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代謝異常を伴う脂肪肝「MASLD」、慢性腎臓病の独立リスクに

 新しい脂肪肝の概念「MASLD;代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」が、慢性腎臓病(CKD)の独立したリスク因子であることが国内研究で示された。単一施設の約1.6万人の健康診断データを解析したもので、MASLDの早期発見や管理の重要性が改めて示された。研究は京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の大野友倫子氏、濱口真英氏、福井道明氏、朝日大学病院の大洞昭博氏、小島孝雄氏らによるもので、詳細は10月17日付で「PLOS One」に掲載された。 日本では食生活の欧米化に伴い肥満が増加し、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の有病率も上昇している。NAFLDは主に内臓脂肪やインスリン抵抗性と関連し、糖尿病や心血管疾患などの代謝異常を伴うことが多い。2020年には、こうした代謝背景を重視する形でNAFLDはMAFLDとして再定義され、日本の大規模コホート研究ではCKDの独立したリスク因子であることが報告された。さらに2023年、国際的専門家パネル(Delphiコンセンサス)により、より包括的でスティグマの少ない概念としてMASLDへと名称が変更され、少なくとも1つの心血管代謝リスク(BMI、血糖値、HDL-C値など)を伴う脂肪肝と定義された。本研究は、この新しい定義によるMASLDがCKD発症の独立したリスク因子となるかを明らかにすることを目的に、人間ドック受診者を対象とした縦断的コホート解析として実施された。 本研究では、岐阜県の朝日大学病院で実施されているNAFLDの縦断的解析(NAGALA Study)に基づき、1994~2023年の間に人間ドックを受けた1万5,873人を解析対象とした。ベースライン時点で肝疾患を有する者、またはCKD(推算糸球体濾過量〔eGFR〕<60mL/分/1.73m2、もしくはタンパク尿〔+1~+3〕が少なくとも3か月持続)と診断された者は除外した。参加者はアルコール摂取量、心血管代謝リスク、脂肪肝の有無によりグループ1~8までのカテゴリーに分類された。主要評価項目は、5年間の追跡期間中におけるCKDの新規発症率とし、ロジスティック回帰分析によりMASLDとCKD発症との関連を評価した。 解析対象の9,318人(58.7%)が男性で、平均年齢は43.7歳だった。追跡期間中のCKD新規発症率は、アルコール摂取が閾値以下で心血管代謝リスクおよび脂肪肝を認めないグループ1で最も低く(4.7%)、MASLDと診断されたグループ8で最も高かった(9.5%)。 次に、ベースライン時の年齢、性別、eGFR、喫煙習慣、運動習慣で調整した多変量解析を実施した。その結果、グループ1と比較して、MASLDと診断されたグループ8でのみCKD新規発症のオッズ比(OR)が有意に上昇した(OR 1.37、95%信頼区間〔CI〕1.12~1.67、P=0.002)。さらに、年齢(OR 1.04、95%CI 1.03~1.05、P<0.001)およびベースライン時のeGFR(OR 0.88、95%CI 0.87~0.89、P<0.001)も、CKDの有意な予測因子として同定された。 著者らは、「MASLDは、これまでのNAFLDを包含する新しい疾患概念として、CKD発症リスクを独立して高める可能性がある。特に日本に多い『非肥満型MASLD』では、腎機能低下リスクに注意が必要だ。今後は、筋肉量の影響を受けない腎機能指標を用いたリスク評価や、個別化された介入の検討が求められる」と述べている。 なお、本研究の限界点としては、参加者が岐阜県の人間ドック受診者に限られ、選択バイアスの可能性があること、食事内容や食後血糖などのデータが欠如している点などを挙げている。

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鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRA)とSGLT2阻害薬の併用が慢性腎臓病(CKD)治療の基本となるか(解説:浦信行氏)

 CKDに対する腎保護効果に関して、従来はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の使用が基本であった。また、一層の腎保護効果を期待してこの両者の併用も分析されたことがあったが、作用機序が近いこともあって相加効果は期待し難かった。 最近はMRAやSGLT2阻害薬の腎保護効果が次々と報告されるようになり、それぞれ複数の薬剤で有意な効果が報告されている。この両者の併用効果に関しては、2型糖尿病に伴うCKDを対象としたフィネレノンとエンパグリフロジン併用のCONFIDENCE試験が先行して行われ、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)で相加効果が確認されている。フィネレノンは従来のMRAとはMRへの結合の際の立体構造の変化が異なると報告され、その結果、高K血症の発症が少ないとされたが11.4%に認めた。エンパグリフロジンとの併用で9.3%に減少すると報告されたが、期待されたほど少なくはなかった。 このたびは、MRAのbalcinrenoneとSGLT2阻害薬のダパグリフロジン併用の腎保護効果を、2型糖尿病の有無にかかわらずUACR陽性のCKDで検討した(MIRO-CKD試験)。その結果は2025年11月27日配信のジャーナル四天王に概説されているが、ダパグリフロジン単独群より22.8~32.8%のUACRの有意な減少効果を示した。また、サブ解析では2型糖尿病の有無にかかわらず同等の効果を示し、腎機能障害の程度にかかわらず同等の効果を示している。問題は高K血症であるが6~7%にとどまり、ダパグリフロジン単独群の5%と大差がなく、対象324例で重症例はなかった。その機序は不明だが、尿中Na/K比に有意な変化はなかったことからbalcinrenoneによるK排泄の変動が大きくなかったと考えられるが、MRに対する他MRAとの相違の有無などの可能性は考察されていない。今後は、より多数例でより長期の試験が望まれ、ハードエンドポイントでの評価が望まれる。

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夕食時間が蛋白尿に影響、時間帯や患者特性は?

 蛋白尿や微量アルブミン尿は、心血管疾患および全死亡リスク上昇との関連が報告されている。また、いくつかの研究で、夕食時間の遅さと蛋白尿との関連が報告されているが、患者特性などは明らかにされていない。そこで今回、りんくう総合医療センター腎臓内科の村津 淳氏らは、夕食時間の遅さが蛋白尿を来すことを明らかにし、とくに低BMIの男性で強く関連することを示唆した。本研究結果はFront Endocrinol誌2025年11月10日号に掲載された。 研究者らは、夕食時間の遅さと蛋白尿の出現との関連を評価するため、りんくう総合医療センターの健康診断データを用い、推定糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2以上で腎疾患の既往のない2,127人(男性1,028人、女性1,099人)を対象に横断研究を実施。週3日以上、就寝前2時間以内に夕食を取った参加者を夕食時間が遅い群と定義した。夕食時間による蛋白尿の影響は、臨床的関連因子(年齢、性別、喫煙歴、飲酒歴、既往歴など)を調整したロジスティック回帰モデルを用いて評価した。また、これまでに報告された横断研究では、蛋白尿の有病率はBMI(kg/m2)とJ字型関係を示していることから、今回、男女別でBMIと腹囲を各3群に区分。BMIは、男性では22.3未満、22.3~24.9、24.9以上に分け、女性では20.3未満、20.3~23.0、23.0以上と分けた。腹囲(cm)は、男性は83.0未満、83.0~90.1、90.1以上、女性は75.0未満、75.0~83.5、83.5以上として評価した。 なお、「蛋白尿陽性」は尿試験紙法で蛋白尿±以上と定義した。その理由として、尿蛋白±が微量アルブミン尿に相当し、糸球体障害の早期段階や心血管リスクの上昇を反映することから、早期腎障害も評価に含めるためとしている。 主な結果は以下のとおり。・夕食時間が遅かったのは、男性297人(28.9%)、女性176人(16.0%)であった。・多変量調整後のロジスティック回帰分析の結果、夕食時間の遅さは男性の蛋白尿の出現率に有意に関連し、臨床的関連因子調整後も低BMI(BMI24.9kg/m2未満)の男性で有意であった(調整オッズ比は、それぞれ3.57[1.34~9.48]、3.15[1.22~8.13])。・BMI、腹囲が共に低いほど蛋白尿と有意な関係を認めた。・BMIが24.9kg/m2以上の高BMIではこの関連は認められなかった。

