サイト内検索|page:83

検索結果 合計:2040件 表示位置:1641 - 1660

1641.

進行ALK遺伝子陽性肺がんの治療について(解説:小林 英夫 氏)-693

 元来、anaplastic lymphomaや炎症性筋線維芽細胞性腫瘍で報告されていた受容体チロシンキナーゼであるALKは、肺がんの数%程度で遺伝子変異が認められ、とりわけ腺がんで検出されやすい。そして、ALK阻害薬は従来の化学療法に比べ、ALK遺伝子を有する肺がんに大きな治療効果をもたらしている。初めて上梓されたクリゾチニブ(ザーコリ)はマルチキナーゼ阻害薬でALK阻害活性も有する薬剤だが、一方、アレクチニブ(アレセンサ)はALKを標的として創薬された二番目のALK阻害薬である。日本肺癌学会編 肺癌診療ガイドライン2016では、ALK遺伝子転座陽性でPS(performance status)2までのIV期非小細胞肺がんに対する一次治療は、アレクチニブ(グレードA)またはクリゾチニブ(グレードB)が推奨されている。 本論文(ALEX試験)はNEJMに発表されたもので、切除不能ALK陽性肺がんに対して両薬剤のいずれが有効性、認容性、中枢神経病変制御に優れるかを比較した国際共同無作為化非盲検第III相試験の途中報告である。全生存期間の解析が終了していないため、あくまで中間報告的論文であることを意識しておきたい。また、分子標的治療薬のなかでもEGFR(epidermal growth factor receptor、上皮成長因子受容体)阻害薬の効果には人種差があるが、ALK阻害薬に明確な人種差はないようで欧米からの報告を本邦でも取り入れることが可能と思われる。 結果はある程度予想されたように、PFS(無増悪生存期間)中央値はアレクチニブ群未到達、クリゾチニブ群11.1ヵ月であり、アレクチニブ群でPFSの有意な延長が認められた。また、中枢神経病変の進行は、アレクチニブ群18例(12%)、クリゾチニブ群68例(45%)で確認され、アレクチニブ群で有意に低かった。さらに薬剤関連有害事象もアレクチニブ群で少なかった。加えて、日本でも同様の比較試験(J-ALEX試験)が実施されており、その中間報告が2017年5月10日にLancetにEpub掲載された。やはりアレクチニブ投与群で明確なPFS延長が示されたため、中間解析において早期有効中止に至っている。なお、J-ALEXのアレクチニブ投与はALEXの半量である。 現時点で、進行したALK遺伝子陽性肺がん治療のファーストラインがアレクチニブであることはほぼ確実と思われる。ただし、本論文も肺癌診療ガイドラインもALK阻害薬投与対象はPS 2までであり、PS不良例については確認できていない。また、本邦で三番目のALK阻害薬セリチニブ(ジカディア)はクリゾチニブ既投与症例でも効果が期待できることが特性とされ、今後、アレクチニブとの有効性比較が待たれるところである。

1642.

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療における、化学療法+ペムブロリズマブ群と化学療法群を比較した第II相試験KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国MD Anderson Cancer CenterのVassiliki Papadimitrakopoulou氏らによりASCO2017で発表された。 同試験では、Stage IIIB~IVで化学療法未治療の非扁平上皮NSCLC(EGFR変異またはALK転座を伴わない)123例を、カルボプラチン+ペメトレキセド(CP)群とペムブロリズマブ追加(pembro+CP)群に、無作為に割り付けて比較している。初回解析では、主要評価項目の客観的奏効率(ORR)(55%対29%、p=0.0016)、主たる副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)(HR:0.53、p=0.0102)共に、pembro+CP群で有意に改善されている。全生存期間(OS)は、両群とも6ヵ月OSで92%と同等であった。 今回の発表は2016年12月31日時点でのもので、フォローアップ中央値は14.5ヵ月(0.8~24.0)である。ORRはpembro+CP群56.7%(43.2~69.4)、CP群30.2%(19.2~43.0)で、初回解析と同様にpembro+CP群で有意に高かった(p=0.0016)。 PFSはpembro+CP群は未達(9.7~NR)、CP群では8.9ヵ月(6.2~10.3)で、pembro+CP群で有意に長かった(HR:0.49、95%CI:0.2~0.83、p=0.0035)。OS については、CP群の75.0%がクロスオーバーしたという条件の下、12ヵ月推定値はpembro+CP群76.0%、CP群69.3%と、統計的有意ではないものの、pembro+CP群で高い傾向であった(HR:0.69、95%CI:0.36~1.31、p=0.13)。また、9ヵ月推定値のpembro+CP群84.6%、CP群82.3%と比較すると、OSの差は拡大傾向にあった。奏効期間は、pembro+CP群では中央値に達しておらず(1.4+〜18.6+)、CP群では16.2ヵ月(2.8〜20.7+)であった。■参考ASCO2017 AbstractKEYNOTE-021試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

1643.

