患の観察がとくに必要である」とまとめている。Journal of Glaucoma誌オンライン版2017年12月13日号掲載の報告。 研究グループは、眼圧降下薬の長期点眼を行う緑内障患者におけるマイボーム腺の機能を調査する目的で、横断的症例対照研究を行った。対象は、眼圧降下薬の点眼(用量と期間は異なる)を行っている緑内障患者85例85眼と、健常者30例30眼。 緑内障患者では、使用している眼圧降下薬の数、処方、点眼回数および期間に基づき、各患者について抗緑内障薬点眼の負荷を簡単にスコア化した(BAGスコア)。 全例、Standard Patient Evaluation of Eye Dryness(SPEED)質問票、涙液油層の厚み、マイボーム腺分泌・脱落度(マイボスコア)、シルマー試験、涙液層破壊時間および目の瞬きパターンを含むマイボーム腺および涙液の評価を完遂した。 主な結果は以下のとおり。・緑内障患者は健常者と比較して、有意にSPEEDスコアが低く、涙液油層の厚みが薄く、マイボーム腺分泌物の質が悪く、マイボーム腺分泌が低下していた。・緑内障患者においては、マイボーム腺消失率(p=0.006)とマイボスコア(p=0.017)がBAGスコアと有意に相関していた。・BAGスコアが低い(<80)群と比較して高い群(≧80)では、有意に涙液層破壊時間が短く(p=0.047)、マイボーム腺密度が低く(p=0.032)、マイボーム腺消失率が高く(p=0.011)、マイボスコアが高かった(p=0.036)。

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チェックポイント阻害薬でOSを得られる2次治療の肺がん患者

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療における、チェックポイント阻害薬の生存ベネフィットに関する臨床的・分子的な予測因子はどのようなものか。この研究は、チェックポイント阻害薬とドセタキセルの効果の関係を、全体的な観点および臨床病理的特徴によって定義されたサブグループにおいて予測するため、システマティックレビューが行われた。JAMA Oncology誌オンライン版2017年12月21日号掲載のオーストラリア・シドニー大学による研究。・データソースはMEDLINE、Embase、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsから検索した1996年1月1日~2017年1月30日に英語で発表された無作為化臨床試験。・その中からチェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、atezolizumab)とドセタキセルを比較した試験が選択された。・2名の査読者によって研究選択、データ抽象化、バイアスリスク評価が実施された。・全体集団およびサブグループについて、ハザード比(HR)および95%信頼区間を抽出。・治療の統合推定値は逆分散加重法を用いて算出した。 主な結果・進行NSCLC患者3,025例を対象とした合計5件の試験がレビュー対象となった。・これらの試験で、患者はチェックポイント阻害薬であるニボルマブ427 例(14.1%)、ペムブロリズマブ691例(22.8%)、atezolizumab569例(18.8%)とドセタキセル1,338例 (44.2%)に無作為に割り付けされていた。・チェックポイント阻害薬は、ドセタキセルと比べOSを延長した(HR:0.69、95%CI:0.63~0.75、p<0.001)。・EGFR野生型サブグループではチェックポイント阻害薬によるOSの延長が確認されたが(HR:0.67、95%CI:0.60~0.75、p<0.001)、EGFR変異サブグループでは認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.80~1.53、p=0.54、interaction p=0.005)。・チェックポイント阻害薬によるOSの延長は、KRAS変異サブグループでもみられたが(HR:0.65、95%CI:0.44~0.97、p=0.03)、KRAS野生型サブグループでは認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.67~1.11、p=0.24、interaction p=0.24)。・喫煙、PS、年齢、組織形、性別による治療ベネフィットの相関はみられなかった。