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eGFRcysとeGFRcrの乖離は死亡・心血管イベントと関連/JAMA

 外来患者において、eGFRcys(シスタチンC値を用いて算出した推定糸球体濾過量)の値がeGFRcr(クレアチニン値を用いて算出した場合)の値より30%以上低い患者は、全死因死亡、心血管イベントおよび腎代替療法を要する腎不全の発現頻度が有意に高いことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichelle M. Estrella氏らChronic Kidney Disease Prognosis Consortium Investigators and Collaboratorsが、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium(CKD-PC)の患者データのメタ解析結果を報告した。eGFRの算出にクレアチニン値を用いた場合とシスタチンC値を用いた場合でeGFR値が異なる可能性があるが、これまでその差異の頻度および重要性は明らかになっていなかった。今回の解析では、外来患者の約11%および入院患者の約35%で、eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低い患者が認められることも示されている。JAMA誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低い患者の割合および特色を評価 研究グループは2024年4月~2025年8月に、CKD-PCの被験者で、ベースラインでシスタチンC値とクレアチニン値を同時に測定し、臨床アウトカムの情報が得られた患者のデータを集約し、個人レベルのメタ解析を行った。eGFRcys値とeGFRcr値の不一致率を評価し、不一致率がより高いことと関連する特色を明らかにし、また不一致率と有害アウトカムの関連を評価した。 主解析では、負の大きなeGFR値の差(eGFRdiff)を評価した(eGFRcys値がeGFRcr値より30%以上低いことと定義)。副次(従属的)アウトカムは、全死因死亡、心血管死、アテローム動脈硬化性疾患、心不全、腎代替療法を要する腎不全などであった。外来患者の11.2%が該当、全死因死亡などが高いことと関連 23の外来患者コホート82万1,327例(平均年齢59[SD 12]歳、女性48%、糖尿病13.5%、高血圧症40%)と2つの入院患者コホート3万9,639例(67[16]歳、31%、30%、72%)のデータが包含された。 外来患者において、11.2%が負の大きなeGFRdiffを有していた。負の大きなeGFRdiffは、コホート間でばらつきがみられた(範囲:2.8%~49.8%)。外来患者全体の平均eGFRcr-cys値(クレアチニン値とシスタチンC値を用いて算出)は86(SD 23)であった。 入院患者では、34.2%が負の大きなeGFRdiffを有していた。全体の平均eGFRcr-cys値は63(SD 33)であった。 外来患者の平均追跡期間11(SD 4)年において、負の大きなeGFRdiffは、eGFRdiffが-30%~30%であった場合と比較して、全死因死亡(28.4 vs.16.8/1,000人年、ハザード比:1.69、95%信頼区間:1.57~1.82)、心血管死(6.1 vs.3.8、1.61、1.48~1.76)、アテローム動脈硬化性疾患(13.3 vs.9.8、1.35、1.27~1.44)、心不全(13.2 vs.8.6、1.54、1.40~1.68)、腎代替療法を要する腎不全(2.7 vs.2.1、1.29、1.13~1.47)の発現頻度がいずれも高かった。

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英語で「血尿」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第40回

医学用語紹介:血尿 hematuria今回は「血尿」について説明します。医療現場ではhematuriaという専門用語が使われますが、患者さんとの会話ではどのような一般的な英語表現を使えばよいでしょうか?講師紹介

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医師が選ぶ「2025年の漢字」TOP10を発表!【CareNet.com会員アンケート】

2025年も残りあと1ヵ月。医療現場にも社会にもさまざまな出来事がありましたが、皆さまにとって今年はどのような1年でしたでしょうか。CareNet.comでは、医師会員1,031人を対象に「今年の漢字」アンケートを実施し、医療現場や社会における出来事、そして日々の暮らしの中で感じた思いを漢字1字に込めて表現していただきました。多く挙げられた漢字TOP10を発表します。第1位「高」(108票)2025年の今年の漢字の第1位には「高」が選ばれました。物価、株価、金、不動産、米、気温など、何かと高いことが話題になった1年でした。コメントでは、物価高で財布のひもが固くなるなど、生活への影響が浮き彫りになりました。また、今年を象徴するもう1つの「高」は何といっても日本史上初の女性として内閣総理大臣に就任した高市 早苗氏です。高市氏について言及する1文字としては「高」のほかにも、「早」「苗」「新」「初」「女」「花」「華」「変」「代」「明」「快」「進」「驚」など多岐にわたりました。「高」を選んだ理由(コメント抜粋)日経平均が最高値を更新したから(産婦人科 50代/北海道)物価高、コスト高など(循環器内科 50代/静岡)すべてが高くなる。低くなったのは購買意欲のみ…(精神科 50代/東京)物価高騰でお金がたまらない(腎臓内科 60代/東京)食料品も米も何もかもが値上がりして高くなっているから(消化器外科 50代/北海道)高齢化の進行加速、高インフレ率、高市首相の誕生(内科 40代/徳島)高市首相になり日経平均株価も最高値をつけたから(形成外科 60代/茨城)物価高、株高、不動産高、新総理高市だから(精神科 50代/東京)物価高と高市早苗総理誕生(内科 60代/奈良)高市政権への期待、米高騰(精神科 40代/東京)高市早苗さんの総理大臣就任(内科 60代/愛知)第2位「熊」(91票)第2位は、これまでランクインしたことのない「熊」でした。各地で熊による深刻な人的被害や目撃情報が相次ぎ、連日のように報道が続いた2025年。本年度の熊による死者数は過去最多を更新し、人身被害者数も過去最多ペースで増加しています。山間部だけでなく住宅地や都市近郊にも出没し、人と野生動物との共存のあり方が改めて問われる1年となりました。フリーコメントでは北海道や東北地方などの医師を中心に不安の声が多く寄せられました。 「熊」を選んだ理由(コメント抜粋)とにかく当地は熊被害に悩まされているので(麻酔科 50代/北海道)今年の後半は熊との戦いがずっとニュースになっていた(外科 60代/北海道)現在は一番の不安の種(精神科 50代/青森)九州・四国を除き、全国規模での対策を余儀なくされているため(整形外科 40代/秋田)全国各地で熊の出没が話題となり、人と自然の距離、共生のあり方を考えさせられた(消化器内科 60代/大阪)■第3位「変」(57票)第3位は「変」。2025年は世界的にも国内的にも社会の変化が著しい1年となりました。コメントでは政治に関する意見が多く寄せられ、女性総理大臣の誕生や政権交代など政治の変化に注目する声が目立ちました。そのほか、気候変動や私生活の変化に触れるコメントも見られました。皆さまにとっての変化はどのようなものがあったでしょうか? 「変」を選んだ理由(コメント抜粋)首相が代わり、政策内容も大きく変わったため(糖尿病・代謝・内分泌内科 30代/静岡)自公政権から自維政権への連立変更、高市政権への変化(循環器内科 30代/神奈川)世界情勢の潮目の変化、女性総理の誕生などあり、医療の面では廃業する医療機関がいよいよ増加してきた印象を受けた(精神科 30代/福岡)アメリカでトランプ政権に代わってから、世界の経済、生活、価値観などが変わってきた(外科 70代以上/大阪)気候変動、物価上昇などの変化(眼科 50代/大分)第4位「米」(41票)第4位は「米」でした。昨年から米の供給がひっ迫し、「令和の米騒動」と呼ばれる状況が発生しました。備蓄米の放出などの対策が講じられたものの、価格の高止まりが続き、家計への負担は依然として大きくなっています。また、米国の「米」の意味でも票が多く集まりました。トランプ政権による関税強化が世界経済に波紋を広げ、貿易・安全保障・産業分野で米国の動向に注目が集まった1年となりました。 「米」を選んだ理由(コメント抜粋)米価が異常に高止まりで失望したので(泌尿器科 50代/東京都)今年は、米不足や米の価格が上昇するなど庶民の生活に大きな影響を与えた(消化器外科 50代/新潟)今年の米価格の高騰はつらかった。ごはん食いなのでお米が高いのはつらい。農家さんが正当に評価されて潤うのならばよいのだが中抜きされているようなので納得がいかない(外科 50代/東京)米の高騰、アメリカの関税合戦(消化器内科 30代/熊本)アメリカにも米価にも振り回された1年だったと思う(呼吸器内科 60代/熊本)第5位「女」(38票)第5位は「女」でした。ほぼすべてのコメントが総理大臣の高市氏に言及しており、わが国初の女性総理大臣の誕生はやはり大きなインパクトを残したようです。コメントでは、高市氏に期待する声が多く寄せられました。なお、これまでに女性が政府のトップを務めたことがある国は、国連加盟国193ヵ国のうち60ヵ国で3割を超えています。 「女」を選んだ理由(コメント抜粋)高市早苗首相が初めての女性首相になったから(麻酔科 40代/長崎)女性総理大臣が就任したので(神経内科 50代/神奈川)高市早苗総理大臣誕生に象徴されるように女性が活躍する時代・社会の真の到来と感じ、「女」を選択(脳神経外科 60代/岡山)高市総理になって何かが変わっていく予感を感じる(リハビリ科 30代/東京)女性初の総理大臣誕生、女性アスリートの活躍(皮膚科 50代/福岡)第6~10位第6位:「新」(25票)第7位:「暑」(24票)第8位:「金」(22票)第9位:「乱」(21票)第10位:「万」(18票) アンケート概要アンケート名2025年の「今年の漢字」をお聞かせください。実施日   2025年11月5日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,031件