ニボルマブ、転移・再発NSCLCの1次治療で予後改善せず/NEJM

 未治療のStage IVおよび再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、抗PD-1抗体製剤ニボルマブは標準的な化学療法と比較して予後を改善しないことが、米国・オハイオ州立大学総合がんセンターのDavid P. Carbone氏らが行ったCheckMate 026試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月22日号に掲載された。ニボルマブは、既治療の転移のあるNSCLCの2つの第III相試験でドセタキセルよりも全生存(OS)期間が優れ、未治療のNSCLCの第I相試験では持続的奏効や良好な安全性プロファイルが報告されている。一方、PD-L1を超えるバイオマーカーの探索が進んでおり、腫瘍の遺伝子変異負荷(tumor-mutation burden:TMB)が高度な患者は、免疫療法からベネフィットを得る可能性が高いことが示唆されている。541例で有用性を直接比較する無作為化試験 本研究は、Stage IV・再発NSCLCの1次治療におけるニボルマブの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社などの助成による)。 対象は、組織学的に扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんが確認されたStage IV・再発NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、登録前6ヵ月以内の生検で採取された検体のPD-L1発現が、中央判定で1%以上の患者であった。 被験者は、ニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群または担当医が選択したプラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法を3週ごとに4~6サイクル施行する群に、1対1の割合でランダムに割り付けられた。化学療法群の患者は、病勢進行後、ニボルマブへのクロスオーバーが可能とされた。 主要評価項目はPD-L1の発現が≧5%の患者における無増悪生存(PFS)とし、評価は独立審査委員会によって盲検下の中央判定で行われた。また、探索的検討として、TMB別の有効性の解析も行った(全エクソームシーケンスで検出された腫瘍の体細胞ミスセンス変異数が0~99個の場合を低TMB、100~242個を中TMB、243個以上を高TMBと定義)。 2014年3月~2015年4月に1,325例が登録され、541例(41%)がランダム化の対象となった。ニボルマブ群に271例が、化学療法群には270例が割り付けられた。実際に治療を受けたのは530例(98%)だった。ベースラインの全体の年齢中央値は64歳(範囲:29~89歳)、女性が39%であった。Stage IVが92%、再発は8%だった。PFS期間中央値、ニボルマブ群4.2ヵ月、化学療法群5.9ヵ月  PD-L1≧5%の423例(ニボルマブ群:211例、化学療法群:212例)の解析では、PFS期間中央値はニボルマブ群が4.2ヵ月と、化学療法群の5.9ヵ月に比べむしろ短かった(ハザード比[HR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.91~1.45、p=0.25)。1年PFS率は、それぞれ24%、23%であった。 PD-L1≧5%の患者のOS期間中央値にも、有意な差は認めなかった(14.4 vs. 13.2ヵ月、HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。1年OS率は、それぞれ56%、54%だった。なお、化学療法群212例のうち128例(60%)が、後治療としてニボルマブの投与を受けていた。 PD-L1≧5%の患者の最良総合効果は、ニボルマブ群が26%(完全奏効[CR]:4例、部分奏効[PR]:51例)、化学療法群は33%(1例、70例)であった。奏効までの期間中央値は両群でほぼ同様であった(2.8 vs. 2.6ヵ月)のに対し、奏効期間中央値はニボルマブ群が2倍以上長かった(12.1 vs. 5.7ヵ月)。 TMB別の探索的解析では、高TMB例においてニボルマブ群が化学療法群に比べ奏効率(47 vs. 28%)、PFS期間中央値(9.7 vs. 5.8ヵ月)が良好であった。しかし、OS期間に差は認めなかった。 治療関連有害事象は、ニボルマブ群が71%、化学療法群は92%に発現した。このうちGrade 3/4は、それぞれ18%、51%であった。ニボルマブ群で最も頻度の高い有害事象は疲労(21%)であり、次いで下痢(14%)、食欲減退(12%)、悪心(12%)、皮疹(10%)の順であり、皮疹は免疫学的原因による可能性が示唆された。 著者は、「化学療法群は、患者の多くがニボルマブによる後治療を受け、ベースラインの背景因子のうちいくつかが良好な予後と関連した可能性が高い(わずかだが肝転移例が少なく、標的病変径和が小さく、女性が多い)が、ニボルマブ群は、ニボルマブ治療で予後が良好となる可能性が高い因子(PD-L1≧50%、高TMB)を持つ患者が少なかったことが、これらの結果に影響を及ぼした可能性がある」と考察している。

1644.

