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小児アトピー性皮膚炎、肥満や高血圧と関連?

 アトピー性皮膚炎(AD)は全身性肥満と関連していることがこれまでに報告されているが、米国・ノースウェスタン大学のJonathan I. Silverberg氏らが行ったケースコントロール研究の結果、小児において中等度~重度のADは中心性肥満および収縮期血圧上昇と関連している可能性があることが明らかとなった。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年12月23日号の掲載報告。 研究グループは、小児AD患者において中心性肥満および高血圧が増加しているかどうかを確認する目的で、2009年4月1日~2012年12月31日に米国の複数の施設において中等度~重度の小児AD患者132例(年齢4~17歳)および健康小児143例を登録し、解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度のADは、性・年齢別BMIの97パーセンタイル値以上(ロジスティック回帰分析でのオッズ比[OR]:2.64、95%信頼区間[CI]:1.15~6.06)、国際肥満タスクフォース(IOTF)の肥満カットオフ値(同:2.38、1.06~5.34)、腹囲85パーセンタイル値以上(3.92、1.50~10.26)、および胴囲/身長比0.5以上(2.22、1.10~4.50)との関連が認められた。・人口統計学、BMIパーセンタイル、腹囲パーセンタイル、およびプレドニゾンまたはシクロスポリンの使用歴で調整した多変量モデルにおいて、ADは性・年齢別血圧の高位パーセンタイルと関連した(収縮期血圧のOR:2.94、95%CI:1.04~8.36/拡張期血圧のOR:3.68、95%CI:1.19~11.37)。とくに収縮期圧は90パーセンタイル値以上との関連が認められた(OR:2.06、95%CI:1.09~3.90)。・ADは、ヒスパニック系/ラテン系アメリカ人(一般化線形モデル;β:0.23、95%CI:0.04~0.43)およびアジア人(同:0.16、0.03~0.30)において収縮期高血圧と関連していた。・重度~非常に重度のADは、収縮期血圧の90パーセンタイル値以上と関連していた(補正後OR:3.14、95%CI:1.13~8.70)。・ADは、高血圧症(補正後OR:1.88、95%CI:1.14~3.10)および2型糖尿病(同:1.64、1.02~2.68)の家族歴と関連していたが、肥満または脂質異常症の家族歴とは関連がなかった。

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重症アトピー性皮膚炎、血液浄化療法は有効か

 重症アトピー性皮膚炎の治療として、血液浄化療法に類する反復免疫吸着療法(Repetitive Immunoadsorption Cycles)が、臨床的改善をもたらすことが示された。ドイツ・グライフスヴァルト大学のGeorg Daeschlein氏らが、重症アトピー性皮膚炎患者では血清IgE値が高いことに着目し、その除去が臨床的に有効であるかを検討し報告した。Therapeutic Apheresis and Dialysis誌オンライン版2014年12月16日号の掲載報告。 検討は、重症アトピー性皮膚炎患者7例を対象に行われた。いずれの患者も、SCORADスコアの有意あるいは長期的な低下が示されておらず、また総血清IgE値が700IU/mL超であった。 患者は、月に1回、連続5回にわたって行うIA療法(Ig-Therasorb吸着カラム、ドイツ・Miltenyi Biotec社製)を1~5シリーズ受けた。 主な結果は以下のとおり。・全体では、IA療法1サイクルを受けた患者は1例、2サイクルは2例、3サイクルは1例、4サイクルは2例、5サイクルは1例であった。・IAは、全サイクル群の患者で忍容性は良好であり、治療期間中、SCORADおよびIgE値の有意な低下を認めた。・SCORADと血清IgE値の相対的低下は、5シリーズ群では11.1%、80%であった。以下、4シリーズ群では24.1%、83.6%、3シリーズ群は37.6%、75.9%、2シリーズ群は27.9%、74.2%、1シリーズ群は25.1%、74.8%であった。・5サイクルを受けた患者(1例)で、12ヵ月超にわたる長期持続的な臨床的ベネフィットが示された。・以上を踏まえて著者は、「血清IgE値が高い重症アトピー性皮膚炎患者について、反復IA法は、1ヵ月1回(4週間間隔)の2サイクル超が、血清IgE値を大きくかつ持続的に低下し、またSCORADを改善し顕著な臨床的有効性を示す」とまとめている。

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2014年 医療ニュース「いいね!」ランキング

2014年にCareNet.comに掲載した医療ニュースのなかで「いいね!」ボタンが押され、Facebookでシェアされたもの、トップ20を発表します。最新の医学情報はもちろん、食事や運動など私たち自身の健康に関わる話題も多くランクインしました。 1位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 2位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 3位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 4位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 5位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 6位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 7位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 8位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 9位 変形性股関節症への理学療法、害あって利なし/JAMA (2014/6/5) 10位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 11位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 12位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 13位 原因不明の慢性腰痛は姿勢制御の障害が原因か (2014/4/2) 14位 回復期リハ退院後の30日再入院率は11.8%/JAMA (2014/2/24) 15位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 16位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 17位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 18位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 19位 骨折リハビリ後の高齢者に在宅運動療法は有用か?/JAMA (2014/3/6) 20位 コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない (2014/11/18) .dl_yy {width: auto;} .dl_yy dt{width: 50px;}

