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小児のコロナ入院の多くが軽症例/国立成育医療研究センター・国立国際医療研究センター

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏らのグループは、国立国際医療研究センターの研究チームと合同で、小児新型コロナウイルス感染症による入院例の疫学的・臨床的な特徴を分析した。 これは、国立国際医療研究センターが運営している国内最大のCOVID-19入院患者のレジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用したもので、本レジストリを使用した小児患者における分析は今回が初めてとなる。 分析の結果、分析対象期間に登録された小児のCOVID-19入院患者の多くは、無症状または軽症であり、酸素投与を必要とした患者は15例、症状のあった患者全体の2.1%だった。また、ほとんどが無症状、または軽症であるにもかかわらず、入院期間の中央値は8日で、2歳未満や13歳以上の患者、基礎疾患のある患者は、何らかの症状が出やすい傾向にあることがわかった。そのほか、38℃以上の熱が出た患者は、症状のあった患者(730例)のうち10.3%(75例)、13~17歳の患者(300例)の約20%に、味覚・嗅覚異常がみられたことが示唆された。 なお、本研究は、デルタ株がまだわが国に存在しない時期に実施されているため、小児に対するデルタ株の影響については評価外となっている。1,038例の小児患者の解析からわかったこと 本研究は、小児のCOVID-19で入院した患者にはどのような症状がみられ、どのくらい入院していたかを明らかにするとともに、「症状がない」患者と「症状がある」患者の、患者背景にどのような違いがあるかについて、小児患者におけるCOVID-19の疫学的・臨床的な特徴の解明を目的とした。【研究概要と結果】・研究対象2020年1月~2021年2月の間にCOVID-19 Registry Japanに登録された18歳未満のCOVID-19患者・研究方法登録患者の細かな症状、入院期間、患者背景などのデータを集計・分析・研究結果(1)期間中に3万6,460例の患者が登録され、そのうち研究対象となった18歳未満の患者は1,038例だった。(2)入院時にまったく症状がなかった患者は308例(29.7%)。これは、隔離目的や、保護者が入院してしまい、子どもの面倒を見る人がいないなどの社会的理由での入院例が多く存在することが示唆された。(3)何らかの症状があった患者(730例)のうち、酸素投与を必要とした患者は15例(2.1%)。また、死亡した患者は0例で、この期間の小児新型コロナウイルス感染症は極めて軽症であったといえる。(4)無症状者と比べると、症状のある患者では、「2歳未満」「13歳以上」「何らかの基礎疾患のある患者」の割合が高くなっていた(ただし、基礎疾患のある患者の割合については統計学的な有意差はなかった)。(5)38℃以上の発熱は、症状のある患者全体の10.3%にしか表れていなかった。一方で、特徴的な症状の1つである味覚・嗅覚異常は13歳以上の小児において20%以上に表れていた。(6)入院期間の中央値は8日で、無症状者、有症状者で変わらなかった。医療的ケアが必要ない無症状の患者に対しても、長期間の入院させていたことがわかった。 庄司氏は、「今回の研究によりわが国の小児新型コロナウイルス感染症の入院症例の実態が明らかになった。今後、小児の入院適応やワクチン接種の対象などを考えていく上で、本研究の結果がその基礎データとして利用されることが期待される。また、今後デルタ株が小児に与えている影響を検討する際の比較対象としても貴重なデータであると考える」と期待を寄せている。

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ワクチンによる入院回避効果、mRNA vs.アデノウイルスベクター/NEJM

 米国で使用されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン3種、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)、mRNA-1273(Moderna製)、Ad26.COV2.S(Johnson & Johnson-Janssen製)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院やICU入室、あるいは救急部門や救急クリニック(urgent care clinic)の受診に対し、高い有効性が認められたことを、米国疾病予防管理センター(CDC)のMark G. Thompson氏らが報告した。COVID-19による入院患者約4万2,000例と救急・緊急外来クリニックを受診した約2万2,000例を調べた結果で、これらワクチンの有効性は、SARS-CoV-2感染で受ける影響が不均衡な集団にも認められたという。NEJM誌オンライン版2021年9月8日号掲載の報告。187病院、221ヵ所の救急部門・クリニックを対象に調査 研究グループは2021年1月1日~6月22日に、COVID-19が疑われる症状でSARS-CoV-2分子検査を受けた50歳以上を対象に試験を行い、COVID-19ワクチンの有効性を検証した。被験者は、米国内187の病院に入院した4万1,552例と、221ヵ所の救急部門や救急クリニックを受診した2万1,522例だった。 対象者の予防接種状況を電子健康記録と免疫レジストリの記録を基に確認し、検査陰性デザインを用いて、ワクチン接種者と非接種者のSARS-CoV-2陽性に関するオッズ比を比較し、ワクチン有効性を推定した。ワクチン有効性は、ワクチン接種傾向スコアに基づき重み付けし、また、年齢、住所、暦日(2021年1月1日から各医療機関受診日までの日数)、地域のウイルス流行性で補正を行った。mRNAワクチンの有効性、85歳以上84%、慢性疾患有病者90% COVID-19・mRNAワクチン完全接種(2回目接種から14日以上経過)の、SARS-CoV-2感染検査確定者の入院に対する有効性は89%(95%信頼区間[CI]:87~91)、ICU入室の有効性は90%(85~93)、救急部門・クリニック受診に対する有効性は91%(89~93)だった。 COVID-19関連の入院や救急部門・クリニック受診に関するワクチンの有効性は、BNT162b2とmRNA-1273は同等であり、mRNAワクチン完全接種者の有効率は、85歳以上では84%(95%CI:73~91)、慢性疾患有病者は90%(87~92)、アフリカ系/ヒスパニック系成人は95%(84~98)/81%(70~88)であった。 Ad26.COV2.Sワクチンの有効性は、検査確定SARS-CoV-2感染者の入院に対しては68%(95%CI:50~79)、救急部門・クリニック受診に対しては73%(59~82)だった。