肺がんEGFRリキッドバイオプシー保険収載

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、2016年12月26日に一部変更承認(適応追加)を取得したコバスEGFR 変異検出キットv2.0のEGFR T790M血漿検査が、6月28日の中医協総会で審議され、7月1日付保険適用が承認されたと発表。 コバスEGFR変異検出キットv2.0は、ゲノムDNA中のEGFR遺伝子変異を定性的に検出するキット。非小細胞肺がん治療において、EGFR-TKI投与前の初回検査に使用するとともに、EGFR-TKI耐性患者のEGFR T790M変異の検出の際、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)のコンパニオン診断薬として使用する。当キットは、組織検体ですでに保険適用されているが、今回、EGFR遺伝子検査(血漿)として、新たに血漿検査が保険適用された。保険収載の内容・区分:E3(改良項目)・測定項目:EGFR 遺伝子検査(血漿)・測定方法:アレル特異的リアルタイムPCR法・主な測定目的:癌組織又は血漿から抽出したゲノムDNA中のEGFR遺伝子変異(T790M)の検出(オシメルチニブメシル酸塩の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる)・保険点数:2,100点留意事項:1.本検査は、肺癌の再発や増悪により、EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異が疑われ、再度治療法を選択する必要があり、血漿を用いてリアルタイムPCR 法で測定した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。ただし、本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」EGFR 遺伝子検査(リアルタイムPCR法)又は「ロ」EGFR遺伝子検査(リアルタイムPCR法以外)を行うことが困難な場合に限る。本検査の実施にあたっては、関連学会が定める実施指針を遵守すること。2.本検査を実施した場合には、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。3.本検査、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006-2」造血器腫瘍遺伝子検査又は区分番号「D006-6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。承認・保険適用を受けている検体種と検査・組織:EGFR-TKI投与前の初回検査、EGFR T790M変異検査(オシメルチニブメシル酸塩)・血漿:EGFR T790M変異検査(オシメルチニブメシル酸塩)■参考ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社プレスリリース中央社会保険医療協議会 総会(第354回)

1645.

ネガティブスタディだが効果予測指標はPD-L1ではない!?(解説:倉原 優 氏)-696

 CheckMate026試験は、腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している、未治療のIV期非小細胞肺がん患者に対して、初回治療としてのニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤治療とプラチナ併用療法を比較するランダム化比較試験である。ニボルマブは現時点では2次治療で一定の地位を確立している。それにしても、CheckMateと名の付く臨床試験が多いため、一臨床医にはなかなか覚えにくい。 CheckMate026試験では、無増悪生存期間および全生存期間のいずれにおいても、両群に有意差は観察されなかった。いわゆる、ネガティブスタディだった。なんだニボルマブは初回治療には使えないのか、という声が出てきそうだが、実はそう簡単な帰結にはならないと考えている。この論文の最後には、探索的研究の興味深い結果がコメントされている。 多くの医師はご存じかもしれないが、PD-L1ではなくTumor Mutation Burden(TMB)※1が効果を推定する規定因子として注目を集めている1)。事実、このCheckMate026試験の後解析2)が米国がん研究会議(AACR 2017)で発表されており、TMBが高い場合※2、ニボルマブ群で無増悪生存期間が延長し(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.38~1.00)、奏効率も良好だった(ニボルマブ群46.8% vs.プラチナ併用療法群28.3%)と報告されている。全生存期間は後治療のクロスオーバーの影響もあって、有意差はついていない。※1 腫瘍組織中の遺伝子変異量を示す指標のこと。※2 TMBレベルを低TMB(0~99)、中TMB(100~242)、高TMB(243以上)に分けて解析。 当然ながら、副作用が患者に与える影響は免疫チェックポイント阻害薬のほうが軽度である(注意しなければならない副作用は特殊なものが多いが)。たとえ後解析でTMB高低によって差があったとしても、腫瘍細胞にPD-L1の発現が多ければ、今後はプラチナ併用療法を優先的に使う機会は少なくなるのではないだろうか。■参考1)Rizvi NA, et al. Science. 2015;348:124-128.2)AACR 2017 abstract

1646.

BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年6月22日、BRAF V600E変異のある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とトラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用を通常承認した。これは、同患者に対するFDA初の承認となる。 この承認は、BRAF V600E変異陽性転移性NSCLCの国際多施設共同試験で、3つのコホートからなるBRF113928試験の結果に基づいている。当試験では93例の患者が、ダブラフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/日)の併用で治療された。93例中36例は全身療法未治療で、57例はプラチナベース化学療法を1つ以上受け疾患進行が確認された患者であった。また、別途78例のBRAF変異陽性患者が、ダブラフェニブ単剤による治療を受けた。 既治療群にける併用療法の全奏効率(ORR)は、63%(95%CI:49%~76%)であり、奏効期間(DOR)は12.6ヵ月(95%CI:5.8~NE)。未治療群ではORR61%(95%CI:44%~77%)、DOR中央値は未達であるが(95%CI:6.9~NE)、奏効者の59%は6ヵ月以上の奏効を示した。また、ダブラフェニブ単剤治療患者のORRは27%(95%CI:18%~38%)で、DORは9.9ヵ月であった。 有害事象の発現率および重症度は、すでに承認を受けているメラノーマ患者での報告と同様であった。Grade3/4で頻度の高い項目は、発熱、疲労、呼吸困難、嘔吐、発疹、出血、および下痢であった。Grade3/4で頻度の高い検査値異常は、低ナトリウム血症、リンパ球減少症、貧血、高血糖、好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった。有害事象による投与中止はダブラフェニブ18%、トラメチニブ19%でみられた。 FDAはまた、次世代シークエンサー(NGS)Oncomine Dx Target Test(Thermo Fisher Scientific)も承認した。この検査により、NSCLC患者の組織標本からBRAF、ROS1、EGFR遺伝子異常の存在が検出可能となる。FDAによる初めてのNGSオンコロジーパネル検査の承認である。■参考FDAの発表BRF113928試験(Clinica Trials.gov)

1647.

アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJM

 未治療の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、アレクチニブ(商品名:アレセンサ)はクリゾチニブ(同:ザーコリ)よりも有効性に優れ忍容性も良好であることが認められた。スイス・ローザンヌ大学病院のSolange Peters氏らが、国際共同無作為化非盲検第III相試験「ALEX」の結果を報告した。選択的ALK阻害薬アレクチニブは、ALK陽性NSCLCに対し、全身性の効果に加え中枢神経系(CNS)の転移にも有効であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2017年6月6日号掲載の報告。国際共同第III相試験でアレクチニブとクリゾチニブを比較 研究グループは、18歳以上の未治療進行性ALK陽性NSCLC患者303例を、アレクチニブ群(600mg 1日2回、経口投与)、またはクリゾチニブ群(250mg 1日2回、経口投与)に、ECOG PS(0/1 vs.2)、人種(アジア vs.非アジア)、CNS転移(あり vs.なし)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行、許容できない毒性の発現、同意撤回または死亡まで投与を継続した。 主要評価項目は、治験参加医師判定による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は独立効果判定委員会判定によるPFS、CNS病変の病勢進行までの期間、奏効率、全生存期間(OS)とした。 追跡期間中央値は、クリゾチニブ群(151例)17.6ヵ月、アレクチニブ群(152例)18.6ヵ月であった。アレクチニブ群でPFSが有意に延長、脳転移も抑制 病勢進行または死亡のイベントは、アレクチニブ群152例中62例(41%)、クリゾチニブ群151例中102例(68%)に認められた。12ヵ月間の無イベント生存率はアレクチニブ群68.4%(95%信頼区間[CI]:61.0~75.9)、クリゾチニブ群48.7%(95%CI:40.4~56.9)で、病勢進行または死亡のハザード比は0.47(95%CI:0.34~0.65、p<0.001)であり、PFS中央値はアレクチニブ群未到達(95%CI:17.7~未到達)、クリゾチニブ群11.1ヵ月(95%CI:9.1~13.1)であり、アレクチニブ群で治験参加医師判定によるPFSの有意な延長が認められた。独立効果判定委員会判定によるPFSも、主要評価項目と同様の結果であった。 CNS病変の病勢進行のイベントは、アレクチニブ群18例(12%)、クリゾチニブ群68例(45%)で確認された(特異的ハザード比:0.16、95%CI:0.10~0.28、p<0.001)。アレクチニブ群126例、クリゾチニブ群114例で奏効が得られ、奏効率はそれぞれ82.9%(95%CI:76.0~88.5)および75.5%(95%CI:67.8~82.1)であった(p=0.09)。Grade 3~5の有害事象の発現率はアレクチニブ群が低値であった(アレクチニブ群41%、クリゾチニブ群50%)。 OSに関しては、現在のところイベント発現率がそれぞれ23%および26%であり両群ともOS中央値に未到達で、今後、イベント発現率が約50%になった時点で解析が行われる予定である。著者は今後の課題として、「アレクチニブは、全身およびCNS病変の病勢コントロールを改善することによって全生存期間も延長する可能性があるが、生存イベントに関する十分なデータの解析で確認する必要がある」との見解を示している。

1651.

第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

 lorlatinibは、強力な活性を持ち、中枢神経系(CNS)への良好な移行を示す次世代ALK-TKIである。また、ALK-TKI耐性変異に対する最も広いスペクトラムを有する。とくにクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなど、すべてのALK-TKIの耐性に関わるG1202R変異に対しても、唯一有効な薬剤である。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、このlorlatinibの第I/II相試験の主要な結果について、University of California IrvineのSai-Hong Ignatius Ou氏が発表した。 同試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)はEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。第I相試験であるEXP1では、未治療患者において強固な臨床活性を示した。第II相試験は、EXP2~5で行われ、主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 全体で199例の患者が登録され、有効性はEXP2~5の82例で、安全性は全患者で評価された。EXP2~6全体のORRは32.9%、病勢コントロール率(DCR)は56.1%であった。EXP2(前治療クリゾチニブの1ライン)のORRは57.1%、DCRは、71.4%であった。EXP3(前治療1ラインのALK-TKI:クリゾチニブ+化学療法またはクリゾチニブ以外のALK-TKI±化学療法)のORRは44.4%、DCRは61.1%であった(11.1%は奏効未決定)。EXP4(前治療2ラインのALK-TKI±化学療法)の25.0%、DCRは54.5%であった(13.6%は奏効未決定)。EXP5(前治療3ラインのALK-TKI±化学療法)のORRは30.8%、DCRは46.2%であった(23.1%は奏効未決定)。EXP4では80%以上、EXP5では90%以上の患者が化学療法を併用していた。また、ALK-TKI前治療の程度にかかわらず、ほとんどの患者で標的病変サイズが縮小した。8例ではPD後もlorlatinibの投与は継続され、最も長期にわたる患者は300日を超えている。頭蓋内病変は52例で評価され、IC ORRは48.1%、12週時のDCRは75.0%であった。標的病変のみのIC ORRは51.4%に達した。 全Gradeの治療関連有害事象(AE)発現率は、97.4%。Grade3/4のAEは46.6%の患者で発現した。AEによる投与遅延は29.3%、減量は19.8%、治療中止は4例(3.4%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(89.7%)、高トリグリセライド血症(72.4%)で、これらは脂質低下薬でコントロール可能であった。 新たなALK-TKIであるlorlatinibは、重度な前治療歴のあるALK陽性NSCLCに対し臨床的に意義のある持続性の高い効果を示すとともに、頭蓋内病変に対しても高い効果を示した。この試験の結果から、lorlatinibは本年(2017年)4月26日、米国食品医薬品によるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■参考http://meetinglibrary.asco.org/record/153943/abstract■関連記事次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK陽性肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定ASCO2016レポートDriver oncogeneに対する標的治療と耐性克服

1652.

ALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの成績発表:ALEX試験/ASCO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の標準的1次治療は第1世代のALK‐TKIであり、優れた成績をあげている。しかし、時間経過とともにPDとなる患者も存在する。また、中枢神経系(CNS)転移は再発時に多く発現し、治療困難で、しばしば臨床上の問題となる。 アレクチニブは、強力な活性とCNSへの良好な移行性を有する次世代ALK-TKIであり、第1世代ALK‐TKIクリゾチニブ治療耐性症例において非常に優れた成績を示している。また、当患者集団の1次治療においては、アレクチニブ(300mg×2/日)とクリゾチニブを初めて直接比較した本邦のJ-ALEX試験で、アレクチニブ群が主要評価項目であるPFSを有意に改善している(HR:0.34、p<0.0001)。本年の米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、進行ALK陽性NSCLCの1次治療におけるアレクチニブとクリゾチニブを直接比較した、グローバル第III相試験ALEX試験の結果を、米国Massachusetts General HospitalのAlice Shaw氏が報告した。 この多施設オープンラベル無作為化第III相試験の対象患者は、無症候性のCNS転移症例を含む未治療の進行ALK陽性NSCLC。登録された患者は無作為に、アレクチニブ600mg×2/日またはクリゾチニブ250mg×2/日に1:1で割り付けられた。主要評価項目は治験担当医評価(INV)による無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、独立評価委員会(IRC)によるPFS、CNS無増悪期間(CNS TTP)、客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、奏効期間、安全性などであった。 結果、2017年2月9日のデータカットオフ時に303例が登録された(アレクチニブ152例、クリゾチニブ151例)。追跡期間はアレクチニブ群18.6ヵ月、クリゾチニブ群17.6ヵ月であった。患者の半数以上(アレクチニブ群55%、クリゾチニブ群54%)は非アジア人で、約60%が非喫煙者、また約40%がベースライン時にCNS転移を有していた。 主要評価項目であるINVによるPFSは、アレクチニブ群で未達(17.7~NE)、クリゾチニブ群では11.1ヵ月(9.1~13.1)と、アレクチニブ群で有意に延長した(HR:0.47、95%CI:0.34~0.65、p<0.0001)。副次評価項目であるIRCによるPFSは、アレクチニブ群で25.7ヵ月(19.9~NE)、クリゾチニブ群は10.4ヵ月(7.7~14.6)で、こちらもアレクチニブ群に有意であった(HR:0.50、95%CI:0.36~0.70、p<0.0001)。 CNS転移例におけるPFSはアレクチニブ群では未達、クリゾチニブ群では7.4ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.25~0.64)。CNS TTP(中央値は両群とも未達)は、競合リスクモデルを用いた生存時間解析において、アレクチニブ群で有意に延長した(cause specific HR:0.16、95%CI:0.10~0.28、p<0.0001)。 ORRは、アレクチニブ群83%(76~89)、クリゾチニブ群76%(68~82)で、アレクチニブ群が長かったが、統計学的に有意ではなかった(p=0.09)。OSは両群とも未達であった(HR:0.76、95%CI:0.48~1.20、p=0.24)。 Grade3~5の有害事象(AE)は、アレクチニブ群の41%、クリゾチニブ群の50%で発現した。致死的AEの発現率はアレクチニブ群で3%、クリゾチニブ群では5%であった。AEの発現項目は両群共新たなものはなかった。 Shaw氏は、このALEX試験の結果は、ALK陽性NSCLCの1次治療の新たな標準としてのアレクチニブの位置付けを確立した、と述べて本題を締めくくった。■参考ASCO2017 AbstractALEX試験(ClinicalTrials.gov)■関連記事ALK阻害薬による1次治療の直接比較J-ALEX試験の結果/Lancetアレクチニブ、ALK肺がん1次治療に海外でも良好な結果:ALEX 試験

1653.

