非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/10/19 2017年10月14日、第58回日本肺癌学会学術集会で、岡山大学病院の久保 寿夫氏が、国際共同第III相臨床試験OAK試験の日本人集団の解析結果を発表した。OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などである。すでに発表されている全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87)、良好な安全性が示されている。 日本人集団(OS解析対象の64例)のOS中央値はatezolizumab群で21.3ヵ月、ドセタキセル群で17.0ヵ月、ハザード比は0.80(95%CI:0.41~1.57)であり、全集団同様PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab群で改善が認められた。 有害事象については日本人101例を対象に解析され、Grade 3 以上の有害事象の発現率はatezolizumab群が26.8%、ドセタキセル群が91.1%とatezolizumab群で低かったが、免疫関連有害事象を含む投与中止に至った有害事象についてはatezolizumab群で多かった(17.9% vs.6.7%)。外国人集団との比較においては、Grade 3 以上の有害事象は日本人集団で少なかった(26.8% vs.40.1%)。日本人集団で多くみられたのは発熱(35.7%)、鼻咽頭炎(19.6%)などであった。 なお、atezolizumabはOAK試験ならびに第II相無作為化臨床試験であるPOPLAR試験の結果に基づき、上記患者に対して2016年10月に米国食品医薬品局(FDA)、2017年9月に欧州委員会(EC)により承認されている。 ■参考 OAK試験(Clinical Trials.gov) 中外製薬のプレスリリース ■関連記事 抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet 抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA (ケアネット 遊佐 なつみ) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] LVEF保持/軽度低下例へのβ遮断薬、死亡・MACEの複合を抑制/NEJM(2025/09/18) 前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA(2025/09/18) タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省(2025/09/18) 「また、にしない。まだ、にしない。」認知症早期対応のための合言葉を発表/リリー(2025/09/18) 医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性(2025/09/18) インフルワクチンの効果、若年には有意だが80歳以上で認められず/日本臨床内科医会(2025/09/18) 抗不安薬の有効性と受容性の比較〜ネットワークメタ解析(2025/09/18) GLP-1受容体作動薬は気候変動対策にも有益(2025/09/18) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)