高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMA

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ケアネット

高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMAのイメージ

 微小粒子状物質(PM2.5)や暖候期オゾンへの曝露について、現行の米国環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards:NAAQS)よりも低濃度かつ短期間であっても、死亡リスクの上昇と有意に関連していることが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のQian Di氏らが、メディケア受給者を対象としたケース・クロスオーバー研究の結果を報告した。米国環境保護局は5年ごとにNAAQSを再検証しているが、非監視地域や感受性が高い集団における、現在のNAAQS基準を下回るレベルの大気汚染での死亡リスクに関するエビデンスは不足していた。結果を踏まえて著者は、「現行のNAAQS基準を見直す必要があるだろう」と提言している。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

メディケア受給高齢者を対象にケース・クロスオーバー研究を実施
 研究グループは、2000年1月1日~2012年12月31日に郵便番号数で計3万9,182の地区に居住する全メディケア受給者を対象に、ケース・クロスオーバーデザインおよび条件付きロジスティック回帰分析により、2汚染物質モデルにおいて、PM2.5とオゾンの短期曝露量(死亡日および死亡前日の1日平均曝露量)と死亡率との関連を評価した。PM2.5とオゾンの1日平均曝露量は、すでに公表され検証済みの大気汚染予測モデルを用いて推定した1km2あたりの曝露量から、居住地の郵便番号に基づいて算出した。暖候期オゾンは、毎年4~9月の期間とした。

 主要評価項目は、2000~2012年における全メディケア受給者の全死因死亡率であった。

PM2.5が10μg/m3、オゾンが10ppb増えるごとに死亡率が上昇
 研究期間中の症例日(死亡)は約2,200万日(2,243万3,862例)、対照日は約7,600万日(7,614万3,209例)であった。

 全症例日および対照日のうち、PM2.5が25μg/m3未満であったのは93.6%で、この期間中に死亡の95.2%(2,135万3,817/2,243万3,862例)が発生した。また、オゾン濃度が60ppb(ppbは10億分の1)未満であったのは91.1%で、この期間中に死亡の93.4%(2,095万5,387/2,243万3,862例)が発生した。ベースライン日の1日死亡率(/100万人)は、年間では137.33、暖候期では129.44であった。1日死亡率は、短期のPM2.5曝露量(オゾンで補正)が10μg/m3増加するごとに1.05%(95%信頼区間[CI]:0.95~1.15)、暖候期オゾン曝露量(PM2.5で補正)が10ppb増加するごとに0.51%(95%CI:0.41~0.61)、いずれも有意に増加した。1日死亡率(/100万人)の絶対リスク差は、それぞれ1.42(95%CI:1.29~1.56)および0.66(95%CI:0.53~0.78)であった。曝露-反応関係における閾値のエビデンスは認められなかった。

 なお、著者は、メディケア受給者の大半が65歳以上で、死因については検討しておらず、実際に死亡した場所は不明であり、利用したデータは5年近く前のものであるなどの点で、今回の研究には限界があると述べている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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