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ヒドロクロロチアジドの使用、非黒色腫皮膚がんと関連

 ヒドロクロロチアジドは、米国および西欧で最も使用頻度の高い利尿・降圧薬の1つであるが、光感作性があり、これまでに口唇がんとの関連が報告されている。デンマーク・南デンマーク大学のSidsel Arnspang氏らの症例対照研究の結果、ヒドロクロロチアジドの累積使用量は、非黒色腫皮膚がん(NMSC)、とくに扁平上皮がん(SCC)リスクの著しい増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年11月30日掲載の報告。 研究グループは、ヒドロクロロチアジドの使用と、基底細胞がん(BCC)および扁平上皮がんのリスクとの関連を調べる目的で、デンマークがん登録データ(2004~2012年)から非黒色腫皮膚がん患者を特定し、これらの症例を対照と年齢および性別でマッチ(症例1に対し対照20の割合)させるとともに、デンマーク処方登録データ(Danish Prescription Registry)からヒドロクロロチアジドの累積使用量(1995~2012年)のデータを得た。 条件付きロジスティック回帰法で、ヒドロクロロチアジドの使用と関連するBCCおよびSCCのオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ヒドロクロロチアジドの累積使用量が5万mg以上でのORは、BCCが 1.29(95%信頼区間[CI]:1.23~1.35)、SCCが3.98(95%CI:3.68~4.31)であった。・ヒドロクロロチアジドの使用は、BCCおよびSCCのいずれとも、明らかな用量反応関係が認められ、累積使用量が最も多いカテゴリー(20万mg以上)のORは、BCCが1.54(95%CI:1.38~1.71)、SCCが7.38(95%CI:6.32~8.60)であった。・他の利尿薬および降圧薬の使用と、NMSCとの関連は認められなかった。

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黄色ブドウ球菌菌血症へのリファンピシン併用、効果は?/Lancet

 黄色ブドウ球菌菌血症の成人患者において、標準抗菌薬治療にリファンピシンの補助的投与を行っても、全体的なベネフィットは変わらないことが確認された。英国・オックスフォード大学のGuy E Thwaites氏ら英国臨床感染症研究グループ(UKCIRG)による多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ARREST試験」の結果として、Lancet誌オンライン版2017年12月14日号で発表された。黄色ブドウ球菌は、世界中で重症市中感染症や院内感染の原因としてよくみられる。研究グループは、リファンピシンの補助的投与は、黄色ブドウ球菌の死滅を早め、原病巣や感染血液を速やかに除菌し伝播や転移のリスクを減じることで、細菌学的定義の治療失敗や菌血症の再燃、死亡を減らせるのではないかと仮説を立て、検証試験を行った。リファンピシン補助的投与を2週間行い、プラセボ投与と12週アウトカムを比較 試験は英国内の29病院から、黄色ブドウ球菌菌血症で積極的な抗菌薬治療を受けてから96時間以内の、18歳以上の患者を集めて行われた。 被験者は、中央で作成されたコンピュータ生成の経時的無作為化リストによって、標準抗菌薬治療とともに、2週間のリファンピシン補助的投与(体重によって600mgまたは900mg/日を経口または静注)もしくは同用量によるプラセボ投与を受ける群に1対1に割り付けられ追跡を受けた。患者、試験担当医、患者介護者は割り付けを盲検化された。 主要アウトカムは、細菌学的定義の治療失敗または菌血症再燃もしくは死亡(全死因)までの時間であった。評価期間は無作為化から12週間までで、治療について盲検化された独立レビュー委員会が判定にあたった。解析はintention-to-treat法にて行われた。治療失敗・再燃・死亡について、プラセボ投与と有意差なし 2012年12月10日~2016年10月25日に、試験適格であった758例が無作為化を受けた(リファンピシン群370例、プラセボ群388例)。 被験者は、男性が65%、年齢中央値65歳(IQR:50~76)、チャールソン併存疾患スコアは2(0~3)、ICU入室者は9%で、平均C反応性蛋白値は164(SE 3.7)mg/Lであった。 また、485例(64%)が市中感染患者で、132例(17%)が院内発症患者(入院後48時間以上で発症)であった。47例(6%)にメチシリン耐性が認められた。301例(40%)は原病巣が深部にあった(埋設した血管デバイスや心臓弁など)。標準抗菌薬の投与期間は29日間(IQR:18~45)。619例(82%)がflucloxacillinの投与を受けた。 12週時点の評価で、治療失敗・菌血症再燃・死亡を経験していた患者は、リファンピシン群62例(17%)、プラセボ群71例(18%)であった(絶対リスク差:-1.4%、95%信頼区間[CI]:-7.0~4.3、ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.68~1.35、p=0.81)。 無作為化から12週間に観察された有害事象について、重篤例(p=0.17)またはGrade3-4例(p=0.36)ともにエビデンスのある差は認められなかった。しかし、抗菌薬または試験薬が変更となった有害事象(リファンピシン群63例[17%]vs.プラセボ群39例[10%]、p=0.004)、薬物相互作用(リファンピシン群24例[6%]vs.プラセボ群6例[2%]、p=0.0005)について有意な差が観察された。

