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COVID-19、医師のツイートから行政手続きが効率化

 医療現場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応と感染対策に追われているが、そこに拍車を掛けているのが非効率な行政手続きだ。新型コロナウイルス感染症は指定感染症となっており、患者が出た場合には感染症法に基づき保健所への届け出が必要となる。このやり取りに使われる「新型コロナウイルス感染症発生届」は医師が所定の用紙を埋めてFAXで送付し、電話で確認するという形式。PCR検査実施を依頼する際にも同様の電話連絡と紙伝票のやり取りが必要となる。 4月23日、川崎市立川崎病院で呼吸器内科医として診療の最前線に立つ田中 希宇人氏は「手書き・FAX」という届け出の非効率性について、自身のTwitterに嘆く投稿をした。「もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。こんなん昭和ですよ‥。もう止めようよ‥(一部抜粋)」。 この投稿が反響を呼び、リツイートが繰り返されるうちに河野太郎防衛大臣の目に留まり、大臣が自身のアカウントで反応。Twitter上で担当する副大臣につながり、投稿の翌日には田中氏が改善点についてメールで意見を伝えることとなった。以降、関連閣僚・官僚がデジタル化による医療現場と保健所の負担軽減を言及するようになり、4月30日には「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(仮称)」が導入されることが正式に発表された。田中氏の投稿からわずか1週間、システム稼働も5月17日の週を目処に開始されるというスピード感ある展開に、現場の医療者からは一様に歓迎の声が上がった。一連の経緯は海外メディアの注目も集め、5月1日付けのニューヨーク・タイムズはロイター発として「FAXを愛する日本がコロナウイルス報告のオンラインシステムを導入」と紹介した。 田中氏は、今回の経緯について自身のnoteに詳しくまとめている。 https://note.com/cutetanaka/n/nbac8c07a1455 大きく行政を動かすことになった田中氏は、「今回はたまたま河野大臣にツイートを拾われる形となった。本当に偶然だが、医療現場での非効率な古い慣習は『発生届』以外にも数多く存在しており、改善を諦めず、声を上げ続けることが大事だと感じた」と語る。田中氏は以前からTwitterをはじめ、肺がんに関するブログでも医療情報を積極的に発信してきた。そうした発信力と影響力の積み重ねが今回の成果につながった面も大きい。田中氏は「今回、SNSはただの発信/連絡のツールではなく、使い方次第で大きな可能性と将来性があるとわかった」とし、今後も積極的な発信を続けていくという。

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capmatinib、METΔexon14変異肺がんのFDA承認取得

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年5月7日、METexon14スキッピング変異が検出された転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対しMET阻害薬capmatinibを承認した。 capmatinibは、METexon14スキッピング変異陽性のNSCLC患者97例を対象にしたGEOMETRYmono1試験の結果に基づき、2020年2月から優先審査対象となっていたが、今回の承認も同試験に基づくもの。 GEOMETRYmono1試験は、7つのコホ-トに分けられるが、7コホート中の2コホートの結果が発表されている。コホート4は、1つ以上の前治療を受けた患者(69例)、コホート5では、治療歴のない患者(28例)が対象。 コホート4の盲検独立審査委員会(BIRC)評価による全奏効率は40.6%、コホート5bのORRは67.9%だった。奏効期間(DOR)中央値は、コホート4で9.72ヵ月、5bでは11.14ヵ月であった。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、コホート4で5.42ヵ月、コホート5bでは9.69ヵ月であった。頭蓋内病変の中間解析では、54%(13人中7人)に奏効が観察された。 第II相マルチコホート研究に登録されたStage IIIB/IVの患者では、コホート4のBIRC評価のORRは42.0%、病勢制御率(DCR)は78.3%(治験担当医評価76.8%)。コホート5bのBIRC評価のORRは60.7%、DCRは96.4%(治験担当医評価96.4%)であった。評価可能な脳転移症例13例のうち4例の脳病変がCRであった。 Grade3/4の有害事象(AE)の発現は全体で35.6%、重篤な治療関連AEの発現は12.9%であった。最も頻度の多いAEは末梢浮腫で、全Gradeで41.6%、Grade3/4は7.5%の発現率であった。治療関連死亡は認められなかった。

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進行NSCLC、PS不良患者へのICI投与/Cancer

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与について、全身状態(PS)が重要な指標となるようだ。米国・マサチューセッツ総合病院のLaura A. Petrillo氏らによる検討で、PSが低下した患者は良好な患者と比べて、投与後の生存期間が有意に短いこと、終末期での投与が多いことが判明したという。また、終末期の投与は、ホスピス利用の低さおよび院内死亡リスクの増大とも関連していた。Cancer誌2020年3月15日号掲載の報告。 検討は後ろ向きの単施設試験で、2015~17年にICI治療を開始していた進行NSCLC患者237例を対象に行われた。 Cox比例法を用いて、ICI治療開始時にPS不良(≧2)の患者と、良好(0または1)の患者の全生存(OS)を比較した。また、ロジスティック回帰法を用いて、死亡前30日間のICI使用と、末期医療(エンドライフケア)の関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・ICI開始時の患者の平均年齢は67歳、PS≧2の患者は35.4%であった。・2次治療またはそれ以降の治療としてICIを受けた患者が最も多く、80.8%を占めた。・OS中央値は、PS≧2の患者では4.5ヵ月、PS 0/1の患者では14.3ヵ月であった(ハザード比:2.5、p<0.0001)。・死亡前30日間にICI投与を受けた患者は、 PS≧2では28.8%であったのに対して、PS 0/1では10.8%であった(p=0.002)。・死亡前30日間のICI投与は、PSにかかわらず、ホスピスへの紹介率の低さと関連しており(オッズ比:0.29、p=0.008)、また院内死亡の増大と関連していた(6.8、p=0.001)。

