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自己免疫性皮膚疾患は心臓病のリスク増加につながる

 一部の皮膚疾患患者は心臓病の早期スクリーニングを受ける必要があるかもしれない。米テキサス大学サウスウェスタン医療センター皮膚科のHenry Chen氏らの最新の研究によると、免疫システムが自己を攻撃する自己免疫性皮膚疾患患者では動脈硬化を発症するリスクが対象群と比べて72%増加することが、明らかになった。同氏らによる研究結果は、「JAMA Dermatology」に12月4日掲載された。 全身性エリテマトーデス(SLE)は全身に炎症を引き起こし、皮膚、関節、臓器に損傷を与える疾患である。米疾病対策センター(CDC)の報告によれば、米国にはSLE患者が約20万4,000人存在し、そのうちの少なくとも80%が皮膚症状を発症している。一方、皮膚のみに症状が現れることもあり、この病態は皮膚エリテマトーデス(CLE)と診断される。これまでに、SLEや乾癬のような自己免疫疾患の患者では、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の発症リスクが高まることが報告されている。しかし、CLE患者では、メタボリックシンドロームやがんのリスクが高まることは報告されてはいるものの、ASCVDのリスクについてはこれまで検証されてこなかった。 この研究では、IBM MarketScan Commercial Claims and Encounters Databaseの2018年から2020年までの保険請求データが後ろ向きに解析された。具体的には、CLE患者群8,138人、SLE患者群2万4,675人、乾癬患者群19万2,577人を無病対照群8万1,380人と比較し、ASCVDの有病率および発症リスクを検証した。無病対照群はSLE、CLE、乾癬を発症していない人と定義し、年齢、性別、保険の種類などをCLE患者群とマッチングさせた。ASCVDは冠動脈疾患、心筋梗塞または脳血管障害の既往と定義。ASCVDの有病率と発症リスクの比較には、多変量ロジスティック回帰分析とCox比例ハザードモデルが用いられた。 多変量ロジスティック回帰分析によるASCVDの有病率は、無病対照群と比較してCLE患者群で72%(オッズ比1.72、95%信頼区間1.45~2.02)、SLE患者群で141%(同2.41、2.14~2.70)有意に高くなっていた(いずれもP<0.001)。 Cox比例ハザードモデルによるASCVDの発症リスクは、無病対照群と比較してSLE患者群(ハザード比2.23、95%信頼区間2.05~2.43)、CLE患者群(同1.32、1.13~1.55)で、有意な増加が認められた(いずれもP<0.001)。一方、乾癬患者群(同1.06、0.99~1.13)では統計学的有意性は認められなかった。 これらの結果を受けて研究グループは、「SLEやCLEはASCVDのリスク増加と関連しており、これらの患者の担当医には、適切なスクリーニング検査の実施と専門医への紹介が求められる可能性がある。また担当医は、心臓によい生活習慣(健康的な食事、適度な運動、喫煙の見直しなど)の重要性について患者にアドバイスを行う必要があるのではないか」と述べている。また、「これらの患者には、血圧とコレステロールの定期的なモニタリング、迅速な治療が必要になるかもしれない。喫煙を始めとしたASCVDのリスク因子についても今後の検証が必要である」と付言している。

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CKDを伴う関節リウマチにおけるJAK阻害薬の安全性・有効性

 虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らが慢性腎臓病(CKD)を伴う関節リウマチ(RA)患者におけるJAK阻害薬の有効性・安全性を評価し、腎機能が低下した患者における薬剤継続率を明らかにした。また、推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者については、帯状疱疹や深部静脈血栓症(DVT)の可能性を考慮する必要があることも示唆した。Rheumatology誌2025年1月25日号掲載の報告。 研究者らは、2013~22年にJAK阻害薬を新規処方されたRA患者216例について、多施設共同観察研究を実施。腎機能に応じたJAK阻害薬の減量ならびに禁忌については添付文書に従い、患者を腎機能とJAK阻害薬の各薬剤で分類した。主要評価項目は24ヵ月間の薬剤継続率で、副次評価項目は関節リウマチの疾患活動性評価の指標の1つであるDAS28-CRPの変化、プレドニゾロン投与量、およびJAK阻害薬の中止理由だった。 主な結果は以下のとおり。・eGFR(mL/分/1.73m2)を60以上、30~60、30未満に分類した。・eGFR分類ごとの24ヵ月薬剤継続率は、全JAK阻害薬では46.0%、44.1%、47.1%で、トファシチニブは55.9%、53.3%、66.7%だった。また、バリシチニブ*は64.2%、42.0%で、ペフィシチニブは36.4%、44.1%、40.0%であった。・腎機能が低下したグループでも、薬剤継続率は維持された(調整ハザード比:1.14、95%信頼区間:0.81~1.62、p=0.45)。・JAK阻害薬開始後6ヵ月で、患者のDAS28-CRPは低下し、プレドニゾロンの投与量も減少した。・帯状疱疹とDVTの発生率はeGFR30未満のグループで高かったものの、統計学的に有意ではなかった。・eGFR30未満は、JAK阻害薬の無効または感染による中止の危険因子ではなかった。*バリシチニブはeGFR30未満への投与は禁忌 同グループは2024年に生物学的製剤についてもCKD合併RA患者に対する安全性・有効性を報告している1)。今回のJAK阻害薬の報告とあわせて、メトトレキサートや非ステロイド性抗炎症薬の使用が制限されるCKD合併RA患者に対して、生物学的製剤、JAK阻害薬いずれもの安全性・有効性を示したことになる。

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ワクチン接種後の免疫抑制療法患者のリスクを抗体の有無で評価(解説:栗原宏氏)

本研究のまとめ・免疫抑制療法患者において、抗SARS-CoV-2スパイク抗体(抗S Ab)陽性者は感染・入院リスクが低い・感染リスク要因:年齢が若い(18~64歳)、子供との同居、感染対策の実施・入院リスク要因:併存疾患の存在強み(Strong Points)・3つの異なる免疫抑制患者群におけるCOVID-19リスクを大規模データで解析・抗S Abの有無と感染・重症化リスクの関連を明確化・実臨床データとリンクし、健康アウトカムに関する実証的な証拠を提供限界(Limitations)・因果関係ではなく相関関係の分析に留まる・治療介入(抗ウイルス薬、モノクローナル抗体)の影響が不明確・ワクチンの種類や接種時期の詳細な分析が不足・行動要因(マスク着用、社会的距離)の影響が考慮されていない可能性 本研究は、免疫抑制患者におけるSARS-CoV-2スパイク抗体の有無が、感染および入院率にどのような影響を与えるかを評価する約2万人規模のコホート研究である。 免疫抑制療法では、ワクチン接種後の免疫応答が低下する可能性があり、COVID-19感染リスクが高いと考えられる。 英国の全国疾病登録データを用い、以下の3つの免疫抑制患者群において抗体の影響を評価した。1)固形臓器移植(SOT)2)まれな自己免疫性リウマチ疾患(RAIRD)3)リンパ系悪性腫瘍(lymphoid malignancies)主な結果と臨床的意義 いずれの群でも、抗体陽性者のCOVID-19感染率・入院率は、年齢・人種・既存疾患などを調整しても有意に低かった。より具体的には、抗体陰性者の感染リスクは1.5〜1.8倍、入院リスクは2.5〜3.5倍高かった。 これらの結果から、免疫抑制患者に対し抗体検査を活用することで、高リスク群を特定し、追加ワクチン接種や早期治療などの対応を提供できる可能性が示唆された。 しかし、本研究は相関関係の分析に留まるため、・「抗体ができやすい人=健康状態が良く感染リスクが低い」・「抗体ができにくい人=強力な免疫抑制療法を受けており感染・重症化リスクが高い」といった因果関係の逆転の可能性も考慮する必要がある。 また、本研究では、ワクチンの種類・接種回数の影響、抗体価の高低、行動習慣(通勤・外出頻度)の影響は評価されていない。感染リスク要因の考察 感染リスク要因として、年齢が若いこと、子供との同居、感染対策の実施が挙げられた。「感染対策をしている人の感染リスクが高い」という結果は直感的に意外だが、これは 「感染リスクが高い人ほど対策をしているが、免疫が弱いため、それでも感染しやすい」という背景を反映しているという可能性がある。 本研究は、免疫抑制患者における抗S Abの有無とCOVID-19感染・入院リスクの相関を示し、免疫抑制患者のCOVID-19管理戦略を考えるうえで重要な知見を提供していると考えられる。

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コロナワクチン、免疫抑制患者への接種継続は必要か?/Lancet

