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コロナ疾患後症状患者、1年以内の死亡/重篤心血管リスク増

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染から1年間のコロナ罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC[いわゆるコロナ後遺症、long COVID])について、米国の商業保険データベースを用いて未感染者と比較した大規模調査が、保険会社Elevance HealthのAndrea DeVries氏らによって実施された。その結果、コロナ後遺症患者は心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが約2倍上昇し、1年間の追跡期間中の死亡率も約2倍上昇、1,000人あたり16.4人超過したことが明らかとなった。JAMA Health Forum誌2023年3月3日号に掲載の報告。コロナ後遺症群の死亡率は2.8%で未感染群は1.2% 米国50州の18歳以上の健康保険会員において、2020年4月1日~7月31日の期間にCOVID-19に罹患し、その後コロナ後遺症と診断された1万3,435例と、未感染者2万6,870例をマッチングし、2021年7月31日まで12ヵ月追跡してケースコントロール研究を実施した。評価項目は、心血管疾患、呼吸器疾患、死亡など。コロナ後遺症の診断は、疲労、咳嗽、痛み(関節、喉、胸)、味覚・嗅覚の喪失、息切れ、血栓塞栓症、神経認知障害、うつ病などの症状に基づいて行われた。統計学的有意性はカイ2乗検定とt検定で評価し、相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。Kaplan-Meier法を用いて死亡率を算出した。 コロナ後遺症について未感染者と比較した大規模調査の主な結果は以下のとおり。・コロナ後遺症群(1万3,435例)の平均年齢は50.1歳(SD 15.1)、女性7,874例(58.6%)。PCC群のうち3,697例がCOVID-19診断後1ヵ月以内に入院していた(平均年齢57.4歳[SD 13.6]、女性44.7%)。未感染群(2万6,870例)の平均年齢は50.2歳(SD 15.4)、女性1万5,672例(58.3%)。・コロナ後遺症群はCOVID-19を発症する前に、高血圧(39.2%)、うつ病(23.7%)、糖尿病(20.5%)、COPD(19.1%)、喘息(中等症/重症)(13.3%)、高度肥満(10.3%)などの慢性疾患を有する人が多かった。・コロナ後遺症群の追跡期間中によく観察された症状は、息切れ(41%)、不安(31%)、筋肉痛/脱力(30%)、うつ病(25%)、疲労(21%)だった。・コロナ後遺症群において、未感染群と比較して医療利用が増加した疾患は次のとおり。 -不整脈の発症率:PCC群29.4% vs.未感染群12.5%、RR:2.35(95%CI:2.26~2.45) -肺塞栓症:8.0% vs.2.2%、RR:3.64(95%CI:3.23~3.92) -虚血性脳卒中:3.9% vs.1.8%、RR:2.17(95%CI:1.98~2.52) -冠動脈疾患:17.1% vs.9.6%、RR:1.78(95%CI:1.70~1.88) -心不全:11.8% vs.6.0%、RR:1.97(95%CI:1.85~2.10) -末梢血管疾患:9.9% vs.6.3%、RR:1.57(95%CI:1.48~1.70) -COPD:32.0% vs.16.5%、RR:1.94(95%CI:1.88~2.00) -喘息(中等症/重症):24.2% vs.12.4%、RR:1.95(95%CI:1.86~2.03)・追跡期間中の死亡率はコロナ後遺症群2.8% vs.未感染群1.2%で、コロナ後遺症群は1,000人あたり16.4人の超過死亡となる。・COVID-19発症初期に入院を経験したコロナ後遺症群において、未感染群と比較して医療利用が増加した疾患は次のとおり。 -不整脈:51.7% vs.17.4%、RR:2.97(95%CI:2.81~3.16) -肺塞栓症:19.3% vs.3.1%、RR:6.23(95%CI:5.36~7.15) -虚血性脳卒中:8.3% vs.2.7%、RR:3.07(95%CI:2.59~3.66) -冠動脈疾患:28.9% vs.14.5%、RR:1.99(95%CI:1.85~2.15) -心不全:25.6% vs.10.1%、RR:2.53(95%CI:2.32~2.76) -末梢血管疾患:17.3% vs.8.9%、RR:1.94(95%CI:1.75~2.15) -COPD:43.1% vs.19.2%、RR:2.24(95%CI:2.11~2.38) -喘息(中等症/重症):31.6% vs.14.7%、RR:2.15(95%CI:2.00~2.31) コロナ罹患後症状に関する米国での最大規模の追跡調査において、コロナ後遺症患者は死亡率だけでなく心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが有意に増加し、とくにCOVID-19発症初期に入院した人では肺塞栓症が6倍、脳卒中が3倍以上など、さらにリスクが高くなることが示された。また、本研究はワクチン利用可能以前のサンプルを用いているため、ワクチン普及後では、ワクチンのコロナ後遺症緩和効果により、個人の医療利用パターンが変化する可能性もあると著者は指摘している。

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DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