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Dr.皿谷の肺音聴取道場

第1回 胸部の解剖第2回 呼吸音伝達の仕組み第3回 正常呼吸音を聴く第4回 肺炎と胸膜炎を理解する第5回 頸部で聴こえる音第6回 中葉・舌区で聴こえる音第7回 肺底部で聴こえる音第8回 肺炎へのアプローチ第9回 気管支喘息、肺がんへのアプローチ第10回 多彩な疾患へのアプローチ 肺音に苦手意識がある先生、ぜひこの番組を見てください!Dr.皿谷が、胸部の解剖から肺音が聞こえる原理、雑音が生じる理由まで、肺音聴取に必要な知識を丁寧に解説します。胸部だけでなく頸部や口腔での聴診のコツも伝授。さまざまな部位での聴診スキルと異常音を知ることで、肺音から疾患を特定できるようになります。実症例で録音した肺音を数多く聞いて、コモンな疾患を聴き分けられる耳を養いましょう。※学習効果を高める1冊 皿谷氏の最新著作 「まるわかり!肺音聴診」は、聴診のポイントから診断アプローチまで丁寧に解説。DVDで学んだスキルを深く理解できるおすすめの1冊です。Amazon購入リンクはこちら↓「まるわかり!肺音聴診」(南江堂)第1回 胸部の解剖効果的に肺音を聞くには、解剖の理解が不可欠。なぜなら、体表から肺の位置を把握できることが適切な音を聞くための土台だからです。第1回では、モデルの体表に骨や肺の位置をマーキングし、体表から肺の位置がわかるように解説します。第2回 呼吸音伝達の仕組み肺音は、正常呼吸音と副雑音に分かれます。それぞれの異常に気付くために押えておきたい基本は呼吸音がどこで発生しているのか、そしてその音がどうやって体の中で伝達されているか。これを理解するために最も重要なポイント「肺はlow pass filterである」をわかりやすく解説します。第3回 正常呼吸音を聴く呼吸音は、気管呼吸音、気管支呼吸音、肺胞呼吸音の3つに分類されます。これらの正常音の聴取部位や音の性質をしっかりと把握していれば、異常を見つけるのも簡単。それぞれの呼吸音の正常な状態と、異常が生じる場合を実際に録音した症例音源で解説します。第4回 肺炎と胸膜炎を理解する臨床で頻繁に遭遇する肺炎と胸膜炎。これらの疾患で肺音はどう変化するのか?病変の種類と聴取部位による音の違いを、実際の症例で見ていきます。患者に発語してもらい音の変化から病変を捉える「声音聴診」や打診を組み合わせたテクニックも実技で解説します。第5回 頸部で聴こえる音患部を聴いても見つけられない状態変化を見つける方法を知りたくないですか?それは頸部聴診。頸部で聴こえる異常音がどんな音かを知ってさえいれば、気管狭窄や喘息発作、COPDの急性増悪などをすぐに見つけられます。症例写真と聴診音で勉強していきましょう!第6回 中葉・舌区で聴こえる音中葉・舌区は、鼻症状を呈する患者では必ず聴診を行うべき部位。なぜなら鼻に症状が出る場合、気管支にも何らかの異常があることが多いから。今回は副鼻腔気管支症候群や気管支炎などの疾患で聴こえる音の性質を見ていきます。さらにこれを理解するとより一層、聴診から疾患を予測できるようになる「呼吸相」を解説します。第7回 肺底部で聴こえる音間質性肺炎を疑うとき、最も注意して聴診すべき箇所が肺底部。ここで音をキャッチできるとより早期に間質性肺炎を発見し、治療に結び付けられます。肺底部での聴診のコツ、そして実際の症例で録音した肺音から、音の性質、聴こえるフェーズなどを理解しておきましょう。第8回 肺炎へのアプローチ肺音は、さまざまな肺炎を発見し病期を見分けるのに有用なツールです。今回はインフルエンザ感染後の肺炎、マイコプラズマ肺炎、そしてレジオネラそれぞれの肺音を症例写真とともに聴いていきます。呼気、吸気どちらでよく聴こえるか?高音か低音か?さまざまな角度から音を聴き分ける練習をしていきましょう。第9回 気管支喘息、肺がんへのアプローチ高音と低音と入り混じった喘鳴を聴いたとき、どんな疾患を想像しますか?答えを出すポイントは、気道の構造を考慮すること。気道の太さと細さで音の性質が変わることを念頭に置いて画像や診察情報と照らし合わせることで答えにたどり着くことができます。肺音と解剖、そして画像や診察情報などを総合して、疾患を見つける訓練をしていきましょう。第10回 多彩な疾患へのアプローチ最終回は肺音で聴き取れる特殊な症例をみていきます。画像診断やその他の検査で診断がついてから肺音を聴取してみると、その異常が肺音でも聴き取れることがわかります。こうした症例を知っておくと、侵襲的な検査をする前に異常を発見することにもつながります。これはまさに上級者のテクニック。基本的な肺音を聴けるだけでなく、高度なテクニックも身に付けて診断の精度を上げていきましょう!

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ペムブロリズマブによる肺がん2次治療、KEYNOTE-010の長期結果/JCO

 ドセタキセルとペムブロリズマブを既治療のPD-L1陽性進行生存非小細胞肺がん(NSCLC)と比較したKEYNOTE-010試験において、ペムブロリズマブはTPS≧50%と≧1%で全生存率(OS)を改善した。ペムブロリズマブ35サイクル/2年後あるいはペムブロリズマブ再治療を含めた、KEYNOTE-010長期結果が報告された。  KEYNOTE-010試験では、1,033例の対象患者が、ペンブロリズマブ群690例(2mg/kg 344例、10mg/kg 346例)とドセタキセル群343例に無作為に割り付けられた。また、35サイクル/2年後にPDとなった場合も、適格患者において、最大17サイクルのペムブロリズマブによる再治療が許容された。  主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値42.6ヵ月後においても、ペムブロリズマブはOSを改善し続けた([TPS≧50%]HR:0.53、95%CI:0.42〜0.66、p<0.00001、[TPS≧1%]HR:0.69、95% CI:0.60〜0.80、p<0.00001)。・36ヵ月OSは、TPS≧50%では34.5%対12.7%、TPS≧1%では22.9%対11.0%であった。・Grade3〜5の治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群16%、ドセタキセル群37%であった。・ペムブロリズマブ群690例中79例が35サイクル/ 2年の治療を完遂した。・上記79例の客観的奏効率は95%(75/79例)で、48例(64%)は効果が持続していた。・上記79例中14例がペムブロリズマブの再治療を受け、5例が17サイクルを完遂。再治療におけるPR6例(43%)、SD5例(36%)であった。  ペムブロリズマブは、優れた安全性、忍容性と共に長期のOS改善と持続的効果、また、再治療における疾患制御を示した。著者らは、既治療のPD-L1発現NSCLCに対するペムブロリズマブをさらに支持するものだとしている。

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COVID-19流行下で不安募らせるがん患者、医師は受け身から能動へ?