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IgA腎症に対するフィネレノン+SGLT2阻害薬が蛋白尿を減少

 IgA腎症患者を対象に、フィネレノン(非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)+SGLT2阻害薬の併用療法とそれぞれの単剤療法による腎保護効果を比較検討した結果、併用療法はそれぞれの単剤療法よりも蛋白尿をより迅速かつ有意に減少させたことを、中国・鄭州大学第一附属病院のYanhong Guo氏らが明らかにした。Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。 研究グループは、鄭州大学第一附属病院において、2023~24年に生検でIgA腎症と診断された患者76例を後ろ向きに評価した。フィネレノン+SGLT2阻害薬併用群は26例、フィネレノン単剤群は32例、SGLT2阻害薬単剤群は18例であった。 主要評価項目は、3ヵ月および6ヵ月時点における尿蛋白/クレアチニン比および推算糸球体濾過量(eGFR)の変化であった。安全性については、高カリウム血症および治療関連有害事象の発現を評価した。 主な結果は以下のとおり。・フィネレノン+SGLT2阻害薬併用療法は、それぞれの単剤療法と比較して蛋白尿の改善効果が有意に大きかった(いずれもp<0.05)。尿蛋白/クレアチニン比減少率の中央値は下記のとおり。 -併用療法 3ヵ月後:40.89%、6ヵ月後:54.62% -フィネレノン単剤療法 3ヵ月後:23.72%、6ヵ月後:30.88% -SGLT2阻害薬単剤療法 3ヵ月後:24.69%、6ヵ月後:24.69%・フィネレノン+SGLT2阻害薬併用療法では、6ヵ月後に尿蛋白/クレアチニン比が50%以上減少した患者が有意に多かった(p=0.033)。 -併用療法 53.8% -フィネレノン単剤療法 25.0% -SGLT2阻害薬単剤療法 22.2%・ロジスティック回帰分析では、併用療法による50%以上の蛋白尿減少達成の調整オッズ比は3.87~18.90であった。・eGFRを含む腎機能指標は3群間で有意差を認めず、全体として腎機能は維持されていた(いずれもp>0.05)。・高カリウム血症の発現率は3群で同程度であり(p=0.332)、高カリウム血症による重篤な有害事象や治療中止は認められなかった。

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SGLT2阻害薬、eGFRやアルブミン尿を問わずCKD進行を抑制/JAMA

 SGLT2阻害薬は、ベースラインの推定糸球体濾過量(eGFR)やアルブミン尿の程度によらず、ステージ4の慢性腎臓病(CKD)患者や微量アルブミン尿患者を含むCKD進行のリスクを低下させたことが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBrendon L. Neuen氏らSGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C)が行ったメタ解析の結果で報告された。著者は、「2型糖尿病、CKD、または心不全患者において、腎機能のすべての段階で腎アウトカム改善のためにSGLT2阻害薬を日常的に使用することを支持する結果である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年11月7日号掲載の報告。無作為化二重盲検プラセボ対照試験10件についてメタ解析 SMART-Cは、各治療群に少なくとも500例の患者が含まれ、少なくとも6ヵ月の追跡調査が行われて完了している無作為化二重盲検プラセボ対照試験を対象とし、各試験の代表者で構成される学術運営委員会が主導している。 研究グループは、SMART-Cのうち、CKD進行に対する適応を有するSGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)を評価した試験に限定し、メタ解析を行った。解析対象は10試験(EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58、EMPEROR-Reduced、EMPEROR-Preserved、DAPA-HF、DELIVER、CREDENCE、DAPA-CKD、EMPA-KIDNEY)。 主要アウトカムはCKD進行とし、腎不全、eGFRが50%以上低下、または腎不全による死亡と定義した。その他のアウトカムには、eGFRの年間低下率および腎不全などが含まれた。個々の試験における治療効果を、逆分散加重メタ解析を用いて統合した。腎不全単独を含む研究対象となったすべての腎アウトカムのリスクを軽減 解析対象は計7万361例(平均[SD]年齢64.8[8.7]歳、女性2万4,595例[35.0%])で、このうちCKD進行が2,314例(3.3%)、腎不全が988例(1.4%)に認められた。 SGLT2阻害薬は、CKD進行リスクを低下させた(1,000患者年当たりのイベント件数:SGLT2阻害薬群25.4 vs.プラセボ群40.3、ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.57~0.68)。 この効果は、ベースラインのeGFRに関係なく認められた(eGFR≧60mL/分/1.73m2のHR:0.61[95%CI:0.52~0.71]、eGFR45~<60mL/分/1.73m2のHR:0.57[0.47~0.70]、eGFR30~<45mL/分/1.73m2のHR:0.64[0.54~0.75]、eGFR<30mL/分/1.73m2のHR:0.71[0.60~0.83]、傾向のp=0.16)。 また、ベースラインのアルブミン尿の程度にかかわらず効果が認められた(UACR≦30mg/gのHR:0.58、>30~300mg/gのHR:0.74、>300mg/gのHR:0.57、傾向のp=0.49)。 SGLT2阻害薬は、保護効果の程度にはばらつきがあるものの、糖尿病の有無別に解析した場合も含め、すべてのeGFRおよびUACRサブグループにおいて、eGFR年間低下率を改善し、また、腎不全単独のリスクも減少させた(HR:0.66、95%CI:0.58~0.75)。

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balcinrenone/ダパグリフロジン配合薬、CKD患者のアルブミン尿を減少/Lancet