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出血と血栓:原病が重ければバランスも難しい(解説:後藤信哉氏)-793

 自分の身の周りにもがん死が多いので、がんは特筆に重要な疾患である。日本人は幸いにして静脈血栓塞栓症が少ない。静脈血栓塞栓症を契機にがんが見つかることも多い。本論文の対象であるCancer Associated Thrombosis (CAT)は日本ではとくに重要である。がん細胞が血栓性の組織因子を産生する場合、がん組織が血管を圧迫して血流うっ滞が起こった場合など、血栓にはがんと直結する理由がある。CATでは、血栓の原因となるがんの因子の除去が第一に重要である。 抗凝固薬により血栓の再発予防はできるかもしれないが、出血は増える。本論文は、抗凝固薬が出血合併症を増やして血栓を減らす治療であることを再確認した。ヘパリンであろうがNOACであろうが、抗凝固とされる以上、効果に応じた副作用は避け難い。原病が重篤であるほど出血と血栓のバランスは難しい。血栓症を予防するが、血小板、凝固系に影響を与えない薬物のような新規の発想が必要である。

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アテゾリズマブ、既治療の尿路上皮がんでOS延長せず/Lancet

 PD-L1高発現のプラチナ製剤抵抗性の局所進行/転移性尿路上皮がん患者において、化学療法と比較し、PD-L1阻害薬アテゾリズマブによる全生存期間(OS)の有意な延長は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMvigor211試験」の結果を報告した。プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した、局所進行/転移性尿路上皮がんに対する治療の選択肢はほとんどないが、近年、免疫チェックポイント阻害薬の登場により転移性尿路上皮がんの治療は変化してきていた。Lancet誌オンライン版2017年12月18日号掲載の報告。アテゾリズマブ vs.vinflunine/パクリタキセル/ドセタキセルのいずれかで、OSを比較 IMvigor211試験は、主に欧州、北米、アジア太平洋地域の大学病院および地域腫瘍専門病院217施設が参加して実施された。 対象は、プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した18歳以上の局所進行/転移性尿路上皮がん患者で、音声自動応答/web登録システム(IXRS)を介し置換ブロック法(ブロックサイズ4)を用いて、3週ごとにアテゾリズマブ(1,200mg静注投与)または化学療法(医師の選択による、vinflunine 320mg/m2静注、パクリタキセル175mg/m2静注、ドセタキセル75mg/m2静注のいずれか)を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けは、PD-L1発現状態(腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現が1%未満[IC0]または1%以上5%未満[IC1]vs.5%以上[IC2/3])、化学療法の種類(vinflunine vs.タキサン系)、肝転移(あり vs.なし)、予後因子の数(0 vs.1~3)で層別化した。患者と試験担当医は、割り付けは認識していた。また、PD-L1発現状態については、患者と試験担当医およびスポンサーは盲検化された。 主要エンドポイントはOSで、事前に規定した母集団について順を追って検証した(IC2/3→IC1/2/3→intention-to-treat集団)。アテゾリズマブと化学療法でOSに有意差なし 2015年1月13日~2016年2月15日に、198施設からの患者931例が無作為化された(アテゾリズマブ群467例、化学療法群464例)。 PD-L1発現5%以上(IC2/3)の患者234例におけるOS中央値は、アテゾリズマブ群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.6~15.5、116例)、化学療法群10.6ヵ月(95%CI:8.4~12.2、118例)で、有意差は認められなかった(層別化ハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.63~1.21、p=0.41)。 同IC2/3集団における客観的奏効率(ORR)も、アテゾリズマブ群23%(26/113例)、化学療法群22%(25/116例)と同等であった。奏効期間中央値は、アテゾリズマブ群15.9ヵ月(95%CI:10.4~推定不可)、化学療法群8.3ヵ月(95%CI:5.6~13.2)で、アテゾリズマブ群が数値的には長かった(HR:0.57、95%CI:0.26~1.26)。 intention-to-treat集団において、Grade3~4の治療関連有害事象の発現頻度は、アテゾリズマブ群(91/459例、20%)が化学療法群(189/443例、43%)より少なく、治療中止に至った有害事象も少なかった(34例[7%]vs.78例[18%])。アテゾリズマブの安全性プロファイルは化学療法と比較して良好であり、intention-to-treat集団での予備解析の結果は同様の対象集団で実施された第II相試験と一致しており、忍容性が良好で効果の持続が示唆された。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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統合失調症の再発リスク評価のための新規自己報告スクリーニングツール

