サイト内検索|page:13

検索結果 合計:463件 表示位置:241 - 260

241.

悪性関節リウマチ〔MRA:malignant rheumatoid arthritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義本疾患は、「既存の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に、血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合」と定義される。本疾患は、わが国独自の概念で、欧米では血管炎を伴ったRAは「リウマチ様血管炎(rheumatoid vasculitis)」として二次性血管炎の1つとして分類されている。悪性関節リウマチ(malignant RA:MRA)は中・小血管炎だけでなく、肺線維症、胸膜炎などの関節外症状を伴った場合など、難治性もしくは重症の臨床病態を認める場合も含んでいる。■ 疫学MRAはRA患者の0.6〜1.0%にみられる。診断時の年齢のピークは60歳代で、男女比は1:2と女性に多い。MRAは厚生労働省特定医療費(指定難病)の対象疾患となっており、平成28年度末の受給者証所持者数は6,067名である。■ 病因現在も病因は不明である。発症に免疫学的機序の関与が推測されている。MRAは、さまざまな関節外症状を呈する疾患であるため、発症因子には、関節リウマチの発症因子、血管炎の発症因子、間質性肺炎の発症因子、その他の関節外症状の発症因子などが混在していると思われる。血管炎を呈したMRAでは、血清のリウマトイド因子高値、低補体血症、血清中免疫複合体高値を認め、免疫複合体の関与する血管炎が生じていると推測される。■ 症状表1に「厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班」によるMRAの診断基準を示す。関節リウマチによる多関節の腫脹・疼痛に加え、中・小型血管炎に基づく諸症状(多発性神経炎、皮膚潰瘍、指趾壊疽、上強膜炎、虹彩炎、心筋炎、腸管・肺などの梗塞など)、間質性肺炎、胸膜炎などが主症状である。一般にMRAを呈するのは、長期罹患のRAで疾患活動性の高い症例である。同様に重症度分類を表2に示す。表1 悪性関節リウマチの診断基準(厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班作成)<診断基準>1.臨床症状(1)多発性神経炎:知覚障害、運動障害いずれを伴ってもよい。(2)皮膚潰瘍または梗塞または指趾壊疽:感染や外傷によるものは含まない。(3)皮下結節:骨突起部、伸側表面または関節近傍にみられる皮下結節。(4)上強膜炎または虹彩炎:眼科的に確認され、他の原因によるものは含まない。(5)滲出性胸膜炎または心嚢炎:感染症など、他の原因によるものは含まない。癒着のみの所見は陽性にとらない。(6)心筋炎:臨床所見、炎症反応、筋原性酵素、心電図、心エコーなどにより診断されたものを陽性とする。(7)間質性肺炎または肺線維症:理学的所見、胸部X線、肺機能検査により確認されたものとし、病変の広がりは問わない。(8)臓器梗塞:血管炎による虚血、壊死に起因した腸管、心筋、肺などの臓器梗塞。(9)リウマトイド因子高値:2回以上の検査で、RAHAないしRAPAテスト2,560倍以上(RF960IU/mL以上)の高値を示すこと。(10)血清低補体価または血中免疫複合体陽性:2回以上の検査で、C3、C4などの血清補体成分の低下もしくはCH50による補体活性化の低下をみること、または2回以上の検査で血中免疫複合体陽性(C1q結合能を基準とする)をみること。2.組織所見皮膚、筋、神経、その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。3.診断のカテゴリー皮膚、筋、神経、その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。ACR/EULARによる関節リウマチの分類基準 2010年(表1)を満たし、上記に掲げる項目の中で、(1)1.臨床症状(1)~(10)のうち3項目以上満たすもの、または(2)1.臨床症状(1)~(10)の項目の1項目以上と2.組織所見の項目があるもの、を悪性関節リウマチ(MRA)と診断する。4.鑑別診断鑑別すべき疾患、病態として、感染症、続発性アミロイドーシス、治療薬剤(薬剤誘発性間質性肺炎、薬剤誘発性血管炎など)の副作用があげられる。アミロイドーシスでは、胃、直腸、皮膚、腎、肝などの生検によりアミロイドの沈着をみる。関節リウマチ(RA)以外の膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎など)との重複症候群にも留意する。シェーグレン症候群は、関節リウマチに最も合併しやすく、悪性関節リウマチにおいても約10%の合併をみる。フェルティー症候群も鑑別すべき疾患であるが、この場合、白血球数減少、脾腫、易感染性をみる。画像を拡大する■ 分類定まった分類はないが、血管炎型と間質性肺炎型など血管炎以外の症候を呈する型の2型に大別できる。血管炎型は、さらに全身性動脈炎型(多臓器性)と末梢動脈炎型(四肢末梢および皮膚の血管内膜の線維性増殖を呈する)の2つの型に分けられる。■ 予後血管炎型の中で全身性動脈炎型は、多臓器を侵し、生命予後は不良である。末梢動脈炎型は、生命予後は良好である。血管炎以外の予後不良を来す臓器症状としては、間質性肺炎がある。皮膚潰瘍が難治の場合もある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)長期罹患の関節破壊が進行したRAに、血管炎症状または肺症状(間質性肺炎、胸膜炎)や皮下結節を認めた場合に疑う。診断基準は、表1に示したように臨床症状のみ、または臨床症状と組織所見を組み合わせて診断する。鑑別診断として、RAに合併した感染症、続発性アミロイドーシスおよび治療薬剤による多臓器障害。RAと全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、抗好中球細胞質抗体関連血管炎など他の膠原病との重複(オーバーラップ)例などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)関節リウマチに対する治療と関節外症状に対する治療を行う。抗リウマチ薬を含む免疫抑制療法が基本である。皮膚病変や胸膜炎に対しては、主に中等量の副腎皮質ステロイド薬の経口投与(PSL換算0.5mg/kg/日)で治療を開始。全身性血管炎症候に対しては、副腎皮質ステロイド(メチルプレドニゾロン500~1,000mg大量点滴静注療法、3日間連続)、シクロホスファミド点滴静注療法(500~750mg/m2/月)または経口シクロホスファミド(1~2mg/kg/日)治療を行う。4 今後の展望生物学的製剤など関節リウマチに対する治療の進歩により、血管炎を呈したMRAの頻度は減少し、臨床像も変化していると思われる。MRAに関する全国的な調査により、臨床病型や予後を検討する必要があると思われる。5 主たる診療科リウマチ科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班 悪性関節リウマチ/リウマチ性血管炎(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター:悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)松岡康夫. 難治性血管炎の診療マニュアル(難治性血管炎に関する調査研究班 班長 橋本博史)2002;35-40.公開履歴初回2018年10月9日

242.

日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。 研究グループは、日本人の抗-enolase AIR患者25例(女性16例、男性9例、初診時平均年齢60.8歳)の49眼を対象に、眼底の特徴、視野検査、スペクトラルドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)、網膜電図(ERG)による検査、最高矯正視力(BCVA)および全身における腫瘍の複合について評価した。また、1例の患者の摘出眼において、免疫組織化学染色を用いてα-enolase蛋白の局在を調べた。 主な結果は以下のとおり。・25例の患者は、ドルーゼン多発(48%)、網膜変性(36%)、眼底正常(16%)の3群に分類された。・ドルーゼンは、小さな沈着から卵黄様病変まで、さまざまな大きさが認められた。・SD-OCT所見は、ドルーゼンに対応してRPEがドーム状に隆起し内部反射を伴っていた。・視野検査では、輪状暗点の頻度が最も高かった(39%)。・ERGでは、桿体反応または錐体反応の低下が81%の眼で認められた。・桿体と錐体の混合反応については、ドルーゼン多発群より網膜変性群においてa波の振幅が有意に小さかった(p=0.005)。・BCVAは、追跡調査中に80%の眼で改善または維持された。・患者の30%で悪性または良性腫瘍が発見された。・免疫染色の結果、RPEおよび視細胞層はα-enolase陽性であった。

243.

