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地方病院の認知症やせん妄患者に対するボランティア介入が再入院率に及ぼす影響

 地方の急性期病院における、認知症、せん妄、せん妄リスクを有する患者に対するパーソン・センタード(person-centered)のボランティアプログラムが臨床アウトカムに及ぼす影響について、オーストラリア・Southern NSW Local Health DistrictのAnnaliese Blair氏らが検討を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2018年8月13日号の報告。 本研究は、非無作為化比較試験として実施された。対象は、オーストラリアの農村部にある急性期病院7施設に入院している高齢患者。介入群270例は、65歳超の認知症またはせん妄の診断を受けた、もしくはせん妄のリスク因子を有する患者で、ボランティアサービスを受けていた。対照群188例は、ボランティアプログラム開始12ヵ月前に同じ病院に入院し、時期が違えばボランティアプログラムの適格基準を満たしていただけであろう患者。ボランティアプログラム介入では、訓練を受けたボランティアスタッフによる、栄養・水分補給、聴覚・視覚補助、活動、オリエンテーションに焦点を当てた1:1のパーソン・センタード・ケアを提供した。ボランティアの訪問、診断、入院日数、インシデント行動、再入院、指定率、死亡、介護施設への入所、転倒、褥瘡、薬剤使用について、医療記録より評価した。 主な結果は以下のとおり。・全施設において、介入群では、1:1指定率、28日再入院率に有意な低下が認められた。・入院日数は、対照群において有意に短かった。・介入群と対照群において、その他のアウトカムに差は認められなかった。 著者らは「ボランティア介入は、地方の病院における認知症、せん妄、せん妄のリスク因子を有する急性期の高齢患者をサポートするうえで、安全かつ効果的で、再現可能な介入である。今後は、コストへの影響、家族の介護者、ボランティア、スタッフ経験に関しても報告を行う予定である」としている。■関連記事日本の認知症者、在院期間短縮のために必要なのは認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために米国の長期介護における向精神薬を使用した認知症ケア改善に関する研究

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強迫症の最適治療に関する研究

 強迫症(OCD)の治療では、認知行動療法(CBT)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法が行われる。単独療法よりも併用療法が優れている可能性があるものの、これを調査した研究はほとんどなかった。英国・Hertfordshire Partnership University NHS Foundation TrustのNaomi A. Fineberg氏らは、成人OCD患者を対象に、CBT、SSRI治療の単独または併用療法の治療効果について、比較検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月15日号の報告。 成人OCD患者49例を、CBT群、SSRI群、SSRI+CBT群にランダムに割り付けた。SSRI治療では、セルトラリン(50~200mg/日)が52週間投与された。16時間のマニュアル化されたCBTを8週間、4つのフォローアップセッションと共に実施した。治療の割り付けは、評価者には盲検化された。予備的な健康経済評価を実施した。 主な結果は以下のとおり。・症例分析では、16週目において、SSRI+CBT群(13例)で最も大きな改善効果が認められた。次いで、SSRI群(7例)、CBT群(9例)であった。・Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)での改善を比較したエフェクトサイズ(Cohen's d)は、CBT群とSSRI+CBT群との比較で-0.39、CBT群とSSRI群との比較で-0.27であった。・16週目と52週目を比較すると、SSRI群で最も臨床的改善効果が認められたが、中止率が高く、信頼できる分析には至らなかった。・平均費用は、SSRI群と比較し、CBT群およびSSRI+CBT群で高かった。・SSRI群の平均質調整生存年(Quality Adjusted Life Years:QALY)スコアは、CBT群よりも0.1823(95%CI:0.0447~0.3199)高く、SSRI+CBT群よりも0.1135(95%CI:-0.0290~0.2560)高かった。 著者らは「成人OCD患者へのSSRI治療とCBTの併用療法は、とくにCBT単独療法に対して、最も臨床的に有効な治療選択肢であったが、SSRI単独療法を超える利点は16週以上持続しなかった。また、SSRI単独療法が、最も費用対効果に優れていた」としている。■関連記事治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何かSSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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高リスク心臓手術の輸血戦略、6ヵ月後の転帰は?/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓手術を受ける成人患者において、制限的赤血球輸血は非制限的輸血と比較し、術後6ヵ月時点でも複合アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全)に関して非劣性であることが認められた。カナダ・セント・マイケルズ病院のC. David Mazer氏らが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「TRICS III」の最終解析結果を報告した。同試験の術後28日時の解析でも、退院または術後28日までの複合アウトカムについて、非制限的輸血戦略に対する制限的赤血球輸血の非劣性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。制限的vs.非制限的赤血球輸血、術後6ヵ月の臨床転帰を比較 研究グループは、心臓外科手術後リスク予測モデルEuroSCORE Iスコアが6以上の、死亡リスクが中等度~高度な心臓手術を受ける成人患者5,243例を、制限的赤血球輸血群(全身麻酔導入以降の術中/術後、ヘモグロビン濃度<7.5g/dLの場合に輸血)、または非制限的赤血球輸血群(術中または術後ICU入室中:ヘモグロビン濃度<9.5g/dLで輸血、ICU以外の病棟:ヘモグロビン濃度<8.5g/dLで輸血)のいずれかに、無作為に割り付けた。 主要評価項目は、手術後6ヵ月以内の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全の複合アウトカム。副次評価項目は、主要評価項目に加え術後6ヵ月以内に発生した救急部受診、再入院および冠動脈血行再建術を含む複合アウトカム、および各構成要素とした。主要評価項目および副次評価項目は、修正intention-to-treat集団で解析した。術後6ヵ月時でも、複合アウトカムは非劣性、全死因死亡率も両群で有意差なし 術後6ヵ月時の主要複合アウトカムの発生率は、制限的輸血群17.4%(402/2,317例)、非制限的輸血群17.1%(402/2,347例)であり、制限的輸血群の非制限的輸血群に対する非劣性が示された。絶対リスク差は0.22ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~2.39)、オッズ比(OR)は1.02(95%CI:0.87~1.18)で、事前規定の非劣性マージン(絶対リスク差の95%CI上限値が3ポイント未満)を満たした(p=0.006)。アウトカムを個別にみると、全死因死亡率は、制限的輸血群6.2%、非制限的輸血群6.4%であった(OR:0.95、95%CI:0.75~1.21)。 副次評価項目に関しては、両群で有意差は確認されなかった。 なお、著者は、術後28日時または退院後に輸血のプロトコールに従うよう医師に求めていなかったこと、転帰に関する情報がさまざまな情報源から得られていたこと、非盲検試験のバイアスの可能性を除外できていないことなどを研究の限界として挙げている。