オシメルチニブ、CNS転移例にも有効性示す:AURA3試験/ASCO2017

 中枢神経系(CNS)転移は、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の経過中、40%にみられる。CNS転移例の予後は不良で、無増悪生存期間(PFS)は3~5ヵ月といわれる。オシメルチニブは、前臨床試験でCNSへの良好な移行が示されるとともに、臨床では2つの第II相試験(AURA2試験、AURA2拡大試験)においてCNSでの活性を示している。そこで、T790M陽性の進行NSCLCにおけるオシメルチニブの無作為化第III相試験であるAURA3試験から、CNS転移における同剤の最初の包括的評価を、イタリアFondazione IRCCS Instituto Nazionale dei TumoriのMaria Garrassino氏が、米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 AURA3試験では、対象患者をオシメルチニブ80mg/日またはプラチナダブレット化学療法3週間ごとに6サイクル(ペメトレキセド維持療法も許可)に、2:1で無作為に割り付けた。今回のサブグループ解析では、オシメルチニブ群は75例、化学療法群は41例であった。CNS客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)を評価するために、ベースラインでCNS転移のある患者に対し、独立第三者評価機関(BICR)による評価が行われた。解析は、ベースライン時に測定可能と測定不可能なCNS転移を有する患者のCNS全分析セット(CNS full analysis set:cFAS)と、測定可能なCNS転移のみを有する患者のCNS評価可能セット(CNS evaluable for response set:cEFR)の2グループで行われた。 結果、2016年4月15日時点で、cFAS患者は116例、cEFR患者は46例であった。cEFRにおけるCNS ORRは、オシメルチニブ群で70%(51~85)、化学療法群では31%(11~59)と、オシメルチニブ群で有意に高かった(OR:5.13、95%CI:1.44~20.64、p=0.015)。DORは、オシメルチニブ群で8.9ヵ月(4.3~NC)、化学療法群では5.7ヵ月(NC~NC)であった。cFASにおけるCNS PFSは、オシメルチニブで11.7ヵ月、化学療法群では5.6ヵ月と、オシメルチニブ群で有意に長かった(HR:0.32、95%CI:0.15~0.69、p=0.004)。また、オシメルチニブのCNSへの奏効は6.1週間でみられ、その効果は脳照射の前治療の有無にかかわらず現れた。■参考ASCO2017 AbstractAURA3試験(Clinical Trials.gov)AURA2試験(Clinical Trials.gov)AURA2拡大試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJMオシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会

1654.

dacomitinib、EGFR変異陽性肺がん1次治療の成績発表:ARCHER1050試験/ASCO2017

 dacomitinibは、不可逆的にEGFR/HER1、HER2、HER4を阻害する第2世代EGFR-TKIであり、第II相シングルアーム試験であるARCHER1017試験で、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で良好な成績を示している。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、dacomitinibとゲフィチニブを1次治療で比較した、現在進行中の第III相無作為化オープンラベル試験ARCHER1050試験の成績を、香港Chinese University of Hong KongのTony Mok氏が発表した。 同試験では、EGFR活性化変異(exon19 delまたはexon21 L858R +/− exon20 T790M)を有するStage IIIB/IVの再発NSCLC患者(CNS転移患者は除外)を、1:1でdacomitinib 45mg/日(D)群またはゲフィチニブ250mg/日(G)群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間(PFS)であった。副次評価項目は、治験担当医師によるPFS、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、治療成功期間、全生存期間、安全性および患者報告アウトカムであった。 結果、452例が登録され、D群227例とG群225例で解析が行われた。IRC評価のPFSは、D群14.7ヵ月(95%CI:11.1~16.6)、G群9.2ヵ月(95%CI:9.1~11.0)と、D群で有意であった(HR=0.59、95%CI:0.47~0.74、p<0.0001)。治験担当医評価のPFSは、D群16.6ヵ月(12.9~18.4)、G群11.0ヵ月(9.4~12.1)と、D群で有意であった(HR=0.62、95%CI:0.50~0.78、p<0.0001)。IRC評価のORRは、D群74.9%(95%CI:68.7~80.4)、G群71.6%(95%CI:65.2~77.4)と、両群間で同等であった(p=0.3883)。IRC評価のDORは、D群14.8ヵ月(95%CI:12.0~17.4)、G群8.3ヵ月(95%CI:7.4~9.2)と、D群で有意であった(p<0.0001)。 重篤な治療関連有害事象(AE)の発現率は、D群で9.3%、G群では4.5%。EGFR阻害に関連するAEである下痢、爪周囲炎、ざ瘡様皮疹、口内炎のGrade3の発現率は、D群では8.4、7.5、13.7、3.5%、G群では0.9、1.3、0、0.4%であり、D群で多かった。一方、Grade3のALT上昇はD群で0.9%、G群で8.5%と、G群で多かった。 Mok氏は個人的見解として、EGFR変異陽性の進行NSCLCにおいて、dacomitinibは1次治療の新たな選択肢として考慮されるべきだろうと述べた。■参考ASCO2017 AbstractARCHER1050試験(Clinical Trials.gov)

1655.

患者報告による症状モニターが、外来進行がんのOSを有意に延長/ASCO2017

 経口抗がん剤の増加により、外来診療が増加している。そのような中、患者の合併症管理は大きな問題となりつつある。進行がんでは症状が頻繁に起こるが、患者が医療者に報告するにはさまざまな障害がある。過去の研究結果によれば、診療医が患者の症状に気付くのは半分との報告ある。質の高いがん診療の管理には症状モニタリングが鍵といえる。そこで、Webベースによる症状モニタリングと患者報告を組み合わせたシステムと、通常ケアの結果を比較する大規模な単一施設無作為化比較試験の生存に関する結果が、University of North CarolinaのEthan Basch氏により米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。 同試験では、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで転移のある固形腫瘍の外来化学療法を受けている患者を登録し、タブレットコンピュータを介した12の一般的な症状を自己報告する群(セルフレポート群)と通常ケア群に無作為に割り付けた。セルフレポート群では、被験者が重度の症状または症状悪化を報告すると、診察医と看護師は電子メールなどによりリアルタイムで知らされ、医療者はその情報を基に診療にあたる。主要評価項目は、QOL、全生存期間(OS)、救急受診であった。 結果、2007年9月~2011年1月に766例の患者が登録され、2群に無作為に割り付けられた。患者の年齢中央値は62歳、白人87%、黒人7%、アジア人6%。がん種は泌尿器生殖器がん31%、肺がん27%、婦人科がん25%、乳がん17%であった。QOL評価は、セルフレポート群では改善34%、不変28%、対照群では改善18%、不変29%であり、セルフレポート群は対照群に比べ31%QOLが改善した。OSは、セルフレポート群で31.2ヵ月、対照群は26.0ヵ月で、セルフレポート介入群で有意に延長した(p=0.03)。多変量解析でのHRは0.832(95%CI:0.696~0.995)であった。救急受診もセルフレポート群で有意に少なく(p=0.02)、その差は7%であった。■参考ASCO2017 Abstract試験情報(Clinical Trials.gov)