 がん患者の自分が感染したら致命的なのではないか、治療を延期しても大丈夫なのか、この発熱は副作用かそれとも感染か―。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、がん患者の不安は大きくなってしまっている。エビデンスが十分とはいえない中、また医師自身にも感染リスクがある中で、治療においてどのような判断をし、コミュニケーションを図っていけばよいのか。4月21日、「新型コロナ感染症の拡大を受け、がん患者・家族が知りたいこと」(主催:一般社団法人CancerX)と題したオンラインセッションが開催され、腫瘍科や感染症科など各科の専門医らが、患者および患者家族からの質問に答える形で議論を行った。がんの既往があると重症化リスクが高いのか?と聞かれたら 大須賀 覚氏(アラバマ大学バーミンハム校脳神経外科)は、現状のデータだけでは十分とは言えないとしたうえで、「すべてのがん患者さんが同じように重症化リスクが高いとはかぎらない」と説明。英国・NHSによるClinical guideから、とくに脆弱とされる状況を挙げた:• 化学療法を現在受けている• 肺がんで、放射線治療を受けている• 血液または骨髄のがん(白血病、リンパ腫、骨髄腫)に罹患している• がんに対する免疫療法または他の継続的な抗体治療を受けている• その他、免疫系に影響するタンパク質キナーゼ阻害薬やPARP阻害薬などの分子標的療法を受けている• 6ヵ月以内に骨髄移植や幹細胞移植を受けた人、または現在、免疫抑制剤の投与を受けている• 60歳以上の高齢• がん以外の持病がある(心・血管系疾患、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患など) 市中に感染が蔓延している状況下では、病院へ行く頻度が高い人はやはり感染リスクが高くなるとして、治療によるベネフィットを考慮したうえで、受診の機会をどうコントロールしていくかが重要になると話した。感染のリスクと治療のベネフィットを、どう考えるか 大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院国際感染症センター)は今後の流行の状況について、「いま来ている波が落ち着いたとしても、また次の波に警戒しなければならない」とし、ある程度長い期間、寄せては返しを繰り返すのではないかと話した。先がみえない状況の中で、治療延期の判断、延期期間をどう考えていけばよいのか。 勝俣 範之氏(日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科)は、「がん治療の延期・中止は非常に慎重に行うべき」として、病状が安定していて、半年に一度などのフォローアップの患者さんで、たとえば1ヵ月後に延期する、といったところから始めていると話した。 大須賀氏は、医療資源が確保できず安全な治療自体が行えない場合、いま治療を実施することによって感染リスクが高まると判断される場合は延期・治療法の変更が検討されるとし、治療自体の緊急性や効果といった個別の状況のほか、地域での感染状況などから総合的に判断されるというのが現状の世界での基本的見解だろうと話した。 そして、もし治療の延期や変更を決めた場合には、「なぜ延期/変更されたのかを患者さんが理解しないといけないし、医師は理解できるように説明できないといけない」と上野 直人氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科)。会場の参加医師からは、貴重な受診機会を効率的なものにするために、平時以上に、患者さんに事前に質問事項をメモして来院するよう伝えるべきではという声も聞かれた。続く緊張と感染への不安で食事がとれなくなっている患者も 秋山 正子氏(認定NPO法人マギーズ東京)は、感染を心配しすぎて過敏になり、食事や水分をまともにとれていないような状況もある、と指摘。電話相談などを受けていると、家にずっと閉じこもる状況下で緊張状態になり、身体をうまく休めることができなくなっている人もいるという。 天野 慎介氏(一般社団法人 全国がん患者連合会)は、「まず自分がストレスを感じていることを認めて受け入れる」ことが重要と話した。そのうえで、日本心理学会によるアウトブレイク下での精神的ストレスを軽減させるための考え方(もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために)について、その一部を紹介した:• 信頼できる情報を獲得する• 日々のルーティンを作り,それを守る• 他者とのヴァーチャルなつながりをもつ• 健康的なライフスタイルを維持するつながらない代表電話、医師ができる積極的アプローチとは がん治療中に発熱した場合、それが化学療法による副作用なのか、あるいは感染の疑いがあるのか、患者自身が判断するのは不可能で、味覚障害や下痢なども、鑑別が難しい。佐々木 治一郎氏(北里大学病院 集学的がん診療センター)は、「がん治療中の患者さんに関しては、発熱などの何らかの症状があった場合、保健所ではなく、まず主治医に連絡してもらうようにしている」と話した。 しかし現在、多くの病院で代表電話は非常につながりにくい状況になっている。会場からは、各病院でもがん相談支援センターの直通電話は比較的かかりやすいといった情報が提供された。佐々木氏は、「自粛して1人あるいは家族だけと自宅にいる患者さんに、何らかの支援を提供できるよう動いていくときなのではないか」とし、医師は普段は受け身で相談を受けているが、今はこちらから電話をするなど、積極的なアプローチが必要なのではないかと話した。正しい情報にアクセスし、適切なサポートにたどり着いてもらうために 「10秒息を止められれば大丈夫」「水を飲めば予防できる」など、驚くようなデマが拡散し、そして思った以上に患者さんたちはそういった情報に翻弄されてしまっていると勝俣氏。信頼できる情報にアクセスできるように、医療者がサポートしていく必要性を呼び掛けた。また秋山氏は、「直接ではなくても、電話やネットなどのツールを活用し、誰かとつながって話すことで、かなり不安が軽減する」とし、電話相談の窓口などを活用してほしいと話した。本セッション中に登壇者や参加者から提供された情報源や相談窓口について、下記に紹介する。■新型コロナウイルスに関する情報臨床腫瘍学会「がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A」チームオンコロジー「新型コロナウイルス(COVID-19)関連リンク集」日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT)「新型コロナウイルス情報リンク集」大須賀 覚先生のnote■相談窓口などマギーズ東京「メールやお電話などのご案内」日本臨床心理士会「新型コロナこころの健康相談電話のご案内」厚生労働省「新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談」

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ペムブロリズマブ単剤は高齢患者にも有用かKEYNOTE-010、024、042統合解析【肺がんインタビュー】 第45回

第45回 ペムブロリズマブ単剤は高齢患者にも有用かKEYNOTE-010、024、042統合解析肺がん患者の多くは高齢者である。近年登場した免疫治療薬は、肺がん治療においても幅広く適用され始め、高齢肺がんにおいても、その有用性が期待される。しかし、臨床試験での高齢者のデータは少ない。そのような中、高齢者への有効性と安全性を評価した、ペムブロリズマブ単剤の大規模RCTの統合解析がLung Cancer誌で発表された。筆頭著者である野崎 要氏にこの試験から得られる新たな知見について聞いた。肺がん最大の高齢者データセット―この試験を実施した背景を教えていただけますか。ご存じのとおり、肺がん患者さんの多くは高齢者です。高齢者の定義は日本肺癌学会ガイドラインでは75歳となっています。免疫チェックポイント阻害薬が登場し、その使用機会も著しく増加していますが、免疫チェックポイント阻害薬のピボタル試験では65歳を境にした解析が多く、75歳以上のデータは数少ないのが現状です。そこで、ペムブロリズマブ単剤の3つのピボタル試験の統合解析から75歳以上の患者のデータを抽出し、75歳以上の高齢患者におけるペムブロリズマブ単剤の効果と安全性を評価しました。―3つのピボタル試験について教えていただけますか。KEYNOTE-010、024、042試験の3つです。これらはすべて企業(MSD)主導のグローバル試験です。KEYNOTE-010試験は2016年のLancet誌に結果が発表された既治療のPD-L1発現(1%以上)非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブ単剤の試験です。KEYNOTE-024試験は、1次治療のPD-L1高発現(50%以上)NSCLC患者に対するペムブロリズマブ単剤とプラチナ併用化学療法の比較試験で、2016年、New England Journal of Medicine誌に結果が発表されました。私は、前勤務地でこの試験に施設の試験責任医師として参加しています。KEYNOTE-042試験は、同じく1次治療ですが、PD-L1発現(1%以上)NSCLC患者に対するペムブロリズマブ単剤とプラチナ併用化学療法の比較試験で、2019年のLancet誌に結果が発表されています。画像を拡大する―試験デザインについて教えていただけますか。今回の研究では、前出のペムブロリズマブの3つのピボタル試験で、下記の4つの統合解析を行い、1次治療であるKEYNOTE-024、KEYNOTE-042試験については、下記の2つの統合解析を行いました。画像を拡大する高齢者へのペムブロリズマブ単剤治療、有効性、安全性とも若年者と同様―この研究の主な結果を教えていただけますか。3試験全体でみた75歳以上のペムブロリズマブ単剤の全生存期間(OS)は、化学療法に比べ有意に良好でした。PD-L1≧1%でのOSは、ペムブロリズマブ単剤15.7ヵ月に対し、化学療法は11.7ヵ月(HR:0.76)、PD-L1≧50%でのOSは19.2ヵ月vs.11.9ヵ月です(HR:0.40)。また、1次治療であるKEYNOTE-024と042における75歳以上のOSは、PD-L1≧50%で23.1ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.41)と、こちらもペムブロリズマブ単剤群は化学療法に比べ良好でした。―高齢患者の有害事象の発現についてはいかがでしたか。75歳以上における治療関連有害事象(TRAE)は、化学療法に比べ、ペムブロリズマブ単剤で少なく、全Gradeで68.5% vs.94.3%、Grade3以上では24.2% vs.61.0%でした。75歳以上と75歳未満を比べても同様でした。TRAE発現は75歳以上68.5%に対し75歳未満65.2%、免疫関連有害事象(irAE)発現は24.8% vs.25.0%と同等でした。―この研究は、264例という75歳以上では最大規模の試験となりますが、この結果を高齢者肺がんの実臨床にどう応用できるとお考えですか。当研究は、事後解析ですので、いくつかの限界(limitation)があります。組織型(ペムブロリズマブに扁平上皮がんが多い)、喫煙状況(ペムブロリズマブに喫煙者が多い)といった患者背景に偏りがあります。また、1次治療として行われた2試験(KEYNOTE-024と042)に参加できたのは、プラチナ併用療法に忍容性がある方で、実地臨床における高齢患者さんとはやや異なる可能性があります。また、PD-L1 1~49%のデータは示されていません。とはいえ、前向き試験によって抽出された臨床データで、ペムブロリズマブ単剤の有効性、有害事象も高齢者とそれ以外で大きく変わらないことが示されたことは重要だと思います。とくに、PD-L1高発現に対するペムブロリズマブの治療効果(OSカーブ)は75歳以上と75歳未満で変わらないように見えます。このようなことから、少なくともPD-L1高発現の全身状態の良い高齢者には積極的にペムブロリズマブを使用することを勧めて良い、ということはいえると思います。参考原著:Nosaki K, et al. Lung Cancer.2019;135:188-195.KEYNOTE-010: Herbst RS, et al. Lancet. 2016;387:1540-1550.KEYNOTE-024: Reck M, et al. N Engl J Med. 2016 ;375:1823-1833.KEYNOTE-042: Mok TSK, et al. Lancet. 2019;393:1819-1830.