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コロナワクチンの異物混入・併用接種・3回接種に見解/日本ワクチン学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の切り札として、全国でワクチン接種が行われているが、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(モデルナ社製)に異物混入が報告され、その健康への被害などにつき不安の声が上がっている。 日本ワクチン学会(理事長:岡田 賢司氏)は、こうした声を受け9月7日に同学会のホームページ上で「新型コロナウイルスに対するワクチンに関連した日本ワクチン学会の見解」を公開し、異物混入の影響、異なる種類のワクチンによる併用接種、3回目の接種の3つの課題に対して学会の見解を発表した。現時点の異物混入ワクチンの評価と今後の対応 ワクチンへの異物混入について、モデルナ社製のワクチン接種後に2件の死亡事例が把握され、製造企業による調査結果を基に、「混入した異物が全身的な症状を起こす可能性は低いこと」「アナフィラキシーの原因となる可能性が低いこと」を示した。 そして、「こうした事態はあってはならない残念な事案」とし、事案発生後の即時使用中止と情報公開が速やかに行われたことを評価すると共に、「今後の再発防止に向けて、製造から接種まですべての過程における安全性確保の徹底のために、本学会として学会員ならびに関係各方面への協力を要請する」と学会の姿勢を示した。 また、「ワクチン接種後の死亡事例に関しては、剖検の結果なども含めて、厚生労働省から因果関係の検討に関する詳細の早期公開を要望する」と記すと共に、「今後類似の事象が起こった場合には、製造・販売企業、厚生労働省などの公的機関による調査結果、およびこれまで積み重ねられてきた知見を基に、科学的・医学的に議論することが重要」と提案している。ワクチンの併用接種については慎重に 英国における臨床研究で、「異なる種類のワクチンを接種することにより、同一のワクチンを接種する場合よりも高い抗体価が獲得される可能性が示された」ことを踏まえ、わが国で異なる種類のワクチンの併用接種の導入が今後検討されていると示した。 その上で、現在、ワクチンの需要が供給を上回ること、異物混入による予定変更で希望者全員に接種されていない場合があることを考慮し、「今後、ワクチンの供給不足により接種の遅滞が生じた場合には、現状の新型コロナウイルス感染症流行が災害級の非常事態であるとの見地から、異なる種類のワクチンの併用接種も選択肢に入れることを提案する」と提言している。 また、「『接種できるワクチンを、種類を選ばず2回接種していく』ことのベネフィット、すなわち接種が停滞することによって生じる個人における感染のリスクと社会全体としての感染拡大のリスクを低減することが、何らかの副反応の生じるリスクを大きく上回る」と示唆している。 そして、異なる種類のワクチンの併用接種につき、日本脳炎ワクチンやポリオワクチンなどを例に、これらは科学的な根拠に基づいてその有効性や安全性が確認された後に、それらの併用接種が認められてきたという経緯を踏まえ、現在わが国で認められている3種のmRNAワクチンは、「ワクチンでは定められた用法・用量にしたがって、同一のワクチンを用いて接種するもので、前述の併用接種に相当する接種方法は、わが国では検証されていない」と注意を喚起している。 今後の課題として「仮にわが国においてこの併用接種を行うのであれば、希望者に接種が行き届くまでの一時的な措置と位置付けると共に、並行してわが国における臨床研究として、たとえ少数例であってもその有効性と安全性の検証を行うことが不可欠」と提言している。※一部で用いられている「交差接種」という用語は、正式な医学用語ではないので注意されたい3回目の接種の前に希望者全員への2回接種を 一般論として、「ワクチン接種後に獲得された抗体価は時間経過と共に減衰していくものであり、低下したそのレベルで効果がもたらされるかどうか、すなわち感染防御や重症化防止の評価・検証が重要となる」と評価・検証の重要性を示した上で、わが国では3回目の検証が行われていないと指摘する。 また、「免疫力をより強く長く維持することを目的とする優れた接種方法の検討は、今後進められていくべき」とことわったうえで、「国民に広く接種が行き渡っていない現状においては、まずは同一のワクチンを用いて2回の接種を対象となる希望者全員に対して可及的速やかに実施することが第一義と考える」と希望者全員への接種を優先すべきと示した。 そして、3回接種を行っている諸外国と異なり、ワクチンの供給を輸入に頼るわが国の独自性について触れ、「国内向けだけではなく世界においてわが国が果たす公衆衛生の観点に立ち、接種可能なワクチンを世界のすべての人々に2回接種する努力を継続することこそ、今回のパンデミックを収束/終息させるために最も有効で、かつ最優先させるべきこと」と考えを示した。 最後に学会では、「ワクチンの基礎臨床研究の推進、および適正な情報の公開・共有と、メディアとの連携を進めていく」と展望を語っている。

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コロナワクチンは高齢者の死亡をどの程度防いだか/厚労省アドバイザリーボード

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第51回(9月8日開催)において、「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン等の効果の推定」が報告された。 資料では、65歳以上の高齢者についてワクチンをしなかった場合の推定から実数を比べ、ワクチンの効果を示したもの。COVID-19ワクチンで8,000人以上の高齢者の死亡を抑制した可能性 65歳以上の高齢者の9割近くが2回のワクチン接種を終えた環境下で、ワクチンの効果として、高齢者を中心に感染者数、死亡者数の増加抑制が期待されている。今回、HER-SYSデータを用いてワクチン接種などがなかった場合の推定モデルを作成し、COVID-19陽性者数、死亡者数が、同推定モデルと比較してどの程度抑制されたかを試算した。[試算方法] 2021年1月1日~8月31日までのHER-SYSデータを使用して試算した。(1)4月~8月までの感染陽性者数と年齢区分別の月毎の増加率を算出(2)1月~7月までの高齢者の新型コロナウイルス感染陽性者、死亡者数、致死率を検討(3)(1)で算出した増加率、(2)で算出した致死率を利用し、感染陽性者数と死亡者数の抑制を試算(なおHER-SYSにおける死亡数の入力率は66%程度と試算される点にも留意が必要)【COVID-19感染抑制の推定】 7月と8月で、推定10万人以上の高齢者の感染を抑制した可能性がある。7月:推定モデル感染者数2万7,052、実数5,953、推定との差2万1,0998月:推定モデル感染者数11万778、実数2万4,110、推定との差8万6,668【COVID-19感染死亡数抑制の推定】 7月と8月で、推定8,000人以上の高齢者の死亡を抑制した可能性がある。7月:推定死者数1,768、死亡者実数145、推定との差1,6238月:推定死者数7,544、死亡者実数725、推定との差6,819 なお、参考資料として「2021年1月~7月の新型コロナウイルス感染陽性者の致死率」も示され、2021年1月と7月を比較すると、1月の致死率が90歳以上で15.56%だったものが、7月では同数値が5.64%まで低下していることが示されている。

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グラム染色本の最高峰【Dr.倉原の“俺の本棚”】第46回

【第46回】グラム染色本の最高峰私がグラム染色を一番やっていたのは研修医時代でした。京都府の洛和会音羽病院というところで研修させていただいて、当時、私と一緒に救急部でグラム染色を教えてくれた先生や同僚たちは、皆さんいろいろな分野で活躍しています。『グラム染色診療ドリル〜解いてわかる! 菌推定のためのポイントと抗菌薬選択の根拠』林 俊誠/著. 羊土社. 2021年6月30日発行医学部のときからずっと着ている白衣がクリスタルバイオレットまみれになって、なんか太陽の光を数年間浴びていない地下研究者みたいな恰好をしていました。「さすがにクリスタルバイオレットこぼしすぎやろ」と怒られたのは、もう15年も前の話。そういえば、バイオセーフティキャビネットではなく、救急外来でPPEをつけずに染めていた気がします。また、上手に染色できた肺炎球菌や大腸菌のスライドグラスを永久標本にして、自分のコレクションにしていました。ここらへんが現在では許されるのかどうかはわかりませんが、いずれも時効ということで……。グラム染色の本はいくつか出版されていますが、この本の素晴らしいところは、「至言が至言過ぎる」点です。書かれている全てが医師に心に突き刺さるメッセージ。たとえば緑膿菌の見た目、『「E. coliよりも細い」と気づける感覚を養う』、こりゃあ至言です。緑膿菌ってヒョロっとしているので、太い大腸菌とは違いますよね。その他、『グラム染色鏡検で「見えない」からこそ見えてくるものがある』など、なんかボクの人生をグラム染色してくださいみたいな「至言」がてんこ盛りで、読んでいてテンションが上がってきます。グラム染色に限った本ではなく、臨床における判断についても丁寧に記載されています。例えば、ESBL感染症でカルバペネムを温存しなきゃだめだよ、というICTとしても重要なメッセージも書かれています。グラム染色に偏った本ではないので、感染症診療に従事するすべての医療従事者にとって満足度が高いと思います。何より、安いです。『グラム染色診療ドリル〜解いてわかる! 菌推定のためのポイントと抗菌薬選択の根拠』林 俊誠/著.出版社名羊土社定価本体3,600円+税サイズB5判刊行年2021年

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第74回 ワクチン1回目でアナフィラキシー、日本で「交差接種」はなぜ考慮されない?