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アジア系両親の子でピーナッツアレルギーが増加

 オーストラリア生まれの両親から生まれた子供と比べて、アジア生まれの両親から生まれた子供のほうが、ピーナッツアレルギー疾患のリスクが高いという研究報告を、オーストラリア・メルボルン大学のJennifer Koplin氏らが発表した。同現象は、一世代のみにみられ、また他の国からの移民を両親に持つ子供ではみられなかったという。著者は、遺伝子と環境の相互作用によるものではないかと述べ、食物アレルギー予防において湿疹と微生物曝露の役割に注目すべきことが示されたと指摘している。Allergy誌2014年12月号(オンライン版2014年9月29日号)の掲載報告。 オーストラリアの食物アレルギー患者において、アジア系乳児の出現頻度が増しているが、これまで集団レベルでの正式な調査は行われていなかったという。研究グループは、両親が生まれた国によって有病率が異なるとしたら、生活習慣が変わったことに起因している可能性があるとして、(1)両親の生まれた国によるピーナッツアレルギー有病率の違い、(2)その違いに対する環境曝露の寄与を定量化した。 メルボルン住民ベースのHealthNuts studyを行った。5,276例の乳児に皮膚のプリックテストを行い、食物負荷テストで食物感作をスクリーニングした。被験者のうち、535例が両親が東アジア生まれで、574例が英国/欧州の生まれであった。 両親の出生国とその子供のピーナッツアレルギーとの関連を、多変量ロジスティック回帰法を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・ピーナッツアレルギーは、両親ともオーストラリア生まれの乳児と比べて、両親とも東アジア生まれの乳児でより頻度が高かった(オッズ比[OR]:3.4、95%信頼区間[CI]:2.2~5.1)。一方、両親が英国/欧州生まれの乳児では低かった(同:0.8、0.4~1.5)。・逆に、アジア系両親におけるピーナッツアレルギーの有病率は低かった。・アジア系乳児において湿疹の有病率が高いと、約30%ピーナッツアレルギーが高かった。一方で、ペットとして犬を飼っていると約18%高かった。

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白斑、円形脱毛症とアトピー性皮膚炎は有意に関連

 米国・ノースウェスタン大学のGirish C. Mohan氏らは、観察研究のメタ解析を行い、白斑または円形脱毛症(AA)を有する患者において、アトピー性皮膚炎リスクが高いという所見に関して矛盾が認められるかを検討した。結果、同所見について一貫した有意な関連がみられ、とくに白斑は早期発症(12歳未満)の患者で、AAについては全頭型・全身性のほうが関連が強いことが明らかになったという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年12月3日号の掲載報告。 検討は、観察研究をメタ解析し、白斑またはAAを有する患者と、これらの疾患がない患者について、アトピー性皮膚炎の有病率を比較することを目的とした。1946年~2014年4月5日の間に発表された論文について、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、Google Scholarと、また12誌については手動で検索。論文の言語は問わず、上記の有病率の比較を行っている観察研究を適格とした。 2名の研究者がそれぞれデータ抽出を行い、エビデンスの質をNewcastle-Ottawa Scale and Methodological Evaluation of Observational Researchチェックリストを用いて評価した。メタ解析は固定エフェクトモデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出。サブセット解析は、小児発症vs.成人発症、全頭型または全身性vs.斑状型脱毛にて行われた。 主要評価項目は、自己申告および/または医師の診断によるアトピー性皮膚炎、白斑、AAであった。 主な結果は以下のとおり。・検索により、16試験(白斑)、17試験(AA)が解析に組み込まれた。プール解析には、白斑を有さない患者(2例)、AAを有さない患者(3例)が含まれていた。・結果、白斑患者(Cochran-Mantel-HaenszelによるOR:7.82、95%信頼区間[CI]:3.06~20.00、p<0.001)、AA患者(同:2.57、2.25~2.94、p<0.001)は、それぞれの疾患を有さない患者と比べて、いずれも有意にアトピー性皮膚炎リスクが高かった。・3試験のプール解析から、白斑は早期発症(12歳未満)のほうが、リスクが高いことが示された(OR:3.54、95%CI:2.24~5.63、p<0.001)。・4試験のプール解析から、AAは全頭型または全身性のほうが、リスクが高いことが示された(同:1.22、1.01~1.48、p=0.04)。

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治療抵抗性の慢性咳嗽に対する新選択肢(AF-219)の有効性について(解説:小林 英夫 氏)-291

 外来診療で、咳止めを処方してくださいという声をしばしば耳にされませんか。そんなときはどう対処されていますか。当然ですが、疾患を問わずすべての咳嗽を抑制できる夢の薬は存在していません。細菌性肺炎に鎮咳薬のみを投与しても効果は期待できないので、まず咳嗽の基盤病態の鑑別が医師の出発点ですが、受診者は余計な検査などせず咳止めを出してくれればそれでけっこうです、と主張することも少なくないと思います。 無理とは思いつつ、幅広い病態に有効な鎮咳処方箋はないかと願うこともあります。 新薬AF-219は、気道の迷走神経に発現し咳嗽感覚の過剰反応に関与するP2X3 受容体に対する低分子拮抗薬で、米国Afferent製薬により治験が進められている。同社ホームページによると、P2X3受容体は無髄の細径C神経線維に特異的で内臓、皮膚、関節にも存在し痛覚や臓器機能に関与している。その機序はATPをリガンドとして活性化されるチャンネルで、痛覚感作経路に発現する。英国で慢性咳嗽への治験(本論文)、米国で変形性関節炎による疼痛治療、さらに膀胱痛への治験中とのことである。本来の役割からも咳嗽よりも鎮痛効果を狙っている印象である。本薬を鎮咳に用いた根拠は、気道の迷走神経C線維にP2X3受容体が存在すること、モルモットではATPやヒスタミン吸入させるとP2X受容体を介した咳嗽反射が強まることなどであった。 本研究は、基礎疾患の明らかでない難治性(治療抵抗性)慢性咳嗽患者を対象とし、第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験、単一医療機関でのクロスオーバー法(2週間服薬、2週間wash out、2週間服薬)で実施された。結果は、咳嗽頻度は75%低下し期待できる鎮咳薬である、となっている。 臨床的に満足できる鎮咳薬が少ない実状を踏まえればAF-219に期待したい一方で、論文を読み込むとまだまだ未解決点がある。評価できる点として、primary endpointである鎮咳効果を音響学的自動咳嗽記録機(VitaloJAK)により計測し客観的量的評価がなされている。同時に主観的なvisual analogue scale (VAS)などもsecondary endpointとしているが、咳嗽回数を記録することの価値は大きい。 マイナス点としては対象集団の曖昧さがある。本論文に限らないが慢性咳嗽の研究では回避できない問題である。エントリー基準は、閉塞性障害、胃食道逆流、喫煙、感染、薬剤性咳嗽などを除外し、明らかな咳嗽の原因疾患を有さず、治療によっても8週間以上咳嗽が継続する症例、が選択されている。本邦で重視されるアトピー咳嗽の概念は導入されていない。また、呼吸機能は施行されているが胸部CTについては記載がなく、英国での試験なので未施行と推測される。さらに平均咳嗽罹病期間は9年間である。どのような病態が混在しているのかが不明瞭であろう。次の問題点は、24例中6例が有害事象により服薬中止となっている。重篤な副反応はみられないものの、全例で味覚障害が出現している点が用量変更で解決できるかどうかが大きな課題であろう。これは舌味蕾にP2X3が存在するためで、減量により味覚障害が回避できる可能性があると考察されている。 抗てんかん薬であるガバペンチン、徐放性モルヒネ、サリドマイド、リドカイン吸入などが最新の咳嗽研究対象薬であるが、いずれも十分な鎮咳効果は得られなかった。鎮咳薬という分野での選択肢が少ない、遅れているという現状からは、P2X3受容体拮抗薬の今後に期待したいが、実臨床への過程には今いっそうの検討を経なければならない。さらに有効疾患の絞り込みも望まれる。なお、本邦の咳嗽診療指針として日本呼吸器学会編集の「咳嗽に関するガイドライン第2版(PDF)」は無料ダウンロード可能なので参照をお薦めしたい。