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これが免疫チェックポイント阻害薬の効果予測バイオマーカー(のはず)【そこからですか!?のがん免疫講座】第4回

はじめに前回は、「免疫チェックポイント阻害薬(ICI)がどうやって効果を発揮しているのか」について解説しました。しかし、いろいろメディアで報道されたこともあり皆さんご存じかもしれませんが、すべての患者さんに効くわけではありません1,2)。そこで、どういった患者さんに効くのか?という疑問に対してさまざまな研究がなされてきました。今回はそれらを紹介しながら、がん免疫の本質に少し迫りたいと思います。効果予測バイオマーカーとは?「効果予測バイオマーカー」、読んで字のごとくかもしれませんが、少し言葉の説明をさせてください。「AさんはXという薬が効く。一方でBさんはYという薬が効かない」などということが、あらかじめわかっていれば余計な処方や副作用、さらには経済的な負担も避けられて非常にありがたい話ですよね? がんの領域では分子標的薬の登場により、こういった研究が盛んに行われてきました。こういった研究は非小細胞肺がんのゲフィチニブ(gefitinib)というEGFR阻害薬で非常に有名です。ゲフィチニブは発売当初、進行非小細胞肺がんであれば誰にでも使用されていましたが、だんだんと劇的に効く人とまったく効かない人がいることがわかってきました。そこで、そういった劇的に効く患者さんのがん細胞の遺伝子を検査してみると、ほとんどの患者さんでEGFR遺伝子変異が見つかりました3)。EGFR阻害薬なので「EGFRに異常があれば効く」なんてことは今から思えば当たり前のように思えるかもしれませんが、当時としてはかなり衝撃的でした(著者は医学部生で医者になる直前でした)。反証のようなデータも出ていろいろな論争もありましたが、前向き臨床試験で証明され3)、今ではこの薬剤はEGFR遺伝子変異がある患者さんでしか使用されていません。EGFR遺伝子変異があればゲフィチニブが効く、ということが予測できるので、EGFR遺伝子変異はゲフィチニブの「効果を予測できるマーカー」ということで「効果予測バイオマーカー」と呼ばれています。ほかにも効果予測バイオマーカーはいくつもありまして、中には全体の数%しかないような非常にまれな遺伝子異常もあります。こういった数%しかないものも含めて「効果予測バイオマーカー」を効率的に見つけようという取り組みが、最近の「がんゲノム医療」への流れをつくりました。これ以上は本筋からそれますので、がん免疫に話を戻します。ICIの効果予測バイオマーカーは?「全員に効くわけではない」と最初に触れましたが、ICIは単剤だと効果は50%以下です。劇的に効いて年単位で再発しない「完治」したかのような患者さんもいれば、1コースですぐ無効と判断されるような患者さん、逆に悪化してしまうような患者さんもいます4)。著者も大学院生時に2015年の論文を読んで思いましたが、まるでゲフィチニブをほうふつとさせるのです。そこで、「やはり効果予測バイオマーカーを見つけよう!」と世界中で研究が行われました。まず、いきなり残念なお知らせです。結論から申しますと、EGFR遺伝子変異ほどの完璧なバイオマーカーは、臨床応用できる範囲では今のところは存在しません。なぜそういう結論になっているのかという事情を話すと何時間でも講演できてしまうのですが、ここでは代表的なバイオマーカー3つの話にとどめ、あくまでがん免疫を理解するための話をしたいと思います。「完璧じゃねーのかよ!」と憤った方もいるかもしれませんが、この3つはがん免疫の本質を考えるうえで非常に重要ですので、ぜひお付き合いください。PD-L1の発現と腫瘍浸潤T細胞最初に紹介するのが、「PD-L1発現」と「腫瘍浸潤T細胞」の2つです。PD-L1の発現は臨床でも利用されていますので、今さら説明は不要かもしれません。「PD-1やPD-L1を阻害する薬なんだから、PD-1の結合相手の代表であるPD-L1がたくさん出ていれば効くんじゃないか?」という単純な発想で開発されたバイオマーカーです(図1)。病理学的に免疫染色で評価して「PD-L1高発現であれば効く」というのはある程度は受け入れられていると思います5)。ただし、繰り返しますが、完璧ではありません。PD-L1が高発現でも無効な方もいれば、全然出ていなくても有効な方もいます。なぜなのでしょう?原因はいろいろいわれていますが、私見も含めて考察します。1つは場所によって染色が異なる不均一性の問題といわれています。同じ患者さんの病理組織の中でも、ある部分ではPD-L1が高発現なのにある部分では低発現であったりすることが報告されています。さらにはダイナミックな変化も問題とされています。画像を拡大する前回を思い出してほしいのですが、PD-L1はがん細胞がT細胞を抑制して免疫系から逃れるために利用している分子です(図1)。ですので、免疫の攻撃、とくにT細胞の攻撃にさらされることで、自分の身を守るため・免疫系から逃れるために異常に発現が上がります。著者も実験したことがありますが、T細胞の攻撃にさらされると、元々出ているPD-L1の発現が関係なくなるレベル、50倍などにまで上がります(図2)6)。したがって常にPD-L1はダイナミックに変化しており、完璧な効果予測バイオマーカーになりにくい、ということが考えられます。画像を拡大する「PD-L1がT細胞の攻撃に伴って上がるのであれば、T細胞側を見てあげるほうがいいんじゃないの?」と思われた方もいると思います。その発想が「腫瘍浸潤T細胞」の発想です。今まで散々「ICIはT細胞を活性化してがん細胞を攻撃している」という話をしましたが、そういった事実からも「T細胞がたくさん腫瘍に浸潤しているほうがICIは効く」と考えられています。実際に腫瘍浸潤T細胞が多いほど効果は高いことが、複数のデータで証明されています7,8)。しかし、残念ながらこれも完璧ではありません。PD-L1同様の不均一性やダイナミックな変化に加えて、「必ずしも『腫瘍浸潤T細胞』=『がん細胞を攻撃しているT細胞』ではない」ことが主に問題点として指摘されています。がん細胞にしかない「体細胞変異数」「体細胞変異数」、ちょっとはやり言葉のように聞いたことがある方もいるかもしれません。すごく平たく言うと、がん自体は遺伝子に変異が入ることで起きる病気です。「その変異数が多ければ多いほどICIの効果が高い」というのが体細胞変異数をバイオマーカーとして使える背景です。なぜそんなことが起きるのでしょうか?体細胞変異数は、前回までに散々出てきた「がん抗原」に注目して開発されたバイオマーカーです。思い出していただきたいのですが、T細胞活性化は、がん細胞由来の免疫応答を起こす物質(=抗原)である「がん抗原」を認識するところから始まります。これがないと何も始まりません(図1)。この「がん抗原」に注目した最も有名な治療が、「がんワクチン」です。がんワクチンは「外からがん抗原を入れることで、がん細胞を攻撃するT細胞を活性化させよう」という治療方法です。