先進国内では遅れを取ったと言われる日本の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチン接種。9月8日時点の対象人口での接種率は1回目接種完了が60.9%、2回目接種完了が49.0%となり、現在、2回目接種完了者が人口の約53%であるアメリカの背を捉えつつある。そうした中で5月に承認されながら副反応に対する警戒感から公的接種での使用が控えられていたアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチン「バキスゼブリア筋注」が8月から40歳以上に限定して公的接種に組み入れられたことは、ここ最近の接種率向上に一役買っているとみられる。ご存じのようにバキスゼブリアについては約10~25万回に1回の頻度で血小板減少症を伴う血栓症が確認され、発症者の5~6人に1人が死亡している。また、50歳未満の若年者の発生頻度は、50歳以上の2倍ほど高い。もっともこの頻度はワクチンの副反応としてはかなり低いもので、私個人は当初公的接種から外したことはナイーブすぎた判断と考えている。さてこのワクチンに関して東京都でちょっとした騒動が勃発している。「都の大規模ワクチン会場、独断で「交差接種」 健康状態に問題なし」(朝日新聞)もう既にほとんどの方がご存じかとは思うが、3月にファイザー製ワクチンの優先接種を受け、アナフィラキシーを起こした医療従事者がかかりつけ医に相談し、2回目接種にバキスゼブリアを選択するようアドバイスを受け、都の接種会場でこのことを申し出た後、そのまま交差接種を受けたという案件である。予診担当の医師も接種担当の看護師も交差接種であることをわかったうえで接種を実施。これに対し都側で不適切だったと申し開きをしたという内容だ。正直、なんともすっきりしない話である。確かに制度上は適切とは言えない。ただ、アナフィラキシーという本人の不可抗力によりワクチン接種完了が叶わなかったこの方は、今のデルタ株流行という環境下で医療従事者として働くことに相当不安を抱いていたはずだ。だからこそ、かかりつけ医に相談してまで、この接種会場に赴いたのだろうと推察する。そう考えるとこの方はもちろんかかりつけ医も現場で判断した予診担当の医師も接種を行った看護師も私は責めることができない。いったいこうした人はどれくらいいるのだろうか?mRNAワクチンの接種によりアナフィラキシーを起こしたと厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で判定を受けているケースは、8月8日までにファイザー製が405件、モデルナ製が9件ある。もちろん接種のすそ野が広がってくる今後、こうした人は増えてくるだろう。その人たちをこのまま放置して良いのだろうか?ちなみにいわゆる1回目と2回目の接種を違うワクチンで行う交差接種に関しては、最近Lancet誌にオックスフォード大学のグループによる単盲検試験の結果が報告されている。この試験は28日間隔でファイザーワクチン2回接種、アストラゼネカワクチン2回接種、アストラゼネカ1回目/ファイザー2回目、ファイザー1回目/アストラゼネカ2回目の接種を行った4群で新型コロナウイルスの抗スパイクタンパクIgGの幾何平均濃度を比較したもの。結論から言えば幾何平均濃度は高い順からファイザー2回接種、アストラゼネカ1回目/ファイザー2回目、ファイザー1回目/アストラゼネカ2回目、アストラゼネカ2回接種となった。まだプリミティブな結果ではあるものの、この結果からは今回の接種そのものが医学的に問題あるものではないこともほぼ明らかだ。そもそも体内に入ったmRNAの分解されやすさや2回接種完了者での抗体価減少の研究報告なども併せてみれば、この方のようなケースは初回のmRNAワクチンの影響もほぼウォッシュアウトされているかもしれない。その意味ではやや乱暴な言い方かもしれないがバキスゼブリアを2回接種しても良いのではないかとすら思えてくる。いずれにせよ本人に接種の意思がありながら、mRNAワクチンでのアナフィラキシーゆえに接種完了が叶わなかった人たちに、本人の同意取得を前提に補償的措置として臨床研究を兼ねてウイルスベクターワクチンの再接種を検討すべきではないかと考えている。

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アレルギー高リスク者、コロナワクチンによるアレルギー発症率は?

 新型コロナワクチンを接種したいもののアレルギー持ちだと、どうしても躊躇してしまう。とくに副反応が強く出やすい2回目となればなおさらである。今回、イスラエル・Sheba Medical CenterのRonen Shavit氏らは、アレルギーに対し高いリスクを有する患者について、ファイザー製の新型コロナワクチン(BNT162b2)のアレルギー反応/アナフィラキシーの影響について調査を行った。その結果、アレルギー性疾患の病歴を持つほとんどの患者は、医療施設で実装できるさまざまなアルゴリズムを使用すれば安全に接種できることが示唆された。JAMA Network Open誌2021年8月31日号のOriginal Investigationとして掲載。 研究者らは2020年12月27日~2021年2月22日の期間、シェバ医療センターのCOVID-19ワクチンセンターに申請されたアレルギー患者8,102例を対象に前向きコホート研究として、詳細なアンケートを含むアルゴリズムを使用したリスク評価を実施。アレルギーに対し高いリスクを有する患者を「アレルギー性が高い」とし、医学的管理下で接種が行われた。 主な結果は以下のとおり。・アレルギー性が高い患者と定義付けされたのは429例で、そのうち304例(70.9%)は女性、平均年齢±SDは52±16歳だった。・BNT162b2ワクチンの初回投与後、420例(97.9%)に即時型アレルギー反応はなく、6例(1.4%)には軽度のアレルギー反応が、3例(0.7%)にはアナフィラキシーが出現した。・調査期間中、アレルギー性が高い患者218例(50.8%)が2回目のBNT162b2ワクチン接種を受けたところ、214例(98.2%)にはアレルギー反応がなく、4例(1.8%)で軽度のアレルギー反応がみられた。・ほかの即時型および遅延型アレルギーの発現状況について、アレルギー性が高い患者群を一般集団と比較しても同等だった(遅延性のかゆみや発疹の発症は除外)。

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地球温暖化により増加している死亡とは?(解説:有馬久富氏)

 疾患の発生には季節変動があることが知られている。最近も滋賀県全体で行なっている脳卒中登録事業より、脳卒中が気温の低い冬に増加することが報告されている(文献1)。逆に気温の高い夏に増加する疾患もある。このように、寒い気候も暑い気候も特定の疾患の発生に影響を与えうる。 Global Burden of Disease Studyの成績と気象データを結びつけて、寒い気候と暑い気候が死亡に及ぼす影響を検討した結果がLancet誌に掲載された(文献2)。その結果は、寒い気候と暑い気候により、世界で毎年約170万人が死亡しているというものであった。 寒い気候は、肺炎などの呼吸器疾患死亡や脳心血管死亡を引き起こしていたが、過去20年でその影響は減少する傾向にあった。一方、暑い気候は、溺死・自殺など外因死の増加と関連しており、その数は地球温暖化の影響で増加する傾向にあった。地球温暖化は、気候だけでなく、人々の健康にも影響を与えている可能性がある。健康面からも地球温暖化対策は急務といえよう。

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妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。 今回の改訂では、主に以下の5点が追記・修正された。【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】 最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】 追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。【同「自宅療養者に対して行う診療プロトコール」「経口ステロイド薬投与における留意点」などについて追記】 自宅療養・宿泊療養を行っている患者で酸素投与の適応となる場合の経口ステロイド薬投与における留意点」として、ステロイド投与を行う際の病状評価および治療適応の判断では、原則として自宅に赴いた往診医や宿泊施設内における担当医師などによる対面診療のもと、処方することを推奨(処方例:デキサメタゾン 6mg 分1 10日間または症状軽快まで)している。また、緊急時対応のために事前処方や内服の目安(例:咳嗽などの呼吸器症状があり、SpO2 93%以下)などが記されている。その際、電話、オンラインなどで医師が指示したり、フォローアップすることが望ましいと詳しい項目が記載されている。【5 薬物療法の各種薬剤の項目(レムデシビル、バリシチニブなど)に一部追記】 レムデシビルの保険適用(2021年8月4日)や「腎機能障害のある患者への投与」が追加され、重度の腎機能障害がある患者には投与は推奨されないが、治療の有益性が上回ると判断される場合のみに投与とされた。また、「バリシチニブ」について、入院患者1,525人を対象とした二重盲検試験(COV-BARRIER)の結果、主要評価項目の人工呼吸管理/死亡に至った割合に差は認められなかったが、治療開始28日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かった試験結果が追加された。【6の院内感染対策の「表6-1」「1.個人防護具」「5.患者寝具類の洗濯」「8.職員の健康管理」などについて一部追記】 「表6-1 感染防止策」の確定例の感染防止策を実施する期間が大きく改訂され、発症者と人工呼吸器など要した患者に場合分けされ記載された。 「1.個人防護具」では、エアロゾルが発生しやすい状況として、歯科口腔処置、非侵襲的換気、ネーザルハイフロー、生理食塩水を用いた喀痰誘発、下気道検体採取、吸引を伴う上部消化管内視鏡などが追加された。 「5.患者寝具類の洗濯」では、患者が使用したリネン類の洗濯について、具体的かつ詳細な洗濯法が追加された。 「8.職員の健康管理」では、参考として「医療従事者が濃厚接触者となった場合の外出自粛の考え方」が新たに追加された。 なお、本手引きは5月以降、毎月追加改訂がなされているので、下記のリンクなどより確認をいただきたい。