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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アトピー治療にDHAが有用?

 アトピー性皮膚炎モデルマウスの実験において、ドコサヘキサエン酸(DHA)が治療戦略として有効であることを示唆する所見が得られた。韓国・済州大学校のSang-Chul Han氏らが報告した。DHAの薬効は多くの疾患について報告されているが、これまで免疫系を調節する機序については十分には解明されていなかった。今回の所見を踏まえて著者は、「DHAは、慢性炎症性疾患に対して有用な治療戦略となると思われた」とまとめている。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2014年11月18日号の掲載報告。 制御性T細胞(Tregs)は、さまざまな免疫細胞の分化や増殖を抑制し、免疫応答においてカギとなる役割を果たす。研究グループはDHAが、アレルギー反応を抑制するのか、またCD4+Foxp3+T細胞生成を上方制御するのかを検討した。また、アトピー性皮膚炎モデルマウスに、DHAとともにIL-10/TGF-β修飾マクロファージ(M2マクロファージ)を注入した場合の効果についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・DHA投与は、TGF-β依存性CD4+Foxp3+Tregs生成を上方制御することが示された。・DHAは、T細胞反応低下と、Tヘルパー(Th)-1とTh2およびTh17細胞と関連するサイトカインを下方制御した。・CD4+T細胞へのFoxp3+Tregsの分化は、DHA-M2マクロファージによって直接的に媒介されたものであり、作動因子のマクロファージを不活化し、CD4+T細胞の増殖を阻害した。・DHAは、アトピー性皮膚炎モデルマウスで治療効果を示した。・これらの結果は、DHAがM2マクロファージの機能を強化し、Tregs生成が炎症性免疫障害からマウスを効果的に保護することを示すものであった。・以上から、DHAは慢性炎症性疾患の有用な治療戦略になりうると考えられた。

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アトピー、鼻炎は未熟児・死産リスクを低下

 アトピー性皮膚炎およびアレルギー性鼻炎を有している妊婦では、予想に反して未熟児出産や死産のリスクが低下することが、ノルウェー・ベルゲン大学のHavard Tronnes氏らによる全国コホート研究の結果、明らかにされた。これまでの検討で、喘息を有する妊婦では未熟児出産リスクが増大することが知られていたが、他のアトピー性疾患の影響については明らかにされていなかったという。今回の結果について著者は、「リスクを低下した保護メカニズムは不明であり、所見についてさらなる検討における確認が求められる」とまとめている。Paediatric and Perinatal Epidemiology誌11月号(オンライン版2014年10月30日号)の掲載報告。 研究グループは、母体のさまざまなアトピー性疾患に関し、未熟児出産、死産、新生児死亡に影響があるかについて調べた。 ノルウェーの全国レジストリから1967~2003年の全出産に関する、母体の健康、社会人口統計学的要因、妊娠、出産、新生児アウトカムの情報を集約して分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、計197万4,226件の出産が組み込まれた。・そのうち母体について、喘息の記録があったのは1.8%、アトピー性皮膚炎は3.4%、アレルギー性鼻炎は0.4%であった。・それぞれの、未熟児出産・死産・新生児死亡を合わせた発生率は、6.0%、0.6%、0.5%であった。・考えられた交絡要因で補正後、母体の喘息は、未熟児出産リスクの増大と関連していたことが確認された(相対リスク[RR]:1.15、95%信頼区間[CI]:1.10~1.21)。・一方、母体のアトピー性皮膚炎は、未熟児出産リスクの減少(同:0.90、0.86~0.93)、死産リスクの減少(同:0.70、0.62~0.79)、新生児死亡リスクの減少(同:0.76、0.65~0.90)との関連が認められた。・同様に、母体のアレルギー性鼻炎は、未熟児出産リスクの減少(同:0.84、0.76~0.94)、死産リスクの減少(同:0.40、0.25~0.66)との関連が認められた。・今回の検討で、先行研究で示された母体の喘息は未熟児出産リスクを増大するという関連を確認した。一方で、母体のアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎は、未熟児出産および死産の減少と関連していたことを確認した。

