2.
英国・オックスフォード大学のGuyu Zeng氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)はメタ解析を実施し、心血管リスク低減の観点からは、慢性腎臓病(CKD)患者における降圧治療の相対的効果は、非CKD患者における効果と同等であり、CKDの病期、血圧閾値、蛋白尿の有無にかかわらず一貫した有効性が認められることを示した。ただし、糖尿病合併CKD患者ではこの相対的効果が弱まるため、これらの高リスクサブグループに適合する治療戦略が必要であるという。また、CKDにおける主要な降圧薬のクラス特異的な効果は、CKDの病期や蛋白尿の有無にかかわらず、一般集団で観察される効果と同様であることも示された。CKD患者、とくに進行期の患者について、心血管リスク管理に関するエビデンスは依然として不足していた。Lancet誌2026年4月25日号掲載の報告。RCT46件・約28万5,000例をメタ解析 研究グループは、第3期BPLTTCにおいて血圧降下療法群と対照群に割り付けた無作為化試験の被験者個人データを用いて、1段階法によるメタ解析を実施した。 適格とした無作為化試験は、言語や発表時期を問わず、各群1,000人年以上の追跡期間があり、ベースラインの血圧値およびクレアチニン測定値、ならびにイベント発生までの期間の結果があるものとした。無作為化手順が不明確、心不全または急性期医療に限定されたものは除外した。心不全既往患者や、クレアチニン値が極端な患者は除外した。年齢は問わなかった。 主要アウトカムは主要心血管イベント(致死的または非致死的脳卒中、虚血性心疾患、心不全による入院もしくは死亡の複合で定義)とし、相対的治療効果は層別Cox比例ハザードモデルで推定した。治療効果の異質性は、事前に定義されたCKDの状態、CKDステージ(1~5)、糖尿病、蛋白尿、およびベースライン血圧で分類したサブグループ間で評価した。また、5つの主要な降圧薬クラスにおいて、サブグループ間で治療効果が異なるかどうかを層別ネットワークメタ解析で評価した。 52件の無作為化試験(36万3,684例)のうち、適格基準を満たした46件・28万5,124例が解析に組み込まれた。女性11万6,145例(40.7%)、男性16万8,979例(59.3%)、ベースラインにおけるCKD患者は5万9,185例(20.7%)、2型糖尿病患者は8万6,067例(30.2%)であった。収縮期血圧5mmHg低下で、主要心血管イベントリスクが約10%低下 追跡期間中央値4.4年(四分位範囲:3.2~5.1)において、収縮期血圧の5mmHg低下により、主要心血管イベントのリスクは、CKD患者(ハザード比[HR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.87~0.94)および非CKD患者(HR:0.90、95%CI:0.88~0.93)の両方において、低下が認められた(相互作用のp>0.99)。さらに、観察された相対リスク低下は、ステージ4~5を含むすべてのCKDステージで一貫していた(相互作用のp>0.99)。 同様の治療効果の観察は、蛋白尿の有無別や、120/70mmHg未満群を含む各血圧区分においても認められた。しかしながら、CKD患者における相対的治療効果は、糖尿病合併例(HR:0.96、95%CI:0.90~1.02)で非合併例(HR:0.88、95%CI:0.84~0.93)と比較して著しく減弱していた(相互作用のp=0.044)。 各薬剤クラス内の層別解析では、心血管リスクに対する降圧薬とプラセボのクラス固有効果は、調査したサブグループ全体で変わらないことが示された。