 日本では過去に静脈血栓塞栓症 (肺塞栓症および深部静脈血栓症、以下VTE)の患者を対象とした多施設共同の大規模観察研究:COMMAND VTE Registry(期間:2010年1月~2014年8月、対象:3,024例)が報告されていた。しかしながら、同研究はワルファリン時代のデータベースであり、抗凝固薬の88%がワルファリンであった。現在はVTE患者の治療には直接経口抗凝固薬(DOAC)が広く普及しており、そこでDOAC時代における日本のVTE診療の実態を明らかにすることを目的としたCOMMAND VTE Registry-2が実施され、3月10~12日に開催された第87回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Cohort Studies Session」にて、同研究班の金田 和久氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が、その主解析の結果を報告した。DOAC時代のVTE患者を対象とした大規模な観察研究 COMMAND VTE Registry-2は、日本の31施設において2015年1月~2020年8月の期間に、急性の症候性の肺塞栓症および深部静脈血栓症と診断された患者5,197例を登録した多施設共同の観察研究である。本研究の特徴は、1)DOAC時代に特化したデータベースであること、2)世界的にみてもDOAC時代を対象とした最大規模のリアルワールドデータであること、3)詳細な情報収集かつ長期的なフォローアップが実施されたレジストリであることだ。 日本循環器学会が発行するガイドライン(「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」2017年改訂版)では、VTE再発リスクを3つのグループに分類し検討されていたが、近年は国際血栓止血学(ISTH)よりさらなる詳細なリスク層別化が推奨され、世界中の多くの最新のVTEガイドラインでは、VTE再発リスクに応じて5つのグループに分類している(メジャーな一過性リスク群[大手術や長期臥床、帝王切開など]、マイナーな一過性リスク群[旅などで長時間姿勢保持、小手術、ホルモン療法、妊娠など]、VTE発症の誘因のない群、がん以外の持続的なリスク因子を有する群[自己免疫性疾患など]、活動性のがんを有する群)。 今回の主解析では、ISTHで推奨されている詳細な5つのグループに分類し、患者背景、治療の詳細、および予後が評価された。 DOAC時代における日本のVTE診療の実態を明らかにすることを目的としたCOMMAND VTE Registry-2の主な結果は以下のとおり。・全対象者は5,197例で、平均年齢は67.7歳、女性は3,063例(59.0%)、平均体重は58.9kgだった。・PE(肺塞栓症)の症例は、2,787例(54.0%)で、DVTのみの症例は2,420例(46.0%)であった。・初期治療において経口抗凝固薬が使用されたのは4,790例(92.0%)で、そのうちDOACが処方されたのは4,128例(79%)だった。DOACの処方状況は、エドキサバン2,004例(49%)、リバーロキサバン1,206例(29%)、アピキサバン912例(22%)、ダビガトラン6例(0.2%)であった。・治療開始1年間の投与中止率は、グループ間で大きく異なっていた(メジャーな一過性リスク群:57.2%、マイナーな一過性リスク群:46.3%、VTE発症の誘因のない群:29.1%、がん以外の持続的なリスク因子を有する群:32.0%、活動性のがんを有する群:45.6%、p<0.001)。・メジャーな一過性リスク群(n=475[9%])はVTE再発リスクの5年間の累積発生率が最も低かった(2.6%、p<0.001)。・マイナーな一過性リスク群(n=788[15%])では、メジャーな一過性リスク群と比較するとVTE再発リスクの5年間の累積発生率が比較的高かった(6.4%、p<0.001)。・VTE発症の誘因のない群(n=1,913[37%])では長期にわたり再発リスクがかなり高かった(5年時点にて11.0%、p<0.001)。・活動性のがんを有する群(n=1,507、29%)では再発リスクが高く(5年時点にて10.1%、p<0.001)、また、大出血の5年間の累積発生率は最も高く(20.4%、p<0.001)、抗凝固療法の中止率も高かった。 発表者の金田氏は「欧米の最新のVTEガイドラインでもマイナーな一過性リスク群に対する抗凝固療法の投与期間は、短期vs.長期で相反する推奨の記載があるが、今回の結果を見る限り、日本人でも出血リスクの低い患者においては長期的な抗凝固療法を継続するベネフィットがあるのかもしれない。欧米のVTEガイドラインでは、VTE発症の誘因のない群では、半永久的な抗凝固療法の継続を推奨しているが、日本人でも同患者群での長期的な高い再発リスクを考えると、出血リスクがない限りは長期的な抗凝固療法の継続が妥当なのかもしれない。活動性がんを有する患者では、日本循環器学会のガイドラインでもより長期の抗凝固療法の継続が推奨されているが、DOAC時代となっても出血イベントなどのためにやむなく中止されている事が多く、DOAC時代となっても今後解決すべきアンメットニーズであると考えられる」と述べた。 最後に同氏は「今回、日本全国の多くの共同研究者のご尽力により実施されたDOAC時代のVTE患者の大規模な観察研究により、日本においても最新のISTHの推奨に基づいた詳細な再発リスクの層別化が抗凝固療法の管理戦略に役立つ可能性があり、一方で、より長期の抗凝固療法の継続が推奨されるようになったDOAC時代においては、その出血リスクの評価が益々重要になっていることが明らかになった」と話し、「本レジストリは非常に詳細な情報収集を行っており、今後、さまざまなテーマでのサブ解析の検討を行い共同研究者の先生方とともに情報発信を行っていきたい」と結論付けた。 なお、本学術集会ではCOMMAND VTE Registry-2からサブ解析を含めて総数20演題の結果が報告された。(下記、一部を列記)―――Actual Management of Venous Thromboembolism Complicated by Antiphospholipid AntibodySyndrome in Japan. From the COMMAND VTE Registry-2久野 貴弘氏(群馬大学医学部附属病院 循環器内科)Risk Factors of Bleeding during Anticoagulation Therapy for Cancer-associated Venous Thromboembolism in the DOAC Era: From the COMMAND VTE Registry-2平森 誠一氏(長野県厚生連篠ノ井総合病院 循環器科)Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension after Acute Pulmonary Embolism in the Era of Direct Oral Anticoagulants: From the COMMAND VTE Registry-2池田 長生氏(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)Clinical Characteristics and Outcome of Critical Acute Pulmonary Embolism Requiring Extracorporeal Membrane Oxygenation: From the COMMAND VTE Registry-2高林 健介氏(枚方公済病院 循環器内科)Clinical Characteristics, Anticoagulation Strategies and Outcomes Comparing Patients with and without History of Venous Thromboembolism: From the COMMAND VTE Registry-2土井 康佑氏(京都医療センター 循環器内科)Risk Factor for Major Bleeding during Direct Oral Anticoagulant Therapy in Patients with Venous Thromboembolism: From the COMMAND VTE Registry-2上野 裕貴氏(長崎大学循環病態制御内科学)Utility and Application of Simplified PESI Score for Identification of Low-risk Patients withPulmonary Embolism in the Era of DOAC西川 隆介氏(京都大学医学研究科 循環器内科学)Management Strategies and Outcomes of Cancer-Associated Venous Thromboembolism in the Era of Direct Oral Anticoagulants: From the COMMAND VTE Registry-2茶谷 龍己氏(倉敷中央病院 循環器内科)Clinical Characteristics and Outcomes in Patients with Cancer-Associated Venous Thromboembolism According to Cancer Sites: From the COMMAND VTE Registry-2坂本 二郎氏(天理よろづ相談所病院 循環器内科)Direct Oral Anticoagulants-Associated Bleeding Complications in Patients with Gastrointestinal Cancer and Venous Thromboembolism: From the COMMAND VTE Registry-2西本 裕二氏(大阪急性期・総合医療センター 心臓内科)Influence of Fragility on Clinical Outcomes in Patients with Venous Thromboembolism and Direct Oral Anticoagulant: From the COMMAND VTE Registry-2荻原 義人氏(三重大学 循環器内科学)Comparison of Clinical Characteristics and Outcomes of Venous Thromboembolism(VTE)between Young and Elder Patients: From the COMMAND VTE Registry-2森 健太氏(神戸大学医学部附属病院 総合内科)Off-Label Under- and Overdosing of Direct Oral Anticoagulants in Patients with VenousThromboembolism: From the COMMAND VTE Registry-2辻 修平氏(日本赤十字社和歌山医療センター 循環器内科)The Association between Statin Use and Recurrent Venous Thromboembolism: From theCOMMAND VTE Registry-2馬渕 博氏(湖東記念病院 循環器科)Clinical Characteristics and Outcomes of Venous Thromboembolism Comparing Patients with and without Initial Intensive High-dose Anticoagulation by Rivaroxaban and Apixaban大井 磨紀氏(大津赤十字病院 循環器内科)Initial Anticoagulation Strategy in Pulmonary Embolism Patients with Right Ventricular Dysfunction and Elevated Troponin Levels: From the COMMAND VTE Registry-2滋野 稜氏(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)Current Use of Inferior Vena Cava Filters in Japan in the Era of DOACs from the COMMAND VTE Registry-2高瀬 徹氏(近畿大学 循環器内科学)Patient Characteristics and Clinical Outcomes among Direct Oral Anticoagulants for Cancer Associated Venous Thromboembolism: From the COMMAND VTE Registry-2末田 大輔氏(熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科)―――

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コロナ診断1週目のリスク、心筋梗塞17倍・脳梗塞23倍/Circulation

 英国・国民保健サービス(National Health Service:NHS)のデータに基づき、ブリストル大学のRochelle Knight氏ら多施設共同による、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、およびその他の血管イベントの長期的な発生リスクについて大規模な後ろ向きコホート研究が実施された。その結果、COVID-19の既往がある人は既往がない人と比較して、COVID-19診断から1週目の動脈血栓塞栓症の発症リスクは21.7倍、静脈血栓塞栓症の発症リスクは33.2倍と非常に高く、27〜49週目でも、それぞれ1.34倍、1.80倍のリスクがあることが判明した。とくに患者数の多かった急性心筋梗塞と虚血性脳卒中では、COVID-19診断後1週目に、それぞれ17.2倍、23.0倍リスクが増加していた。Circulation誌2022年9月20日号掲載の報告。 本研究では、英国のイングランドおよびウェールズにて、全住民の電子カルテ情報を基に、2020年1月1日~12月7日(新型コロナワクチン導入以前)におけるCOVID-19診断後の血管疾患について検討された。COVID-19診断後の動脈血栓塞栓症イベント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中など)、静脈血栓塞栓症イベント(肺血栓塞栓症、下肢深部静脈血栓症、門脈血栓症、脳静脈血栓症など)、その他の血管イベント(心不全、狭心症、くも膜下出血など)の発生率を、COVID-19の診断を受けていない人との発生率を比較し、Cox回帰分析にて調整ハザード比(aHR)が推計された。 主な結果は以下のとおり。・イングランドおよびウェールズの成人約4,800万人のうち、COVID-19の診断から28日以内に入院したのは12万5,985人、入院しなかったのは131万9,789人であった。・イングランドでは、4,160万人年の追跡期間中に、26万279件の初回動脈血栓塞栓症と5万9,421件の初回静脈血栓塞栓症が発生した。・初回動脈血栓塞栓症は、COVID-19診断後1週目aHR:21.7(95%信頼区間[CI]:21.0〜22.4)、27〜49週目aHR:1.34(95%CI:1.21〜1.48)。・初回静脈血栓塞栓症は、COVID-19診断後1週目aHR:33.2(95%CI:31.3~35.2)、27〜49週目aHR:1.80(95%CI:1.50~2.17)。・動脈血栓塞栓症の多くは、急性心筋梗塞(12万9,799件)、もしくは虚血性脳卒中(12万8,539件)であった。・急性心筋梗塞は、COVID-19診断後1週目aHR:17.2(95%CI:16.3~18.1)と非常に高く、27〜49週目aHR:1.21(95%CI:1.03~1.41)となっている。・虚血性脳卒中は、COVID-19診断後1週目aHR:23.0(95%CI:22.0~24.1)と非常に高く、27〜49週目aHR:1.62(95%CI:1.42~1.86)となっている。・静脈血栓塞栓症の多くは、肺血栓塞栓症(3万1,814件)、もしくは深部静脈血栓症(2万5,267件)であった。・肺血栓塞栓症は、COVID-19診断後1週目aHR:33.2(95%CI:30.7~35.9)と非常に高く、2週目aHR:9.97まで低下するも、3~4週目aHR:10.5に一時的に増加し、27〜49週目aHR:1.61 (95%CI:1.23~2.12)となっている。・深部静脈血栓症は、COVID-19診断後1週目aHR:10.8(95%CI:9.32~12.5)と非常に高く、2週目aHR:4.00まで低下するも、3~4週目aHR:4.80に一時的に増加し、27〜49週目aHR:1.99(95%CI:1.49~2.65)となっている。 さらに本研究では、COVID-19の重症度、人口統計学的特性、既往歴によるサブグループ解析も行われ、白人よりも黒人やアジア系のほうがハザード比が高く、過去に血栓塞栓症の既往がある人よりも既往がない人のほうが高いということが認められた。COVID-19診断後49週目における全人口の動脈血栓塞栓症リスクの推定増加率は0.5%(7,200人相当)、静脈血栓塞栓症リスクの推定増加率は0.25%(3,500人相当)だという。