 統合失調症患者の再発評価(RASP:Relapse Assessment for Schizophrenia Patient)は、患者の安定性を評価し、切迫した再発を予測するために、不安と社会的隔離の指標を測定する6つの自己報告スクリーナーとして開発された。米国・UT HealthのDawn Velligan氏らは、RASPの開発と心理測定の特徴について報告した。Clinical schizophrenia & related psychoses誌オンライン版2017年11月22日号の報告。 対象患者166例に対し、RASPおよびPANSSによる評価を、それぞれ3度実施した。チャートデータは、患者81例のサブサンプルで収集した。RASPの心理測定分析には、信頼性、構成の妥当性、項目の併用妥当性のテストを含んだ。RASPの因子は、PANSSのサブスケールと相関していた(変化に対する感受性と基準妥当性[RASPと再発エビデンスとの一致])。 主な結果は以下のとおり。・試験‐再試験信頼度は、項目レベルでは妥当なものであり、アンケートレベルでは強く一致した。・RASPは、全体の測定および2つのサブスケールそれぞれにおいて(不安と社会的隔離の増加)、良好な項目応答曲線および内部一貫性を示した。・RASP総スコアおよびサブスケールは、PANSS総スコアおよび陽性症状、興奮、不安のサブスケールと相関する際、良好な併用妥当性を示した。・RASPは、良好な特異性、陰性症状予測力、許容可能な陽性症状の予測力、感度を有する症例の67%において、再発を正確に予測した。 著者らは「この信頼性と妥当性のデータは、RASPの使用をサポートしており、統合失調症患者の再発リスクの簡単な自己報告評価を追加することが有益な可能性がある。使いやすく、スコアリングが容易で、臨床医なしで実施できる点は、ルーチンでの管理と再発リスク評価を可能とする」としている。■関連記事統合失調症患者の再発リスクを低下させるためには統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

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急性期統合失調症に対するパリペリドンの6週間オープン試験

 スペイン・バルセロナ大学のEduard Parellada氏らは、月1回パリペリドンパルミチン酸エステルで治療を行った急性期統合失調症入院患者の再発について、臨床経過を評価した。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2017年11月21日号の報告。 精神科急性期病棟においてパリペリドンで治療された統合失調症患者に対し、6週間のフォローアップによる多施設オープンラベルプロスペクティブ観察研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・登録された280例のうち、パリペリドン単独療法患者は61例、他の抗精神病薬との併用療法患者は219例であった。・臨床全般印象評価尺度-統合失調症(CGI-SCH)平均スコアは、ベースライン時の4.7から最終診察時の3.3に減少した(p<0.0001)。パリペリドン単独療法、併用療法ともに、この変化は臨床的および統計学的に有意であった。・機能の明らかな改善および治療に対する高い患者満足度が認められた。・入院後、パリペリドン治療を開始するまでの時間は、入院期間と相関が認められた(p<0.0001)。パリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮と関連していた。・有害事象は、患者の7.1%で観察されたが、すべて重篤ではなかった。 著者らは「パリペリドン治療は、単独療法および他の抗精神病薬との併用療法ともに、統合失調症の急性期症状の治療において、効果的かつ良好な忍容性を示す。急性期統合失調症エピソードにおけるパリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮をもたらす可能性がある」としている。■関連記事措置入院後の統合失調症患者における再入院リスク要因統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析

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抗血小板薬3剤併用、脳梗塞急性期への有効性は/Lancet