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【GET!ザ・トレンド】食物アレルギー

定義・病態1)2)食物アレルギーは「原因食物を摂取した後に、免疫学的機序を介して生体に不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」を指し、食中毒や自然毒、免疫機序を介さない食物不耐症(仮性アレルゲンに伴う不耐症や乳糖不耐症など)は食物アレルギーと分けて区別する。疫学乳幼児期で5~10%、学童期で2~5%と考えられている。発症はそのほとんどが0~1歳であり、病型は即時型がほとんどである。主要原因食物は鶏卵、牛乳、小麦であり、全体の2/3を占める。また、これらの原因食物はほとんどが乳幼児期発症であり、そのうち3歳までにおよそ50%、6歳までに80~90%が耐性を獲得(食べられるようになること)する。原因食物は年齢ごとに異なり、学童期以降になると、甲殻類、果物類、小麦、ソバ、落花生、木の実などの発症が多い。表1を拡大する臨床病型1)新生児乳児消化管アレルギー7)早期新生児期に消化器症状(嘔吐、下痢、血便)を主に発症してくる。ほとんどは牛乳が抗原であるが、まれであるが大豆や米が原因のこともある。表2を拡大する2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎乳児期に顔面から前胸部にはじまり2ヵ月以上の慢性の経過を辿る。乳児の慢性湿疹のすべてが本疾患ではない。環境抗原が原因の古典的アトピー性皮膚炎であったり、乳児湿疹のコントロール不良例であったりするので慎重な鑑別が必要である。3)即時型8)誘発症状は蕁麻疹に代表される皮膚症状が90%程度の症例に認められる。以下、呼吸器、粘膜、消化器、全身症状の順に多い。アナフィラキシー症状も少なくなく、ショックの頻度は、7~10%と考えられている(図1)。図1を拡大する4)口腔アレルギー症候群果物や野菜に頻度が多く、症状は口腔喉頭症状のみであり、具体的には口腔内違和感(舌が腫れた感じ、口蓋のひりひり感など)、口唇周囲の症状が中心である。食品抗原と一部花粉やラテックス抗原との間に交叉性があり、合併しやすい傾向がある。5)食物依存性運動誘発アナフィラキシー9)原因食物(小麦、甲殻類、木の実類など)を摂取して、およそ4時間以内に運動を行ったときに誘発される。再現性は必ずしも高くない。診断されても、運動する前に原因食物を食べなければ良く、また食べたらおよそ4時間は運動をしなければ、除去の必要はない。診断1)2)診断のためのフローチャートを、乳児期に発症の多い、「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」と全年齢層に幅広く分布する「即時型」の2通り示す(図2-1、2-2)。いずれにしても十分な問診の情報を元に、他覚的検査を補助診断材料として用い、最終的には食物経口負荷試験の結果を基本に診断を進める。図2-1を拡大する図2-2を拡大する1)特異的IgE抗体検査(ImmunoCAP®、Skin Prick Test)特異的IgE抗体価の結果のみで、食物アレルギーの診断を行うことはできない。しかし、経口食物負荷試験実施は敷居が高く、検査結果で除去指導が行われている臨床の実態があるのも事実であり、食物アレルギー診療の1つの問題点である。主に行われる検査手法はImmunoCAP®法(Thermo Scientific社)であり、同結果を用いて負荷試験を実施したときの95%以上の陽性的中率となる抗体価の報告がある。とくにわが国からはprobability curveの報告があり(図3)、因子(年齢、原因食物)を考慮しながら本指標を利用することで、食物負荷試験の陽性リスクの確率的な高低を知ることができる10)。Skin Prick Test(皮膚プリックテスト)も同様に感度、特異度とも高いが、陽性的中率が低く、臨床的有用性は特異的IgE抗体検査に劣る11)。一般的には食べられる(耐性獲得)状況になっても、陽性になる傾向があり、耐性獲得の判断には向かない。図3を拡大する2)食物経口負荷試験食物アレルギーの診断は食物負荷試験がgold standardである。経口食物負荷試験は9歳未満の患児に対して、2006年に入院負荷試験、2008年に外来負荷試験に対して診療報酬が認められるようになった。実施には、小児科を標榜している保険医療機関、小児食物アレルギーの診断および治療の経験を10年以上有する小児科を担当する常勤医師が1名以上、急変時などの緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている必要がある。食物負荷試験を行うにあたって施行方法、適応、症状出現時の対応、検査結果の見方、その後の経過の追い方を詳しく理解する必要がある。その詳細は、「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009(日本小児アレルギー学会刊行)」に詳しい12)。食物アレルギーの治療1)必要最小限の除去と栄養指導食物アレルギーの診療の基本は“正しい診断に基づく必要最小限の除去”と“栄養指導”であり、積極的に治癒を誘導する治療方法や薬物は現状ではない。医師は定期的に特異的IgE値をチェックしながら、時期がきたら経口食物負荷試験を実施し耐性獲得の有無を確認するだけである。食物アレルギー児は、必要最小限ではあるが除去食をしながら耐性の獲得を待つことになる。除去食は、成長発達著しい乳幼児期に栄養学的リスクを取らせることになるため、医師は常に栄養評価を念頭に置き、管理栄養士とともに栄養指導を行いながら経過を追う必要がある。食物アレルギーの栄養指導には、厚生労働科学研究(研究分担者 今井孝成)で作成された「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」が参考になる13)。食物アレルギー研究会のホームページ(www.foodallergy.jp)などで無償ダウンロードできる。2)薬物療法クロモグリク酸ナトリウムは、食物アレルギーに伴う皮膚症状に保険適応があるのであって、耐性を誘導したり、内服することで原因食物が食べられるようになったりするような効果は持たない。第2世代以降のヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬なども、継続投与することで耐性を誘導するものではない。3)経口免疫療法(減感作療法)14)その効果は一目置くに値するが、治療中のアナフィラキシー症状(時にはショック症状)の誘発リスクがあるため、保護者および患児に対して十分なインフォームドコンセントを得て、かつ食物アレルギーおよびアナフィラキシー症状に十分な経験がある医師の監督下で慎重に行われる必要がある。安易に食物アレルギー患者に本法を導入することは、厳に慎むべきである。減感作のメカニズムは不明な点が多く、今後の研究の進展が期待される。アナフィラキシー15)アナフィラキシー症状は、アレルギー反応が原因で複数の臓器症状が急速に全身性にあらわれる状況を指す。小児における原因は食物が多いが、薬物や昆虫なども原因となる。アナフィラキシーショックは、アナフィラキシー症状のうち血圧低下、それに起因する意識障害などを伴う最重症の状態を指し、生命の危機的状況にある。症状の進行が速く、秒~分単位で進展していく。このため発症早期の発見と対処が重要である。アナフィラキシーの治療は、ショックおよびプレショック状態の場合には、できるだけ迅速にアドレナリン0.01mg/kg(最大0.3mg)を筋肉注射するべきである。アナフィラキシーショックに陥った場合には、発症30分以内のアドレナリン投与が予後を左右する。アドレナリンには自己注射薬(エピペン®)があり、0.3mgと0.15mgの2剤形がある。2009年には救急救命士は、自己注射薬の処方を受けている患者がアナフィラキシーに陥り、アドレナリンを注射すべき状況にあるとき、メディカルコントロールが無くても患者に自己注射薬を注射することが認められている。参考文献1)日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.食物アレルギー診療ガイドライン2012.協和企画;2011.2)「食物アレルギーの診療の手引き2011」検討委員会編.厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2011.3)今井孝成. アレルギー.2004;53:689-695.4)海老澤元宏ほか. アレルギー.2004;53:844.5)長谷川実穂ほか. 日小児アレルギー会誌.2007;21:560.6)今井孝成、板橋家頭夫. 日小児会誌.2005;109:1117-1122.7)Miyazawa T, et al. Pediatr Int. 2009; 51: 544-547.8)今井 孝成.アレルギー.2004;53:689-695.9)相原雄幸. 日小児アレルギー会誌.2004;18:59-67.10)Komata T, et al. J Allergy Clin Immunol. 2007; 119: 1272-1274.11)緒方 美佳ほか.アレルギー.2010;59: 839-846.12)宇理須厚雄ほか監修.日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会 経口負荷試験標準化WG.食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009.協和企画;2009.13)厚生労働科学研究班(研究分担者:今井孝成).食物アレルギーの栄養指導の手引き2011.14)海老澤 元宏ほか.日小児アレルギー会誌.2012;26:158-166.15)今井 孝成ほか.アレルギー.2008;57:722-727.