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日本からもこういう情報が欲しい!(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染禍は2年以上持続している。テレビのニュースでは各県の新規感染者数が発表される。日本のような小さな国で、各県、揺らぎの大きい毎日の感染報告者数を発表されても正直何もわからない。科学の世界では数値情報が必須である。世界の誰とも共有できるように、科学的方法に基づいて数値をまとめてほしい。 北欧諸国は日本と同様に比較的サイズの小さい国である。社会主義的傾向があるのでNational Databaseが充実している。本研究は新型コロナウイルス発症日を起点として、発症前の時期と静脈血栓症、肺塞栓症、重篤出血イベントの発症リスクを示している。ウイルス感染であるため、感染後ウイルスは増殖するが、免疫により駆逐される。新型コロナウイルスは血管内皮にも感染して血栓リスクを増加させるとされているが、リスクの増加はいつまでも持続するわけではない。血栓イベント予防を目指してヘパリンなどの抗血栓薬を使用するのが一般的なので重篤な出血合併症も増えると想定される。 新型コロナウイルスに感染すると静脈血栓リスクは速やかに上昇し、1週間から1ヵ月でリスクは5倍以上と最大になる。3ヵ月後には激減し、6ヵ月でコントロールに戻る。肺塞栓症のリスクは発症直後から激増し、2週間で46倍ともなる。その後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月とリスクは激減する。重篤な出血イベントリスクは発症直後が5倍と最大で、その後は、急速にリスクは低下する。 日本のニュースで発表される情報が臨床的見地から役に立たないのに対して、スウェーデンでは新型コロナウイルスの血栓症、その重篤なイベントである肺血栓塞栓症、抗血栓薬の合併症の好発時期に対して臨床に役立つ情報を提供している。 継続的に集積されているイベントデータなので、ワクチン接種の有無による変化、ウイルス株による血栓性の変化も定量情報として取得できる。 厚生労働省内部に「論文出版課」を作れば、日本でも役所が仕事として科学論文をシステムに出版するようになるかもしれない。科学論文を作ろうとすれば、データを科学的にまとめるだろう。厚労省から科学的数値データが出れば、数値データに基づいた政策ができるだろう。読者がいたらまじめに考えてほしい。

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世界血栓デーWEB講演会の開催について【ご案内】

 世界血栓症デーとは、国際血栓止血学会(ISTH)が「血栓症に関する正しい知識を広め、血栓症に起因する障害や死亡を減らす」ことを目的に制定したものである。一般社団法人日本血栓止血学会では日本における血栓症の啓発活動の一環として取り組んでおり、2022年度最初の世界血栓症デーWEB講演会として2022年5月17日(火)に『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』をテーマとしてWEB開催する。今回の講演内容は医療関係者を対象としているが、誰でも無料で視聴可能である。 開催概要は以下のとおり。【日時】2022年5月17日(火) 19:00~20:30【参加条件】登録方法:オンライン参加登録が可能(下記URLからお申込み可能)https://coubic.com/morishita/622935参加費:無料【テーマ】『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』-perspective of cancer-associated thrombosis-司会:向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)1.「がん関連血栓症の成因と病態」森下 英理子氏(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 金沢大学附属病院血液内科)2.「がん関連脳卒中-動脈塞栓症の新展開」野川 茂氏(東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科)3.「がん治療関連血栓症とその対応」向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)4.質問・討論【主催】一般社団法人 日本血栓止血学会【お問い合わせ】WTD講演会担当E-mail:kanazawa.u.hoken.morishita@gmail.com

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国内コロナ患者の血栓症合併、実際の抗凝固療法とは/CLOT-COVID Study

 国内において、変異株により感染者数の著しい増加を認めた第4波以降に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した際の血栓症の合併頻度や予防的抗凝固療法の実態に関するデータが不足している。そこで尼崎総合医療センターの西本 裕二氏らは国内16施設共同で後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、とくに重症COVID-19患者で予防的抗凝固療法が高頻度に行われていた。また、血栓症の全体的な発生率は実質的に低いものの、COVID-19が重症化するほどその発生率は増加したことが明らかになった。ただし、画像検査を受けた患者数が少ないため実質的な発生率が低く見積もられた可能性もあるとしている。Journal of Cardiology誌オンライン版2022年4月5日号掲載の報告。 研究者らが実施したCLOT-COVID Study(日本におけるCOVID-19患者での血栓症・抗凝固療法の診療実態を明らかにする研究)は、2021年4~9月に国内16施設でPCR検査によりCOVID-19と診断された入院患者を登録した後ろ向き多施設共同研究で、第4波と第5波でのCOVID-19患者の血栓症の合併頻度や予防的抗凝固療法の実態を把握することなどを目的に実施された。対象者は予防的抗凝固療法の種類と用量に応じて7グループ(予防用量の未分画ヘパリン[UFH]、治療用量のUFH、予防用量の低分子ヘパリン[LMWH]、治療用量のLMWH、直接経口抗凝固薬[DOAC]、ワルファリン、その他)に分類された。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19と診断されて入院したのは2,894例で、平均年齢(±SD)は53±18歳、男性は1,885例(65%)であった。また、平均体重(±SD)は68.9±18.5kg、平均BMI(±SD)は25.3±5.4kg/m2であった。・D-ダイマーが測定された患者(2,771例)の中央値は0.8μg/mL(四分位範囲:0.5~1.3)であった。・1,245例(43%)が予防的抗凝固療法を受け、その頻度は軽症9.8%、中等症61%、重症97%とCOVID-19の重症度が高くなるほど増えた。・抗凝固療法に使用された薬剤の種類や投与量は、参加施設間で大きく異なったが、予防用量UFHは55%(685例)、治療用量UFHは13%(161例)、予防用量LMWHは16%(204例)、治療用量LMWHは0%、DOACは13%(164例)、ワルファリンは1.5%(19例)、その他は1.0%(12例)で使用された。・入院中、下肢の超音波検査は38例(1.3%)、下肢の造影CTは126例(4.4%)が受け、55例(1.9%)で血栓症を発症した。そのうち39例(71%)は静脈血栓塞栓症(VTE)で、VTE診断時のD-ダイマーは18.1μg/mL(四分位範囲:6.6~36.5)、入院から発症までの日数の中央値は11日(四分位範囲:4〜19)であった。・血栓症の発生率は、軽症0.2%、中等症1.4%、重症9.5%とCOVID-19が重症化するにつれて増加した。・57例(2.0%)で大出血が発生した。・158例(5.5%)が死亡し、その死因の81%はCOVID-19肺炎による呼吸不全であった。 研究者らは、COVID-19入院患者への予防的抗凝固療法は重症例になるほど高頻度に行われていたが、治療方針が参加施設間で大きく異なっており、各施設の判断や使用可能な薬剤が異なっていた可能性を示唆した。また今後、国内のCOVID-19患者に対する至適な予防的抗凝固療法についてその適応や抗凝固薬の種類、用量を明らかにすべく、さらなる研究が望まれると結んだ。

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criteria検討に名を借りた医療経済検討なのではないのか?(解説:野間重孝氏)