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新型コロナワクチン、6~7月の有効率は95%/感染研

 国立感染症研究所は8月31日、ワクチンを接種して14日以上経過した者は未接種者と比較し感染のオッズが有意に低かったことから、さまざまな変異株が流行する状況においても国内承認ワクチンは有効であることを示唆した。また、ワクチンの接種回数、(短期的には)接種からの期間の長さによって有効率が高くなる傾向も明らかにした。ワクチン有効率を症例対照研究での調整オッズ比から推定 現在、ファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンの有効性は90%以上、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンも有効性は70%程度と報告されているが、変異株出現により有効性の低下が指摘されている。そこで、国立感染症研究所は、5つの医療機関の発熱外来など新型コロナウイルス検査を受けた患者を対象として、症例対照研究(test-negative design)を行った。 今回の報告は2021年6月9日~7月31日の暫定結果で、対象者はPCR検査陽性者が症例群、陰性者が対照群に分類された。検査前には基本属性、新型コロナワクチン接種歴などを含むアンケートが実施された。また、発症から14日以内、いずれか1症状のある者(37.5℃以上の発熱、全身倦怠感、寒気、関節痛、頭痛、鼻汁、咳嗽、咽頭痛、呼吸困難感、嘔気・下痢・腹痛、嗅覚味覚障害)に限定して解析が行われた。 ワクチン接種歴については、「未接種」「1回接種のみ」「2回接種」の3つに区分。さらに、接種後の期間を考慮するため「未接種」「1回接種後13日目まで」「1回接種後14日から2回接種後13日目まで(partially vaccinated)」「2回接種後14日以降(fully vaccinated)」の4つのカテゴリーに区分した。ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比と95%信頼区間(CI)を算出。また、ワクチン有効率は多変量解析から得られた調整オッズ比を使用し、(1-オッズ比)×100%で推定した。多変量解析における調整変数としては、先行研究を参照し、年齢、性別、基礎疾患の有無、医療機関、カレンダー週、濃厚接触歴の有無、過去1ヵ月の新型コロナウイルス検査の有無をモデルに組み込んだ。ワクチン有効率、ワクチン2回接種14日以降では95%・都内5医療機関の発熱外来などを受診した成人1,525 例が調査に同意。そのうち除外基準に該当する者を除く1,130例(うち陽性者416例[36.8%])を解析した。・年齢中央値は33歳(範囲:20~83)、男性は546例(48.3%)、女性は584例(51.7%)で、267例(23.6%)が何らかの基礎疾患を有していた。・ワクチン接種歴について、未接種者は914例(83.4%)、1回接種者は141例(12.9%)、2回接種者は41例(3.7%)だった。・調整オッズ比は1回接種者では0.52(95%CI:0.34~0.79)、2回接種者では0.09(同:0.03~0.30)だった。・接種からの期間別の調整オッズ比は、「1回接種13日目まで」が0.83(同:0.51~1.37)、「1回接種14日以降2回接種13日まで(partially vaccinated)」が0.24(同:0.12~0.47) 「2回接種14日以降(fully vaccinated)」では、0.05(同:0.00~0.28)だった。・今回の解析ではワクチン接種歴不明例・接種日不明例を対象から除外したが、未接種として解析に含めた場合も調整オッズ比は同様だった。・ワクチン有効率は「1回接種13日目まで」は17% (同:-37~49%)、「1回接種14日以降2回接種13日まで(partially vaccinated)」では76%(同:53~88%)、「2回接種(接種からの期間を問わない)」では91%(同:70~97%)、「2回接種14日以降(fully vaccinated)」では95%(同:72~100%)だった。 なお、研究者らは留意すべき点として、「ワクチンの有効性は、流行状況、各変異株の割合、感染対策の緩和、ワクチン接種からの期間(免疫減衰の可能性)などの要素が影響している可能性があり、総合的に、経時的に判断すべき。一方で、本報告では1回接種13日目までは有効性が認められず、これは先行研究と一致する結果であった」とし、「本調査はあくまでも迅速な情報提供を目的としている暫定的な解析であり、今後もより詳細な解析を適宜行い、変異株や感染対策の緩和の影響、免疫減衰の可能性などをみていくために、経時的に評価していくことが重要。調査期間においては、アルファ株からデルタ株の置き換わり期であり、デルタ株が大部分を占めるようになった際の有効性についても今後検討していく必要がある」としている。

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新型コロナとインフルのワクチン接種間隔、現時点の考え方/日医

 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量とそれに伴う予約の設定についての留意点、新型コロナウイルスワクチン接種との接種間隔の考え方について、日本医師会の釜萢 敏常任理事は9月1日の定例会見で情報提供を行った。昨シーズンと比較すると供給量減る見込み、予約の組み立てに注意を 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量は、8月時点で約2,567万本から約2,792万本(1mLを1本に換算)の見込みであり、昨シーズンより減る見通しとなっている。同日開催された厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会)において示された1)。とくに接種開始の10月供給量が少なく、供給時期が12月2週目まで続くことから、例年と比較して後ろにずれる見込みという。 昨年は供給量3,342万本に対し使用量は3,274万本と製造効率等がとくに良好だったために供給量が多く、使用量も平成8年以降最大となっていた。しかし一昨年は供給量2,964万本に対し使用量は2,825万本となっており、昨年と比較すると少ないが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込みという2)。 釜萢氏は、「11~12月には増えていく見込みとなっているが、接種開始の10月の供給量が少ない。“早く打ちたい”という方への情報提供が重要になる。各医療機関が自分のところに供給されるワクチンの見通しを把握したうえで、希望される方への予約を設定していく必要がある」と説明。とくに小児(13歳未満)の場合は2回接種が推奨されるため、それを踏まえた予約の組み立てをお願いしたいと呼びかけた。新型コロナワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔が必要 また、現在接種が進む新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔についても留意が必要になる。9月1日時点で、わが国では新型コロナウイルスワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることとされている3)。同氏は、「たとえばファイザー社のワクチンは1回目と2回目の間隔が3週間となっており、この間にインフルエンザワクチン接種をスケジュールすることは難しい」とした。 一方、米国疾病予防管理センター(CDC)では、以前は他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることが推奨されていたが、現在では変更され、新型コロナウイルスワクチンを他のワクチンの接種タイミングと関係なく接種することが可能とされている4)。釜萢氏は日本でも今後変更される可能性はあるが、現時点では前後2週間の接種間隔が必要なことに留意が必要とした。