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アトピー性感作 周囲の環境が影響

森林や農地など、自然の近くに家があるほど、小児のアトピー性感作が少ないことが、フィンランド・ヘルシンキ大学 のLasse Ruokolainen氏らにより報告された。Allergy誌オンライン版2014年11月11日掲載報告。西洋的なライフスタイルはアレルギーや喘息、その他の慢性炎症性疾患の高い有病率と関連することが知られている。Ruokolainen氏らはこのことを明らかにするため、自然環境とアトピー性感作が関連しているとの仮説を立て、これを検証した。仮説環境微生物叢を含む生物多様性との接触が少ない小児では、ヒト共生微生物叢の構成や免疫寛容に悪影響が生じる。方法●解析には、フィンランドとエストニアの4つのコホート試験を用いた。●6ヵ月~20歳の小児・青年の合計1044人のデータを用いた。●アトピー性感作の有無は、吸入アレルゲンの特異的IgE抗体測定で評価した。●自宅周辺の自然環境はCORINE2006分類(土地被覆データ)により、(1)森林、(2)農地、(3)市街地、(4)湿地、(5)水辺の近く、の5つに分類された。結果●森林または農地から2~5km以内に自宅があることと、アトピー性感作との間に、有意な逆相関の関連が認められた。●この関連は6歳以上の小児でみられた。●土地被覆データにより、健康人の皮膚のプロテオバクテリアの相対存在量には20%ものばらつきがみられることが示された。●上記より、自然環境が共生微生物叢に強い影響を与えるという仮説が支持された。考察●自宅周辺に森林や農地など緑の多い環境があることは、小児アトピー感作リスクと逆相関の関連がある。よって、小児のうちに自然の多い環境にいることは、とくに重要と考えられる。●環境による影響は、免疫寛容に影響を及ぼす共生微生物叢の環境微生物叢によってもたらされる可能性がある。

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湿疹は骨折や外傷リスク増大の指標?

 成人期の湿疹を見極めることで、予測していなかった骨折や一部の外傷を回避できる可能性が示唆された。米国・ノースウェスタン大学のNitin Garg氏らが、米国住民ベースの研究で、湿疹と骨折・骨関節外傷増大との関連を調べて明らかにした。著者は、「さらなる研究で、この関連を確認する必要があるが、今回の所見は成人湿疹患者の、外傷リスク低下の予防法開発の根拠となるものであった」とまとめている。これまで、湿疹を有する成人は、事故性外傷の複数のリスク因子を有することは知られていたが、外傷リスク増大との関連などは不明であった。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、2012年の全米健康インタビュー調査を用いた前向き質問票ベースの研究法で、成人患者の湿疹と外傷リスク増大との関連について調べた。被験者は、同調査に参加した全米の代表的な18~85歳の3万4,500例で、過去12ヵ月間に湿疹の病歴があった。 主要評価項目は、骨折・骨関節外傷(FBJI)歴と、限定的発生のその他外傷とした。 主な結果は以下のとおり。・湿疹有病率は7.2%(95%信頼区間[CI]:6.9~7.6%)、限定的発生のその他外傷の有病率は2.0%(同:1.9~2.2%)であった。・限定的発生のFBJIは1.5%(同:1.3~1.7%)、限定的発生のその他外傷は0.6%(同:0.5~0.7%)の報告であった。・湿疹を有する患者は、限定的発生のあらゆる外傷発生のオッズ比が高かった。調査結果からのロジスティック回帰分析法による補正後オッズ比(aOR)は1.44(95%CI:1.07~1.94)であった(モデルは社会実態的人口統計学、喘息、花粉症、食物アレルギー、精神・行動障害について調整)。・その中でもとくに、FBJIの発生リスク(aOR:1.67、95%CI:1.21~2.33)が高かった。限定的発生FBJIの有病率は年齢とともに段階的に増大し、50~69歳時にピークに達して、その後は減少した。・有意な相互作用は、湿疹と疲労または睡眠症状の間に観察された。・具体的に、両症状を有さない患者と比較して、湿疹および疲労感を伴う患者(aOR:1.59、95%CI:1.16~2.19)、日中の眠気を有する患者(同:1.81、1.28~2.55)、または不眠症を有する患者(同:1.74、1.28~2.37)で、FBJIの発生リスクがより高かった。・湿疹と精神・行動障害を有する患者のFBJI発生リスク(aOR:2.15、95%CI:1.57~2.93)は、湿疹のみを有する患者(同:1.39、1.19~1.61)または精神・行動障害のみを有する患者(同:1.58、1.36~1.83)と比べて高かった。