 疫学について細論することは本稿の目的とするところではないので、日本循環器学会のガイドライン中の疫学の欄をご参照いただきたい(『肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)』)。骨子は、欧米においては静脈血栓・肺塞栓症が虚血性心疾患、脳血管疾患に次ぐ3大致死的血管疾患であるのに対して、わが国における肺塞栓症の発生が100万人当たり30人に達しない程度の頻度であるという事実である。近年人口の高齢化により血栓性疾患の頻度が増したとはいえ、それでも発生率は単位人口当たり欧米の8分の1以下という頻度にとどまっている。 とくにこの差は産科領域で大きい。欧米における妊婦の死亡原因の第1位が肺塞栓症であるのに対し、わが国における発生頻度は軽度のものまで含めても1,000件に1件(0.1%)にとどまるからである。産科領域で造影CT、核医学検査が行われた場合の胎児の被曝の問題は軽視できるものではない。このような被曝や侵襲を伴う検査に訴えることなく、血液検査など、できるだけ非侵襲的かつ簡便な検査で診断をつけることが、大きな課題となることが理解されるだろう。 ただ、もうひとつの重要な背景として(たびたび指摘していることだが)、国民皆保険制度の存在がある。わが国で診療を行っている限り、怪しいと疑った患者に対して(その診断精度に対する議論はあるにせよ)造影CTや肺換気・血流シンチを施行することにためらいはないだろう。しかし多くの諸外国において、こうした高価な検査は簡単には施行できないのが現実なのである。 著者らは、議論はあるとしながらも主なPEの診断法を3つにまとめて紹介している。これは参考になるのでここでもまとめ直してみよう。1)従来の(最もオーソドックスな)アルゴリズム: 検査前確率が高いと考えられる患者で、閾値を越えるD-dimer値の患者に造影CTないし肺換気・血流シンチを行う。2)検査前確率が低い患者に対して: PERC(PE rule-out criteria)8項目([1]年齢≧50歳、[2]心拍数≧100/min、[3]動脈血酸素飽和度<95%、[4]片側の下肢の腫脹、[5]血痰、[6]直近の外傷or手術、[7]PEや深部静脈血栓症の既往、[8]エストロゲン製剤使用)に該当しない、もしくはD-dimer値のcutoff値に年齢×10ng/mLを使用する。3)YEARS rule: YEARS criteria([1]PEが最も可能性がある診断、[2]深部静脈血栓症の臨床症状、[3]血痰)を満たさない患者に対してD-dimer cutoff値1,000ng/mLを併用する。 一見してわかるように、criteriaといいつつ、医師の主観がかなり影響することがわかる。どの方法によるにせよ、医師がどの程度積極的にPEを疑うか否かがキーポイントになっていることには変わりがないからである。なお、YEARS ruleはランダム化試験で検証されているわけではないことには注意が必要だろう。 このような現状に鑑み、本研究は救急部(ED)においてPERC ruleで除外されていないPE疑いの患者に対し、YEARS ruleと年齢調整D-dimer値を併用することによりPEが安全に除外できるかどうかを検討したものである。対照は上記の従来型の診断アルゴリズムである。ただ、ここまでお読みの読者の多くが「ちょっと待てよ」と思っていらっしゃるのではないだろうか。なぜなら、医師の主観が大きく介入するという点においては変わるところがないからである。本研究のプロトコールには確かに議論の余地がある。primary outcomeが3ヵ月後の静脈血栓症の有無であるのは適当か、secondary outcomeに「あらゆる原因による死亡」「3ヵ月後におけるあらゆる原因による入院」が含まれていることは適当かなどがまず挙げられるだろう。またsecondary outcomeには「ED滞在時間」が含まれているが、重症病変を診断することに時間の経済が含まれるのだろうか。こうした疑問はあるものの、結局、医師の主観を排除した診断アルゴリズムを模索することになっていないという点がすべてであると考える。 翻ってわが国のEDの現場を考えてみてほしい。胸痛と息苦しさを訴えて来院した患者に対して、心電図、胸部レントゲン写真、採血、動脈血酸素飽和度などの一通りの検査(場合により心エコー図検査も含む)がルーチンに行われないというケースは考えられない。そしてEDの通常採血項目にFDPやD-dimerが含まれていないというケースはないと言ってよい。そして、どれか1つにでも疑わしい所見があった場合、適切な画像診断を緊急で行うことを躊躇する救急医はいないと思う。このようなやり方について「あまりにもマニュアル化され過ぎている」とか「余計な検査をするケースが多い」という批判があることは承知しているが、これはすべて医師の主観をできるだけ排除して、客観的な診断を行うことを目的としているのである。 本研究の結果の部分に、胸部画像診断を行った例がintervention群で22.9%、control群で37.2%であり、14.3%の減少幅が得られたとあるが、結局本研究の目的はここにあったのではないかというのは、うがち過ぎではないだろう。結局、上述した国民皆保険問題に帰り着く。医療経済の追求が、多くの国・地域において大きな課題なのである。かつCT検査と私たちは簡単に言うが、世界のCTの10台に1台はわが国にあるといわれる。つまりここには医療資源の問題も絡んでくるのである。上記したように、このプロトコールでは医師の主観を排除しているとは言えないと批判したが、その根本には医療経済の問題をcriteriaの議論にすり替えていることがあると言ったら言い過ぎだろうか。 論文評のまとめとしてはいささか逸脱したものと言われるかもしれないが、いろいろと批判はあるもののわが国の医療体制は世界的に見て誇るべきものであり、この長い経済停滞の時期を乗り越えて医療経済をいかに守っていくかが、私たちに課せられた課題であることを痛感したものである。近年わが国では年金制度の議論ばかりがやかましいが、健康保険制度を維持することこそ、私たちが子供たちの世代に残せる大きく貴重な財産であることを、恐縮ながらこの場をお借りして再度訴えたいと思う。

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肺塞栓除外、YEARS基準+D-ダイマー年齢補正カットオフ値が有効/JAMA

 肺塞栓症の疑いで救急部門に搬送され、肺塞栓症除外基準(PERCルール)で除外できなかった患者について、YEARS基準とD-ダイマー年齢補正カットオフ値を組み合わせた診断戦略は、従来のD-ダイマー年齢補正カットオフ値のみによる診断戦略と比べて非劣性であることが、フランス・ソルボンヌ大学のYonathan Freund氏らが1,414例を対象に行った無作為化試験で示された。YEARS基準+D-ダイマー診断群では、胸部画像撮影実施率も約9%低減し、救急部門入院期間は短縮したという。これまで非コントロール試験では、YEARS基準とさまざまなD-ダイマーのカットオフ値を組み合わせた診断戦略が、安全に肺塞栓症を除外できることが示されていた。JAMA誌2021年12月7日号掲載の報告。肺塞栓をYEARS基準とD-ダイマー年齢補正カットオフ値で除外 研究グループは2019年10月~2020年6月にかけて、フランスとスペインの18ヵ所の救急部門で、肺塞栓症の臨床的リスクは低いもののPERCルールで除外できなかった患者、または肺塞栓症の主観的な中等度の臨床リスクが認められた患者の合計1,414例を対象に、クラスター無作為化クロスオーバー非劣性試験を行った。追跡は、2020年10月まで行った。 各試験センターで、無作為に介入期間とコントロール期間の順序が決められた。介入期間に、YEARS基準に該当せずD-ダイマー値が1,000ng/mL未満、またはYEARS基準1以上に該当しD-ダイマー値が年齢補正カットオフ値(50歳未満は500ng/mL、50歳以上は年齢×10ng/mL)未満の患者について、胸部画像なしで肺塞栓症を除外した(726例)。 コントロール期間では、D-ダイマー値が年齢補正カットオフ値未満の場合に、胸部画像なしで肺塞栓症を除外した(688例)。 主要エンドポイントは、3ヵ月時点の静脈血栓塞栓症(VTE)の発生率で、非劣性マージンは1.35%とした。副次エンドポイントは8項目で、いずれも3ヵ月時点で評価した胸部画像撮影、救急部門入院期間、入院、非適応抗凝固療法、全死因死亡、あらゆる再入院などだった。肺塞栓除外のYEARS基準とD-ダイマー年齢補正カットオフ値の組み合わせは有効 被験者数1,414例(平均年齢55歳、女性58%)のうち、1,217例(86%)を対象にper-protocol解析が行われた。 試験期間中に、救急部門で肺塞栓症の診断を受けたのは100例(7.1%)だった。3ヵ月時点で、VTE発症は介入群1例(0.15%、95%信頼区間[CI]:0.0~0.86)に対し、コントロール群5例(0.80%、0.26~1.86)で、介入群の非劣性が示された(補正後群間差:-0.64%、片側97.5%CI:-∞~0.21)。 解析を行った6項目の副次エンドポイントのうち有意差が認められたのは、胸部画像撮影の実施率(介入群30.4% vs.コントロール群40.0%、補正後群間差:-8.7%[95%CI:-13.8~-3.5])、救急部門入院期間の中央値(6時間[IQR:4~8]vs.6時間[5~9]、補正後群間差:-1.6時間[95%CI:-2.3~-0.9])の2項目のみだった。

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75歳以上のコロナワクチン、心血管イベントに影響なし/JAMA