 英国・NHS Blood and TransplantのLisa Mumford氏らは、英国の全国疾病登録を用いた前向きコホート研究において、免疫抑制状態にあるすべての人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防戦略を継続的に受ける必要があることを示した。英国では、免疫が脆弱と考えられる人々に対し、年2回のCOVID-19ワクチンブースター接種が推奨されている。著者らは、3回以上のワクチン接種を受けた免疫抑制状態にある患者において、抗SARS-CoV-2スパイク蛋白IgG抗体(抗S抗体)と感染リスクおよび感染の重症度との関連を集団レベルで調査した。結果を踏まえて著者は、「大規模に実施可能な抗S抗体の評価は、免疫抑制状態にある人々のうち最もリスクの高い人々を特定可能で、さらなる個別化予防戦略のメカニズムを提供するものである」とまとめている。Lancet誌2025年1月25日号掲載の報告。固形臓器移植、希少自己免疫性リウマチ性疾患、リンパ系悪性腫瘍患者を対象に評価 研究グループは、英国の全国疾病登録を用いて固形臓器移植(SOT)患者、希少自己免疫性リウマチ性疾患(RAIRD)患者、リンパ系悪性腫瘍患者を特定して研究への参加者を募集した。抗S抗体のラテラルフロー検査を行うとともに社会人口学的および臨床的特性に関するアンケート調査を実施した後、英国国民保健サービス(NHS)のデータを用いて6ヵ月の追跡調査を行った。 アウトカムは、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19関連入院とした。SARS-CoV-2感染は主に英国健康安全保障庁(UKHSA)のデータを用いて特定し、COVID-19による入院および治療に関する記録で補完した。COVID-19関連入院は、検査陽性から14日以内の入院と定義した。抗S抗体陽性、COVID-19の感染や入院のリスク低下と関連 2021年12月7日~2022年6月26日に登録された適格患者2万1,575例を解析対象とした(SOT患者8,466例、RAIRD患者6,516例、リンパ系悪性腫瘍患者6,593例)。 抗S抗体陽性率は、SOT患者77.0%(6,519/8,466例)、RAIRD患者85.9%(5,594/6,516例)、リンパ系悪性腫瘍患者79.3%(5,227/6,593例)であった。 抗S抗体検査後6ヵ月間のSARS-CoV-2感染は、全体で3,907例(18.1%)に認められ、COVID-19関連入院は556例(2.6%)に発生した。そのうち17例(<0.1%)が感染後28日以内に死亡した。 感染率は社会人口学的および臨床的特性によって異なるが、多変量補正解析の結果、抗S抗体の検出は感染発生率の低下と独立して関連しており、発生率比(IRR)はSOT患者集団で0.69(95%信頼区間[CI]:0.65~0.73)、RAIRD患者集団で0.57(0.49~0.67)、リンパ系悪性腫瘍患者集団で0.62(0.54~0.71)であった。 また、抗S抗体陽性はCOVID-19関連入院のリスク低下とも関連しており、IRRはSOT患者集団で0.40(95%CI:0.35~0.46)、RAIRD患者集団で0.32(0.22~0.46)、リンパ系悪性腫瘍患者集団で0.41(0.29~0.58)であった。

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医師のスキルはお見合いでも生かせる!【アラサー女医の婚活カルテ】第7回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所での活動期間を通じた筆者のお見合い回数や、オンラインお見合いと対面お見合いの比較について書きました。今回も引き続き、お見合いでの経験を皆さんにシェアしたいと思います。お見合いにも生かせる!「傾聴と共感」のスキル前回触れたように、私は活動期間を通じて「31回」のお見合いを経験しました。自慢ではありませんが(笑)、これは同年代の婚活女性に比べてかなり多い回数です。その中で、お見合い後にはほとんどのお相手から「交際希望」のお返事をいただき、「お断り」だったお相手はわずか2、3人だったと記憶しています。女性医師は、婚活市場で意外と(?)人気のようですよ!今回は、そんな私なりの、お見合いに臨むうえでの心掛けについて、少し触れておきたいと思います。お見合いをするうえで役立ったのが、意外にも医師としての仕事のスキルでした。われわれ医師は、学生時代に「傾聴と共感」の心構えを叩き込まれます。言わずもがな「患者さんの話をよく聴いて、その気持ちに寄り添う態度を見せることが、医師-患者間の円滑なコミュニケーションを実現するためには大切だ」ということですが…、お見合いも、突き詰めれば「人と人とのコミュニケーション」ですから、この「傾聴と共感」の姿勢が大いに役に立ちました。たとえば、お相手の職業がシステムエンジニア(SE)なら、こんな具合です。こん野「SEさんって、どんなお仕事ですか?」お相手「クライアントから依頼を受けてシステムをつくっています」こん野「システム……、、、畑違いなのでよくわからないのですが、システムって、具体的にはどんなものですか?」お相手「たとえば、工場にある材料の在庫を社内で共有できるようなソフトウエアを開発したり、メンテナンスしたりします」こん野「なるほど! それは重要なお仕事ですね。じゃあ、今まで一番つくるのが大変だったシステムって、何でしたか?」お相手「銀行のATMのシステムを担当していたときは、送金トラブルなどで夜中の呼び出しも多くて、激務でしたよ」こん野「わぁ、それは大変そう(共感)。医師にとっての、当直みたいなものですかね」こんなふうに、患者さんから症状や病歴を一つひとつ聞き出すような調子で会話をすれば、お相手はノリノリで話をしてくれます。仮に交際に至らないお相手でも、お見合いの1時間はお互いに気分良く過ごしたいものですし、畑違いの職業のことを知れば、良い社会勉強にもなります(後々、ほかのお見合い相手との雑談に生かせるかも!?)。お見合い相手の「カルテ」を作成お見合いが好感触で、私から「交際希望」を出す場合には、その人と話した内容を忘れないように、スマホのメモ帳アプリにお相手一人ひとりの「カルテ」をつくって、いつでも見返せるようにしました。外来での診察中、年配の患者さんに「そういえば、前にお話しされていた東京のお孫さん、お元気ですか?」などと雑談をすると、患者さんにとても喜んでもらえるものです。それと同じような感覚で、交際中のデート前には「カルテ」を確認し、「前にお好きだと仰っていた○○、私も食べてみましたよ!」などと、さりげなく話題を出すようにしました。また、何人もの方とお見合いや仮交際をする中で、話した内容がごちゃ混ぜになってしまっては相手に失礼です。実際、私も婚活中にお相手から、明らかに別の交際女性と混同しているであろう話題を振られたことがあって、表情にこそ出さなかったものの、スーッと気持ちが冷めてしまったことがありました。この時、私のほうからはこのような失礼なことをしないように気を付けよう、と心に決めました。このような事態を避けるためにも「カルテ」づくりは重要だと思います。「おごり・おごられ」問題、婚活中はどう対処?よく、男女の「おごり・おごられ論争」がSNS上で白熱しているのを見かけます。この連載では「男が○○、女が○○」というような“主語の大きな”一般論を持ち出すつもりはありませんが、私自身は、あくまで“個人の好み”として、男性からご飯をごちそうになればうれしいですし、大切に扱ってもらっているなぁと感じます。ただ、婚活中はお互いの条件を擦り合わせる期間でもありますから、おごってもらってばかりでは、お相手が将来の結婚生活のことを考えて、不安になってしまうかもしれません。そこで、ご飯をごちそうになった際には、次のカフェでは私がごちそうしたり、お礼にデパ地下の小さな菓子折を渡したり…、といった心遣いを、形にして表すように心掛けていました。いかがでしたか?今回は、私が婚活中に心掛けていたことをシェアさせていただきました。ご参考になれば幸いです。次回は、私がお見合いで遭遇した、(良くも悪くも)印象に残ったお相手を何人かご紹介したいと思います。お楽しみに。

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第247回 フジテレビ問題は医療界と無縁ではない?その理由とは

メディアという存在は報道以外でも常にさまざまな人に影響を与えている。週刊誌を発行する出版社は、漫画・小説などのコンテンツも常時世に送り出しているし、テレビもドラマをはじめとするエンターテイメント番組を放送している。その意味で医療界に一定の影響を与えているコンテンツの1つに医療ドラマがあることに異論がある人はいないのではないだろうか?公益財団法人 川野小児医学奨学財団が2023年3月に行った「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」によると、「なぜ医学部に入りたいと思ったのですか?」(複数回答)との問いに、「映画やドラマ、本などを通じて興味を持ったから」との回答が19.9%で5番手に入っている。また、個人的な経験でも看護学部卒の知人から、ドクターヘリで活躍する医師をテーマにしたドラマ「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」に憧れてフライトナースになろうと思ったことがあるとの話を聞かされている。ちなみに医療ドラマというと、少なからぬ医療者からは「現実離れして荒唐無稽」との評価を受けることもあるが、昨今は医療監修も厳格化しているため、私が子供の頃、1970年代後半くらいに目にした「天地がひっくり返ってもあり得ない医療シーン」が登場することはほぼないと言ってよい。このように医療者を目指すきっかけになるほど影響を与える医療ドラマは、テレビ局内でどのような評価を受けているのか? あるテレビ局勤務の知人に聞いてみると、「やはり内容によりますが、基本的に数字(視聴率)は取れます。とくに水戸黄門みたいな医療ドラマだと数字が取れますね」とのこと。「水戸黄門」と言われ、「???」と思ったが、要は“悪い奴らを懲らしめる”という構図が加わると、視聴率に好影響なのだという。確かに医療ドラマではこの手の構図が多い。一例を挙げると、アメリカ帰りのナース・プラクティショナーの資格を有する看護師が主人公の「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)は、経営最優先の院長や自分たちが最上位の医療者と自負する医師に看護師が立ち向かう設定である。また、このテレビ局勤務の知人は私見と断りながらも「病院は多くの人にとって身近な存在にもかかわらず、一般人ではわからない独特の世界感があること、患者さんという圧倒的弱者がいることも興味を引きやすいと思います」と語る。ちなみに知人は報道畑の人なのだが、「実は報道でも医療現場の映像やニュースは視聴率が下ブレしにくいコンテンツ」と教えてくれた。実際、ビデオリサーチの調べによる2024年連続ドラマ平均世帯視聴率(関東地区)のトップ3のうち、第1位は若手外科医を描いた「ブラックペアン シリーズ2」(TBS系)、第2位が前述の「ザ・トラベルナース2」だ。こうしたドラマの制作には一般人が考えるよりも多くの制作費が使われている。ざっと1話当たり3,000万円前後。通常の連続ドラマは、テレビ局のワンシーズン(3ヵ月)で完結することが多く、最大で約12話。つまり1つの連続ドラマで3億円以上の制作費を要する。医療ドラマが医療者の輩出にも貢献さて、私がなぜこんなことをつらつらと書いたかというと、2000年以降に放映された医療ドラマの一覧を眺め、何となく集計していたら興味深いことがわかったからだ。この中から「獣医ドリトル」を除くすべての放映キー局を集計すると、トップはフジテレビが28番組、以下は順にTBSが23番組、日本テレビとテレビ朝日がそれぞれ14番組、テレビ東京が5番組、NHKが2番組となった。いま話題の渦中のフジテレビが断トツのトップなのである。前述のコード・ブルーもまさにフジテレビ系であり、これ以外にも「Dr.コトー診療所」「チーム・バチスタ」など、多くの視聴者に影響を与えたであろう、極めて視聴率の高い著名医療ドラマが多い。だが、ご存じのように今のフジテレビは、引退を表明したタレントの中居 正広氏を巡る問題でCM差し止めを決定した企業は、判明しているだけで80社に迫ろうとしている。先日の10時間超にもおよんだ記者会見時(実は私はノンストップで見ていたが)に、財務的な影響についてはフジテレビ側は精査中として明らかにしなかったが、一部報道では最大数百億円規模にのぼる可能性も指摘されている。フジテレビの財務状況は、フジ・メディア・ホールディングスの決算説明資料を見ると、2024年3月期決算の単体の売上高は2,382億円で、このうちCM収入は1,473億円である。このうち数百億円が吹っ飛ぶとなれば、その影響は甚大である。当然ながら、若い医療者の輩出に貢献していた医療ドラマの“雄”の制作にも影響が及ぶだろう。その意味ではフジテレビの再生は医療業界にまったく無縁とは言えない。もっとも会見で明らかになったフジテレビの対応は、どこをどう突いてもいただけない。ここ数日はこの件に対する同社社員の関与を報じた週刊文春の記事が誤報だったことが話題の中心になっているが、少なくとも私個人は、その点は問題の枝葉だと思う。むしろ問題の中核は、フジテレビの仕事を通じなければ出会わなかったであろう被害女性と出演者という同社のステークホルダー間で起き、かつ被害申告まであった問題について、企業として主体的に解決に導けず、結果として当事者間の示談で終わらせてしまった事実上の不作為にあると考えている。

