ピロリ菌で好酸球性食道炎のリスクが低下?

Helicobacter pylori(以下、H. pylori)感染は、好酸球性食道炎(EoE)の発症リスク低下と関連していることが、ドイツ・オットー・フォン・ゲーリケ大学のU. von Arnim氏らにより報告された。Alimentary Pharmacology & Therapeutics誌2016年4月号の掲載報告。
EoEは、病因学上いまだ不明な点もあるが、食道における慢性の免疫抗原介在性アレルギー性疾患であり、環境曝露が病因に関与している可能性が考えられている。一方、H. pylori感染は、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー性疾患と逆相関の関連性がみられる。このことから、アレルギー性疾患においてH. pyloriは、保護的な役割をする可能性があるが、EoEとH. pyloriの関係については、ほとんどわかっていない。そこで著者らは、H. pylori感染がEoEの発症リスク低下と関係しているかどうかを調査するため、ケースコントロールスタディを行った。
臨床的・組織学的にEoEであると診断された患者58例[女性11例(19%)、男性47例(81%)、平均年齢36.5歳(20~72歳)]において、血清学的検査によりH. pyloriの感染を評価した。年齢・性別をマッチさせた116例(症例1例につき対照2例)をコントロール群とした。H. pyloriに対する抗体は、ELISA法により同定し、H. pylori特異的IgG≥30 EIUである場合に、ピロリ菌陽性と分類した。
主な結果は以下のとおり。
・EoE患者58例中3例(5.2%)が、現在ピロリ菌に感染していることが血清学的に確認された。加えて、58例中5例(8.6%)が、過去にH. pyloriの除菌治療を受けていたことを報告した。
・コントロール群は、EoEの患者と比較して、血清H. pylori陽性率が有意に高かった(37.9%、p<0.0001)。
・EoEは、H. pylori感染と逆相関していた(OR:0.24、95%CI:0.11~0.50)。
(ケアネット 佐藤 駿介)
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