JAK阻害薬が関節リウマチの新治療戦略へ

 2018年8月28日、ファイザー株式会社は、関節リウマチ(RA)プレスカンファレンスを都内で開催した。本セミナーでは、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)の発売開始から5年を期し、「日本人3,929例の全例市販後調査 中間解析に基づく安全性評価」をテーマに講演が行われた。関節リウマチの治療推奨は欧州と同等 田中 良哉氏(産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授)は、RAの新治療戦略について「リウマチ患者の関節は(炎症を起こしているから)腫れていて触ると熱い。一度変形した関節は二度と元に戻らない。また、患者の半分近くがドライアイ・ドライマウスを抱えており、肺病変も起こりうる。関節だけでなく、全身症状を伴うからこそ、適切な治療が必要だ」と強調した。 わが国におけるRAの治療指針は、欧州リウマチ学会によるレコメンデーション(EULAR 2016 update)1)にほぼ準拠している。RAの診断後、PhaseIではDMARDsであるメトトレキサート(以下MTX、MTX禁忌の場合はレフルノミド、スルファサラジンを単剤/併用)と短期間のステロイド剤併用を開始し、3ヵ月以内の改善および6ヵ月以内の治療目標達成(寛解または低疾患活動性)の場合は治療継続、効果不十分・副作用などで達成できなかった場合は、PhaseIIへと進む。 PhaseIIでは、別のDMARDsへの変更・追加とステロイドの併用療法を行うが、予後不良因子(自己抗体高値、高疾患活動性、早期の骨びらん・関節破壊出現など)がある場合、またはDMARDsの併用に不応の場合は、生物学的製剤とJAK阻害薬のいずれかを使用する。それでも治療目標を達成できない場合には、PhaseIIIへ移行し、生物学的製剤の変更、JAK阻害薬への切り替え、2剤目のTNF阻害薬の追加などが検討される。JAK阻害薬は治療抵抗例に有効な可能性 田中氏の医局の成績では、生物学的製剤の導入により、治療開始1年後には約3分の2の患者が低疾患活動性に到達できるという。しかし、残った中疾患活動性以上の患者では、関節破壊が進行してしまう。JAK阻害薬であるトファシチニブは、生物学的製剤による治療で効果不十分だった患者にとって、新たな選択肢となりうる。 2013年に行われたインターネットのアンケート調査2)によると、RA患者の32.6%(n=914)が発症後に仕事を辞めたもしくは変えたことがあると回答している。また、生物学的製剤の治療を受けている患者の37%(n=55)は、無効などを理由に治療に落胆を感じたという。「生物学的製剤ですべての患者が救われるわけではない」と同氏は語った。 経口服用できるトファシチニブは、単独でもMTXとの併用でも使用可能で、生物学的製剤と同等の効果があるとされ、期待が持たれている。RAに対するトファシチニブ休薬の多施設試験3)では、継続例では再燃がほとんど起こらなかったのに加え、寛解後の休薬例でも54人中20人が1年以上低疾患活動性を維持できたと紹介された。JAK阻害薬は安易に使っていい薬剤ではない 一方、田中氏はJAK阻害薬の有用性だけでなく、適正使用に関しても強く訴えた。「内服薬だからといって、安易に使っていい薬剤ではない。治療前のスクリーニングと治療中のモニタリングを適切に行い、全身管理が可能な医師に使ってほしい」と述べた。引き続き、安全性への注意が重要である。 同氏は、関節リウマチの治療戦略として「関節破壊ゼロを目指す」と掲げ、関節破壊が生じる前の治療、早期寛解導入を目指し、その後維持をすることで「普通の生活を送る」ことに重点を置いた。現在は、RA患者の生活スタイルや嗜好に合わせて治療選択をすることが可能であり、専門医らによる適切な治療の推進が望まれる。トファシチニブによる副作用報告 渥美 達也氏(北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室 教授)は、「ゼルヤンツの特定使用成績調査に基づく安全性評価」について、RAに対する特定使用成績調査(日本人3,929例)における中間報告を紹介した。調査の対象患者は、MTX 8mg/週を越える用量を3ヵ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者にトファシチニブが投与された例であり、全観察期間は3年間。投与中止症例についても、悪性腫瘍発言に関しては追跡調査を実施した。 6ヵ月観察における副作用発現割合では、感染症が最も多く11.22%を占め、突出して多かったのは帯状疱疹(3.59%)であり、上咽頭炎(1.47%)、肺炎(1.19%)が続いた。65歳以上で感染症の可能性が高くなるという結果もある。 懸念されていた悪性腫瘍については、3,929例中61例が報告されており、そのうち女性が68.9%、男性が31.1%を占めた。対象患者の割合は女性が80.5%であったため、悪性腫瘍の頻度は男性のほうが高くなる可能性がある。今後もエビデンスを構築と適切な評価のために、トファシチニブの全例調査は引き続き実施されるという。

244.

セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?

 セクキヌマブは乾癬性関節炎患者の痛みを2年にわたって改善させ、さらにその痛みはTNF阻害薬を使用しているかにかかわらず改善させる可能性があることが英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らの研究によって明らかになった。Arthritis Research & Therapy誌2018年6月号に掲載。 乾癬性関節炎の痛みは、患者の健康関連QOLに最も強く影響する要素の1つである。乾癬性関節炎患者に対して、セクキヌマブは健康関連QOLを含め、徴候や症状を迅速かつ持続的に改善させることが示されている。本研究では、乾癬性関節炎患者の痛みに与えるセクキヌマブの効果を評価するために、セクキヌマブの投与開始から104週目の間における患者の痛みのスコアを解析した。 著者らは治療開始から104週までの間にかけて、以下の3つの尺度で痛みを臨床的に測定した。・痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)とSF-36の体の痛みのスコアのベースラインからの変化・上記2項目について臨床における最小重要差以上の改善が認められた患者の割合・EQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目におけるno、moderate、extremeに該当する患者の割合 痛みの測定の相関はピアソンの相関係数により解析された。TNFナイーブ患者と、TNF阻害薬の不十分な応答や安全性/忍容性により投与を中止した(TNF-IR)患者に対する項目の設定を事前に行った解析は、観測データを用いて行われた。 主な結果は以下のとおり。・投与開始3週目におけるベースラインから改善した痛みのVASスコアの平均値はプラセボ群と比較してより大きく改善し、セクキヌマブ300mg投与群では-16.9(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では-12.6(p<0.05)で、スコアの改善は104週まで続いた。・投与開始4週目におけるSF-36の体の痛みのスコアはプラセボ群と比較して有意に改善し、セクキヌマブ300mg投与群では16.2(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では16.3(p<0.0001)で、スコアの改善は104週まで続いた。・プラセボと比較してセクキヌマブ300mg投与群と150mg投与群では、3週目と4週目における痛みのVASスコアとSF-36の体の痛みのスコアについて、臨床における最小重要差以上の改善が有意に大きかった。・投与開始4週目時点でのEQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目において、セクキヌマブ300mg投与群の15%、150mg投与群の9%、プラセボ群の5%がno pain/discomfortに分類され、さらにセクキヌマブ投与群ではこの割合が104週まで上昇した。・TNFナイーブあるいはTNF-IR患者においても、痛みのスコアがセクキヌマブ投与により有意に改善した。

245.