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活動性クローン病に対する抗サイトカイン抗体ミリキズマブの有効性と安全性(解説:上村直実氏)

 中等症~重症の活動期クローン病(CD)の寛解導入療法および寛解維持療法における抗IL-23p19抗体ミリキズマブ(商品名:オンボー)の有用性と安全性を、プラセボと実薬対照である抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(同:ステラーラ)と同時に比較検討した結果、ミリキズマブが寛解導入および維持療法においてプラセボと比べて有意な優越性を示し、さらに、ウステキヌマブと同等の有用性を示したことが2024年11月のLancet誌に掲載された。 わが国におけるクローン病に対する治療は、経腸栄養療法、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、ステロイド、アザチオプリンなど従来の薬物療法が行われてきたが、難治例に対してインフリキシマブやアダリムマブなどTNFα阻害薬が使用されるケースが増えている。しかし、以上のような治療を適切に行っても、寛解導入できない症例や寛解を維持できなくて再燃する症例がいまだ多くみられるのが現状であるため、さらに新たな薬剤が次々と開発されている。 新たな生物学的製剤としてミリキズマブと同じ抗サイトカイン抗体であるウステキヌマブ、リサンキズマブ(商品名:スキリージ)やJAK阻害薬のウパダシチニブ(同:リンヴォック)および抗インテグリン抗体であるベドリズマブ(同:エンタイビオ)がクローン病に対する保険適用を有している。なお、対象として日本人も参加している本試験の結果から、今後近いうちに、ミリキズマブもクローン病に対して保険適用となることが予想される。 今回の研究デザインで特徴的なのは、ミリキズマブの有効性を検証するために寛解導入試験の開始時にプラセボ群および実薬対照のウステキヌマブ群の3群に無作為割り付けして、治療開始12週時点での臨床的奏効率を比較した後、そのまま同じ薬剤の投薬を継続して52週時点での臨床的有効率および内視鏡的奏効率により比較検討した方法(treat-through study)という点である。従来、プラセボ対照試験として寛解導入できた症例を寛解維持療法の試験にエントリーして寛解維持率を比較検討する方法が多かったのであるが、今回のデザインはより臨床現場における治療方針の参考になるものと考えられる。 最後に、同じ抗サイトカイン抗体であるが、IL-23のp19サブユニットを標的とするミリキズマブとIL-12とIL-23を抑制するウステキヌマブの実薬同士の比較は非常に興味深いものと思われた。本研究結果からは両者間に有意な違いは認められなかったが、今後、IL-23p19のみを抑制するミリキズマブやリサンキズマブと、IL-12も同時に抑制するウステキヌマブとの長期的な有用性や安全性を比較する検証が期待された。

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加齢黄斑変性は関節リウマチの発症リスクを高める

 加齢黄斑変性(AMD)患者は関節リウマチ(RA)の発症リスクが高いとする、成均館大学校(韓国)のJe Moon Yoon氏らの研究結果が「Scientific Reports」に9月9日掲載された。 AMDは、加齢、遺伝、喫煙、食生活などのほかに、慢性炎症がリスク因子の一つと考えられている。また近年の研究では、AMDとパーキンソン病やアルツハイマー病リスクとの間に関連があり、慢性炎症や酸化ストレスがその関連の潜在的なメカニズムと想定されている。一方、RAは滑膜の炎症を特徴とする全身性疾患であることから、RAもAMDのリスクと関連している可能性がある。以上を背景としてYoon氏らは、韓国の国民健康保険データを用いて、AMDとRAリスクとの関連を検討した。 2009年に健診を受け、RAと診断されていない50歳超の成人353万7,293人を2019年まで追跡し、多変量補正Cox回帰モデルを用いた解析を行った。RAの発症は、保険請求の診断コードと薬剤の処方で定義した。ベースライン時において、4万1,412人(1.17%)がAMDに罹患しており、このうちの3,014人(7.28%)は視覚障害を有していた。 平均9.9年の追跡期間中に4万3,772人(1.24%)がRAを発症していた。AMD群では4万1,412人中567人がRAを発症し、1,000人年当たりの罹患率は1.43であり、対照群は349万5,881人中4万3,205人がRAを発症し、罹患率は1.25であった。交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、糖尿病、高血圧、脂質異常症、チャールソン併存疾患指数、収入など)を調整後、AMD群は対照群に比しRA発症リスクが有意に高いことが明らかになった(調整ハザード比〔aHR〕1.11〔95%信頼区間1.02~1.21〕)。 次に、AMD患者をベースライン時の視覚障害の有無で二分して検討。視覚障害を有していなかった群は、3万8,398人中535人がRAを発症し罹患率は1.46であり、前記の交絡因子を調整後に有意なリスク上昇が認められた(aHR1.13〔同1.03~1.21〕)。一方、ベースライン時に視覚障害を有していた群は、3,014人中32人がRAを発症し罹患率は1.14であって、aHR0.90(0.64~1.27)と、有意なリスク上昇は観察されなかった。 なお、年齢や性別、併存疾患の有無で層別化したサブグループ解析では、AMDとRA発症リスクとの関連に有意な交互作用のある因子は特定されなかった。 著者らは、「AMDはRA発症リスクの高さと関連していた。この関連のメカニズムの理解のため、さらなる研究が必要とされる」と総括している。また、視覚障害を有するAMD患者では有意なリスク上昇が認められなかった点について、「視覚障害がある場合にRAが過小診断されている可能性も考えられる」との考察を付け加えている。

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事例016 間質性肺炎の生化学的検査KL-6が査定【斬らレセプト シーズン4】

解説事例の患者に生化学検査「KL-6」を実施したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。患者は、メトトレキサートを6ヵ月以上服用中であったため毎月の来院を推奨し、添付文書の「重要な基本注意8-3」に基づき副作用チェックを行っています。連月に検査が実施されるために「*添付文書に基づく定期検査」とコメントを記載して査定対策としていました。同様に重篤な副作用の1つに「間質性肺炎」が記載されているため、「KL-6」も定期検査に組み込んでいました。査定の理由には「連月の実施はご遠慮ください」とありました。添付文書を読み返したところ、副作用(11.1.7)に「間質性肺炎(中略)等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、(中略)呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに(中略)血中KL-6測定等を行い、本剤の投与を中止し(後略)」とありました。「KL-6」は症状が発現したときに速やかに実施するものであって、定期的な実施を推奨するものではないと解釈できる記載がありました。この項が適用されて、査定になったものと推測できます。しかしながら、呼吸器症状発現がわかる病名を記載していても、連月実施の場合に査定となる事例が複数確認できています。日本リウマチ学会発行の『関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き2023年版』(編集:日本リウマチ学会MTX診療ガイドライン小委員会)を参照すると、慎重投与の項に「間質性肺炎(軽度)の場合は、少なくとも3ヵ月間は経過観察必要(画像所見含む)であるがKL-6などの血清バイオマーカーの値は参考程度にとどめる」とありました。医師にはこのことを伝え、連月実施の場合には医学的必要性をコメントいただけるようにお願いして査定対策としました。

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皮膚筋炎、抗IFNβ抗体dazukibartが有望/Lancet