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リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。VTE高リスク内科疾患入院患者、約1万2,000例を対象に検討 研究グループは、2014年6月~2018年1月に36ヵ国671施設において、VTE高リスク(修正IMPROVE VTEリスクスコアが4以上、または2~3かつ血漿Dダイマーが施設基準値上限の2倍以上)で、内科疾患(左室駆出率45%以下の心不全、急性呼吸不全または慢性閉塞性肺疾患の増悪、急性虚血性脳卒中、あるいは急性感染症またはリウマチ疾患を含む炎症性疾患)により3~10日間入院した40歳以上の患者1万2,024例を対象に試験を行った。被験者は、退院時にリバーロキサバン群(10mgを1日1回45日間、ただし投与量は腎不全で調整)またはプラセボ群に、無作為に1対1の割合で割り付けられた。 主要有効性評価項目は、症候性VTE(深部静脈血栓症または非致死性肺塞栓症)もしくはVTEに起因する死亡の複合アウトカム。主な安全性評価項目は大出血であった。症候性VTEまたはVTE関連死の発生に有意差なし 無作為化された1万2,024例のうち、1万2,019例がintention-to-treat解析に組み込まれた。 複合アウトカムの発生率は、リバーロキサバン群0.83%(50/6,007例)、プラセボ群1.10%(66/6,012例)で、リバーロキサバンの優越性は示されなかった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.09、p=0.14)。事前に定義された副次評価項目である症候性非致死性VTEの発生率は、リバーロキサバン群0.18%、プラセボ群0.42%であった(HR:0.44、95%CI:0.22~0.89)。 大出血は、リバーロキサバン群で5,982例中17例(0.28%)、プラセボ群で5,980例中9例(0.15%)に認めた(HR:1.88、95%CI:0.84~4.23)。 なお、本試験は、イベントの発生が少ないため試験途中で目標症例数1万2,000例にプロトコールが変更されたが、それでもイベント数は必要とした161例に達せず、登録中止となっている。

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第7回 スタチンの服薬アドヒアランスに影響する7つの要因【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬アドヒアランスの改善は服薬指導における大きなテーマの1つです。とくに、すでに生じている症状の改善ではなく、将来的な発症の予防目的で長期的に服用する薬では、服薬アドヒアランスが低くなりがちですので、薬剤師としてどのような視点でアプローチすべきか試行錯誤されているのではないでしょうか。服薬アドヒアランスが低下しがちな薬剤の代表格であるスタチンは、服用6〜12ヵ月で25%〜50%の患者が服薬を中止し、2年経つころには75%に達するという推計(Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.)もあります。心血管イベントリスクの高いほうではとくに服薬指導時の説明の工夫が必要です。そこで今回は、スタチンの服薬アドヒアランスに影響する要因を検討した質的研究を統合したシステマティックレビューを紹介します。なお、質的研究とは、インタビューや観察を通して被験者の行動やプロセスを分析して解釈的理解を行うことを目的とした研究です。Patient beliefs and attitudes to taking statins: systematic review of qualitative studies.Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.このシステマティックレビューは、スタチンの服用に対する患者の視点、経験および態度について明らかにすべく、2016年10月6日までにPsycINFO、CINAHL、Embase、MEDLINEの各データベースや博士号論文から、スタチンに対する成人患者の視点に関する質的研究を検索し、得られた各文献からすべての文章と被験者のコメントを抽出してテーマ別に分析しています。主だった研究データをすべて反映させているため、情報の透明性は高そうです。最終的に8ヵ国、22〜93歳の888例からなる32の研究がレビューに含まれ、服薬アドヒアランスに影響する7つの要素が見い出されました。 1.予防効果の信頼(有効性の信頼、長期的な致命的心血管イベントリスクの最小化、安定したコレステロール値の獲得、高コレステロール状態の不安緩和) 2.ルーティン化(日常生活への取り込み) 3.薬理効果への疑問(効果の不認識、薬理学的メカニズムの不確実性) 4.医療に対する不信(過剰投与ないし医師の処方動機に対する疑い、治療開始へのプレッシャー) 5.健康への脅威(副作用リスク、体への毒性) 6.病気の実感(薬物に頼らざるを得ないことへの恐れ、治療意欲の喪失) 7.経済的な負担結果として、1のスタチンが心血管イベントを予防できるという期待と、2のスタチン服用を日常生活に取り入れることで服薬アドヒアランスが改善した一方で、3〜7の要素は障壁となりやすい傾向にありました。7つの要素から見えてくる具体的なアプローチ7つの要素からどのようなことが見えてくるでしょうか。たとえば、治療目的や将来期待できる効果について説明する、残薬の話から生活習慣の話へつなげて服薬の習慣への組み入れをアドバイスする、患者さんの性格や理解度別に丁寧に処方の理由や薬の作用を説明するなど、当たり前のようで漏れがちな取り組みかもしれません。残薬確認1つとっても聞き方はさまざまで、「処方薬を全部服用するのは大変かと思いますが、どのくらい飲み忘れたりしますか?」「何か事情があって中止されたお薬はありますか?」「何か気になる副作用はありましたか?」など批判的にならないように聞くのもよいでしょう。効果やリスクなどは、絶対リスク減少率など誤解をしにくい指標で期待できる効果をお伝えすることも患者さんの治療受容度に寄与しうるという研究もあります(Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.)。冒頭の論文で例として挙げられている患者コメントの中には、「体調は悪くないので、服用すべきかわからない。効果の実感がない」「ずっと飲み続けなければならないのか不安」などネガティブなものから、「未来のために今服用する」「薬が効いているし、服用で健康になっているように感じられる」「ひげそり、コーヒーを入れるという朝のルーティンの一環で毎朝同じ時間に服用する」という積極的なものまで、アドヒアランス向上のヒントとなるような実践的な要素が散りばめられています。患者さんが日頃どのようなことを考えながら治療を受けているのかを知り、アプローチを考えてみてはいかがでしょうか。1)Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.2)Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.3)Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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ロシュ、世界肺癌会議(WCLC2018)で新データを発表