 疾患進行リスクの高い慢性腎臓病(CKD)患者において、balcinrenone/ダパグリフロジン配合薬はアルブミン尿の減少においてダパグリフロジン単独投与に対する優越性が示され、忍容性は良好で、カリウムへの影響も軽微であり、予期せぬ安全性の懸念は認められなかった。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らMIRO-CKD study investigatorsが、北米・南米、アジア、欧州の15ヵ国106施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検実薬対照用量設定試験「MIRO-CKD試験」の結果を報告した。新規ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるbalcinrenoneは、小規模な臨床試験においてSGLT2阻害薬ダパグリフロジンとの併用によりアルブミン尿を減少させる傾向が示されていた。Lancet誌2025年11月22日号掲載の報告。12週時の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の相対変化量を評価 研究グループは、推定糸球体濾過量(eGFR)が25mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が100mg/g超5,000mg/g以下、および血清カリウム値が3.5mmol/L以上5.0mmol/L以下の成人患者を、balcinrenone 15mg/ダパグリフロジン10mg(balcinrenone 15mg併用)群、balcinrenone 40mg/ダパグリフロジン10mg(balcinrenone 40mg併用)群またはプラセボ/ダパグリフロジン10mg(ダパグリフロジン単独)群のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 いずれも12週間投与した後、8週間休薬し投与中止後の効果も評価した。 ACE阻害薬またはARBの投与を受けている場合、スクリーニング前の少なくとも4週間、安定用量を投与されている患者は参加可能であった。 有効性の主要エンドポイントは、無作為化され少なくとも1回以上試験薬の投与を受けた患者における、ベースラインから投与12週時までのUACRの相対変化量とした。15mg併用および40mg併用ともダパグリフロジン単独に対して優越性を示す 2024年5月1日~12月18日に、613例がスクリーニングされ、適格基準を満たした324例が無作為化された(balcinrenone 15mg併用群108例、balcinrenone 40mg併用群110例、ダパグリフロジン単独群106例)。患者背景は、平均年齢64.6歳(SD 12.4)、女性110例(34%)、男性214例(66%)、アジア系103例(32%)、黒人またはアフリカ系アメリカ人23例(7%)、白人183例(56%)、平均eGFRは42.2mL/分/1.73m2(SD 10.5)、UACR中央値365mg/g(四分位範囲:157~825)で、56%がSGLT2阻害薬を服用していた。 主要エンドポイントにおいて、balcinrenone 15mg併用およびbalcinrenone 40mg併用のダパグリフロジン単独に対する優越性が認められた。ダパグリフロジン単独群に対する12週時におけるベースラインからのUACRの相対変化量は、balcinrenone 15mg併用群で-22.8%(90%信頼区間[CI]:-33.3~-10.7、p=0.0038)、balcinrenone 40mg併用群で-32.8%(90%CI:-42.0~-22.1、p<0.0001)であった。 高カリウム血症の有害事象は、balcinrenone 15mg併用群で6%(7/108例)、balcinrenone 40mg併用群で7%(8/110例)、ダパグリフロジン単独群で5%(5/106例)に発現した。低血圧および腎イベントの有害事象は少なく、治療群間で類似しており、重篤な事象は認められなかった。死亡が2例報告されたが、いずれも最終投与から28日以上経過後であった。

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IgA腎症患者へのatacicept、蛋白尿を46%減少/NEJM

 IgA腎症の治療において、atacicept(B細胞活性化因子[BAFF]と増殖誘導リガンド[APRIL]の二重阻害薬、ヒトTACI-Fc融合タンパク質)はプラセボと比較して、36週の時点で蛋白尿の有意な減少をもたらし、有害事象のほとんどは軽度~中等度であったことが、米国・スタンフォード大学のRichard Lafayette氏らORIGIN Phase 3 Trial Investigatorsによる第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験「ORIGIN 3試験」の中間解析で報告された。本研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年11月6日号で発表された。31ヵ国の無作為化プラセボ対照比較試験 ORIGIN 3試験は、IgA腎症の治療におけるataciceptの安全性と有効性の評価を目的とし、日本を含む31ヵ国の157施設で実施した(Vera Therapeuticsの助成を受けた)。今回は、事前に規定した36週時の中間解析の結果が報告された。 試験の対象は年齢18歳以上、生検で確定したIgA腎症で、24時間尿中タンパク質/クレアチニン比≧1.0(タンパク質とクレアチニンはグラム[g]単位で測定)、蛋白尿(1日当たり1.0g以上の尿中タンパク質排泄量)、推定糸球体濾過量(eGFR)≧30mL/分/1.73m2の患者であった。 これらの参加者を、atacicept群(150mg、週1回、患者自身が自宅で皮下投与)またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、36週時点の24時間尿中タンパク質/クレアチニン比のベースラインからの変化率とした。Gd-IgA1値の減少、血尿の消失も優れる 203例を有効性の中間解析に組み入れた。atacicept群が106例(平均年齢40.1歳、男性54%、平均尿中タンパク質/クレアチニン比1.7、平均eGFR値65.3mL/分/1.73m2、平均尿中タンパク質排泄量2.2g/日)、プラセボ群が97例(40.9歳、60%、1.8、64.9mL/分/1.73m2、2.3g/日)だった。202例(99.5%)が最大承認用量または最大耐用安定用量のレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬、108例(53.2%)が安定用量のナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬の投与を受けていた。 36週時の24時間尿中タンパク質/クレアチニン比のベースラインからの変化率は、プラセボ群が-6.8%であったのに対し、atacicept群は-45.7%と、蛋白尿の有意な減少を示した(減少の幾何平均群間差:41.8%ポイント、95%信頼区間[CI]:28.9~52.3、p<0.001)。蛋白尿は、atacicept群では12週目という早い段階で減少が確認され、明らかな改善効果が36週目まで持続した。 ガラクトース欠損型IgA1(Gd-IgA1)の値は、早い場合はatacicept群の患者で4週目には減少しており、36週目までの変化率は同群が-68.3%、プラセボ群は-2.9%であった(減少の幾何平均群間差:67.4%ポイント、95%CI:63.8~70.6)。 また、ベースラインで血尿を認めた122例(60.1%)のうち、36週目までにatacicept群の81.0%(51/63例)、プラセボ群の20.7%(12/58例)で血尿が消失した(オッズ比:19.1、95%CI:7.3~50.0)。注射部位反応、上気道感染症が多い 安全性の解析には、試験薬の投与を少なくとも1回受けた428例(各群214例)を含めた。有害事象は、atacicept群で127例(59.3%)、プラセボ群で107例(50.0%)に発現した。各群214例のうち、軽度が90例(42.1%)および74例(34.6%)、中等度が34例(15.9%)および24例(11.2%)と、軽度~中等度がほとんどを占めた。重篤な有害事象は、それぞれ1例(0.5%、胆嚢炎[試験薬との関連はない])および11例(5.1%)にみられた。 いずれかの群で5%以上に発生した有害事象は、注射部位反応(atacicept群19.2%、プラセボ群1.9%)、上気道感染症(12.1%、8.9%)、上咽頭炎(7.9%、6.1%)、注射部位紅斑(5.6%、0.5%)であった。 著者は、「これらの知見は、同様の患者集団を対象とし、同一の投与量と投与スケジュールを用いた第IIb相試験と一貫性があることから、ataciceptによるBAFFとAPRILの二重阻害は、IgA腎症の基盤となる病態生理を標的としており、それによって疾患経過を修飾する可能性が示唆される」としている。

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成人期発症ネフローゼ症候群、リツキシマブで再発抑制/JAMA

 成人期発症の頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)またはステロイド依存性ネフローゼ症候群(SDNS)患者において、リツキシマブはプラセボと比較し49週時の再発率を有意に改善し、再発予防にリツキシマブが有用であることが示された。大阪大学大学院医学系研究科の猪阪 善隆氏らが、国内13施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。FRNSまたはSDNSの成人患者におけるネフローゼ症候群再発に対するリツキシマブの有効性は不明であった。JAMA誌オンライン版2025年11月5日号掲載の報告。リツキシマブまたはプラセボを、1週時、2週時、25週時に投与、1年間追跡 研究グループは、2020年9月1日~2022年6月28日に、直近の再発に対するステロイド治療開始後の尿検査で尿蛋白<0.3g/gCrを2回以上認めたFRNS(6ヵ月間に2回以上再発するネフローゼ症候群)またはSDNS(ステロイド薬を減量・中止後に再発を2回以上繰り返し、ステロイド薬を中止できないネフローゼ症候群)の成人患者を登録した。適格患者をリツキシマブ群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、375mg/m2/回を1週時、2週時および25週時に静脈内投与し、49週間追跡した(最終追跡調査日2024年3月15日)。 主要アウトカムは、49週時点でネフローゼ症候群の再発が認められなかった患者の割合とした。再発は、尿蛋白1g/gCr以上を連続2回測定した場合と定義した。49週時の無再発率はリツキシマブ群87.4%、プラセボ群38.0% 計72例がリツキシマブ群(36例)とプラセボ群(36例)に無作為化された。患者背景は、平均年齢47.9歳、女性56.1%であった。このうち、66例(92%)が少なくとも1回試験薬を投与され、解析対象集団に含まれた。 49週時の無再発率は、リツキシマブ群で87.4%(95%信頼区間[CI]:69.8~95.1)、プラセボ群で38.0%(95%CI:22.1~53.8)であった(p<0.001、片側log-rank検定)。層別Coxモデルでは、リツキシマブ群のプラセボ群に対する再発のハザード比は0.16(95%CI:0.05~0.46;p<0.001)であった。 無再発期間中央値は、リツキシマブ群で>49.0週(範囲:4~≧50)、プラセボ群で30.8週(2~≧51)であった。 最も発現頻度が高い有害事象はインフュージョンリアクション(リツキシマブ群13例[40.6%]、プラセボ群1例[2.9%])であった。Grade3の有害事象は、リツキシマブ群で15.6%(5/32例)、プラセボ群で5.9%(2/34例)に認められた。