 中等症~重症の皮膚筋炎成人患者において、インターフェロン(IFN)βを標的とする強力かつ選択的なヒト化IgG1モノクローナル抗体dazukibartは、疾患活動性を顕著に低下させ、忍容性は概して良好であることが示された。米国・スタンフォード大学のDavid Fiorentino氏らが、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スペインおよび米国の25施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。皮膚筋炎は、特徴的な皮疹と筋力低下を伴う慢性の自己免疫疾患で、病態生理学的にはI型IFNの調節異常によって特徴付けられる。著者は本試験の結果を受け、「IFNβ阻害は成人の皮膚筋炎患者において、非常に有望な治療戦略であることが裏付けられた」とまとめている。Lancet誌2025年1月11日号掲載の報告。dazukibart 600mg、150mgとプラセボを比較 研究グループは、18~80歳で、特徴的な皮膚症状を伴う皮膚筋炎患者(疾患活動性[CDASI-A]スコアが14以上、少なくとも1回の標準治療による全身治療が無効)を「ステージ1」「ステージ2」「ステージ2a」に、筋炎症状が主体の多発性筋炎患者(活動性の中等症筋病変を有し、免疫抑制薬または免疫調整薬による2コース以上の治療が無効)を「ステージ3」に登録した。 適格患者は、「ステージ1」ではdazukibart 600mg群またはプラセボ群に、「ステージ2」ではdazukibart 600mg群、150mg群またはプラセボ群に、「ステージ2a」ではdazukibart 600mg→プラセボ群、dazukibart 150mg→プラセボ群、プラセボ→dazukibart 600mg群、またはプラセボ→dazukibart 150mg群に、「ステージ3」ではdazukibart 600mg→プラセボ群、またはプラセボ→dazukibart 600mg群に、それぞれ無作為に割り付けられた。ステージ2aおよびステージ3の治療の切り替えは12週時に行われた。 dazukibartおよびプラセボは4週ごと(1日目)静脈内投与とし、全ステージにおけるdazukibart先行開始群は8週時まで、また「ステージ2a」「ステージ3」のプラセボ先行開始群は12週時から20週時までdazukibartを投与した(すなわち、いずれの群でもdazukibartは4週ごとに計3回投与された)。 「ステージ1」「ステージ2」「ステージ2a」(皮膚筋炎コホート)の主要アウトカムは、ステージ1の最大解析対象集団(FAS)ならびにステージ1、2、2aの統合皮膚FASにおける12週時のCDASI-Aスコアのベースラインからの変化であった。「ステージ3」(多発性筋炎コホート)の主要アウトカムは安全性であった。皮膚筋炎の疾患活動性が有意に低下 2018年1月23日~2022年2月23日に125例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした75例が無作為に割り付けられ治療を受けた(dazukibart 150mg群15例、dazukibart 600mg群37例、プラセボ群23例)。ほとんどの患者が女性であった(皮膚筋炎コホートでは93%[53/57例]、多発性筋炎コホートでは72%[13/18例])。 ステージ1のFASにおいて、12週時のCDASI-Aのベースラインからの平均変化量はdazukibart 600mg群-18.8(90%信頼区間[CI]:-21.8~-15.8)、プラセボ群-3.9(-8.5~0.6)で、補正後群間差は-14.8(90%CI:-20.3~-9.4、p<0.0001)であった。 また、ステージ1、2、2aの統合皮膚FASにおける12週時のCDASI-Aのベースラインからの平均変化量は、dazukibart 600mg群で-19.2(90%CI:-21.5~-16.8、プラセボ群との補正後群間差:-16.3[90%CI:-20.4~-12.1]、p<0.0001)、dazukibart 150mg群で-16.6(-19.8~-13.4、-13.7[90%CI:-18.3~-9.0]、p<0.0001)であった。 有害事象は、dazukibart 150mg群で80%(12/15例)、dazukibart 600mg群で81%(30/37例)、プラセボ群で78%(18/23例)に発現し、主な事象は感染症および寄生虫症であった(それぞれ2例[13%]vs.12例[32%]vs.7例[30%])。 重篤な有害事象は、dazukibart 150mg群で4例(11%)、プラセボ群で1例(4%)報告された。ステージ3のdazukibart 600mg→プラセボ投与の1例が、血球貪食性リンパ組織球症およびマクロファージ活性化症候群により追跡期間中に死亡した。

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乾癬性関節炎〔PsA:psoriatic arthritis〕

1 疾患概要■ 定義乾癬に関節炎(炎症性関節症)を伴ったもの。「関節症性乾癬」とも呼ばれる。乾癬は尋常性(局面型)乾癬が最も多いが、乾癬性紅皮症や汎発性膿疱性乾癬に関節炎が合併することもある。■ 疫学国内外でいくつもの疫学データがあり、乾癬患者の10%以下から多いものでは40%を超えるとする報告もある1)。日本乾癬学会の疫学データでは、乾癬患者の15.2%が2)、また、リウマチ科主導で行われた多施設共同のデータでは14.3%が乾癬性関節炎を有していた。 したがって、紹介患者を受け入れる基幹病院では、乾癬患者のおおよそ14~15%が乾癬性関節炎と推定される。東アジアにおける疫学をみると、乾癬患者における乾癬性関節炎の占める割合は、韓国は9~14.1% 、中国は5.3~7.1% と報告されている3)。働き盛りの青壮年期に多く、わが国では乾癬、乾癬性関節炎ともに男性が多い。■ 病因関節リウマチが滑膜炎であるのに対し、乾癬性関節炎は付着部炎がprimaryな変化と考えられている。付着部は、筋肉や腱が骨に付着する部位で、微細な外的刺激が繰り返し加わることにより付着部に炎症が惹起される。乾癬性関節炎でも二次的な滑膜炎がみられることもある。■ 症状皮膚症状と関節症状があり、皮膚症状は落屑性紅斑(乾癬)で、好発部位は頭、肘、膝、臍などだが、頭の先から足のつま先までどこにみられても不思議ではない。関節症状は末梢関節が侵される頻度が高いが、大関節(頸椎、腰椎、仙腸関節など)が侵されることもまれではない。末梢関節が侵されると、罹患関節の腫脹や変形がみられることもある。また、乾癬性関節炎の中には、皮膚症状が目立たない(非常に軽度の)場合もある。そのほか、爪乾癬(爪の点状陥凹、肥厚、白濁など)がみられることが多く、爪の変化とその近傍の第一関節の痛みや腫れが一緒にみられることもある。皮膚症状(乾癬)が先行、または皮膚症状と関節症状がほぼ同時期に出現する場合が9割以上を占め、関節炎が先行する頻度は少ない4)。■ 分類関節症状により、以下の5群に分けられている (Moll&Wrightの分類)5)。(1)非対称性関節炎型(Oligo-arthritis type)(2)関節リウマチ類似の対称性関節炎型(Poly-arthritis type)(3)定型的関節炎型(DIP type)(4)ムチランス型(5)強直性脊椎炎型(Ankylosing spondylitis[AS]type)■ 予後乾癬においてはさまざまな併存症がみられる。乾癬性関節炎においても、肥満、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病が多い。さらに、動脈硬化症や心筋梗塞の心血管病変が予後に影響することが多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)CASPAR(Classification criteria for psoriatic arthritis)の分類基準がある。炎症性関節症があるのが前提で、3点以上で乾癬性関節炎と診断するとあるが、そもそも患者は皮膚症状がないと皮膚科を受診しないので、乾癬があれば2点、爪乾癬がある(1点)かリウマトイド因子が陰性(1点)であれば、それだけで3点を超えてしまう。他の項目に、指趾炎と呼ばれる手や足の指の芋虫状の腫れ(1点)と、手足の単純X線所見で関節周囲の骨新生像(1点)があるが、どちらも早期にみられる所見ではない。乾癬性関節炎を診断するいくつかの特徴的な症状に、付着部炎や指趾炎があるが、これらがみられるときはすでに早期ではない。したがって早期診断はきわめて難しい。■ 鑑別診断高齢者は膝や腰を始め関節の痛みを訴えることが多い。変形性関節症や関節リウマチを始め、リウマチ性多発筋痛症、痛風、偽痛風など関節の痛みや変形を来すさまざまな疾患との鑑別を要する。とくに手指の変形性関節症を鑑別する必要がある。変形性関節症は、手指DIP関節の変形だけのものは容易だが、痛みを伴うinflammatory osteoarthritis、 erosive osteoarthritisは、乾癬性関節炎との鑑別が難しい。関節リウマチ患者は女性に多く、罹患関節数が少ないこと、DIP関節が罹患することはまれで、同一レベルの関節が侵されるのに対し(横方向)、乾癬性関節炎では同じ指の異なる関節が縦方向に侵され、“Ray distribution”と呼ばれる。血清リウマチ因子や抗CCP抗体は、乾癬性関節炎の1割程度でも陽性にみられる。関節滑膜の増殖は関節リウマチの方が強く、それを反映し両者の差異を検出しうる関節エコーが有用とされる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)乾癬性関節炎は、皮膚症状が優位な症例、関節症状が優位な症例、どちらも症状が顕著な症例などがある。したがって、皮膚、関節それぞれの重症度をまず評価する。GRAPPAのガイドラインでは、乾癬性関節炎の症状を、末梢関節炎、体軸性関節炎、付着部炎、指趾炎、乾癬、爪病変の6つのドメインに分け、それぞれの症状ごとに、外用薬、非ステロイド系消炎鎮痛薬、理学療法、ステロイド局注などでコントロール不十分な症例に対しての内服薬(synthetic DMARD)や注射薬(biologic DMARD)の治療法を提示している。内服薬は、通常の非ステロイド系消炎鎮痛薬に加え、メトトレキサートとアプレミラスト(商品名:オテズラ錠)が、乾癬性関節炎に使われる代表的な薬剤である。メトトレキサートは、骨髄抑制と肝障害が頻度の高い注意すべき副作用で、間質性肺炎やHBV再活性化なども頻度は少ないが注意しなくてはならない。アプレミラストは、消化器症状、頭痛の頻度の高い副作用ではあるが、重篤な症状は少ないので高齢者にも使いやすい。新規内服薬としてJAK阻害剤が登場したほか、乾癬性関節炎の関節変形の進行を抑制するには生物学的製剤が中心的に使用されている。生物学的製剤は、TNF、IL-17に対する抗体製剤が使われることが多いが、ほかにIL-23の標的薬もある。4 今後の展望乾癬の治療薬の進歩は目覚ましく、生物学的製剤やJAK阻害剤内服薬が、適応拡大も含めて今後も新規に参入してくると思われる。5 主たる診療科皮膚科、リウマチ内科、整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)患者会情報日本乾癬患者連合会(患者とその家族および支援者の会)1)山本俊幸. Visual Dermatology. 2017;16:690-693.2)Yamamoto T, et al. J Dermatol. 2017;44:e121.3)Yamamoto T, et al. J Dermatol. 2018;45:273-278.4)Yamamoto T, et al. J Dermatol. 2016;43:1193-1196.5)山本俊幸. 日皮会誌. 2022;132;19-25.公開履歴初回2025年1月8日