しかし、残念ながらその期待とは裏腹に、ほとんどのがんワクチンには効果がありませんでした。その理由を考察しながら、体細胞変異数という発想に至った経緯を説明します。抗原には「強い免疫応答を起こす抗原」「弱くしか免疫応答を起こせない抗原」というように階層性がある、といわれています(図3)。たとえば、自分自身の身体にある抗原(自己抗原)は、万が一強い免疫応答を起こしてしまうと自分の身体を免疫が攻撃してしまう「自己免疫性疾患」になってしまいますので、免疫応答は起きないようになっています。画像を拡大する逆にウイルスみたいな異物である外来の抗原(外来抗原)は、非常に強い免疫応答を起こします。インフルエンザにかかると高熱が出るのは、非常に強い免疫応答を起こしている証拠です。そういった外来の自分自身にない非自己の抗原に対して、強い免疫応答が起きなければ病原体を排除できず、われわれの身体は困ってしまいます。ですので、こういった外来抗原は免疫系にとっては格好の排除の対象となり、強い免疫応答が起きるわけです。では、がん抗原に話を戻しましょう。「もともと身体にあるけれど、がん細胞が特別多く持っているがん抗原」というものがあります。「元からある共通のもの」という意味で「共通抗原」と呼びます。従来の「がんワクチン」は、基本的にはこの共通抗原を使用していました。しかし、共通抗原はもともと自分自身の身体にある抗原なので、がん細胞だけが持っているわけではありません。さらにはあくまでも自己なので、ウイルスなどの非自己である外来抗原とは違います。自己である共通抗原に対しては、免疫系は自分自身を「攻撃してはいけない」という「免疫寛容」というシステムが働いて、あまり強い免疫応答を起こすことができない、といわれています(図3)。だから従来のがんワクチンは効果が限定的だったのだろう、と考えられています。じゃあ、「理想的ながん抗原」って何でしょう? がん細胞だけが持っていて、かつ強い免疫応答が起こすことができるものですよね? そう考えたときに注目したのが、がん細胞しか持っていない「体細胞変異」なのです。体細胞変異はもともとの身体にはなく、がん細胞しか持っていません。なおかつ、変異が入っていないものは自己ですが、変異が入ることでタンパク質が変わってしまい非自己になります。ですので、運が良ければウイルスなんかと同じような強い免疫応答を起こすことができる抗原になれるわけなのです(図3)。がん細胞にしかなく、かつ強い免疫応答が起こせる抗原、まさに理想的ながん抗原ですね。これをわれわれは「ネオ抗原」と呼んでいます(図3)。とはいえ、ネオ抗原を一つひとつ同定することは、不可能ではなくともかなり大変です。そこで何かほかに見られるものはないか?となったときに、体細胞変異数の発想に至りました(図4)。つまり、体細胞変異数が多ければ多いほど、非自己として扱われ、T細胞を強く活性化させ、強い免疫応答を起こすことができるネオ抗原も多いのではないか、という予測を基に(図4)、体細胞変異を測定したところ見事に体細胞変異数が多い患者さんほど効果が高いことが証明されました9)。画像を拡大する体細胞変異数への期待と限界体細胞変異数がバイオマーカーとして機能する証拠をいくつか紹介しましょう。1つ目は大腸がんです。大腸がんはICIがほとんど効かないことがいろいろな治験でわかっているのですが、5%くらい劇的に効く集団がいました。それはMSI highという異常なまでに体細胞変異数が多い患者さんたちでした。確かにそういった患者さんの病理組織では腫瘍浸潤T細胞が多く、PD-L1が高発現していることも報告されておりまして、すでにMSI highというくくりでがんの種類に関係なくICIが承認され、日本を含め世界中で使用されています。もう1つの証拠を紹介します。いろいろながんごとに体細胞変異数をカウントして比較したデータがあります。体細胞変異数が多いがんというのは、メラノーマだとか肺がんだとか膀胱がんなんていう、いずれもICIの効果が証明されているものばかりでした。こういったデータからも体細胞変異数が重要である、ということが認識できます。まとめると、図5のようになります。バラバラに3つ並べましたが実はつながっていることがおわかりいただけますか?「体細胞変異数が多い→ネオ抗原が多い→T細胞がネオ抗原のおかげで活性化する→T細胞ががん細胞を攻撃するために浸潤してくる(腫瘍浸潤T細胞)→がん細胞が免疫系から逃れるためにPD-L1を利用する(PD-L1発現)」というストーリーできれいにまとまります(図5)。画像を拡大する体細胞変異数の測定は、現実的な値段でできる時代に来ています。ですので、「全がん患者の体細胞変異数を測定しましょう。もうそれでバイオマーカーは決まり!」と単純には思うのですが、そううまくはいきません。このバイオマーカーも、やはり完璧ではないのです。そもそも体細胞変異だけでは本当に強い免疫応答を起こせるネオ抗原になっているかがわかりません。そして、ネオ抗原だったとしてもT細胞活性化の7つのステップで紹介したように「がん抗原」以外にもたくさん重要な要素があるわけで、さすがにそれらを無視して単純に体細胞変異数だけでは限界があったのです。私見も含めて…、「何が一番大切か?」長々お話ししましたが、私はやはり一番大切なのは「T細胞」だと思っています。なぜならICIはT細胞を活性化させる薬だからです。とくに、浸潤してがん細胞を直接攻撃しているT細胞がきっちりと同定できれば、それが一番良いバイオマーカーであり、がん免疫にとって一番重要な要素だと思います。どんなに体細胞変異数が多かろうと、どんなにPD-L1発現が高かろうと、ICIはT細胞を活性化する薬ですので、そういったT細胞がなければ絶対に効きません。機序を考えれば当然のことです。完璧ではないものに散々時間をかけてしまいましたが、体細胞変異数から始まるネオ抗原・T細胞・PD-L1のストーリーは、がん免疫の本質を考えるうえできわめて重要です。まだいろいろありますが、これ以上は深入りせず、次回はICIの副作用について話をしたいと思います。1)Brahmer JR, et al. N Engl J Med. 2012;366:2455-2465.2)Topalian SL, et al. N Engl J Med. 2012;366:2443-2454.3)Mok TS, et al. N Engl J Med. 2009;361:947-957.4)Kamada T, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019;116:9999-10008.5)Reck M, et al. N Engl J Med. 2016;375:1823-1833.6)Sugiyama E, et al. Sci Immunol. 2020;5:eaav3937.7)Herbst RS, et al. Nature. 2014;515:563-567.8)Tumeh PC, et al. Nature. 2014;515:568-571.9)Rizvi NA, et al. Science. 2015;348:124-128.