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2型糖尿病の低血糖入院が減少傾向、その背景を紐解く

 近年、2型糖尿病患者の低血糖入院が漸減傾向であることが明らかになった―。2017年に日本糖尿病学会の糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会が調査報告1)を行ってから8年、この間に低血糖による入院が減少したのには、いったいどんな対策や社会変化が功を奏したのだろうか。今回、この研究結果を報告し、日本糖尿病学会第9回医療スタッフ優秀演題賞を受賞した社会人大学院生の影山 美穂氏(東京薬科大学薬学部 医療薬物薬学科)と指導教官の堀井 剛史氏(武蔵野大学薬学部臨床薬学センター)から研究に至った経緯や考察などを聞いた。重症低血糖の現状、患者指導の影響は? 本研究のきっかけについて、影山氏は「薬剤師として糖尿病患者への低血糖予防指導はごく当たり前のこと。だがその一方で、低血糖発症リスクの現状や日頃の患者指導の効果が不明瞭であったため、薬剤師をはじめ医療者が頑張っている患者指導の可視化を目指した」と説明した。 実際、この20年における2型糖尿病治療薬や血糖コントロール目標値の変化は著しい。たとえば、治療薬に関しては、2009年よりDPP-4阻害薬が、2014年よりSGLT2阻害薬が発売され、2021年以降はGLP-1受容体作動薬の経口薬発売や肥満症治療薬としての適応拡大などが糖尿病治療薬市場の地殻変動を起こしている。それ故、低血糖リスクが高いとされるスルホニル尿素(SU)などの処方率は減少傾向にある。血糖目標値においては、2013年の糖尿病合併症予防のための血糖コントロール目標値に関する「熊本宣言」(HbA1c 7%未満)や2017年の高齢者糖尿病ガイドライン発刊(高齢者糖尿病の目標値が患者の特徴や健康状態を考慮した目標値「7.0~8.5%未満」)、「重症低血糖への提言」が周知されてきたことで、非専門医にも血糖値を下げ過ぎるリスクへの理解が進んできている。これについて堀井氏は「高齢者糖尿病ガイドライン2)において、HbA1cの具体的数値のみならず下限値も示されたことで糖尿病専門医ではなくても、患者へリスクをわかりやすく伝えることができるようになったのではないか。さらに、2024年の診療報酬改定では糖尿病治療薬の適正使用推進の観点から“調剤後薬剤管理指導加算”が新設されたことで、薬剤師の立場からもインスリンやSU薬服用中のフォローアップが手厚くなり、重症低血糖の減少につながっている可能性がある」と推測した。 ここで補足するが、「重症低血糖」とは、“回復に他者の援助を必要とする低血糖”と定義され、70歳以上、慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5、SU薬内服中などの特徴を有する患者で発症しやすいとされる。その発症は主要心血管イベントや認知症の発症リスク増加にも関連することから、以前より日本糖尿病学会は警鐘を鳴らし、前述の調査委員会報告でも重症低血糖で救急搬送されるのは2型糖尿病が60%を占め、1型糖尿病患者よりも多く、処方薬剤別では、インスリン使用が約60%、SU薬使用が約30%であった3)。重症低血糖の患者推移、影響度が高い因子とは そこで、治療薬や血糖目標値の変遷、薬剤師指導の教育変化による“低血糖入院患者数推移や患者像”を捉えるために、同氏らはメディカル・データ・ビジョンの2009年1月1日~2022年12月31日までの診療データベースを活用し、2型糖尿病かつ初発低血糖患者を対象とした入院加療が必要な低血糖の発症リスクや使用薬剤について調査。主要評価項目は入院を必要とする低血糖発症に関連する要因の探索で、副次評価項目は夜間・早朝低血糖入院に関する要因、救急搬送による低血糖入院に関連する要因であった。 その結果、入院加療を必要とする低血糖発症率は、2型糖尿病患者全体では0.4→0.2%、75歳以上では0.85→0.3%、75歳未満では約0.2%微減、で推移していることが明らかになった。とはいえ、とくに高齢者では長期にDo処方が継続され、SU剤を使用している患者も一定数みられる。HBA1cが悪化すると他剤併用よりSU薬の増量が検討されるケースもあるため、「薬剤師も患者の低血糖リスクを意識して対応することで、重症低血糖の回避につながるのではないか」と影山氏はコメントした。 そして、低血糖入院の約6割が75歳以上であったことや低BMI患者(18.5kg/m2未満)での発症率の高さも示唆された。これについて、同氏は「低BMI患者にはインスリン分泌能低下者が多い、糖尿病歴が長い、グルカゴンの働きが悪くなっていることなどが推測される」と述べ、「高齢により低血糖の対応を自身ができない」「糖尿病歴が長くなることで痩せが生じ、インスリン分泌能が低下する。加えてフレイルにより低血糖を来しやすい」ことなどを挙げ、低BMI・低体重の関連性を考察した。 なお、本研究にはDPCデータを活用していることから、患者を夜間入院や救急入院などで層別化をすることができたものの、研究限界として「継続性が長くない、施設が代わると患者を追えなくなる」などを示し、「入院前データがない患者は除外」などの注意を払ったと堀井氏は説明した。 最後に両氏は「将来的に低血糖入院の因果関係を統計学的に示していきたい。そして、在宅ケアを受けている患者、低血糖を訴えられないような患者まで研究対象を掘り下げて解析していきたい」と今後の展望を語った。