 Roche社は、2018年9月6日、カナダのトロントで9月23~26日に開催される2018年第世界肺癌会議(WCLC/IASLC 2018)において、さまざまな肺がんを対象とした臨床開発プログラムの新データが発表される旨を公表した。同会議では、3つのLate Breakerと5つの口頭発表を含む10個のアブストラクトが受理されたとしている。 主要な発表は以下のとおり。・進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)初回治療の第III相IMpower133試験から、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の併用の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS))がPredsidentialシンポジウムで発表される。・進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療における第III相IMpower132試験から、アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+プラチナ)の併用のPFSおよびOSの結果が発表される。・TKIナイーブのEGFR変異陽性NSCLCの患者における第Ib相試験から、エルロチニブ・アテゾリズマブ併用の長期の安全性と有効性の結果が発表される。・進行ROS1融合陽性NSCLCにおける新たな国際第II相STARTRK-2バスケット研究を含むプール解析から、entrectinibの安全性と有効性の結果が提示される。■参考Roche社メディアリリース

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抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

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EGFR-TKI耐性肺がん患者の遺伝子変異検査、治療の実態:前向き観察研究REMEDY 第18回【肺がんインタビュー】

第18回 EGFR-TKI耐性肺がん患者の遺伝子変異検査、治療の実態:前向き観察研究REMEDY出演:四国がんセンター 呼吸器内科 野上 尚之氏Seto T, et al. Real-World EGFR T790M Testing in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: A Prospective Observational Study in JapanOncol Ther.2018 Aug 28.[Epub ahead of print]

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第5回 内科からのオーグメンチン・クラリスロマイシンの処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?(協力メンバー12名、複数回答)Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)・・・11名Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)・・・10名Mycoplasma pneumoniae(肺炎マイコプラズマ)・・・9名Moraxella catarrhalis(モラクセラ・カタラーリス)・・・6名Chlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア)・・・5名Legionella 属(レジオネラ属)・・・2名Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)・・・2名細菌性肺炎・非定型肺炎の両方の可能性 奥村雪男オーグメンチン®配合錠が選択されていることから、S. pneumoniae、 H.influenzae(BLPAR※1を含む)、M. catarrhalis。クラリスロマイシンが選択されていることから、M.pneumoniae、 Legionella 属、 C. pneumoniae。市中肺炎であり原因菌が同定されていないため、細菌性肺炎・非定型肺炎の両方の可能性を考え、原因菌として主要な6つの病原体を全てカバーしていると考えます。点滴を行った時点では細菌性肺炎が強く疑われていたようですが、出張となるので非定型肺炎であった場合でも対応できるようにマクロライドが追加され、このような処方になったと考えます。肺炎の重症度は、「成人市中肺炎診療ガイドライン」1)では、A-DROPシステム<表1>のスコアが0→外来治療、1~2→外来または入院、3→入院治療、4~5→ICU入院としているので、入院が望ましいが外来でも可とのことから、1~2に該当する中等度肺炎と予想されます。※1 BLPAR:β-lactamase-positive ampicillin-resistant H. influenzae(β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)非定型肺炎の鑑別診断も参考に 荒川隆之一般成人の市中肺炎なので、細菌性肺炎としてはS. pneumoniaeやH. influenzae、 M. catarrhalis、非定型肺炎としてはM. pneumoniaeやC. pneumoniae、Legionella 属などを想定します。「成人市中肺炎診療ガイドライン」の細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別<表2>を参照すると、この患者さんの場合、1~5の5項目中1、2、5を満たすと考えれば、非定型肺炎を疑う必要もあります。結核菌の可能性も 中西剛明外来なので市中肺炎の3 大原因菌( S. pneumoniae、 H. influenzae、 M.pneumoniae)の中から絞り込みます。尿検査をしているので、S. pneumoniaeの可能性は低い(尿中肺炎球菌抗原で原因菌の絞り込みが可能)、血液検査でマイコプラズマ抗体の検査が可能なこと、1週間点滴に通うようにと提案されている(M. pneumoniaeに感受性のある点滴はミノサイクリンくらいしか外来治療では使えない)ことから、H. influenzaeを疑います。それも、耐性菌の可能性を念頭に、BLPAR/BLNAR※2の線が濃厚です。処方日数が3日なのは、原因菌の特定が完全ではないこと、感受性試験の結果を見て薬剤を変更する余地を残していることが考えられます。加えて、結核の除外診断はついていないと予想できます。もし医師が結核の可能性がないと判断していれば、BLPAR/BLNARに対してレボフロキサシン単剤で処方2)していたでしょう。なお、結核疑いのままレボフロキサシンなどのキノロン系薬単剤で治療を開始することは、「結核診療ガイドライン」3)では禁忌事項に記載されています。※2 BLNAR:β-lactamase-negative ampicillin-resistant H. influenzae(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)複数の原因菌が混合している可能性も 柏木紀久喀痰検査が行われず、血液検査、尿検査を行った上での処方なので、細菌性肺炎か非定型肺炎か明らかでなかったか、または混合感染の可能性も考えますが、セフトリアキソンの点滴を行っているので原因菌不明の細菌性肺炎を主に想定していると考えます。Q2 抗菌薬について、患者さんに確認することは?併用薬と抗菌薬での副作用歴 中堅薬剤師併用薬と、今まで抗菌薬で副作用がなかったか。アレルギーと抗菌薬服用による下痢の経験 柏木紀久ペニシリンアレルギーと、抗菌薬の服用で下痢になったことがあるか。再受診と毎食後に服用可能か ふな33日後の再受診についてどのように指示されているか。食欲・嘔気の有無、食事は規則的か=毎食後で飲めるか。検査結果、既往歴、抗菌薬使用歴 佐々木康弘検査結果について確認したいです。Legionella属、M. pneumoniae、S. pneumoniaeの検査結果は抗菌薬選択に大きく影響します。既往歴や抗菌薬使用歴も確認したいです。気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの既往歴があれば、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)も想定した抗菌薬治療が必要ですし、抗菌薬治療していて増悪している場合はニューキノロン系薬剤の使用も考慮します。インフルエンザウイルスへの先行感染 奥村雪男受診時期が冬季であれば、インフルエンザウイルスへの先行感染が無かったか確認したいです。その場合は原因菌としてS. aureusを想定する必要があります。ただ、メチシリン感受性S. aureusであれば、オーグメンチン®配合錠で治療可能と考えます。職業や活動範囲などの情報収集 JITHURYOU患者インタビューの質を上げて、できるだけ多くの情報を得られるよう努めます。喫煙習慣、職業温泉や湖や沼などに最近行ってないか?(Legionella属鑑別)家族など周囲に咳が強く出ている人がいないか?(患者の年齢だと10~20代の子供がいる可能性があり、その年代は比較的M. pneumoniaeが多いとされている)鳥との接触はあるか?(オウム病鑑別)併用している抗菌薬の確認のため、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法を受けているか、COPDなどの呼吸器系基礎疾患があるか(マクロライド長期療法を受けている可能性を考慮)後編では、本症例の患者さんに何を伝える、疑義照会をする/しない 理由を聞きます。1)日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会. 成人市中肺炎診療ガイドライン. 東京、 日本呼吸器学会、 2007.2)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会. JAID/JSC感染症治療ガイド2014. 東京, 一般社団法人日本感染症学会, 2015.3)日本結核病学会. 結核診療ガイドライン 改訂第3版. 東京, 南江堂, 2015.4)「 肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療方針」策定委員会. 肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針. 東京, 日本マイコプラズマ学会, 2014.[PharmaTribune 2015年12月号掲載]