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化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第13回

第13回 化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ1)Gadgeel S, Rodriguez-Abreu D, Speranza G, et al. Updated Analysis From KEYNOTE-189: Pembrolizumab or Placebo Plus Pemetrexed and Platinum for Previously Untreated Metastatic Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2020 Mar 9. [Epub ahead of print]NSCLCの標準治療を大きく変えることになったKEYNOTE-189試験(化学療法+免疫チェックポイント阻害剤[ICI]vs.化学療法の第III相試験)。ICIを用いた多くの試験同様、アップデート解析が今回報告された。長期生存・長期無再発はどのような集団で得られているのか、PD-L1検査の意義は…簡潔に紹介する。アップデートの内容フォローアップ期間の中央値は当初報告(Gandhi L, et al. NEJM. 2018;378:2078-2092.)における10.5ヵ月から、今回23.1ヵ月となった。PFS、OSのアップデートに加え、PFS2の解析が追加されている。なおPFS2の定義は「ランダム化から、(1)主治医判断による2次治療の病勢進行(PD)まで、もしくは(2)2次治療をPD以外で終了した場合は3次治療開始まで、あるいは(3)これら以外の死亡まで」とされている。IMpower試験(アテゾリズマブ)で話題となった、肝・脳転移の有無に関するサブセット解析が追加された。なおKN189試験では全体の16~18%の症例が肝・脳転移を有している。結果以下、Pembro群vs.Placebo群:初回報告→アップデートの順に紹介する(単独の結果記載はアップデートデータのみ)。MST:未到達vs.11.3ヵ月(HR 0.49)→22.0ヵ月vs.10.7ヵ月(HR 0.56)2年生存率:45.5% vs.29.9%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.42/0.55/0.59→0.59/0.62/0.52mPFS:8.8ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.52)→9.0ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.48)2年PFS率:20.5% vs.1.5%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.36/0.55/0.75→0.36/0.51/0.64PFS2:17.0ヵ月vs.9.0ヵ月(HR 0.49)PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.47/0.59/0.46肝転移・脳転移の有無は予後不良因子ではあるが、ペムブロリズマブ追加の効果予測因子ではなかった。追加期間において、新規の免疫関連有害事象の発生は少なかった。解説本研究の強み・興味深い点化学療法+ICIにおける初めての長期フォローアップデータ。PD-L1の有無によらず、同程度のHRが示された。一方で、長期無再発の観点でPFSを見てみると、PD-L1 50%をカットオフとして差が顕著になっている。PD-L1≧50%で曲線がプラトーになりつつある一方で、1~49%、<1%ではほぼ全例が増悪を呈している。まとめると、3剤併用はPD-L1の有無によらず選択可能、ただしその後の戦略は大きく異なる。PD-L1≧50%では3人に1人が2年間以上無増悪を期待できる。PD-L1 50%未満では、10ヵ月前後で増悪する可能性が高く、次治療を考慮する。肝転移・脳転移の有無は治療選択には大きく影響しない。総じて、日常臨床に影響するようなデータはなし。その他のポイントコントロールアームの治療成績(MST 10.7ヵ月)が本邦の一般的な印象に比してかなり悪いので、HRの解釈には少し注意が必要かもしれない。PD-L1 50%未満に対して今後はどのような治療戦略が期待されるのか? 化学療法+ICIにさらなる薬剤追加はなかなか難しいと思われる(ベバシズマブは症例を選べば可能だが…)。2019年にはKRAS変異とPD-L1発現・化学療法+ペムブロリズマブの有効性を検討したサブ解析が話題を呼んだ(Gadgeel S, et al. ESMO-IO 2019.)。バイオマーカーについて、今後追加の報告があるのか、にも注目したい。

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オシメルチニブ、EGFR陽性肺がんアジュバントで有効性、早期非盲検化に(ADAURA)/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、4月10日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が第III相ADAURA試験において有効性を示したことにより、独立データモニタリング委員会(IDMC)の勧告に従って早期に非盲検化されることを発表した。  ADAURA試験は、完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期のEGFR遺伝子変異非小細胞肺がん患者を対象に術後補助療法としてのオシメルチニブの評価を行う第III相臨床試験で、主要評価項目は無病生存期間である。本試験では、オシメルチニブをプラセボと比較し、最長3年の治療期間で評価した。引き続き、副次評価項目である全生存期間の評価を行う。なお、IDMCからは、本試験における新たな安全上の問題は提起されていない。本試験の詳細データは、今後の学会で発表される予定。

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腫瘍遺伝子変異量(TMB)高値固形がんに対するペムブロリズマブ、FDAに承認申請

 Merck社は、2020年4月7日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理され、優先審査項目に指定されたことを発表した。この申請では、治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のない、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High、FDAに承認された検査において10変異/megabase以上)の切除不能または転移を有する固形がんの成人および小児患者に対する単独療法としてペムブロリズマブの迅速承認を目指している。  KEYNOTE-158試験は、固形がんに対するペムブロリズマブ(200mg 3週間ごと)を評価する、多施設共同マルチコホート非ランダム化非盲検試験。組織中のTMBはFoundation Medicine, Inc.のFoundationOne CDxにより測定した。主な有効性評価項目は盲検下の独立中央画像判定機関(BICR)が判定した客観的奏効率(ORR)および奏効期間(DoR)であった。  ペムブロリズマブは2017年に、がん治療薬として初めて、がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいて、マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の固形がんを適応症としたFDA承認を取得しており、今回の申請も、2017年のFDA承認の評価資料となった第II相試験KEYNOTE-158の結果などに基づいている。KEYNOTE-158試験におけるTMB-High患者のデータは2019年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。

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3次治療以降のNSCLCに対するデュルバルマブ+tremelimumabの成績(ARCTIC)/Ann Oncol

 3次治療以降の転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、デュルバルマブ+tremelimumabと標準治療(SoC)を評価した第III無作為化非盲検試験ARCTICの結果がAnnals of Oncology誌2020年2月20日オンライン版で発表された。 ARCTICは試験AおよびBの2つの独立した研究で構成されている。[試験A]・対象:PD-L1発現(TC≧25%)の転移のあるNSCLC患者126例・試験群:デュルバルマブ(10mg/kg 2週ごと最大12ヵ月)・対照群:SoC[試験B]・対象:PD-L1( TC<25%)の転移のあるNSCLC患者469例・試験群1:デュルバルマブ+tremelimumab(デュルバルマブ20mg/kg+tremelimumab 1mg/kg 4週ごと12週間の後、デュルバルマブ10mg/kg 2週ごと34週間)・試験群2:デュルバルマブ(10mg/kg 2週ごと最大12ヵ月)またはtremelimumab(10mg/kg 4週ごと24週の後、12週ごと24週間)・対照群:SoC[評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)(試験Aではデュルバルマブ対SoC、試験Bではデュルバルマブ+tremelimumab対SoC)  主な結果は以下のとおり。[試験A]・OS中央値は、デュルバルマブ群11.7ヵ月、SoC群は6.8ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.42~0.93)。・PFS中央値は、デュルバルマブ群3.8、SoC群2.2ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.04)。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)発現はデュルバルマブ群9.7%、SoC群44.4%であった。[試験B]・OS中央値は、デュルバルマブ+tremelimumab群11.5ヵ月、SoC群8.7ヵ月であった(HR:0.80、95%CI:0.61~1.05、p=0.109)。・PFS中央値は両群とも3.5ヵ月であった(HR:0.77、95%CI:0.59~1.01、p=0.056)。・Grade3/4のTRAE発現は、デュルバルマブ群9.7%、デュルバルマブ+tremelimumab群22.0%、SoC群36.4% であった。