全身性エリテマトーデスに新たな経口薬登場か/Lancet

 標準治療ではコントロール不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の患者において、経口選択的JAK1/JAK2阻害薬であるバリシチニブ4mg投与は、徴候や症状を有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDaniel J. Wallace氏らによる第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌2018年7月21日号で報告している。安全性は、従来のバリシチニブ試験でみられたものと一致していた。現状ではSLE患者の医療的ニーズを十分に満たす治療法はない。著者は、「今回の結果は、SLEの経口治療薬として、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブの可能性について第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。24週間の第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験でバリシチニブの効果を検討 第II相試験は、11ヵ国78医療施設で患者を募り、24週間にわたって行われた。適格患者は、SLEと診断され、皮膚または関節に疾患活動性の炎症が認められる18歳以上の患者であった。 被験者を無作為に1対1対1の割合で3群に割り付け、それぞれバリシチニブ4mg、同2mg、プラセボを24週間投与した。 主要エンドポイントは、24週時点の関節炎または皮疹の消失(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index-2000:SLEDAI-2Kで定義)を達成した患者の割合。有効性と安全性の解析は、試験薬を1回以上服薬した全患者を包含して行った。バリシチニブ4mg群で有意な改善を確認 2016年3月24日~2017年4月27日の間に、314例が無作為化を受けた(バリシチニブ4mg群104例、同2mg群105例、プラセボ群105例)。 24週時点で、SLEDAI-2Kで関節炎または皮疹消失を達成したのは、バリシチニブ4mg群70/104例(67%)(対プラセボオッズ比[OR]:1.8、95%信頼区間[CI]:1.0~3.3、p=0.0414)、バリシチニブ2mg群61/105例(58%)(同OR:1.3、95%CI:0.7~2.3、p=0.39)。 有害事象の報告は、プラセボ群68例(65%)、バリシチニブ2mg群75例(71%)、バリシチニブ4mg群76例(73%)であった。重篤有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群10例(10%)、バリシチニブ2mg群11例(10%)、プラセボ群5例(5%)であった。死亡例の報告はなかった。なお重篤な感染症の報告は、バリシチニブ4mg群6例(6%)、バリシチニブ2mg群2例(2%)、プラセボ群1例(1%)であった。

246.

希少疾病の海外情報紹介サイト開設

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏、以下「TRI」と略す)は、希少・難治性疾患の海外情報を国内へ届けるウェブサイト“Orphanet Japan Website”を開設した。 TRIは日本医療研究開発機構(AMED)からの推薦を受け、2017年10月、希少疾患情報を収集・管理している国際的な機関であるOrphanet*(本部:フランス)にアジアで初めて加盟。その目的は、国内における難病情報の充実と、海外への情報共有からもたらされる難治性疾患の克服と説明する。そして、この加盟を受けて、今回同サイトの開設に至ったものである。 具体的なサイトメニューとしては、ニュース、国際ニュース、イベント、一般情報、ドキュメントなどの項目に分かれていて、さまざまなコンテンツが順次公開されていく。*Orphanetとは1997年、フランス国立保健医学研究所(Inserm)によって設立され、世界のあらゆる人々へ高品質な難病情報を提供し、診断・治療の向上を目指している。現在、ヨーロッパを中心に、約40ヵ国が参加。6,000を超える難病情報を保有。 今後、TRIではOrphanet加盟国として、次の活動を予定している。1)Orphanetが保有する難病情報などを日本語に翻訳し、同サイトより発信2)日本国内の難病領域に関する医療・検査施設などの情報をOrphanetデータベースに登録(Orphanet International Websiteから閲覧可能) なお、これらの活動は、Orphanet加盟各国で同じように実施されており、Orphanet Japan Websiteは日本での発信ツールとして位置付けられている。■参考オーファネットジャパン■関連記事希少疾病ライブラリ

247.

生物学的製剤の早期導入で寛解を目指す

 冒頭では、イミュノロジー グローバルマーケティング&コマーシャルオペレーションズ ヴァイス・プレジデントのティアゴ・ロドリゲス氏が、「アッヴィの免疫領域におけるこれまでの貢献、これからの取り組み」について語り、ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)発売10周年を記念し、自己注射時の負担軽減を目的に開発された、新しいペン型デバイスを、世界で初めて日本で導入したことを発表した。現在も、安全性を確保したうえで効果を高めることができないかと考え、多くの国・適応を対象に生物学的製剤の臨床試験を続けているという。 講演では、「各疾患領域における生物学的製剤の役割と今後の展望」について、領域別(関節リウマチ・消化器・皮膚)で3人の演者がレクチャーを行った。共通していた内容は、この10年で難治性疾患の治療が劇的に変わったということ、そして、生物学的製剤は早期に導入されるほど、寛解率が上がるということであった。安全性などへの懸念により、早期導入が進まない現状 初めに、竹内 勤氏(慶應義塾大学 医学部 リウマチ・膠原病内科 教授)が、関節リウマチ領域について説明した。生物学的製剤による治療は、関節破壊の進行抑制、労働生産性の改善などといった効果を発揮する。しかし、すでに破壊された関節は元に戻らないため、発症後どの段階で生物学的製剤を導入するかが重要であり、2~3年以内の導入が望ましいという。同氏は、「早期導入が進まない原因として、医師が安全性を憂慮し過ぎていることが考えられる。データはたくさんあるので、医師は有効性・安全性などについて積極的に正しい知識を習得し、必要な患者さんには生物学的製剤を導入してほしい」と語った。 続いて、日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長)が、消化器領域について講演を行った。同氏は、「生物学的製剤は、難治性の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)にパラダイムシフトを起こした」とその衝撃を表現した。かつては、薬物治療が無効な場合、大腸全摘の選択肢しか残されていなかった。しかし、生物学的製剤の登場で、難治性の炎症性腸疾患は激減し、寛解導入・寛解維持は容易になったという。同氏は、「今後、患者は多くの選択肢から適切な治療を選ぶことができ、体調の悪化による活動制限から解放され、通常の日常生活を送ることが可能になるだろう」と展望を述べた。発症後、時間が経つほど苦痛は蓄積する 最後に、小林 里実氏(社会福祉法人聖母会 聖母病院皮膚科 部長)が、乾癬を中心に、皮膚科領域への期待を語った。乾癬は、重症化すると関節破壊を起こすことがあり、QOLの低下はがんにも匹敵する1)という。乾癬治療は、2010年に抗TNF製剤が登場して以降、劇的に変化し、生物学的製剤による治療で、PASIスコア(乾癬の面積と重症度の指標)が90%以上改善する例も見られるようになった。しかし、小林氏は、PASIスコアが0になったからといって、生活の質が完全に回復するわけではないことを指摘した。同氏は、「乾癬は、発症後の身体的・精神的な苦痛が大きく、それらは蓄積され、経験として残る。早期の適切な治療がもっとも重要だ」と強調した。 講演の後には、生物学的製剤によって疾患の苦しみから解放された患者や患者の家族らがパネルディスカッションを行った。「これからの10年は、難治性疾患の苦しみで社会に出られなかった患者たちが、生物学的製剤の力を借りて社会に戻っていける時代だ」と締めくくった。

248.