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なぜ美容整形手術を受けるのか、初の前向き観察研究

 美容整形手術の人気が高まっているにもかかわらず、手術を受ける患者の動機付けとなっている社会文化的な要因やQOLに関わる因子はあまり解明されていない。米国・ノースウェスタン大学のAmanda Maisel氏らは、患者がなぜ侵襲の少ない美容整形手術を受けるのかを包括的に評価する、初となる検討を行った。その結果、一般的な理由は、外見を良くしたいという願望に加えて、感情的、心理的、そして実用的な動機であることが明らかになったという。著者は、「患者の年齢や求める手術における相対的差異については、さらなる調査が必要だろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。 研究グループは、侵襲の少ない美容整形手術を受ける患者の動機となる因子の相対的な重要度を評価する目的で、米国すべての地域を代表する大学2施設および皮膚科の診療所11施設にて多施設共同前向き観察研究を行った。2016年12月4日~2017年8月9日の期間に、美容整形に関する診察または治療のために受診した成人患者を対象とし、最近開発された主観的動機付けの枠組みと人口統計学的質問調査票の回答に基づいて調査ツールを完成させた。 主要評価項目は、QOLの各カテゴリーにおいて自己報告された最も一般的な動機であった。副次評価項目は、多く報告されたその他の動機、および特定の手術に関連した動機であった。 主な結果は以下のとおり。・適格患者529例中、511例が研究への参加に同意し登録、調査を完了した。・511例の患者背景は、女性が440例(86.1%)、45歳以上が286例(56.0%)、白人386例(75.5%)、大卒469例(91.8%)、美容整形手術歴2回以上270例(52.8%)であった。・審美的外見(美しい皮膚と若く魅力的な外見に対する願望など)に関連する動機を除くと、身体的健康(健康状態または症状悪化の予防)は475例中253例(53.3%)、心理社会的well-being(幸せを感じたい、自信を持ちたい、QOLを全般的に改善したいなど)は467例中314例(67.2%)、自分へのご褒美またはお祝いは463例中284例(61.3%)、職業上の見栄えは476例中261例(54.8%)が一般的な動機として報告された。・費用や利便性に関連した動機は、低い位置付けだった(483例中68例[14.1%])。・大部分の動機は、内面に生じ、他人ではなく患者自身が満足することを目的としたもので、患者自身が美容整形手術を受けることを決めていた。そのため、配偶者の影響はほとんどなかった。・45歳未満の患者は、老化予防の目的で手術を受けることが有意に多かった(45歳未満:212例中54例[25.5%]vs.45歳以上:286例中42例[14.7%]、p<0.001)。・特定の手術(体形補正、ざ瘡瘢痕治療、入れ墨除去など)を希望する患者は、心理的・感情的な動機が多い傾向が見られた(それぞれ、22例中19例[86.4%]、42例中36例[85.7%]、11例中8例[72.7%])。

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インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か~JPHC研究

 わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。 本研究では、がんリスクにおけるインスリンと血糖のそれぞれの影響を明らかにするために、インスリンの代用マーカーである血漿Cペプチド、および安定した血糖マーカーである糖化アルブミン(GA)と、がん全体および部位別のがんリスクとの関連が検討された。ベースラインでアンケートに回答し血液サンプルを提供した3万3,736人のうち、約4,000人にがんが発症した。明らかに糖尿病である被験者を除外し、3,036人のがん症例と3,667人のサブコホートで分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男女全体として、GAで調整後、Cペプチド値の最も高い群は、最も低い群と比べてがん全体(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.02~1.42)、結腸がん(1.73、1.20~2.47)、肝臓がん(3.23、1.76~5.91)、腎・腎盂・尿管がん(2.47、1.07~5.69)のリスク増加と有意に関連していた。・Cペプチドに関連した上記のがんのうち結腸がんと肝臓がんでは、Cペプチド値とは関係なく、GAの増加に関連したがんリスク増加も示した。GAの最も低い群に対する、最も高い群での結腸がんと肝臓がんのHRは、それぞれ1.43(95%CI:1.02~2.00)および2.02(95%CI:1.15~3.55)であった。・性別による差異は、Cペプチドと結腸がんの関連(相互作用のp=0.04)のみ明らかであった。

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第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。 本システマティックレビューおよびメタ解析は、各診断カテゴリにわたる第2世代抗精神病薬とプラセボを比較した、ランダム化比較試験を対象とした。2017年1月21日までのデータをMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPより検索し、さらに適格試験を抽出するため、製薬企業および規制当局に連絡を取った。すべての原因による死亡率(主要アウトカム)、自然原因による死亡率、自殺率、非自然原因による死亡率について調査を行った。共通効果メタ解析において、オッズ比(OR)を用いて結果を検討した。サブグループおよびメタ回帰分析において、年齢、診断カテゴリ、性別、研究期間、使用された抗精神病薬、投与量、多剤併用の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1978~2017年に発表された596件のランダム化比較試験より、10万8,747例を抽出した。・入手可能な死亡率データを有する352件の研究(8万4,988例)を、メタ解析データの主なデータセットとした。・死亡報告数は、抗精神病薬使用群5万3,804例中207例(0.4%)、プラセボ群3万1,184例中99例(0.3%)であった。・352件中300件(85%)の研究は、13週(3ヵ月)以下の研究期間であった(中央値:6週間、IQR:4~10)。・抗精神病薬使用群とプラセボ群との間に、死亡率の差は認められなかった。 ●すべての原因による死亡率 OR:1.19、95%CI:0.93~1.53 ●自然原因による死亡率 OR:1.29、95%CI:0.85~1.94 ●自殺率 OR:1.15、95%CI:0.47~2.81 ●非自然原因による死亡率 OR:1.55、95%CI:0.66~3.63・ほとんどのサブグループおよびメタ回帰分析において、重要な影響調整因子は認められなかったが、例外として以下の場合に死亡率の増加が確認された。 ●認知症者 OR:1.56、95%CI:1.10~2.21 ●高齢者 OR:1.38、95%CI:1.01~1.89 ●アリピプラゾール使用 OR:2.20、95%CI:1.00~4.86 ●女性の割合が高い研究 回帰係数:0.025、95%CI:0.010~0.040・しかし、高齢者、アリピプラゾール使用、女性の割合が高い研究における影響は、主に認知症者に対する試験が含まれていた。・統合失調症患者では、死亡リスク増加は認められなかった(OR:0.69、95%CI:0.35~1.35)。 著者らは「全体として、統合失調症に対する抗精神病薬の使用が死亡率を増加させるとするエビデンスは、ランダム化試験より認められなかった。しかし、とくに認知症などの集団においては、死亡リスクが高い可能性が示唆された。本研究では、死亡率に対する抗精神病薬の長期的な影響ではなく、急性期治療による短期的な影響についてのみ検証可能であった」としている。■関連記事アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