 仏・French National Agency for Medicines and Health Products SafetyのMarie Joelle Jabagi氏らが75歳以上のフランス人において、BNT162b2mRNAワクチン(以下、ファイザー社ワクチン)接種後の重度心血管イベントの発症について短期リスクを評価。その結果、急性心筋梗塞、脳卒中、および肺塞栓症の発生率の増加は、ワクチン接種14日後に見られなかったことを明らかにした。なお、先行のイスラエルと米国の研究でも、ファイザー社ワクチン接種後42日と21日において、心筋梗塞、肺塞栓症、脳血管イベントのリスクは増加しなかったと報告している。JAMA誌オンライン版2021年11月22日号のリサーチレターに掲載された。 研究者らは、フランスの国民健康データシステムを使用し、75歳以上でかつ2020年12月15日~2021年4月30日に急性心筋梗塞、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、肺塞栓症と診断されて入院した患者(ワクチンの接種は問わない)を適格者として検証を行った。調査方法には自己対照ケースシリーズ法を用い、心血管イベントに依存する曝露、ワクチン接種のキャンセルや延期または短期の死亡率を増加させる可能性のある死亡率に関連する高いイベントを調査した。その際、イベントに先行する曝露のみが考慮された。曝露リスクの間隔は2回のワクチン接種後それぞれ1~14日で、曝露リスク間隔はさらに1~7日目と8~14日目に細分化された。ワクチン接種日以外は非リスク期間と見なされた。イベントとワクチン接種の両方のバックグラウンド率の変化を考慮するため、一時的(7日単位)に調整された相対発生率(RI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・2021年4月30日時点で、75歳以上の約390万人がファイザー社ワクチンを1回以上接種し、320万人が2回接種をしていた。・そのうち、観察期間中に1万1,113例が急性心筋梗塞で入院(そのうち1回以上ワクチン接種を受けたのは58.6%)し、1万7,014例が虚血性脳卒中(同54.0%)、4,804例が出血性脳卒中(同42.7.%)、7,221例が肺塞栓症(55.3%)で入院した。・ワクチン1回目、2回目いずれかの接種後14日間に、有意なリスク増加は見られなかった。・心筋梗塞のRIは、 1回目が0.97(95%信頼区間[CI]:0.88~1.06)、2回目が1.04(同:0.93~1.16)だった。虚血性脳卒中では1回目が0.90(同:0.84~0.98)、2回目が0.92(同:0.84~1.02)。出血性脳卒中は1回目が0.90(同:0.78~1.04)および2回目は0.97(同:0.81~1.15)。肺塞栓症は0.85(同:0.75~0.96)、2回目は1.10(同:0.95~1.26)だった。・2つの細分化された曝露間隔(1~7日および8~14日)において、心血管イベントの有意な増加はいずれも観察されなかった。

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がんと血栓症、好発するがん種とリスク因子は?【見落とさない!がんの心毒性】第8回

がん患者における血栓症は、頻度が多いにも関わらず見逃されやすい病気です。慎重な身体診察と適切な検査を行うことで、早期診断、早期治療を行うことが重要です。近年、がん患者の血栓症の発症頻度は増加傾向にあり、がん関連血栓症(CAT :Cancer-Associated Thrombosis)と呼ばれて注目されています。とくに、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)を合わせた静脈血栓塞栓症(VTE :venous thromboembolism)の頻度が高く、入院中のがん患者では約20%に起こると報告されています1)。主な原因は、がんや治療による血液凝固能の異常な活性化、長期臥床や血管の圧迫などによる血流のうっ滞、検査や治療による血管内皮障害により静脈血栓が形成されやすくなることです。さらに、診断率の向上、がん治療の長期化、がん患者の高齢化、心血管毒性を有する抗がん剤の使用なども増加の一因と考えられています。一方、がん患者の動脈血栓塞栓症の頻度は1%以下ですが、脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患などの重篤な病態の原因となり注意が必要です。本稿では、VTEの診断と治療のポイントを解説します。症状と診断VTEを診断するための重要なポイントは、症状を見逃さないように注意深く病歴を聴取し、全身の診察を怠らないことです。DVTの症状では、四肢の腫脹、疼痛、皮膚の色調変化が重要ですが、時に症状に乏しく突然のPTEを来たして診断されることもあります。PTEの症状では、呼吸困難、胸痛が多く、そのほかに咳嗽、喘鳴、動悸、失神などが見られます。急性PTEは致死率が高いため、Dダイマー上昇などの検査所見からVTE を疑うことも重要です。(表1)にDVT、PTEの診断を予測する代表的な「Wellsスコア」「改訂ジュネーブスコア」を示します。「Wellsスコア」では合計点数が3点以上では高リスクで精査が必要ですが、2点以下(低or中リスク)でDダイマー陰性であればDVTの可能性は低くなります2)。「改訂ジュネーブスコア」においてPTEの頻度は1点以下で7.7%(95%信頼区間[CI]:5.2~10.8)、2~4点で29.4%(%同:26.6~33.1)、5点以上では64.3%(同%:48.0~78.5) と予測されています3)。日本のガイドラインでも、問診・診察・Dダイマー検査を行い、DVTが疑われる場合は下肢静脈超音波検査・造影CT、PTEの場合は胸部造影CTなどで確定診断を行うことを推奨しています4)。(表1)DVT、PTE診断における代表的なスコア画像を拡大するVTEのリスク因子がん患者におけるVTE発症のリスク因子は(表2)に示すように患者・がん・治療関連の因子に大別されます。先天性血栓素因やVTEの既往などの一般的な患者関連リスク因子に加えて、がん関連またはがん治療関連リスク因子が報告されています。がんの原発部位別にみると、膵臓がん、胃がん、脳腫瘍でVTEのリスクが高く、組織型、進行度も重要です。また、大手術や中心静脈カテーテル留置もリスクを上げます5)。化学療法中のがん患者は、非がん患者と比べるとVTE発症のリスクが6~7倍上昇すると報告され6)、とくに血管新生阻害薬、血液がんの治療に用いる免疫調整薬、ホルモン療法(タモキシフェンなど)では注意が必要です。(表2)がん患者のVTE発症リスク因子画像を拡大する管理法・治療法VTEの標準治療は抗凝固療法です。本邦で使用可能な抗凝固療法には点滴製剤である未分画ヘパリン(海外では低分子ヘパリンが推奨)、経口製剤としてワルファリン、直接経口抗凝固薬(DOAC)のアピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバンなどがあり、経口製剤単独もしくは点滴製剤と組み合わせて治療を行います。DOACは、がん患者を対象とした大規模臨床試験(Hokusai-VTE Cancer7)、CARAVAGGIO8)、SELECT-D9))において、VTE再発や重篤な出血に関して低分子ヘパリンと比較して遜色ない良好な成績が示されたことから、海外の最新のガイドラインではがん患者の急性VTEに対する治療として推奨されています10)。しかし、がん患者では抗がん剤と抗凝固薬との薬物相互作用(例:ワルファリンと5−FU)、抗凝固療法による出血リスクの上昇など、患者ごとに慎重な抗凝固療法の適応判断と薬剤選択を検討する必要があります。抗凝固療法の継続期間は、がん患者では再発リスクの観点から3ヵ月以上の長期的な使用が推奨されています。(表3)DOAC3剤とワルファリンの注意点画像を拡大するそのほかの治療として、血行動態が不安定となるような重症PTEに対して血栓溶解療法(商品名:クリアクター)や外科的血栓除去術を行うこともあります。また抗凝固療法が困難な症例や、抗凝固療法を行っているにもかかわらずVTEが増悪する症例に対しては下大静脈フィルターを留置し突然死を予防することもあります。VTEを発症した症例において、がん治療を中断・中止すべきかどうかは、個々の例の状況に応じて、腫瘍内科医と循環器内科医とが緊密に連携して検討する必要があります。1)Lecumberri R, et al. Thromb Haemost. 2013;110:184-190.2)Wells PS, et al. Lancet.1995;345:1326-1330.3)Klok FA, et al. Arch Intern Med. 2008;168:2131-2136.4)日本循環器学会編. 日本循環器学会編. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン)2017年改訂版)5)Ay C, et al. Thromb Haemost. 2017;117:219-230.6)Blom JW, et al. JAMA. 2005,;293:715-722.7)Raskob GE, et al. N Engl J Med. 2018;378:615-624.8)Agnelli G, et al. Engl J Med. 2020;382:1599-1607.9)Young AM, et al. J Clin Oncol. 2018;36:2017-2023.10)Stevens SM, et al. Chest. 2021 Aug 2.[Epub ahead of print]講師紹介

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閉塞性細気管支炎〔BO:Bronchiolitis obliterans〕