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新学期に向けてCOVID-19感染対策の提言/感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株の猛威に社会が混乱している。とくに小児などの低年齢層のCOVID-19感染者数の増加により、新学期を前に学校・塾などの教育機関は、生徒を受け入れるべきか、リモートで授業を行うべきかの判断に悩み、その扱いは全国的に感染の強弱もあり一律ではない。 こうした状況の中で国立感染症研究所は、「乳幼児から大学生までの福祉施設・教育機関(学習塾等を含む)関係者の皆様への提案」を8月26日に公開した。 提案では、教職員の感染予防法の習熟やICTの活用の推進、ワクチン接種、体調確認アプリの活用など具体的な取り組みが示されている。中学生以上では部活などで広がる可能性 はじめに代表的な所見として下記の8つを示している。・10代以下の感染者数が増加傾向にある。保育所・幼稚園において、これまで保育士・教員における感染の検出が主であったが、園児の感染例が増加している・とくに小学生を中心とする授業の場で、教職員を発端とした、比較的規模の大きなクラスターが複数発生した・小学校において、児童を端緒とした、同じクラス内などの規模の小さな感染伝播は多く見受けられたが、児童間の感染伝播が規模の大きなクラスターに至ったケースは確認できなかった・障害児通所支援事業所での感染が各地で散発しており、長期化する場合がある・学習塾における比較的規模の大きなクラスターが散見される・中学生以上では、部活動など・寮生活において、適切なマスク着用や身体的距離の確保などの感染予防策の不十分な生徒・学生間の長時間に渡る交流が、感染伝播に寄与していた。とくに部活動などにおいて、最近は大会や遠征時のクラスターが複数発生した・感染しても無症状・軽症が多く行動範囲も広い大学生は市中で感染が拡大する要因の一部を占める・とくにデルタ株流行後、小児から家庭内に広がるケースが増えている予防は、今までの感染予防策の徹底とワクチン接種の両輪で 次に共通する対策に関する提案として、具体的な事項が示されている。・初等中等段階ではやむを得ず学校に登校できない児童生徒などに対する学びの保障を確保することを主目的として、加えて高等学校・大学ではオンライン(オンデマンド)の促進により、理解をより高める側面を含めて、ICTなどを活用した授業の取組を進める・教職員(塾を含む)それぞれがCOVID-19の感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について習熟し、園児・児童・生徒・学生、保護者、自施設に出入りする関係者に対して正しく指導できるようにする・上記を目的とした、地域の感染管理専門家(感染管理認定看護師など)からの指導・協力を仰ぐ体制を構築する・教職員、園児・児童・生徒・学生は、全員が出勤・登園・登校前の体調の確認、体調不良時のすみやかな欠席連絡および自宅待機時の行動管理をより徹底する。中学生以下の有症時には受診を原則とする・各施設の健康管理責任者は、当該施設の教職員、園児・児童・生徒・学生がCOVID-19の検査対象になった場合の情報を迅速に把握する。対象者の検査結果判明まで、範囲を大きく、たとえばクラス全体として、園児・児童・生徒・学生・教職員などに対して感染予防に関する注意喚起を厳重に行う・対象者が陽性となった場合の施設のスクリーニング検査の実施と施設内の対策は保健所からの指示に従う。流行状況などによって、保健所による迅速な指示が困難な場合には、クラス全体など幅広な自宅待機と健康観察、有症状時の医療機関への相談を基本に対応する。体調確認アプリ(例:N-CHAT)や抗原定性検査の活用は、施設における発生時の自主的な対応として有用である・教室、通学バス(移動時全般)、職員室などにおける良好な換気の徹底に努める。施設内では、効率的な換気を行うための二酸化炭素センサーの活用も推奨される・塾では児童・生徒・学生・講師などの体調管理を徹底した上で、密にならない工夫とともに換気の徹底(とくに入れ替わり時。場合によって二酸化炭素センサーの活用)、リモート授業の活用も検討することが推奨される・人の密集が過度になるリスクが高いイベント(文化祭、学園祭、体育祭など)においては延期や中止を検討し、感染リスクの低い、あるいはリスクを低減できると考えられたイベントについては事前の対策を十分に行う・教職員は、健康上などの明確な理由がなければ、新型コロナワクチン接種を積極的に受ける・部活動については日々の体調の把握や行動管理への注意を基本とした活動を行う一方で、やむを得ず県境をまたいだ遠征が必要な場合には、2週間前から引率者、児童・生徒における上記注意事項の遵守を強化し、出発前3日以内(できるだけ出発当日)を目途に、抗原定量検査あるいはPCR検査を受ける・大会遠征時には教職員を含む引率者や児童・生徒ともに、競技外での他校との交流は部活動の範囲に留める・これまで以上に保健所との連携(報告や相談)を強化する。保健所が多忙を極める場合、とくに発生時の対応については、当センター(感染研)は保健所と連携を取りながら施設へ助言を行うことも可能である

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デルタ流行下、ワクチン完了者の感染・入院・死亡率は?/CDC

 米国・カリフォルニア州における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者についての分析で、ワクチン未接種者はワクチン接種完了者と比較して感染率が4.9倍高く、入院率は29.2倍高かった。同地域ではデルタ株への感染が広がり、感染者の約9割と最も優勢となっていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月24日号での報告。デルタ株感染が広がる中での死亡率はワクチン未接種者0.6%、接種完了者0.2% 本解析では、ワクチン接種完了者を2回投与のワクチン(Pfizer-BioNTech社、Moderna社)の場合2回目投与後14日以上、1回投与のワクチン(Janssen社)の場合初回投与後14日以上経過した人と定義。ワクチン接種未完了者は2回投与のワクチンで初回投与後14日以上経過あるいは2回目投与後14日未満、1回投与のワクチンで初回投与後14日未満の人と定義された。 COVID-19に関連する入院は、SARS-CoV-2感染が確認された日から14日以内に発生した入院と定義。COVID-19に関連する死亡は、SARS-CoV-2感染が確認された日から60日以内に発生する死亡、またはCOVID-19が死亡原因として報告されている死亡と定義された。 デルタ株の感染が広がる中、ワクチン接種完了者の感染・入院・死亡率などを解析した主な結果は以下の通り。・2021年5月1日から7月25日までの間の、16歳以上の住民における4万3,127件のSARS-CoV-2感染者のうち、1万895人(25.3%)がワクチン接種完了者、1,431人(3.3%)がワクチン接種未完了者、3万801人(71.4%)はワクチン未接種者だった。・7月25日時点でのワクチン接種完了者のうち、55.2%がPfizer-BioNTech社、28.0%がModerna社、16.8%がJanssen社のワクチンを接種していた。・入院、ICU入室、人工呼吸器を使用した患者の割合は、未接種者(7.6%、1.5%、0.5%)および未完了者(6.2%、1.0%、0.3%)と比較して完了者(3.2%、0.5%、0.2%)で低かった(p<0.001)。・入院およびICU入室患者における年齢中央値は、未接種者(49歳[35.0~62.0]、56歳[41.0~66.0])と比較して、未完了者(59歳[46.0~72.0]、65歳[57.0~80.0])および完了者(64歳[53.0~76.0]、64歳[54.0~76.0])で高かった(p<0.001)。・デルタ株の感染が広がる中で死亡率は、未接種者(0.6%、176人)および未完了者(0.5%、7人)と比較して、完了者(0.2%、24人)で低かった(p<0.001)・死亡例について、完了者24人のうち6人が、HIV感染、がん、肝移植などの免疫不全状態にあった。死亡例の年齢中央値は未接種者(63歳[51.5~79.5])と比較して、未完了者(74歳[58.0~80.0])および完了者(78歳[63.5~87.5])で高かった(p=0.01)。・本解析では、期間中7日ごとに年齢調整感染率と入院率を算出した。5月1日時点で、ワクチン未接種者の年齢調整感染率(人口10万人当たり35.2)は完了者(4.2)の8.4倍、年齢調整入院率(4.6)は完了者(0.46)の10.0倍であった。・7月25日時点で、ワクチン未接種者の年齢調整感染率(315.1)は完了者(63.8)の4.9倍、年齢調整入院率(29.4)は完了者(1.0)の29.2倍であった。・5月1日から7月25日までの間のデルタ株感染者の割合は、完了者で8.6%から91.2%へ、未完了者で0%から88.1%へ、未接種者では8.2%から87.1%へ増加した。・5月時点では、完了者と未完了者と比較して未接種者でCt値中央値が低い傾向がみられた。しかし7月には、ワクチン接種状況による差異は認められなかった。

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子供たちはどこで感染しているのか/厚労省アドバイザリーボード

 全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染者数が増加している。デルタ株の特徴は、広範かつ強力な感染力であり、陽性者も従来の高齢者や基礎疾患のある者から若年・中年層へと変化している。こうした社会環境の中で、新学期を控え、子供たちをこのまま就学をさせてよいかどうか、社会が揺れている。 8月25日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第49回)の資料で、「3~18歳の新型コロナウイルスの感染場所等」が示された。自宅と学校とではどちらで感染数が多いか 調査はHER-SYSデータを用いて、年齢階級別(3~5歳、6~12歳、13~15歳、16~18歳)の感染場所について、それぞれの割合を算出した。なお、感染場所の入力率が非常に少ないという点に留意が必要(期間は2021年4月1日~2021年7月22日)。また、COVID-19陽性者のうち、17.8%が感染場所抽出可能であり、そのデータを利用した。 調査の結果、下記の事項が判明した。・3~15歳は自宅での感染が多かった。・児童・生徒については、年齢が上がるほど学校などでの感染が多くなっていた。・4月~7月にかけて直近になるほど、児童・生徒の学校などでの感染の割合は低くなっており、自宅での感染の割合が高くなっていた。・幼児(3~5歳)の感染場所は、自宅が最も多く、続いて福祉施設(児童)・学校などでの感染が多かった。 年齢階級別による感染の多い場所は下記の通り(上位2つ)。・3~5歳:自宅(59.8%)、福祉施設[児童](19.8%)・6~12歳:自宅(76.6%)、学校など(14.6%)・13~15歳:自宅(60%)、学校など(33%)・16~18歳:学校など(45.7%)、自宅(39.4%) 以上より、3~15歳は自宅での感染が多かったが、児童・生徒は年齢が上がるほど学校などでの感染が多かった。