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アトピー患者へのオンラインケア、対面治療と効果同等

 アトピー性皮膚炎患者への新たな皮膚科診療モデルとして、インターネット、パソコン、デジタルカメラを用いたダイレクトアクセス・オンラインケアの臨床アウトカムは、対面治療と同程度の改善を示したことが、米国・コロラド大学のApril W. Armstrong氏らによる無作為化試験の結果、示された。著者は、「ダイレクトアクセス・オンラインケアは、慢性皮膚病患者への皮膚科診療サービス提供の核心的なモデルとなりうることを示した」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 皮膚科診療の新たな提供モデルは、アクセスを増加させるとともに患者中心アウトカムを改善する可能性がある。研究グループは、小児および成人のアトピー性皮膚炎患者を対象に、ダイレクトアクセスの効果に関して、治療フォローアップをオンラインで行うモデルと、診療所で対面にて行うモデルで比較した。 試験は1年間にわたり、無医地区、一般的コミュニティそして外来部門で行った。被験者は、インターネット、パソコン、デジタルカメラにアクセスできる小児と成人で、初回対面診療後、1対1の割合で、ダイレクトアクセス・オンラインケア、または通常対面治療に無作為に割り付け、アトピー性皮膚炎治療のフォローアップを行った。 ダイレクトアクセス・オンラインケアの患者は、臨床像を撮影し、既往歴とともにオンラインを介して皮膚科医に伝達。皮膚科医はオンラインにより非同期方式で臨床情報を評価し、患者に勧告や教育を行い、また処方を行った。一方、対面治療群の患者は、皮膚科医の診療所を訪れフォローアップを受けた。 主要評価項目は、patient-oriented eczema measure(POEM)、investigator global assessment(IGA)で評価したアトピー性皮膚炎の重症度であった。 主な結果は以下のとおり。・無作為化を受けたのは、小児および成人患者計156例であった。・ベースラインと12ヵ月時点で、POEMスコアのグループ内平均差(SD)は、オンラインケア群は-5.1(5.48)(95%信頼区間[CI]:-6.32~-3.88)、対面治療群は-4.86(4.87)(95%CI:-6.27-3.46)であった。・両群間のPOEMスコア変化の差は、0.24(6.59)(90%CI:-1.70~1.23)であり、事前規定の同等マージン2.5の範囲内であった。・疾患クリアランスまたはほぼクリアランスを達成した(IGAスコア0または1)患者の割合は、オンラインケア群38.4%(95%CI:27.7~49.3%)、対面治療群43.6%(同:32.6~54.6%)であった。・両群間の達成患者割合の差は、5.1%(90%CI:1.7~8.6%)で、事前規定の同等マージン10%以内であった。

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大人のアトピー治療、臨床からのエビデンス

 国際医療福祉大学病院 皮膚科 教授の大塚 勤氏は、臨床における成人アトピー性皮膚炎(AD)患者への、経口シクロスポリン治療と抗ヒスタミン薬治療の評価を行った。結果、両者を組み合わせた治療がより有効であることを報告した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年10月14日号の掲載報告。 臨床においては多くの成人AD患者が、経口シクロスポリンまたは抗ヒスタミン薬の治療を受けている。大塚氏は、両治療の臨床および検査所見による効果の評価を行った。 25例の経口シクロスポリン治療を受けたAD患者(うち男性11例、16~42歳、平均26.2歳)と、23例の抗ヒスタミン薬治療を受けたAD患者(うち男性10例、15~32歳、平均年齢24.2歳)が対象であった。 検査所見は、高感度CRP、TARCなどで統計的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・血清TARCは、経口シクロスポリン治療後(1,013±883pg/mL)が、治療前(3万8,194±4,678pg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.02)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(49.7±26.4×10-3個/μL)が、治療前(41.1±16.7×10-3個/μL)と比べてより有意な増加を示した(p<0.05)。・血清高感度CRP値は、抗ヒスタミン薬治療後(0.09±0.08mg/mL)が、治療前(0.13±0.12mg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.05)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(33.4 ±16.2×10-3個/μL)が、治療前(41.5±23.3×10-3個/μL)より有意に減少した(p<0.01)。