1656.

EGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者の20~25%は手術適応である。プラチナベースの術後補助化学療法は、Stage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のスタンダードとなっている。一方、EGFR-TKIは進行EGFR変異陽性NSCLC1次治療の標準である。しかし、EGFR-TKIによる術後補助化学療法については、過去のBR19やRADIANT試験からも利点は証明されていない。 EGFR変異陽性のNSCLC患者の術後補助療法として、化学療法をEGFR-TKIで代替できないか。そこでEGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法において、ゲフィチニブと化学療法(ビノレルビン+シスプラチン)を比較する初めての無作為化第III相試験となるADJUVANT試験が行われた。中国Guangdong General HospitalのYi-Long Wu氏が、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)にて発表した。 同試験の対象は、完全切除後のStage II~IIIA(TNM分類第7版N1-N2)のEGFR変異陽性NSCLC患者。登録された患者は、無作為にゲフィチニブ(250mg×1/日)24ヵ月間投与群と化学療法群(ビノレルビン25mg/m2を1日目と8日目に投与+シスプラチン75mg/m2を1日目に投与)3週ごと4サイクル投与群に、1:1に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)。DFSの改善は40%以上とした。 結果、2011年9月19日~2014年4月24日に222例の患者が登録された(ゲフィチニブ群、化学療法群ともに111例)。治療期間の中央値は36.5ヵ月で、ゲフィチニブ群の投与期間は18ヵ月以上が最も多く67.9%、化学療法群は4サイクルが最も多く83.0%を占めた。 主要評価項目であるDFSは、ゲフィチニブ群で28.7ヵ月(24.9~32.5ヵ月)、化学療法群で18.0ヵ月(13.6~22.3ヵ月)と、ゲフィチニブ群で有意に長く(HR:0.60、95%CI:0.42~0.87、p=0.005)、その差は10.7ヵ月であった。3年DFS(3yDFS)はゲフィチニブ群の34.0%に対し、化学療法群は27.0%で、ゲフィチニブ群で有意に高かった(p=0.013)。全生存期間(OS)は未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は、ゲフィチニブ群で12.3%、化学療法群は48.3%と、ゲフィチニブ群で有意に少なかった(p<0.001)。健康関連QOLについては、Total FACT-L、LCSS、TOIの3種の評価ともゲフィチニブ群で有意に優れていた。 EGFR変異陽性のStage II~IIIA(N1-N2)NSCLC切除可能患者に対する、ゲフィチニブの術後補助療法は、これらの患者集団における重要な選択肢であると考えられるべきである。 DiscussantであるVU University Medical CenterのSuresh Senan氏は、「DFSの10.7ヵ月の延長は注目すべきである。今後は、どのような患者にベネフィットがもたらされるのかなど、より詳細に研究していくべきである。また、3yDFSの34%という結果は満足できるものではなく、対象症例などに注目してさらなる改善を図るべきであろう」と述べた。■参考 ADJUVANT試験(NCT01405079) BR19試験 RADIANT試験

1657.