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睡眠改革で睡眠上手な日本へ

 9月3日の「睡眠の日」にちなみ、目覚め方改革プロジェクト主催のメディアセミナーが、2018年8月29日に都内で開催された。 今まで、わが国でも語られることが少なかった「睡眠」にスポットを当てた目覚め方改革プロジェクトは、「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」を目的に設立され、医師をはじめとする有識者で構成されている。今後はウェブサイト「目覚め方改革プロジェクト」を通じて睡眠や体内リズムに関連するさまざまな情報を発信していく。先進国で一番睡眠時間が短い日本 はじめにプロジェクトリーダーの内村 直尚氏(久留米大学 医学部 神経精神医学講座 教授)が、「『目覚め方改革プロジェクト』設立について」をテーマに、日本人の睡眠の現状と本プロジェクト設立の意義について説明した。 平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)と現状を報告した。 「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。そして、この睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係しているとして、このプロジェクトを立ち上げた」と内村氏は経緯を述べ、「今後、このプロジェクトのウェブサイトから、『目覚めと体内リズムの重要性』に関する情報発信をしていく」と抱負を述べた。睡眠関連で約15兆円の経済損失 次に「睡眠の基本、睡眠の乱れによる健康問題と生活への影響」をテーマに、岡島 義氏(東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授)が、睡眠のメカニズムと睡眠不足、不眠がもたらす弊害を説明した。 睡眠には、疲労回復、エネルギー保存、身体の成長、免疫機能増加などの役割があるが、睡眠不足や不眠になると倦怠感や頭重感、交通・産業事故の誘因、仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、認知症発症の誘因を起こすとされている。米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。 とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05~0.10%はビール1~2本、日本酒1~2合に相当)。 最後に岡島氏は「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」と述べ、説明を終えた。夜のブルーライトは体内リズムに影響 次に「体内リズムの重要性~睡眠負債とソーシャルジェットラグ~」をテーマに、駒田 陽子氏(明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授)が、睡眠と体内リズムの重要性について説明を行った。 体内時計は、さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、体内リズムを作り出している。そのため睡眠においても、「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。また、体内リズムと光の関係につき、朝の強い光はリズムを進行させ、夜の光はリズムを遅らせるとともに、夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。 続いて最近問題となっている「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」に触れた。ソーシャルジェットラグとは、蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、休日に寝だめなどを行った結果、体内リズムが乱れ、起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、「起床時間を休日でも変えない」「6~8時間の睡眠時間の確保」「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など体内リズムを整えることが重要だと説明する。 最後に駒田氏は「昼間、生き生きと過ごすために、朝、すっきりと目覚めることが大事」と語り、説明を終えた。 体内リズムを整えるアスパラプロリン 次に協力企業から只野 健太郎氏(大塚製薬株式会社) が、「『目覚め方改革プロジェクト』協力にあたって」をテーマに、今回のプロジェクトへの期待を語った。 一般的に食事や運動に気を付ける人が多い中で、睡眠に気を配る人は少なく、睡眠に起因する健康被害も多数ある。「今後協力企業として、たとえば体内リズムを整えるアスパラプロリンなどの食品素材の開発・提供を通じて良い睡眠をサポートしていきたい。こうした食品を使うことで、覚醒と睡眠の良循環を作っていきたい」と述べ、講演を終えた。■文献1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237. ■参考目覚め方改革プロジェクト■関連記事CareNet.com特集「睡眠障害」診療よろず相談TV 第33回「不眠症」 回答者:日本大学医学部精神医学系 内山 真氏