 虚血性脳卒中(脳梗塞)や一過性脳虚血発作(TIA)の急性期患者における抗血小板薬3剤併用療法は、再発とその重症度を減少させることはなく、大出血リスクは有意に増大することを、英国・ノッティンガム大学のPhilip M Bath氏らが、無作為化非盲検第III相優越性試験「TARDIS試験」の結果、報告した。これまでの検討で、脳梗塞急性期の2次予防として抗血小板薬2剤併用療法は単剤療法より優れていることが示唆されている。3剤併用療法はそれらガイドラインで推奨されている抗血小板療法より有効である可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬3剤併用療法は、日常診療で使用されるべきではない」とまとめている。Lancetオンライン版2017年12月20日号掲載の報告。アスピリン+クロピドグレル+ジピリダモール vs.標準療法で検討 TARDIS(Triple Antiplatelets for Reducing Dependency after Ischaemic Stroke)試験は、4ヵ国(デンマーク、ニュージーランド、ジョージア、イギリス)の106施設にて実施された。 対象は、発症後48時間以内の脳梗塞またはTIAの成人患者で、抗血小板薬3剤併用療法群(アスピリン[初日300mg、以降50~150mg/日、通常75mg/日]+クロピドグレル[初日300mg、以降75mg/日]+ジピリダモール[徐放製剤200mgを1日2回、または通常製剤100mgを1日3~4回]と、標準療法群(ガイドラインに基づいた治療:クロピドグレル単剤またはアスピリン+ジピリダモール2剤併用療法、各薬剤の用法用量は3剤併用療法群と同じ)に、コンピュータを用い1対1の割合で無作為に割り付けた。 割り付けは、国およびイベント(脳梗塞、TIA)で層別化するとともに、ベースラインの予後因子(年齢、性別、発症前の機能、収縮期血圧、病型)、薬剤使用歴、無作為化までの時間、脳卒中関連因子、血栓溶解で最小化した。 主要有効性アウトカムは、90日以内の脳卒中(虚血性または出血性、修正Rankin Scale[mRS]で評価)またはTIAの再発とその重症度で、電話による追跡調査によって評価された(評価者盲検化)。解析はintention–to-treatにて行われた。3剤併用療法で再発は減少せず、出血リスクは増加 2009年4月7日~2016年3月18日の期間に、3,096例が無作為化された(3剤併用療法群1,556例、標準療法群1,540例)。 本試験は、データ監視委員会の勧告により早期中止となった。脳卒中/TIAの再発は、3剤併用療法群93例(6%)、標準療法群で105例(7%)に発生し、両群で有意差は認められなかった(補正後共通オッズ比[cOR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.67~1.20、p=0.47)。一方で、3剤併用療法は、より重度の出血と関連していた(補正後cOR:2.54、95%CI:2.05~3.16、p<0.0001)。 なお、著者は研究の限界として、幅広い患者層で検証していること、非盲検下で抗血小板薬が投与されていること、早期中止となり検出力が低いことなどを挙げている。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第51回