III期NSCLCの化学放射線同時併用療法に適用するレジメンは?本邦のランダム化試験の結果発表/ASCO2017

 化学放射線同時併用療法(CCRT)は、手術不能なIII期非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療であるが、最良の化学療法レジメンは特定されていない。S-1とシスプラチン(CDDP)の併用(SP)は進行NSCLCに対する標準化学療法レジメンの1つであり、CCRTにおける良好な成績も報告されている。day1、8に分割したドセタキセルとCDDPの併用(DP)を用いたCCRTは、旧世代のCDDPレジメンとの比較試験で、良好な結果(2年生存割合)を示しているが、全生存については有意な差は認めていない。そこで、日本医科大学の久保田 馨氏らは、NSCLC患者に対するCCRTにおいて、SPとday1のみにドセタキセル+CDDPを投与するDPの2つの併用化学療法レジメンの成績を評価するランダム化第II相試験TORG1018を行い、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 対象は手術不能なIII期NSCLC患者で、化学療法、放射線療法、外科療法歴なし。登録された患者をSP群またはDP群にランダムに割り付けた。SP群ではS-1 80~120mg/m2/日(day1~14)とCDDP 60mg/m2(day1)を4週ごとに、DP群ではドセタキセル50mg/m2とCDDP 80mg/m2(両薬ともday1)を4週ごとに投与した。同時併用する放射線療法(60Gy/30分割)は、両群ともにday1から開始した。CCRT後、両群の患者は、3週ごとの地固め化学療法をさらに2回受けた。主要評価項目は2年生存割合(2yOS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、毒性プロファイル、用量強度、奏効割合(ORR)。期待2yOSは65%、閾値2yOSは50%とした。 結果、2011年5月~2014年8月に、19施設から110例の患者が登録され、106例(各群53例)が評価対象となった。男性83例、女性23例、年齢中央値は65歳(42~74)であった。観察期間39.3ヵ月での2yOSはSP群で79%(95%CI:66~88%)、DP群では69%(95%CI:55~80%)であり、両群共に主要評価項目を達成した。OS中央値はSP群で55.23ヵ月、DP群で50.83ヵ月、ORRとPFSはSP群でそれぞれ71.7%、11.63ヵ月、DP群では67.9%、19.91ヵ月であった。 DP群におけるGrade3/4の白血球減少および好中球減少はSP群より有意に高かった。また、発熱性好中球減少症、肺臓炎はDP群でより高い傾向があった。毒性の少なさと共に2yOSはSP群で良好であり、将来はSPを放射線同時併用の適用レジメンとして選択する、と著者は結んでいる。■参考 ASCO2017 Abstract

1659.

セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月26日、セリチニブ(商品名:ジカディア)に、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する通常承認を与えた。 セリチニブは2014年4月、クリゾチニブで病勢進行したか、クリゾチニブ耐性のALK陽性転移性NSCLCに対する迅速承認を得ている。これは、163例のシングルアーム試験での独立第3者評価機関(BIRC)による44%の奏効率(ORR)に基づいている。 今回の承認は、未治療のALK陽性NSCLCに対する多施設オープンラベル無作為化実薬比較試験ASCEND-4のデータに基づいたもの。ASCEND-4では31ヵ国201施設376例の対象患者が、セチニブ群またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法群に無作為に割り付けられた。 結果、BIRC評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セリチニブ群16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)、化学療法群は8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)と、セリチニブ群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。また、ORRはセリチニブ群73%(95%CI:66~79%)、化学療法群27%(95%CI:21~34%)であった。■参考FDA(Resources for Information on Approved Drugs)ASCEND04試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

1660.

「たばこ煙害死なくそう」 受動喫煙防止法案の行方に一石

 2017年5月24日、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正に関して、「建物内禁煙」を目指す厚労省案を支持する医師や研究者、アスリートからなる有志が声明を発表し、厚生労働省で記者会見を行った。受動喫煙、最も効果的な対策は「建物内禁煙」 「飲食店の建物内禁煙」を掲げる厚労省案に対して、与党内から「飲食店の店頭に喫煙環境を提示すればよい」という緩和案が出されている。これを受けて、代表発起人の渋谷健司氏(東京大学大学院教授)は、受動喫煙による健康被害を確実になくす方法として厚生労働省案を支持するとの声明を発表した。受動喫煙による死亡者数は、毎年1万5,000人程度と言われており、交通事故死亡者4,000人をはるかに上回る。受動喫煙によって心筋梗塞や肺がん、脳卒中などのリスクが上昇することは国立がん研究センターの報告などからも明らかだ。 山口育子氏(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「厚労省案に盛り込まれている喫煙専用室の設置は、『建物内禁煙』の実現に向けた移行措置としてとしてやむを得ない。しかし移行期間は極力短縮し、建物内禁煙の実現に向けて前進してほしい」と述べている。 また、中室牧子氏(慶應義塾大学准教授)は、世界では科学的な根拠に基づいた政策立案が標準になっており、受動喫煙は科学的なデータから建物内禁煙が最も有効な手段だと考えられていることを説明した。また、飲食店に与える影響についても、「受動喫煙に関する社会科学的な研究において、飲食店を全面禁煙にしても売上は落ちないという報告が数多く出されている。仮に、例外を設けて喫煙が可能な店ができれば、間接的に喫煙できる店を補助することになりかねない」と指摘し、飲食店への影響を考慮しても、建物内禁煙が最も有効な手段だと強調した。声なき声を拾った国民的議論を SNSで拡散求める 今回の声明の賛同者は5月24日現在、220名。医療関係者だけでなく、NPO、患者団体、企業など幅広い分野から集まっている。これは会見前の3~4日間に主にインターネット上での呼びかけに反応した数字だ。短期間にこれだけの人数が集まった背景には、受動喫煙に関する国民的意識が高まっていること、また飲食店等での禁煙を望むものの声をあげられなかったサイレントマジョリティが数多くおり、潜在的な賛同者が多くいると感じていると渋谷氏は述べた。最後に法案可決まで時間がない中、「建物内禁煙」の実現に向けて、以下のアクションを呼びかけた。 (1)SNSやブログでの、ハッシュタグを付けた「建物内禁煙」実施を求める投稿   (#たばこ煙害死なくそう など) (2)科学的根拠や最新の動向についての情報に耳を傾け、周囲と話し合う ■参考 声明文 たばこ煙害死なくそう。受動喫煙のない国に。

検索結果 合計:2040件 表示位置:1641 - 1660