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コロナ禍のコミュニケーション【コロナ時代の認知症診療】第6回

認知症の最大の危険因子?「中年期からの難聴」2017年に「中年期からの難聴」が認知症の最大の危険因子だと報告されて以来、難聴への注目が高まった。これは予防のみならず、認知症になっても心身機能を維持する上で不可欠だと、筆者は経験的に思う。なぜ危険因子かについては、難聴からコミュニケーション不足、そこから孤立・うつ、そして認知症という考え方が主流のようだ。一方で我が国の認知症者の約80%は80歳以降だが、この世代において、コミュニケーション不足は脳の刺激・トレーニング不足になると考える。つまり受動的には聞き取りが困難になり、能動的には自らの考えをまとめ文章に練り上げて発声する機会が減る。聞き取りでは、一般的な難聴も多いが、実は音は聞こえているのに瞬時に意味が頭に沁みないケースも少なくない。難聴を専門とする耳鼻科医はこれを「われわれが未知の外国語を聞くようなもの」と表現した。加えて彼は「もう一つ、高齢者にはご都合性難聴もあるからね」と笑って言った。喋るという能動面では、高齢者の声は枯れ、小さくなり、不明瞭になりがちだ。こうした加齢性音声障害の原因は喉頭の筋力低下だが、これは同時に誤嚥の原因にもなる。そこに肺機能の低下も重なれば嚥下性肺炎のリスクも高まる。だとすると難聴が認知症発症の危険因子であったり、認知症をさらに悪化させたりしても不思議ではないと思う。加齢と声の出にくさの関係さて加齢と声の関係は以前から何となく知っていたが、恥ずかしながら声はどうしてできるかの生理学的メカニズムを知らなかった。そこで都内の大型書店に行って調べてみた。すぐにわかったのは「パタカラ体操」に代表される嚥下訓練の書がまさに溢れていることである。いい声になる、カラオケで上手に歌うための指導書も多い。それらはほぼすべて喉から上、つまり喉頭、咽頭から口腔を基盤に記述されている。ところが声が生まれるメカニズムという基本は医学書でも多少とも詳しいものが容易にみつからなかった。ようやくわかったことは以下のようにまとめられる1)。関わる器官はいわゆる口、喉頭、気管、肺である。まず音の発生源は肺だと読んで「ほーっ」と思った。そこで生まれた音エネルギーが喉頭、そして口腔などの器官に伝わり、加工をされて音になってでてくるのだそうだ。少し付け加えると、声は肺からの呼気流をエネルギー源とする。肺では、呼気筋群と吸気筋群の調節が行われ、空気の流れが作られる。音源を作り出す肺の呼吸運動では横隔膜そして肋間筋そして外腹斜筋等が大きな関わりをしている。喉頭では喉頭筋群が関わる。そして声帯が、音の振幅と周波数および振動などを調節している。これまで加齢性音声障害の対策として、大きな声で楽しく会話したり歌ったりすることが推奨されてきた。これが出来ないのが当世だが、病院や施設なら毎日1回ラジオ体操的に戸外や屋上で、十分な距離を取って誰もが知る歌などを大声で合唱してみるのもいいかもしれない。個人ならもっと容易にできるだろう。いずれにしても肺に力を入れると意識して、「ウン!」と動かすのが大事だなと思っている。制限のある中でどうコミュニケーションをとっていくかマスクをつけてアクリル板越しの会話が当たり前になった。だから私自身が聞き取れない、わかってもらえないやりとりをしょっちゅう経験している。そこで自助努力の他に優れもの機器の利用もある。最近のハイテク商品では、外付け補聴器もある。高価なこれも使っている筆者としては、実は量販店にあるような拡声器も結構役立つと思っている。慎重に音量を調整してアクリル板の向こうから話してもらう。また拡声器を反対に向けてこちらが返事をすることもある。なお拡声器の値段はピンキリながら、経験的には1万円位の品で実用に足りる。ところでIT音痴は現代版のコミュニケーション不足だと述べても、コロナ禍では、過言でなくなっている。昨年来、容易に家族間の面会が出来なくなった病院や施設では、スマホを介した動画のやり取りがとくに家族に喜ばれるようになった。このTV電話に代表されるようにITを介したやりとりでは、双方向性が要である。これを備えた機器がこれからの主流だろう。しかしIT機器と聞いただけで逃げ出す高齢者は多い。また施設の若い職員であっても、IT機器を十分使いこなせる人はそう多くない。またなにより操作が煩雑で、高齢利用者ごとに機器を立ち上げ、傍らで付き添うならその負担は大きい。そこでIT が使えない人に対して普通は若い送り手から高齢利用者に一方向性で画像や音声などを送る装置はすでにあった。最近では、高齢者がオプションとなる機器を用いてTV画面上で双方向性のやりとりを実現できる装置も生まれている。こうした新情報も集めつつ、飛沫感染をさけた双方向性を実現できる環境を整えることがコロナ時代には1つのポイントになる。参考文献・参考情報1)本田清志.音声学・言語学 第2版.医学書院.2020.第2章音声学.pp6-19.

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東京五輪関連のCOVID-19発生状況は/感染研

 2021年7月23日より開催された東京2020オリンピック競技大会(東京五輪)。開催前より期間中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が危惧され、社会的にさまざまな意見が交わされた。実際、大会に関連してCOVID-19の感染は発生したのだろうか。 この疑問に対し国立感染症研究所は、「東京オリンピック競技大会に関連した新型コロナウイルス感染症発生状況(速報)」を8月20日に発表した。 その結果、調査の定義に合致したCOVID-19症例は計453例だった。なお、調査の目的について同研究所は、東京五輪に関連したCOVID-19症例を振り返ることで、現在開催中の東京パラリンピック競技大会における感染症対策に資する情報として国内外に還元することとしている。東京五輪のCOVID-19症例は453例 調査の方法として、2021年7月1日~8月8日(8月9日時点集計)にHER-SYSに登録された東京五輪に関連したCOVID-19症例について記述的にまとめた。症例定義は、上記の期間までにHER-SYSに報告されたCOVID-19と診断されたアスリートなどおよび大会関係者とした。 その結果、調査の定義に合致したCOVID-19症例は計453例だった。属性別ではアスリートなどが80例(18%)、大会関係者が373例(82%)で、居住地別では、海外からの渡航者が147例(32%)、国内居住者は306例(68%)だった。 アスリートなどの報告数は7月14日から増加し始め7月22日にピークとなった。アスリートなどの症例では、大部分が海外からの渡航者(海外からの渡航者95%(76/80)、国内居住者5%(4/80))であり、93%(71/76)の症例が検疫時もしくは入国日から14日以内に診断されていた。残る7%(5/76)については、14日経過後に診断がなされ、特定区域(大会組織委員会が管轄もしくは提携している特定の管理区域)内での感染が発生した可能性についてさらなる調査が必要とされる。なお、国内からの参加アスリートにおける症例の報告はなかった。 一方、国内居住者が大部分を占める大会関係者(海外からの渡航者19%(71/373)、国内居住者81%(302/373))については、7月1日以降、経時的に増加していた。届出自治体は14都道府県で、届出が最も多かったのは東京都(357例(79%))、次いで千葉県(27例(6%))、埼玉県(26例(6%))の順だった。パラリンピック大会開催での注意事項として 調査から検疫、ホストタウンを有する自治体、大会主催者のアスリートなどにおける症例および接触者への調査や隔離措置を含めた公衆衛生対応の負担は、東京五輪同様に、入国のピークから3~5日後程度に向けて高くなることが予想され、対応に必要な人的、物的資源の確保と準備が必要と予想される。 また、競技終了に伴い自国へ帰国するアスリートなどおよび大会関係者での接触者や、接触者として同定はされなかったが曝露を受けた者が帰国後に感染が判明あるいは自国で発病する可能性があり、国際保健規則(IHR)などを通じた参加選手団およびその関係者への注意喚起と参加国の保健当局との情報共有と連携が重要となる。 そのほか、全国の自治体の関係機関や企業から大会の運営のため都内へ派遣されている者については、派遣元にもどった際、潜在的に接触者であった可能性を考慮し、2週間の健康観察の徹底とともに、必要に応じ検査実施を考慮するなど、派遣元での感染拡大リスク軽減に関する取り組みが望ましい。 そして、パラリンピック大会においては、アスリートや関係者が基礎疾患を有している場合もあると考えられ、感染時のリスクも念頭に置かねばならない。特にパラリンピックアスリートを近くでサポートするスタッフについては感染予防策の徹底が求められる。※なお本速報では解釈を行う上で、数値が速報値であること、属性にバイアスの影響があること、東京の感染流行下という環境で大会に関連しない感染もあることに注意点や制限があると断りを入れている。