第51回:予後を正確に知るとQOLが下がる? …コミュニケーションの話キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちらこんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。最近うちの科の抄読会で話題になったのはJournal of Clinical Oncology…JCOですね。あのTemelさん、2010年に、New England Journal of Medicineに、Massachusetts General Hospitalで行われたRandomized Trialで、早期から緩和ケアが介入したほうが、QOLが上がるだけではなく予後も2~3ヵ月、StageIVの肺がん患者で伸びたといって、ずいぶん話題になったんですけど…その筆頭著者のJennifer Temel先生が書いた「予後を正確に知った患者さんのほうが、QOLが下がる」という、少し衝撃的な論文がJCOに出ていました。たとえばStageIVの患者さんに僕らはよく、「残念ながら、がんの状況はNon Curable…治癒をゴールした状況ではありません。ただ、がんはコントロールできるかもしれないし、抗がん剤を使うことで症状を防いだり(症状が)出てくるのを遅らせ、QOLを維持することができる可能性が高いので治療しましょう」という説明をするんですけども。そのNon Curable Cancer、「自分のがんが治るわけではない」ということがわかった患者さんのほうが、QOLのスコアは下がると(いうことです)。今まで多くの緩和医療のStudyでは、予後を告知したり、そういう話題に対してしっかりと向き合うことは必ずしもQOLには影響しない、むしろ準備ができて悪いことはない、という感じの論調が多かったんですけども。今回のStudyでは、QOLのスコアが少し低く出たと報告されていました。正確に自分のがんの状態を理解するというのは…「正確に」とは何を意味するのか…本当に難しいですよね。肺がんについて、統計学的な数値をわかることが正確に理解したことになるのか? そうではないですよね。1人の患者さんはそれぞれ違うので、統計学的なことを知っても、ご本人がそれに当てはまるかどうかというのは、まったく別の話なので。そういう意味では問題提起というか、議論のネタになる良い論文だったと思います。興味があれば、読んでいただくと非常に参考になると思います。あと、フェローに「これは絶対必読だからベッドタイムリーディングで読みなさい」ってみんなに勝手に送りつけたんですけれども、ASCOのコミュニケーションガイドラインが出ました。「こういう家族がいたらどのように説明するか」「こういう患者さんがいたら、家族がいたら、どうサポートするのが良いのか」、本当によく書かれています。細かいところまで配慮してrecommendationを入れているのだなと、編集委員の方の苦労が伝わってくるような、非常に良いガイドラインだと個人的には思います。これもチャンスがあれば読んでいただけると非常に良いと思います。僕はフェローに「絶対読め」と言いましたけど。コミュニケーション能力については僕も興味があり、今度ワークショップに参加することになりました。Atul Gawandeというハーバード大学の外科医がいるのですが…皆さんも本を読まれたことあるかもしれないですが、『Being Mortal』という本を出されていて日本語訳にもなっているんですけども…彼は医療の質を上げるようなシンクタンク(?)そういう組織のトップになっていて、コミュニケーションだけではなく、チェックリストを作ることで、いかにComplicationを減らす…『Complications』という題の本を出しているんですね…手術のエラーとか、あるいは医療のミスをどうやったらコントロールできるのか、ということに興味を持たれている外科医です。非常に暖かい人で、何年か前の緩和ケアの学会で、『Being Mortal』が出たときに、本にサインしてもらうために並んだ記憶があります。彼が今やっているプロジェクトの1つ、SICG(Serious Illness Conversation Guide)では、重篤な病状の患者さんあるいは家族と、どのようにコミュニケーションを取るのが良いのかということについて、いろいろと模索をしています。そのSerious Illness Conversation Guideのワークショップに、科を代表して数人の同僚と一緒に参加します。そこでは、どういうシナリオを使って、フェローにあるいはレジデントにコミュニケーションの大切さを伝えるか、ということについて研修を積んでくる予定です。この話もぜひ(次回以降お話し)できたらと思うので、がんばって吸収してきます。Jennifer S. Temel JS, et al.Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med. 2010;363:733-742.Nipp RD, et al. Coping and Prognostic Awareness in Patients With Advanced Cancer.J Clin Oncol.2017 ;35:2551-2557. Gilligan T, et al.Patient-Clinician Communication: American Society of Clinical Oncology Consensus Guideline.J Clin Oncol.2017;35:3618-3632. Atul Gawande著 Being MortalAtul Gawande著 ComplicationAtul Gawande著 The Checklist Manifesto: How To Get Things RightThe Conversation Project

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1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢か?(解説:住谷哲氏)-790