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多発血管炎性肉芽腫症〔GPA:granulomatosis with polyangiitis〕

1 疾患概要■ 概念多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)は抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)の主要疾患の1つで、血清中に出現するANCAと小型血管(臓器内動静脈、細動静脈、毛細血管)の肉芽腫性炎を特徴とする。罹患血管には免疫複合体の沈着はほとんどみられない(pauci-immune)。■ 疫学GPAは国が定める指定難病で、2022年度末の指定難病受給者証所持者数は3,437人であり、登録患者数は徐々に増加している。世界的には100万人当たり96.8人の患者数が報告されている。GPAは、日本を含むアジアよりも欧州、とくに緯度が高い地域で多くみられる傾向がある。■ 病因GPAは他の自己免疫性リウマチ性疾患と同様に、遺伝的要因と環境要因が相まって発症すると考えられている。ヨーロッパおよび北米におけるヨーロッパ系集団を対象としたゲノムワイド関連解析では、HLA-DPA1、DPB1遺伝子領域との関連が報告されており、臨床分類よりもPR3-ANCAとの関連がより強くみられる。日本人集団においてもDPB1*04:01の増加傾向が認められている。非HLA領域では、SERPINA1、PRTN3がヨーロッパ系集団で、ETS1の発現低下に関連する単塩基バリアントが日本人集団で関連することが報告されている。■ 症状GPAは発熱・倦怠感、体重減少、筋痛、関節痛などの全身症状と多彩な臓器症状を呈する疾患である。臓器病変は、眼(34~61%)、耳・鼻・咽喉頭(83~99%)、肺(66~85%)、心臓(8~25%)、消化管(6~13%)、腎臓(66~77%)、皮膚(33~46%)、中枢神経(8~11%)、末梢神経(15~40%)に出現する。眼病変、上・下気道病変、腎病変がとくに重要である。眼病変として、結膜炎、上強膜炎、強膜炎、眼球突出、鼻病変として鼻閉・膿性鼻汁・鼻出血、鼻粘膜の痂疲・潰瘍、鞍鼻、耳病変として滲出性または肉芽腫性中耳炎、咽喉頭病変として口腔内潰瘍、声門下狭窄による嗄声・呼吸困難がみられる。肺では肺肉芽腫性結節、肺胞出血、間質性肺炎がみられ、咳・息切れ・喀血などを呈する。腎では壊死性半月体形成性糸球体腎炎が典型的であり、しばしば急速進行性糸球体腎炎として発症する。■ 予後国内の前向きコホート研究では、治療開始後6ヵ月までの死亡率は1.9%で、治療開始後6ヵ月までに末期腎不全に至ったのは3.7%あった。中長期的には、治療に関連した副作用・合併症が問題となる。欧州における検討では、AAV患者を平均7.3年追跡すると65.6%の患者で治療に関連した副作用・合併症(高血圧、骨粗鬆症、糖尿病、心血管イベント、白内障など)がみられ、グルココルチコイドの早期減量・中止が重要と考えられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)国内における診断には指定難病の診断基準が広く用いられている。国際的には、米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で開発した分類基準(表1)を参考に診断することが多い。疾患特異的自己抗体として抗プロテイナーゼ3(抗PR3)抗体(PR3-ANCA)が知られている。活動期にはCRPが陽性となることが多い。GPAでみられる臓器病変を想定した問診と身体診察に血液検査と画像検査を組み合わせて診断および罹患臓器を検索し、活動性を評価する。表1 GPAの分類基準分類基準を使用する前に以下を考慮する。小・中型血管炎と診断された患者を多発血管炎性肉芽腫症に分類するために、本分類基準を適用すべきである。本分類基準を適用する前に、血管炎類似疾患の除外をすべきである。画像を拡大する10項目の中から該当項目のスコアを合計し、5点以上であれば多発血管炎性肉芽腫症に分類する。(難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究班.多発血管炎性肉芽腫症の分類基準[2024年9月20日アクセス]より引用)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ANCA関連血管炎の中でGPAと顕微鏡的多発血管炎(MPA)の標準治療は同一であり、難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究班が作成した診療ガイドラインに示されている。標準治療は、寛解導入治療と寛解維持治療で構成される。さらに、長期予後を改善するために、合併症リスクを最小限に抑える必要がある。寛解導入治療ではリツキシマブまたはシクロホスファミドのいずれかを、グルココルチコイドまたはアバコパン(商品名:タブネオス)またはその両者と併用する。リツキシマブはキメラ型抗CD20抗体で、375mg/体表面積1m2を週に1回、4週連続で投与する。シクロホスファミドは15mg/kgを0、2、4、7、10、13週に点滴静注で投与するパターンが標準だが、投与量は年齢と血清クレアチニン濃度で調整し(表2)、投与回数と投与間隔は原疾患の重症度と安全性のバランスで調整する。シクロホスファミドは経口投与(1~2mg/kg/日)も可能だが、副作用の観点から点滴静注が望ましい。表2 年齢および腎機能によるシクロホスファミド投与量の調節画像を拡大する(Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.より引用)アバコパンは経口の補体C5受容体阻害薬で、1回30mgを1日2回朝・夕に内服する。アバコパンは原則的にグルココルチコイドと併用する。アバコパンは腎機能改善に有用である可能性が示されている。アバコパンの副作用として重症肝機能障害(胆道消失症候群を含む)が報告されているので、血管炎の治療に精通した施設での使用が望ましい。標準的な寛解導入療法で使用するグルココルチコイドの投与量は2つの臨床試験結果から、以前よりも大幅に減量された(表3)。表3 寛解導入治療におけるグルココルチコイド減療法画像を拡大する(Walsh M, et al. N Engl J Med. 2020;382:622-631.およびFuruta S, et al. JAMA. 2021;325:2178-2187.より引用)血清クレアチニン濃度が5.7mg/dLを超える最重症の腎障害を伴うGPAでは、グルココルチコイドとシクロホスファミドに血漿交換が併用される場合がある。MPAおよびGPAに対する血漿交換のメタ解析から、欧州リウマチ学会の推奨では血清クレアチニン濃度が3.4mg/dLを超える腎障害で血漿交換を考慮する場合があるとされている。リツキシマブにより寛解導入した場合には、治療開始後6ヵ月から寛解維持治療に移行し、シクロホスファミド点滴静注の場合には、最終投与後3~4週間で寛解維持治療に移行する。寛解維持治療はリツキシマブまたはアザチオプリンを用いる。寛解維持療法におけるリツキシマブ投与方法は、375mg/体表面積1m2を6ヵ月ごと、500mg/回を6ヵ月ごと、1,000mg/回を4ヵ月または6ヵ月ごとなどがある。アザチオプリンは1~2mg/kg/日を使用し、開始前にNUDT15遺伝子多型検査を実施する。寛解維持治療における有効性はアザチオプリンよりもリツキシマブが有意に優れている。GPAはMPAよりも再発しやすい。寛解維持治療中は症状および検査をモニタリングし、早期に再発の兆候を把握する。腎病変は症状なく再発することがあるため、尿検査を定期的に実施する。寛解維持治療期間は、リツキシマブでは1年6ヵ月よりも4年、アザチオプリンでは1年よりも2年6ヵ月以上が有意に再発を防ぐことが示されている。個々の患者における寛解維持治療期間は、治療開始前の疾患活動性、治療経過、再発歴、合併症を参考に検討する。4 今後の展望GPAの分類基準が改訂され、診断に関する検討は一段落したと考えられる。治療に関する課題として、アバコパンを寛解導入に使用する際に適切なグルココルチコイドの使用方法、リツキシマブの寛解維持療法の標準化、アバコパンの安全性、新規の抗B細胞治療などが挙げられる。5 主たる診療科膠原病リウマチ内科、腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 多発血管炎性肉芽腫症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国膠原病友の会(患者とその家族および支援者の会)膠原病サポートネットワーク(患者とその家族および支援者の会)1)針谷正祥 責任編集. Evidence Base Medicineを活かす膠原病・リウマチ診療. メジカルビュー社.2020.2)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 針谷正祥ほか編集. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023. 診断と治療社.2023.3)Hellmich B, et al. Ann Rheum Dis. 20242;83:30-47.4)Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.5)Walsh M, et al. N Engl J Med. 2020;382:622-631.6)Furuta S, et al. JAMA. 2021;325:2178-2187.公開履歴初回2024年12月31日