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NSCLC1次治療におけるデュルバルマブ+tremelimumabの成績(MYSTIC)/JAMA Oncol

 未治療の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、デュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相MYSTIC試験の結果がJAMA Oncology誌2020年4月9日オンライン版に発表された。・対象:未治療の転移を有するNSCLC患者(EGFR、ALK変異含まず)1,118例・試験群1:デュルバルマブ(20mg/kg 4週ごとPDまで)・試験群2:デュルバルマブ(20mg/kg 4週ごとPDまで)+tremelimumab(1mg/kg 4週ごと、最大4回),・対照群:化学療法(プラチナ・ダブレット4~6サイクル)・評価項目: [主要評価項目]PD-L1陽性(TPS≧25%)患者の全生存期間(OS)(デュルバルマブ対化学療法、デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法)、同患者の無増悪生存期間(PFS)(デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法) [探索的研究]血中腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による評価 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、各群に無作為に1:1:1で割り付けられた。・TPS≧25%の患者(488例)のOS中央値は、デュルバルマブ群16.3ヵ月に対し、化学療法群は12.9ヵ月であった(HR:0.76、97.54%CI:0.56~1.02、p=0.04[有意差なし])。・デュルバルマブ+tremelimumab群のOS中央値は11.9ヵ月であった(対化学療法群HR:0.85、98.77%CI:0.61~1.17、p=0.20)。・PFS中央値は、デュルバルマブ+tremelimumab群3.9ヵ月に対し、化学療法群5.4ヵ月であった(HR:1.05、99.5%CI:0.72~1.53、p=0.71)。・bTMB 20/Mb以上の患者のOSは、デュルバルマブ+tremelimumab群21.9ヵ月に対し、化学療法10.0ヵ月と、デュルバルマブ+tremelimumab群で改善が示された(HR:0.49、95%CI:0.32~0.74)。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現は、デュルバルマブ群14.9%、デュルバルマブ+tremelimumab群22.9%、化学療法群33.8%であった。

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EGFR変異陽性肺がんに、EGFR-TKI+VEGF阻害薬「NEJ026試験」【肺がんインタビュー】 第44回

第44回 EGFR変異陽性肺がんに、EGFR-TKI+VEGF阻害薬「NEJ026試験」EGFR変異陽性非小細胞肺がんの1次治療において、エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法を評価した第III相試験「NEJ026試験」の中間解析が発表された。EGFR-TKI併用療法のメリットなどこの試験で明らかになった知見も含め、試験統括医師である岩手医科大学の前門戸 任氏に聞いた。EGFR陽性NSCLCの1次治療の期間をさらに延ばす―試験実施の背景について教えていただけますか。EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR-TKIの単剤治療は、多くの試験が行われてきました。われわれ北東日本研究機構グループ(North East Japan Study Group、NEJ)が行ったゲフィチニブ単剤と化学療法を比較した第III相NEJ002試験では、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者さんに限定し、ゲフィチニブ単剤の無増悪生存期間(PFS)中央値10.8ヵ月という、先例のない結果をもたらしました。ただ、それでも1年弱でEGFR-TKIの耐性が出てしまうことになります。現在は、この1次治療の期間をさらに延ばすことが重要です。その中の1つの選択肢としてEGFR-TKIとVEGF阻害薬の併用があります。NEJ026試験に先立ち、第1世代EGFR-TKIエルロチニブとVEGF阻害薬ベバシズマブの併用療法を評価した第II相JO25567試験では、エルロチニブ+ベバシズマブ併用群で16.0ヵ月という良好なPFSを達成しました。しかし、第II相試験では日常診療を変えるにはパワー不足です。そこで、NEJグループで第III相試験NEJ026を実施させていただくこととなりました。このNEJ026試験は、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCを対象に、エルロチニブ+ベバシズマブ併用とエルロチニブ単剤を無作為に比較した第III相試験です。登録症例は228例で、2017年9月21日カットオフの中間解析の結果が、2019年4月、Lancet Oncology誌に発表されました。―今回は中間解析ということですが、今後も試験は継続されるのでしょうか。中間解析はかなり厳しい設定になっていましたが、当試験は十分な効果が出て、基準をクリアすることができました。そして、独立データモニター委員会(IDMC)の許諾のもと、患者さんの不利益を最小限にするために、患者さんに試験結果を伝え、試験を継続しました。その結果、生存期間や後治療の解析、リキッドバイオプシーの解析など副次的なプロジェクトについても、質の高いデータを得られることになりました。―NEJ026試験では、エルロチニブ+ベバシズマブのPFS中央値は16.9ヵ月で、エルロチニブ単独の13.3ヵ月に比べ有意に改善しています。この結果をどう評価されますか。同じ組み合わせ(エルロチニブ+ベバシズマブvs.エルロチニブ)で行われた第II相のJO25567試験でもPFSを有意に改善していますが(16.0ヵ月vs.9.7ヵ月)、今回の結果で、しっかり検証されたと思います。これは非常に大きいことです。もう1点、JO25567試験では脳転移例は除外されていましたが、NEJ026試験では脳転移例も含まれています。ご存じのとおり、脳転移例の転帰はとても不良です。その脳転移を含めてもなお、16.9ヵ月のPFSを達成したということは非常に意味のあることだと思います。―併用による有害事象増加の懸念も出てくると思いますが、いかがでしょうか。EGFR-TKIの有害事象である、皮疹、下痢などについては、今回の試験においてもあまり変わりませんが、ベバシズマブ特有の有害事象である、蛋白尿、高血圧などはエルロチニブ単剤群に比べると増加しています。ただ、ベバシズマブは以前から化学療法と共に使ってきた経験もあり、管理可能な副作用だと考えています。胸水貯留例、L858R例などでより期待されるNEJ026レジメン―CareNet.com会員のアンケートでは、NEJ026レジメンについて、とくに胸水例に使いたいという意見が多くみられますが、その点はいかがですか。過去の試験でも、胸水貯留例に対するベバシズマブの効果については一定の評価があります。この試験でも、胸水貯留例をサブグループで解析していますが、併用群で明らかにPFSが良好でした(HR:0.63、95%CI:0.34~1.02)。これには、ベバシズマブなどVEGF阻害薬の作用機序が影響していると考えられます。VEGF阻害薬といえば血管増殖阻害作用が頭に浮かびますが、血管正常化作用もあります。腫瘍血管は漏れやすい血管になっています。VEGF阻害薬の血管正常化作用で、本来の機能を持った血管を作ってくれる。胸膜播種・浸潤した胸膜血管に対するこの働きが、胸水貯留に良いのかもしれません。もう1つ、腫瘍血管では、間質の圧力が強くなり、抗がん剤が届かないのです。血管正常化作用により、抗がん剤を腫瘍により多く到達させることも考えられます。このように、作用機序からも胸水に良いのは納得できます。―そのほかにNEJ026レジメンが適しているケースはありますか。もう1つ考えるべき点としては、exon21のL858R変異例です。以前からEGFR-TKI単剤はexon19del変異に比べ、L858R変異では効果が弱いといわれていました。EGFR-TKIとVEGF阻害薬の併用は、JO25567においてもL858R変異への有効性が報告されていました。今回のNEJ026試験でも、L858R変異症例に対するPFSは17.4ヵ月vs.13.7ヵ月(HR:0.69)と、併用群でより良好なPFSが示されています。これはexon19del変異への成績(mPFS:16.6ヵ月vs.12.4ヵ月、HR:0.57)と同等の結果です。このように、日常臨床では、胸水症例やL858R症例にはNEJ026レジメンを選択するという手段も有効だと思います。世界と戦える日本の肺がん研究―最後に読者の先生方にメッセージをお願いします。今回の試験では、EU、中国に先んじて日本発で発表することができました。日本の臨床試験は従来から質の高さには定評がありますが、オールジャパンで1つの試験に向かって進むことで非常に早く症例集積できることが、今回の試験で経験できました。世界と戦っていける自信となりました。NEJは以前からEGFR陽性肺がんに対する試験に取り組んでいますが、今後も皆さんの協力で、EGFR関連の試験で世界と戦っていければと考えます。NEJ026試験:Saito H, et al. Lancet Oncol. 2019;20:625-635.JO25567試験:Seto T, et al. Lancet Oncol. 2014;15:1236-1244.NEJ002試験:Maemondo M, et al. N Engl J Med. 2010;362:2380-2388.