今だから聞きたいバイオシミラーの基礎

 2018年6月20日、ファイザー株式会社は、「バイオ医薬品・バイオシミラーの基礎と医療制度を取り巻く環境について」をテーマに、第1回バイオシミラー勉強会を都内で開催した。 バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いて製造される医薬品であり、「生物学的製剤」とも呼ばれる。2000年頃から医薬品市場に登場して以来、関節リウマチの寛解率やがん患者の生存率を改善するなど、医療の質を大きく向上させた。近年、売上高は右肩上がりで大幅に推移しており、今後も重要な治療選択肢となりうる。バイオシミラーはバイオ医薬品と同等の品質管理体制 バイオ医薬品の特性の1つとして、不均一性がある。微生物や細胞を用いて製造するため、製品に含まれる薬効成分は、わずかに構造がばらついた分子の混合物と考えられている。しかし、この不均一性に対しては、あらかじめ許容域が定められており、各種の試験結果が許容範囲内に収まる製品のみが市場に出ている。 バイオシミラーとは、国内ですでに承認されたバイオ医薬品(先行品)の後続品である。バイオシミラーの開発ガイドラインは、バイオ医薬品の製造工程変更に関する国際的なガイドライン(ICH Q5E)に基づいて策定されており、先行品と「同等/同質」の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、バイオシミラーが開発・承認される。同等/同質とは、まったく同一ということではなく、品質特性において類似性が高く、安全性・有効性に有害な影響を及ぼさないことを示している。 つまり、バイオシミラーの開発では、臨床的に同等/同質であることを検証する必要があり、品質特性解析に重点が置かれ、非臨床試験、臨床薬理試験、臨床試験と段階的に試験が行われる。また、承認・販売後は、免疫原性の問題などに留意し、製造販売後調査の実施も求められる。バイオシミラー市場の拡大で、医療費の負担軽減へ 本セミナーでは、益山 光一氏(東京薬科大学 薬学部 薬事関係法規研究室 教授)が、講演を行った。同氏は、バイオ医薬品について「生命を脅かす重篤な疾患や慢性疾患の治療薬として、多大な恩恵をもたらした」とたたえたが、同時に、2017年における世界の医薬品売り上げで、トップ3をバイオ医薬品が占めることなど、医療費にかかる負担を指摘した。わが国の国民医療費は、2013年以降40兆円を超えているが、バイオ医薬品の市場が今後も拡大していくことを考えると、医療費が下がるとは考えにくい。そこで、平等な医療制度を継続していくためにも、バイオシミラーの存在が重要になるという。 売り上げ上位のバイオ医薬品における特許期間は、2020年までに続々と終了していく見込みであり、国の支援方針としては、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)に、「2020年度末までに、バイオシミラーの品目数倍増(成分数ベース)を目指す」と明記されている。しかし、安かろう悪かろうと思われてしまうとバイオシミラー使用率の向上は難しいため、国民への認知推進とともに、医療者が、有効性だけでなく、免疫原性など安全性についての情報も、収集・提供していくことが重要である。 益山氏は、厚生労働省で勤務していた頃を振り返り、「ジェネリック医薬品の使用推進には20年かかった。バイオシミラーではもう少し早く達成できるように発信していきたい。バイオシミラーについて、まず医療に携わる者が正しい知識を身に付け、新規バイオ医薬品とバイオシミラーを適切に選択し、バイオ医療の発展による治療アウトカムのいっそうの向上を期待する」と、講演を締めくくった。 同社によるバイオシミラー勉強会は、8月に第2回、9月に第3回が開催予定(全3回)。■参考ファイザー株式会社 医薬開発部門の取り組み

250.

自己免疫疾患とストレス:過剰ストレスは百害あって一利なし(解説:岡村毅氏)-881

 スウェーデンの大規模コホート研究で、ストレスに関連した精神疾患(PTSDなど)と診断された人は、後に自己免疫疾患と診断されるリスクが高いことが報告されている。貴重な報告である。 体の病気とストレスは関係していそうである。病院で患者さん方の話を聞いていると、あるいは街でおしゃべりをしていると、「Aさんは〇〇と診断されたが、思い返してみると、しばらくストレスの多い生活をしていたらしい。やはりストレスはよくないね」というプロットは定番である。しかし冷静に考えてみれば、ストレスがなければ発症しなかったのか、ということについてはわからないのだ。そうなると、本研究のような大規模な疫学研究の出番である。 以下は精神科医の雑談として読んでいただきたい。 ところで、なぜ自己免疫疾患なのだろうか。受け止めきれないくらいの大きなストレスにさらされたとき、自己と他者の境界は揺らぐが、精神医学的には解離性障害(その記憶をなくす、現実感を失う、などの防衛機制)が生じると考えたくなる。しかし、東大免疫学教室元教授の故多田富雄が『免疫の意味論』(青土社. 1993)の中で、身体的に「自己」を規定しているのは免疫系であって脳ではないと述べたように、自己と他者の境界が揺らぐことで自己免疫疾患が生じることもあるかもしれない(なお本論文にはそういうことは一切書いてなく、普通に視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)のことが書いてあるので、あくまで筆者の妄想ですが)。 また本論文の意義を広い視野で考えると、身体科と精神科のいっそうの協働必要性であろう。あくまで個人的経験だし、「ごーまん」と思われたら謝るしかないが、総合病院においては各診療科の精神医学的センスの格差が大きいことに驚く。どういうことかというと、本当に要注意のケースを的確に精神科受診させる科もあれば、ずれた依頼が多い科、あるいはほとんど依頼してこない科もある。その昔は、患者さんや家族とトラブルがあると「変な人の対応をしてよ」と依頼してくるようなケースもあった(いうまでもなく人間関係のこじれはお断りです)。このセンスの差を決めるのは何であろうか? 個人の力量? 診療科固有の思考形式? 単に、その病院のその診療科の人間関係や雰囲気? 興味は尽きない。 いずれにしても、過度のストレスにいいことは何もない。筋トレだって週に2回くらいが筋肥大にはちょうどいい。医療現場は究極の感情労働であるが、過度のストレスで致命的な転帰に向かうくらいなら、静かに逃げ出して再起を図ってほしい。

251.

ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。ストレス関連障害曝露群を、適合非曝露群および兄弟姉妹群と比較 研究グループは、1981年1月1日~2013年12月31日に、スウェーデン生まれの住民を対象とした集団および兄弟姉妹適合後ろ向きコホート研究を行い、ストレス関連の障害が自己免疫疾患発症と関連しているかを調べた。コホートには、ストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、およびその他のストレス障害)と診断された10万6,464例(曝露群)と、それら診断歴のない適合集団106万4,640例(非曝露群)および曝露群の兄弟姉妹12万6,652例が含まれた。 ストレス関連障害と自己免疫疾患は、全国患者登録で特定した。また、Coxモデルを用いて、ストレス関連障害の診断後1年超で発症が認められた41の自己免疫疾患に関するハザード比(HR)を、多数のリスク因子で調整して、95%信頼区間(CI)とともに算出した。非曝露群と比較した曝露群の自己免疫疾患リスクのハザード比は1.36 ストレス関連障害と診断された年齢中央値は41歳(四分位範囲:33~50)、曝露群の男性の比率は40%であった。 平均追跡期間10年間の自己免疫疾患罹患率は、1,000人年当たり、曝露群9.1、非曝露群6.0、兄弟姉妹群6.5であった。曝露群の、非曝露群に対する絶対率差は3.12(95%CI:2.99~3.25)、兄弟姉妹群に対する同差は2.49(95%CI:2.23~2.76)であった。 非曝露群と比較して、ストレス関連障害患者では、自己免疫疾患のリスクが高かった(HR:1.36、95%CI:1.33~1.40)。また、PTSD患者のHRは、あらゆる自己免疫疾患の発症リスクが1.46(95%CI:1.32~1.61)であり、複数(≧3)の自己免疫疾患のリスクは2.29(95%CI:1.72~3.04)であった。 これらの関連性は、兄弟姉妹ベースの比較においても認められた。 相対リスクの上昇は、若年患者群においてみられることが確認された。HR(95%CI)は、≦33歳群で1.48(1.42~1.55)、34~41歳群1.41(1.33~1.48)、42~50歳群1.31(1.24~1.37)、≧51歳群1.23(1.17~1.30)であった(相互作用のp<0.001)。 なお、PTSD診断後1年間にSSRI薬を服用していた場合、服用継続期間が長いほど自己免疫疾患発症リスクの有意な低下が認められた。HR(95%CI)は、≦179日では3.64(2.00~6.62)、180~319日では2.65(1.57~4.45)、≧320日では1.82(1.09~3.02)であった(傾向のp=0.03)。

252.