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尿検査+SOFAスコアでコロナ重症化リスクを早期判定

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオミクロン株の多くは軽症だが、重症化する一部の患者をどう見分けるかは医療現場の課題だ。今回、東京都内の病院に入院した842例を解析した研究で、尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)とSOFA(Sequential Organ Failure Assessment score)スコアを組み合わせた事前スクリーニングが、重症化リスク判定の精度を高めることが示された。研究は国立国際医療センター腎臓内科の寺川可那子氏、片桐大輔氏らによるもので、詳細は9月11日付けで「PLOS One」に掲載された。 世界保健機関(WHO)が2020年3月にCOVID-19のパンデミックを宣言して以来、ウイルスは世界中に広がり、変異株も多数出現した。現在はオミクロン株の亜系統が主流となっており、症状は多くが軽症にとどまる一方、一部の患者は酸素投与や入院を必要とし、死亡する例も報告されている。そのため、感染初期の段階で重症化リスクを予測する方法の確立が求められている。 著者らは以前、L-FABPの測定がCOVID-19重症化予測に有用であることを示したが、症例数が少なく、他の指標との併用は検討されていなかった。そこで本研究では、COVID-19患者の入院前スクリーニングとして、L-FABP値と血液検査から多臓器の機能障害を評価するSOFAスコアを組み合わせ、重症化リスクのある患者を特定する併用アプローチの有用性を評価した。 本研究は単施設の後ろ向き観察研究で、2020年1月29日から2022年4月6日までに国立国際医療センターに入院したCOVID-19陽性患者842名を対象とした。L-FABP値とSOFAスコアは、入院時および入院7日目に評価した。人工呼吸器管理を要した患者、または入院中に死亡した患者を「重症」と定義し、酸素療法を受けるが人工呼吸器を必要としない患者を「中等症」、それ以外を「軽症」と分類した。主目的は、入院時のL-FABP値から7日目の重症度を予測できるかどうかを評価することである。さらに、入院時のL-FABP値とSOFAスコアの予測性能を検討するため、ROC(受信者動作特性)曲線解析を実施した。 入院時の重症度分類は軽症536名、中等症299名、重症7名であった。入院中に32名が死亡した。入院7日目には、入院時中等症だった55名が軽症に改善する一方で、重症患者は7名から34名に増加した。解析対象患者全員のL-FABP値を入院時と入院7日目の2時点でプロットし、疾患重症度の経過を可視化したところ、入院時にL-FABP値が高かった患者の一部は、軽症から中等症、あるいは中等症から重症へと進行していた。同様に、SOFAスコアでも、入院時にスコアが高かった患者は7日後に重症化する傾向が認められた。 次にROC曲線解析を行い、L-FABP値とSOFAスコアの組み合わせが、重症例および重症・中等症例の識別にどの程度有効かを評価した。L-FABP値はカットオフ値11.9で重症例を特定する感度が94.1%と高く、SOFAスコアの82.4%を上回り、効果的なスクリーニングツールとなる可能性が示された。さらに、L-FABP値(AUC 0.81)とSOFAスコア(AUC 0.90)を組み合わせると、重症例検出のAUCは0.92に上昇した。このAUCの向上は、SOFAスコア単独との比較では統計学的に有意ではなかったが、L-FABP値単独との比較では有意であった(P<0.001)。一方、重症・中等症例の検出においては、L-FABP値(AUC 0.83)とSOFAスコア(AUC 0.83)の組み合わせによりAUCは0.88となり、いずれか単独の指標よりも有意にAUCを向上させた(それぞれP<0.001)。 著者らは、本予測モデルにさらなる検証と改良が必要と指摘しつつ、「まず低侵襲な尿検査でL-FABP値を測定し、低リスクの患者は不要な入院を回避する。次にL-FABP値が高い患者を対象にSOFAスコアで重症化リスクを精査し、入院が必要な患者を特定する。これにより、不要な入院の削減や重症化リスクの早期把握が期待され、医療資源の効率的な配分にもつながる」と述べ、二段階のスクリーニング戦略を提案している。

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生存時間分析 その5【「実践的」臨床研究入門】第59回

Cox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子調整の実際 その2前回はわれわれのResearch Question(RQ)をCox比例ハザード回帰モデルの式に当てはめて考えました。また、Cox比例ハザード回帰モデルを適用する前提条件である「比例ハザード性」の検証に必要な二重対数プロットの描画方法を、仮想データ・セットを用いたEZR(Easy R)の操作手順を交えて説明しました(連載第58回参照)。今回は、実際に仮想データ・セットを用いて、EZRを使用したCox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子の調整方法について解説します。まず、以下の手順で仮想データ・セットをEZRに取り込んでください。仮想データ・セットをダウンロードする「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」次に、メニューバーから以下の順に選択します。「統計解析」→「生存期間の解析」→「生存期間に対する多変量解析(Cox比例ハザード回帰)」ポップアップウィンドウが開きますので、モデル名は「Cox比例ハザード回帰_透析導入」などと入力しましょう。前回までに説明したようにCox比例ハザード回帰モデルによる多変量解析では下記の3種類の変数が必要になります(連載第58回参照)。時間イベント発生までの at risk な観察期間(連続変数)→ Yearイベント末期腎不全(透析導入)発生の有無(イベント発生=1、打ち切り=0)→ Censor説明変数多変量解析に含めるすべての要因検証したい要因treat(厳格低たんぱく食の遵守の有無)交絡因子age(年齢)、sex(性別)、dm(糖尿病の有無)、sbp(血圧)、eGFR(ベースライン eGFR)、Loge_UP(蛋白尿定量_対数変換)、albumin(血清アルブミン値)、hemoglobin(ヘモグロビン値)まずは、交絡因子による調整前の単変量解析の結果を確認しましょう。時間YearイベントCensor説明変数treatのみを選択し、「OK」をクリックします。すると、単変量解析の結果が下図のように示されます。次に多変量解析を行います。前回示したCox比例ハザード回帰モデルの数式に示したように、すべての説明変数を+でつないで選択します(下図)。説明変数treat+age+sex+dm+sbp+eGFR+Loge_UP+albumin+hemoglobin画像を拡大するそれでは「OK」をクリックしましょう。EZRのRコマンダー出力ウィンドウに表示された解析結果のうち、主要なものを以下に解説します。検証したい要因であるtreat(厳格低たんぱく食の遵守の有無)のみを説明変数としたモデルでは、ハザード比(hazard ratio:HR)の点推定値は1.321であり、treat群は透析導入のリスクが高いことを示していますが、95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)は1をまたいでおり統計学的有意差はありません。多変量解析の結果は出力ウィンドウの最後に表示されています。単変量解析ではtreat群は透析導入のリスクを上げる傾向でしたが、多変量解析で交絡因子をCox比例ハザード回帰モデルに投入した結果、調整後のHRの点推定値は0.8239となり、リスクがむしろ下がる方向に変化しました。しかし、95%CI(0.5960~1.1390)は1をまたいでいるため、統計学的に有意差はありませんでした(p=2.412e-01=0.2413)(連載第51回参照)。

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がん治療の中断・中止を防ぐ血圧管理方法とは/日本腫瘍循環器学会