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日本初かつ唯一の医療用まつ毛育毛剤が発売

 2014年10月15日、睫毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL(一般名:ビマトプロスト)」の発売記者発表会が都内にて行われた。 アラガン・ジャパン株式会社と塩野義製薬株式会社の担当者、および東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)院長 今泉 明子氏により製品概要が紹介された。 本剤は、アラガン・ジャパン株式会社が医療用医薬品として製造販売承認を受けた、国内初かつ唯一の睫毛貧毛症治療薬で、9月29日に発売された。共同販売契約を締結している塩野義製薬株式会社は10月20日より発売を開始する。睫毛貧毛症とは 睫毛貧毛症とは、睫毛が不足または不十分な状態であることを特徴とする疾患である。原因は多岐にわたるが、加齢などの特発性要因、アトピー性皮膚炎などの眼周囲の皮膚炎や感染症、自己免疫疾患、抗がん剤などの薬剤により誘発されて生じる。 これまで、日本国内では適応を有する医療用医薬品はなく、個人輸入などによって未承認の薬剤を購入して使用することがあった。承認を取得した睫毛育毛剤 グラッシュビスタは保険適用外医薬品となるが、医師の処方箋が必要な医療用医薬品である。価格は各医療機関で設定できる。 有効成分であるビマトプロスト(Prostaglandin F2α誘導体)が睫毛の毛包に作用し、毛周期における成長期を延長することにより、睫毛の成長を促進する。その結果、睫毛の長さ、太さ、濃さを改善すると考えられている。 ただし、発毛可能な毛包が存在しない場合は、本来の効果が得られない。 なお、このビマトプロストは緑内障・高眼圧症治療薬の開発中に、有害事象として睫毛の成長が報告されたことから、睫毛貧毛症治療薬として着目、開発された。臨床試験●国内第III相試験デザイン 方法:多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 対象:特発性睫毛貧毛症患者(173例) 評価:GEA-J評価(日本人用画像数値化付き総合的睫毛評価スケール)による睫毛の全般的な「際立ち度」、デジタル画像による長さ・太さ・色の濃さの解析、9項目の睫毛満足度質問票(ESQ-9)●有効性(4ヵ月時点) GEA-J評価:1段階以上の改善の割合は、ビマトプロスト群77.3%、プラセボ群17.6%(p<0.01) デジタル画像解析:長さ/太さ/濃さの変化量は、ビマトプロスト群1.62mm/0.35mm2/-12.02(明度単位※)、プラセボ群-0.04mm/-0.03mm2/1.38(明度単位)(各々p

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『鼻炎合併喘息』 その実態と対策とは

 2014年9月18日(木)、MSD株式会社により、「喘息シーズンに向けた鼻炎合併喘息の実態と対策」をテーマに、都内で予防医療プレスセミナーが開催され、3つの講演が行われた。●患者と医師、アレルギー性鼻炎合併の認識に乖離 はじめに、瀬野 恵修氏(MSD株式会社 マーケティング本部プライマリーケアグループ 呼吸器・アレルギー疾患ブランドリーダー)が「喘息と鼻炎に関する意識調査結果」について報告した。 昨今、アレルギー性鼻炎と喘息の関係について取りざたされ、アレルギー性鼻炎によって、喘息が悪化することが報告されている1)。そこで同社は、喘息の発作原因が増える秋口に先駆けて、喘息患者と医師に対して意識調査を行った。その結果、喘息患者のうち62.5%が、花粉症もしくはアレルギー性鼻炎を合併していることがわかった。 本調査ではさらに、喘息患者の63.7%、医師の72.6%は、アレルギー性鼻炎が喘息の悪化原因であると認識していることから、双方の高い意識が確認できた。しかし、喘息患者の62.5%がアレルギー性鼻炎を合併しているにもかかわらず、主治医がそれを認識している割合は26.2%と乖離がみられた。このことについて、瀬野氏は、今後診療の中で改善していく余地があるのではないか、との見解を示した。●鼻炎の合併により、喘息コントロール不良に 次に、大田 健氏(独立行政法人国立病院機構東京病院 院長)により「わが国における鼻炎合併喘息の実態について」の講演が行われた。 喘息とアレルギー性鼻炎は、下気道と上気道とのつながったパイプの中で起きる。両者は危険因子(アレルゲン)や炎症過程などが共通しており、気道粘膜構造も類似しているなど関連性が強い。大田氏によると、アレルギー性鼻炎の合併により、喘息発症リスクが約3倍高くなるだけでなく2)、喘息発作の発現率も高くなるという3)。さらに、喘息とアレルギー性鼻炎の重症度には相関がみられることも特徴である4)。 このたび、大田氏により、ガイドラインに基づいた質問票を活用した、「喘息における鼻炎の実態」について、初の全国規模調査が行われた。その結果、日本の喘息患者におけるアレルギー性鼻炎合併率は67.3%にも上り、さらに喘息患者がアレルギー性鼻炎を合併すると、喘息コントロール不良となることでQOLが低下することも明らかとなった5)。以上の結果からも、喘息とアレルギー性鼻炎は密接に関係していることがあらためて証明された。したがって、喘息患者では、アレルギー性鼻炎を視野に入れた診察・診断を行い、必要に応じて積極的に治療を行うことが大切であるといえるだろう。●長引く咳はアレルギー性鼻炎の可能性 続いて、田中 裕士氏(NPO法人 札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター 理事長)により「鼻炎合併喘息患者さんのQOL向上を目指した治療」と題した講演が行われた。 これから秋口にかけては、花粉症がみられるとともに、喘息やアレルギー性鼻炎が悪化しやすい時期だと言われている。花粉症のシーズン中、アレルギー性鼻炎の患者では気道過敏性の亢進がみられ6)、6.4%の患者に高度の、21.6%に軽度の気道過敏性が亢進しているとの報告もある7)。 また、罹病期間が長いほど気道過敏性も亢進することが報告されている7)。田中氏によると、アレルギー性鼻炎を治療せず放置すると、好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる複雑な病態となり、味覚障害や鼻閉といった症状を発現し、気管支喘息、好酸球性中耳炎と経過をたどり、難聴や耳閉感を患うケースもあるという。つまり、アレルギー性鼻炎を放置することは喘息発症の危険因子といえる。 さらに、「咳喘息による咳なのか、アレルギー性鼻炎による咳なのかの鑑別が重要である」と田中氏は言う。咳喘息であれば、ICS/LABAを使用すると、よほどの重症でない限り1週間程度で咳は治まるが、アレルギー性鼻炎による慢性咳嗽の場合は2~3週間かかることがあるためである。 喘息の診断では、発作性の呼吸困難や、喘鳴、スパイロメトリー、他の心肺疾患の除外を行う。一方、アレルギー性鼻炎の診断では、発作性反復性のくしゃみ、鼻閉、皮内テスト、鼻汁中好酸球の存在を確認する。さらに、大田氏監修のSACRA質問票などの補助診断を用いることは、喘息症状とアレルギー性鼻炎症状の状態を把握するうえで有用である。 鑑別後の治療の基本的な考え方は、(1)気管支喘息のみの悪化でアレルギー性鼻炎が安定している場合は、気管支喘息の治療をする、(2)アレルギー性鼻炎のみの悪化で気管支喘息は安定している場合は、アレルギー性鼻炎の治療をする、(3)気管支喘息とアレルギー性鼻炎ともに悪化している場合は、双方を同時に治療する、ということであると田中氏は訴えた。そのうえで、このような治療方針をとることで、過剰な薬剤服用を防止し、早期の症状改善を図ることにつながる、と述べた。 これまでは、アレルギーは各疾患別に複数の科で診察されてきた。しかし、近年、アレルギー全般を診る総合アレルギー科医(Total Allergist)という概念が広がりつつある。これにより、今後さまざまなアレルギーを一人の医師が診断する時代がくるのかもしれない。(ケアネット 佐藤 駿介)【参考文献はこちら】1)Ohta K, et al. Allergy. 2011; 66: 1287-1295.2)Settipane RJ, et al. Allergy Proc. 1994; 15: 21-25.3)Bousquet J, et al. Clin Exp Allergy. 2005; 35: 723-727.4)Togias A. J Allergy Clin Immunol. 2003; 111: 1171-1183.5)Ohta K, et al. Allergy. 2011; 66: 1287-1295.6)Madonini E, et al. J Allergy Clin Immunol. 1987; 79: 358-363.7)Cirillo I, et al. Allergy. 2009; 64: 439-444.