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手OAに電熱手袋は有効か?/BMJ

 バッテリー駆動型電熱線が内蔵され手指全体を温められるミトンタイプの手袋(電熱グローブ)は、手の変形性関節症(OA)患者の痛みや機能の改善に効果があるのか。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのCecilie Bartholdy氏らは無作為化対照試験を行い、6週間にわたる電熱グローブ使用は対照グローブ(温熱なし)使用と比較して、身体面および機能面に好ましい変化は認められなかったことを報告した。著者は「電熱グローブは、手OAに関連した問題や握力の評価に追加のベネフィットをもたらさなかった。手の痛みについてはわずかなベネフィットが検出されたが、過大評価されている可能性があった」と述べている。手OAはありふれた疾患で痛みや機能低下を引き起こす。既治療法の効果はわずか~中程度であり、米国リウマチ学会2020ガイドラインで「温めること」が症状緩和法として推奨されているが、その効果を裏付けるエビデンスの質は低かった。BMJ誌2024年12月17日号クリスマス特集号「SEASONS OF LOVE」掲載の報告。厳冬期6ヵ月間に介入、電熱グローブvs.対照グローブ 研究グループは、現行の温熱療法は特殊な機器と診療所などへの受診に時間を要するため非実用的と考え、入手が簡易な市販の電熱グローブによる温熱療法について検証した。手OA治療に電熱グローブを使用する試験はこれまで行われていない。 試験は、デンマークの首都コペンハーゲンの外来クリニックで42~90歳の手OA患者200例を対象に行われ、100例が電熱グローブ(介入)群に、100例を対照グローブ(対照)群に無作為に割り付けられた。 被験者は、ベースラインと6週間後にクリニックを受診する間に介入を受けた。ベースラインでは、試験の目的(電熱グローブが手OAに有益かを評価する)を教えられ、温熱機能があるまたはないいずれかのグローブを受け取ることが伝えられ、6週間にわたって毎日少なくとも15分グローブを着用するよう指示された。その後2週時と4週時に、グローブに関するあらゆる問題を解消するためと、グローブと鎮痛剤の使用日記を付けるよう促す電話フォローを受け、オンラインアンケートが実施された。6週間の介入は、温熱のあらゆるベネフィットが顕著になる可能性があるとして、デンマークで最も寒い月(10月1日~3月31日)に限定して実施。その結果、試験は2020~21年、2021~22年、2022~23年の3期にわたる冬シーズンで完了した。 主要アウトカムは、オーストラリア・カナダ手OA指数(AUSCAN、スコア範囲:0~100点)の機能サブスケールで測定した6週時点の手機能の変化。重要な副次アウトカムはいずれも6週時点で評価した、AUSCAN手疼痛サブスケール(スコア範囲:0~100点)、手OA関連問題の総合評価(VASスコア、スコア範囲:0~100)、握力(ニュートン単位)であった。副次アウトカムの解析は、階層的ゲートキーピングアプローチ法を用いて行った。有意差を示す群間差は示されず 介入群91例と対照群95例が、試験を完了した。被験者の平均年齢は71歳、女性が87%(173例)、BMI値は24.9(SD 4.4)。罹病期間中央値は10年(四分位範囲:5~15)であった。 6週時点のAUSCAN機能スコア変化は群間差:3.0点で、介入群でより良好な可能性が示唆された(95%信頼区間[CI]:-0.4~6.3、p=0.09)。 重要な副次アウトカムについては、介入群でより良好な傾向が観察されたのは、AUSCAN手疼痛スコアのベースラインからの変化であった(群間差:5.9、95%CI:2.2~9.5)。手OA関連問題の総合評価および握力は、そのような群間差は観察されず、それぞれ群間差は2.8点(-3.7~9.2)、2.3ニュートン(-16.3~21.0)であった。

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活動期クローン病の導入・維持療法、ミリキズマブが有効/Lancet

 中等症~重症の活動期クローン病患者の導入療法および維持療法において、プラセボまたはウステキヌマブと比較してヒト化抗ヒトIL-23p19抗体ミリキズマブは、安全性は既知の良好なプロファイルと一致し、かつ有効性に関する2つの複合エンドポイントがいずれも有意に良好であることが、ベルギー・ルーベン大学病院のMarc Ferrante氏らが実施した「VIVID-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年11月21日号に掲載された。国際的な第III相無作為化プラセボ/実薬対照比較試験 VIVID-1試験は、中等症~重症の活動期クローン病におけるミリキズマブの有効性と安全性の評価を目的とするtreat-throughデザインを用いた第III相二重盲検ダブルダミー無作為化プラセボ/実薬対照比較試験であり、2019年7月~2023年8月に日本を含む33ヵ国の324施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。 年齢18~80歳、中等症~重症の活動期クローン病と診断され、過去に1つ以上の従来治療または生物学的製剤による治療で効果不十分、効果消失、不耐容であった患者を対象とした。 これらの患者を、ミリキズマブ900mgを0、4、8週目に静脈内投与し、その後300mgを12~52週目まで4週ごとに皮下投与する群、ウステキヌマブ約6mg/kgを0週目に静脈内投与し、その後90mgを8~52週目まで8週ごとに皮下投与する群、またはプラセボを投与する群に、6対3対2の割合で無作為に割り付けた。 主要複合エンドポイントは以下の2つで、発生率に関してプラセボ群に対するミリキズマブ群の優越性を評価した。(1)12週の時点での患者報告アウトカム(PRO)の臨床的奏効(排便回数または腹痛スコア、あるいはこれら両方の30%以上の減少、かつ両方ともベースラインより悪化しない)と52週時の内視鏡的奏効(SES-CD総スコアのベースラインから50%以上の低下)の複合、(2)12週時のPROの臨床的奏効と52週時のクローン病活動指数(CDAI)に基づく臨床的寛解(CDAIスコア<150点)の複合。副次エンドポイントもすべて満たした 1,150例(安全性評価集団)を登録し、このうち1,065例(平均年齢36.2[SD 13.0]歳、女性44.9%)を有効性評価集団(ミリキズマブ群579例、ウステキヌマブ群287例、プラセボ群199例)とした。 2つの主要複合エンドポイントはいずれも達成された。このうち(1)の発生率は、プラセボ群が9.0%(18/199例)であったのに対し、ミリキズマブ群は38.0%(220/579例)と有意に優れた(補正後群間差:28.7%、99.5%信頼区間[CI]:20.6~36.8、p<0.0001)。また、(2)の発生率は、プラセボ群の19.6%(39/199例)に対し、ミリキズマブ群は45.4%(263/579例)であり、有意に良好だった(補正後群間差:25.8%、99.5%CI:15.9~35.6、p<0.0001)。 12週時のPROの臨床的奏効、12週時の内視鏡的奏効、12週時のCDAIに基づく臨床的寛解など10項目の副次エンドポイントは、すべてプラセボ群に比べミリキズマブ群で有意に優れた。 一方、ウステキヌマブ群との比較では、ミリキズマブ群は52週時の内視鏡的奏効については優越性を示せなかったものの(ミリキズマブ群48.4% vs.ウステキヌマブ群46.3%、p=0.51)、52週時のCDAIに基づく臨床的寛解は非劣性の基準(非劣性マージン10%、多重性を考慮)を満たした(54.1% vs.48.4%、群間差:5.7%[95%CI:-1.4~12.8])。重篤な有害事象は10.3% プラセボ群に比べミリキズマブ群では、全有害事象および投与中止の発生率が低かった。ミリキズマブ群で頻度の高かった有害事象は、COVID-19(16.5%)、貧血(6.7%)、関節痛(6.5%)、頭痛(6.5%)、上気道感染症(6.0%)などであった。 重篤な有害事象は、ミリキズマブ群で10.3%、ウステキヌマブ群で10.7%、プラセボ群で17.1%に発生した。3例が死亡した(ウステキヌマブ群1例、プラセボ群2例[12週後にミリキズマブ群に切り換えた1例を含む])が、試験薬関連死は認めなかった。 著者は、「これらの知見は、クローン病の発症機序におけるIL-23の重要性をより強固なものにし、中等症~重症の活動期クローン病患者において、ミリキズマブは良好なベネフィット・リスクプロファイルを有する治療法であることを示唆する」としている。

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限局性強皮症〔Localized scleroderma/morphea〕