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臨床研究法施行で何が変わったか~メリット・デメリット

 今年4月1日に「臨床研究法」が施行された。降圧薬に関する臨床研究でのデータ操作への疑念や、メーカーの関与といった問題の発覚から制定されたこの法律に、戸惑っている研究者も多いのではないだろうか。今回、今月末に日本で初めて開催されるICPM(International Conference on Pharmaceutical Medicine:国際製薬医学大会)2018の大会長である今村 恭子氏(東京大学大学院薬学系研究科ファーマコビジネス・イノベーション特任教授)とICPM組織委員会の広報担当である松山 琴音氏(日本医科大学研究統括センター副センター長/医療管理学特任教授)に、臨床研究法の要点、メリット・デメリット、研究を行う医師への影響などを伺った。なお、この法律については、ICPM2018と同時開催される第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会のセッションでも取り上げられる予定だ。臨床研究法における書式統一の先駆け的存在が日本製薬医学会 JAPhMedは、製薬企業や行政の勤務医をはじめ、大学・医療機関において臨床研究に従事する医師などによる学会である。今村氏によると、「所属会員は現在約300名だが、メディカルアフェアーズ(MA)、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)という職種に注目が集まるなか、医師以外の参加者が増えている」という。 学会活動の1つに「企業等が研究機関に対して契約に基づき資金を提供する場合に使用する契約書式の例示」がある。臨床研究に関する契約書式を医薬品企業法務研究会(企業に所属する弁護士や法務担当者を中心に作られている研究団体)の経済法研究部会と共同で2009年に第1版を作成しており、JAPhMedは臨床研究法における書式統一の先駆け的存在ともいえる。臨床研究法では特定臨床研究の管理方法が厳重に “承認申請目的の医薬品等の臨床試験”である「治験」には医薬品医療機器等法(薬機法)に基づくGCPが適用される。一方、薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究や、製薬企業などから資金提供を受けて実施される医薬品等の臨床研究である「特定臨床研究」は、法に縛られることなく倫理指針に基づいて行われてきたため、研究資金の提供や研究不正に対する歯止めがきかない状態であった。これを見直すべく、臨床研究法が2017年4月14日に公布、今年4月1日に施行された。 臨床研究法では、医療機関での特定臨床研究の実施に係る措置として、1)モニタリング・監査の実施、利益相反の管理、研究対象者の保護、疾病等の報告や5年間の記録の保存、2)研究計画書の厚労省への提出義務、3)研究対象者への補償、4)実施基準違反に対する指導・監督の4点が設けられた。松山氏は、「法制定により倫理審査委員会(IRB)が認定制になった。これまでは委員会要件を満たせば誰でも委員になれたが、今後は、委員の経歴や適格性なども含め、各地方厚生局の審査を経て厚労省に届け出すことになった。また、研究を行う医師にも、懲役もしくは罰金の罰則が設けられた」と管理方法が厳重になったことに言及した。 また、臨床研究法が施行された2018年4月1日より前から実施している特定臨床研究については、法施行後1年間の経過措置が設けられており、認定臨床研究審査委員会による審査を経たうえで、2019年3月31日までに厚生労働大臣に実施計画書を提出することが義務付けられている。 一方、製薬企業などに対しては、「契約の締結」と「研究資金等の提供に関する情報等の公表」の2点が義務付けられた。公表の対象となる資金の提供先には、医療機関や大学、NPO法人などが含まれ、1)研究資金等、2)寄附金、3)原稿執筆および講演の報酬その他の業務に要する費用の3つについては、インターネット上で5年間公表し続けることになっている。臨床研究法の患者目線での必要性の理解を求めた 臨床研究法におけるメリット・デメリットについては、次の内容が挙げられる。<メリット>・書式の統一化・Single IRB:これまでは関連する機関すべてのIRBで審査をかけていたが、認定された1つのIRBのみで可能となる・倫理的観点だけでなく科学的観点も重要視:技術専門員による評価が必須(対象領域を専門とする医師/歯科医師、生物統計家、臨床薬理学者など)・透明性:利益相反管理基準(特定企業から年間250万円以上を受け取っている医師は、原則、研究代表医師になれない)の適用 このことを踏まえ、今村氏は「スムーズに進めるための書式の標準化をはじめ、委員会要件が明確に定義されたことで、全国で統一された研究体制が期待できるようになる」と臨床研究法による法的規制に対する期待を膨らませた。<デメリット>・雇用負担:認定IRBの専任事務局員4名の配置が必要・契約における時間の増大:認定臨床研究審査委員会の中には、審査費用の支払いに当たり契約が必要なところがあり、審査までの時間が増大するケースがある(ただし、認定臨床研究審査委員会契約が不要な認定審査委員会もある)・書類作成負担の増大:企業が準備を担っていた書式を研究責任医師が準備する・臨床研究保険の措置:補償内容も含めた説明文書の作成と患者の文書による同意が必要・資金提供契約が必要:研究者自身が主体となって、企業に研究の提案を行うとともに、臨床研究に必要な計画および予算を提示し、資金提供契約に基づく実施を目指す必要がある 臨床研究法には上記のようなデメリットがあり、研究者にとっては研究がやりづらくなるものの、今村氏は「治験では契約があるのに、これまで臨床研究の契約がなかったことがおかしい」とし、また、「研究目的だけが先行して、患者に結果を返せていなかった」と患者目線での臨床研究法の必要性に対する理解を求めた。臨床研究に参加する前に、まずは臨床研究法を学んでほしい 両氏は、「実施計画作成などの研究に必要なプロセスを経ずに研究を行ってきた医師を教育し、研究費の予算立てをして製薬企業に研究の必要性をアピールする能力を育成する重要性を臨床研究医に発信していかないといけない」と述べ、製薬企業に対しては「MAの定着に努めてほしい」とコメントした。加えて、今村氏は「これらのニーズに対して貢献できる学会を目指したい。MSL制度認証の普及に寄与し、患者が求めているものを創る、患者中心の医療開発を目指して学会運営に取り組んでいる」と、医療における学会の役割を示し、「まずは臨床研究に参加する前に臨床研究法を学んでほしい」とICPM2018、日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会への参加を呼びかけた。<ICPM2018、第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会の概要>会期:2018年9月27日(木)、28日(金)9:00~19:30 ICPM&JAPhMed共通   2018年9月29日(土)9:00~16:00 JAPhMed年次大会場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター(9月27・28日)   東京大学医学部教育研究棟14階鉄門記念講堂(9月29日)ホームページ:https://www.icpm2018tokyo.com/index.html

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第59回

第59回:ASCO/NCCN合同 irAEガイドライン発刊キーワード肺がんメラノーマ免疫関連有害事象irAE動画書き起こしはこちら2月14日にASCOとNCCN共同で、免疫チェックポイント阻害剤による副作用マネジメントについてのガイドラインが出ました。JCOのほうは60ページ位あるガイドラインで、NCCNのほうは、いつもよくあるPDFのアルゴリズムに沿ったようなガイドライン、2つが同時に発表されています。基本的にフォーマットは違いますけど、言っていることは同じです。目新しいものはなかったのですけれども、読まれてみると良いと思います。あとは『Clinical Care Options』というアメリカのwebサイトですね。そういうものがあるんですけど、そこではかなりタイムリーに、たとえば発表があるとその1週間2週間後には、新しいスライドセットが、その領域のエキスパートと呼ばれる人たちの監修で報告されるんですが、そこではiPhoneとかアンドロイドで「副作用」と入れると、そのマネジメントが出てくる、というようなアプリも紹介されています。Clinical Care Optionsのwebサイトに行っていただけると、そういうアプリも見つかると思います。もうここはものすごいスピードでアップデートしているので、定期的にチェックされると、非常によくまとまって、見やすいスライドが提供されています。もちろん、ここもたくさんの製薬会社からのお金が入って維持されているのだと思いますが。Brahmer JR, et al. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline.J Clin Oncol. 2018 Feb 14. [Epub ahead of print]CLINICAL CARE OPTIONSClinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( APPストア )Clinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( Google Play )

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第5回 臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)【統計のそこが知りたい!】