1 疾患概要■ 概念・定義閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans:BO)の用語は、1901年にLangeによって初めて記述されたが、1973年にGosinkらによって瘢痕性の細気管支閉塞を来す病態として疾患概念が確立された。さまざまな病態を背景に、細気管支粘膜下から周辺の線維化・瘢痕化により細気管支内腔が閉塞し、肺野全体に散在性に広がることにより呼吸不全を来す疾患である。■ 疫学閉塞性細気管支炎は、乳幼児から高齢者までの男女に発症する希少疾患である。世界的にも疫学調査研究はなく有病率は不明であるが、わが国における全国調査では、2003年では287例、2011年では477例と報告されている。■ 病因閉塞性細気管支炎の原因として、有毒ガスの吸入、マイコプラズマやウイルス感染、ならびに薬剤との関連が報告されている。また、膠原病や自己免疫疾患への合併の報告が多く、とくに慢性関節リウマチに多い。特殊な例として、肺内で増殖性に広がる神経内分泌細胞の過形成に合併するもの、植物摂取によるもの(アマメシバ)、腫瘍随伴性天疱瘡への合併などその原因は多様である。原因不明の特発性症例の報告はまれであるが存在する。 近年、骨髄移植や心肺移植が盛んになるにつれ閉塞性細気管支炎の合併が報告され、これらの事実から何らかの免疫学的異常を背景に発症するものと考えられる。とくに心肺移植患者の長期予後を左右する重要な因子である。また、造血幹細胞移植においても長期生存移植患者のQOLを著しく悪化させる合併症である。■ 症状1)無症状期病初期には自覚症状や他覚症状がなく、早期の病変をみつけるには、現時点では肺機能検査のみが唯一の手段である。1秒量(FEV1.0)の低下を認めることから、肺移植患者ではFEV1.0とFEF25-75の低下が重症度の指標とされている。2)自覚症状期病変が広がることにより、乾性咳嗽や労作時呼吸困難が出現する。また、気管支喘息のような強制呼気時の連続性副雑音の自覚症状が現れることがある。3)進行期病勢が進むと細気管支閉塞部位より中枢の気管支拡張や繰り返す気道感染、胸腔内圧の上昇による気胸・縦隔気腫などを合併し、呼吸不全が進行する。■ 予後肺病変は不可逆的変化であるため、一般的に予後不良である。しかし、その経過はさまざまであり、(1)急激に発症し、急速に進行するもの、(2)急激に発症し病初期は急速に進行するが、その後安定した状態で肺機能を保つもの、(3)ゆっくりと発症し、慢性の経過で進行していくものがある。肺移植後5年までの閉塞性細気管支炎合併率は50~60%と報告されており、閉塞性細気管支炎発症後の5年生存率は30~40%と不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)自覚症状や身体所見から診断することは困難である。胸部単純X線画像は、ほぼ正常か、わずかに過膨張を示すに過ぎず、CTにおいても病勢が進行しなければ、異常と捉えられる所見は乏しい。高分解能CT(High-resolution CT:HRCT)の吸気相・呼気相での空気捕らえ込み現象(air-trapping)が診断の助けとなる。肺血流シンチにおける多発性陰影欠損を認めることがあり、肺血栓塞栓症との鑑別が問題になる。しかし、同時に肺換気シンチを実施することにより、肺血流シンチと同一部位の多発性陰影欠損を認める。閉塞性細気管支炎の確定診断には組織診断が必要であるが、肺機能が悪く、外科的肺生検に適さない症例も多い。また、病変が斑紋状分布であることや、病変部位を画像で捉える手段がないことから、不十分な標本のサンプリングや切り出しでは、外科的肺生検でも時に組織診断ができないことがあるので注意が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)閉塞性細気管支炎の確立された治療法はなく、治療の目標は、細気管支での炎症を抑制し安定した状態に保つことである。■ 薬物療法骨髄移植や心肺移植、膠原病などの免疫学的背景を有する閉塞性細気管支炎に対しては、ステロイド薬や免疫抑制剤による免疫抑制強化が行われる。呼吸不全に対しては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に準じた治療が選択され、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入ステロイド薬(ICS)などが、自覚症状に合わせて用いられる。■ 在宅酸素療法労作時の低酸素血症を来たす場合には、慢性呼吸不全に対する保険適用に準じて在宅酸素療法が導入される。■ 手術療法内科的な治療にもかかわらず低酸素血症、高炭酸ガス血症、繰り返す気胸、呼吸機能障害が進行する場合で、年齢が55歳未満(両肺移植)、精神的に安定しており、本人と家族を含め移植医療を支える環境と協力体制が期待できる場合に肺移植の適応を検討する。4 今後の展望閉塞性細気管支炎は希少疾患であるが、骨髄移植や心肺移植をはじめ、移植医療が盛んになるにつれて発症の増加が予想される。また、自己免疫疾患や膠原病への合併症例や特発性症例の診断を確立していく上でも、今後の臨床情報の集積と早期診断・治療・予防に関する前向き研究を期待したい。5 主たる診療科呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 閉塞性細気管支炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(びまん性肺疾患に関する調査研究班)(医療従事者向けのまとまった情報)1)長谷川好規. 日内会誌. 2011;100:772-776.2)Barker AF, et al. N Engl J Med. 2014;370:1820-1828.3)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究班」編. 難治性びまん性肺疾患診療の手引き.南江堂:2017.公開履歴初回2021年11月2日

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COPD増悪入院患者、肺塞栓症診断戦略の追加は?/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪で入院した患者において、通常治療に積極的な肺塞栓症(PE)の診断戦略を追加しても、通常治療のみと比較し複合的な健康アウトカムの有意な改善は認められないことが、スペイン・Universidad de AlcalaのDavid Jimenez氏らが同国18施設にて実施した、多施設共同無作為化非盲検試験「Significance of Pulmonary Embolism in COPD Exacerbations trial:SLICE試験」の結果、示された。PEはCOPDの増悪を呈した患者に多くみられることが報告されているが、増悪により入院したCOPD患者においてPEを積極的に検査することで臨床アウトカムが改善されるかどうかを評価した臨床試験はこれまでなかった。JAMA誌2021年10月5日号掲載の報告。通常治療と、無作為化後12時間以内のPE診断追加を比較 研究グループは2014年9月~2020年7月に、増悪のために入院したCOPD患者746例を、通常治療+積極的なPE診断戦略(無作為化後12時間以内にDダイマー検査→陽性の場合は肺血管造影CT検査)を行う介入群(370例)と、通常治療のみの対照群(367例)に、1対1の割合で無作為に割り付け、3ヵ月間追跡調査した(最終2020年11月)。 主要評価項目は、無作為化後90日以内の非致死的な新規/再発症候性静脈血栓塞栓症(VTE)、COPDによる再入院または死亡の複合エンドポイントであった。副次評価項目は主要評価項目の各イベントとし、有害事象についても評価した。アウトカムの改善には結び付かず 無作為化された746例のうち、無作為化時点で抗凝固薬を投与されていた4例、同意撤回3例、および誤って無作為化された2例を除く737例(98.8%)がintention-to-treat解析対象集団となった(平均年齢70歳、女性195例[26%])。 主要評価項目のイベントは、介入群で110例(29.7%)、対照群で107例(29.2%)に認められた(絶対リスク差:0.5%[95%信頼区間[CI]:-6.2~7.3]、相対リスク:1.02[95%CI:0.82~1.28]、p=0.86)。介入群の対照群に対する無作為化後90日以内の複合アウトカム発生に関するハザード比は1.0(95%CI:0.8~1.3、p=0.82)であった。 無作為化後90日以内の非致死的な新規/再発症候性VTEは、介入群で2例(0.5%)、対照群で9例(2.5%)(絶対リスク差:-2.0%[95%CI:-4.3~0.1]、相対リスク:0.22[95%CI:0.05~1.01])に発生した。COPD増悪による再入院についても、94例(25.4%)vs.84例(22.9%)で両群に差はなかった(2.5%[-3.9~8.9]、1.11[0.86~1.43])。90日死亡率は、6.2% vs.7.9%であった(-1.7%[-5.7~2.3]、0.79[0.46~1.33])。 有害事象については、大出血は介入群で3例(0.8%)、対照群で3例(0.8%)に発生した(相対リスク:1.0、95%CI:0.2~4.9、p=0.99)。

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脳静脈洞血栓症患者の血小板減少症、COVID-19流行前はまれ/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の以前には、脳静脈洞血栓症(CVST)患者におけるベースラインの血小板減少症の頻度は低く、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)や血小板第4因子(PF4)/ヘパリン抗体の発生もきわめてまれであったことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのMayte Sanchez van Kammen氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2021年7月2日号で報告された。COVID-19ワクチンであるChAdOx1 nCov-19(AstraZeneca/Oxford)およびAd.26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson)の接種後4~28日以内に、血小板減少症を併発するCVSTを発症した症例が報告されており、その根本的な病理学的機序として、PF4/ヘパリン抗体に関連する免疫介在性反応が提唱されている。7ヵ国7病院の検体の後ろ向き記述的解析 研究グループは、COVID-19の世界的流行以前にCVSTと診断された患者において、入院時の血小板減少症、HIT、PF4/ヘパリン抗体の発現の頻度を明らかにする目的で、レトロスペクティブな記述的解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 解析には、フィンランド、オランダ、スイス、スウェーデン、メキシコ、イラン、コスタリカの国際脳静脈洞血栓症コンソーシアムに参加している7つの病院から得られた、1987年1月~2018年3月の期間にCVSTと診断された患者の検体が用いられた。 865例で、ベースラインの血小板数のデータが得られた。このうち93例のサブセットで、以前の試験(2009年9月~2016年2月)で採取された凍結血漿検体を用いてPF4/ヘパリン抗体の解析が行われた。 主要アウトカムは、入院時の血小板減少症(血小板数<150×103/μL)、HIT(担当医の診断による)、PF4/ヘパリンIgG抗体(光学濃度[吸光度]>0.4、過去に血漿検体を採取した患者のサブセット)の頻度とされた。血小板減少症8.4%、HIT 0.1%、PF4/ヘパリン抗体0% 865例(年齢中央値40歳[IQR:29~53]、女性70%)のうち、73例(8.4%、95%信頼区間[CI]:6.8~10.5)が血小板減少症であり、751例(86.8%)が正常血小板数(150~450×103/μL)、41例(4.7%)は血小板増加症(>450×103/μL)であった。 血小板減少症73例の重症度の内訳は、軽症(血小板数100~149×103/μL)が52例(6.0%)、中等症(50~99×103/μL)が17例(2.0%)、重症(<50×103/μL)は4例(0.5%)だった。 PF4/ヘパリン抗体を伴うHITは、1例(0.1%、95%CI:<0.1~0.7)にみられた。また、血漿検査が行われた93例の便宜的な検体のサブセットでは、8例(9%)に血小板減少症(軽症6例、中等症2例)が認められ、PF4/ヘパリン抗体がみられた患者はいなかった(0%、95%CI:0~4)。抗PF4 IgGの光学濃度中央値は0.106(IQR:0.088~0.142、範囲:0.064~0.357)だった。 著者は、「これらの知見は、ChAdOx1 nCoV-19およびAd26.COV2.S COVID-19ワクチンと、血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症との関連性を調査する際に、有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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「リクシアナ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第60回