JAK1阻害薬upadacitinibが関節リウマチ再発例の症状改善/Lancet

 疾患活動性が中等度~重度の関節リウマチ再発例の治療において、選択的JAK1阻害薬upadacitinibの12週、1日1回経口投与により、症状が著明に改善することが、米国・スタンフォード大学のMark C. Genovese氏らが行った「SELECT-BEYOND試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月13日号に掲載された。upadacitinibは、他のJAKファミリーのメンバーに比べJAK1に高い選択性を持つように遺伝子改変されたJAK阻害薬であり、第II相試験でメトトレキサートやTNF阻害薬の効果が不十分な患者の関節リウマチ徴候や症状を改善することが報告されている。26ヵ国153施設に499例を登録 SELECT-BEYONDは、26ヵ国153施設が参加した国際的な二重盲検無作為化対照比較試験である(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、活動性の関節リウマチを発症し、生物学的製剤(bDMARD)の効果が不十分または不耐となり、同時に従来型抗リウマチ薬(csDMARD)の投与も受けている患者であった。 被験者は、upadacitinib徐放薬15mgまたは30mgまたはそれぞれのプラセボを12週間、1日1回経口投与した後、同薬15mgまたは30mgをさらに12週間投与する群に2対2対1対1の割合でランダムに割り付けられた。 主要エンドポイントは、以下の2つとした。1)12週時に、米国リウマチ学会(ACR)基準で20%の改善を達成した患者の割合(ACR20)、2)12週時に、C反応性蛋白(CRP)で評価した28関節の疾患活動性スコア(DAS28[CRP])≦3.2点を達成した患者の割合。有効性と安全性の解析は、修正intention-to-treat集団(試験薬の投与を1回以上受けた患者)で行った。 2016年3月15日~2017年1月10日の期間に、499例(upadacitinib 15mg群:165例、同30mg群:165例、プラセボ→同15mg群:85例、プラセボ→同30mg群:84例)が登録され、15mg群の1例が治療開始前に脱落した。12週時ACR20達成率は約2倍、DAS28(CRP)≦3.2点達成率は約3倍に 全体の平均罹患期間は13.2(SD 9.5)年で、bDMARDの投与歴は1剤が47%(235/498例)、2剤が28%(137例)、3剤以上が25%(125例)であり、12週の治療を完遂したのが91%(451例)、24週の治療の完遂例は84%(419例)であった。平均年齢はupadacitinib 15mg群(164例)が56.3(SD 11.3)歳、同30mg群(165例)が57.3(SD 11.6)歳、プラセボ群(169例)は57.6(SD 11.4)歳であり、女性がそれぞれ84%、84%、85%だった。 12週時のACR20達成率は、15mg群が65%(106/164例)、30mg群は56%(93/165例)であり、プラセボ群の28%(48/169例)に比し、いずれの用量群も有意に高かった(いずれもp<0.0001)。DAS28(CRP)≦3.2点の達成率は、15mg群が43%(71/164例)、30mg群は42%(70/165例)と、プラセボ群の14%(24/169例)に比べ、いずれの用量群も有意に優れた(いずれもp<0.0001)。 12週時の有害事象の発生率は、15mg群が55%(91/164例)、プラセボ群は56%(95/169例)と類似したが、これに比べ30mg群は67%(111/165例)と頻度が高かった。最も高頻度の有害事象は、上気道感染症(15mg群:8%[13例]、30mg群:6%[10例]、プラセボ群:8%[13例])、鼻咽頭炎(4%[7例]、5%[9例]、7%[11例])、尿路感染症(9%[15例]、5%[9例]、6%[10例])、関節リウマチの増悪(2%[4例]、4%[6例]、6%[10例])であった。 重篤な有害事象は、15mg群の5%(8例)に比べ30mgは7%(12例)と、多い傾向がみられ、プラセボ群では発現を認めなかった。重篤な感染症、帯状疱疹、治療中止の原因となった有害事象も、15mg群やプラセボ群よりも30mg群で多かった。プラセボ対照期間中に、upadacitinib投与例で肺塞栓症が1例、悪性腫瘍が3例、主要有害心血管イベントが1例、死亡が1例にみられた。 著者は、「これらのデータは、再発例におけるJAK阻害薬治療のエビデンスを拡張し、upadacitinibによる治療は臨床的、機能的なアウトカムや患者報告アウトカムを大幅に、かつ迅速に改善する可能性を示すもの」としている。

253.

JAK1阻害薬upadacitinibが難治性リウマチに有効/Lancet

 従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)で効果不十分の中等度~重度活動性関節リウマチ患者において、JAK1阻害薬upadacitinibの15mgまたは30mgの併用投与により、12週時の臨床的改善が認められた。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のGerd R. Burmester氏らが、35ヵ国150施設で実施された無作為化二重盲検第III相臨床試験「SELECT-NEXT試験」の結果を報告した。upadacitinibは、中等度~重度関節リウマチ患者を対象とした第II相臨床試験において、即放性製剤1日2回投与の有効性が確認され、第III相試験のために1日1回投与の徐放性製剤が開発された。Lancet誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。upadacitinib 15mgおよび30mgの有効性および安全性をプラセボと比較 SELECT-NEXT試験の対象は、csDMARDを3ヵ月以上投与され(試験登録前4週間以上は継続投与)、1種類以上のcsDMARD(メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド)で十分な効果が得られなかった18歳以上の活動性関節リウマチ患者。双方向自動応答技術(interactive response technology:IRT)を用い、upadacitinib 15mg群、30mg群または各プラセボ群に2対2対1対1の割合で無作為に割り付けし、csDMARDと併用して1日1回12週間投与した。患者、研究者、資金提供者は割り付けに関して盲検化された。プラセボ群には、12週以降は事前に定義された割り付けに従いupadacitinib 15mgまたは30mgを投与した。 主要評価項目は、12週時における米国リウマチ学会基準の20%改善(ACR20)を達成した患者の割合、ならびに、C反応性蛋白値に基づく28関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)が3.2以下の患者の割合である。有効性解析対象は、無作為化され少なくとも1回以上治験薬の投与を受けた全患者(full analysis set)とし、主要評価項目についてはnon-responder imputation法(評価が得られなかった症例はノンレスポンダーとして補完)を用いた。upadacitinibは両用量群で主要評価項目を達成 2015年12月17日~2016年12月22日に、1,083例が適格性を評価され、そのうち661例が、upadacitinib 15mg群(221例)、upadacitinib 30mg群(219例)、プラセボ群(221例)に無作為に割り付けられた。全例が1回以上治験薬の投与を受け、618例(93%)が12週間の治療を完遂した。 12週時にACR20を達成した患者は、upadacitinib 15mg群(141例、64%、95%信頼区間[CI]:58~70%)および30mg群(145例、66%、95%CI:60~73%)が、プラセボ群(79例、36%、95%CI:29~42%)より有意に多かった(各用量群とプラセボ群との比較、p<0.0001)。DAS28-CRP 3.2以下の患者も同様に、upadacitinib 15mg群(107例、48%、95%CI:42~55%)および30mg群(105例、48%、95%CI:41~55%)が、プラセボ群(38例、17%、95%CI:12~22%)より有意に多かった(各用量群とプラセボ群との比較、p<0.0001)。 有害事象の発現率は、15mg群57%、30mg群54%、プラセボ群49%で、主な有害事象(いずれかの群で発現率5%以上)は、悪心(15mg群7%、30mg群1%、プラセボ群3%)、鼻咽頭炎(それぞれ5%、6%、4%)、上気道感染(5%、5%、4%)、頭痛(4%、3%、5%)であった。 感染症の発現率は、upadacitinib群がプラセボ群より高かった(15mg群29%、30mg群32%、プラセボ群21%)。帯状疱疹が3例(各群1例)、水痘帯状疱疹ウイルス初感染による肺炎1例(30mg群)、悪性腫瘍2例(ともに30mg群)、主要心血管イベント1例(30mg群)、重症感染症5例(15mg群1例、30mg群3例、プラセボ群1例)が報告された。試験期間中に死亡例の報告はなかった。

254.

メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。 セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。EGPAの診断、喘息患者に神経症状が現れたら要注意 セミナーでは、石井 智徳氏(東北大学 血液免疫病学分野 特任教授)が、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について」をテーマにEGPAの最新の知見を講演した。 EGPAは、従来「チャーグ・ストラウス症候群」や「アレルギー性肉芽腫性血管炎」と呼ばれていたが、2012年より本症名で統一された。EGPAの病態は、気管支喘息というアレルギーの要素と種々の臓器障害という血管炎の要素を併せ持った疾患であり、自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)が出現することで著明な好酸球増多を起こし、血管に炎症を起こすとされている。わが国のEGPAの患者像として、推定患者は約2,000例、男女比では女性が多く、その平均発症年齢は55歳、気管支喘息の既往歴のある患者が多いという。 EGPAの全身症状としては、発現頻度順にしびれ、感覚障害などの「神経症状」(93%)、発熱、関節痛などの「全身症状」(76%)、肺炎などの「呼吸器症状」(60%)、紫斑などの「皮膚症状」(51%)、糸球体腎炎などの「腎障害」(39%)、副鼻腔炎などの「耳鼻咽喉症状」(23%)、不整脈などの「心血管系症状」(16%)、腹痛、下痢などの「消化器症状」(16%)、強膜炎などの「粘膜・目の症状」(10%)が報告されている。 診断では、先行症状の喘息、副鼻腔炎などからEGPAに結びつけることは難しく、ANCAでは臨床検査を行っても陽性率が30~50%とあまり高くなく、診断では見逃されている可能性が高いという。石井氏は「EGPAの診断では、患者教育と丁寧な問診、診察が求められ、患者が『最近、喘息発作が多い』『手足がしびれた感じがする』『足首に力が入らず上げられない』など訴えた場合は、本症を疑うべき」と診療のポイントを示した。また、EGPAでは、血管炎による心血管症状が最も予後に関わることから息切れ、心電図異常、MRI・心エコー検査の結果に注目する必要があるという。メポリズマブによるEGPA治療でステロイドを減量できた EGPAの治療では、現在第1選択薬としてステロイドが使用されている。ステロイドは、効果が確実に、早く、広く作用する反面、易感染症、骨粗鬆症、糖尿病の発症、脂質異常症、肥満など副作用も多いことが知られている。そこでステロイド抵抗性例やステロイドの減量を目的に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が治療で併用されている。効果はステロイドのように広くないものの、長期投与では副作用がでにくく、最初はステロイドで治療し、免疫抑制剤とともにステロイドを減量する治療も行われている。そして、今回登場した生物学的製剤メポリズマブは、好酸球を作るIL-5に結合することで、好酸球の増殖を阻止し、血管などでの炎症症状を抑える効果を持つ。副作用も注射部位反応はプラセボに比べて多いものの、重篤なものはないという。 最後に石井氏は、「本症のステロイド治療者で糖尿病を発症し、インスリン導入になった患者が、メポリズマブを使用したことでステロイドの減量が可能となり、インスリンを離脱、糖尿病のコントロールができるようになった」と具体的な症例を紹介するとともに、「メポリズマブは、好酸球浸潤のコントロールが難しかった症例への適用やステロイドが減量できなかった症例への効果が期待でき、さらに再燃を抑制し、寛解維持を目指すことができる」と希望を寄せ、講演を終えた。メポリズマブの製品概要 薬効分類名:ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体 製品名:ヌーカラ皮下注 100mg 効能・効果:(追加として)既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 用法・容量:通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する

255.

NIHやメガファーマが資金提供した臨床試験はやはり優れていた(解説:折笠秀樹氏)-873

 臨床試験の世界最大登録サイトであるClinicaltrials.govと医学文献データベースであるPubMedを使って、主にファンディング(財源)と臨床試験の品質との関係が調査された。登録された薬剤臨床試験として、最近の4万5,620件を対象にした。 ファンディングとスポンサリングとはちょっと異なる。ファンディングとは資金の出処(資金源)を指し、試験への関与は問わない。スポンサリング(主宰と訳す)とは資金提供とともに、試験への全面的関与も意味する。日本語では同じ意味で使われているようだが、区別しておきたい。A企業が資金提供して試験も全責任をもつ場合、ファンディングはA企業、スポンサリングもA企業となる。一方、A企業が資金提供するも、試験は研究グループが責任をもって実施する場合、ファンディングがA企業となるだけである。後者は、臨床研究法の中の「特定臨床研究」に該当する。 臨床試験など、いかなる研究にも財源が必須である。研究発表すると、「財源はどこですか」と聞かれる。「とくにない、手弁当だ」と答える日本人がいるが、それは欧米では通じないことが多い。外部資金を確保できない研究者は研究できないことになり、降格してカレッジなどへ移ることがある。もちろん、資金は外部からだけとは限らず、大学や病院から受けることもあるだろう。本調査では、財源を国家予算(NIH)、製薬企業(メガファーマ、中小ファーマ)、その他(財団、大学、病院など)に分けた。製薬企業52%(メガ31%、中小21%)、NIH11%、その他37%という結果であった。これは件数ベースの報告であり、金額ベースだと製薬企業の比率はもっと高いと思われる。 事前登録された臨床試験数は急速に伸びており、2017年には1万件を超えていた。それに伴い、品質の悪い臨床試験報告が増えている印象を持つ。査読の適当な雑誌も増えているのが原因だと思われる。量が増えると、平均的には必ず水準が下がる。統計的には「平均への回帰」と呼んでいる。1期生は優秀だが、どんどん水準が落ちていく例に似ている。だれでも臨床試験を手掛けられるよう、裾野が広がるためと思われる。ちなみに、事前登録はヘルシンキ宣言の35項に書かれている。 ヘルシンキ宣言には、「研究結果は必ず公表する」という研究者の義務についても書かれている(36項)。メガファーマやNIHが試験提供した臨床試験では60%程度の公表率であったが、その他の臨床試験では40%程度と低かった。これは何を意味しているだろうか。メガファーマやNIHの支援で実施された臨床試験のほうが、試験品質の良いことが推測される。品質の悪い試験は、雑誌の査読過程で棄却されがちだからである。 領域別の結果も出ていた。予想に反して、「がん・循環器・脳神経」領域で、ビッグファーマの割合が30%程度と最も低かった。この割合は件数ベースであり、金額ベースでは違うと推測される。これらの3領域は、規模が圧倒的に大きいことも影響していることだろう。

256.