第5回 臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)前回は、地域住民や患者さんを対象にアンケート調査(市場調査、社会調査)を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)の計算方法について解説しました。今回は、臨床試験を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)について解説します。■臨床研究計画を立てるときのn数(サンプルサイズ)設定の考え方臨床試験は、被験者の負担や臨床試験にかかる費用を少なくするために、できるだけ少ない被験者で行いたいのが実情です。しかし、被験者が少な過ぎると標準誤差が大きくなることから信頼区間の幅が広くなり、治療に効果があるのにその効果を臨床試験の結果として検出できないことがあります。一方、被験者が多過ぎると母集団の信頼区間の幅は狭くなり過ぎて、医学的に意味のない結果を検出することもあります。ですから医学的に意味のある結果を、できるだけ少ない被験者(症例数)で示すためにn数(サンプルサイズ)の設定が重要になります。■検定結果で誤る2つの可能性臨床試験で避けなければならない失敗の1つは、「効果のない治療を効果がある」と判定してしまうことです。このような間違いを「第一種の誤り(過誤)」といいます。第一種の過誤は、「αエラー」ともいい、統計的観点から立てる仮説である帰無仮説(新しい治療法は従来の治療法と同じ効果である)が正しいのに、それを棄却してしまうという誤りです。n数(サンプルサイズ)が大きいときに起こる可能性が高くなります。このαは有意水準のことです。もう1つの失敗は、「本当は効果がある治療を効果がないと判断して臨床試験を中止してしまう」ことです。このような間違いを「第二種の誤り(過誤)」といいます。第二種の過誤は、「βエラー」といい、帰無仮説が間違っているのに、それを見逃す誤りです。n数(サンプルサイズ)が小さいときに起こる可能性が高くなります。臨床試験を行う研究者にとっては、治療が有効であると考えているのですから、このβエラーは極力避けたいものです。検出力は「1-β」で定義され、本当は効果がある治療が正しく「効果がある」と判断される確率です。■n数(サンプルサイズ)の設定臨床試験の際のn数(サンプルサイズ)の設定には、「有意水準」、「検出力」、「検出したい治療効果の大きさ」の値が必要です。有意水準(α)は0.05もしくは0.01が用いられることが多く、検出力(1-β)は0.8~0.9に設定されます。そのため、実際に算出する必要があるのは「治療効果の大きさ(効果量)」だけになります。治療効果の大きさ(効果量)は、過去の臨床試験データやそれまでの予備試験データなどから効果をどのくらいに設定するのか、ということです。たとえば、新しい治療と既存の治療との間で血圧の平均値の差が8mmHgであるというように、臨床試験によって起こりうる結果を試験開始前に推測しておくということです。効果が大きい場合にはn数(サンプルサイズ)は小さくてよく、一方で効果が小さい場合にはn数(サンプルサイズ)は大きくならなければなりません。たとえば効果が半分になれば必要なn数(サンプルサイズ)は4倍になります。また、臨床試験で得られたデータのバラツキ(標準偏差)が小さければn数(サンプルサイズ)は小さくてよく、一方でデータのバラツキが大きければ必要なn数(サンプルサイズ)は大きくなります。たとえば標準偏差が2倍になれば必要なn数(サンプルサイズ)は4倍となります。効果が半分になれば、必要なn数(サンプルサイズ)は4倍になります。■実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法は、一様ではなく、どのような検定法で臨床試験結果を判断するのかによって、異なる数式から求められます。臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)を計算・シミュレーションできる、有償・無償のソフトウエアが、今ではたくさんありますので、簡単にn数(サンプルサイズ)を求めることができます。1つ注意しておきたいことは、国際的なガイドラインである「CONSORT声明(Consolidated Standards of Reporting Trials Statement:臨床試験報告に関する統合基準に関する声明)」では、研究結果をまとめた論文に、研究計画時にどのようにしてn数(サンプルサイズ)を決定したのかを記載するよう定めています。ですから、一度決めたn数(サンプルサイズ)を容易に変更することはできないということです。■実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法の一例(母平均の検定)サンプルサイズの計算方法●検出力とは?実際は対立仮説が成り立っているときに、帰無仮説を正しく棄却する確率を検出力といいます。これは第二種の誤りを起こさない確率であり、「1-β」と表します。●サンプルサイズの検定【検出力】とは?母平均の検定を例に解説します。検定統計量の値は、サンプルサイズ(=標本数)と検出力に大きく影響を受けます。一般的に、サンプルサイズや検出力が大きくなれば、検定統計量の値は大きくなる傾向にあり、反対に小さくなれば値は小さくなります。帰無仮説m=m0で本当はmとm0に意味のある差がみられても、サンプルサイズや検出力が小さければ、統計量|t0|の値は大きくならず、「有意差なし」となります。逆にmとm0の差が小さくても、サンプルサイズや検出力が大きければ「有意差あり」となります。このような検定結果をうのみにするのは危険です。したがって、サンプルサイズと検出力の設定を行った後に、そのサンプルサイズの下で再度検定をやり直す必要があります。●計算方法母平均の検定において、を設定する場合のサンプルサイズの決定を解説します。帰無仮説の下での値m0と真のmとの差が母標準偏差σの何倍あるのかを示す量が、のとき、有意水準αに対して検出力1-βでH0を棄却したかったとします。そのために必要なサンプルサイズnの設定のための式は、以下のとおりです。分子のZα/2、Z1-βは、それぞれ標準正規分布の上側100(α/2)、100(1-β)%点です。【例題】有意水準αが0.05で、帰無仮説と対立仮説がそれぞれである母平均の検定を考えます。かつ 検出力 1-β=0.90でH0を棄却したい場合、サンプルサイズはいくつ必要でしょうか。【解答】サンプルサイズnを計算すると、*Z=標準正規分布表の値です。したがって、サンプルサイズの候補はn=13あるいはn=12です。今回は、臨床試験を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)について解説してきました。臨床試験の論文を読むときには、主要エンドポイントとその統計手法、サンプルサイズの計算などを必ず確認するようにしましょう。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとは第4回 ギモンを解決! 一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?

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半数のヒトの口がクサい【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第122回

半数のヒトの口がクサい いらすとやより使用 他人に向かって「ハーッ」と息を吹きかけられる自信がある人、いますか。歯磨きした直後ならまだしも、寝起きでそんなことを他人にできる人はいませんよね。 Aimetti M, et al.Prevalence estimation of halitosis and its association with oral health-related parameters in an adult population of a city in North Italy.J Clin Periodontol. 2015;42:1105-1114.さてさて、これまでヒトにおける口臭の頻度というのはあまりよくわかっていませんでした。積極的に調べようという研究グループもほとんどありませんし、調べても何のトクにもなりません。研究者本人の口がクサいものなら、もう自虐ネタにしかなりません。このイタリアからの報告は、機械による検査と官能検査によって口臭が客観的にあるかないか判断したものです。官能検査というのは決していやらしい意味じゃなくて、機械では表現できない味覚や嗅覚を第三者の人間が判断しましょう、という検査のことを意味します。要は、ハーっと息を吹きかけてもらってクンクン嗅ぐわけです。この研究に参加したのは20~75歳のボランティアで、744人が検査を受けました。口臭だけでなく、歯周病の存在についても評価されました。また、舌苔スコアというものも参考にされました。皆さんも鏡に向かって舌をベーっと出してください。舌苔が多いか少ないかわかるでしょう。これが真っ白けの人はスコアが高いということです。舌苔スコアと口臭には相関性があることがすでに知られています1)。解析の結果、口臭は全体の53%にみられました。いいですか、半分以上のヒトは口がクサいってことですよ! そして、舌苔スコアが高い被験者の間では、口臭と歯周病には有意な相関関係がありました。すなわち、口腔内の衛生環境が口臭と関係しているということです。よし、皆さん今から歯を磨きましょう!1)森谷俊樹ほか. 口腔衛生学会雑誌. 2002:52;12-21.