1 疾患概要限局した領域の皮膚およびその下床の組織(皮下脂肪、筋、腱、骨など)の免疫学的異常を基盤とした損傷とそれに続発する線維化を特徴とする疾患である。血管障害と内臓病変を欠く点で全身性強皮症とは明確に区別される。■ 疫学わが国における有病率、性差、好発年齢などは現時点では不明だが、2020~2022年にかけて厚生労働省強皮症研究班により小児期発症例を対象とした全国調査が行われた。今後疫学データが明らかとなることが期待される。■ 病因体細胞モザイクによる変異遺伝子を有する細胞が、何らかの誘因で非自己として認識されるようになり、自己免疫による組織傷害が生じると考えられている。事実、外傷やワクチン接種など、免疫の賦活化が誘因となる場合があり、自己抗体は高頻度に陽性となる。病変の分布はブラシュコ線(図1)に沿うなど、体細胞モザイクで生じる皮疹の分布(図2)に合致する。頭頸部の限局性強皮症(剣創状強皮症[後述]を含む)は皮膚、皮下組織、末梢神経(視覚、聴覚を含む)、骨格筋、骨、軟骨、脳実質を系統的に侵す疾患だが、頭頸部ではさまざまな組織形成に神経堤細胞が深く関与しているためと考えられている(図3)。図1 ブラシュコ線1つのブラシュコ線は、外胚葉原基の隆起である原始線条に沿って分布する1つの前駆細胞に由来する。前駆細胞にDNAの軽微な体細胞突然変異が生じた場合、その前駆細胞に由来するブラシュコ線は、他のブラシュコ線と遺伝子レベルで異なることになり、モザイクが生じる。我々の体はブラシュコ線によって区分される体細胞モザイクの状態となっているが、通常はその発現型の差異は非常に軽微であり、免疫担当細胞によって異物とは認識されない。一方、外傷などを契機にその軽微な差異が異物として認識されると、ブラシュコ線を単位として組織傷害が生じ、萎縮や線維化に至る。(Kouzak SS, et al. An Bras Dermatol. 2013;88:507-517.より引用)図2 体細胞モザイクによる皮疹の分布のパターンType 1alines of Blaschko, narrow bandsType 1blines of Blaschko, broad bandsType 2checkerboard patternType 3leaf-like patternType 4patchy pattern without midline separationType 5lateralization pattern.(Kouzak SS, et al. An Bras Dermatol. 2013;88:507-517.より引用)図3 神経堤細胞と剣創状強皮症の病態メカニズム画像を拡大する神経堤は、脊椎動物の発生初期に表皮外胚葉と神経板の間に一時的に形成される構造であり、さまざまな組織に移動して、その形成に重要な役割を果たす。体幹部神経堤は、主に神経細胞と色素細胞に分化するが、頭部神経堤は顔面域や鰓弓に集まり、頭頸部の骨、軟骨、末梢神経、骨格筋、結合組織などに分化する。頭部神経堤が多様な組織の形成に関与している点に鑑みると、神経堤前駆細胞に遺伝子変異が生じた場合、その異常は脳神経細胞やブラシュコ線に沿った多様な組織に分布することになる。この仮説に基づけば、剣創状強皮症は皮膚、皮下組織、末梢神経、骨格筋、骨、軟骨、脳実質に系統的に影響を及ぼし、症例によって多様な症状の組み合わせが出現すると考えられる。たとえば、皮膚病変のみの症例、骨格筋の萎縮や骨の変形を伴う症例、脳実質病変を伴う症例などが存在する。なお、これらの組織に共通する遺伝子変異の存在は現時点では確認されていない。■ 症状個々の皮疹の形状は類円形や線状など多様性があり、広がりや深達度もさまざまである。典型例では「境界明瞭な皮膚硬化」を特徴とするが、色素沈着や色素脱失あるいは萎縮のみで硬化がはっきりしない病変、皮膚の変化はないが脂肪の萎縮のみを認める病変や下床の筋・骨の炎症や破壊のみを認める病変など、極めて多彩な臨床像を呈する。病変が深部に及ぶ場合、患肢の萎縮・拘縮、骨髄炎、顔面の変形、筋痙攣、小児では患肢の発育障害、頭部では永久脱毛斑・脳波異常・てんかん・眼合併症(ぶどう膜炎など)・聴覚障害・歯牙異常などが生じうる。しばしば他の自己免疫疾患を合併し、リウマチ因子陽性の場合や“generalized morphea”[後述]では関節炎・関節痛を伴う頻度が高い。抗リン脂質抗体が約30%で陽性となり、血栓症を合併しうる。■ 分類現在、欧州小児リウマチ学会が提案した“Padua consensus classification”が世界的に最も汎用されている。“circumscribed morphea” (斑状強皮症)、“linear scleroderma” (線状強皮症)、“generalized morphea”(汎発型限局性強皮症)、“pansclerotic morphea”、“mixed morphea”の5病型に分類される。Circumscribed morpheaでは、通常は1~数個の境界明瞭な局面が躯幹・四肢に散在性に生じる。Linear sclerodermaでは、ブラシュコ線に沿った線状あるいは帯状の硬化局面を呈し、しばしば下床の筋肉や骨にも病変が及ぶ。剣傷状強皮症は、前額部から頭部のブラシュコ線に沿って生じた亜型で、瘢痕性脱毛を伴う。Generalized morpheaでは、これらのすべてのタイプの皮疹が全身に多発する。一般に「直径3cm以上の皮疹が4つ以上あり(皮疹のタイプは斑状型でも線状型のどちらでもよい)、かつ体を7つの領域(頭頸部・右上肢・左上肢・右下肢・左下肢・体幹前面・体幹後面)に分類したとき、皮疹が2つ以上の領域に分布している」と定義される。Pansclerotic morpheaでは、躯幹・四肢に皮膚硬化が出現し、進行性に頭頸部も含めた全身の皮膚が侵され、関節の拘縮、変形、潰瘍、石灰化を来す。既述の4病型のうち2つ以上の病型が共存するものがmixed morpheaである。■ 予後内臓病変を伴わないため生命予後は良好である。一方、整容面の問題や機能障害を伴う場合は、QOLやADLが障害される。一般に3~5年で約50%の症例では、疾患活動性がなくなるが、長期間寛解を維持した後に再燃する場合もあり、とくに小児期発症のlinear sclerodermaでは再燃率が高く、長期間にわたり注意深く経過をフォローする必要がある。数十年間にわたり改善・再燃を繰り返しながら、断続的に組織傷害が蓄積し、全経過を俯瞰すると階段状に症状が悪化していく症例もある。疾患活動性がなくなると皮疹の拡大は止まり、皮膚硬化は自然に改善するが、皮膚およびその下床の組織の萎縮や機能障害(関節変形や拘縮)は残存する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診療ガイドライン1)に記載されている診断基準は以下の通りである。(1)境界明瞭な皮膚硬化局面がある(2)病理組織学的に真皮の膠原線維の膨化・増生がある(3)全身性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬、ケロイド、(肥厚性)瘢痕、硬化性脂肪織炎を除外できる(ただし、合併している場合を除く)の3項目をすべて満たす場合に本症と診断する。なお、この診断基準は典型例を抽出する目的で作成されており、非典型例や早期例の診断では無力である。診断のために皮膚生検を行うが、典型的な病理組織像が得られないからといって本症を否定してはならない。診断の際に最も重要な点は、「体細胞モザイクを標的とした自己免疫」という本症の本質的な病態を臨床像から想定できるかどうか、という点である。抗核抗体は陽性例が多く、抗一本鎖DNA抗体が陽性の場合は、多くの症例で抗体価が疾患活動性および関節拘縮と筋病変の重症度と相関し、治療効果を反映して抗体価が下がる。病変の深達度を評価するため、頭部ではCT、MRI、脳波検査、四肢や関節周囲では造影MRIなどの画像検査を行う。頭頸部に病変がある場合は、眼科的・顎歯科的診察が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療の一般方針は以下の通りである1)。(1)活動性の高い皮疹に対しては、局所療法として副腎皮質ステロイド外用薬・タクロリムス外用薬・光線療法などを行う。(2)皮疹の活動性が関節周囲・小児の四肢・顔面にある場合で、関節拘縮・成長障害・顔面の変形がすでにあるか将来生じる可能性がある場合は、副腎皮質ステロイド薬の内服(成人でプレドニゾロン換算20mg/日、必要に応じてパルス療法や免疫抑制薬を併用)を行う。(3)顔面の変形・四肢の拘縮や変形に対して、皮疹の活動性が消失している場合には形成外科的・整形外科的手術を考慮する。なお、2019年にSHARE(Single Hub and Access point for paediatric Rheumatology in Europe)から小児期発症例のマネージメントに関する16の提言と治療に関する6の提言が発表されている2)。全身療法に関連した重要な4つの提言は以下の通りである。(1)活動性がある炎症期には、ステロイド全身療法が有用である可能性があり、ステロイド開始時にメトトレキサート(MTX)あるいは他の抗リウマチ薬(DMARD)を開始すべきである。(2)活動性があり、変形や機能障害を来す可能性のあるすべての患者はMTX15mg/m2/週(経口あるいは皮下注射)による治療を受けるべきである。(3)許容できる臨床的改善が得られたら、MTXは少なくとも12ヵ月間は減量せずに継続すべきである。(4)重症例、MTX抵抗性、MTXに忍容性のない患者に対して、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の投与は許容される。わが国の診療ガイドラインにおいても基本的な治療の考え方は同様であり、疾患活動性を抑えるための治療はステロイドおよび免疫抑制薬(外用と内服)が軸となり、活動性のない完成した病変による機能障害や整容的問題に対しては理学療法や美容外科的治療が軸となる。4 今後の展望トシリズマブとアバタセプトについてはpansclerotic morpheaやlinear scleroderma、脳病変やぶどう膜炎を伴う剣創状強皮症など、重症例を中心に症例報告や症例集積研究が蓄積されてきており、有力な新規治療として注目されている3)。ヒドロキシクロロキンについては、メイヨークリニックから1996~2013年に6ヵ月以上投与を受けたLSc患者84例を対象とした後方視的研究の結果が報告されているが、完全寛解が36例(42.9%)、50%以上の部分寛解が32例(38.1%)と良好な結果が得られたとされている(治療効果発現までに要した時間:中央値4.0ヵ月(範囲:1~14ヵ月)、治療効果最大までに要した時間:中央値12.0ヵ月(範囲:3~36ヵ月)、HCQ中止後あるいは減量後の再発率:30.6%)。JAK阻害薬については、トファチニブとバリシチニブが有効であった症例が数例報告されている。いずれも現時点では高いエビデンスはなく、今後質の高いエビデンスが蓄積されることが期待されている。5 主たる診療科皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター 限局性強皮症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)浅野 善英、ほか. 限局性強皮症診断基準・重症度分類・診療ガイドライン委員会. 限局性強皮症診断基準・重症度分類・診療ガイドライン. 日皮会誌. 2016;126:2039-2067.2)Zulian F, et al. Ann Rheum Dis. 2019;78:1019-1024.3)Ulc E, et al. J Clin Med. 2021;10:4517.4)Kouzak SS, et al. An Bras Dermatol. 2013;88:507-517.公開履歴初回2024年12月12日