 第8回日本腫瘍循環器学会学術集会が2025年10月25、26日に開催された。本大会長を務めた向井 幹夫氏(大阪がん循環器病予防センター 副所長)が日本高血圧学会合同シンポジウム「Onco-Hypertensionと腫瘍循環器の新たな関係」において、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』の第10章「他疾患やライフステージを考慮した対応」を抜粋し、がん治療の中断・中止を防ぐための高血圧治療実践法について解説した。高血圧はがん患者でもっとも多い合併症の一つ、がんと高血圧の関係は双方向性を示す がんと高血圧はリスク因子も発症因子も共通している。たとえば、リスク因子には加齢、喫煙、運動不足、肥満、糖尿病が挙げられ、発症因子には血管内皮障害、酸化ストレス、炎症などが挙げられる。そして、高血圧はがん治療に関連した心血管毒性として、心不全や血栓症などに並んで高率に出現するため、血圧管理はがん治療の継続を判断するうえでも非常に重要な評価ポイントとなる。また、高血圧が起因するがんもあり、腎細胞がんや大腸がんが有名であるが、近年では利尿薬による皮膚がんリスクが報告されている1)。 このように高血圧とがんは密接に関連しており、今年8月に改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、高血圧GL)には新たに「第10章7.担がん患者」の項2)が追加。治療介入が必要な血圧値を明記するとともに、がん特有の廃用性機能障害・栄養障害、疼痛、不安などの全身状態に伴う血圧変動にも留意する旨が記載されている。 向井氏は「このような高血圧はがん治療関連高血圧と呼ばれ、さまざまながん治療で発症する。血圧上昇のメカニズムは血管新生障害をはじめ、血管拡張障害によるNO低下、ミトコンドリアの機能低下など多岐にわたる。血圧上昇に伴いがん治療を中断させないためにも、発症早期からの適切な降圧が必要」と強調した。<注意が必要な薬効クラス/治療法と高血圧の発生率>3,4)・VEGF阻害薬(血管新生阻害薬):20~90%・BTK阻害薬:71~73%・プロテアソーム阻害薬:10~32%・プラチナ製剤:53%・アルキル化薬:36%・カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン):30~60%・BRAF/MEK阻害薬:20%・RET阻害薬:43%・PARP阻害薬:19%・mTOR阻害薬:13%・ホルモン療法(アンドロゲン受容体遮断薬・合成阻害薬):11~26%*注:上記についてすべての症例が同様の結果を示すわけではない140/90mmHg以上で降圧薬開始、がん治療後も130/80mmHg未満を この高血圧GLにおいて、がん治療患者の降圧治療開始血圧は140/90mmHg以上、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病、糖尿病合併例では130/80mmHg以上で考慮することが示され、まずは140/90mmHg未満を目指す。もし、降圧治療に忍容性があれば130/80mmHg未満を、転移性がんがある場合には予後を考慮して140~160/90~100mmHgを目標とする。 がん治療終了後については、血圧管理は130/80mmHg未満を目標とする。治療介入するには低過ぎるのでは? と指摘する医師も多いようだが、患者の血管はがんやがん治療によりすでに傷害されていることがあり、「その状況で血圧上昇を伴うと早期に臓器障害が出現してしまう」と同氏は経験談も交えて説明した。ただし、廃用性機能障害・栄養障害 を示す症例において血圧の下げ過ぎはかえって危険なため、がん治療関連高血圧マネジメントにおいては、基本的には高リスクI度高血圧およびII・III度高血圧に対する降圧薬の使い方(第8章1.「2)降圧薬治療STEP」)の遵守が重要である。同氏は「STEP1として、治療開始はまず単剤(RA系阻害薬あるいは長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)から、160/100mmHg以上の場合には両者を併用する。降圧不十分な場合にはSTEP2、3と高血圧GLに沿って降圧薬を選択していく」とし、「がん患者の病態をチェックしながら体液貯留や脱水状態そして頻拍、心機能障害などの有無などに合わせ降圧薬を選択する必要がある。さらに治療抵抗性を示す症例では選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などの投与を考慮して欲しい」と説明した。 がん治療の中止基準となる血圧値については「180/110mmHg以上または高血圧緊急症が認められた場合、がん治療の休止/中止または治療薬変更が求められる」と説明した。 最後に同氏は「がん治療終了後も治療終了(中止)に伴う血圧変化として血圧低下に注意し、がんサバイバーにおいては晩期高血圧のフォローアップが重要となる。そのためには、がん治療が終了した後もがん治療医、循環器医、そして腎臓内科医やプライマリケア医、外来薬剤師などが連携して、患者の血圧管理を継続してほしい」と締めくくった。「大阪宣言2025」 今回の学術集会では、日本の腫瘍循環器外来発症の地、大阪での開催を1つの節目として、南 博信氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科/日本腫瘍循環器学会 理事長)による「大阪宣言2025」がなされた。これは、がん診療医と循環器医が診療科横断的に協力し合い、多職種が連携・協同し、がん患者の心血管リスクや心血管合併症の管理・対応、がんサバイバーにおける予防的介入により、がん患者・がんサバイバーの生命予後延伸とQOL改善を目指すため、そして市民啓発から腫瘍循環器の機運を高めていくために宣言された。 日本での腫瘍循環器学は、2011年に大阪府立成人病センター(現:大阪国際がんセンター)で腫瘍循環器外来が開設されたことに端を発する。その後、2017年に日本腫瘍循環器学会が設立され、2023年日本臨床腫瘍学会/日本腫瘍循環器学会よりOnco-Cardiologyガイドラインが発刊されるなど、国内での腫瘍循環器診療の標準化が着実に進められている。

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シフト勤務は腎結石のリスク増加と関連

 シフト勤務で働く人は、腎結石の発症リスクが高いようだ。新たな研究で、シフト勤務者では、非シフト勤務者と比較して腎結石の発症リスクが15~22%高く、この傾向は、特に50歳未満の人や肉体労働をほとんどあるいは全くしない人で顕著なことが示された。中国中山大学の疫学者であるYin Yang氏らによるこの研究の詳細は、「Mayo Clinic Proceedings」10月号に掲載された。 Yang氏らは、「この研究結果は、シフト勤務が腎結石発症のリスク因子として考慮されるべきであることを示唆するとともに、シフト勤務者の間で腎結石の発症予防を目的とした健康的なライフスタイルを推進する必要性を強調するものだ」と結論付けている。 腎臓結石は、尿に含まれているシュウ酸カルシウムなどの物質が腎臓内で塊となってできる硬組織である。腎結石が尿管に下降すると(尿管結石)、鋭い痛みや吐き気などを引き起こすことがある。 今回の研究でYang氏らは、UKバイオバンク参加者22万6,459人(平均年齢52.55±7.07歳)のデータを用いて、シフト勤務と腎結石発症との関連を検討した。対象者の16.13%(3万6,537人)がシフト勤務に従事していた。 中央値13.7年の追跡期間中に2,893人が腎結石を発症していた。解析の結果、シフト勤務者では非シフト勤務者と比較して腎結石の発症リスクが15%高いことが明らかになった(ハザード比1.15、95%信頼区間1.04〜1.26)。シフト勤務者の中で最もリスクが高いのは夜間勤務者であった(同1.22、1.08〜1.38)。媒介分析からは、シフト勤務と腎結石発症との関連を媒介する因子として、喫煙、睡眠時間、座位時間、BMI、水分摂取量のあることが示された。さらにサブグループ解析からは、シフト勤務と腎結石発症との関連は、50歳未満の人(同1.32、1.14〜1.52)と重度の肉体労働をほとんどあるいは全く行わない人(同1.27、1.09〜1.47)で顕著に高いことが示された。 この研究の付随論評を執筆した米メイヨー・クリニックの腎臓専門医Felix Knauf氏は、シフト勤務が人間の睡眠・覚醒サイクル(概日リズム)に与える影響も、腎結石リスクの一因となっている可能性が高いとの見方を示している。同氏は、「人の体内時計は、水分バランスや体内の化学反応を調節するシステムの制御に役立っている。したがって、シフト勤務が腎結石の形成を促進するという本研究で観察された影響は、少なくとも部分的には、シフト勤務が概日リズムを乱すことによる影響を反映していると言える」との考えを示し、「この研究結果は、勤務スケジュールの柔軟性の向上など、腎結石のリスク要因を改善するための取り組みを模索する必要があることを浮き彫りにしている」と指摘している。 Yang氏も、「シフト勤務者の健康的な生活習慣をサポートすることは、彼らの泌尿器の健康に大きな影響を与える可能性がある」としてKnauf氏に同意を示している。またYang氏は、「職場における健康促進活動には、体重管理、水分摂取量の増加、健康的な睡眠習慣、座位時間の減少、禁煙の重要性を強調する教育プログラムを組み込むことが有効だ。これらの介入は、シフト勤務が腎結石形成に及ぼす悪影響を軽減し、労働者の健康を改善する可能性を秘めている」と話している。

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亜鉛欠乏がCKD患者のAKIリスクを37%上昇、死亡リスクは約2倍に