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チカグレロル併用DAPT1ヵ月+単剤23ヵ月を標準DAPTと比較/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後2年の全死因死亡あるいは新規Q波心筋梗塞の抑制という点で、チカグレロルとアスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)1ヵ月→チカグレロル単剤療法23ヵ月は、標準的DAPT 12ヵ月→アスピリン単剤療法12ヵ月と比較し優越性は認められなかった。ベルギー・ハッセルト大学のPascal Vranckx氏らが、18ヵ国130施設で実施した無作為化非盲検優越性試験「GLOBAL LEADERS」の結果を報告した。アスピリンとの併用において、チカグレロルはクロピドグレルより主要有害心イベントと全死亡率を有意に低下するが、アスピリン150mg/日以上がチカグレロルの治療効果を弱めることが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2018年8月24日号掲載の報告。DES留置患者約1万6千例で検討したGLOBAL LEADERS試験 GLOBAL LEADERS試験の対象は、PCIを施行しバイオリムスA9薬剤溶出性ステント(DES)を留置する安定冠動脈疾患(安定CAD)/急性冠症候群(ACS)患者。アスピリン(75~100mg/日)+チカグレロル(1日2回90mg)を1ヵ月間、その後チカグレロル単剤療法を23ヵ月間行う介入群と、標準的DAPT(アスピリン75~100mg/日+クロピドグレル75mg/日[安定CAD患者]またはチカグレロル1日2回90mg[ACS患者])を12ヵ月間、その後アスピリン単剤療法を12ヵ月間行う対照群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、2年時点の全死因死亡または中央評価による新規の非致死性Q波心筋梗塞の複合(評価者盲検)。主な副次安全性評価項目は、施設報告によるBARC出血基準Grade3または5の出血で、intention-to-treat解析で評価した。 2013年7月1日~2015年11月9日に、1万5,968例が介入群7,980例と対照群7,988例に無作為に割り付けられた。全死因死亡および非致死性心筋梗塞の発生に有意差なし 2年時点における死亡または非致死性新規Q波心筋梗塞の発生は、介入群で304例(3.81%)、対照群で349例(4.37%)に認められた(率比:0.87、95%信頼区間[CI]:0.75~1.01、p=0.073)。事前に定義したACSと安定CADのサブグループ解析においても、主要評価項目に関する治療効果に差はなかった(p=0.93)。 Grade3または5の出血は、介入群163例ならびに対照群169例で確認された(2.04% vs.2.12%、率比:0.97、95%CI:0.78~1.20、p=0.77)。 著者は、今回の試験は非盲検で行われており、全死因死亡と2年時点の複合エンドポイントに関して検出力不足であったことなどを研究の限界として挙げている。

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中等度CVDリスクへのアスピリン1次予防効果は?/Lancet

 心血管疾患リスクが中等度の55~60歳以上の患者に対し、アスピリン100mgを毎日投与しても、プラセボと比較して心血管イベントの発生率に有意差は認められなかったという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJ. Michael Gaziano氏らが、7ヵ国の約1万3,000例を対象に5年間追跡したプラセボ対照無作為化比較試験「ARRIVE試験」の結果を、Lancet誌オンライン版2018年8月26日号で発表した。心血管イベント1次予防におけるアスピリン投与については、なお議論の的となっている。ARRIVE試験では、中等度リスクを有する患者におけるアスピリンの有効性と安全性の評価が行われた。55歳以上の男性、60歳以上の女性を対象に 試験は2007年7月5日~2016年11月15日にかけて、7ヵ国、501ヵ所の医療機関を通じ、心血管疾患リスクが中等度(特定リスクの因子数で規定)の55歳以上の男性、または60歳以上の女性、合わせて1万2,546例を対象に行われた。消化管出血やその他の出血リスクが高い患者、および糖尿病患者は除外された。 被験者をコンピュータ生成無作為化コードにより1対1の割合で2群に分け、一方にはアスピリン腸溶錠(100mg)を、もう一方にはプラセボをそれぞれ1日1回投与した。患者、研究者、その他の治療・データ解析者は、割付治療についてマスキングされた。 主要有効性エンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の複合アウトカム。安全性エンドポイントは、出血イベントおよびその他の有害イベント発生だった。解析はいずれもintention-to-treat集団にて行った。アスピリンよりもリスクマネジメント戦略の効果が勝る? 追跡期間中央値は、60ヵ月だった。有効性のエンドポイント発生率は、アスピリン群4.29%(269/6,270例)、プラセボ群4.48%(281/6,276例)で、有意な差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.81~1.13、p=0.6038)。 一方、消化管出血の発生は、プラセボ群0.46%(29例)に対し、アスピリン群は0.97%(61例)と2倍強認められた(HR:2.11、95%CI:1.36~3.28、p=0.0007)。 重篤な有害事象発生率については両群とも20%程度(アスピリン群20.19%、プラセボ群20.89%)、有害事象全般の発生率はともに80%強(82.01%、81.72%)と、いずれも同程度だった。治療関連の有害事象については、プラセボ群13.54%に対しアスピリン群16.75%と、より高率に認められた(p<0.0001)。 死亡の報告は、アスピリン群2.55%(160/6,270例)、プラセボ群2.57%(161/6,276例)で有意差はなかった(HR:0.99、95%CI:0.80~1.24、p=0.9459)。 これらの結果について著者は、「イベント発生率が予想よりも大幅に低かった。おそらく、近年のリスクマネジメント戦略が功を奏しており、試験対象が実質的に低リスク集団になっていたと思われる」と指摘し、中等度リスク患者におけるアスピリンの1次予防を検証する試験にはならなかったとしている。そのうえで、「先行研究で公表されている低リスク集団に観察されたアスピリン効果の所見が、今回の試験でもみられた」とまとめている。

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