メガファーマスポンサーの臨床試験は結果公表率が高い?/BMJ

 臨床試験のデザインと結果の公表は、疾患領域だけではなく資金提供組織のタイプや規模によっても大きく異なるという。英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMagdalena Zwierzyna氏らが、資金提供組織と専門領域別に臨床試験の実施状況、デザインの特性および公表(dissemination)について調査した記述分析の結果を報告した。登録された臨床試験であっても、試験デザインが最適でなかったり、結果の公開が遅れることはよくあり、全試験のほぼ半数が試験完遂後何年も公表されないままである。現在、さまざまな組織が臨床試験に資金提供を行っており、報告される割合やその他の研究の質は、資金提供組織のタイプによって異なる可能性が指摘されていた。BMJ誌2018年6月6日号掲載の報告。Clinicaltrials.govに登録された臨床試験計4万5,000件を検証 研究グループは、Clinicaltrials.govにおける試験のプロトコール情報、PubMedにおける試験結果に関する学術論文のメタデータ、Scimago Journal & Country Rankのデータベースにおける関連学術誌の品質測定法を用い、2006年1月以降2015年7月以前に完了した全臨床試験相にわたる無作為化試験および非無作為化試験で、分子標的治療、生物学的製剤、アジュバントおよびワクチンを評価した計4万5,620件について記述的分析を行った。大企業やNIHから資金提供を受けた臨床試験、結果の公表率は約6~7割 企業は非営利組織に比べ大規模な国際共同無作為化試験に資金提供しているようであったが、時間とともに資金提供する試験方法に差はみられなくなった。試験を完遂した有効性評価試験(第II~IV相試験)2万7,835件のうち、結果が公表されていたのは1万5,084件(54.2%)であった。 企業は非営利組織よりも試験結果を公表する可能性が高く(59.3%[1万444/1万7,627件]vs.45.3%[4,555/1万66件])、大規模製薬会社は小規模の製薬会社よりも公表率が高かった(66.7%[7,681/1万1,508件]vs.45.2%[2,763/6,119件])。また、米国国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けた試験は、他の非営利組織から資金提供を受けた試験よりも公表率が高かった(60.0%[1,451/2,417件]vs.40.6%[3,104/7,649件])。 大規模製薬会社ならびにNIHから資金提供を受けた試験の結果は、非営利組織から資金提供を受けた試験と比較して、Clinicaltrials.govに掲載されていることが多く、主に学術論文として公表されていた。無作為化試験は非無作為化試験に比べ学術雑誌で公表される可能性が高く(34.9%[6,985/19,711件])vs.18.2%[1,408/7,748件])、学術雑誌で発表される割合は腫瘍学で20%、自己免疫疾患では42%と、疾患領域によって差異があった。 なお著者は、Clinicaltrials.govに登録された臨床試験に限定していること、登録ミスや不適切な登録・不明確な用語といったデータの質に関する要因がある可能性を、研究の限界として挙げている。

258.

シナモンで関節リウマチ症状が緩和?

 わが国では、人口全体の0.4~0.5%、30歳以上ではおよそ1%が関節リウマチ(RA)にかかるといわれている。シナモンは、民間療法で関節炎などに使用されるが、詳細は検討されていなかった。今回、イラン・Ahvaz Jundishapur University of Medical SciencesのFarideh Shishehbor氏らの研究結果により、シナモンの摂取は、RA患者の炎症および臨床症状を改善する、安全かつ潜在的な補助的療法である可能性が示唆された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版2018年5月3日号に掲載。 本研究は、女性RA患者36例を対象とした無作為化二重盲検試験。対象者を無作為に2群に分け、シナモン粉末500mgまたはプラセボが入ったカプセルを8週間連日投与し、開始時および終了時の空腹時血糖(FBS)、脂質プロファイル、肝酵素、C反応性タンパク質(CRP)、TNF-α、赤血球沈降速度(ESR)、血圧、臨床症状を測定した。 主な結果は以下のとおり。・プラセボ群と比較して、シナモン群のCRPおよびTNF-αの血清中濃度が有意に減少した(p<0.001)。・拡張期血圧はプラセボ群と比較して、シナモン群で有意に低かった(p=0.017)。・プラセボ群と比較して、シナモン群は、臨床スコアであるDAS28(Disease Activity Score)、VAS(Visual Analogue Scale)、圧痛関節数および腫脹関節数を有意に減少させた(p<0.001)。・FBS、脂質プロファイル、肝酵素、またはESRの有意な変化は観察されなかった。

259.

高価な新薬が安い従来薬に敗れた日:高尿酸血症治療薬フェブキソスタットの屈辱(解説:桑島巌氏)-850

 心血管リスクが高い例では痛風を合併することが多く、以前は尿酸生成抑制薬アロプリノール(商品名:ザイロリック、サロベール、アロシトールなど)が尿酸低下効果も確実でありよく処方され、現在ではすでに後発品も登場している。 しかし、2011年に新薬フェブキソスタット(商品名:フェブリク)が登場すると、新薬に乗り換える臨床医が急増した。アロプリノールの尿酸低下作用は確実でしかも廉価であったにもかかわらず、なぜ薬価の高いフェブリクの処方が増えた理由については常に疑問に感じており、私自身はフェブリクを処方した経験はほとんどない。 そこにきて今回、フェブリクの心血管疾患の有害事象に対する非劣性を従来薬アロプリノールと比較、証明する目的で行われたCARES試験の驚きの結果が発表された。 痛風を合併している心血管高リスク症例6,190例を対象として、フェブキソスタット治療群とアロプリノール群にランダム化され、中央値32ヵ月追跡した。その結果、複合心血管イベントに関してはフェブキソスタットのアロプリノールに対する非劣性は認められたものの、2次エンドポイントである総死亡、心血管死のリスクは有意に高かったという結果であった。 フェブキソスタットは日本の帝人ファーマによって開発され、米国では武田薬品によって発売されているが、本試験は米国Takeda Development Center Americasの支援によって行われた試験である。 本試験のlimitationとして両群とも途中脱落例が異常に多いことが挙げられているが、その理由は明らかではない。両群における脱落率に差はないという。 この結果は非常に重大であり、高リスク合併例での本剤の処方について対応が必要だろう。

260.