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肺がん1次治療、二ボルマブ・イピリムマブ併用への化学療法の限定追加療法、米国および EU で申請/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年4月8日、米国食品医薬品局(FDA)が、ファーストライン治療薬として、化学療法のサイクルを限定して追加した二ボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表。 また、欧州医薬品庁(EMA)は、同適応に関して、化学療法を限定して追加した二ボルマブとイピリムマブの併用療法の承認申請を受理した。本申請の受理により、提出が完了し、EMAの中央審査が開始される。これは、日本において、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブが共同で行った、化学療法を限定して追加した二ボルマブとイピリムマブの併用療法の国内製造販売承認事項一部変更承認申請の提出に関する3月26日の発表に続くものである。 本申請は、第III相CheckMate-9LA試験の結果に基づいている。 CheckMate-9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍組織型にかかわらず、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のファーストライン治療薬として、二ボルマブ360mg(3週間間隔)とイピリムマブ1mg/kg(6週間間隔)に化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、化学療法(最大4サイクル後に、適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)と比較した多施設共同無作為化非盲検第III相臨床試験。2019年10月、中間解析で、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成したことを発表していた。

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デュルバルマブの小細胞肺がん、FDA承認/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月30日、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(一般名:イミフィンジ)が、成人の進展型小細胞肺がんに対する1次治療として標準治療である化学療法(エトポシド+カルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、米国において承認されたことを発表した。 今回の米国食品医薬品局による承認は、第III相CASPIAN試験の結果に基づくもの。 CASPIAN試験では2つの主要評価項目を設定し、デュルバルマブと化学療法の併用療法群と化学療法群を比較した。その結果、デュルバルマブと化学療法の併用療法群では、死亡リスクが27%低下し(ハザード比:0.73、95%CI:0.59〜0.91、p=0.0047)、OS中央値は化学療法群の10.3ヵ月に対して13.0ヵ月であった。加えて、デュルバルマブと化学療法の併用療法群において、より高い客観的奏効率が得られたことも示された(化学療法群の58%に対して68%)。なお、デュルバルマブと化学療法の併用療法における安全性および忍容性は、これらの薬剤における既知の安全性プロファイルと一致していた。 また、デュルバルマブと化学療法との併用療法に抗CTLA-4抗体トレメリムマブを追加したもう1つの投与群の解析も完了しているが、こちらの主要評価項目は達成されなかった。詳細なデータは、今後の学会で発表される予定。

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血漿TMBはペムブロリズマブの肺がん治療の効果予測因子となるか/Clin Cancer Res

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの標準1次治療としての効果の予測に、血漿中の腫瘍遺伝子変異量(pTMB)が有用である可能性が示された。米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らによる、転移のあるNSCLC患者を対象としたパイロット試験の結果、pTMB値≧16mut/Mbと無増悪生存(PFS)期間改善の関連が示されたという。また、そのような高pTMB患者のうち、持続的臨床効果(DCB)が期待できない患者の特定に、STK11、KEAP1、PTENおよびERBB2変異の情報が役立つ可能性も示された。著者は「今回の結果は、大規模な前向き研究で検証する必要がある」とまとめている。Clinical Cancer Research誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。 研究グループは、ペムブロリズマブ単剤または化学療法併用による1次治療を開始する進行NSCLC患者66例を対象に、500遺伝子次世代シークエンシング(NGS)パネルを用いてpTMB値を測定するとともに、RECIST 1.1により有効性を評価し、患者背景、6ヵ月DCB、PFSおよび全生存(OS)との関連を解析した。 主な結果は以下のとおり。・66例中、pTMB値を評価できた患者は52例(78.8%)であった。・pTMB値中央値は、16.8mut/Mb(範囲:1.9~52.5)であった。・DCBが得られた患者群のpTMB値中央値は、DCBが得られなかった患者群よりも有意に高かった(21.3mut/Mb vs.12.4mut/Mb、p=0.003)。・PFS中央値は、pTMB値≧16mut/Mbの患者群で14.1ヵ月、pTMB値<16mut/Mbの患者群で4.7ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.30、95%信頼区間[CI]:0.16~0.60、p<0.001)。・OSは、pTMB値≧16mut/Mbの患者群では中央値未到達、pTMB値<16mut/Mbの患者群では中央値8.8ヵ月であった(HR:0.48、95%CI:0.22~1.03、p=0.061)。・ERBB2exon 20、STK11、KEAP1またはPTENの変異は、DCBが得られなかった患者に多く認められた。 ・pTMB値≧16mut/Mbおよび負の予測因子となる遺伝子変異がないことが、PFS(HR:0.24、95%CI:0.11~0.49、p<0.001)およびOS(HR:0.31、95%CI:0.13~0.74、p=0.009)と関連していた。

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3次医療機関でのがん患者の新型コロナ感染率/JAMA Oncol

 がん患者は治療やモニタリングのために通院機会が多いことから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクが高い。さらに化学療法や放射線療法は免疫を抑制する。今回、中国・武漢大学中南病院のJing Yu氏らが、武漢の3次医療機関のがん患者においてSARS-CoV-2感染率と転帰を調査した結果、がん患者の入院および通院がSARS-CoV-2感染の潜在的なリスク因子であることが示唆された。とくに高齢患者(60歳以上)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に感染者が多かったという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年3月25日号に掲載。 著者らは、2019年12月30日~2020年2月17日(データカットオフ)に、武漢大学中南病院の放射線・腫瘍科に入院したがん患者1,524例の人口統計学的、臨床的、および治療のデータなどの診療記録を調査した。 主な結果は以下のとおり。・この施設におけるがん患者のSARS-CoV-2感染率は0.79%(1,524例中12例、95%CI:0.3~1.2%)と推定され、同期間に武漢市で報告されたCOVID-19例全体の累積発症率(0.37%、1,108万1,000人中4万1,152人、2020年2月17日のデータカットオフ時点)よりも高かった。・感染患者の年齢中央値は66歳(範囲:48〜78歳)で12例中8例(66.7%)が60歳以上、12例中7例(58.3%)がNSCLCであった。・5例(41.7%)は、化学療法(3例、免疫療法併用/非併用)または放射線療法(2例)のいずれかで治療されていた。・3例(25.0%)がSARSを発症し、1例は集中治療を必要とした。・2020年3月10日時点で、6例(50.0%)が退院し、3例(25.0%)が死亡した。・スクリーニングを受けたがん患者1,524例中228例はNSCLCで、60歳以上のNSCLC患者では、COVID-19の発症率が60歳以下よりも高かった(4.3% vs.1.8%)。

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