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介護施設でファイザーワクチン2回接種、コロナ入院リスク95%減/BMJ

 スペイン・カタルーニャ州保健省のCarmen Cabezas氏らは、前向きコホート研究の結果、介護施設の入居者、スタッフ、および医療従事者の3つのコホートすべてにおいて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の接種によりSARS-CoV-2感染が80~91%減少し、介護施設の入居者の入院および死亡率が最大5ヵ月にわたって大きく低下したことを明らかにした。著者は、「ワクチンの長期的な効果については、さらなるデータが必要である」とまとめている。BMJ誌2021年8月18日号掲載の報告。入居者、スタッフ、医療従事者におけるBNT162b2ワクチンの有効性を調査 研究グループは、SARS-CoV-2感染に対するBNT162b2ワクチン接種と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院・死亡との関連を明らかにする目的で、前向きコホート研究を行った。 対象は、BNT162b2ワクチン接種キャンペーンが開始された2020年12月27日時点でカタルーニャ州に居住し、ワクチン接種の対象となる介護施設の入居者とスタッフ、ならびに医療従事者。 介護施設と連携している電子カルテ、SARS-CoV-2のRT-PCR検査や抗原簡易検査の地域中央データベース、入院患者や死亡登録を用い、対象者をワクチン接種キャンペーンの開始から、SARS-CoV-2感染の確認、COVID-19による入院もしくは死亡、または研究終了日(2021年5月26日)まで追跡し、ワクチン接種とCOVID-19による入院・死亡との関連について混合効果Coxモデルを用いて解析した。2回接種で感染リスク80~91%減少、入居者の入院・死亡リスク95%以上減少 介護施設入居者2万8,456例において、SARS-CoV-2感染が2,482例、COVID-19による入院が411例、COVID-19による死亡が450例認められた。また、介護施設のスタッフ2万6,170例中1,828例、医療従事者6万1,791例中2,968例でSARS-CoV-2感染が確認されたが、COVID-19による入院または死亡は5例未満であった。 ワクチン2回接種後のSARS-CoV-2感染の補正後ハザード比は、介護施設入居者で0.09(95%信頼区間[CI]:0.08~0.11)、介護施設スタッフで0.20(0.17~0.24)、医療従事者で0.13(0.11~0.16)であった。 ワクチン2回接種後の入院および死亡の補正後ハザード比は、介護施設入居者ではそれぞれ0.05(95%CI:0.04~0.07)および0.03(0.02~0.04)であった。介護施設のスタッフならびに医療従事者については、記録が死亡の分析に不十分であった。

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第72回 若者のワクチン接種が本格化する前に“かかりつけ限定”の呪縛は解けるか

突然だが、先日、南アジアのアフガニスタンの情勢が急変した。今年4月にアメリカのバイデン大統領が9月11日を期限に同国から米軍を完全撤退させると表明し、5月から順次撤退を開始。これに呼応するように、かつて同国で政権を樹立したこともあるイスラム教過激派組織タリバンが大攻勢に打って出た。5月末時点の彼らの実効支配地域は国土の20%程度だったが、7月中旬には国土の過半数を掌握。そのまま瞬く間に首都カブールに迫り、8月15日にガニ大統領が首都カブールを脱出してタリバンが全土を支配するに至った。日本でのSNSの反応を見ていると、タリバン制圧までよりも、その後のニュースのほうが衝撃を持って受け止められているようだ。とりわけタリバンの恐怖支配を恐れた住民がカブールの国際空港に殺到して、退避しようとしている外国人を運ぶ民間機や軍の輸送機の外側にしがみつき、そのまま離陸した輸送機から上空に到達する直前にしがみついていた人々が落下して死亡した映像は数多くリツイートされている。そうしたニュースを目にして数日後、市中のチェーン店のカフェを利用中、ぱっと見で20代くらいの若者2人の会話が耳に飛び込んできた。「アフガンで輸送機にしがみついて落下して死んだ人、正気かよ?」「ああ、Twitterで見た。ありえねえ」2人にとっては彼方の珍現象なのだろう。しかし、この現象は一部ファクトを置き換えれば、今の日本、とりわけ首都圏のコロナ禍の状況に当てはまる。置き換えとは、タリバン=デルタ株、輸送機=医療機関、しがみつく人=症状が悪化する感染者。デルタ株が蔓延する首都圏では自宅療養者は症状が悪化後に哀願しても入院病床は容易には見つからない。まさに形を変えたアフガニスタンがここにあるのだ。そして、そんな最中の8月25日、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言を8道県、まん延防止等重点措置を4県に拡大する旨の記者会見が首相官邸で行われた。会見で菅 義偉首相が語った次のような言葉を耳にして、モヤモヤ感で一杯になった。「感染力の強いデルタ株のまん延によって、感染者を押さえ込むことはこれまで以上に容易ではなくなっています。しかしながら、現在進めているワクチンの接種がデルタ株に対しても明らかな効果があり、新たな治療薬で広く重症化を防ぐことも可能です。明かりははっきりと見え始めています」施政者が発する言葉にはある種の誇張は付き物だ。しかし、それを前提にしても「明かりははっきり見え始めています」はさすがに無理があるのではないか? 従来から菅首相は「新たな治療薬」、すなわち抗体カクテル療法のロナプリーブについて何度も言及している。確かにロナプリーブは有効な治療薬と言える。ただ、感染者の治療は重要だが、今それよりも求められるのは感染者の発生を抑制することだ。過去からの繰り返しで恐縮だが、経済を横目で眺めながら中途半端な強度で緊急事態宣言を繰り返してきたため、もはやその効力は限定的。しかも、その影響で公的機関が発するメッセージも繰り返された緊急事態宣言に嫌気がさした若年層を中心に届きにくくなっている。その意味では現時点で若年層を中心にワクチン接種を粛々と進めることが最大の対策と言えるかもしれない。これに対応して東京都は8月27日から16~39歳の都内在住、在勤・在学する人を対象に予約なしで新型コロナワクチンを接種できる「東京都若者ワクチン接種センター」を渋谷駅からそれほど遠くない渋谷区立勤労福祉会館に開設して運用を開始する。1日の接種キャパシティーは200人程度と少なく、逆に予約なしで人が殺到するので混乱するとの意見もあるが、私自身はないよりましだと思っている。その意味で今こそ政府や自治体は、行動半径が広く、新型コロナ感染に対して危機感の薄い若年層を中心にどうやってワクチン接種を推進していくか、ズバリ言えば接種アクセスをどれだけ改善するかの施策を強力に推進すべき時期である。ところが、あの防衛省が運営する大規模接種センターは今月一杯で本格運用を終了する。これは7月上旬の段階での職域接種や自治体接種の進展を念頭に決まっていた方針だが、足下の感染状況は判断当時とは大きく異なっている。しかも東京都を例に挙げれば、防衛省の大規模接種センターは大手町に位置し、やむなく出勤せざるを得ない会社員、都心の中高一貫校や専門学校、大学などに通う学生にとってもアクセスは良好だ。これを現在の流行の中心である若年層の接種本格化直前に閉じるのはあまりにもったいないと言える。また、私が従来から非常に疑問に思っていることがある。それは自治体によるワクチン接種を担当する個別医療機関の在り方だ。前にもちらりと書いたが、私が在住する練馬区は、こうした個別医療機関での接種を幅広く行う「練馬モデル」で一時期有名になった。その点は個人的にも一定の評価はしている。が、区役所のホームページで個別医療機関の一覧をのぞくと、不思議な二色刷りになっている。これは、かかりつけ患者のみの接種を担当する医療機関がオレンジ色、誰でも受け付ける医療機関が白色で塗られているのだ。そのオレンジ色の多いこと多いこと。約280軒の個別接種医療機関のうち誰でも接種できる医療機関はわずか3分の1だ。これから接種が本格化する若年層の場合、中高年層と比較して日常的に医療を必要とする局面は限られるため、かかりつけ医を持っている割合は明らかに低下する。つまり若年層に対して開かれたワクチン接種の「間口」はやたらと狭いものであるのが現実だ。これは練馬に限らず、ざっと見まわすとほかの自治体でも同様の傾向がある。確かに今回のmRNAワクチンはまったく新しいタイプのものなので、個別接種医療機関の先生方も慎重になっただろう。その結果がかかりつけ患者限定というのは少なからず理解はできる。しかし、すでに一定数の接種を経験し、もう慣れたのではないだろうか? 叱られることを承知で敢えて言うが、これを機にかかりつけ患者以外の地域住民に接種の機会を開放していただきたいと思う。もちろん高齢者の接種がかなり進展した今、「かかりつけ患者のみと言っていたけど、希望があれば接種しますよ」という医療機関もあるだろう。ならばそうした医療機関の先生方は是非とも自治体にリストの改定もお願いしていただきたい。現在の若年層はほぼデジタル・ネイティブなので、ワクチン接種を考えた際には多くの人が区のホームページなどを参照するだろう。その際、あの“かかりつけ患者限定”の医療機関が多いリストを見たらどんな気持ちになるだろう? 正直、医療機関側の事情をある程度斟酌できる私でも、あのオレンジ色に塗られた医療機関の多いリストを目にしてげんなりした。これから接種を希望する若年層にもそうした人は少なからずいるだろう。