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結婚相談所の未知なる世界~仕組みやルールをご紹介【アラサー女医の婚活カルテ】第3回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆さあ、「婚活カルテ」連載第3回です。前回は、マッチングアプリと結婚相談所(以下、相談所)を比較しながら、私が相談所での婚活を選んだ理由について述べました。今回は、相談所の仕組みや、驚きの独特な“ルール”についてご紹介しますよ。相談所の仕組み…「連盟」って何?全国津々浦々、何千もの相談所がありますが、昔ながらの「仲人さん」とは異なり、それぞれの相談所が独立して結婚相手を紹介しているわけではありません。数千の相談所が集まって、相互に結婚相手候補を紹介し合うための、全国的なネットワークを形成しています。これが「連盟」です。全国にいくつかの連盟があり、「どの連盟に所属しているか」は結婚相談所ごとに異なっています。複数の連盟に所属している相談所も多く、その場合は、その相談所の会員は複数の連盟を「掛け持ち」することが可能です。大手の連盟である「IBJ」や「TMS」、「コネクトシップ」はそれぞれ約9万人、4万5,000人、3万人(それぞれ公式サイト参照)の会員数をうたっていますが、重複している会員も多いはずです。(なお、相談所の中でも「ツヴァイ」や「オーネット」は自社会員だけでの運営で、ちょっと特殊な位置付けです。私自身はこれらを利用しなかったので、詳細は割愛します)相談所婚活の流れ…仮交際、真剣交際の驚きのスピード感!相談所での婚活の大まかな流れをご説明します。まずWeb上でお相手のプロフィール画面を見ます。これは、昔ながらのお見合いでいう「釣書」のようなもので、写真や自己紹介文(あるいは相談所担当者による他己紹介文)に加え、家族構成や学歴(具体的な学校名は伏せている方が多いですが、「高卒」「大卒」「大学院卒」など)、職業、年収などが記載されています。当然ながら、同性の会員は表示されません(女性会員の画面では男性会員のみが表示される仕組みとなっています)。良さそうなお相手がいたらお見合いを申し込み、マッチングが成立したら、「お見合い」へと進みます。もちろん、自分が相手から申し込まれることもあります。お見合い後、双方がまた会いたいと思えば晴れて「仮交際」が成立し、お互いの電話番号が開示されます(連盟によって多少の差異あり)。この段階で、電話でコンタクトを取り、初デートの約束をします(これを「ファーストコール」と呼びます。詳細後述)。一般的な恋愛と違うのは、「仮交際」では「複数人との並行交際が可能である」ということです(もちろん、大っぴらに「あなた以外にも仮交際相手がいます」と示すのはマナー違反ですが……)。「交際」とは名ばかりで、実際は「お友達」程度の距離感でデートを重ねます。お互いに、「この方1人に絞りたい」と思ったら、「真剣交際」へと進みます。ここでは並行交際はできず、真剣交際のお相手以外との仮交際はすべて終了となります。1対1でしっかり向き合って、結婚に向けた擦り合わせができたら、いよいよプロポーズ、そして「成婚退会」となります。相談所によってやや違いはありますが、「仮交際」の期間は1~2ヵ月、「真剣交際」の期間は1~3ヵ月程度が目安のようです。つまり、順調に進めば、出会ってから成婚退会まで、半年にも満たない(!)ということになります。一般的な恋愛結婚では、なかなかないスピード感ですよね。お見合いはホテルのラウンジで!相談所独特のルールとは相談所には、いくつか独特な「ルール」があります。連盟によって異なりますが、私が利用していた連盟では、お見合い場所は「ホテルのラウンジ」、お見合いの飲食代は「男性側の負担」というルールでした(少々、昭和感は否めませんが……)。婚活を始めるまでは、休日の昼下がりにおめかしして、ホテルのラウンジで1杯1,000円以上もするコーヒーを楽しむカップルを見ては、「わぁ~、ハイソ(←死語?)だなぁ」と思っていたものですが、婚活を経験した今なら、こう断言できます。……ホテルのラウンジでお茶しているカップルのほとんどが、お見合いに臨む初対面の男女です!また、仮交際成立時の「ファーストコール」も、相談所ならではの文化といえるでしょう。規定の時刻(私の所属していた連盟では21時でした)に男性が女性に電話を掛け、初デートの日程を決めるのですが、LINEでの手軽な連絡に慣れた身には、直電はなかなかハードルが高いですよね……。ファーストコールは、たいていお見合いの翌日でしたが、その日が当直だと、電話に出ることができません。そのような場合、相談所の担当者を通じてお相手に連絡し、時間をずらしてもらうようお願いするのですが、ちょうど相談所の休業日だった場合は、連絡のしようがなく、困ったものでした。さらに、こんなルールもあります。一般的な大人同士の恋愛では、恋人ができると、手をつないで……ハグやキスをして……そしてその先へ……という流れになるかと思います。しかし、相談所では、真剣交際の相手であっても、成婚退会までは性交渉NG!なのです。「身体目的」の相手から身を守れる点では良い制度ですが、最初に説明を受けた際には驚いたものです。いかがでしたか?外の世界からはなかなか見えない、相談所内の独特な仕組みやルールについてご紹介しました。次回は、いよいよ私、こん野かつ美が、相談所での婚活をスタートした際の体験談をお届けします。お楽しみに☆

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COVID-19罹患で自己免疫・炎症性疾患の長期リスクが上昇

 COVID-19罹患は、さまざまな自己免疫疾患および自己炎症性疾患の長期リスクの上昇と関連していることが、韓国・延世大学校のYeon-Woo Heo氏らによる同国住民を対象とした後ろ向き研究において示された。これまでCOVID-19罹患と自己免疫疾患および自己炎症性疾患との関連を調べた研究はわずかで、これらのほとんどは観察期間が短いものであった。著者は「COVID-19罹患後のリスクを軽減するために、人口統計学的特性、重症度、ワクチン接種状況を考慮しながら、長期的なモニタリングと管理が重要であることが示された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。 研究グループは、Korea Disease Control and Prevention Agency-COVID-19-National Health Insurance Service(K-COV-N)コホートを対象に、COVID-19罹患後の長期における自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクを調べた。対象は、2020年10月8日~2022年12月31日にCOVID-19罹患が確認された住民(COVID-19罹患群)、2018年に一般健康診断を受けた住民(対照群)とした。 主要アウトカムは、COVID-19罹患後の自己免疫疾患および自己炎症性疾患の発症率とリスクとした。逆確率重み付け法を用いて、人口統計学的特性、一般的な健康データ、社会経済的状況、併存疾患などの共変量を調整して解析した。 主な結果は以下のとおり。・観察期間180日超のCOVID-19罹患者314万5,388例、対照376万7,039例の計691万2,427例(男性53.6%、平均年齢53.39[SD 20.13]歳)が解析に含まれた。・COVID-19罹患群でリスクが高かった疾患(調整ハザード比、95%信頼区間)は以下のとおりであった。 円形脱毛症(1.11、1.07~1.15) 全頭脱毛症(1.24、1.09~1.42) 尋常性白斑(1.11、1.04~1.19) ベーチェット病(1.45、1.20~1.74) クローン病(1.35、1.14~1.60) 潰瘍性大腸炎(1.15、1.04~1.28) 関節リウマチ(1.09、1.06~1.12) 全身性エリテマトーデス(1.14、1.01~1.28) シェーグレン症候群(1.13、1.03~1.25) 強直性脊椎炎(1.11、1.02~1.20) 水疱性類天疱瘡(1.62、1.07~2.45)・人口統計学的特性(男性/女性、40歳未満/以上)別のサブグループ解析では、COVID-19罹患による自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクは、性別や年齢によって異なることが示された。・とくに、ICU入室を要する重症COVID-19罹患、デルタ株優勢期の感染、ワクチン未接種はCOVID-19罹患後の自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクが高かった。

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早発卵巣不全は自己免疫疾患と関連

 早発卵巣不全(POI)と診断された女性で、重度の自己免疫疾患の有病率が上昇するという研究結果が、「Human Reproduction」に9月25日掲載された。 オウル大学病院(フィンランド)のSusanna M. Savukoski氏らは、1988~2017年に自然発症のPOIと診断された女性3,972人と一般女性対照群1万5,708人を対象として、集団ベースの登録研究を行い、POI診断前後の重症自己免疫疾患との関連を検討した。 解析の結果、POIの女性における1つ以上の重度の自己免疫疾患の有病率は5.6%であった。POI女性は対照群と比較して、基準日以前に、多腺性自己免疫症候群、アジソン病、血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(IBD)、甲状腺機能亢進症を含む、複数の特異的な自己免疫疾患の有病率が高かった。1型糖尿病または強直性脊椎炎の有病率に、差は見られなかった。POI診断後の最初の3年間に重度の自己免疫疾患と初めて診断される標準化罹患比は2.8であったが、12年後には1.3に減少した。 著者らは、「この研究結果は、POIの発症機序に自己免疫機構が重要な役割を果たしているという仮説を補強するものである」と述べている。

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変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併

 変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)の患者はいずれも約10人に4人が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つを合併しているとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に7月16日掲載された。これらの併存疾患は自記式の多次元健康評価質問票(MDHAQ)で適切にスクリーニングできる可能性があることも示された。 OA患者とRA患者の合併症は類似しており、いずれも抑うつ、不安や線維筋痛症の合併率が高いことが知られている。しかし、実臨床ではこれらの併存疾患のスクリーニングは十分に行われていない。米ラッシュ大学医療センターのJuan Schmukler氏らは、2011年から2022年にかけて同センターを受診したOA患者361人(平均年齢66.6歳、女性80%)およびRA患者488人(同56.9歳、86%)を対象に、MDHAQの回答から不安、抑うつ、線維筋痛症の有病率などを検討するため、後ろ向きの横断研究を実施した。 なお、MDHAQには全般的な状態を評価するRAPID3、線維筋痛症の評価ツールであるFAST4、抑うつ状態の評価ツールであるMDS2、不安の評価ツールであるMAS2が含まれている。また、これら3つの併存疾患の有無とMDHAQに含まれる疼痛など別の指標の結果との関連も検討した。解析にはMantel-Haenszel法を用いた。 その結果、OA患者の40.4%(361人中146人)、RA患者の36.3%(488人中177人)が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つが陽性と判定された。OA患者の8.6%(361人中31人)、RA患者の7.0%(488人中34人)は3疾患全て陽性だった。また、不安、抑うつ、線維筋痛症のそれぞれが陽性だった場合に、身体機能、疼痛、全体の評価、RAPID3それぞれが悪化するオッズ比(OR)を算出したところ、不安が陽性だったRA患者における身体機能悪化のORが2.58と最も低く、線維筋痛症が陽性だったRA患者における疼痛悪化のORが35.75と最も高く、その他の場合はこれらの数字の中間となった。 著者らは「MDHAQを使用すれば、不安、抑うつ、線維筋痛症のスクリーニングを臨床現場で行えることが分かった。これによってOAやRA患者の状態や予後、治療への反応について、よりよい情報が得られるだろう」と述べている。著者の一人は製薬企業との利益供与を明らかにしており、別の著者はMDHAQおよびRAPID3の著作権と商標を有している。

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