第60回 「リクシアナ」の名称の由来は?販売名リクシアナ®錠15mgリクシアナ®錠30mgリクシアナ®錠60mgリクシアナ®OD錠15mgリクシアナ®OD錠30mgリクシアナ®OD錠60mg一般名(和名[命名法])エドキサバントシル酸塩水和物(JAN)効能又は効果○非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 ○静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制 ○下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術用法及び用量画像を拡大する警告内容とその理由1.本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないため、本剤投与中は、 血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。2.脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)〈効能共通〉1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血を助長するおそれがある。]3.急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。] 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈 血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉4.腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者5.凝血異常を伴う肝疾患の患者〈下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制〉6.高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者※本内容は2021年7月14日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月改訂(第12版)医薬品インタビューフォーム「リクシアナ®錠15mg/錠30mg/錠60mg、リクシアナ®OD錠15mg/OD錠30mg/OD錠60mg」2)第一三共MedicaL Library:製品一覧

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国内コロナ患者へのCT検査実施率とVTE発症の実態は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者での血栓症が世界的に報告されている。日本国内でもその状況を把握するために種々のアンケート1)2)が実施されてきたが、発症率や未診断症例(under-diagnosis)に関する詳細は不明であった。そこで、京都大学の山下 侑吾氏らは画像診断症例を対象にCOVID-19症例の静脈血栓塞栓症(VTE)発症の実態を正確に調査するレジストリ研究を実施した。その結果、以下4点が明らかになった。1)国内の現実臨床では、COVID-19症例に造影CT検査が実施される事はかなり少数だった。2)VTE発症について、軽症例では一例も認めなかったが、重症例では比較的高率だった。3)VTE発症例では、肥満やCOVID-19重症例の割合が多かった。4)VTE発症例と非発症例の生存退院の割合には有意差を認めなかった。また、肺塞栓症の重症度はすべて軽症だった。 この報告はCirculation Journal誌2021年5月20日号オンライン版に掲載された。研究概要と結果 本研究は、日本静脈学会および肺塞栓症研究会の有志「日本でのVTEとCOVID-19の実態調査タスクフォース」によって実施された医師主導の多施設共同の後ろ向き観察研究である。対象者は2020年3~10月に参加施設22件において、PCR検査でCOVID-19と確定診断された症例の中から、胸部を含む造影CT検査が実施された患者1,236例。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19症例の中で、造影CT検査が実施されていたのは45例(3.6%)だった。・そのうちの28例(62%)では、VTE発症を疑い造影CTが撮像されたていたが、残りの症例は別目的での撮像であった。・45例のうちVTEを認めたのは10例だった。COVID-19の重症度別では、軽症は0%、中等症は11.8%、重症は40.0%だった。・VTE発症例は非発症例と比較して、過体重(81.6kg vs. 64.0kg、p=0.005)かつBMI高値(26.9 kg/m2 vs. 23.2kg/m2、p=0.04)であり、人工呼吸器やECMOを要するような重症例の割合が有意に高かった(80.0%vs. 34.3%)。・一方、VTE発症例と非発症例で、退院時の生存割合に有意な差は認められなかった(80.0%vs. 88.6%)。・45例のうち30例(66.7%)には抗凝固薬が投与されていた(予防用量の未分画ヘパリン:46.7%、治療用量の未分画ヘパリン:30.0%、低分子ヘパリン:13.3%)。・VTE発症例において、入院からVTE診断までの日数の中央値は18日であり、50.0%の患者はICU入室中に診断された。残り50%の患者は一般病棟入室中に診断されていた。・8例(17.8%)に肺塞栓症を認めたが、肺塞栓症の重症度はすべて軽症例であった。しかし、5例(11.1%)に大出血イベントを認めていた。 研究者らは、「海外では、予防的な抗凝固療法の実施に関して、適切な対象患者、抗凝固療法の種類と強度、および投与期間などを検討するさまざまな報告が相次いでいる。日本の現場でも、画像診断の可否を含めどのように対応すべきか議論を進めていくことが重要と考えられる」と考察している。

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低用量アスピリンも、NSAIDsに使用上の注意改訂指示

 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課は2月25日付の課長通知にて、妊婦全般が禁忌になっていない非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)について添付文書改訂を指示した。 改訂内容は妊婦への使用に関するもので、妊婦全般が禁忌になっていないNSAIDsによる胎児の腎障害出現や羊水過少リスク上昇について、国内での論文報告などを受けて行われた。 米国では昨年10月、広く使用されている鎮痛薬を妊娠20週以降に服用すると合併症のリスクが高まる可能性があるとして、食品医薬品局(FDA)が「妊娠20~30週の妊婦に対するNSAIDsの処方は限定的にし、必要な場合にも、最小限の用量で可能な限り最短期間の処方とする旨の注意喚起を行う」と改訂を指示していた。ただし、日本国内において、妊娠時期に関する明記は現段階では避けている。 対象薬剤はシクロオキシゲナーゼ阻害作用を有するNSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)で、ロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名:ロキソニン ほか)、セレコキシブ(商品名:セレコックス ほか)などが含まれ、経口剤や坐剤のみならず、外用剤も該当する。妊婦、産婦、授乳婦等への投与を新たに新設 製剤ごとの追記は以下のとおり。・妊婦全般が禁忌になっていないNSAIDs シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨、使用する際には必要最小限の使用とし適宜羊水量を確認する旨の注意喚起を追記。・低用量アスピリン製剤及び局所製剤 シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨を追記。

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肺血栓塞栓症はCOPD増悪の原因と考えてよいか?(解説:山口佳寿博氏)-1355

 まず言葉の定義から考えていく。COPDの分野にあって、“急性増悪”という言葉が使用されなくなって久しい。現在では、単に“増悪(Exacerbation)”という言葉を使用する。さらに、増悪は“気道病変(炎症)の悪化を原因とする呼吸器症状の急性変化”と定義される(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2006以降)。GOLD 2003では、増悪は狭義のもの(一次性原因)と広義のもの(二次性原因)の2種類に分類されたが、GOLD 2006以降では、気道病変(炎症)の悪化を原因とする“狭義の増悪”を“増悪”と定義し、それ以外の原因に起因する“広義の増悪”は増悪ではなく“増悪の鑑別診断/修飾因子”として考慮することになった(肺炎、肺血栓塞栓症、気胸、胸部外傷、胸水、心不全/不整脈、麻薬/鎮静剤、β blocker。GOLD 2011以降では、麻薬/鎮静剤、β blockerが鑑別から除外)。増悪の定義が厳密化されたのは、増悪様症状を示した症例のうち80%以上が感染性(気道感染)、非感染性(環境汚染など)による気道炎症の悪化に起因し、それに対してSteroid、抗菌薬を中心とした基本的治療法が確立されたためである。その意味で、肺血栓塞栓症(PTE:Pulmonary thromboembolism)は増悪を惹起する原因ではなく、増悪の鑑別診断となる病態であることをまず理解していただきたい。 COPDとPTEの合併に関しては古くから多くの検討がなされ、COPD患者におけるPTEの合併率は、19%(Lesser BA, et al. Chest. 1992;102:17-22.)から23%(Shetty R, et al. J Thromb Thrombolysis. 2008;26:35-40.)と報告されている。これらのPTE合併頻度は本邦の一般人口におけるPTEの発症頻度(剖検例での検討:無症候性の軽症を含め18~24%)とほぼ同等であり、COPD自体がPTE発症を助長しているわけではない。しかしながら、原因不明のCOPD増悪(一次性原因と二次性原因を含む)症例を解析した論文では、その3.3%(Rutschmann OT, et al. Thorax. 2007;62:121-125.)から25%(Tillie-Leblond I, et al. Ann Intern Med. 2006;144:390-396.)にPTEの合併を認めたと報告された。本論評で取り上げたCouturaudらの論文では、COPD増悪様症状を呈した症例の5.9%にPTEの合併を認めたと報告されている(Couturaud, et al. JAMA. 2021;325:59-68.)。これら3論文を合わせて考えると、増悪様症状を呈したCOPD患者のうち少なくとも10%前後に、二次性原因としてのPTEが合併しているものと考えなければならない。以上の解析結果は、安定期COPDはPTEの発生要因にはならないが、COPDの増悪様症状を呈した患者にあってはPTEに起因するものが少なからず含まれ、COPDの真の増悪(一次性増悪)の鑑別診断としてPTEは重要であることを示唆する。PTEの合併はCOPD患者のその後の生命予後を悪化させ、1年後の死亡率はPTE合併がなかったCOPD患者の1.94倍に達する(Carson JL, et al. Chest. 1996;110:1212-1219.)。 Couturaudらのものを含め現在までに報告された論文からは、COPDの真の増悪とPTEとの関連を明確には把握できない。COPDの増悪がPTEの危険因子となる、あるいは、逆にPTEの合併がCOPDの真の増悪をさらに悪化させるかどうかを判定するためには、増悪様症状を呈したCOPD患者を真の増悪(一次性原因)とそうでないもの(二次性原因)に分類し、各群でPTEの発症頻度を評価する必要がある。COPDの真の増悪は、一秒量(FEV1)関連の閉塞性換気指標の悪化、喀痰での好中球、好酸球の増加、喀痰中の微生物の変化などから簡単に判定できる。これらの変化は、PTEなどの二次性原因では認められないはずである。以上のような解析がなされれば、COPDの真の増悪とPTE発症の関係が正確に把握でき、COPDの真の増悪がPTE発症の危険因子として作用するか否かの問題に決着をつけることができる。今後、このような解析が世界的になされることを念願するものである。本邦のPTEガイドライン(cf. 10学会合同の『肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症[静脈血栓塞栓症]予防ガイドライン』[2004])では、COPDの増悪がPTEの危険因子の1つとして記載されているが、この場合の増悪がいかなる意味で使用されているのか、再度議論される必要がある。