 慢性腎臓病(CKD)患者における亜鉛欠乏が、急性腎障害(AKI)発症および死亡の独立したリスク因子であることが、台湾・Chi Mei Medical CenterのYi-Chen Lai氏らによる大規模リアルワールドデータ解析で明らかになった。Frontiers in Nutrition誌2025年9月25日号掲載の報告。 AKIはCKD患者にしばしば合併し、重症化すると生命予後を著しく悪化させるが、既知のリスク因子の多くは高齢や糖尿病などで修正が難しい。一方、動物実験では亜鉛補充が腎障害を抑制する可能性が示唆されているものの、ヒトを対象とした大規模研究は乏しい。そこで研究グループは、CKD患者を対象に、ベースラインの亜鉛欠乏がAKI発症や腎機能悪化リスクにどのように関連するかを検討するため、大規模後ろ向き解析を実施した。 TriNetX Analytics Network Platformを用いて、CKDの既往歴を有し、2010年1月~2023年12月に血清亜鉛検査を受けた18歳以上の患者を特定した。患者を亜鉛欠乏群(70μg/dL未満)と対照群(70~120μg/dL)に分類し、傾向スコアマッチングを行った。マッチングは年齢、性別、併存疾患、臨床検査値、使用薬剤などの背景因子を調整して1:1で実施した。主要評価項目は追跡12ヵ月時の新規AKI発症とし、副次評価項目は全死因死亡、末期腎不全(ESRD)、集中治療室(ICU)入院、主要心血管イベント(MACE)の発生として、各ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・両群はそれぞれ5,619例で、平均年齢は亜鉛欠乏群64.0±15.7歳、対照群63.8±15.4歳。女性はそれぞれ56.6%および56.3%であった。・追跡12ヵ月時点で、亜鉛欠乏群では対照群と比べてAKI発症、ESRD進行、死亡などのリスクが有意に高かった。 -AKI発症 19.3%vs.14.9%、HR:1.37、95%CI:1.25~1.50、p<0.001 -ESRD進行 1.9%vs.1.4%、HR:1.40、95%CI:1.04~1.88、p=0.025 -死亡 9.0%vs.4.8%、HR:1.95、95%CI:1.68~2.26、p<0.001 -ICU入院 8.7%vs.5.8%、HR:1.56、95%CI:1.35~1.79、p<0.001 -MACE発症 25.0%vs.23.5%、HR:1.10、95%CI:1.02~1.19、p=0.012・亜鉛欠乏によるAKIおよびESRDのリスク上昇は、12ヵ月時点よりも6ヵ月時点でより顕著であり、早期から影響が及ぶ可能性が示唆された。・栄養失調の患者を除外しても、亜鉛欠乏群ではAKI、死亡、ICU入院のリスクが有意に高かった。・サブグループ解析では、年齢・性別・糖尿病・高血圧・肥満・貧血の有無にかかわらず一貫してAKIリスクが上昇した。・多変量Cox回帰分析でも、亜鉛欠乏(HR:1.44)は新規AKI発症の独立予測因子として確認された。このリスク上昇幅は、心不全(HR:1.51)や貧血(HR:1.57)などの既知の主要なAKIリスク因子に匹敵するものであり、亜鉛欠乏が修正可能なリスク因子である可能性が示唆された。

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急性期の“むくみ”に対する漢方薬の使用法【急性期漢方アカデミア】第2回

急性期漢方を普及・研究するグループ「急性期漢方アカデミア(Acute phase Kampo Academia: AKA)」。急性期でこそ漢方の真価が発揮されるという信念のもと、6名の急性期漢方のエキスパートが集結して、その方法論の普及・啓発活動を2024年から始動した。その第1回セミナーで公開された、急性期の“むくみ”に対する漢方薬の使用法を今回は紹介したい。急性期の“むくみ”のAKAプロトコール急性期の“むくみ”に応用できる医療用漢方製剤のうち、とくに急性期病院でも使用しやすい五苓散(ごれいさん:17)、柴苓湯(さいれいとう:114)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう:28)、真武湯(しんぶとう:30)の4処方に注目して、AKAプロトコールを紹介し、具体的な使い分け方法を示す。図1は、急性期のむくみの病態を漢方における視点から、全身性か局所性であるか、熱感や発赤を伴っているか末梢の冷感を伴っているかの2大軸、4象限で分割した座標を提示、4つの処方の位置付けを示している。画像を拡大する図2は、使用の便を図るために、急性期の“むくみ”に対して4つの処方を使い分けるためのフローチャートを示した。画像を拡大する急性期の“むくみ”での漢方治療の実際急性期の“むくみ”に対して漢方薬を使用したAKAメンバーの経験した実際の症例を紹介したい。症例1【症例】91歳女性【主訴】下腿浮腫、労作時呼吸困難感【現病歴】2ヵ月前より増悪する下腿浮腫・労作時呼吸困難感で受診。精査の結果、大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁閉不全、重症三尖弁閉鎖不全を伴う両心不全、Hb 8g/dL程度の貧血、血清クレアチニン値2mg/dL程度、尿蛋白3+で慢性腎臓病(CKD G4A3)を指摘された。右心不全および慢性腎臓病があるため、利尿剤は使用しにくいと考えられた。認知症もあり入院によるADL低下も懸念され、外来での加療を選択し漢方薬での治療を行った。四肢は冷えている。下腿浮腫あり。【処方および経過】AKAプロトコールにおける“全身性の”“冷感を伴う”浮腫であり、真武湯が選択された。真武湯は単独では利尿効果が弱いため、五苓散を併用。内服開始から浮腫は軽快傾向となり、2週間後には、肺高血圧や下大静脈径も改善し、胸水も消退した(図3)。画像を拡大する症例2【症例】29歳女性【主訴】右手の腫脹・疼痛【現病歴】来院3日前に右手背部の腫脹・疼痛が出現し、38℃台の発熱があり。来院前日に近医受診。全身疾患も含めて精査・加療目的で、当科紹介。【既往歴】アトピー性皮膚炎【診断】右前腕蜂巣炎【処方および経過】AKAプロトコールにおける“局所性の”“熱感・発赤を伴う”浮腫であり、越婢加朮湯が選択された。化膿性病変であることを考慮して黄連解毒湯とセファクロル750mg 分3を併用している。内服開始2日後で発赤・腫脹は消退傾向となり、5日後には、わずかに浮腫が残る程度で症状は消失した(図4)。画像を拡大する症例3【症例】20代女性 卵巣過剰刺激症候群からの急性呼吸不全【現病歴および経過】2023年某日 卵巣刺激法(ウルトラショート法)で卵胞刺激を施行。2日日に腹痛と呼吸苦を認め、前医救急外来受診。呼吸状態が悪化し4日目に当院搬送となった。図5のように両側胸水が顕著に貯留、利尿薬等を投与しつつNPPVによる陽圧換気を開始した。しかし、十分な尿量確保が困難となり人工呼吸器装着を考慮せざるを得ない状況となった。利水作用※を期待し五苓散の投与を開始、投与翌日より尿量増加傾向となった(図5)。画像を拡大するこのように血管透過性が亢進した病態において、五苓散の併用は病態の改善につながる場合がある。なお、この場合は分量を多めに使用することを考慮する(保険診療上、通常量より多くの投与は認められないため、処方の際には一定の配慮が必要である)。※ 利水作用:利水とは西洋医学の利尿薬のような強制利尿ではなく「水毒」と呼ばれる水の異常分布を調整すると考えられており、浮腫では利尿作用、脱水では抗利尿作用を発揮するとされる。症例4【症例】熱傷:80歳代、女性 既往に高血圧のある、生来元気な方。【現病歴および経過】X日自宅コンロの火で左脇を受傷し、近医クリニックを受診。大きな病院に行くように説明があった。X+1日当院紹介受診。左腋窩を中心に約2%の熱傷あり(図6)、II~III度熱傷を認めた。軟膏と被覆材による処置を行い、ツムラ柴苓湯エキス顆粒3包 分3、ツムラ越婢加朮湯エキス顆粒3包 分3を処方した。X+2日38℃台の発熱を来したが、来院時は37℃台の微熱(図7)。X+3日上腕部周辺の正常皮膚にやや発赤・熱感が発現した(図8)。安静時には疼痛はなく、本人の体力もあることから、同処方を継続した。X+4日37℃台の微熱はあるものの、昨日よりは全身状態は改善したとのことで、創部の発赤も消退していた(図9)画像を拡大するX+10日食思不振、倦怠感を訴えるため、ツムラ越婢加朮湯エキス顆粒からツムラ六君子湯エキス顆粒3包 分3に切り替え、柴苓湯は飲みきり終了とした(図10)。X+29日食思不振や倦怠感はなくなったことから、六君子湯も終了とした。X+73日上皮化が滞っているためツムラ十全大補湯エキス顆粒3包 分3を処方した(図11)。X+101日すべて上皮化し、終診となった(図12)。画像を拡大する以上のように漢方薬を使用した診療を行うことで、西洋医学単独では困難な病態に対する治癒の過程を促進できる可能性がある。

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