全身性エリテマトーデス〔SLE:Systemic Lupus Erythematosus〕

1 疾患概要■ 概念・定義全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、自己免疫異常を基盤として発症し、多彩な自己抗体の産生により多臓器に障害を来す全身性炎症性疾患で、再燃と寛解を繰り返しながら病像が完成される。全身に多彩な病変を呈しうるが、個々人によって障害臓器やその程度が異なるため、それぞれに応じた管理と治療が必要となる。■ 疫学本疾患は指定難病に指定されており、令和元年(2019年)度末の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は6万1,835件であり、計算上の有病率は10万人中50人である。男女比は1対9で女性に多く、発症年齢は10~30代で大半を占める。■ 病因発症要因として、遺伝的背景要因に加えて、感染症や紫外線などの環境要因が引き金となり、発症することが考えられているが、不明点が多い。その病態は、抗dsDNA抗体を主体とする多彩な自己抗体の出現に加え、多岐にわたる免疫異常によって形成される。自然免疫と獲得免疫それぞれの段階で異常が指摘されており、樹状細胞・マクロファージを含めた貪食能を持つ抗原提示細胞、各種T細胞、B細胞、サイトカインなどの異常が病態に関与している。体内の細胞は常に破壊と産生を繰り返しているが、前述の引き金などを契機に体内の核酸物質が蓄積することで、異常な免疫反応が惹起され、自己抗体が産生され免疫複合体が形成される。そして、それらが各臓器に蓄積し、さらなる炎症・自己免疫を引き起こし、病態が形成されていく。■ 症状障害臓器に応じた症状が、同時もしくは経過中に異なる時期に出現しうる。初発症状として最も頻度が高いものは、発熱、関節症状、皮膚粘膜症状である。全身倦怠感やリンパ節腫脹を伴う。関節痛(関節炎)は通常骨破壊を伴わない。皮膚粘膜症状として、日光過敏症や露光部に一致した頬部紅斑のほかに、手指や四肢体幹部に多彩な皮疹を呈し、脱毛、口腔内潰瘍などを呈する。その他、レイノー現象、腎炎に関連した浮腫、肺病変や血管病変と関連した労作時呼吸困難、肺胞出血に伴う血痰、漿膜炎と関連した胸痛・腹痛、神経精神症状など、さまざまな症状を呈しうる。■ 分類SLEは障害臓器と重症度により治療内容が異なる。とくに重要臓器として、腎臓、中枢神経、肺を侵すものが挙げられ、生命および機能予後が著しく障害される可能性が高い障害である。ループス腎炎は組織学的に分類されており、International Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)分類が用いられている。神経精神ループス(Neuropsychiatric SLE:NPSLE)では大きく中枢神経病変と末梢神経病変に分類され、それぞれの中でさらに詳細な臨床分類がなされる。■ 予後生命予後は、1950年代は5年生存率がおよそ50%であったが、2007年のわが国の報告では10年生存率がおよそ90%、20年生存率はおよそ75%である1)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査所見として、抗核抗体、抗(ds)DNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、β2GPⅠ依存性抗カルジオリピン抗体など)が陽性となる。また、血清補体低値、免疫複合体高値、白血球減少(リンパ球減少)、血小板減少、溶血性貧血、直接クームス陽性を呈する。ループス腎炎合併の場合はeGFR低下、蛋白尿、赤血球尿、白血球尿、細胞性円柱が出現しうる。SLEの診断では1997年の米国リウマチ学会分類基準2)および2012年のSystemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)分類基準3)を参考に、他疾患との鑑別を行い、総合的に判断する(表1、2)。2019年に欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会が合同で作成した新しい分類基準4)が提唱された。今後はわが国においても本基準の検証を元に診療に用いられることが考えられる。画像を拡大する表2 Systemic Lupus International Collaborating Clinics 2012分類基準画像を拡大するループス腎炎が疑われる場合は、積極的に腎生検を行い、ISN/RPS分類による病型分類を行う。50~60%のNPSLEはSLE診断時か1年以内に発症する。感染症、代謝性疾患、薬剤性を除外する必要がある。髄液細胞数、蛋白の増加、糖の低下、髄液IL-6濃度高値であることがある。MRI、脳血流シンチ、脳波で鑑別を進める。貧血の進行を伴う呼吸困難、両側肺びまん性浸潤影あるいは斑状陰影を認めた場合は肺胞出血を考慮する。全身症状、リンパ節腫脹、関節炎を呈する鑑別疾患は、パルボウイルス、EBV、HIVを含むウイルス感染症、結核、悪性リンパ腫、血管炎症候群、他の膠原病および類縁疾患が挙がるが、感染症を契機に発症や再燃をすることや、他の膠原病を合併することもしばしばある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)SLEの基本的な治療薬はステロイド、免疫抑制薬、抗マラリア薬であるが、近年は生物学的製剤が承認され、複数の分子標的治療が世界的に試みられている。ステロイドおよび免疫抑制薬の選択と使用量については、障害臓器の種類と重症度(疾患活動性)、病型分類、合併症の有無によって異なる。治療の際には、(1)SLEのどの障害臓器を標的として治療をするのか、(2)何を治療指標として経過をみるのか、(3)出現しうる合併症は何かを明確にしながら進めていくことが重要である。SLEの治療選択については、『全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019』の記載にある通り、重要臓器障害があり、生命や機能的予後を脅かす場合は、ステロイド大量投与に加えて免疫抑制薬の併用が基本となる5)(図)。ステロイドは強力かつ有効な免疫抑制薬でありSLE治療の中心となっているが、免疫抑制薬と併用することで予後が改善される。ステロイドの使用量は治療標的臓器と重症度による。ステロイドパルス療法とは、メチルプレドニゾロン(商品名:ソル・メドロール)250~1,000mg/日を3日間点滴投与、大量ステロイドとはプレドニゾロン換算で30~100mg/日を点滴もしくは経口投与、中等量とは同じく7.5~30mg/日、少量とは7.5mg/日以下が目安となるが、体重により異なる6)(表3)。ステロイドの副作用はさまざまなものがあり、投与量と投与期間に依存して必発である。したがって、副作用予防と管理を適切に行う必要がある。また、大量のステロイドを長期に投与することは副作用の観点から行わず、再燃に注意しながら漸減する必要がある。画像を拡大する画像を拡大する寛解導入療法として用いられる免疫抑制薬は、シクロホスファミド(同:エンドキサン)とミコフェノール酸モフェチル(同:セルセプト)が主体となる(ループス腎炎の治療については別項参照)。治療抵抗性の場合、免疫抑制薬を変更するなど治療標的を変更しながら進めていく。病態や障害臓器の程度により、カルシニューリン阻害薬のシクロスポリン(同:サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(同:プログラフ)やアザチオプリン(同:イムラン、アザニン)も用いられる。症例に応じてそれぞれの有効性と副作用の特徴を考慮しながら選択する(表4)。画像を拡大するリツキシマブは、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)および欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)/欧州腎臓学会-欧州透析移植学会(European Renal Association – European Dialysis and Transplant Association:ERA-EDTA)の推奨7,8)においては、既存の治療に抵抗性の場合に選択肢となりうるが、重症感染症や進行性多巣性白質脳症の注意は必要と考えられる。わが国ではネフローゼ症候群に対しては保険承認されているが、SLEそのものに対する保険適用はない。可溶型Bリンパ球刺激因子(B Lymphocyte Stimulator:BLyS)を中和する完全ヒト型モノクローナル抗体であるベリムマブ(同:ベンリスタ)は、既存治療で効果不十分のSLEに対する治療薬として、2017年にわが国で保険承認され、治療選択肢の1つとなっている9)。本稿執筆時点では、筋骨格系や皮膚病変にとくに有効であり、ステロイド減量効果、再燃抑制、障害蓄積の抑制に有効と考えられている。ループス腎炎に対しては一定の有効性を示す報告10)が出てきており、適切な症例選択が望まれる。NPSLEでの有効性はわかっていない。ヒドロキシクロロキン(同:プラケニル)は海外では古くから使用されていたが、わが国では2015年7月に適用承認された。全身症状、皮疹、関節炎などにとくに有効であり、SLEの予後改善、腎炎の再燃予防を示唆する報告がある。短期的には薬疹、長期的には網膜症などの副作用に注意を要し、治療開始前と開始後の定期的な眼科受診が必要である。アニフロルマブ(同:サフネロー)はSLE病態に関与しているI型インターフェロンα受容体のサブユニット1に対する抗体製剤であり、2021年9月にわが国でSLEの適応が承認された。臨床症状の改善、ステロイド減量効果が示された。一方で、アニフロルマブはウイルス感染制御に関与するインターフェロンシグナル伝達を阻害するため、感染症の発現リスクが増加する可能性が考えられている。執筆時点では全例市販後調査が行われており、日本リウマチ学会より適正使用の手引きが公開されている。実臨床での有効性と安全性が今後検証される。SLEの病態は複雑であり、臨床所見も多岐にわたるため、複数の診療科との連携を図りながら各々の臓器障害に対する治療および合併症に対して、妊娠や出産、授乳に対する配慮を含めて、個々に応じた管理が必要である。4 今後の展望本稿執筆時点では、世界でおよそ30種類もの新規治療薬の第II/III相臨床試験が進行中である。とくにB細胞、T細胞、共刺激経路、サイトカイン、細胞内シグナル伝達経路を標的とした分子標的治療薬が評価中である。また、異なる作用機序の薬剤を組み合わせる試みもなされている。SLEは集団としてヘテロであることから、適切な評価のためのアウトカムの設定方法や薬剤ごとのバイオマーカーの探索が同時に行われている。5 主たる診療科リウマチ・膠原病内科、皮膚科、腎臓内科、その他、障害臓器や治療合併症に応じて多くの診療科との連携が必要となる。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 全身性エリテマトーデス(公費対象)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国膠原病友の会(膠原病患者とその家族の会)1)Funauchi M, et al. Rheumatol Int. 2007;27:243-249.2)Hochberg MC, et al. Arthritis Rheum. 1997;40:1725.3)Petri M, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:2677-2686.4)Aringer M, et al. Ann Rheum Dis. 2019;78:1151-1159.5)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究(自己免疫班),日本リウマチ学会(編):全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019.南山堂,2019.6)Buttgereit F, et al. Ann Rheum Dis. 2002;61:718-722.7)Hahn BH, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2012;64:797-808.8)Bertsias GK, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71:1771-1782.9)Furie R, et al. Arthritis Rheum. 2011;63:3918-3930.10)Furie R, et al. N Engl J Med. 2020;383:1117-1128.公開履歴初回2018年04月10日更新2022年02月25日

検索結果 合計:463件 表示位置:241 - 260