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高齢者ニーズに合わせたイグザレルトOD錠発売/バイエル薬品

 バイエル薬品株式会社は、選択的直接作用型第Xa因子阻害剤(経口抗凝固剤)リバーロキサバン(一般名)の新剤形として、「(商品名)イグザレルトOD錠 10mg」・「同 15mg」を1月18日に発売した。 リバーロキサバンは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制や、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の治療・再発抑制の成人への適応として承認され、2012年よりわが国で販売、広く処方されている。 今回新たに発売されたリバーロキサバンの新剤形は、嚥下力の低下、複数の薬剤の服用といった高齢者が抱える服薬上のニーズに応えるため、日本向けの製剤としてわが国で独自に開発したもので、唾液で速やかに崩壊するため、水なしでも服用ができる。製品概要製品名:イグザレルトOD錠 10mg、同OD錠 15mg一般名:リバーロキサバン効能・効果:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制用法・用量:[非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制]通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg 1日1回に減量する。[深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の治療および再発抑制]通常、成人には深部静脈血栓症または肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。製造発売承認日:2020年8月6日発売日:2021年1月18日薬価:イグザレルトOD錠 10mg:364.10 円/錠、同15mg:517.00 円/錠

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COPD急性増悪、入院患者の約6%が肺塞栓症/JAMA

 呼吸器症状の急性増悪で入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、あらかじめ定めた診断アルゴリズムを用いると、5.9%の患者に肺塞栓症が検出された。フランス・Centre Hospitalo-Universitaire de BrestのFrancis Couturaud氏らが、同国内の病院7施設で実施した前向き多施設共同横断研究「prevalence of symptomatic Pulmonary Embolism in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease study:PEP研究」の結果を報告した。COPDで呼吸器症状が急性増悪した患者における肺塞栓症の有病率はこれまで明らかになっておらず、COPDの急性増悪で入院した患者に対していつどのように肺塞栓症のスクリーニングをするかが課題であった。JAMA誌2021年1月5日号掲載の報告。COPD急性増悪による入院患者を肺塞栓症診断アルゴリズムで評価 研究グループは、2014年1月~2017年5月の間に呼吸器症状の急性増悪のため入院したCOPD患者を対象に、あらかじめ定めた肺塞栓症診断アルゴリズム(改訂ジュネーブスコアによる検査前確率判定、Dダイマー検査、スパイラルCT肺血管造影+下肢圧迫超音波検査)を入院48時間以内に適用し、3ヵ月間追跡調査した(追跡調査最終日は2017年8月22日)。 主要評価項目は、入院48時間以内に診断された肺塞栓症であった。主な副次評価項目は、入院時に静脈血栓塞栓症を有していないとして抗凝固療法を受けなかった患者における3ヵ月間の肺塞栓症とした。その他の評価項目は、入院時および3ヵ月間の静脈血栓塞栓症(肺塞栓症または深部静脈血栓症)、ならびに3ヵ月間の死亡(静脈血栓塞栓症が臨床的に疑われるかどうかにかかわらない)とした。COPD急性増悪で入院後、2日以内に約6%で肺塞栓症が確認 COPD急性増悪のため入院した患者の計740例(平均[±SD]年齢68.2±10.9歳、女性274例[37.0%])が登録された。このうち、入院48時間以内に肺塞栓症が確認されたのは44例(5.9%、95%信頼区間[CI]:4.5~7.9%)であった。 COPD急性増悪による入院時に静脈血栓塞栓症を有していないと判定され抗凝固療法を受けなかった患者670例において、3ヵ月間の追跡期間中に肺塞栓症が確認されたのは5例(0.7%、95%CI:0.3~1.7%)で、このうち3例は肺塞栓症に関連して死亡した。 全例における3ヵ月死亡率は、6.8%であった(50/740例、95%CI:5.2~8.8%)。追跡期間中に死亡した患者の割合は、入院時静脈血栓塞栓症有病者が非有病者と比較して高かった(25.9%[14/54例]vs.5.2%[36/686例]、リスク差:20.7%、95%CI:10.7~33.8%、p<0.001)。 静脈血栓塞栓症の有病率は、肺塞栓症が疑われた患者(299例)で11.7%(95%CI:8.6~15.9%)、肺塞栓症が疑われなかった患者(441例)で4.3%(95%CI:2.8~6.6%)であった。 著者は、研究の限界として、呼吸器症状の急性増悪が軽度であった患者や重度呼吸不全患者は過小評価されている可能性があること、17.6%の患者は肺塞栓症の初回評価を完遂できていないことなどを挙げたうえで、「COPD患者における肺塞栓症の体系的なスクリーニングが果たしうる役割について、さらなる研究により理解する必要がある」とまとめている。

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日本人のCOVID-19による血栓症発症率は?

 合同COVID-19関連血栓症アンケート調査チームによる『COVID-19関連血栓症に関するアンケート調査』の結果が12月9日に発表された。それによると、日本人での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連血栓症の発症率は、全体では1.85%であることが明らかになった。 この調査は、COVID-19の病態の重症化に血栓症が深く関わっていることが欧米の研究で指摘されていることを受け、日本人COVID-19関連血栓症の病態及び診療実態を明らかにすることを目的として行われたもの。2020年8月31日までに入院したCOVID-19症例を対象とし、全国の病院399施設のうち109施設からCOVID-19患者6,082例に関する回答が寄せられた。なお、合同調査チームは厚生労働省難治性疾患政策研究事業「血液凝固異常症等に関する研究」班、日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会の3組織合同によるもの。 主な調査結果は以下のとおり。・Dダイマーは症例全体の72%で測定され、入院中に基準値の3~8倍の上昇を認めたのはそのうちの9.5%、8倍以上の上昇を認めたのは7.7%と、多くの症例で血栓傾向がみられた。・血栓症は1.85%(血栓症に関する回答のあった5,687例のうち105例)に発症し、発症部位は(重複回答を可として)、症候性脳梗塞22例(血栓症症例の21.0%)、心筋梗塞7例(同6.7%)、深部静脈血栓症41例(同39.0%)、肺血栓塞栓症29例(同27.6%)、その他の血栓症21例(同20.0%)であった。・血栓症は、軽/中等症の症例での発症が31例(軽/中等症症例の0.59%)、人工呼吸器/ECMO使用中の発症が50例(人工呼吸/ECMO症例まで要した重症例の13.2%)であった。・症状悪化時に血栓症を発症したのは64例だったが、回復期にも26例が血栓症を発症していた。・抗凝固療法は、76病院で6,082例のうち880例(14.5%)に実施された。治療法の主な内訳は、未分画ヘパリン591例(880例中の67.2%)、低分子量ヘパリン111例(同13.0%)、ナファモスタット234例(同26.6%)、トロンボモジュリンアルファ42例(同4.8%)、前述の薬剤併用138例(同15.7%)、直接経口抗凝固薬[DOAC]91例(同10.3%)、その他42例(同4.8%)だった。・予防的抗凝固療法の実施について回答した49施設によると、予防的投与を行った患者背景として、Dダイマー高値、NPPV(非侵襲的陽圧換気)/人工呼吸患者、酸素投与患者などが挙げられた。

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