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生後すぐからのスキンケア、アトピーを予防

 ノルウェー・Oestfold Hospital TrustのB.K. Kvenshagen氏らは、乳児を対象とした検討において、早期のスキンケアが皮膚を正常化して乾燥化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の予防につながるかを検討した。結果、定期的なオイル浴を行うことが皮膚の硬化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の防止につながる可能性が示唆されたことを報告した。Allergologia et Immunopathologia誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 北方諸国では、小児の約20%でアトピー性皮膚炎が認められ、多くは乳児の初期に発症し、皮膚バリアに障害が生じており、乾燥肌、皮膚の脂質層の破壊などが特徴的にみられるという。 アトピー性皮膚炎治療において、軟膏薬塗布および/またはオイル浴による皮膚バリアの改善は重要な位置を占めるが、それらが皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎の予防に有用なのかは明らかではなかった。研究グループは、それらの早期介入により生後6ヵ月時点までに、皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎発症の低減が可能かどうかを検討するパイロット研究を行った。 被験者は、生後6週の乳児で、アトピー性皮膚炎は認められなかったが皮膚の乾燥がみられた56例を対象とした。 皮膚の質尺度0(正常肌)~4(アトピー性皮膚炎の可能性)を用いて、試験開始時、3、6ヵ月時点で評価を行った。主要アウトカムは、6ヵ月時点の評価とした。 ベビークリニック1施設においてスキンケアを頻繁に行う介入(オイル浴[0.5dL]とフェイシャル・ファット・クリーム塗布)を行い、5施設では経過観察のみを行った。 主な結果は以下のとおり。・介入群(24例)は観察群より、6ヵ月時点で皮膚が正常化した乳児が有意に多く(75%vs.37.5%、p<0.001)、アトピー性皮膚炎の可能性が示唆された割合が低かった(4.0%vs. 19.0%、ns)。・オイル浴は、介入群では定期的に2~4回/週、最大5~7回/週まで行われた。観察群ではオイルは少量で回数も少なかった。・有害事象は報告されなかった。

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慢性蕁麻疹に対する抑肝散の期待

 抑肝散が慢性蕁麻疹を抑制させるメカニズムについての調査を、九州大学の山村 和彦氏らが行った。 7種の生薬からなる漢方薬の抑肝散は神経症や不眠、小児の夜泣きに用いられる漢方薬で、近年、認知症などの精神・神経領域でも応用されている。目的:治療抵抗性の慢性蕁麻疹への抑肝散薬効メカニズムを検討 抑肝散は、アトピー性皮膚炎様の皮膚病変を有するNC/Ngaマウスにおいて、増悪の抑制に有用との報告がある。著者らは、治療抵抗性の慢性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬と抑肝散の併用投与を行い、その有用性を認めていたが、メカニズムは不明であった。 そこで、肥満細胞での抑肝散の薬効メカニズムを検討するため、山村氏らはin vitroにおいてラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)を用いて調査した。方法:in vitroにおいて肥満細胞への薬効メカニズムを調査 脱顆粒の指標として、β-ヘキソサミニダーゼと細胞内カルシウム濃度を測定した。サイトカイン(TNF-α、IL-4)測定はELISA法で細胞培養培地を用いて行われた。 上記に加え、遺伝子転写および免疫組織学的解析により、ヒト皮膚微小血管内皮細胞における細胞接着分子(ICAM-1、VCAM-1、E-selectin)やサイトカイン(IL-8)発現に対する抑肝散の効果を検討した。結果:炎症性サイトカインの放出を抑制 抑肝散はβ-ヘキソサミニダーゼ分泌、細胞内カルシウムの濃度上昇、TNF-αおよびICAM-1産生を抑制した。 これらにより、抑肝散のいくつかの成分が重要なエフェクターとなっていることが示唆された。考察:肥満細胞に関連するアレルギー疾患に期待 蕁麻疹などの皮膚病変は、肥満細胞の脱顆粒によるヒスタミンを中心としたケミカルメディエーターと強く関連していることが知られている。 抑肝散は、脱顆粒やカルシウム濃度上昇といった肥満細胞の機能を抑制し、最終的には炎症性サイトカインの放出を抑制した。さらに、抑肝散はヒト皮膚微小血管内皮細胞のICAM-1の発現を抑制した。 これらの結果より、抑肝散は肥満細胞に関連するアレルギー疾患に有用である可能性が示唆される。

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