 1922年に初めてインスリンが臨床応用されるまで、1型糖尿病は不治の病であった。その後、1型糖尿病のnatural historyが明らかとなり、現在では1型糖尿病発症に至る3つのstageが提唱されている1)。1型糖尿病発症の高リスクグループの同定が可能となったことで、1型糖尿病発症予防の試験がこれまでにいくつか実施されてきた。大規模試験としては、インスリン投与による1型糖尿病発症予防を検討したDiabetes Prevention Trial-Type 1 Diabetes(DPT-1)2,3)と、ニコチンアミドの有効性を検討したEuropean Nicotinamide Diabetes Intervention Trial(ENDIT)4)があるが、残念ながら両試験において結果はnegativeであった。 DPT-1は独立した2つの試験から構成されている。これまでの研究から、膵島関連自己抗体と静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)でのインスリン初期分泌能を組み合わせることで、1型糖尿病患者の近親者における、将来5年間の1型糖尿病発症リスクをほぼ正確に予測することが可能となっている。本試験では、まず膵島細胞自己抗体(ICA)でスクリーニングを行い、ICA陽性患者に対してインスリン自己抗体(IAA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(GAD-Ab)、抗インスリノーマ関連抗原-2抗体(IA-2-Ab)、さらにIVGTTの結果を総合して各患者の発症リスクを計算した。5年間の発症リスクが>50%の群に対してヒトウルトラレンテインスリンの皮下投与を、26~50%の群に対しては経口ヒトインスリン(7.5mg/日)を投与して、約4年間にわたり1型糖尿病の発症頻度をプラセボと比較した。その結果はすでに述べたように、両試験において1型糖尿病の発症は予防できなかった。しかし経口ヒトインスリン投与試験のサブ解析では、IAA>=80nU/mL患者においては、プラセボ群と比較して相対リスク減少(ハザード比[HR]:0.566、p=0.015)を示唆する結果であった。そこでDPT-1を引き継いだ本試験では、DPT-1とは異なりICAではなくIAAでスクリーニングを行い、その他の膵島関連自己抗体とIVGTTの結果を用いて各患者のリスクを計算し、リスクごとに患者を4群(Primary Stratum、Secondary Stratum 1、Secondary Stratum 2、Secondary Stratum 3)に分けて経口ヒトインスリンの効果を検討した。 その結果は、主要評価項目であるPrimary Stratum(これがDPT-1でのIAA>=80nU/mL患者に相当する)での1型糖尿病発症は、経口インスリン投与により有意な減少を認めなかった(HR=0.87、p=0.21)。一方、Secondary Stratum 1ではプラセボと比較して有意に発症が減少していた(HR=0.45、p=0.006)。しかしこれは多重検定について未調整であり、あくまで仮説生成(hypothesis generating)と見なすべきだろう。 動物実験の結果や、ヒトにおける少数のパイロット試験の結果のみに基づいて臨床判断を決定することは、患者に害を与える可能性がある。さらにこれまでの大規模臨床試験において、サブ解析や副次評価項目で有効性が示唆された場合でも、それを主要評価項目に設定し直して確認することで有効性が否定されたことも少なくない。1型糖尿病発症予防の研究の歴史も、まさにこのことを証明している。したがって、今回の研究で有効性が示唆された患者群を対象として、同様のRCTを実施することが次のステップとなる。残念ながら現時点では1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢といえるだろう。

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婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー

 既婚であることは、健康的な生活習慣と関連し、死亡率を低下させる。そして、ライフコースの因子によって認知症のリスクを低下させる可能性がある。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew Sommerlad氏らは、婚姻状況と認知症の発症リスクとの関連性について、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版2017年11月28日号の報告。 年齢および性別で調整した、婚姻状況と認知症との関連性を報告している当該研究について、医療データベースの検索と現場の専門家への連絡を行った。方法論の質を評価し、既婚と比較した、死別、離婚、終生の独身の相対リスクを集約するため、ランダム効果メタ解析を行った。メタ回帰を伴う2次層別解析では、臨床的および社会的状況や所見における研究方法論の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・15の研究より、81万2,047例を抽出した。・既婚者と比較し、終生の独身者(相対リスク:1.42、95%CI:1.07~1.90)および死別者(1.20、95%CI:1.02~1.41)では、認知症のリスクが高かった。・離婚者においては、関連が認められなかった。・さらなる分析では、教育の不足は、死別者におけるリスクを部分的に交絡させ、終生の独身者における身体的な健康を悪化させるリスクを高めていた。・認知症診断を確定するために臨床記録を使用した研究と比較して、すべての対象者を臨床的に検査した研究では未婚者の認知症リスクが高かった。 著者らは「既婚であることは、死別者や終生の独身者よりも認知症のリスク低下と関連しており、死別者や終生の独身者は通常の臨床現場において十分に診断されていない。未婚者における認知症予防は、教育と身体的健康に重点を置くべきであり、社会的な関与の影響が修正可能なリスク因子であると考えるべきである」としている。■関連記事認知症になりにくい性格は認知症にならず長生きするためになぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか

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