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ファイザー製ワクチン、SARS生存者で強力な交差性中和抗体産生/NEJM

 シンガポール・Duke-NUS Medical SchoolのChee-Wah Tan氏らは、コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1:SARS-CoV-1)の既感染者で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech製)の接種を受けた人では、サルベコウイルス亜属(コロナウイルス科βコロナウイルス属に属するウイルスの一群で、SARS-CoV-1やSARS-CoV-2が属する)に対する強力な交差性中和抗体が産生されることを明らかにした。この交差性中和抗体は、抗体価が高く、懸念されているSARS-CoV-2の既知の変異株だけではなく、コウモリやセンザンコウで確認されヒトへ感染する可能性があるサルベコウイルスも中和でき、著者は「今回の知見は、汎サルベコウイルスワクチン戦略の実現性を示唆するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年8月18日号掲載の報告。SARS-CoV-1既感染者、SARS-CoV-2感染者および健常者について検討 SARS-CoV-2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは2019年12月に始まった。SARS-CoV-2は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスであるSARS-CoV-1と全ゲノム配列の約80%を共有している。SARS-CoV-1に感染し生存している人の多くは、感染後17年を経てもSARS-CoV-1に対する中和抗体を保有しているが、SARS患者またはCOVID-19患者の回復期血清検体は交差中和性を有していない。 そこで研究グループは、COVID-19ワクチン接種前のSARS-CoV-1既感染者ならびにCOVID-19患者の血清検体(各10例)と、健常者でBNT162b2ワクチン2回目接種後14日目に採取した血清検体(10例)、SARS-CoV-1既感染者でBNT162b2ワクチン初回接種後21~62日目に採取した血清検体(8例)、COVID-19患者でBNT162b2ワクチン2回接種後の血清検体(10例)の計5種類の血清パネルを用い、広域交差性中和抗体の産生について検討した。SARS-CoV-1既感染者でBNT162b2ワクチン接種後に広域交差性中和抗体が産生 5種類の血清パネルのうち、SARS-CoV-1既感染者でBNT162b2ワクチンを接種した群のみ、SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2の両方に対する高抗体価の中和抗体の産生が認められた。 また、検討した10種類すべてのサルベコウイルス(SARS-CoV-2クレードの7種[SARS-CoV-2原株、SARS-CoV-2アルファ株・ベータ株・デルタ株、コウモリコロナウイルスRaTG13、センザンコウコロナウイルスGD-1・GX-P5L]、SARS-CoV-1クレードの3種[SARS-CoV-1、コウモリWIV1、コウモリRsSHC014])に対する幅広い中和抗体を有することが認められた。

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新型コロナの唾液PCR検査、無症候者へは推奨できない?/JAMA

 鼻咽頭スワブによるリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR法)は新型コロナウイルス検出のための標準検査として行われているが、唾液を用いたPCR法は鼻咽頭によるPCR法より簡便であることから診断・スクリーニングにおいて魅力的な代替手段である。現に日本国内においても帰省や出張の前に検査を希望する人らが市販の唾液PCR検査キットに依存する傾向にある。しかし、米国・Children’s Hospital Los AngelesのZion Congrave-Wilson氏らが調査した結果によると、唾液を用いたPCR法(以下、唾液PCR法)は、感染初期の数週間に有症状の人の新型コロナウイルスを検出するには感度が高かったものの、無症候性の新型コロナウイルスキャリアの感度はすべての時点で60%未満だった。このことから、同氏らは無症候性感染者の唾液の感度低下を踏まえ、無症候感染者には唾液PCR法を新型コロナのスクリーニングに使用すべきではないと示唆している。JAMA誌オンライン版2021年8月13日号のリサーチレターでの報告。 研究者らは新型コロナウイルス検出のために唾液PCR法の感度が最適な検査タイミングを調査するため、2020年6月17日~2021年2月15日の期間に前向き縦断研究を実施した。2週間以内にRT-PCR法で新型コロナウイルスと判定された家族と濃厚接触した人の便宜的サンプルをChildren’s Hospital Los Angelesとその近隣地域からHEARTS( Household Exposure and Respiratory Virus Transmission and Immunity Study )のサイトを通じて募集した。 鼻咽頭と唾液のRT-PCR法のペアサンプルを、3〜7日ごとに最大4週間にわたって、鼻咽頭の2回の結果が陰性になるまで収集した。唾液PCR法の感度は鼻咽頭での陽性を参照標準として計算した。また、唾液PCR法の感度に関する臨床的特徴は、鼻咽頭陽性ペアのオッズの高さから予測した。 主な結果は以下のとおり。・参加者404例から889組の鼻咽頭スワブと唾液サンプルを得た。そのうち新型コロナウイルスは鼻咽頭で524件(58.9%)、唾液で318件(35.7%)が検出された。・新型コロナウイルスが両方の検体から検出されたのは258組(29.0%)だった。・鼻咽頭で陽性だった256例(63.4%)は、平均年齢が28.2歳(範囲:3.0~84.5歳)で、108例(42.2%)が男性だった。また、93例(36.3%)は感染期間中、無症候のままだった。・有症状の163例のうち126例(77.3%)は重症度分類が軽症だった。・唾液の感度は、感染の最初の週に収集されたサンプルで71.2%(95%信頼区間[CI]:62.6~78.8)で最も高かったのに対し、その後、週を追うごとに低下した。・感染が確認された第1週の検体採取日に新型コロナ関連の症状を呈していた参加者は、無症候性の参加者と比較して唾液PCR法の感度が有意に高かった(88.2%[同:77.6~95.1] .vs 58.2%[同:46.3~69.5]、p<0.001)。・唾液PCR法による感度は、有症状の場合は2週目まで有意に高かった(有症状:83.0%[同:70.6~91.8] .vs 無症候:52.6%[同:42.6~62.5]、p<0.001)。しかし、発症後2週間以上が経過すると症状の有無による違いは観察されず、無症候性の参加者は34.7%(同:27.3~42.7) 、症状出現前の人は57.1%(同:31.7~80.2)、後に症状を有した人は42.9%(同:36.8~49.1)と、有意差はなかった(p=0.26)。・新型コロナ発症後の各日に対し、唾液検出のオッズ比を前日で比較すると0.94(同:0.91~0.96、p<0.001)だった。・検体採取時に新型コロナ関連の有症状者または鼻咽頭でのウイルス量が多かった参加者は、無症候性または鼻咽頭のウイルス量が少ない参加者と比較して、唾液陽性のRT-PCR結果が得られる確率が高く、それぞれのオッズ比は2.8(同:1.6~5.1、p<0.001)および5.2(同:2.9~9.3、p<0.001)だった。

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